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明細書 :花き植物の作出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4314241号 (P4314241)
登録日 平成21年5月22日(2009.5.22)
発行日 平成21年8月12日(2009.8.12)
発明の名称または考案の名称 花き植物の作出方法
国際特許分類 A01H   1/02        (2006.01)
FI A01H 1/02 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 35
出願番号 特願2005-506301 (P2005-506301)
出願日 平成16年1月16日(2004.1.16)
国際出願番号 PCT/JP2004/000297
国際公開番号 WO2004/103065
国際公開日 平成16年12月2日(2004.12.2)
優先権出願番号 2003144406
優先日 平成15年5月22日(2003.5.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年11月17日(2005.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000089
【氏名又は名称】株式会社 鹿児島TLO
発明者または考案者 【氏名】橋本 文雄
【氏名】坂田 祐介
個別代理人の代理人 【識別番号】100105946、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 富彦
審査官 【審査官】長井 啓子
参考文献・文献 園芸学雑誌別冊,vol.71(2), p.197 (2002)
Hort Science, vol.36(3), p.580, Poster79 (2001)
調査した分野 A01H 1/02
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
交配対象となる花き植物の主要アントシアニン色素表現型PgnCynDpn、CynDpn、Dpn、PgnCyn、Cyn、Pgnまたはnone型と、色素遺伝型を決定し、
決定した色素表現型と決定した色素遺伝型に基づいて作出したい花色を予測し、
予測した花色に基づいて交配する花き植物の花粉親と種子親とを選択し、そして、
選択した花粉親と種子親を交配することによって前記予測した花色と合致した花色を有する花き植物を作出する工程からなり、
前記色素遺伝型としてH(式中、Hは、H、H、H、HまたはHで示される5種類の対立遺伝子である)とPg/pg・Cy/cy・Dp/dpの両方を用いること、
特徴とする花き植物の作出方法
【請求項2】
下記に示す色素表現型と色素遺伝型との対応表:
【表1】
JP0004314241B2_000021t.gif
に基づいて、作出する花き植物の花色を予測することを特徴とする請求項1に記載の花き植物の作出方法
【請求項3】
色素遺伝型に加えて、さらに交配対象となる花き植物の遺伝子型D/d・E/e(式中、D/dは八重の花冠形質、E/eは覆輪の花冠形質を示す。)に基づいて作出したい花き植物の花形を予測することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の花き植物の作出方法
【請求項4】
遺伝型が経路式(I)
【化1】
JP0004314241B2_000022t.gif
(式中、H、H、H、H、HDp/dp、Pgn、Cyn、Dpnは、上記と同じ意義を有する)のフラボノイド生合成に関与し、遺伝することを特徴とする請求項第1項から請求項3のいずれか1項記載の花き植物の作出方法
【請求項5】
花色を作出する花色遺伝型交配の組み合わせを決定する早見表であって、花粉親の配偶子を行とし、種子親の配偶子を列とする複対立遺伝子の組み合わせ早見表に基づいて交配対象となる花き植物の色素遺伝型を決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の花き植物の作出方法
【請求項6】
花色遺伝型交配の組み合わせから花きの花色を決定するものであって、花粉親の配偶子を行とし複対立遺伝子の組み合わせから花色を知ることのできる早見表を用いて作出したい花き植物の花色を予測することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の花き植物の作出方法
【請求項7】
前記花色の予測および作出した花色を色相角、明度および/または彩度として数値化することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の花き植物の作出方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、花色遺伝型を適用した花きの新花色育種法に関する。より詳しくは、開花植物、すなわち、被子植物(angiosperms)の花と、遺伝子形を改変するための処理である交配の方法とからなる新規植物またはそれらを得るための処理に関するものである。また、生殖交雑(sexualhybridization)の段階を含む育種(breeding)によって得られた植物やその一部を用いる方法である。また、新規植物(new plants)またはそれらを得るための方法であって、被子植物(angiosperms)などの花き類(floweringplants)、特に花(flowers)に関する。
【背景技術】
【0002】
アントシアニン類(anthocyanins)はフラボノイド化合物(flavonoids)の一種であり、植物の花、果実、葉などに広く存在し、赤、紫、青などの呈色に関係する色素配糖体(pigmentglycosides)である。アントシアニン類(anthocyanins)を塩酸で加水分解(hydrolysis)すると、糖部(sugars)とアグリコン部(aglycone)であるアントシアニジン(anthocyanidin)に分解される(非特許文献1、村上孝夫:天然物の構造と化学、廣川書店、1984年9月:170-172)。
フラボノール配糖体(flavonol glycosides)類はフラボノイド化合物(flavonoids)の一種であり、植物の花、果実、葉葉などに広く存在し、黄色に呈色する色素配糖体(pigmentglycosides)である。フラボノール配糖体類(flavonol glycosides)を塩酸で加水分解(hydrolysis)すると、糖部(sugars)とアグリコン部(aglycone)であるフラボノール(flavonol)に分解される(非特許文献2、村上孝夫:天然物の構造と化学、廣川書店、1984年9月:155-185)。
アントシアニジン(anthocyanidin)類は、植物の花において、フラバノン(flavanone)であるナリンゲニン(naringenin)を出発物質として生合成される。即ち、まずフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(flavonoid3’-hydroxylase,F3’、5’HまたはF3’H)の作用によりフラバノン骨格(flavanone skeleton)のB環(B-ring)に水酸基(hydroxylgroup)が更に1個結合したエリオディクティオール(eriodictyol)、更に2個結合したペンタハイドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)へ酵素変換されることが知られている。また、出発物質であるナリンゲニン(naringenin)が、フラボノイド3-ヒドロキシラーゼ(flavonoid3-hydroxylase,F3H)の作用を受けジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)へ酵素変換され、これが基質となって、更にフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)の作用を受け、B環に水酸基が更に1個結合したジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)、更に2個結合したジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)へ酵素変換されることが知られている。この3種のジヒドロフラボノール(dihydrokaempferol、dihydroquercetin、dihydromyricetin)がジヒドロフラボノールリダクターゼ(dihydroflavonolreductase,DFR)およびアントシアニジンシンターゼ(anthocyanidin synthase,AS)の作用を受けて、それぞれペラルゴニジン(pelargonidin,Pgn)、シアニジン(cyanidin,Cyn)、デルフィニジン(delphinidin,Dpn)へ酵素変換されることが知られている(非特許文献2)。
【0003】
アントシアニジン(anthocyanidin)類は、B環の水酸基が異なることでその呈色が決定される。例えば、一般に花色素(flowerpigment)で化学構造(chemical structure)中、B環の4’位(4’position)に水酸基が一個有るものはペラルゴニジン(Pgn)でオレンジ色~朱赤色を呈し、B環の3’、4’位に水酸基が二個有るものはシアニジン(Cyn)で赤色~深紅色を呈し、B環の3’、4’、5’位に水酸基が三個有るものはデルフィニジン(Dpn)で赤紫色~紫色を呈し、これらが共存することによって様々な花色を発現する(非特許文献3、本多利雄他:現代化学、1998年5月:25-32)。
【0004】
これらの他、種々のアシル基(acylated groups)の結合したアントシアニン類(anthocyanin)も多数報告され、これらが分子間で互いにスタッキングして花色が変調する現象(分子間自己会合作用、intermolecularstacking)、他の黄色フラボノイド配糖体(flavonoid glycosides)類とサンドイッチ状にスタッキングして花色が変調(青色化、blueing)する現象(分子間コピグメント作用、intermolecular
copigmentation)、金属原子と結合することによって花色が変調(青色化、blueing)する現象(金属錯体イオン形成作用、metal-complexation)、分子中のアシル基(acylatedgroup)等が分子内でスタッキングして花色が変調(青色化、blueing)する現象(分子内コピグメント作用、intramolecular copigmentation)、並びに細胞液胞内pHが変化する現象などで花色が決定されることが認められている(非特許文献4、Goto、T.etal.:Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、30:17-33、1991)。
【0005】
