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明細書 :いりこ等の選別方法とその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4812083号 (P4812083)
公開番号 特開2007-136430 (P2007-136430A)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
発行日 平成23年11月9日(2011.11.9)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
発明の名称または考案の名称 いりこ等の選別方法とその装置
国際特許分類 B07C   5/342       (2006.01)
FI B07C 5/342
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願2005-337528 (P2005-337528)
出願日 平成17年11月22日(2005.11.22)
審査請求日 平成20年9月1日(2008.9.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】509093026
【氏名又は名称】公立大学法人高知工科大学
発明者または考案者 【氏名】竹田 史章
個別代理人の代理人 【識別番号】100085291、【弁理士】、【氏名又は名称】鳥巣 実
【識別番号】100117798、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 慎一
【識別番号】100166899、【弁理士】、【氏名又は名称】鳥巣 慶太
審査官 【審査官】宮崎 基樹
参考文献・文献 特開2001-304946(JP,A)
調査した分野 B07C 5/342
特許請求の範囲 【請求項1】
複数種類のいりこなどが混在した被選別材群を同一の種類ごとに選別したり選別対象以外の異種類を排除したりするための選別方法であって、
走行方向に向け上向きに傾斜させ、順番に搬送可能に縦列させた複数台のベルトコンベヤのうち第1のベルトコンベヤのベルト上に複数種類の被選別材群を載置してベルトの走行を開始し、少なくとも1つの被選別材が最上位置に達し第2のベルトコンベヤのベルト上に落下すると、前記第1のベルトコンベヤのベルトの走行を中止し、第2のベルトコンベヤのベルトの走行を開始させ、同ベルト上に落下した少なくとも1つの被選別材が最上位置へ達し第3のベルトコンベヤのベルト上に落下すると、同ベルトの走行を中止し、第1のベルトコンベヤのベルトおよび第3のベルトコンベヤのベルトの走行を開始するという操作を、少なくとも第3のベルトコンベヤまで繰り返し行って被選別材群を1つもしくは2つ以上の被選別材に分離する工程と、
前記分離工程で分離された被選別材が1つの場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する一方、
前記分離工程で分離された被選別材が2つ以上の場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、この2値化画像において8-近傍収縮処理を行ったのち、ラベリング処理を用いて被選別材部分にラベル番号を付与するとともに、ラベル領域内の中心位置を求め、この中心位置情報を用いて画像中の1つの被選別材を抽出し、2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する工程と、
1つもしくは2つ以上に分離された被選別材が同一種類であるときには、その種類に対応する選別ボックスに振り分ける一方、2つ以上に分離された被選別材が異なる種類であるときには、前記分離工程へ環流する工程とを備えることを特徴とするいりこ等の選別方法。
【請求項2】
被選別材に分離する前記分離工程において、第5以降のベルトコンベヤまで繰り返し行って被選別材群を1つもしくは2つ以上の被選別材に分離する請求項1に記載のいりこ等の選別方法。
【請求項3】
複数種類のいりこなどが混在した被選別材群を同一の種類ごとに選別したり選別対象以外の異種類を排除したりするための選別装置であって、
