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明細書 :アレルギーを診断するエピトープポリペプチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4961577号 (P4961577)
公開番号 特開2007-217303 (P2007-217303A)
登録日 平成24年4月6日(2012.4.6)
発行日 平成24年6月27日(2012.6.27)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
発明の名称または考案の名称 アレルギーを診断するエピトープポリペプチド
国際特許分類 C07K  14/465       (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
FI C07K 14/465 ZNA
G01N 33/53 Q
G01N 33/50 Z
G01N 33/15 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 14
出願番号 特願2006-036900 (P2006-036900)
出願日 平成18年2月14日(2006.2.14)
審査請求日 平成21年2月10日(2009.2.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】江藤 望
【氏名】中村 裕美
【氏名】布井 博幸
【氏名】佐藤 さくら
【氏名】海老澤 元宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
【識別番号】100130443、【弁理士】、【氏名又は名称】遠藤 真治
審査官 【審査官】野村 英雄
参考文献・文献 HOLEN, E. et al.,CLIN. EXP. ALLERGY,2001年 6月,Vol.31, No.6,P.952-964
MINE, Y. et al.,BIOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN.,2002年 4月12日,Vol.292, No.4,P.1070-1074
山川由美子、他4名,日本小児アレルギー学会誌,2004年10月15日,Vol.18, No.4,P.506,63欄
宇理須厚雄,平成9年厚生科学研究費補助金 免疫・アレルギー等研究事業(免疫・アレルギー部門)研究報告書,厚生省,1998年11月25日,P.145-148
調査した分野 C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
UniProt/GeneSeq
J-GLOBAL
PubMed
CiNii
WPI
特許請求の範囲 【請求項1】
Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号1)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項2】
Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr-Tyr(配列番号2)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項3】
Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号3)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項4】
Arg-Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項5】
Gly-Gly-Cys-Arg-Lys-Glu-Leu-Ala-Ala-Val(配列番号5)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1~5のいずれかにより表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む卵アレルギーの診断薬。
【請求項7】
配列番号1~5のいずれかにより表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む卵アレルギーの診断用キット。
【請求項8】
配列番号1~5のいずれかにより表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを被験試料と接触させ、被験試料中の前記ポリペプチドに対する抗体を抗原抗体反応によって検出することを特徴とする、卵アレルギーの診断を補助する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は卵アレルギーの診断薬として有用なポリペプチド、それを含む診断薬、および診断用キット、ならびにそれを用いた卵アレルギーの診断方法に関する。本発明はまたアレルギー疾患の診断薬のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食物アレルギーは増加の一途をたどり、極端な食事制限による成長障害などが社会問題化している。I型アレルギー疾患の診断法において最も信頼がおける方法として食物負荷試験(摂食試験)がある。食物負荷試験は確定診断に用いられる信頼性の高い試験ではあるが、被験者への身体的負担が大きく、実施できる機関も少ないため普及していない。そのため、現在では、患者血清中にアレルゲン特異的なIgE抗体が存在するかどうかによって診断を行うRAST法(放射性アレルゲン吸着試験法)が頻用されている。RAST法は簡便な方法であるが、非常に多くの誤った陽性を示し、RAST陽性患者のうち約4割は食物負荷試験で陰性となることが報告されている(非特許文献1)。すなわち実際には不要な食事制限を行っている場合が多いのである。