植物の花色遺伝は、花色自体(赤、青、黄、紫など)を遺伝子型(genotype)として捉えたものが多く報告されている(非特許文献5、安田齊:花色の生理・生化学、内田老鶴圃、1993年3月:P.219-272)。近年、フラボノイド色素(flavonoidpigments)に関する花色遺伝型の解析が試みられているが、これらはビール(Beale、1945)の唱えた1遺伝子-1酵素説(one gene-one enzymetheory)に基づくものである。その例として、ゼラニウム(Pelargoniumx hortorum)花弁のアントシアニジン生合成(anthocyanidinbiosynthesis)における、ジヒドロフラボノールリダクターゼ(DFR)およびアントシアニジンシンターゼ(AS)の酵素系をそれぞれE/eおよびE/eと表記し、遺伝子型(genotype)を想定した方法がある(非特許文献6、小林加奈:育種学雑誌、48:169-176、1998)。また、ツツジでは、花弁中のフラボノイド生合成前駆体レベルでの各酵素系を遺伝子型として想定した方法があるが、ツツジ以外の花きには適用できなかったなどの問題点がある(非特許文献7、Heursel、J.とHorn、W.:Z.Pflanzenzuditg、79:2382 49、1977)。
【0006】
また、ペチュニア(Petunia)の花では、HtとHtの2遺伝子(gene)がフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)を、HfとHfの2遺伝子がフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)を制御すると報告されている(非特許文献8、Holton、T.A.etal.:The Plant Cell、7:1071-1083、1995)。
【0007】
更に、ペチュニアの花では、フラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)とフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)のB環の水酸化が二遺伝子支配を受けているとの記載がある(非特許文献9、Holton、T.A.etal.:Nature、366:27 62 79、1993)。本発明による花色遺伝型交配法では、一遺伝子の支配下にある五つの複対立遺伝子(multiple allele)で花色が制御されていることが特徴で、花きの花色素遺伝は、二遺伝子支配としては同定できなかった。
【0008】
更にまた、ペチュニアの花では、遺伝子レベルでそれぞれの2遺伝子座が(Ht、HtはフラボノイドB環の3’位の水酸化に関与し、Hf、HfはフラボノイドB環の5’位の水酸化に)関与する事実を明らかにしたものの、色素遺伝子型(pigment
genotype)として後代にどの様な花色が遺伝するのか、必ずしも色素遺伝子型(pigment genotype)と花色の遺伝に相関性が認められなかったなどの問題点がある(非特許文献10、Griesbach、R.J.:J.Heredit.、87:241-245、1996)。
【0009】
花色は、光が花弁表面にあたり、花弁表皮細胞内に存在する色素類(pigments)に吸収されなかった光が反射されることにより、人間の目に感知される。しかし、光、または色彩(chroma)に対する感受性に個人差があるために、花色を明確に表現する手法が必要であるとされてきた(非特許文献11、Voss、D.H.:HortSci.、27:1256-1260、1992)。
【0010】
花色(flower color)は、色彩計、または、色差計(colorimeter)によるCIELab表色系(CIELabcolor coordinate system)を用いた測定方法が主流となってきた。これは、色の三属性(color attribute)、すなわち、色相(hue)、明度(lightness)、彩度(chromaまたはbrightness)を三次元の立体空間座標系(threedimentional global color chart)、つまり、色立体として考えたもので、本空間中の色差(hue difference)は、肉眼で感知した色の差を正確に反映する(非特許文献12、Gonnet、J.F.:FoodChem.、63:409-415、1998)。したがって、花色を測定、つまり測色して、花弁などの表皮細胞中の内生色素との関係を求める場合には、花色との関係をより正確に求めることができるなどの報告がある(非特許文献13、Hashimoto、F.etal.:J.Jpn.Soc.Hort.Sci.、69:428-434、2000;非特許文献14、Hashimoto、F.et al.:Biosci.Biotechnol.Biochem.、66:1652-1659、2002)。
【0011】
その他、特開平5-184370号(以下、特許文献1という)に、フラボノイド水酸化酵素遺伝子(特許文献1の第0001~0002段落)の記載がある。「フラボノイド3’、5’-水酸化酵素活性を持つタンパク質をコードしているDNA鎖またはこのDNA鎖の任意の断片が提供される。このDNA鎖を目的植物に導入することにより、新しい色彩を有した品種を作出することができる。また本発明は、上記のDNA鎖またはこのDNA鎖の任意の断片を含有している組換えベクターにも関する」という記載がある(特許文献1の第0004段落)。
【0012】
特開平10-113184号(以下、特許文献2という)には、フラボノイド配糖化酵素遺伝子(特許文献2の第0001~0008段落)の記載がある。「リンドウの花弁よりUDP-グルコース:フラボノイド3,5-O-グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を単離し、その配列決定をすることに成功し」、「ゲンチオデルフィン生合成遺伝子のうち、3位,5位の2位を配糖化しうる糖転移酵素遺伝子を提供することにある。」という記載がある(特許文献2の第0005段落)。
【0013】
特開平11-509733号(以下、特許文献3という)には、植物における遺伝子発現調節のための組成物及び方法に関する特許請求の範囲1~15の記載がある。
【0014】
第26回国際園芸学会議(トロント、カナダ)の講演要旨には、トルコギキョウ花弁中の3種の主要アントシアニジンの遺伝の記載がある(非特許文献15、Uddin、A.F.M.J.etal.:the XXVIth International Horticultural Congress and Exhibition、August 1 11 7:4754 76、2002)。この内容を、特願2003026598号(以下、特許文献4という)として出願し、トルコギキョウの花色遺伝型交配法(特許文献4の第0001~0019段落)と記載した。「トルコギキョウの主要花色素である、3つのアントシアニジン(anthocyanidin):ペラルゴニジン(pelargonidin、Pgn)、シアニジン(cyanidin、Cyn)、デルフィニジン(delphinidin、Dpn)の遺伝に着目し、自殖(self-pollination)や正逆交雑を行い検討した結果、F~F世代(progenies)の色素表現型(pigmentphenotype)の分離から、新しい遺伝の法則を見出した。」、「色素前駆体のB環の水酸化に関与するフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)とフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)の酵素反応系には、H、H、H、Hの4つの複対立遺伝子(multipleallele)が存在し、これらが3’位の水酸化、5’位の水酸化、3’、5’位の水酸化、および3’位と3’、5’位の水酸化を制御し、」という記載がある。
【0015】
US6080920号(以下、特許文献5という)には、花色変異(altered flower color)を起こさせた植物とその作出方法の記載がある。「本発明は、遺伝子改変植物(transgenicplants)を作出する新しい方法であって、花色変異(altered flower color)を起こさせるものである。より詳しくは、遺伝子改変カーネーション(transgeniccarnation plants)を作出する方法であって、自然のカーネーションにはない花色を表現できる方法である。」という記載がある。
【0016】
DE19918365号(以下、特許文献6という)には、フラボン生合成酵素II(flavone synthaseII、FNSII)をコードする核酸(nucleic acid)を用いて花色変異(altered flower color)させた遺伝子改変植物(transgenicplants)の作出方法の記載がある。「フラボン生合成酵素II(flavone synthase II、FNSII)をコードする核酸(nucleic acid)であって、(i)1697塩基配列(basepair (bp) sequence)(1)であるもの、あるいは、その断片(fragments)、(ii)配列(sequence)が(1)へ混成(hybridize)するもの、または、あるいは、それと少なくとも40%の相同性(homology)を有するもので、かつ、FNSII活性を有するタンパク(protein)或いはポリペプチド(polypeptide)をコードし、または(iii)(i)あるいは(ii)と遺伝的に同等(geneticequivalent)である核酸。」、「(5)(I)または(Ia)を含む遺伝子改変植物(transgenic plants)であって、さらに、花色変異(alteredflower color)を起こした遺伝子改変植物(transgenic plants)の作出方法に関する。」という記載がある)。
【0017】
このように、複対立遺伝子(multiple allele)については、その全容がまだ解明される必要があった。また、四つの複対立遺伝子(multipleallele)の存在を明らかにできたものの、遺伝される花色(flower color)との関係についての記載はなく、複対立遺伝子(multiple allele)の存在をすべて明らかにすると共に、花色(flowercolor)との関係をも明らかにする必要があった。
【0018】
しかしながら、花色自体の遺伝子型育種法では後代花色の分離に曖昧なところが多く、実用化することに沢山の問題点を残した。また、非特許文献6に記載のある、E/eおよびE/eで表されたゼラニウム(Pelargoniumxhortorum)花色素の遺伝についても、後代の分離比に疑問点が有り、実用化には至らなかった。特許文献においては、遺伝子組み替え、照射などによる突然変異を起こさせなければ、新花色を作出することができないという問題がある。
【0019】
さらに、遺伝した個体がどの様な花色を有するか予測することが困難であって、その花色も肉眼による曖昧な色であり、問題がある。また、トルコギキョウではできたもののすべての花きに適用できるかどうか、CIELab表色系(CIELabcolor coordinate system)などを用いて花色(flower color)を正確に測色・数値化し、遺伝させることが十分ではなかったという問題点もある。
【0020】
本発明は、花色素生合成の遺伝を明らかにし、花きの花色をCIELab表色系(CIELab color coordinatesystem)などを用いて花色(flower color)を正確に測色・数値化した上で、その色素遺伝子型(pigment genotype)と花色遺伝の関係を明らかにし、花きの新花色作出について実用的花色遺伝型交配法を提供するものである。
