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明細書 :短光パルス発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5342096号 (P5342096)
公開番号 特開2007-035661 (P2007-035661A)
登録日 平成25年8月16日(2013.8.16)
発行日 平成25年11月13日(2013.11.13)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
発明の名称または考案の名称 短光パルス発生装置
国際特許分類 H01S   5/06        (2006.01)
FI H01S 5/06
請求項の数または発明の数 1
全頁数 9
出願番号 特願2005-211995 (P2005-211995)
出願日 平成17年7月22日(2005.7.22)
審判番号 不服 2012-013012(P2012-013012/J1)
審査請求日 平成20年7月17日(2008.7.17)
審判請求日 平成24年7月6日(2012.7.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】509093026
【氏名又は名称】公立大学法人高知工科大学
発明者または考案者 【氏名】野中 弘二
個別代理人の代理人 【識別番号】100079108、【弁理士】、【氏名又は名称】稲葉 良幸
【識別番号】100109346、【弁理士】、【氏名又は名称】大貫 敏史
【識別番号】100117189、【弁理士】、【氏名又は名称】江口 昭彦
【識別番号】100134120、【弁理士】、【氏名又は名称】内藤 和彦
【識別番号】100109586、【弁理士】、【氏名又は名称】土屋 徹雄
参考文献・文献 国際公開第2005/006508(WO,A1)
調査した分野 H01S 5/06
特許請求の範囲 【請求項1】
電気的制御により間欠的に短光パルスを発振させる半導体レーザを備える短光パルス発生装置であって、
前記半導体レーザから照射される出射光の経路となる偏光保持光ファイバと、
前記偏光保持光ファイバの下流端に設けられる部分反射部と、
前記部分反射部から延設される光ファイバと、
前記光ファイバの下流端に設けられる光パルスの逆送を防止する反射戻り防止部を有し、
前記偏光保持光ファイバの長さは10m以上であり、
前記部分反射部が、前記偏光保持光ファイバの下流端と前記光ファイバの入射端の屈折率の差を利用して形成されており、
前記偏光保持光ファイバの長さが、所望の光パルスの繰り返し周波数による光路長の整数倍を、該偏光保持光ファイバが有する屈折率の2倍で除した長さより1~10mm短い長さであることを特徴とする短光パルス発生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、短光パルス発生装置に関し、より詳しくは、短光パルスが立ち上がる際に生じるタイミングジッタを極めて効果的に抑制することができる短光パルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって光パルス列を利用する技術の開発が急速に発展している。
この光パルスとは、レーザ照射等により発生される、極端に短い時間幅で点滅する光波束のことであり、一定の間隔で点滅する光の波連のことを光パルス列という、この光パルス列の正確性を利用することにより、光計測や光通信といった技術分野に利用されている。
【0003】
この光パルス列を発生させるための装置として、モード同期ファイバレーザを利用した装置が知られている。このモード同期ファイバレーザは高品質な短パルスを発生できるが、高精度の制御機構等の多数の付属部品を必要とするため、装置自体が大掛かりな装置となり、取り扱いが極めて困難になるという問題点を有していた。また、発生するパルス光波長もファイバ増幅器の波長帯域により、1.55マイクロメートル近傍に限定されていた。
また、このような装置は、高価な光部品を多数必要としているので、大変高価な装置となる問題点を有していた。
【0004】
このような問題点を解決するために、半導体レーザを使用して、励起電流によって短光パルスを発生させる技術が開発研究されている。この半導体レーザは、励起電流を制御することにより、発生する短光パルスを制御しようとするものである。この半導体レーザでは、励起電流を制御することにより、発生パルスの繰り返し周波数やパルス幅を直接変調することができるため、従来の光パルス発生装置よりも、短光パルスを発生させるための必要な付属部品を少なくし、装置自体の大きさを低減させることができることが知られている。また、半導体レーザは、発生するパルス光波長も半導体材料の種類による発光帯域を組み合わせることにより、近赤外から可視光まで多くの波長の中から選択することができる利点を有している。