【0003】
RAST法による診断結果と、食物負荷試験による診断結果が食い違う原因として、健常者であっても血清中にアレルゲン特異的なIgE抗体を持つ者が存在することが挙げられる。これは、最初から抗原特異的IgEを持ち且つアレルギー症状を示さない者であったり、幼少期は食物アレルギーであったが成長に伴い食物アレルギーを克服し症状を示さなくなった者(アウトグローした者)であると考えられる。そのため、アレルゲン特異的なIgE抗体の有無による診断ではなく、アレルギー症状の有無に応じて診断することが望まれている。
【0004】
前記RAST法は、抗原としてアレルゲンタンパク質分子そのものを利用しているが、アレルゲンタンパク質分子上のアレルギー症状発症に関与するエピトープ部分を特定し、その部分のみを切り出して、例えばRAST用抗原とすることで、アレルギー症状の有無に応じた診断が可能になると考えられる。
【0005】
アレルゲン上のIgEエピトープに関しては、IgEエピトープとIgEの結合および架橋構造の形成がアレルギー症状発症に不可欠なため、これまで様々なアレルゲンをモデルとして数多くの報告がなされている。卵アレルギーのアレルゲンであるオボムコイドのIgEエピトープについても、これまでに幾つか報告がなされている(非特許文献2~4)。これらの報告はすべて、卵アレルギー患者の血清を用いて、オボムコイド上のエピトープを特定することを主題としており、臨床症状との相関について検討したものではない。また、これまでに、成長に伴いアウトグローする患者と、成長しても食物アレルギーを持ち続ける患者との血清中IgEが認識するエピトープの違いについて比較した報告もある(非特許文献5)。しかし、この報告も、患者に食物アレルギーを克服する素因があるかどうかを予測するエピトープの発見であり、臨床症状の有無を判断し得るエピトープの発見ではない。
【0006】

【非特許文献1】伊藤繁、食物アレルギーの血液検査の問題点、治療 2001; 3(7): 128-129
【非特許文献2】Mine Y., and Zhang J.W. Identification and find mapping of IgG and IgE epitopes in ovomucoid. Biochem Biophys Res Commun 2002; 292: 1070-1074
【非特許文献3】Hoken E., Bolann B., and Elsayed S. Novel B and T cell epitopes of Chicken ovomucoid (Gal d 1) induce T cell secretion of IL-6, IL-13, and IFN-gamma. Clin Exp Allergy 1999; 31: 952-964.
【非特許文献4】Cooke S.K., and Sampson H A. Allergenic properties of ovomucoid in Man. J Immunol1997; 159: 2026-2032.
【非特許文献5】Takagi K, Teshima R, Okunuki H, Itoh S, Kawasaki N, Kawanishi T, Hayakawa T, Kohno Y, Urisu A, and Sawada J. Kinetic analysis of pepsin digestion of chicken egg white ovomucoid and allergenic potential of pepsin fragments.Int Arch Allergy Immunol. 2005; 136: 23-32.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記現状に鑑み、本発明者らは簡便で正確な診断法の開発を行った。すなわち本発明は、簡便で正確なアレルギー疾患の診断法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはアレルゲン特異的IgEを持つ者、即ちRAST法によってアレルギーであると診断された者のうち、アレルギー症状を呈する患者と、アレルギー症状を呈さない患者の血清を用いて研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は以下の発明を包含する。
[1] Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号1)で表されるアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数13以下のポリペプチド。
