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明細書 :通信システムにおける干渉信号判定方法および干渉信号除去方法ならびに干渉信号除去装置および受信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4862151号 (P4862151)
公開番号 特開2007-221525 (P2007-221525A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
発明の名称または考案の名称 通信システムにおける干渉信号判定方法および干渉信号除去方法ならびに干渉信号除去装置および受信装置
国際特許分類 H04B   1/7103      (2011.01)
H04B   1/10        (2006.01)
FI H04J 13/00 432
H04B 1/10 L
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2006-040616 (P2006-040616)
出願日 平成18年2月17日(2006.2.17)
審査請求日 平成21年2月17日(2009.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】横山 光雄
【氏名】ランガ ヘッティアーラッチ
審査官 【審査官】佐々木 洋
参考文献・文献 特開2001-156749(JP,A)
特開2002-064406(JP,A)
ヘッティアーラッチ ランガ 他,「最大相関値検出に基づくDS-CDMA用シングルユーザ型干渉除去方式のレイリーフェージング通信路における特性」,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2007年 6月21日,RCS2007-18,pp. 43-48
調査した分野 H04J 13/00-13/22
H04B 1/69- 1/719
特許請求の範囲 【請求項1】
通信している信号のうち、希望局以外の拡散符号のあらゆる組合せを作成し、この組合せの合成パターンと受信信号との相関値を計算し、その値が最大となるパターンに対応する組合せを干渉信号と判定することを特徴とする通信システムにおける干渉信号判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉信号判定方法を使用する干渉信号除去方法であって、前記干渉信号を前記受信信号から引き算することにより干渉信号を除去することを特徴とする通信システムにおける干渉信号除去方法。
【請求項3】
受信信号から通信中の拡散符号の種類および信号レベルを取得するPN同期システム装置と、除去すべき干渉信号を判定するための基本除去装置と、受信信号から干渉信号を引き算する手段とを備え、前記基本除去装置は、前記PN同期システム装置から得られる干渉信号の拡散符号に基づき作成された組合せによる非希望信号マトリックスを蓄積する多元マトリックステーブルと、前記非希望信号マトリックスを構成する組合せの合成パターンと受信信号との相関値を計算し、その値が最大となるパターンを検出する最大相関検出器とを備えることを特徴とする干渉信号除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の干渉信号除去装置を使用する通信装置であって、前記干渉信号除去装置は、アンテナを備えた受信機に備えられていることを特徴とする受信装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、スペクトル拡散多元接続(以下、SSMA)、または、符号分割多元接続(以下、CDMA)と呼ばれている、通信システムでの干渉除去技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
SSMA、または、CDMAと呼ばれている通信システムでは、同一帯域内で複数の信号が共存して通信しあう。特定の通信相手の識別は、スペクトルを拡散する符号による相関受信により行われる。
【0003】
その際、同時通信局数が多いと、他局との相互相関雑音が増え、通信品質を劣化させる。満足する品質を保証するには、同時通信局数を減らさなければならない。この相互相関雑音を減じる技術として干渉除去技術が必要となっている。(非特許文献1参照)

【非特許文献1】S.Moshavi, “Multi-user detection for DS-CDMA communications,” IEEE Commun. Mag.,Vol. 34, No. 10, pp. 124-136, Oct. 1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、同時通信中の情報、拡散符号、同期、受信レベルを事前に知る必要がある。そのため、組織的な構成による対応がとられ、受信機の構造は複雑になる。