走行方向に沿って上向きに傾斜させ、ベルト上に載置される被選別材の有無を検知しベルトの走行を開始させる第1センサと、ベルト上の被選別材が最上位置に達したことを検知しベルトの走行を停止させるか・停止させたのち逆転させる第2センサとをそれぞれ備えた複数台のベルトコンベヤを、隣接するコンベヤベルト間で被選別材が乗り移り可能に隣接させて配列してなる複数種類の被選別材群を1もしくは2以上の被選別材に分離する分離装置と、
1つもしくは2つ以上に分離された被選別材が同一種類であるときには、その種類に対応する選別ボックスに振り分ける一方、2つ以上に分離された被選別材が異なる種類であるときには、前記分離装置の入り口に被選別材群を環流する振り分け手段と、
前記分離装置で分離された被選別材が1つの場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する一方、
前記分離装置で分離された被選別材が2つ以上の場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、この2値化画像において8-近傍収縮処理を行ったのち、ラベリング処理を用いて被選別材部分にラベル番号を付与するとともに、ラベル領域内の中心位置を求め、この中心位置情報を用いて画像中の1つの被選別材を抽出し、2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する手段とを備えることを特徴とするいりこ等の選別装置。
【請求項4】
被選別材が順次乗り移り可能に隣接配置された複数台の上向きに傾斜したベルトコンベヤと、各ベルトコンベヤのベルト下部上において被選別材の有無を感知するとともに被選別材を感知するとベルトの回転の開始を指令する第1センサと、各ベルトコンベヤのベルト上の被選別材が最上位置へ達したことを感知するとベルトの回転の停止を指令する第2センサとを備え、入り乱れたりバラ積みで絡み合ったりした状態の複数種類の被選別材群を1または2以上の被選別材に分離する分離装置と、
前記分離装置で分離された被選別材を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影した画像フレーム内に被選別材が1の場合および被選別材が2以上であって全ての被選別材が同一種類である場合に、被選別材を対応する種類の選別ボックスに振り分ける一方、前記カメラにより撮影した画像フレーム内に被選別材が2以上であって被選別材が異なる種類である場合に、前記分離装置へ環流する振り分け手段と、
前記画像フレーム内の画像をカラー画像としてパーソナルコンピュータに取り込み、閾値を用いて2値化を行い、モノクロ画像に変換したのち、8-近傍収縮処理を施し、ラベリングを行い、続いて、中心位置を求めてビルネア(bilnear)法を用いて縮小し、切り出しを行い、切り出した画像を、被選別材と背景とを区別できる閾値を用いて2値化し、背景を黒で塗りつぶし、2次元高速フーリエ変換を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、ニューラルネットワークへ入力する値を算出し、この入力値をニューラルネットワークへ入力し、被選別材の種類を識別する手段とを備えることを特徴とするいりこ等の選別装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば魚種の異なる複数種の小魚からなる「いりこ(煮干し)」を、同一魚種のいりこごとに選別したり選別対象以外の異魚種や雑種を排除したりするための選別方法とその装置に関するもので、被選別材は「いりこ」に限らず、「種子」、「鮮魚」、「青果物」などがある。
【背景技術】
【0002】
いりこの選別作業は、水揚げされ、塩ゆでされたのち、乾燥して半乾き状態の「いりこ」を篩機にかけて大きさで分類したのち、分類済みの「いりこ」を大きさ順に選別台上に投入し、そこで手作業により同一種類ごとに選別している。いりこには、周知のように、真鰯、潤目鰯、片口鰯、黍魚子(きびなご)、ほおたれ鰯などの複数の魚種(図4(a)参照)がある。
【0003】