[2] Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr-Tyr(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を含む [1] 記載のポリペプチド。
[3] Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号3)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(ただし鳥類の卵白オボムコイドは除く)。
[4] Arg-Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を含む [3] 記載のポリペプチド。
[5] Gly-Gly-Cys-Arg-Lys-Glu-Leu-Ala-Ala-Val(配列番号5)で表されるアミノ酸配列を含む、アミノ酸残基数13以下のポリペプチド。
[6] 配列番号1~5のいずれかにより表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(ただし鳥類の卵白オボムコイドは除く)を含む卵アレルギーの診断薬。
[7] 配列番号1~5のいずれかにより表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(ただし鳥類の卵白オボムコイドは除く)を含む卵アレルギーの診断用キット。
[8] 配列番号1~5のいずれかにより表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(ただし鳥類の卵白オボムコイドは除く)を被験試料と接触させ、被験試料中の前記ポリペプチドに対する抗体を抗原抗体反応によって検出することを特徴とする、卵アレルギーの診断方法。
[9] 工程(a)~(d)を含む、アレルギー疾患の診断薬のスクリーニング方法。
(a)診断対象のアレルギー疾患のアレルゲンに特異的なIgEを有し且つアレルギー症状を示す患者の前記IgEにより認識されるエピトープのアミノ酸配列(1)を決定する工程
(b)診断対象のアレルギー疾患のアレルゲンに特異的なIgEを有し且つアレルギー症状を示さない患者の前記IgEにより認識されるエピトープのアミノ酸配列(2)を決定する工程
(c)アミノ酸配列(1)とアミノ酸配列(2)とを比較する工程、および
(d)アミノ酸配列(1)とアミノ酸配列(2)とが相違する場合に、アミノ酸配列(1)を含むポリペプチドを選択する工程
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリペプチドを用いて卵アレルギーの診断を行えば、被験者に対し、食物負荷試験における身体的負担を与えることなく、迅速且つ高い信頼度で卵アレルギーを診断することができる。高い信頼度でアレルギー診断が行われることにより、現在のRAST法による過剰診断を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1.エピトープポリペプチド
卵アレルギーのアレルゲンである卵白オボムコイドにおいて、オボムコイドに特異的なIgEを有し且つアレルギー症状を示す患者の前記IgEにより認識されるが、オボムコイドに特異的なIgEを有し且つアレルギー症状を示さない患者の前記IgEによっては認識されないエピトープのアミノ酸配列として、Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号1)、Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号3)、Gly-Gly-Cys-Arg-Lys-Glu-Leu-Ala-Ala-Val(配列番号5)で表されるアミノ酸配列が挙げられる。
【0012】
本発明に用いる「Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号1)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」は、配列番号1で表されるアミノ酸配列を少なくとも部分配列として含んでいる限り、そのアミノ酸残基数は特に限定されない(ただし鳥類(例えばニワトリ)の卵白オボムコイドは除く)。配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドとして特に好ましいものは、Pro-Val-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr-Tyr(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。配列番号1または2で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、典型的にはアミノ酸残基数20以下のポリペプチドであり、より典型的にはアミノ酸残基数13以下のポリペプチドであり、最も好ましくは、それぞれ配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。かかるポリペプチドは、鳥類の卵白オボムコイドに特異的なIgEを有し且つ卵アレルギーの症状を示す患者の前記IgEと結合するが、鳥類の卵白オボムコイドに特異的なIgEを有し且つ卵アレルギーの症状を示さない患者の前記IgEとは結合しない。
