TOP > 国内特許検索 > 漬け物の製法 > 明細書

明細書 :漬け物の製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4441604号 (P4441604)
公開番号 特開2005-237240 (P2005-237240A)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発行日 平成22年3月31日(2010.3.31)
公開日 平成17年9月8日(2005.9.8)
発明の名称または考案の名称 漬け物の製法
国際特許分類 A23B   7/10        (2006.01)
A23B   4/00        (2006.01)
A23B   5/00        (2006.01)
FI A23B 7/10 A
A23B 4/00 Z
A23B 5/00 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 9
出願番号 特願2004-049434 (P2004-049434)
出願日 平成16年2月25日(2004.2.25)
審査請求日 平成19年2月23日(2007.2.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000089
【氏名又は名称】株式会社 鹿児島TLO
発明者または考案者 【氏名】内木場 哲也
【氏名】内木場 美智子
個別代理人の代理人 【識別番号】100064458、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 正治
審査官 【審査官】小暮 道明
参考文献・文献 特開平11-046679(JP,A)
特開昭62-220143(JP,A)
特開平06-098674(JP,A)
特開昭56-169543(JP,A)
主婦の友社編「料理食材大事典 第2刷」(平成10年1月20日)p.882
調査した分野 A23B
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)ハクサイ、ノザワナ、キョウナ、キュウリ、イトウリ、ニガウリ、トウガン、カボチャ、らっきょう、ダイコン、ニンジン、カブ、ゴボウ、ヤマイモ、サツマイモ、バレイショ、レンコン、シイタケ、エノキダケ、マツタケ、ナメコ、シメジ、またはマイタケでなる野菜類、(b)リンゴ、カキ、モモ、ボンタン、パイナップル、バナナ、アンズ、ブドウ、梅、またはサクランボでなる果物類、(c)コンブ、ワカメ、テングサ、アオノリ、またはモズクでなる植物性魚介類、(d)カツオ、サバ、イワシ、アジ、ブリ、サケ、マグロ、フグ、ニシン、サンマ、コイ、フナ、ヤマメ、アユ、ホタテ、アワビ、サザエ、アサリ、イカ、タコ、またはナマコでなる動物性魚介類、(e)上記動物性魚介類の卵または臓物、(f)牛肉、豚肉、羊肉、または鶏肉でなる食肉類、または(g)牛、豚、羊、または鶏でなる食肉用動物類の卵または臓物でなる生鮮漬け物素材を用意する工程と、
上記生鮮漬け物素材に対し、天日干しによる乾燥処理、または40℃~50℃に温度制御された乾燥室を利用した乾燥処理を施すことによって、上記生鮮漬け物素材から、水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程と、
食酢液に対し、甘味料を上記食酢液の15重量%以下の食糖相当量で加えまたは加えることなしに、加熱処理を施し、次で、上記食酢液が煮沸状態になった時点の後間を置かない時点から、1.5度/10分~2.5度/10分の温度勾配での自然徐冷処理を施すことによって、上記食酢液から、酸度4~8%の漬け込み用液を用意する工程と、
上記乾燥漬け物素材に対し、食塩類を用いない、上記漬け込み用液による暗所における3週間以上の常温・密閉漬け込み処理を施すことによって、上記乾燥漬け物素材から、上記生鮮漬け物素材による漬け物を得る工程とを有することを特徴とする漬け物の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮漬け物素材に対し、食塩類を用いない、食酢液による漬け込み用液による漬け込み処理を施すことによって、生鮮漬け物素材による漬け物を製造する漬け物の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生鮮漬け物素材に対し、食塩類を用いない、食酢液による漬け込み用液による漬け込み処理を施すことによって、その漬け物素材による漬け物を製造する漬け物の製法として、特開平11-46679号公報に無塩らっきょう漬けの製法が開示され、また同様の漬け物の製法として、特開平10-323154号公報に無塩梅漬けの製法が開示されている。
【0003】
特開平11-46679号公報に開示されている無塩らっきょう漬けの製法は、「生らっきょう」を「生鮮漬け物素材」であるとして、一般的に述べれば、