【0005】
具体的に述べると、各信号に対する受信機を一台ずつ用意し、信号を復調する。それらを再度拡散変調して、干渉信号を作り変え、受信信号から除去する方法をとる。
【0006】
また、同時通信中の拡散符号、同期、受信レベルの情報を知ることが出来ない場合は、干渉となる信号の性質を、時間をかけて調べる。
【0007】
そして、それらの平均的な特性を持つ信号を、干渉信号として受信信号から除去する方法を用いる。この場合は、望む性能を発揮するまでに時間がかかるのと、状況が変化すると、その都度再調査による処理が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明が解決しようとする課題は、事前情報を不要にし、装置の簡易化と処理時間の短縮化を図り、性能向上を実現することにある。
【0009】
事前情報を不要にするため、同期システムを用いて、通信中の拡散符号の種類を知ることができる。また、同期検波により信号レベルを知ることができ、同時通信中のすべての信号の拡散符号と受信レベルを把握することができる。(非特許文献2参照)
【0010】
前述の操作から、データ変化に応じた干渉信号のすべての組合せパターンを用意する。
【0011】
受信信号と干渉信号の組合せパターンとの相関をとる場合、一致するものが一番大きな相関値を得るので、最大の相関値を検出し、その組合せで得られる信号を干渉信号と判定する。
【0012】
判定した干渉信号は受信信号に存在する実際の干渉信号と同一であるので、判定した干渉信号を受信信号から引き算するだけで干渉除去を実行できる。
【0013】
ここで、関連技術についてまとめる。特許文献1では、搬送波信号と希望局信号との相関値から干渉成分を求め、タップ係数制御により干渉信号を合成し希望信号を得ている。特許文献2では、受信信号の標本化から非希望信号を発生させ、タップ係数と組み合せアダプティブフィルタを用いて干渉信号を合成し、干渉除去を行うものである。特許文献3では、受信信号の標本化とタップ係数を組み合わせ、アダプティブフィルタを用い干渉信号を合成、干渉成分を除去するものであり、特許文献2の手法を改良したものである。最後に、特許文献4では、受信信号とその遅延信号から非希望信号を抽出し、復調信号と合わせて予測非希望信号を求め、予測非希望信号とスペクトル拡散信号から非希望信号を求め干渉除去を行うものである。
【0014】
また、非特許文献2では、事前情報を必要としない同期回路を提案し、その性能評価を示している。この同期回路は、本発明に係る干渉除去装置または無線受信装置の計算機模擬実験において、同期回路として用いられている。非特許文献3と非特許文献4では、ともに最小平均2乗誤差法を用いて非希望信号レベルを求め、干渉除去を実現している。
【0015】
以上の関連技術に対して、本発明では、受信信号と同期させた後、すべての干渉成分を求め、受信信号と求めた干渉成分との最大相関値を検出するという新たな手法を用いて多元接続による干渉を除去する方式や干渉除去装置や無線受信装置を構築している。とくに、干渉信号の同期確立には符号の指定をする必要がなく、また拡散符号が未知であってもよい。
<patcit num="1"><text>特開2002-016511号広報</text></patcit><patcit num="2"><text>特開2002-016512号広報</text></patcit><patcit num="3"><text>特開2002-247007号広報</text></patcit><patcit num="4"><text>特開2002-261734号広報</text></patcit><nplcit num="2"><text>Y. Yamaguchi, S.Yamashita, M. Yokoyama, and H. Uehara, “Performance of a New DS-CDMASynchronization System Using Cycle-and-Add Property,” IEICE Trans.Fundamentals, vol.E88-A, no.10, pp. 2905-2914, Oct. 2005.</text></nplcit><nplcit num="3"><text>徳丸香二、直接スペクトル拡散通信におけるMMSE法を用いた干渉信号除去方式、豊橋技術科学大学修士論文、2000.</text></nplcit><nplcit num="4"><text>鄭吉秀、非希望信号発生回路を用いたDS/CDMA用適応干渉除去方式の研究、豊橋技術科学大学修士論文、2003.</text></nplcit>