しかし、いりこの人手による選別には、熟練を要するために5~7年の経験が必要であり、しかも作業に時間が掛かっており、作業が長時間に及び重労働である。また、後継者の育成にも長期間を有することから、作業人員の不足を招いている。さらに、いりこの選別が正確に行われず、異なる魚種が混在したり雑魚が混在したりする場合、いりこの商品価値が著しく低下する。加えて、人手による作業の場合でも、選別前のいりこにあっては、通常、幾層にも積み重なったうえに絡み合った状態(ビン状態)であるため、1匹ずつ傷つけないよう分離したり取り出したりすることが難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は「いりこ」などの複数の種類からなる被選別材を、人手を使用せずに同一種類の被選別材ごとに効率よく、短時間で、しかも選別時に被選別材を傷めたり、崩したりせずに選別する方法と選別する装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本発明に係るいりこ等の選別方法は、複数種類のいりこなどが混在した被選別材群を同一の種類ごとに選別したり選別対象以外の異種類を排除したりするための選別方法であって、走行方向に向け上向きに傾斜させ、順番に搬送可能に縦列させた複数台のベルトコンベヤのうち第1のベルトコンベヤのベルト上に複数種類の被選別材群を載置してベルトの走行を開始し、少なくとも1つの被選別材が最上位置に達し第2のベルトコンベヤのベルト上に落下すると、前記第1のベルトコンベヤのベルトの走行を中止し、第2のベルトコンベヤのベルトの走行を開始させ、同ベルト上に落下した少なくとも1つの被選別材が最上位置へ達し第3のベルトコンベヤのベルト上に落下すると、同ベルトの走行を中止し、第1のベルトコンベヤのベルトおよび第3のベルトコンベヤのベルトの走行を開始するという操作を、少なくとも第3のベルトコンベヤまで繰り返し行って被選別材群を1つもしくは2つ以上の被選別材に分離する工程と、前記分離工程で分離された被選別材が1つの場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する一方、前記分離工程で分離された被選別材が2つ以上の場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、この2値化画像において8-近傍収縮処理を行ったのち、ラベリング処理を用いて被選別材部分にラベル番号を付与するとともに、ラベル領域内の中心位置を求め、この中心位置情報を用いて画像中の1つの被選別材を抽出し、2次元高速フーリエ変換(以下、2DFFTともいう)を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する工程と、1つもしくは2つ以上に分離された被選別材が同一種類であるときには、その種類に対応する選別ボックスに振り分ける一方、2つ以上に分離された被選別材が異なる種類であるときには、前記分離工程へ環流する工程とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載のように、請求項1に記載のいりこ等の選別方法において被選別材に分離する前記分離工程において、第5以降のベルトコンベヤまで繰り返し行って被選別材群を1つもしくは2つ以上の被選別材に分離することが望ましい。
【0006】
上記の構成を有する本発明のいりこ等の選別方法によれば、最初に多数のいりこ群などの被選別材群を1つ~2つかつ3つ程度に分離したのちに被選別材の種類を識別するので、ビン状に絡まり易い被選別材を分離し、識別すべき被選別材の個数を最小限に減らせて識別を容易に且つ識別時間を短縮できる。また、分離後に被選別材が接近した状態でも、8-近傍収縮処理を行って抽出するので、識別を確実に行える。さらに、2次元高速フーリエ変換により入力画像データを周波数成分に変換し、画像データの特徴点を容易に把握できるようにしたので、被選別材の位置ずれや回転に対しても不変な情報を得られる。そのうえで被選別材の種類をニューラルネットワークで判別するので、識別対象が特にいりこのように自然物で、ある程度の形状、色合い模様の変動などによる入力情報の変動に影響されやすいものでも、正しく識別できる。
【0007】