(i)生鮮漬け物素材を用意する工程と、
(ii)純米酢でなる食酢液に対し、甘味料を食酢液の約35重量%の食糖相当量で加えることによって、加熱処理を施すことなしに、上記食酢液から、酸度3.5~4.2%の漬け込み用液を用意する工程と、
(iii)上記生鮮漬け物素材に対し、5℃~6℃の低温で約12時間という低温乾燥処理を施すことによって、上記生鮮漬け物素材から、乾燥漬け物素材を得る工程と、
(iv) 上記乾燥漬け物素材に対し、食塩類を用いない、上記漬け込み用液による暗所における約3ケ月以上の常温・密閉漬け込み処理を施すことによって、上記乾燥漬け物素材から、上記生鮮漬け物素材による漬け物を得る工程とを有する、
という漬け物の製法であり、
このため、
(v)生鮮漬け物素材による漬け物を、食塩が使われていず、また栄養素が損なわれていず、さらに外形及び色が乾燥漬け物素材からさほど変化していず、また黴や腐敗が生じ難く、さらに程よい硬さのままさわやかな酸味があり且つ甘味があるものとして得ることができる、
という効果が得られるものとされているものである。
【0004】
また、特開平10-323154号公報に開示されている無塩梅漬けの製法は、「生梅」を「生鮮漬け物素材」であるとして、一般的に述べれば、
(i)生鮮漬け物素材を用意する工程と、
(ii)純米酢でなる食酢液に対し、甘味料を食酢液の約37.5重量%の食糖相当量で加えることによって、加熱処理を施すことなしに、上記食酢液から、酸度4.2~4.5%の漬け込み用液を用意する工程と、
(iii)上記生鮮漬け物素材に対し、5℃~8℃の低温で約12時間という低温乾燥処理を施すことによって、上記生鮮漬け物素材から、乾燥漬け物素材を得る工程と、
(iv) 上記乾燥漬け物素材に対し、食塩類を用いない、上記漬け込み用液による暗所における約3ケ月以上の常温・密閉漬け込み処理を施すことによって、上記乾燥漬け物素材から、上記生鮮漬け物素材による漬け物を得る工程とを有する、
という漬け物の製法であり、
このため、
(v)生鮮漬け物素材による漬け物を、上述した特開平11-46679号公報に開示されている漬け物の製法によって得られる生鮮漬け物素材による漬け物の場合で上述したのと同様に得ることができる、
という効果が得られるものとされているものである。

【特許文献1】特開平11-46679号公報
【特許文献2】特開平10-323154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特開平11-46679号公報に開示されている漬け物の製法による場合に上記(v)の効果が得られるものとされる理由は、主として、
(イ)生鮮漬け物素材による漬け物を、生鮮漬け物素材からそれに対する5℃~6℃の低温で約12時間という低温乾燥処理によって得られた乾燥漬け物素材から得るようにしているとともに、
(ロ)乾燥漬け物素材に対する常温・密閉漬け込み処理に用いている漬け込み用液を、
食酢液からそれに対し甘味料を食酢液の約35重量%の食糖相当量で加えることによって得られた酸度3.5~4.2%の漬け込み用液としていること、
にあると考え得るが、
上述した特開平11-46679号公報に開示されている漬け物の製法による場合、
(イ)′上記(イ)の理由のため、生鮮漬け物素材に対し5℃~6℃の低温で約12時間という低温乾燥処理を施すための低温乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営を要し、また、
(ロ)′上記(ロ)の理由のため、生鮮漬け物素材による漬け物を、食感の品質が低く且つ糖濃度が高い漬け物としてしか得られないとともに、
(ハ)′上記(イ)の理由を有するとしても、そこでの乾燥漬け物素材の水分含有量が特定されていないこと、及び上記(ロ)の理由を有するとしても、そこでの漬け込み用液が加熱処理を施されて得られているというものではないことのため、上記(v)の効果を再現性良く得ることができない、
という欠点を有していた。
【0006】
また、上述した特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法による場合の上記(v)の効果が得られるものとされる理由は、特開平11-46679号公報に開示されている漬け物の製法の場合に準じて、主として、
(イ)生鮮漬け物素材による漬け物を、生鮮漬け物素材からそれに対する5℃~8℃の低温で約12時間という低温乾燥処理によって得られた乾燥漬け物素材から得るようにしているとともに、
(ロ)乾燥漬け物素材に対する常温・密閉漬け込み処理に用いている漬け込み用液を、食酢液からそれに対し甘味料を食酢液の約37.5重量%の食糖相当量で加えることによって得られた酸度4.2~4.5%の漬け込み用液としていること、
にあると考え得るが、
上述した特開平11-46679号公報に開示されている漬け物の製法による場合、特開平11-46679号公報に開示されている漬け物の製法の場合と同様に、