【0013】
本発明に用いる「Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号3)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を少なくとも部分配列として含んでいる限り、そのアミノ酸残基数は特に限定されない(ただし鳥類(例えばニワトリ)の卵白オボムコイドは除く)。配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドとして特に好ましいものは、Arg-Pro-Ile-Cys-Gly-Thr-Asp-Gly-Val-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。配列番号3または4で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、典型的にはアミノ酸残基数20以下のポリペプチドであり、より典型的にはアミノ酸残基数13以下のポリペプチドであり、最も好ましくは、それぞれ配列番号3または4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。かかるポリペプチドもまた、鳥類の卵白オボムコイドに特異的なIgEを有し且つ卵アレルギーの症状を示す患者の前記IgEと結合するが、鳥類の卵白オボムコイドに特異的なIgEを有し且つ卵アレルギーの症状を示さない患者の前記IgEとは結合しない。
【0014】
本発明に用いる「Gly-Gly-Cys-Arg-Lys-Glu-Leu-Ala-Ala-Val(配列番号5)で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」は、配列番号5で表されるアミノ酸配列を少なくとも部分配列として含んでいる限り、そのアミノ酸残基数は特に限定されない(ただし鳥類(例えばニワトリ)の卵白オボムコイドは除く)。配列番号5で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、典型的にはアミノ酸残基数20以下のポリペプチドであり、より典型的にはアミノ酸残基数13以下のポリペプチドであり、最も好ましくは、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。かかるポリペプチドもまた、鳥類の卵白オボムコイドに特異的なIgEを有し且つ卵アレルギーの症状を示す患者の前記IgEと結合するが、鳥類の卵白オボムコイドに特異的なIgEを有し且つ卵アレルギーの症状を示さない患者の前記IgEとは結合しない。
【0015】
本明細書において「配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」、「配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」あるいは「配列番号5で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド」を単に「エピトープポリペプチド」と称する場合がある。
【0016】
本発明のエピトープポリペプチドは公知のペプチド合成方法、例えば全自動ペプチド合成装置を用いた方法により製造することができる。
【0017】
本発明のエピトープポリペプチドは、必要に応じて塩の形態、好ましくは生理学的に許容される酸付加塩の形態であってもよい。そのような塩としては、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)の塩、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)の塩等が挙げられる。
【0018】
2.エピトープポリペプチドを用いた卵アレルギーの診断方法、診断薬、診断用キット
本発明のエピトープポリペプチドは被験者の体液(例えば、血清)中の、卵アレルギーを発症する患者のみに存在する抗卵白オボムコイド抗体を認識し、結合する機能を有する。従って、本発明のエピトープポリペプチドは卵アレルギーの診断薬として利用できる。
【0019】
本発明のエピトープポリペプチドを被験試料と接触させ、該被験試料に存在する前記抗体を検出、定量することによって卵アレルギーの診断を行うことができる。
【0020】
被験試料としては、鳥類(例えばニワトリ)の卵白オボムコイドに対する抗体が検出可能なものであればいかなるものでもよいが、例えば、被験者から単離された血液、血漿、血清、滑膜液、リンパ液、関節液、腹水、唾液、髄液、およびこれらから得られた分画成分などが挙げられる。
【0021】
本発明において「診断」とは、被験者が卵アレルギーに羅患しているか否かの判定、将来的に卵アレルギーに羅患する危険性が存在するか否かの判定、治療の効果の判定、および治療後に卵アレルギーを再発する危険性が存在するか否かの判定を意味する。また、診断には、卵アレルギーの羅患やその危険性がどの程度であるか測定することも含まれる。
【0022】