【0021】
なお、全ての非特許文献及び非特許文献(すなわち、非特許文献1~15及び特許文献1~6)は、参考文献として本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【0022】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、フラボノイド生合成のB環の水酸化に関するフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)やフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)、などの遺伝に着目し、その遺伝の分離を調べた結果、ペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、デルフィニジン(Dpn)の生合成に関与するジヒドロフラボノールリダクターゼ(DFR)およびアントシアニジンシンターゼ(AS)の酵素系の遺伝が、それぞれPg/pg、Cy/cy、Dp/dpの遺伝子(gene)によって制御されていることと併せて、フラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)やフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)の遺伝が五つの複対立遺伝子(multipleallele)によって制御されているという新しい法則を見出し、結果として、遺伝子組み替え、放射線等照射などによる突然変異を起こさせる方法を用いなくても、花きの色素遺伝子型(pigmentgenotype)からその花色を自由に創成できる。
【0023】
すなわち、本発明は、花きの主要花色素である、3つのアントシアニジン(anthocyanidins):ペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、デルフィニジン(Dpn)の遺伝に着目し、自殖や正逆交雑を行い検討した結果、F~F世代の色素表現型の分離から、遺伝の新しい法則を見出した。また、PgnとDpn色素型(pigmentphenotype)について、PgnとDpn色素は共存しないで、両者はそれぞれ単独型として認められるか、または、Cyn色素を伴うことで遺伝することを見出した。後代実生(progenies)の分離とカイ二乗検定の結果、Pgn、Cyn、およびDpn色素の遺伝にはフラボノイド生合成におけるアントシアニジン生合成レベルで、Pg/pg、Cy/cy、Dp/dpとして示される遺伝子座(geneloci)が、それぞれに存在することを見出した。
【0024】
さらに、色素前駆体のB環の水酸化に関与するフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)とフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)の酵素反応系には、H、H、H、H、Hの5つの複対立遺伝子(multipleallele)が存在し、これらが3’位の水酸化、5’位の水酸化、3’、5’位の水酸化、3’、5’位の水酸化、および3’位と3’、5’位の水酸化を制御し、これらの組合せによって色素表現型と花色表現型が決定されることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
これらの知見に基づく本発明の花き植物の作出方法は、交配対象となる花き植物の主要アントシアニン色素表現型PgnCynDpn、CynDpn、Dpn、PgnCyn、Cyn、Pgnまたはnone型と、色素遺伝型を決定し、決定した色素表現型と決定した色素遺伝型に基づいて作出したい花色を予測し、予測した花色に基づいて交配する花き植物の花粉親と種子親とを選択し、そして、選択した花粉親と種子親を交配することによって前記予測した花色と合致した花色を有する花き植物を作出する工程からなり、前記色素遺伝型としてH(式中、Hは、H、H、H、HまたはHで示される5種類の対立遺伝子である)とPg/pg・Cy/cy・Dp/dpの両方を用いること、を特徴とする。
【0026】
すなわち、本発明の花き植物の作出方法は、花きの花色、植物の果色、葉の色がフラボノイド生合成過程で遺伝するものに適用することができる。即ち、花きの花色発現に関わる主要アントシアニジン色素のペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、デルフィニジン(Dpn)の遺伝並びに花形に関わる八重型、覆輪型の遺伝であって、遺伝子型D/d・E/e・H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpを用い、新花色を作出する花色遺伝型交配法である。花きの花色発現に関わる主要アントシアニジン色素のペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、デルフィニジン(Dpn)の遺伝について、Pgn、Cyn、Dpn色素の遺伝子座をそれぞれPg/pg、Cy/cy、Dp/dpとして示し、フラボノイド色素前駆体のB環の水酸化に関与するフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)とフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)の酵素反応系の遺伝子型を、H、H、H、H、Hの5つの複対立遺伝子で示し、Pg/pgの記号の内二つを選択し(PgPg、Pgpg、pgpgの組合せ記号の内一つを選択し)、Cy/cyの記号の内二つを選択し(Cycy、Cycy、cycyの組合せ記号の内一つを選択し)、Dp/dpの記号の内二つを選択し(DpDp、Dpdp、dpdpの組合せ記号の内一つを選択し)、また、H、H、H、H、Hの記号の内二つを選択し(H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、Hの組合せ記号の内一つを選択し)、すなわち、遺伝子型(genotype)D/d・E/e・H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpである方法を用いた新花色を創成する花き植物の作出方法である。
【0027】
また、本発明の花き植物の作出方法は、色素表現型と色素遺伝型に基づく対応表に基づいて、作出する花き植物の花色を予測することも可能である。
【0028】
本発明の花き植物の作出方法は、花色遺伝型が経路式(I):
【0029】
【化1】
JP0004314241B2_000002t.gif【0030】
(ここで、H、H、H、H、Hは、フラボノイド生合成の前駆物質でのB環の水酸化に関する複対立遺伝子を表す。H、H、H、H、Hの5つの複対立遺伝子は、フラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)とフラボノイド3’、5’-ヒドロキシラーゼ(F3’、5’H)の、それぞれ3’位の水酸化、5’位の水酸化、3’、5’位の水酸化、3’、5’位の水酸化、および3’位と3’、5’位の水酸化を制御する。この5つの複対立遺伝子の表記方法は、例えば、T、F、D、Z、Oなど他の表記法でもよい。Pg/pg、Cy/cyおよびDp/dpは、Pgn、Cyn、Dpnの生合成に関与するジヒドロフラボノールリダクターゼ(DFR)、あるいはアントシアニジンシンターゼ(AS)の発現に対立する遺伝子座(geneloci)がそれぞれに存在することを示し、D/dは八重の花冠形質、E/eは覆輪の花冠形質を示す。)のフラボノイド生合成に関与し、遺伝するものも含まれる。
【0031】
本発明の花き植物の作出方法は、花きの花色が母性遺伝する前記の方法である。より詳しくは、本発明の花色遺伝型交配法は、花きの花色が母性遺伝し、花きの花色発現に関わる主要アントシアニジン色素のペラルゴニジン(Pgn)、シアニジン(Cyn)、デルフィニジン(Dpn)の遺伝並びに花形に関わる八重型、覆輪型の遺伝であって、遺伝子型(genotype)D/d・E/e・H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpを用い、新花色を作出する花き植物の作出方法である。
【0032】
本発明の花き植物の作出方法において、早見表に基づいて交配種を決定することが好ましい。本発明の早見表は、花色を作出する花色遺伝型交配の組み合わせを決定するものであって、花粉親の配偶子を行とし、種子親の配偶子を列とする、上記に記載の複対立遺伝子(multipleallele)の組み合わせを表示するものである。
【0033】
また、本発明で使用できる早見表は、複対立遺伝子(multiple allele)の組合せに対応する色素表現型(pigmentphenotype)をも表示するものである。
【0034】
また、本発明の早見表は、花色遺伝型交配の組み合わせから花きの花色を決定するものであって、花粉親の配偶子を行とし、種子親の配偶子を列とする、上記に記載の複対立遺伝子(multiple
allele)の組み合わせから花色(flower color)を表示するものである。
【0035】
本発明の花きとは、フラボノイド(flavonoids)を含む花、果実、種子、葉、すなわち、フラボノイド(flavonoids)を含む花弁、萼片、苞、花被、果皮、種皮、葉柄などを有する顕花植物門(Anthophyta)の被子植物門(Angiospermae)であり、被子植物門として双子葉植物綱(Dicotyledoneae)、単子葉植物綱(Monocotyledoneae)に関する。
【0036】
双子葉植物綱の合弁花亜網(Sympetalae)の花きとして、限定されるものではないが、例えば、キキョウ目(Campanulatae)(キク科(Compositae)、スティリディウム科(Stylidiaceae)、クサトベラ科(Goodeniaceae)、キキョウ科(Campanulacae))、ウリ目(Cucurbitales)(ウリ科(Cucurbitaceae))、アカネ目(Rubiales)(マツムシソウ科(Dipsacaceae)、オミナエシ科(Valerianaceae)、スイカズラ科(Caprifoliaceae)、アカネ科(Rubiaceae))、シソ目(Tubiflorae)(キツネノマゴ科(Acanthaceae)、タヌキモ科(Lentibulariaceae)、イワタバコ科(Gesneriaceae)、ツノゴマ科(Martyniaceae)、ゴマ科(Pedaliaceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)、ナス科(Solanaceae)、シソ科(Labiatae)、クマツヅラ科(Verbenaceae)、ムラサキ科(Boraginaceae)、ハゼリソウ科(Hydrophyllaceae)、ハナシノブ科(Polemoniaceae)、ヒルガオ科(Convolvulaceae))、モクセイ目(Contortae)(ガガイモ科(Asclepiadaceae)、キョウチクトウ科(Apocynaceae)、リンドウ科(Gentianaceae)、フジウツギ科(Loganiaceae)、モクセイ科(Oleaceae))、イソマツ目(Plumbaginales)(イソマツ科(Plumbaginaceae))、サクラソウ目(Primulales)(サクラソウ科(Primulaceae)、ヤブコウジ科(Myrsinaceae))、ツツジ目(Ericales)(ツツジ科(Ericaceae)、イチヤクソウ科(Pyrolaceae))、イワウメ目(Diapensiales)(イワウメ科(Diapensiaceae))が挙げられる。