(イ)′上記(イ)の理由のため、生鮮漬け物素材に対し5℃~8℃の低温で約12時間という低温乾燥処理を施すための低温乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営を要し、また、
(ロ)′ 上記(ロ)の理由のため、生鮮漬け物素材による漬け物を、食感の品質が低く且つ糖濃度が高い漬け物としてしか得られないとともに、
(ハ)′上記(イ)の理由を有するとしても、そこでの乾燥漬け物素材の水分含有量が特定されていないこと、及び上記(ロ)の理由を有するとしても、そこでの漬け込み用液が加熱処理を施されて得られていないことのため、上記(v)の効果を再現性良く得ることができない、
という欠点を有していた。
【0007】
よって、本発明は、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合に得られる効果に準じた効果を得ることができ、それでいて、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合の上述したような欠点を伴うことのない、新規な漬け物の製法を提案せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による漬け物の製法は、(a)ハクサイ、ノザワナ、キョウナ、キュウリ、イトウリ、ニガウリ、トウガン、カボチャ、らっきょう、ダイコン、ニンジン、カブ、ゴボウ、ヤマイモ、サツマイモ、バレイショ、レンコン、シイタケ、エノキダケ、マツタケ、ナメコ、シメジ、またはマイタケでなる野菜類、(b)リンゴ、カキ、モモ、ボンタン、パイナップル、バナナ、アンズ、ブドウ、梅、またはサクランボでなる果物類、(c)コンブ、ワカメ、テングサ、アオノリ、またはモズクでなる植物性魚介類、(d)カツオ、サバ、イワシ、アジ、ブリ、サケ、マグロ、フグ、ニシン、サンマ、コイ、フナ、ヤマメ、アユ、ホタテ、アワビ、サザエ、アサリ、イカ、タコ、またはナマコでなる動物性魚介類、(e)上記動物性魚介類の卵または臓物、(f)牛肉、豚肉、羊肉、または鶏肉でなる食肉類、または(g)牛、豚、羊、または鶏でなる食肉用動物類の卵または臓物でなる生鮮漬け物素材を用意する工程と、
上記生鮮漬け物素材に対し、天日干しによる乾燥処理、または40℃~50℃に温度制御された乾燥室を利用した乾燥処理を施すことによって、上記生鮮漬け物素材から、水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程と、
食酢液に対し、甘味料を上記食酢液の15重量%以下の食糖相当量で加えまたは加えることなしに、加熱処理を施し、次で、上記食酢液が煮沸状態になった時点の後間を置かない時点から、1.5度/10分~2.5度/10分の温度勾配での自然徐冷処理を施すことによって、上記食酢液から、酸度4~8%の漬け込み用液を用意する工程と、
上記乾燥漬け物素材に対し、食塩類を用いない、上記漬け込み用液による暗所における3週間以上の常温・密閉漬け込み処理を施すことによって、上記乾燥漬け物素材から、上記生鮮漬け物素材による漬け物を得る工程とを有する。
ここで、上述した水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程での「水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材」における20~30%の値は、水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程によって得た乾燥漬け物素材について、その重量を値W1であると測定し、次でその乾燥漬け物素材に対し、任意の乾燥処理を十分施し、すなわち、その任意の乾燥処理をその乾燥漬け物素材の重量が変化しなくなるまで施し、そして、そのときの乾燥漬け物素材の重量を値W2であると測定し、そして((W1-W2)/W1)×100(%)の式を用いて求めた計算値が20~30%の値であるときのその値に相当する値であることを意味する。
【0010】
また、上記食酢液としては、米酢、麦酢などでなり得る。
さらに、甘味料としては、白糖、氷糖、三温糖、黒糖などの食糖、ステビア、アスパルテーム、スクラロースなどの高甘味度甘味料でなり得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明による漬け物の製法によれば、(イ)生鮮漬け物素材による漬け物を、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合に準じて、食塩が使われていず、また栄養素が損なわれていず、さらに外形及び色が乾燥漬け物素材からさほど変化していず、また黴や腐敗が生じ難く、さらに程よい硬さのままさわやかな酸味があり且つ漬け込み用液に甘味料が加えられているか否かに応じて甘味があるまたはないものとして得ることができる、という効果を得ることができ、それでいて、(ロ)生鮮