本発明の診断薬を用いて卵アレルギーを診断する方法としては、エピトープポリペプチドと被験試料中の抗体との抗原抗体反応に基づく物理量の変化を検出することができる方法であればその形態は特に限定されない。例えば、標識免疫測定試薬で行われているように標識物質を利用して発色、発光、蛍光として上記抗原抗体反応を検出する方法、免疫学的凝集試薬で行われているように不溶性担体の凝集として目視や濁度により上記抗原抗体反応を検出する方法などのイムノアッセイが採用できる。
【0023】
イムノアッセイの具体例としては、酵素免疫測定法(Enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)、放射免疫測定法(radioimmunoassay:RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ゲル内沈降反応(Ouchterlony法、免疫電気泳動法、single radial immunodiffusion法など)、免疫比濁法、粒子凝集反応法等が挙げられる。
【0024】
上記の方法の中において、エピトープポリペプチドは固相担体に固定化された形態で用いることができる。このとき、使用できる固相担体とは、上記抗原抗体反応の反応系で溶媒に不溶な担体であれば、その材質及び形状は特に制限されず、公知の固相担体が使用できる。固相担体の形状としては、使用目的に応じて適宜の形状を選択すれば良く、例えば、テストプレート状、ビーズ状、球状、ディスク状、チューブ状、フィルター状等が挙げられる。また、その材質としては、通常の免疫測定法用担体として用いられるもの、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド等の合成樹脂、または、これらに公知の方法によりスルホン酸基、アミノ基などの反応性官能基を導入したもの、ガラス、多糖類、シリカゲル、多孔性セラミックス、金属酸化物、赤血球等が例示できる。
【0025】
固相担体へのエピトープポリペプチドの固定化方法は、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、架橋法などの公知の方法が使用できるが、操作の容易さ、再現性等の観点からは物理的吸着法を用いるのが好ましく、感度の点からは共有結合法を用いるのが好ましい。
【0026】
イムノアッセイに用いる標識物質としては、蛍光物質、発光物質、色素、酵素、補酵素、あるいはラジオアイソトープ等が挙げられる。なかでも、アルカリホスファターゼやパーオキシダーゼのような酵素標識は、安全性や経済性に優れ、しかも必要な感度を比較的容易に達成できる上で好ましい。標識物質は、エピトープポリペプチドや該エピトープポリペプチドに結合する抗体に対する二次抗体に直接結合して標識することができる。あるいは標識物質を認識する抗体やアビジン-ビオチン系などを利用して間接標識することもできる。
【0027】
本発明の診断薬は、必要な試薬とともにキット化することもできる。ELISA用の試薬キットの場合は、構成試薬としては、例えば、本発明のエピトープポリペプチド、酵素標識した二次抗体、基質液などを含有する。エピトープポリペプチドは予め固相に固定化されていてもよく、あるいは使用時に固相に固定化する形態であってもよい。この場合、試薬キットに、エピトープポリペプチドを固定化するための固相が含まれていてもよい。また、凝集反応用の試薬キットの場合は、エピトープポリペプチドを固定化した担体粒子を含有する。
【0028】
上記の構成試薬の他に、標準試料、緩衝液、溶解液、洗浄液、反応停止液、使用説明書などが含まれていてもよい。上記各構成試薬は、懸濁液、溶液、または凍結乾燥品の形態とすることができる。
【0029】
また、本発明のエピトープポリペプチドは、これらの複数種を高密度に貼り付けたプロテインチップ(プロテインアレイ)としてよく、このようなプロテインチップも本発明の診断キットに含まれる。この場合、キットには、質量分析計、測定・解析に必要なソフト、該ソフトを導入したコンピューターなどが含まれていてよい。
【0030】
3.アレルギー疾患の診断薬のスクリーニング方法
本発明者はまた、以下の工程(a)~(d)を含む、アレルギー疾患の診断薬のスクリーニング方法に関する。
(a)診断対象のアレルギー疾患のアレルゲンに特異的なIgEを有し且つアレルギー症状を示す患者の前記IgEにより認識されるエピトープのアミノ酸配列(1)を決定する工程
(b)診断対象のアレルギー疾患のアレルゲンに特異的なIgEを有し且つアレルギー症状を示さない患者の前記IgEにより認識されるエピトープのアミノ酸配列(2)を決定する工程
(c)アミノ酸配列(1)とアミノ酸配列(2)とを比較する工程、および
(d)アミノ酸配列(1)とアミノ酸配列(2)とが相違する場合に、アミノ酸配列(1)を含むポリペプチドを選択する工程
【0031】
工程(a)および(b)におけるエピトープのアミノ酸配列の決定は常法により行うことができる。具体的には、実施例で採用しているPIN-ELISA法やSPOTs assay法等がある。PIN-ELISA法はFmoc法で合成したペプチドをポリプロピレン製のピン上に固定する方法である。SPOTs assay法は膜上に合成したペプチドを固定する方法である(Lai H.Y., Tam M.F., Chou H., Lee S.S., Tai H.Y., and Shen H.D. Molecular and structural analysis of immunoglobulin E-binding epitopes of Pen ch 13, an alkaline serine protease major allergen from Penicillium chrysogenum. Clin Exp Allergy. 2004; 34: 1926-1933)。