【発明の効果】
【0016】
従来技術では、同時通信中の信号が、どのような拡散符号を用いているかを知ることができない。さらに、それら未知信号の拡散符号を知ることなく、同期をとることも不可能である。
【0017】
本発明では、事前情報がなくても同期が可能な回路を基にして、干渉信号が構成するあらゆる信号の構成を受信機側で用意し、それと受信信号との相関をとり、最大の相関値をとる構成を干渉信号と判定して、それを引き算により除去する方法を提供する。
【0018】
本発明は新規性が非常に高く、実施例に示すように、これまでに提案されている方式と比較して、より簡素な受信装置で最良の性能を得られる干渉信号除去方式である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の方式ならびに装置は、干渉除去回路として通信システムに組み込まれて使用されることが望ましい。
【0020】
本発明方式の受信機構成を図1に示す。本発明による受信装置は、PN synchronization system(以下、PN同期システム装置)とBasic
Canceller (以下、基本除去装置)から構築される。さらに、基本除去装置は、MAI Signal Matrix Table (以下、MAI-SMT)とMaximum Correlation Detector (以下、最大相関検出器)から構成されている。
【0021】
図1では、同時通信局数をKとしているので、干渉信号数は(K-1)となり、アンテナ1で受信された受信信号r(t)は、一つの希望信号と(K-1)個の干渉信号を成分として持つと考えられる。
【0022】
受信信号r(t)はビット同期検波され、サンプリング後、ベースバンド信号r(i)のベクトル系列に変換される。
【0023】
それらの信号を、PN同期システム装置3により、通信中の拡散符号の種類と信号レベルを明らかにする。ここでciは、i番目の局が通信に使用している拡散符号を表す。i=1が希望局の拡散符号c1で、それ以外(i=2,3,…,K)の符号が干渉となる信号[c2, c3,…,cK]が使用している拡散符号である。
【0024】
ここで得られた情報は、MAI-SMT
: 多元マトリックステーブルに渡され、非希望信号マトリックスとして蓄積される。
【0025】
干渉信号数が2の場合は、c2とc3が干渉信号の拡散符号となる。データは、+1と-1をとるので、図2のような組合せを生じる。図2は、可能なすべての組合せをu’として、組合せの合成パターンとして行列にまとめている。
【0026】
続いて図1では、uTとr(i)のベクトル内積rを、最大相関検出器5に渡す。MAI-SMT4から最大値をとる組合せを検出し、それをu^(i)として取り出す。「T」は行列の転置を表す。
【0027】
干渉除去の実行は、最大相関値を与える干渉信号u^(i)を受信信号r(i)から引き算することで実現できる。
【0028】
最後に、干渉信号を除去した信号に、希望局の符合c1で拡散復調を行い、データ判定を行う。判定信号は、希望局信号と雑音のみに依存している。以上が本発明方式の最良の実施形態であり、その基本技術である。
【実施例】
【0029】
本発明の方式を性能評価するために、計算機による模擬実験を行っている。まず、この模擬実験で使用するPN同期システム装置について説明する。
【0030】
同装置のブロック図を図3に示す。図3の装置は、並列配置されたPN synchronization circuit(以下、PN同期回路)とPositive
feedback circuit(以下、正帰還回路)とPN sequence Regeneration circuit(以下、PN系列再生回路)から構成される。(非特許文献2、非特許文献5参照)この装置は、低信号対雑音比や多元接続時などの悪条件下であっても、信号の取得と同期が可能である。実施例は、PN系列に関して行うが、本発明方式を実施するために、説明以外のPN同期システム装置を用いても可能であることは自明である。さらに、PN系列以外の拡散符号に対しても、対応する任意の拡散符号同期システム装置を用いることで実施可能である。
<nplcit num="5"><text>Y. Yamaguchi, S. Yamashita, M. Yokoyama,and H. Uehara, “Simple PN synchronization system,” 2004 International Symposiumon Information Theory and its Applications (ISITA 2004), pp. 909-914, Oct.2004.</text></nplcit>
【0031】