【0005】
このような半導体レーザを利用する短光パルス発生装置の光パルスの発生機構は、正孔と自由電子である励起キャリアが再結合する過程で発生する自然放出光を共鳴させることにより、レーザ光を発振させる機構である。つまり、半導体に注入される電流値により、励起キャリア密度を所定の値(閾値励起キャリア密度値)以上となるように電圧を印加して、励起キャリア密度を閾値励起キャリア密度値より高くすることによってレーザ発振を発生させている。
このようにして、短光パルスを印加電圧の周期と同じ周期で繰り返し発振させることができるようになる。発生するパルス光波長も半導体材料の種類による発光帯域を組み合わせることにより、近赤外から可視光まで多くの波長の中から選択することができる。
【0006】
しかしながら、このような短光パルス発生装置では、励起キャリア密度の量が、閾値励起キャリア密度値に近づくと、わずかではあるが励起キャリアの一部が再結合して、増強自然放出光と呼ばれる光の放出が自然的に発生し、励起キャリア密度が低下する現象が起こる。このため、レーザ発振直前の励起キャリア密度が変動し、発振するタイミングの開始にずれが生じることになり、短光パルスが立ち上がるタイミングの大きなばらつき(タイミングジッタ)を生じさせる結果となっていた(図6参照)。
特に、この増強自然放出光は、確率的且つランダムに生じるものであるから、それによって生ずるキャリア密度の揺らぎによるタイミングのばらつきもランダム課程となる。このため、増強自然放出光を抑制することや、増強自然放出光の発生によって減少する励起キャリアの量を調整することは極めて困難であった。
【0007】
このような問題点を解決するために、特許文献1に開示される短光パルス発生装置が創出されている。
この特許文献1に開示される発明は、半導体レーザから出力された出射光を分光して、この分光された帰還光を半導体レーザに入射させることのできる帰還光入射部が設けられている。更に、位相調整機構を設けることにより、半導体レーザがレーザ発振を開始するタイミングより少し早いタイミングで、半導体レーザの発振方向と偏光方向が一致した帰還光を半導体レーザに入射させることができるようになる。このため、入射される帰還光の影響によってレーザ発振する直前の励起キャリアを補填することができ、発振直前の励起キャリア密度の変動を防止することによってタイミングジッタを抑制することを目的としている。
【0008】
しかしながら、この特許文献1に開示される発明では、発光制御部や位相調整手段を利用してタイミングジッタの抑制を促していたが、これらの部品や装置は複雑なものであったため、廉価に短光パルス発生装置を製造することができない問題点を有していた。
また、この特許文献1の発明では、レンズにより半導体レーザ導波路の光出力を一旦空間ビームに変換した後、光路長調整を行い、並行平板ミラーで折り返して帰還するため出力光ファイバとの結合効率、帰還光の半導体レーザ導波路との結合効率が調整した光路長により変化するという不安定要因の問題を有していた。このようなため、パルス出力パワーの取り出し効率も悪かった。
【0009】

【特許文献1】WO2005/006508
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、短光パルスが立ち上がる際に生じるタイミングジッタを極めて効果的に抑制することができるととともに、極めて単純な構成により光パルスを制御することができるので廉価な短光パルス発生装置を提供する。
またさらに、単一モードの光ファイバ導波路上で導光、偏光制御、部分反射、帰還光路長調整、光結合のすべての動作が行われるため、動作条件の違いによる帰還光や出力光の結合効率も変動しない安定な装置が実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、電気的制御により間欠的に短光パルスを発振させる半導体レーザを備える短光パルス発生装置であって、前記半導体レーザから照射される出射光の経路となる偏光保持光ファイバと、前記偏光保持光ファイバの下流端に設けられる部分反射部と、前記部分反射部から延設される光ファイバと、前記光ファイバの下流端に設けられる光パルスの逆送を防止する反射戻り防止部を有することを特徴とする短光パルス発生装置を提供する。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記偏光保持光ファイバの長さが、所望の光パルスの繰り返し周波数による光路長の整数倍を、該偏光保持光ファイバが有する屈折率の2倍で除した長さより僅かに短い長さであることを特徴とする請求項1記載の短光パルス発生装置を提供する。