【実施例】
【0032】
本実施例において、アレルゲン上でエピトープポリペプチドを特定する方法には、PIN-ELISA法を用いた。PIN-ELISA法はFmoc法で合成したペプチドをポリプロピレン製のピン上に固定する方法であるが、アレルゲン上のエピトープを特定するために頻用されている方法のひとつである。PIN-ELISA法以外のエピトープを特定する方法としては、膜上に合成したペプチドを固定するSPOTs assay法などがある。また、固定するペプチドについても、受託合成や、ファージや大腸菌に目的の遺伝子を組み込み、ペプチドを発現させるなど様々である。本発明において、エピトープ特定方法については、PIN-ELISA法に限らず、慣用のエピトープ特定法で実施可能である。
【0033】
卵白の主要なアレルゲンであるオボムコイドのアミノ酸配列を基に、2残基ずらしのデカペプチドを89本、ポリプロピレン製のピンの上に合成した。ペプチド合成はMultipin Peptide Synthesis Kit(Chiron社製)を用いた。ピン上へのペプチドの合成の一部を表1に示す。
【0034】
【表1】
JP0004961577B2_000002t.gif

【0035】
ペプチドを合成するにあたり、使用する試薬の調製を以下のように行った。先ず、活性化した4Aモレキュラーシーブス(和光社製、1/15インチ、ビーズ)200gをN,N-ジメチルホルムアミド(和光社製、ペプチド合成用)2.5Lに加え、暗所に静置した。3日後にボトルを揺り動かすことによってモレキュラーシーブスを攪拌し、さらに暗所に4日間静置してN,N-ジメチルホルムアミドを精製した。N,N-ジメチルホルムアミドを使用する際は、ガラスファイバーフィルター(Whatman社製、GF/A)でろ過し、更に遊離アミンのレベルをFDNB(1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、和光社製)テストによって確認した。
【0036】
FDNBテストは次のように行った。FNDB32.5μlを95%エタノール50mlに加えよく攪拌した後、FDNB溶液とした。このFDNB溶液を1mlに被検N,N-ジメチルホルムアミドを同量加えて攪拌し、正確に30分間静置した後、381nmにおける吸光度を測定した。被検N,N-ジメチルホルムアミド/FDNB溶液の吸光度が0.150以下の場合、ペプチド合成におけるアミノ酸の溶媒として使用した。
【0037】
合成過程におけるカップリング反応進行の指示薬の調製は次のように行った。ブロモフェノールブルー(和光社製)33.5mgを精製N,N-ジメチルホルムアミド5mlに溶解した溶液を保存溶液とし、4℃で保存した。この保存溶液を使用する時には、カップリング反応に用いるアミノ酸溶液に対して1:200になるよう希釈して使用した。
【0038】
アミノ基を保護しているFmoc(9-fluorenyl methyl carbonyl)の脱修飾に必要な20%ピペリジン/N,N-ジメチルホルムアミド(V/V)の調製は次のように行った。ピペリジン(和光社製、ペプチド合成用)200mlに未精製のN,N-ジメチルホルムアミド(和光社製、試薬特級)を加え、1Lに定容した後、暗所で保存した。
【0039】
ピンの脱Fmoc修飾及び洗浄を行った。先ず、ピンペプチドキットのギア付ピンを20%ピペリジン/ N,N-ジメチルホルムアミド溶液(V/V)に浸して室温で20分間静置し、脱Fmoc修飾を行った。次に、N,N-ジメチルホルムアミド溶液にギア部を浸し、室温で2分間ギア部分の洗浄を2回行った後、メタノール中にブロックを2分間浸した。その後、再び新しいメタノール中にギア部を十分に浸し、2分間の洗浄を行った。この操作を3回行った後、ブロックを完全に乾燥させた。
【0040】
ペプチド合成において用いた20種類のアミノ酸(ペプチド研究所社製)は、αアミノ基を9-fluorenyl methyl carbonyl(Fmoc)基によって修飾されていた。また、Ser、Thr、Tyrのヒドロキシル基についてはt-butyl ehter、Asp、Gluのβ及びγカルボキシル基についてはt-butyl ehter、Lysのブチルアンモニウム基についてはt-butoxycarbonyl、Hisのイミダゾール基とCysのチオール基についてはtrityl、Argのグアニジル基については2,2,5,7,8-pentamethylchroman-6-sulfonylで修飾されていた。ペプチドの合成に必要な試薬量等は、Multipin Peptide Synthesis Kit付属のソフトウェアで計算し、作製されたワークシートにしたがって実行した。
【0041】