【0037】
双子葉植物綱の離弁花亜網(Archichlamydeae)の花きとして、例えば、限定されるものではないが、テンニンカ目(Myrtiflorae)(アカバナ科(Onagraceae)、ノボタン科(Melastomataceae)、フトモモ科(Myrtacear)、シクンシ科(Combretaceae)、ザクロ科(Punicaceae)、ミソハギ科(Lythraceae)、グミ科(Elaegnaceae)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae))、ツバキ目(Parietales)(シュウカイドウ科(Begoniaceae)、トケイソウ科(Passifloraceae)、ハンニチバナ科(Cistaceae)、スミレ科(Violaceae)、ツバキ科(Camelliaceae))、アオイ目(Malvales)(アオイ科(Malvacaeae)、ホルトノキ科(Elaeocarpaceae))、クロウメモドキ目(Rhamnales)(ブドウ科(Vitaceae)、クロウメモドキ科(Rhamnaceae))、ムクロジ目(Sapindales)(ツリフネソウ科(Balsaminaceae)、トチノキ科(Hippocastanaceae)、カエデ科(Aceraceae)、ニシキギ科(Celastraceae)、モチノキ科(Aquifoliaceae)、ウルシ科(Anacardiaceae))、フウロソウ目(Geraniales)(トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、ヒメハギ科(Polygalaceae)、ミカン科(Rutaceae)、アマ科(Linaceae)、フウロソウ科(Geraniaceae)、カタバミ科(Oxalidaceae))、バラ目(Rosales)(マメ科(Leguminosae)、バラ科(Rosaceae)、マンサク科(Hamamelidaceae)、トベラ科(Pittosporaceae)、ユキノシタ科(Saxifragaceae)、ベンケイソウ科(Crassulaceae))、サラセニア目(Sarraceniales)(サラセニア科(Sarraceniaceae)、ウツボカズラ科(Nepenthaceae)、モウセンゴケ科(Droseraceae))、ケシ目(Papaverales)(アブラナ科(Brassicaseae)、フウチョウソウ科(Capparidaceae)、ケシ科(Papaveraceae))、キンポウゲ目(Ranunculales)(クスノキ科(Lauraceae)、メギ科(Berberidaceae)、キンポウゲ科(Ranunculaceae)、アケビ科(Lardizabalaceae)、スイレン科(Nymphaeaceae)、バンレイシ科(Annonaceae)、モクレン科(Magnoliaceae))、アカザ目(Centrospermae)(ナデシコ科(Caryophyllaceae)、オシロイバナ科(Nyctaginaceae))、タデ目(Polygonales)(タデ科(Polygonaceae))、イラクサ目(Urticales)(クワ科(Moraceae))、ヤマモモ目(Myricales)(ヤマモモ科(Myricaceae))が挙げられる。
【0038】
単子葉植物網の花きとして、限定されるものではないが、例えば、ラン目(Orchidales)(ラン科(Orchidaceae))、ショウガ目(Scitaminea)(カンナ科(Cannaceae)、ショウガ科(Zingiberaceae)、バショウ科(Musaceae))、ユリ目(Liliiflorae)(アヤメ科(Iridaceae)、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)、ユリ科(Liliaceae))、ツユクサ目(Commelinales)(ミズアオイ科(Pontederiaceae)、ツユクサ科(Commelinaceae)、パイナップル科(Bromeliaceae)、サトイモ目(Arales)(サトイモ科(Araceae))が挙げられる。
【0039】
花色自体の遺伝子型育種法では後代(progenies)花色の分離に曖昧なところが多く、実用化することに沢山の問題点を残した。また、非特許文献6に記載のある、E/eおよびE/eで表されたゼラニウム(Pelargonium
x hortorum)色素の遺伝についても、後代の分離比に疑問点が有り、実用化には至らなかった。特許文献においては、遺伝子組み替え、照射などによる突然変異を起こさせなければ、新花色を作出することができないという問題がある。さらに、遺伝した個体がどの様な花色を有するか予測することが困難であって、その花色も肉眼による曖昧な色であり、問題がある。また、トルコギキョウではできたもののすべての花きに適用できるかどうか、CIELab表色系(CIELabcolor coordinate system)などを用いて花色を正確に測色・数値化し、遺伝させることが十分ではなかったという問題点もある。本発明は、花色素生合成の遺伝を明らかにし、花きの花色をCIELab表色系などを用いて花色を正確に測色・数値化した上で、その色素遺伝子型(pigmentgenotype)と花色(flower color)の関係を明らかにし、花きの新花色作出について実用的花色遺伝型交配法を提供するものである。
【0040】
本発明により、花きの色素遺伝子型(pigment genotype)を明らかにできる。たとえば、遺伝子型(genotype)D/d・E/e・H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpであって、Pgn、Cyn、Dpnの色素表現型(pigmentphenotype)を帰属した花色遺伝型交配法を用い、花きの花色をCIELab表色系を用いて正確に測色・数値化することにより、優れた新花色を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の花色遺伝型交配法とは、該アントシアニジン類(anthocyanidins)に関する遺伝子型育種法であって、かつフラボノイド生合成(biosynthesisof flavonoids)における前駆化合物のB環の水酸化に五つの複対立遺伝子(multiple allele)で表記することのできる花色遺伝型交配法である。
【0042】
本発明において、花きのアントシアニジン生合成の前駆化合物生成について、複対立遺伝子(multipleallele)の組合せが、H、H、HとH-の場合、B環(B-ring)の水酸基(hydroxylgroups)が1~3個有する六種の前駆化合物(ナリンゲニン(naringenin)、エリオディクティオール(eriodictyol)、ペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)、ジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)、ジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)、ジヒドロミリセチン(dihydromyricetin))を生成し、Hの場合、B環の水酸基が1個と2個を有する四種の前駆化合物(ナリンゲニン(naringenin、エリオディクティオール(eriodictyol)、ジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)、ジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin))を生成し、Hの場合、B環の水酸基を1個有する二種の前駆化合物(ナリンゲニン(naringenin)、ジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol))を生成し、HとHの場合、B環の水酸基を3個有する二種の前駆化合物(ペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)、ジヒドロミリセチン(dihydromyricetin))を生成し、H、Hの場合、B環の水酸基が3個有する二種の前駆化合物(ペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)、ジヒドロミリセチン(dihydromyricetin))を生成する。更に、アントシアニジン生合成酵素(anthocyaninsynthase)レベルにあるPg/pgの遺伝子座(gene locus)のため、劣性ホモ型(recessive homozygote)(pgpg)を形成した場合には、前駆化合物として、ナリンゲニン(naringenin)およびジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)を生成してもPgnを生合成しない。Hの場合、B環の水酸基を2~3個有する四種の前駆化合物(エリオディクティオール(eriodictyol)、ペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)、ジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)、ジヒドロミリセチン(dihydromyricetin))を生成する。
【0043】