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記部分反射部は、前記光ファイバを着脱自在に接続するための接続端子を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の短光パルス発生装置を提供する。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記部分反射部が、前記偏光保持光ファイバの下流端と前記光ファイバの入射端の屈折率の差を利用して形成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の短光パルス発生装置を提供する。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記偏光保持光ファイバと前記光ファイバの合計長さが、10m以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の短光パルス発生装置を提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を悉く解決する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、半導体レーザから照射される光パルスを部分反射部に於いて反射させ、この反射される光パルスを半導体レーザへの帰還光として利用することができる短光パルス発生装置を提供することができる。
この装置では、反射される光パルスを帰還光として利用するので、増強自然放出光によって失われる励起キャリアを補填することが可能となり、発振直前に励起キャリアの密度の変動を防止し、発振立ち上がり時間を一定にすることができる。
特に、本発明の短光パルス発生装置は、導光路に偏光保持光ファイバを利用して形成するので、帰還光となる光パルスの偏光を確実に保持することができ、失われた励起キャリアを効果的に補填することができ、タイミングジッタを抑制することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、偏光保持光ファイバの長さが、所望の光パルスの繰り返し周波数による光路長の整数倍を、該偏光保持光ファイバが有する屈折率の2倍で除した長さよりも僅かに短い長さに形成されるので、半導体レーザに励起キャリアを充填するための光パルスの帰還光が、光パルスが発振された後の励起キャリアが減少しているタイミングに沿うタイミングで到達することになるので、極めて効率良く励起キャリアを補填することができ、タイミングジッタを極めて効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、光ファイバを接続する接続端子を設けることにより、長さや屈折率の異なる多種多様な光ファイバを使用用途に応じて、容易に変更することができる短光パルス発生装置を提供することができる。
またさらに、本短光パルス発生装置は、単一モードの偏光保持光ファイバ導波路上で導光、偏光制御、部分反射、帰還光路長調整、光結合のすべての動作が行われるため、動作条件の違いによる帰還光や出力光の結合効率も変動しない安定性を有している。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、偏光保持光ファイバと光ファイバの屈折率の差によって部分反射部が形成されているので、新たなる部品や装置を必要としないので廉価に短光パルス発生装置を製造することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば偏光保持光ファイバと光ファイバの合計長さが、10m以上である場合、最も利用効率の高いジッタ量の少ないパルス発生領域とその近傍である低ジッタ条件の実現した光パルス列を10MHzごとの繰り返し条件で実現でき、殆どすべての変調周波数で利用することができる短光パルス発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための好適な形態を説明する。
図1は、本発明に係る短光パルス発生装置の構成図を示し、図2は本発明に係る短光パルス発生装置の一実施例を示す。
【0022】
本発明に係る短光パルス発生装置(1)は、半導体レーザ(11)、レンズ部(12)、偏光保持光ファイバ(13)、部分反射部(14)と、光ファイバ(15)と反射戻り防止部(16)からなる。
【0023】
半導体レーザ(11)は、活性物質が半導体により形成されたレーザであれば特に限定されるものではなく、pn接合による注入励起で反転分布を得る電流注入型半導体レーザや、外部からの光励起によりキャリアを発生させて反転分布を得る光励起半導体レーザ、InGaAsP/InGaAsP-MQW-DFBレーザ、GaAs/GaAsAl-MQW-レーザ、GaN-MQWレーザ、面発光レーザ等、誘導放出によりレーザ発振する半導体光共振器構造であれば構わない。
尚、高速変調可能で出力波長があまり揺らがないレーザであればより好ましい。