上記の課題を解決するために本発明に係るいりこ等の選別装置(請求項3)は、複数種類の「いりこ」などが混在した被選別材群を同一の種類ごとに選別したり選別対象以外の異種類を排除したりするための選別装置であって、走行方向に沿って上向きに傾斜させ、ベルト上に載置される被選別材の有無を検知しベルトの走行を開始させる第1センサと、ベルト上の被選別材が最上位置に達したことを検知しベルトの走行を停止させるか・停止させたのち逆転させる第2センサとをそれぞれ備えた複数台のベルトコンベヤを、隣接するコンベヤベルト間で被選別材が乗り移り可能に隣接させて配列してなる複数種類の被選別材群を1もしくは2以上の被選別材に分離する分離装置と、1つもしくは2つ以上に分離された被選別材が同一種類であるときには、その種類に対応する選別ボックスに振り分ける一方、2つ以上に分離された被選別材が異なる種類であるときには、前記分離装置の入り口に被選別材群を環流する振り分け手段と、前記分離装置で分離された被選別材が1つの場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、2次元高速フーリエ変換(以下、2DFFTともいう)を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する一方、前記分離装置で分離された被選別材が2つ以上の場合には、同被選別材をカメラで撮影した画像をあらかじめ設定した閾値にて2値化し、この2値化画像において8-近傍収縮処理を行ったのち、ラベリング処理を用いて被選別材部分にラベル番号を付与するとともに、ラベル領域内の中心位置を求め、この中心位置情報を用いて画像中の1つの被選別材を抽出し、2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理し、被選別材が被選別材の種類ごとのテンプレートを非線形識別が可能な複層構造の階層型ニューラルネットワークで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行うことにより前記2値化画像から被選別材の種類を識別する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成を有するいりこ等の選別装置によれば、請求項1に記載の選別方法を実施でき、しかも同選別方法について上記に記載の作用効果と同様の作用効果を奏するほか、複数台のベルトコンベヤを組み合わせて分離するので、装置の構造が比較的簡単で、いりこのように分離時に損傷しやすいものでも、損傷を最小限に抑えて確実に分離させることができる。
【0009】
また、上記の課題を解決するために本発明に係るいりこ等の選別装置(請求項4)は、被選別材が順次乗り移り可能に隣接配置された複数台の上向きに傾斜したベルトコンベヤと、各ベルトコンベヤのベルト下部上において被選別材の有無を感知するとともに被選別材を感知するとベルトの回転の開始を指令する第1センサと、各ベルトコンベヤのベルト上の被選別材が最上位置へ達したことを感知するとベルトの回転の停止を指令する第2センサとを備え、入り乱れたりバラ積みで絡み合ったりした状態の複数種類の被選別材群を1または2以上の被選別材に分離する分離装置と、前記分離装置で分離された被選別材を撮影するカメラと、前記カメラにより撮影した画像フレーム内に被選別材が1の場合および被選別材が2以上であって全ての被選別材が同一種類である場合に、被選別材を対応する種類の選別ボックスに振り分ける一方、前記カメラにより撮影した画像フレーム内に被選別材が2以上であって被選別材が異なる種類である場合に、前記分離装置へ環流する振り分け手段と、前記画像フレーム内の画像をカラー画像としてパーソナルコンピュータに取り込み、閾値を用いて2値化を行い、モノクロ画像に変換したのち、8-近傍収縮処理を施し、ラベリングを行い、続いて、中心位置を求めてビルネア(bilnear)法を用いて縮小し、切り出しを行い、切り出した画像を、被選別材と背景とを区別できる閾値を用いて2値化し、背景を黒で塗りつぶし、2次元高速フーリエ変換(以下、2DFFTともいう)を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、ニューラルネットワークへ入力する値を算出し、この入力値をニューラルネットワークへ入力し、被選別材の種類を識別する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有するいりこ等の選別装置によれば、上記請求項3に記載の選別装置とほぼ同様の作用効果がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るいりこ等の選別方法と同装置には、次のような優れた効果がある。すなわち、
・従来、人手で行われているいりこなどの選別作業を機械(システム)化して効率よく短時間で確実に行え、作業の省力化と高精度化を図れ、雑魚や異魚種の混入が起こりにくく商品価値を向上できる。