すなわち、Hの対立遺伝子(allele)は、ナリンゲニン(naringenin)からエリオディクティオール(eriodictyol)並びにジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)からジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)への生化学的変換(biosynthetictransformation)を制御し、Hの対立遺伝子は、エリオディクティオール(eriodictyol)からペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)並びにジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)からジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)への生化学的変換を制御する。従って、Hの対立遺伝子は、エリオディクティオール(eriodictyol)やジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)の前駆化合物が存在しなければ生化学的変換は行われない。一方、Hの対立遺伝子は、ナリンゲニン(naringenin)からペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)並びにジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)からジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)への生化学的変換を制御するが、この対立遺伝子は、基質を完全にペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)またはジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)へ変換することが特徴である。更に、Hの対立遺伝子は、ナリンゲニン(naringenin)からペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)並びにジヒドロケンフェロール(dihydrokaempferol)からジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)への生化学的変換を制御するが、この対立遺伝子は、一旦基質を完全にエリオディクティオール(eriodictyol)および、ジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)へ変換し、更にこれらをペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)および、ジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)へ変換することが特徴である。従って、Hの対立遺伝子と対を組んだ場合、中間体であるエリオディクティオール(eriodictyol)および、ジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)が基質として奪われ、Hの遺伝子型では、結果としてB環の水酸基を2~3個有する四種の前駆化合物(エリオディクティオール(eriodictyol)、ペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)、ジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)、ジヒドロミリセチン(dihydromyricetin))を生成する。
【0044】
従って、H型、H型、H型、H型、H型の場合、Pg/pgが優性型(dominantgenotype)(PgPgまたはPgpg)であっても、Pgnは生成されない。Hの対立遺伝子(allele)は、ナリンゲニン(naringenin)からエリオディクティオール(eriodictyol)とペンタヒドロキシフラバノン(pentahydroxyflavanone)並びにジヒドロケンフェロール(dihydrokaempherol)からジヒドロクエルセチン(dihydroquercetin)とジヒドロミリセチン(dihydromyricetin)への全ての生化学的変換を制御する。
【0045】
本発明において、例えば、トルコギキョウ花弁の色素遺伝子型(pigment genotype)について、HPg-CyCyDpDp、HPg-CyCyDpDp、HPg-CyCyDpDpとH-Pg-CyCyDpDpの遺伝子型(genotype)でPgnCynDpn型(PgnCynDpn-phenotype)を得ることができる。HPg-CyCyDpDpでPgnCyn型(PgnCyn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDp、HpgpgCyCyDpDp、HpgpgCyCyDpDpとH-pgpgCyCyDpDpでCynDpn(CynDpn-phenotype)型を得ることができる。HPg-CyCyDpDpでPg型(Pgn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDpでCyn型(Cyn-phenotype)を得ることができる。H--CyCyDpDp、H--CyCyDpDpとH--CyCyDpDpでDpn型(Dpn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDpで白花を得ることができる。また、Dpn型の色素表現型(pigmentphenotype)にはメチル化アントシアニジン(methylated anthocyanidins)であるマルヴィジン(malvidin,Mv)とペチュニジン(petunidin,Pt)を含む。更に、Cyn型の色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるペオニジン(peonidin,Pn)を含む。ここで「白花」とは、アントシアニジン(anthocyanidin)を全く含まない花のことを指す。なお、本発明では、PgnDpn型は得られない。また、″-″と表記されているのは、その一つ前に表記された遺伝子(geneand/or allele)に優性的に支配されていることを示し、いずれの遺伝子(gene and/or allele)でも用いることができることを意味する。更にまた、″--″と表記されているのは、いずれの遺伝子(geneand/or allele)も用いることができることを意味する。
【0046】
本発明において、例えば、トルコギキョウ花弁の色素表現型(pigment phenotype)について、PgnCynDpn型(PgnCynDpn-phenotype)で、赤紫色、赤色、紫赤色、淡赤色、ピンク色の花を得ることができる。PgnCyn型(PgnCyn-phenotype)で、赤色、深赤色、淡赤色、ピンク色の花を得ることができる。CynDpn型(CynDpn-phenotype)で、淡紫色、紫赤色、紫色、青紫色の花を得ることができる。Pgn型(Pgn-phenotype)で、赤色、淡赤色、ピンク色、白赤色、クリーム色、白色の花を得ることができる。Cyn型(Cyn-phenotype)で、赤色、淡赤色、ピンク色、白赤色の花を得ることができる。Dpn型(Dpn-phenotype)で、紫色を得ることができる。None型(HpgpgCyCyDpDpの遺伝子型、HpgpgCyCyDpDpgenotype)で白花を得ることができる。
【0047】
本発明において、例えば、スイートピー(sweet pea、Lathyrus odoratus)花弁の色素遺伝子型(pigmentgenotype)について、HPg-CyCyDpDpでPgnCyn型(PgnCyn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDp、HpgpgCyCyDpDpとH-pgpgCyCyDpDpでCynDpn型(CynDpn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDpでCyn型(Cyn-phenotype)を得ることができる。H--CyCyDpDpとH--CyCyDpDpでDpn型(Dpn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDpで白花を得ることができる。ここで「白花」とは、アントシアニジンを全く含まない花のことを指す。なお、本発明では、PgnDpn型(PgnDpn-phenotype)は得られない。また、″-″と表記されているのは、その一つ前に表記された遺伝子(geneand/or allele)に優性的に支配されていることを示し、いずれの遺伝子(gene and/or allele)でも用いることができることを意味する。更にまた、″--″と表記されているのは、いずれの遺伝子(geneand/or allele)も用いることができることを意味する。
【0048】
Dpn型(Dpn-phenotype)の色素表現型(pigment phenotype)にはメチル化アントシアニジン(methylatedanthocyanidin)であるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含むが、これらは、いずれもDpn型(Dpn-phenotype)の色素表現型(pigmentphenotype)に包含される。更に、Cyn型(Cyn-phenotype)の色素表現型(pigment phenotype)にはメチル化アントシアニジン(methylatedanthocyanidin)であるペオニジン(peonidin、Pn)を含むが、これはCyn型(Cyn-phenotype)の色素表現型(pigment phenotype)に包含される。
【0049】
本発明において、例えば、ツツジおよびシャクナゲ花弁の色素遺伝子型(pigment genotype)について、HpgpgCyCyDpDpでCyn型(Cyn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDp、HpgpgCyCyDpDp、HpgpgCyCyDpDp、でCynDpn型(CynDpn-phenotype)を得ることができる。HpgpgCyCyDpDpで白花を得ることができる。ここで「白花」とは、アントシアニジンを全く含まない花のことを指す。なお、本発明では、PgnDpn型(PgnDpn-phenotype)は得られない。ツツジ花弁の色素遺伝子型(pigmentgenotype)の特徴として、Pgn色素(Pgn-phenotype)の生合成(biosynthesis)に関与するジヒドロフラボノールリダクターゼ(DFR)、あるいはアントシアニジンシンターゼ(AS)の発現に関する遺伝子座(genelocus)が劣性のホモ型(recessive homozygote)(pgpg)になっているために、Pgn色素(Pgn pigment)が生成されない。
【0050】
Dpn型(Dpn-phenotype)の色素表現型(pigment phenotype)にはメチル化アントシアニジン(methylatedanthocyanidin)であるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含むが、これらは、いずれもDpn型(Dpn-phenotype)の色素表現型(pigmentphenotype)に包含される。更に、Cyn型(Cyn-phenotype)の色素表現型(pigment phenotype)にはメチル化アントシアニジン(methylatedanthocyanidin)であるペオニジン(peonidin、Pn)を含むが、これらはCyn型(Cyn-phenotype)の色素表現型(pigment phenotype)に包含される。
【0051】