漬け物素材に対し乾燥処理を施すための乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営を要するとしても、その乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営を、天日干しという常套的な乾燥処理手段乃至装置及び管理運営にすれば足り、また、(ハ)漬け込み用液が食酢液から得られた漬け込み用液であるとしても、その漬け込み用液は、食酢液からそれに対し甘味を加えることなしにまたは加えるとしても食酢液の15重量%以下の食糖相当量で加えることによって得られたものであるに過ぎないため、漬け物素材による漬け物を、食感の品質が高く且つ糖濃度が十分低いまたは糖濃度が零を呈する、という優れた漬け物として得ることができ、さらに、(ニ)乾燥漬け物素材の水分含有量が20~30%と特定されていること、及び漬け込み用液が食酢液からそれに対する加熱処理を施し、次で食酢液が煮沸状態になった時点の後からの自然徐冷処理が施されて得られていることのため、上記(イ)の効果を、再現性良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明による漬け物の製法を実施するための最良の形態を述べる。
本発明による漬け物の製法を実施するための最良の形態は、
(イ)(i)ハクサイ、ノザワナ、キョウナ、キュウリ、イトウリ、ニガウリ、トウガン、カボチャ、らっきょう、ダイコン、ニンジン、カブ、ゴボウ、ヤマイモ、サツマイモ、バレイショ、レンコン、シイタケ、エノキダケ、マツタケ、ナメコ、シメジ、またはマイタケでなる野菜類、(ii)リンゴ、カキ、モモ、ボンタン、パイナップル、バナナ、アンズ、ブドウ、梅、またはサクランボでなる果物類、(iii)コンブ、ワカメ、テングサ、アオノリ、またはモズクでなる植物性魚介類、(iv)カツオ、サバ、イワシ、アジ、ブリ、サケ、マグロ、フグ、ニシン、サンマ、コイ、フナ、ヤマメ、アユ、ホタテ、アワビ、サザエ、アサリ、イカ、タコ、またはナマコでなる動物性魚介類、(v)いま述べた動物性魚介類の卵または臓物、(vi)牛肉、豚肉、羊肉、または鶏肉でなる食肉類、または(vii)牛、豚、羊または鶏でなる食肉用動物類の卵または臓物でなる生鮮漬け物素材を用意する工程と、
(ロ)上記生鮮漬け物素材に対し、天日干しによる乾燥処理、または40℃~50℃に温度制御された乾燥室を利用した乾燥処理を施すことによって、上記生鮮漬け物素材から、水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程と、
(ハ)米酢、麦酢などでなる食酢液に対し、白糖、氷糖、三温糖、黒糖などの食糖、ステビア、アスパルテーム、スクラロースなどの高甘味料でなる甘味料を上記食酢液の15重量%以下の食糖相当量で加えまたは加えることなしに、加熱処理を施し、次で、食酢液が煮沸状態になった時点の後間を置かない時点から、1.5℃/10分~2.5℃/10分の温度勾配での自然徐冷処理を施すことによって、上記食酢液から、酸度4~8%の漬け込み用液を用意する工程と、
(ニ)上記乾燥漬け物素材に対し、食塩類を用いない、上記漬け込み用液による暗所における3週間以上の常温・密閉漬け込み処理を施すことによって、上記乾燥漬け物素材から、上記生鮮漬け物素材による漬け物を得る工程とを有する。
ここで、上述した水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程での「水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材」における20~30%の値は、[課題を解決するための手段]の項で述べたように、水分含有量20~30%の乾燥漬け物素材を得る工程によって得た乾燥漬け物素材について、その重量を値W1であると測定し、次でその乾燥漬け物素材に対し、任意の乾燥処理を十分施し、すなわち、その任意の乾燥処理をその乾燥漬け物素材の重量が変化しなくなるまで施し、そして、そのときの乾燥漬け物素材の重量を値W2であると測定し、そして((W1-W2)/W1)×100(%)の式を用いて求めた計算値が20~30%の値であるときのその値に相当する値であることを意味する。
【実施例1】
【0013】
次に、本発明による漬け物の製法の第1の実施例を述べよう。
本発明による漬け物の製法の第1の実施例においては、まず、多数本の白首大根(品種名「干し理想」)を生鮮漬け物素材として用意した。
この生鮮漬け物素材としての白首大根は、農家から泥つきのまま購入した白首大根を、直ちに、亀の子たわしを用いた水道水による水洗で泥を落とし、次で、ひげ根や傷の部分を取り除き、次で、葉を切り落とし、最後に、表面に付着している水分を清浄な布巾で拭き取る、ということによって得られたものである。
【0014】
また、食酢液から、酸度4~8%の漬け込み用液を用意した。