【0012】
・分離後に被選別材が接近した状態でも、8-近傍収縮処理を行って抽出するので、識別を確実に行える。
【0013】
・2次元高速フーリエ変換により入力画像データを周波数成分に変換し、画像データの特徴点を容易に把握できるようにしたので、被選別材の位置ずれや回転に対しても不変な情報を得られ、そのうえで被選別材の種類をニューラルネットワークで判別するので、識別対象が特にいりこのように自然物で、ある程度の形状、色合い模様の変動などによる入力情報の変動に影響されやすいものでも、正しく識別できる。
【0014】
・複数台のベルトコンベヤを組み合わせて分離するので、相違の構造が比較的簡単で、いりこのように分離時に損傷しやすいものでも、損傷を最小限に抑えて確実に分離させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るいりこ等の選別装置と選別方法について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は被選別材がいりこである場合の選別方法の実施例を示すフローチャートである。図2(a)は選別装置の一構成部材としてのいりこ分離装置を示す側面図、図2(b)は1台のベルトコンベヤを拡大して示す側面図である。
【0017】
本実施例では、図4(a)に示すように真鰯、潤目鰯、片口鰯、黍魚子(きびなご)およびほおたれ鰯の5種類のいりこを選別対象とする。
【0018】
そこで、図1に示すように、
1)選別対象のいりこを目視にて同一魚種ごとに複数匹(例えば、10匹)ずつ選んだのち、同一魚種のいりこごとに、USB接続のデジタルカメラで撮影し、画像データによる魚種パターンをニューラルネットワーク(以下、NNという)に入力して学習登録する。
【0019】
本実施例に係る選別装置は被選別材の種類を識別する識別手段10を備えており、その識別手段10はいりこの全体形状、色合いおよび側線パターンに基づき魚種を判別するテンプレートをNNで構成し、非線形テンプレートを用いたマッチング処理を行う。NNの構造は、非線形識別が可能な最小構成の3層構造の階層型とする。いりこは形状が安定しないので、最終的には色合いおよび側線パターンが一致すれば、魚種が同一であると判別する。また、NNの構成法については、出力層に選別パターンに対し目的ユニット(例えば、真鰯にのみ反応するユニット)と目的外ユニット(例えば、真鰯以外に反応するユニット)の2つを設定し、反応値の大小関係で最終判定を実施するものとする。具体的には、真鰯のみに反応するユニットの反応値が真鰯以外に反応するユニットの反応値より大きければ、選別対象のいりこの魚種は真鰯であると判別される。
【0020】
2)分離・選別対象としてのいりこ群Sをビン状態のまま、分離装置1(図2)へ投入する。
【0021】
3)分離装置1を作動して、いりこを1匹ずつ若しくは2匹以上に分離する。
【0022】
4-1)2匹以上に分離されたいりこをデジタルカメラ3で撮影し、撮影された画像から1匹ずつのいりこを抽出する。
【0023】
4-2)分離あるいは抽出された1匹ずつのいりこを、後述するようにNNによって魚種を識別する。
【0024】
5)識別した結果、1匹若しくは同一魚種からなる2匹以上のいりこは、魚種に対応する選別(種類別)ボックスへ振り分ける。
【0025】
6)識別した結果、異なる魚種からなる2匹以上のいりこを、上記2)の分離前のいりこ群Sへ戻すか、分離装置1の入り口へ再度投入するかし、いわゆる環流を行う。
【0026】
いりこの選別に際し、ビン状態の「いりこ」群から個々の魚種を特定するには、抽出処理が必要になる。また、抽出するには、いりこを分離する必要がある。このために開発した分離装置1は、図2に示すように、本例では、1台の搬送用リブ付き傾斜ベルトコンベヤ12と5台の分離用傾斜ベルトコンベヤ13~17とから構成されている。各ベルトコンベヤ12~17の駆動はそれぞれ独立させ、正転駆動・逆転駆動・停止の制御はマイコンボードで行うようにしている。搬送用ベルトコンベヤ12には、いりこ群Sを投入するためのホッパー18が配設され、ホッパー18にいりこ群Sを投入し、無端のリブ付きベルト12aの走行を開始すると、いりこ群Sが上方へ運ばれる。
【0027】