本発明の花色遺伝型交配法は、花きの花弁または萼片、花被、苞、果皮などの有色部分から、50%酢酸水溶液(aceticacid solution)、または50%酢酸メタノール(methanolic-acetic acid)を用いてアントシアニン(anthocyanin)を抽出(extract)し(酢酸の濃度(concentration)は10~50%でも可能で、酢酸の代わりに0.5~2規定塩酸(normalhydrochloric acid solution)を用いても良い)、これを塩酸加水分解して、アントシアニジン(anthocyanidin)を含む加水分解物(hydrolysate)を高速液体クロマトグラフィー(HighPerformance Liquid Chromatography、HPLC)などを用いて各種アントシアニジンを分析する。自殖(self-pollination)や交雑を繰り返して得られた後代(progenies)の遺伝子型(genotype)について、優性ホモ型(dominanthomozygote)、優性ヘテロ型(dominant heterozygote)、劣性ホモ型(recessive homozygote)を決定し、各花色をその遺伝子型(pigmentgenotype)より様々な花色を自由自在に作出することのできる交配方法である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0053】
花きの花弁、果皮、葉を採集し、花弁および萼片等については、全色系または覆輪系(八重花を含む)の着色した部分、同色の部分、並びに白色の部分などを切除し、精秤後、試験管(testtube)中にて0.5~2規定塩酸水溶液(0.5~2N HCl)などの酸性溶媒(acidic solution)を加え、アントシアニン色素(anthocyanins)を抽出(extract)した。抽出は、文献記載の方法(Uddin、etal.:J.Jpn.Soc.Hort.Sci.、71:40-47、2002;Wang、et al.:J.Plant Res.、114:213-221、2001;松添直隆、ほか5名:園学雑、68:138-145、1999)を用いた。抽出液を綿栓濾過(cottonfiltration)後、濾液(filtrate)について95~100℃で加熱し加水分解(hydrolysis)を行い、1~6種のアントシアニジンを含む溶液を得た。加水分解は、文献記載の方法(Uddin、etal.:J.Jpn.Soc.Hort.Sci.、71:40-47、2002)を用いた。反応後、溶液(reaction mixture)をメンブランフィルター(membranefilter)で濾過後、濾液(filtrate)についてHPLC装置にて分析した。HPLCの分析条件および分析装置は、文献記載の方法(Uddin、et al.:J.Jpn.Soc.Hort.Sci.、71:40-47、2002)を用いた。
【0054】
HPLCクロマトチャート(chromatographic chart)から、3種のアントシアニジン(anthocyanidin)、すなわち、それぞれのアントシアニジンのピークを占有面積として算出し、ペラルゴニジン(pelargonidin、Pgn)、シアニジン(cyanidin、Cyn)、デルフィニジン(delphinidin、Dpn)、並びに3種のメチル化アントシアニジン、すなわち、ペオニジン(peonidin、Pn)、ペチュニジン(petunidin、Pt)およびマルヴィジン(malvidin、Mv)の全ピーク面積(peakarea)を100%とした。得られた固有ピークからアントシアニジンについて、その花の色素遺伝子型(pigment genotype)を決定した。
【0055】
花きの花弁、果皮、葉を採集し、花弁および萼片等については、全色系または覆輪系(いずれも八重花を含む)の着色した部分、同色の部分、並びに白色の部分などを切除し、色彩計(colorimeter)を用いて花色を測定した。表色系は、CIELab表色系を用い、測定条件および測定装置は、文献記載の方法(Wang、etal.:J.Plant Res.、114:33-43、2001)を用いた。
【0056】
トルコギキョウ(lisianthus;Eustoma属)(リンドウ科、Gentianaceae)のロイヤルバイオレット(RoyalViolet)(CynDpn色素表現型、CynDpn-phenotype)、ミッキーローズ(Micky Rose)(PgnCynDpn色素表現型、PgnCynDpn-phenotype)、および、あすかの紅(Asukano Kurenai)(PgnCyn色素表現型、PgnCyn-phenotype)の3品種(F世代、F-generation)を用いて、自殖(self-pollination)によるS世代(S-generation)の分離を調べ、その結果を表1(Table1)に示した。また同様に、ロイヤルバイオレット(Royal Violet)(CynDpn色素表現型、CynDpn-phenotype)、ミッキーローズ(MickyRose)(PgnCynDpn色素表現型、PgnCynDpn-phenotype)、およびあすかの紅(Asuka no Kurenai)(PgnCyn色素表現型、PgnCyn-phenotype)の3品種(F世代、F-generation)を用いて、2品種間の正逆交雑(cross-pollination)によるF世代(F-generation)の分離を調べ、その結果を表2に示した。その結果、ロイヤルバイオレット(CynDpn色素表現型)、ミッキーローズ(PgnCynDpn色素表現型)、および、あすかの紅(PgnCyn色素表現型)の、色素遺伝子型(pigmentgenotype)を決定した。
【0057】
【表1】
JP0004314241B2_000003t.gif【0058】
【表2】
JP0004314241B2_000004t.gif【0059】
表1および表2から、ロイヤルバイオレット(Royal Violet)はddeeHpgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型(pigmentgenotype)であり、ミッキーローズ(Micky Rose)はddeeHPgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型(pigmentgenotype)であり、あすかの紅(Asuka no Kurenai)はddeeHPgPgCyCyDpDpの色素遺伝子型(pigmentgenotype)であることがわかる。また、花色は、ロイヤルバイオレットは紫色、ミッキーローズは赤紫色、あすかの紅は赤色であった。なお、表1中none色素表現型(none-pigmentphenotype)は、白花を示す。
【実施例3】
【0060】
トルコギキョウ(lisianthus)の表3に示すS世代(S-generation)を親株として、これらを自殖(self-pollination)し、分離したS世代(S-generation)を調べ、各種系統(lines)の色素遺伝子型(pigment
genotype)を決定した。その結果を表3に示した。
【0061】
【表3】
JP0004314241B2_000005t.gif【0062】
表3から分かるように、ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype)からPgn色素(Pgn-pigment)のみを有する色素表現型(pigment phenotype)として、G2D3B25F系統(line)(白色、赤白色、クリーム色、またはピンク色の花)を得た。ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype)からCyn色素(Cyn-pigment)のみを有する色素表現型(pigment phenotype)として、G2D3B27Y系統(line)(赤白色、またはピンク色の花)を得た。ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype)から色素を全く有しないnone型(none-phenotype)として、G2D3B26B系統(白花)を得た。ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype)からCynDpn色素(CynDpn-pigment)を有する色素表現型(pigment phenotype)として、J5A2H16B系統(赤紫色の花)を得た。ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype)からDpn色素(Dpn-pigment)のみを有する色素表現型(pigment phenotype)として、J5A2H110C1A系統(紫色の花)を得た。ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype)からPgnCyn色素(PgnCyn-pigment)を有する色素表現型(pigment phenotype)として、W1C3B111Y系統(line)(赤色の花)を得た。これらは、いずれも純系(pureline)(優性または劣性のホモ型)であることがわかる。
【実施例4】
【0063】
Pgn型(Pgn-phenotype)で赤白色の花(G2D3B25F系統(line)、ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype))とCyn型(Cyn-phenotype)で赤白色の花(G2D3B27Y系統(line)、ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype))を正逆交雑(cross-pollination)したところ、PgnCynDpn型(PgnCynDpn-phenotype)の赤紫色の花(ddeeHPgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype))が得られた。色素遺伝子型(pigment-genotype)を想定した非特許文献6(小林加奈:育種学雑誌、48:169-176、1998)の方法では、PgnCyn型(PgnCyn-phenotype)の花が得られると記載されてあり、PgnCynDpn型(PgnCynDpn-phenotype)の赤紫色の花が分離したことは説明が付かない。
【実施例5】
【0064】
PgnCyn型(PgnCyn-phenotype)で赤色の花(W1C3B111Y系統(line)、ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype))と白花(none型(none-phenotype)、ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型(pigmentgenotype))を正逆交雑(cross-pollination)したところ、PgnCynDpn型(PgnCynDpn-phenotype)の赤紫色の花が得られた。色素遺伝子型(pigment-genotype)を想定した非特許文献6(小林加奈:育種学雑誌、48:169-176、1998)の方法では、PgnCyn型(PgnCyn-phenotype)の花が得られると記載されてあり、PgnCynDpn型(PgnCynDpn-phenotype)の赤紫色の花が分離したことは説明が付かない。
【実施例6】
【0065】
トルコギキョウ(lisianthus)の品種(cultivar)、ブライダルバイオレット(BridalViolet)(覆輪花、F系統(F line))を自殖(self-pollination)し、その花色分離を調査した。その結果、表4に示すように、全て覆輪の優性型として後代が得られ、色素遺伝子型(pigmentgenotype)と花色(flower coloration)を決定した。系統F3I1A2D1Dは覆輪の優性形質の遺伝子型(ホモ型)を有する白花である。