【0024】
この半導体レーザ(11)には、半導体レーザ(11)のレーザ出射を制御する制御部(図示せず)が設けられている。この制御部は、半導体レーザ(11)の光パルスを間欠的に発振することができるように制御することのできる制御装置であれば特に限定されず、例えば、周期的に変動する電圧を印加することができる光電発光装置を例示することができる。
【0025】
レンズ部(12)は、半導体レーザ(11)が出射する光パルスを後述する偏光保持光ファイバ(13)へ導光する。
このレンズ部(12)は、通常は、一又は複数のレンズから構成されて導光路を形成している。この導光路は、更に半導体レーザ(11)が発振される光パルスがこの導光路を通過した後、ファイバ入射端面に集光するように形成されている。
通常の半導体レーザ装置においては、この複数のレンズ間の並行ビーム経路中において反射戻り光を除去する光アイソレータを設置することが一般的であるが、本発明の構成に於いては光アイソレータをここには設置する必要がない。このため、複数のレンズを必要とせず1枚の非球面レンズを使用して同様の効果を持つファイバと半導体レーザとの高い結合効率を実現することができる。
【0026】
偏光保持光ファイバ(13)は、半導体レーザ(11)から出射し、レンズ部(12)を介して送信される光パルスの経路を形成している。この偏光保持光ファイバ(13)は、通過する光パルスの偏光方向を保持して、光パルスを通過させることができる。
この偏光保持光ファイバ(13)が光パルスの偏光方向を保持して通過させるので、後述する部分反射部(14)に於いて反射する光パルスである帰還光の偏光方向が、半導体レーザ(11)から出射される出射光の偏光方向と略同一とすることができる。
【0027】
偏光保持光ファイバ(13)の長さは、所望の光パルスの繰り返し周波数による光路長の整数倍を、偏光保持光ファイバが有する屈折率の2倍で除した長さより僅かに短い長さを有している。
尚、この偏光保持光ファイバ(13)の長さは、上記の如き長さを有することになるが、所望の光パルスの繰り返し周波数による光路長の整数倍を、偏光保持光ファイバが有する屈折率の2倍で除した長さより1~10mm短いように設定されることが好ましい。
この偏光保持光ファイバ(13)は、光パルスの出射光と帰還光との経路となるので、周波数による光路長の整数倍で且つ2倍の屈折率で除した長さに形成される。
【0028】
上記の如き偏光保持光ファイバ(13)が設定されることになるので、半導体レーザ(11)から出射光が出射されるタイミングで、出射光と同じ偏光方向を有する帰還光が半導体レーザ(11)に入射されることになり、半導体レーザ(11)のレーザ発振直前の励起キャリア密度の変動を防止することができ、発振立ち上がり時間を一定に保持することができるようになる。
【0029】
部分反射部(14)は、偏光保持光ファイバ(13)の下流端に設けられている。
この部分反射部(14)は、所謂、部分反射ミラー(Partial Reflection Mirror)を利用することができる。
この部分反射部(14)により、出射される光パルスから帰還光を発振させることができる。
【0030】
この部分反射部(14)は、上記の如き帰還光を発振させることができれば、どのような部品を利用しても構わないが、前述した偏光保持光ファイバ(13)と後述する光ファイバ(15)の屈折率の差(偏光保持光ファイバ(13)の下流端と光ファイバ(15)の入射端の屈折率差)により、光パルスを反射させて帰還光を発振させる構成とすることもできる。
この場合に使用される偏光保持光ファイバ(13)の屈折率(n1)と光ファイバ(15)の屈折率(n2)の比は、例えば、n1:n2=1:0.94~1.06、より好適には、反射率は1~0.1%に設定される。
【0031】
光ファイバ(15)は、部分反射部(14)から延設されるとともに、偏光保持光ファイバ(13)を通過し部分反射部(14)を介して通過する光パルス(帰還光でない光パルス)の光路を形成する。
この光ファイバ(15)の長さは、特に限定されず、使用者が適宜設定することができるが、利用者が100MHz間隔以下の周期で殆どすべての繰り返し周波数で低いタイムジッタのパルス列を得るためには、偏光保持光ファイバ(13)と光ファイバ(15)どの合計の長さが、好ましくは1m以上になるように設定されることが好ましい。
尚、使用者が複数となり使用される周波数が増加すれば、その増加に伴い合計長を長くなるように設定すればよい。
【0032】
この光ファイバ(15)は、部分反射部(14)に設けられる接続端子(図示せず)に着脱自在に接続されるように設定されることが好ましい。
この光ファイバ(15)がこのような接続端子により部分反射部(14)に取り付けられるので、異なる長さの光ファイバ(15)に容易に変換することができるようになるからである。
【0033】