各分離用ベルトコンベヤ13~17は、それぞれベルト13a~17aの走行方向に向けやや上向きに傾斜しており、被搬送物(いりこ)Sを順番に隣接する次のベルトコンベヤのベルト上に移乗できるように一定の間隔を保って相互に平行に配列(縦列)されている。各分離用ベルトコンベヤ13~17は搬送用ベルトコンベヤ12とともにDCモータ19により減速ギヤ20を介して無端ベルト13a~17aを走行させる構造であるが、ベルト走行方向の中間位置と最上位置とにそれぞれ近赤外線センサ21・22が取り付けられている。中間位置の第1センサ21は無端ベルト上の下端に向けられ、無端ベルト上のいりこを感知すると、DCモータ19を駆動して無端ベルト13aの走行(回転)を開始させる。一方、最上位置の第2センサ22はいりこを感知すると、無端ベルト13aの走行を停止させる。例えば、搬送用ベルトコンベヤ12のベルト12aの最上位置から複数匹のいりこが落下して次のコンベヤベルト13aの下端部に乗り移ったと仮定する。乗り移った復数匹のいりこは、ベルト13aの走行に伴って上方へ移動する。そして、最上位置へ移動すると、第2センサ22により感知されてベルト13aの走行が停止し、1匹~2・3匹のいりこが次のコンベヤベルト14のベルト14aの下端部上に落下する。以下、順にコンベヤベルト14、15、16のベルトが回転し、第5のコンベヤベルト17のベルト17a上にいりこが落下すると、ベルト17aが所定距離だけ走行し、いりこSがベルト17aの走行方向のほぼ中間位置まで移動する。
【0028】
各無端ベルト12a~17aはゴムなどの弾性体からなるために、いりこが落下しても損傷せず、またベルト走行時にいりこSが回転するのが防止される。相互に隣接するベルトコンベヤ12~16は一方のベルトコンベヤ(例えば、13)でベルトの回転が停止すると、他方のベルトコンベヤ(たとえば、14)ではベルトの回転を開始するようにマイコンボードが制御するので、本例の5台のベルトコンベヤは1台おきにベルト12a~16aが回転することになる。このようにして、多数匹のいりこ群Sは1匹~2・3匹程度に分離された状態で第5のベルトコンベヤ17のベルト17a上に載置されることになる。
【0029】
第5のベルトコンベヤ17の上方には、照明器具2およびデジタルカメラ3がレンズをベルトコンベヤ17のベルト17aの走行方向のほぼ中間位置に向けて配備されている。第5のベルトコンベヤ17では、センサ21がいりこの存在を感知すると、ベルト17aの回転を開始させるが、いりこが中間位置に来ると、ベルト17aの回転が停止する。そこで、ベルト17a上のいりこがデジタルカメラ3により撮影される。
【0030】
撮影されたいりこの画像はパーソナルコンピュータ(以下、PCともいう)へ送られ、閾値により2値化され、背景を黒色とした白い画像に変換処理される。そして、変換処理された画像データをニューラルネットワーク(以下、NNという)の入力に適する数値に変換するために、2次元高速フーリエ変換(以下、2DFFTともいう)を用いて周波数解析処理し、その2次元データを同心円状にブロック化を行う。図3(f)に示す同一番号のブロックを加算平均化し、正規化を行い、入力層の各ユニット(以下、細胞またはニューロ素子ともいう)に入力するスラブ値とする。また、2DFFTから得られる成分の有効領域が64×64であるため、スラブ値は64個とする。
【0031】
本例では、3階層構造の演算部は、入力層(64ニューロ素子)、隠れ層(35ニューロ素子)および出力層(5ニューロ素子)の3層からなっており、入力層では2DFFTから得られる成分の有効領域ごとに演算処理されたスラブ値を対応するニュ-ロ素子に入力する。隠れ層は、本例では35個のニュ-ロ素子からなり、入力層の情報を伝搬演算して出力層に伝達する役割を果たしている。この隠れ層が多くなればそれだけ、入力層のスラブ値の変動に対しても不変に各パタ-ンの各々に分離演算できる。出力層には、識別すべき「いりこ」の種類ごとに1対1にて対応するように5個のニュ-ロ素子が設けられている。そして、学習により完成したニュ-ロ素子間の重み係数による出力ニューロ素子値を出力ニューロ素子の数個分を算出する。
【0032】
一部繰り返しになるが、NNを用いたいりこの魚種を識別(判別)する方法について、以下に詳しく説明する。
【0033】
1) 本例では、USB接続のデジタルカメラによる撮影済みRGBカラー画像をPCに取り込む(図3(a))。
【0034】
2) 閾値を用いて2値化を行い、モノクロ画像に変換する(図3(b))。
【0035】
(R×0.33+G×0.33+B×0.33)/3=X