【0066】
【表4】
JP0004314241B2_000006t.gif【0067】
(実施例5A)
トルコギキョウ(lisianthus)のG4I5A3I1F4(CynDpn色素表現型(CynDpn-phenotype)、赤紫色の花)、A13B1B3I4(PgnCyn色素表現型(PgnCyn-phenotype)、赤色の花)、G2D3B2I5C33(PgnCyn色素表現型(PgnCyn-phenotype)、赤色の花)、G2D3B2I5C3A(Cyn色素表現型(Cyn-phenotype)、赤色の花)、I5A21I3F12(Dpn色素表現型(Dpn-phenotype)、紫赤色の花)、G2D3B2I5C36(Pgn色素表現型(Pgn-phenotype)、白黄色の花)、G2D3B2I5C37(none色素表現型(none-phenotype)、白花)の7系統について、自殖(self-pollination)による後代180個体の分離を調べ、その結果を表5に示した。
【0068】
【表5】
JP0004314241B2_000007t.gif【0069】
表5のように、それぞれの系統(lines)は親株と同一の色素組成(pigment constitution)、色素遺伝子型(pigment-genotype)、花色(flowercolor)であった。なお、各系統の個体数を除いた各数値は、系統毎の個体数に対する平均値である。色素遺伝子型(pigment-genotype)は、いずれもホモ型であった。G4I5A3I1F4とI5A21I3F12の2系統は、色素組成(pigmentconstitution)と遺伝子型(genotype)が違うにも関わらず、色相角(h、hue angle)は、-31.0と-28.8度で同様な値を示し、その花色は赤紫色方向の色であった。A1C3B1B3I4とG2D3B2I5C33の2系統は、系統が違ったにも関わらず、同様な色相角(h、hueangle)(-4.7と-4.3度)を与え、その花色は、赤色方向の色であった。しかし、A1C3B1B3I4系統は、鮮やかさ(chroma)を示すCの値がG2D3B2I5C33系統に比べ、ほぼ2倍の56.4の値を与え、濃い赤色の花であった。
【0070】
一方、G2D3B2I5C33系統は淡い赤色の花であった。G2D3B2I5C36(Pgn色素型)の色相角(h、hueangle)は、88.3度を示し、黄色方向の色であった。このCの値は6.5と低い値を示し、鮮やかさ(chroma)は小さい値であった。したがって、花弁にアントシアニン色素(anthocyanin)が含まれているにも関わらず、肉眼ではクリーム色の花として確認された。白花であるG2D3B2I5C37系統の色相角は114.2度を与え、緑黄色方向の色であった。このCの値は10.7と低い値を示したため、肉眼では、非常に白色の花に近い、しかし、淡い緑黄色の花として確認された。
【0071】
(実施例6A)
トルコギキョウ(lisianthus)のG2D3B2I5C31(PgnCynDpn色素表現型(PgnCynDpn-phenotype)、赤紫色の花)、G2D3B2I5C32(PgnCynDpn色素表現型(PgnCynDpn-phenotype)、赤色の花)、G2D3B2I5C34(PgnCyn色素表現型(PgnCyn-phenotype)、赤橙色の花)、G2D3B2I5C35(Pgn色素表現型(Pgn-phenotype)、白赤色の花)、G2D3B2I5C38(CynDpn色素表現型(CynDpn-phenotype)、白色の花)、G2D3B2I5C39(CynDpn色素表現型(CynDpn-phenotype)、赤紫色の花)、I5A21I3F11(CynDpn色素表現型(CynDpn-phenotype)、紫赤色の花)、A1C3B1B3IMA(PgnCynDpn色素表現型(PgnCynDpn-phenotype)、赤紫色の花)、A1C3B1B3IMB(PgnCyn色素表現型(PgnCyn-phenotype)、赤色の花)、I5A21I3FMA(PgnCynDpn色素表現型(PgnCynDpn-phenotype)、紫色の花)、I5A21I3FMB(CynDpn色素表現型(CynDpn-phenotype)、紫色の花)、I5A21I3FMC(Dpn色素表現型(Dpn-phenotype)、紫色の花)の12系統(lines)298個体について、色素組成(pigmentconstitution)、色素遺伝子型(pigment-genotype)、花色(flower coloration)を調べ、その結果を表6に示した。
【0072】
【表6】
JP0004314241B2_000008t.gif【0073】
表6のように、それぞれの系統の色素遺伝子型は、いずれもヘテロ型であった。なお、各系統の個体数を除いた各数値は、系統毎の個体数に対する平均値である。G2D3B2I5C31(PgnCynDpn色素型、赤紫色の花),A1C3B1B3IMA(PgnCynDpn色素型、赤紫色の花)の2系統のアントシアニジン色素組成、花色は、共に同様の値を示し、色素遺伝子型は同じであった。一方、G2D3B2I5C32(PgnCynDpn色素表現型、赤色の花)の系統は、G2D3B2I5C31、A1C3B1B3IMA系統と同様な色素遺伝子型と色素組成を示したにも関わらず、色相角が28.6度を与え、赤橙色の方向の色を示した。しかし、このCの値は6.5と低い値であったことから、肉眼による花色は薄い赤色がかった白色の花であった。PgnCyn色素表現型を有するG2D3B2I5C34とA1C3B1B3IMBの2系統は同一の色素遺伝子型を有していたが、色素組成と花色は全く異なっていた。すなわち、G2D3B2I5C34は色相角が55.8度で橙色方向の色(肉眼では白色に近いオレンジ色の花)を示したのに対して、A1C3B1B3IMBは色相角が8.0度の赤色方向の色(肉眼では赤色の花)であった。CynDpn色素表現型を有するG2D3B2I5C38とG2D3B2I5C39の2系統は同一の色素遺伝子型を有していたが、色素組成と花色は全く異なっていた。すなわち、G2D3B2I5C38は色相角が97.5度で黄色方向の色(肉眼では白色に近い黄色の花)を示したのに対して、G2D3B2I5C39は色相角が-22.1度の赤色方向の色(肉眼では赤色の花)であった。H、またはHの複対立遺伝子を含むI5A2H1I3F11、I5A2H1I3FMA、I5A2H1I3FMB、I5A2H1I3FMCの4系統は、いずれも色相角が-20度を下回り、紫赤色方向の色を示し、肉眼では紫色の花であった。
【実施例7】
【0074】
以下、トルコギキョウF種子の交配作出法を具体的に説明する。
Cyn色素表現型の一重全色ピンク色の花(ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型、ホモ型)とPgn色素表現型の一重全色白色の花(ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型、ホモ型)を交配し、PgnCynDpn色素表現型の一重全色赤紫色の花(ddeeHPgpgCyCyDpDp色素遺伝子型、ヘテロ型)を得た。
【0075】
CynDpn色素表現型の一重全色赤紫色の花(ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型、ホモ型)とPgn色素表現型の一重全色白色の花(ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型、ホモ型)を交配し、PgnCynDpn色素表現型の一重全色赤紫中間色の花(ddeeHPgpgCyCyDpDp色素遺伝子型、ヘテロ型)を得た。
【0076】
PgnCyn色素表現型の一重全色赤色の花(ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型、ホモ型)とPgn色素表現型の一重全色白色の花(ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型、ホモ型)を交配し、PgnCynDpn色素表現型の一重全色ピンク中間色の花(ddeeHPgpgCyCyDpDp色素遺伝子型、ヘテロ型)を得た。
【0077】
トルコギキョウのG2D3B2I5C36(Pgn色素表現型、ddeeHPgPgCyCyDpDp色素遺伝子型、白黄色の花)とG4I5A3I1F4(CynDpn色素表現型、ddeeHpgpgCyCyDpDp色素遺伝子型、赤紫色の花)(表5)を用いて正逆交雑することにより、より赤い花を作出する計画により交配を行った。この交配より、F種子の花としてG2D3G4I5系統(16個体)を得た。この色素表現型は全て、PgnCynDpn色素表現型(Pg
24.7%、Cy 72.4%、Dp 2.9%)で、ddeeHPgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型であった。また、花色は肉眼では赤紫色であった。花色は、色相角(h)が-18.5度で赤紫色方向の色であった。明度L値は61.9の値でG4I5A3I1F4系統と同様に花色は明るく、彩度C値は40.7の値で、やや鮮やかな赤紫色の花であった。したがって、G4I5A3I1F4系統にはないPgn色素表現型をG2D3B2I5C36系統を用いて、それにPgn色素を組みことができ、G4I5A3I1F4系統よりも、より赤い花を計画の通り作出することができた。
【実施例8】
【0078】
トルコギキョウのPgnCyn色素表現型のA1C3B1B3I系統(色素遺伝子型はddeeHPgPgCyCyDpDp)とCynDpn色素表現型I5A2H1I3F系統(色素遺伝子型はddeeHpgpgCyCyDpDp)を用いて、正逆交雑による後代の分離を調べ、その結果を表7に示した。その結果、A1C3B1B3I系統を種子親、I5A2H1I3F系統を花粉親として交配した場合、A1C3B1B3IRA系統とA1C3B1B3IRB系統を1:1の分離比で得、これらの色素遺伝子型と花色を決定した。A1C3B1B3IRA系統はPgn色素を主体とし、色相角は-8.0度を与え、花色は赤色方向の色であった。彩度を示すC値が33.3で、淡い赤色の花であった。また、A1C3B1B3IRB系統はCyn色素を主体とし、色相角は-18.9度を与え、花色は赤色の紫がかる方向の色であった。彩度を示すC値が47.1で、赤色の花であった。
【0079】
一方、I5A2H1I3F系統を種子親、A1C3B1B3I系統を花粉親として交配した場合、I5A2H1I3FAS系統を79個体得、その色素遺伝子型と花色を決定した。色相角は-30.2度を与え、花色は紫赤色方向の色であった。
【0080】
【表7】
JP0004314241B2_000009t.gif【0081】
表7の結果から、A1C3B1B3I系統とI5A2H1I3F系統の間には、色素生合成が核遺伝する他に、細胞質遺伝(特に、母性遺伝)による花色遺伝があることがわかる。この遺伝を利用することにより、色素の核遺伝子型を損なうことなく、母親株に近い花色を出すことができた。
【実施例9】
【0082】