反射戻り防止部(16)は、光ファイバ(15)の下流端に設けられている。この反射戻り防止部(16)を設けることにより、光を一方向にだけ通過させることができる。この反射戻り防止部(16)は、所謂、光アイソレータを利用することができる。
以上が本発明に係る短光パルス発生装置(1)の構成である。
【0034】
次に、本発明に係る短光パルス発生装置(1)の動作を説明する。
図3は、一定のファイバの長さに於ける周期毎のタイミングジッタ量の様子を示すグラフである。図4は、図3で示されるグラフの一部拡大図である。図5は、反射距離と周波数の関係を示すグラフである。
尚、反射距離は、半導体レーザ(11)から部分反射部(14)までの距離を示す。
【0035】
図3(a)では、本発明に係る短光パルス発生装置を利用して、周波数0.8~2.2GHzに於けるタイミングジッタの様子を示している。この図3(a)では、反射距離を115cmに設定している。図3(b)では、本発明に係る短光パルス発生装置を利用して、周波数0.8~2.2GHzに於けるタイミングジッタの様子を示している。この図3(b)では、反射距離を115+50cmに設定している。図3(a)及び図3(b)に於ける「●」の点は、ジッタが1ps以下程度の好適に抑圧できている条件を示す点と、その点に於けるジッタ量を表している。
図4は、図3の一部拡大図であり、この図4を参照するに、一定の周波数に於いてタイミングジッタの少ない場所を確認することができる。「●」の各点のごく僅かの近傍だけ図4に詳細を示すようにこの条件を満たす、それ以外の周波数においてはジッタ抑圧条件が満たされず本図では表示できないほど大きな5ps程度以上のタイムジッタが発生してしまう。
尚、「●」には、測定器自体のトリガジッタも含んでおり、発生したパルス列の実効的なジッタ量は、○で表されるようにより小さいものとなる。
【0036】
このファイバ長と、好適な条件の発生する周期性の関係を表したのが図5である。ファイバ長を延伸するにつれ、好適条件の発生周波数の間隔が短くなってくることが明白である。図3に於いては、ファイバ長115cmの偏光保持ファイバ(13)を用いることによりこの好適な変調周波数条件が90MHz周期で現れることが示されている。
図4に示すように、50cmの偏光保持ファイバを付与すると、光路長が付与したファイバ長×2倍×実効屈折率で延長されることになり、60MHzという図3の実験結果より細かい繰り返し周期で好適な条件が周期的に現れることがわかる。
これは、偏光保持光ファイバ(13)の長さは、所望の光パルスの繰り返し周波数による光路長の整数倍を、偏光保持光ファイバが有する屈折率の2倍で除した長さより僅かに短い長さであることを満たす条件としての整数倍に用いられる整数「m」の条件を満たす周波数の選択肢が、ファイバ長の延伸により増加したためである。
図4に示すように、好適な条件は周期的に発生する特定の周波数近傍5MHz以下程度でジッタの低減効果が得られるため、10MHz周期程度の繰り返しで好適な条件が順次現れれば、利用者が必要とする殆どすべての変調周波数で少ないジッタ量の良好なパルス列を得ることができることを意味している。
したがって、10m以上程度まで偏光保持ファイバを延伸できる付加機能を有することは有効な機能追加であると理解できる。
さらに、光ファイバは装置周辺の温度環境等により伸縮するため、長尺度が増すほど装置の環境を一定に保つことが重要となるが、本発明では、許容される帰還パルスの光路長の許容範囲が100ps程度であるため、25±10℃程度の室温環境では10m程度の長さであれば、特に問題となることなく利用することができる。


【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る短光パルス発生装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る短光パルス発生装置の一実施例を示す図である。
【図3】一定のファイバの長さに於ける周期的に現れるタイミングジッタが少ない好適なパルス発生条件の様子を示すグラフであり、図(a)は、ファイバ長が115cmの場合を示しており、(b)は165cmの場合を示している。
【図4】図3で示されるグラフの一部拡大図である。
【図5】反射距離を設定する変更保持光ファイバ長と好適なパルス発生条件の周波数周期の関係を示すグラフである。
【図6】タイミングジッタの生じる様子を示す概念図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・・・短光パルス発生装置
11・・・・半導体レーザ
12・・・・レンズ部
13・・・・偏光保持光ファイバ
14・・・・部分反射部
15・・・・光ファイバ
16・・・・反射戻り防止部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5