3) 8近傍収縮処理(左右・上下・斜めの各近傍を収縮処理)を行い、重なった状態の被選別材(いりこ)を分離し、ラベリングを行う。続いて、中心位置を求めて128×128(2のn乗×2のn乗)にビルニア(bilnear)法を用いて縮小し、切り出しを行う(図3(c))。
【0036】
4) 切り出した画像を、いりこと背景とを区別できる閾値を用いて2値化し、背景を黒(0×00)で塗りつぶす(図3(d))。
【0037】
5) 下記の数式による2次元FFTを用いて、上記5)のモノクロ画像(128×
128pixel)の周波数成分を算出する(図3(e))。
【0038】
6) 図3(f)に示すように配置された周波数成分を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、NNへ入力する値を求める。
【0039】
例えば、図3(f)の「1」のところだけを加算して平均を取った値が、NNの入力要素の1つとなる。Σx(i)/12(i=1,2,…12)
その他の入力要素も同様な算出形式で、Σx(i)/M(i=1,2,…M) ただし、Mは同心円状の同じ番号の数
つまり、0・1・2・3・4・5・………62・63・64
こうして作成した入力値をNNへ入力し、いりこの魚種を識別する(図3(g))。
【0040】
ここで、識別手段10の基本構成についてさらに詳しく説明する。図5は識別手段10の基本構成を示す説明図である。図5中の各々のニューロテンプレートがいりこの魚種を個々に識別するものとなる。その識別過程はいりこの画像が前処理である2DFFTで処理され、NNへの入力値であるスラブ値が算出される。この場合は64個の値が入力される。次に、それぞれのニューロテンプレートにこの値が入力され、NNの前向き計算が実施される。個々のニューロテンプレートは個々のいりこの魚種を識別するかそれ以外という判断のみを実施する。たとえば、真鰯の画像が入力された場合、第1番目のニューロテンプレートiが真
鰯用であるとすると、このニューロテンプレートiの出力層のユニット(細胞)
には、真鰯を示すユニット(目的パターン)と、真鰯以外を示すユニット(目的外パターン)の2つのユニットが設定されている。
【0041】
したがって、目的とする正しい真鰯の画像を入力されたので、このニューロテンプレートiの出力層のユニットが下記の関係を示すことになる。
【0042】
出力ユニットの反応値(真鰯を示すユニット)> 出力ユニットの反応値(真鰯以外を示すユニット)………(1)
他のニューロテンプレートii~vも同様に潤目鰯、片口鰯、黍魚子(きびなご)
およびほおたれ鰯など、それぞれを唯一識別する設定となっている。ただし、それ以外のニューロテンプレートにも同じ真鰯の画像を入力し、以下の関係を満たすかを確認する。
すなわち、
出力ユニットの反応値(潤目を示すユニット)< 出力ユニットの反応値(それ以外を示すユニット)……(2)
出力ユニットの反応値(片口を示すユニット)< 出力ユニットの反応値(それ以外を示すユニット)……(3)
出力ユニットの反応値(きびなごを示すユニット)< 出力ユニットの反応値(それ以外を示すユニット)……(4)
出力ユニットの反応値(ほうたれを示すユニット)< 出力ユニットの反応値(それ以外を示すユニット)……(5)
つまり、真鰯のニューロテンプレートiで真鰯であることを確認し、かつ、潤目
鰯、片口鰯、黍魚子(きびなご)およびほおたれ鰯を唯一識別するニューロテンプレートii~vで、潤目鰯でもなく、片口鰯でもなく、黍魚子(きびなご)でも
なく、ほおたれ鰯でもないことを確かめ、最終判断を下すのである。
このNNによるテンプレートマッチングにより精度の高い識別が実現できる。ただし、図6に示すように従来のNNの出力層にそれぞれのいりこの魚種に対応するユニットをそのまま設定し、一回のNN計算のみでいりこの魚種を確定する方法も本選別装置1の識別手段10に適用し、プログラムシステムとしては選別装置1の起動時に選択可能としている。
【0043】
こうして、コンベヤベルト17a上のいりこの魚種が識別されるが、いりこが1匹の場合および2匹以上でも全てのいりこの魚種が同一の場合には、コンベヤベルト17aが最上位置まで回転したのち、魚種に対応した選別ボックス(図示せず)に振り分け装置(図示せず)によって振り分けられる。
【0044】