この漬け込み用液は、米酢を食酢液とし、その食酢液としての米酢を調理用鍋に入れ、次で、その調理用鍋に入れられた食酢液としての米酢に対し、甘味料としての三温糖を食酢液としての米酢の15重量%以下、例えば12重量%の食糖相当量で加え、次で、調理用鍋をそれに蓋をしてガスレンジにかけるということで、食酢液としての米酢に対し、加熱処理を施し、次で、食酢液としての米酢が沸騰状態になった時点の後間をおかない時点から、調理用鍋をレンジから下ろし、その調理用鍋を蓋をしたまま室温雰囲気中に放置するということで、食酢液としての米酢に対し1.5℃/分~2.5℃/分の温度勾配での自然徐冷処理を施す、ということによって得たものである。
【0015】
次に、上述したようにして用意された生鮮漬け物素材としての白首大根から、水分含有量20~30%の乾燥白首大根を乾燥漬け物素材として得た。
この乾燥漬け物素材としての乾燥白首大根は、用意された生鮮漬け物素材としての白首大根を、竹製の干しざるに入れ、その状態での屋外での天日干しを、乾燥白首大根の水分含有量が20~30%になるまで複数日に亘って継続的に行うことで、白首大根に対し、乾燥処理を施す、ということによって得たものである。
ここで、生鮮漬け物素材としての白首大根の屋外での天日干しは、実際上、生鮮漬け物素材としての白首大根を入れた干しざるを屋外の日当たりの良い場所に置かれたすのこ板テーブル上に置き、毎日午後1~2時頃に、生鮮漬け物素材としての白首大根の天地返しを行い、雨天時及び夜間には生鮮漬け物素材としての白首大根を入れた干しざるを屋内に取り込む、という作業の繰り返しを複数日に亘って行うというものとした。
なお、乾燥白首大根の水分含有量が20~30%になったか否かは、乾燥白首大根に乾燥処理を施している途上で多数本の白首大根中から取出した平均的な1本の白首大根について、[発明を実施するための最良の形態]で式を用いて計算値を求める旨述べた、その計算値を求めるのと同様に求めた計算値が20~30%になっているか否かによって判知し得る。
【0016】
次に、上述したようにして得た乾燥漬け物素材としての乾燥白首大根から、生鮮漬け物素材としての白首大根による漬け物を得た。
この白首大根による漬け物は、上述したようにして得た乾燥漬け物素材としての乾燥白首大根を、予め熱湯消毒のなされたガラス製円筒形状を有するスクリュー蓋付きの漬け物製造用容器内に収容し、次で、その漬け物製造用容器内に、上述したようにして用意された漬け込み用液を、満杯になるまで収容し、次で、漬け物製造用容器を、スクリュー蓋で密閉して、室内倉庫に、3週間以上静置することで、常温・密閉漬け込み処理を施す、ということによって得たものである。
【0017】
以上が本発明による漬け物の製法の第1の実施例である。
このような本発明による漬け物の製法の第1の実施例によれば、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合に準じて、
(イ)生鮮漬け物素材による漬け物を、生鮮漬け物素材からそれに対する乾燥処理によって得られた乾燥漬け物素材から得るようにしているとともに、
(ロ)乾燥漬け物素材に対する常温・密閉漬け込み処理に用いている漬け込み用液を、
食酢液から得られた漬け込み用液としていること、
を主たる理由とする理由で、
(ハ)生鮮漬け物素材としての白首大根による漬け物を、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合に準じて、食塩が使われていず、また栄養素が損なわれていず、さらに外形及び色が乾燥漬け物素材からさほど変化していず、また黴や腐敗が生じ難く、さらに程よい硬さのままさわやかな酸味と甘味とがあるものとして得ることができる、
という効果が得られる。
【0018】
しかしながら、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合、
(ニ)上記(イ)の理由のため、生鮮漬け物素材に対し乾燥処理を施すための乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営を要するとしても、その乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営を、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合のように生鮮漬け物素材に対し5℃~6℃の低温で約12時間という低温乾燥処理を施すための低温乾燥処理用手段乃至装置及び管理運営にするという必要はなく、天日干しという常套的な乾燥処理手段乃至装置及び管理運営にすれば足り、また、
(ホ)上記(ロ)の理由のため、漬け込み用液が食酢液から得られた漬け込み用液であるとしても、その漬け込み用液は、特開平11-46679号公報及び特開平10-323154号公報に開示されている漬け物の製法の場合のように食酢液からそれに対し甘味料を食酢液の約37.5重量%の食糖相当量で加えることによって得られたものというものではなく、食酢液からそれに対し甘味料を加えるとしても食酢液の15重量%以下の食糖相当量でしか加えないことによって得られたものであるに過ぎないため、漬け物素材による漬け物を、食感の品質が高く且つ糖濃度が十分低い、という優れた漬け物として得ることができ、さらに、