トルコギキョウのA4B3F2K2(F、八重花)、G2D3B2I59A(F)、G4H5G2D39A(F)の各系統を自殖した結果を表8に示す。A4B3F2K2(F)系統は、色素遺伝子型はホモ型であり、花色はほぼ3:1で分離した。G2D3B2I59A(F)系統とG4H5G2D39A(F)からは、色素遺伝子型に従い、花色が分離した。この結果、A4B3F2K2(F)の自殖系統のように、同一の遺伝子型からも違った花色が分離することがわかる。
【0083】
【表8】
JP0004314241B2_000010t.gif【実施例10】
【0084】
八重花(多弁花)のトルコギキョウを自殖し、八重花と一重花が84個体:30個体(3:1)で分離した。その結果、八重花の遺伝子型を、D/dで示すことができる。D/dは英語の八重花(doubleflower)の頭文字を取り、それぞれ優性型/劣性型を示す。表記方法は他の頭文字を取っても、同一である。従って、DDとDd遺伝子型では八重花が得られ、dd遺伝子型では一重の花が得られた。八重花には、バラ咲き(rose)八重花とフリル咲き(frill)八重花があり、遺伝子型D/dおよびD/dでそれぞれが得られた。
【実施例11】
【0085】
覆輪花(花弁の先端のみが着色した花)のトルコギキョウを自殖し、覆輪花と全色花(花弁全てが着色した花)が229個体:77個体(3:1)で分離した。その結果、覆輪の遺伝子型を、E/eで示すことができる。E/eは英語の覆輪花(edgecolored)の頭文字を取り、それぞれ優性型/劣性型を示す。表記方法は他の頭文字を取っても、同一である。従って、EEとEe遺伝子型では覆輪花が得られ、ee遺伝子型では全色の花が得られた。
【実施例12】
【0086】
スイートピー(マメ科)花弁色素の分析を行い、各品種系統の花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、表9に示すように、各品種系統の花弁色素遺伝子型を明らかにした。Dpnの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含み、これらは、いずれもDpnを生成する色素遺伝子型に包含される。更に、Cynの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるペオニジン(peonidin、Pn)を含み、Cynを生成する色素遺伝子型に包含した。
【0087】
【表9】
JP0004314241B2_000011t.gif【実施例13】
【0088】
シャクナゲ(ツツジ科)花弁の色素の分析を行い、各品種系統の花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、表10に示すように、各品種系統の花弁色素遺伝子型を明らかにした。Dpnの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含み、これらは、いずれもDpnを生成する色素遺伝子型に包含される。更に、Cynの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるペオニジン(peonidin、Pn)を含み、Cynを生成する色素遺伝子型に包含した。
【0089】
【表10】
JP0004314241B2_000012t.gif【実施例14】
【0090】
ツツジ(ツツジ科)花弁の色素の分析を行い、各品種の花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、表11に示すように、各品種系統の花弁色素遺伝子型と花色を明らかにした。Dpnの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含む場合があり、これらは、いずれもDpnを生成する色素遺伝子型に包含される。更に、Cynの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるペオニジン(peonidin、Pn)を含む場合があり、Cynを生成する色素遺伝子型に包含した。
【0091】
【表11】
JP0004314241B2_000013t.gif【実施例15】
【0092】
キンモウツツジを種子親に、ヒラドツツジを花粉親として交配を行い、Fツツジを作出し、それらの花弁色素の分析を行い、種子親と花粉親、各雑種の色素遺伝子型と花色遺伝を調べた。その結果、表12に示すように、各雑種個体群における色素遺伝子型と花色を明らかにした。Dpnの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるマルヴィジン(malvidin、Mv)とペチュニジン(petunidin、Pt)を含む場合があり、これらは、いずれもDpnを生成する色素遺伝子型に包含される。更に、Cynの色素表現型にはメチル化アントシアニジンであるペオニジン(peonidin、Pn)を含み、Cynを生成する色素遺伝子型に包含した。
【0093】
【表12】
JP0004314241B2_000014t.gif【実施例16】
【0094】
二重咲き花(ホーズインホーズ;hose-in-hose)の久留米ツツジと一重花サツキを交配し、二重咲き花雑種と一重花雑種が144個体:123個体(1:1)で分離した。その結果、二重咲き花久留米ツツジおよび二重咲き花雑種の、二重咲き形質に関する遺伝子型をDd(ヘテロ型)と明らかにし、一重花サツキおよび一重花雑種の遺伝子型がdd(劣性ホモ型)で有ることがわかる。
【実施例17】
【0095】
ツバキ(ツバキ科)について、花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、表13に示すように、各品種の花弁色素遺伝子型と花色がわかる。
【0096】
【表13】
JP0004314241B2_000015t.gif【実施例18】
【0097】
バラ(バラ科)の品種‘フレンシャム’について、花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、アントシアニジンはCyn色素表現型であり、D-eeHpgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型であることがわかる。
【実施例19】
【0098】
デルフィニウム(キンポウゲ科)の品種‘ブルーミラー’について、萼片色素遺伝子型を調べた。その結果、アントシアニジンはDpn色素表現型であり、ddeeHpgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型であることがわかる。
【実施例20】
【0099】
カーネーション(ナデシコ科)の品種‘クラレットエレガンス’、‘サリスローヤレッド’、‘ソルビックスシドニー’、‘ミス小倉’、‘福岡78号’について、花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、これら品種のアントシアニジンは全てPgnCyn色素表現型であり、D-eeHPg-CyCyDpDpの色素遺伝子型であることがわかる。
【実施例21】
【0100】
グラジオラス(アヤメ科)の品種‘紅雀’、‘アーリーレッド’、‘レッドラジアンス’、‘美園’、‘バンドワゴン’について、花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、これら品種のアントシアニジンは全てPgn色素表現型であり、ddeeHPg-CyCyDpDpの色素遺伝子型であることがわかる。
【実施例22】
【0101】
赤色系品種のキク(キク科)について、花弁色素遺伝子型を調べた。その結果、本品種のアントシアニジンはCyn色素表現型であり、ddeeHpgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型であることがわかる。
【実施例23】
【0102】
各複対立遺伝子の組合せ早見表を、表14および表15に示す。行には花粉親の配偶子を示し、列には種子親の配偶子を示す。表14は、Pg/pg、Cy/cyおよびDp/dpで示される遺伝子座がPgPgCyCyDpDpまたはPgpgCyCyDpDpで表される場合の組合せ表であり、表15は、Pg/pg、Cy/cyおよびDp/dpで示される遺伝子座がpgpgCyCyDpDpで表される場合の組合せ表である。例えば、遺伝子座がPgPgCyCyDpDpであり、一つの複対立遺伝子Hともう一つの複対立遺伝子Hが受精し、その組合せがHとなった場合は、表14からその色素表現型がPgnCynDpnであることが、この早見表より速やかに知ることができる。
【0103】
【表14】
JP0004314241B2_000016t.gif【0104】
【表15】
JP0004314241B2_000017t.gif【実施例24】
【0105】
色素表現型と色素遺伝子型との対応を示す、早見表を表16に示す。例えば、PgnCyn色素型のHPgPgCyCyDpDpの色素遺伝子型と、白花(none色素型)のHpgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型とを交配すると、HPgpgCyCyDpDpの色素遺伝子型を有するF交配種を作出することができ、その色素表現型がPgnCynDpnであることが、この早見表より速やかに知ることができる。
【0106】
【表16】
JP0004314241B2_000018t.gif【実施例25】
【0107】
各複対立遺伝子の組合せから花色を知ることのできる早見表を、表17および表18に示す。行には花粉親の配偶子を示し、列には種子親の配偶子を示す。表17は、Pg/pg、Cy/cyおよびDp/dpで示される遺伝子座がPgpgCyCyDpDpまたはPgpgCyCyDpDpで表される場合の組合せ表であり、表18は、Pg/pg、Cy/cyおよびDp/dpで示される遺伝子座がpgpgCyCyDpDpで表される場合の組合せ表である。例えば、遺伝子座がPgPgCyCyDpDpであり、一つの複対立遺伝子Hともう一つの複対立遺伝子Hが受精し、その組合せがHとなった場合は、表17からその色素表現型はPgnCynDpnであり、したがって、その花色が赤紫色であることをこの早見表より速やかに知ることができる。
【0108】
【表17】
JP0004314241B2_000019t.gif【0109】
【表18】
JP0004314241B2_000020t.gif【0110】
これらの実施例から、本発明の遺伝子型H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpまたは遺伝子型D/d・E/e・H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpでPgn、Cyn、Dpnの色素表現型を帰属した花色および/または花形育種法が優れた花色遺伝型交配法であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明により、花きの色素遺伝子型(pigment genotype)を明らかにできる。たとえば、遺伝子型(genotype)D/d・E/e・H・Pg/pg・Cy/cy・Dp/dpであって、Pgn、Cyn、Dpnの色素表現型(pigmentphenotype)を帰属した花色遺伝型交配法を用い、花きの花色をCIELab表色系を用いて正確に測色・数値化することにより、優れた新花色を提供できる。