一方、いりこが2匹以上で、魚種が異なる場合には、振り分け装置(図示せず)により、再び分離装置1へ戻されて分離作業が繰り返し行われることになる。分離作業が繰り返される場合、最終的にはほとんどいりこは1匹ずつに分離されるので、魚種に対応する選別ボックスへ振り分けられる。
【0045】
ところで、本発明の実施例に係るいりこの選別装置については、選別対象としてのいりこの全ての魚種についてあらかじめデジタルカメラで撮影され、画像データに基づいた魚種に関するデータ(魚種パターン)がNNを用いて学習登録されている。そして、画像データのうち、特にいりこの全体形状、色合い、側線パターンなどの魚種を識別する上で重要な特徴的模様(パターン)に関するデータが図3に示すように2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理され、入力パターン(スラブ値)としてNNの入力層に入力され、記憶されている。そして、分離装置1で通常、1匹ないし2・3匹のいりこに分離され、デジタルカメラ3で撮影された画像データが図3の動作フローに沿って同様に変換処理され、作成された入力パターンが入力層→隠れ層→出力層へ伝達・処理され、出力層から出力値(出力パターン)が出力される。この出力値は、それまでの学習によって得られた重み係数に基づくもので、本例の場合には、いりこの魚種が何であるかが出力される。
【0046】
また、NNにおいて、いりこの魚種パターンにつき逆に正しい出力値が与えられると、出力層→隠れ層→入力層の順で伝達・処理され、各層間の重み係数について学習がなされるが、この重み係数の学習は、実際の出力値と正しい出力値との差が減るように、入力ニューロ素子・隠れニューロ素子・出力ニューロ素子のニューロ素子間における結合の強さを変化・収束させることである。
【0047】
詳しくは、NN学習に関し、NNの構成は階層型の3層NNを用いており、学習方法として改良型誤差逆伝搬法を採用している。この改良型誤差逆搬法とは、下記の数1で表される学習アルゴリズムである。
【数1】
JP0004812083B2_000002t.gif

【0048】
ここで、Wは重み、tは学習回数、δは一般化誤差、Oはニューラル素子(細胞・ユニット)の出力値、ηは学習定数、αは慣性定数、βは振動定数を示す。
【0049】
そして、対象とする被選別材としてのいりこの魚種パターンと、あらかじめ学習登録された複数種類の魚種パターンとが比較され、対象とするいりこの各魚種パターンが全体的に把握され、学習した魚種パターンと比較されることによって、より正確に魚種を識別できるようにしている。
【0050】
上記に本発明のいりこの選別装置について一実施例を挙げて説明したが、下記のように実施することができる。すなわち、
・複数の魚種からなるいりこ群を同一魚種ごとに選別するだけでなく、雑魚が混じったいりこ群から雑魚だけを排除することにも使用できる。
【0051】
・選別対象は魚類に限定されず、被選別材の片面あるいは前面だけを選別したり監視したりする装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】被選別材がいりこである場合の選別方法の実施例を示すフローチャートである。
【図2】図2(a)は選別装置の一構成部材としてのいりこ分離装置を示す側面図、図2(b)は1台のベルトコンベヤを拡大して示す側面図である。
【図3-a】(a)~(c)はいりこの選別動作フローを順に示す説明図である。
【図3-b】(d)~(g)はいりこの選別動作フローを順に示す説明図である。
【図4】図4(a)はいりこの魚種(5種類)を示す正面図、図4(b)は同一種類ごとに選別した状態を示す正面図である。
【図5】選別手段(判別手段)の基本構成を示す説明図である。
【図6】従来のNNでの識別構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 分離装置
2 照明器具
3 デジタルカメラ
10 識別手段
12 搬送用傾斜ベルトコンベヤ
13~17 分離用傾斜ベルトコンベヤ
12a~17a コンベヤベルト
18 ホッパー
19 DCモータ
20 減速ギヤ
21・22 センサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3-a】
2
【図3-b】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図4】
6