(ヘ)上記(イ)の理由を有し、そして、そこでの乾燥漬け物素材の水分含有量が20~30%と特定されていること、及び上記(ロ)の理由を有し、そして、そこでの漬け込み用液が食酢液からそれに対する加熱処理を施し、次で食酢液が煮沸状態になった時点の後間を置かない時点からの自然徐冷処理が施されて得られていることのため、上記(ハ)の効果を、再現性良く得ることができる。
【実施例2】
【0019】
次に、本発明による漬け物の製法の第2の実施例を述べよう。
本発明による漬け物の製法の第2の実施例においては、本発明による漬け物の製法の第1の実施例において、漬け込み用液を得るにつき、食酢液としての米酢に対し甘味料としての三温糖を食酢液としての米酢の12重量%の食糖相当量で加えて加熱処理を施すようにしたのに代え、食酢液としての米酢に対し甘味料としての三温糖を食酢液としての米酢の12重量%の食糖相当量で加えることなしに加熱処理を施すようにしたことを除いて、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合と同様の工程をとって、生鮮漬け物素材としての白首大根による漬け物を得た。
【0020】
以上が本発明による漬け物の製法の第2の実施例である。
このような本発明による漬け物の製法の第2の実施例によれば、それが上述した事項を除いて、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合と同様であることの理由で、詳細説明は省略するが、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合と同様の、ただし、漬け物が甘味を有さず、零の糖濃度を呈する効果が得られた。
【実施例3】
【0021】
次に、本発明による漬け物の製法の第3の実施例を述べよう。
本発明による漬け物の製法の第3の実施例においては、本発明による漬け物の製法の第1の実施例において、乾燥漬け物素材としての乾燥白首大根を得るための乾燥処理を、屋外での天日干しによる乾燥処理としたのに代え、40℃~50℃に温度制御された乾燥室を利用した乾燥処理としたことを除いて、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合と同様の工程をとって、生鮮漬け物素材としての白首大根による漬け物を得た。
【0022】
以上が本発明による漬け物の製法の第3の実施例である。
このような本発明による漬け物の製法の第3の実施例によれば、それが上述した事項を除いて、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合と同様であることの理由で、詳細説明は省略するが、本発明による漬け物の製法の第1の実施例の場合と同様の効果が得られた。
【0023】
なお、上述においては、漬け物素材が白首大根であるとして、本発明による漬け物の製法の3つの具体例を実施例1~3として述べたに留まり、それら実施例1~3のそれぞれにおいて、漬け物素材が、白首大根でなるのに代え、[課題を解決するための手段]の項で述べた漬け物素材の具体例中の白首大根以外の漬け物素材の具体例でなるものとすることを除いて、実施例1~3のそれぞれと同様とし、実施例1~3で述べたと同様の効果を得ることができることは明らかであろう。
【0024】
また、上述においては、漬け込み用液を、食酢液としての米酢に対し、甘味料としての三温糖を食酢液としての米酢の15重量%以下の食糖相当量で加えて加熱処理を施して得た場合を述べたが、この場合の食酢液としての米酢を麦酢などに代えたり、また甘味料としての三温糖を白糖、氷糖、黒糖などの他の食糖、ステビア、アスパルテーム、スクラロースなどの高甘味度甘味料に代えたりして、上述したと同様の効果を得ることができることも明らかであろう。
【0025】
さらに、上述においては、漬け込み用液を、食酢液に対し、甘味料を食酢液の15重量%以下の食糖相当量で加えまたは加えることなしに加熱処理を施して得たものとした場合につき述べたが、食酢液に対し、乾燥または半乾燥状態のコンブ、シイタケ、ホタテ、イワシ、サバ、トビウオ、唐辛子、各種ハーブなどの調味材を加えるとともに、甘味料を食酢液の15重量%以下の食糖相当量で加えまたは加えることなしに加熱処理を施し、上述したと同様の、ただし、漬け物が、いま加えた調味材に応じた味を呈する、効果を得ることができることも明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明による漬け物の製法は、生鮮漬け物素材による食塩の使われていない漬け物を製造する方法として、広く利用できる。