図3において、PN同期回路10の単体は、二つの遅延素子8(Tcは1チップ遅延)と乗算器から構成される。それらの回路を並列配置した回路からの出力信号を加算し、低域フィルタ(LPF)9を通すことで、希望局の拡散符号だけを取り出し、他局からの拡散符号の干渉を抑えることができる。正帰還回路14は、二つの増幅器12(正帰還係数A1、A2は1より小さな正数)と加算器11と遅延素子13(Tbはビット間隔)から構成され、非周期雑音成分からの干渉を抑えることができる。最後に、PN系列再生回路15は、希望局の信号と同期する拡散符号を得ることができ、再生した拡散符号c1(t)を受信信号r(t)に乗算することによって希望局のデータを復調することができる。図3の説明は、希望局用の拡散符号c1(t)の同期獲得の説明であるが、PN同期回路図の中の遅延素子を変更することで、任意の拡散符号の同期獲得と存在を知ることができる。
【0032】
次に、基本除去装置について説明する。同時通信局数Kに対して必要とされるMAI-SMTに蓄積される干渉信号パターン数は、2(K-1)個となる。例えば、K=5のとき、24(=16)パターンを蓄積する。相関値は受信信号とMAI-SMT内のすべての干渉信号パターンとの間で計算される。計算値の中から最大となるものを検出し、そのパターンに対応する組合せを干渉信号とする。
【0033】
計算機による模擬実験の条件は次のとおりである。受信機熱雑音は、白色ガウス雑音とした。データと拡散符号を掛算した後、二値位相変調方式(BPSK)を用いて送信した。すべての局の拡散符号は、コード長が127であるPN系列である。最大同時通信局数に対応する、18個の異なるPN系列を作成する。また、受信信号電力と搬送波位相は、すべて同じとして実験を行った。
【0034】
模擬実験の結果を図4と図5に示す。図4は同時通信局数を5と10とした場合に、本発明の干渉除去を行うときのものである。図4の横軸は1ビットあたりに換算した信号対雑音比(Eb/No)である。一方、縦軸は平均誤り率(以下、BER)を表している。干渉信号除去後のBERは、干渉信号が存在しない場合の性能とほぼ一致しており、たとえ干渉信号が存在していても、それらが全くない状態と同じ状況で通信できることを示している。以上から、本発明方式により通信品質が向上されることが確認できる。
【0035】
図5は信号対雑音比(Eb/No)を7[dB]とした場合に、本発明の干渉除去を行うときのものである。図5では、同時通信局数に対するBERを示す。従来のCDMAにおける手法では、干渉信号除去後のBER(図中、Conventionalのデータ)は局数が増えるにつれて悪化していく。これに対して、本発明方式による干渉信号除去後のBER(図中、Proposalのデータ)は、局数が増えても劣化が少ない。これは、要求されるBERを満たすことができる同時通信局数が本発明方式の方が多いことを意味している。以上から、本発明方式により通信容量が改善されるといえる。以上、図4と図5から、通信品質の向上と通信容量の改善という点に関して、本発明方式の性能の優位性を確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
CDMA方式では、通信システムを構成する場合に、同時通信局数制限の問題があったが、その問題を本発明により解決できる。同じ帯域幅内で通信できるユーザ数を大幅に増加することができ、効率よく周波数を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る干渉除去装置を備えた無線受信装置の構成図。
【図2】本発明に係る干渉除去装置を備えた無線受信装置で得られる拡散符号の組合せの図。
【図3】本発明の方式による干渉除去の模擬実験で用いるPN同期装置の構成図。
【図4】本発明の干渉除去方式による通信品質の向上の模擬実験結果を示す図。
【図5】本発明の干渉除去方式による通信容量の改善の模擬実験結果を示す図。
【符号の説明】
【0038】
1 アンテナ
2 サンプリング器
3 PN synchronization system(PN同期システム装置)
4 MAI Signal Matrix Table
(MAI-SMT)
5 Maximum correlation detector(最大相関検出器)
6 アンテナ
7 帯域フィルタ(BPF)
8 遅延素子
9 低域フィルタ(LPF)
10 PN synchronization circuit(PN同期回路)
11 加算器
12 増幅器
13 遅延素子
14 Positive feedback circuit(正帰還回路)
15 PN sequence Regeneration
circuit(PN系列再生回路)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4