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(同仁化学社製)、及びジイソプロピルカルボジイミド(和光社製、ペプチド合成用)に、精製N,N-ジメチルホルムアミドをワークシートに従いそれぞれ加えた。更に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールには200倍濃度のブロモフェノールブルー保存溶液を加え、完全に溶解した。次にFmoc-アミノ酸にラセミ化防止剤である、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール/精製N,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え完全に溶解した。その後、ジイソプロピルカルボジイミド/精製N,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え混合し、Fmoc-アミノ酸溶液の活性化を行った。アミノ酸の活性化はADEFGIMPSTVYWQNKCHRの順に行い、活性化後はすぐに、ワークシートに指定されたポリプロピレン製のカップリング反応トレイのウェルに150μlずつ分注した。
【0042】
脱Fmoc修飾しておいたブロックのピンを、反応トレイのFmoc-アミノ酸溶液中に浸した。次にブロックを反応トレイごと密閉可能なポリプロピレン製の容器に入れ、1晩カップリング反応を行った。ブロモフェノールブルー指示薬の黄色が消えることにより、カップリング反応が終了したことを確認した。
【0043】
カップリング反応終了後、メタノール中にブロックのピンを、ピンの高さの半分まで浸し、激しく振とうしながら5分間の洗浄を行った。その後、ピンに残ったメタノールを振り払い、ドラフト内で2分間、空気乾燥を行った。続いて、N,N-ジメチルホルムアミド溶液中にブロックのピンを、ピンの高さの半分まで浸し、激しく振とうしながら5分間の洗浄を行った。これまでの操作でピンに1つ目のアミノ酸が結合したことになる。これまでの操作を1サイクルとし、すぐに次の合成サイクルを始め、目的のデカペプチドが合成されるまで、これと同様の操作を9回繰り返した。
【0044】
デカペプチドの10残基目のアミノ酸についてカップリング反応終了後、上記と同様にピンの洗浄を行った。続いて、上記と同様に脱Fmoc修飾、及び洗浄を行い、ドラフト内でピンを乾燥させた。
【0045】
次に、トリフルオロ酢酸(和光社製、ペプチド合成用):エタンジチオール(和光社製):アニソール(和光社製)=38:1:1(V/V/V)の混合溶液中にブロックのピンを、ピンの高さの半分まで浸し、2.5時間室温で静置した。反応後、ピンを溶液中から取り出し、すぐに十分な量のメタノール中に10分間浸した。その後、ブロックに残ったメタノールを振り払い、0.5%酢酸含有メタノール:蒸留水=1:1(V/V)の溶液中に1時間浸した。その後、新しいメタノール中に2分間、浸け置き洗浄を2回繰り返した。その後、ブロックに残ったメタノールを振り払い、ドラフト内でブロックを一晩空気乾燥いた。これで目的とするデカペプチドの合成が終了した。
【0046】
合成デカペプチドに対する血清中のオボムコイド特異的IgEの結合性を検討するため、PIN-ELISAをMultipin Peptide Synthesis Kitの製品マニュアルで推奨される条件に従って行った。96穴マイクロプレート (Nunc社製)に5%(W/V)スキムミルク(雪印社製)含有PBSを200μl/wellずつ分注した。その中にピンのギア部を浸し、4℃で1晩のブロッキングを行った。0.5%スキムミルク含有PBSにて10倍希釈した患者血清を、ブロッキングに用いたものとは別の新しい96穴マイクロプレートに150μl/wellずつ分注した。その中にピンのギア部を浸し、7℃で24時間緩やかに振とうしながら反応させた。PBSを150ml入れたタッパー内でピンを激しく振とうしながら10分間の洗浄を4回行った後、0.5%スキムミルク含有PBSで6,000倍に希釈したMouse anti-human IgE + Alkaline phosphate conjugatedを添加し、37℃、1時間インキュベートを行った。PBSを150ml入れたタッパー内でピンを激しく振とうしながら10分間の洗浄を4回行った後、p-Nitrophenyl phosphate (Roche Diagnostics社製)を0.5mMMgCl2(和光社製)含有10%(V/V)diethanolamine buffer (pH9.8)に1mg/mlで溶解し、新しい96穴マイクロプレートに200μl/wellずつ分注した。その中にピンのギア部を浸し、37℃で45分間緩やかに振とうしながら発色を行った。発色後、マイクロプレートリーダー(BIO RAD社製)にて405-490nmにおける吸光度を測定した。
【0047】
RAST陽性且つ食物負荷試験陰性の患者2人をグループIとし、RAST陽性且つ食物負荷試験陽性の患者4人をグループIIとした。両グループの患者血清を用い、前段落記載のPIN-ELISA法により各ペプチドに対する血清中のIgEの反応性を測定した。その結果を図1・2に示す。ピンの発色の程度を示す基準として、89本のピンの吸光度の「平均値+標準偏差」を基準値と定め、この値以上の吸光度を示したペプチドをPIN-ELISA陽性とした。これはPIN-ELISA法でよく使用される判断基準である(Spuergin P, Mueller H, Walter M, Schiltz E, Foster J. Allergenic epitopes of bovine αs1-casein recognized by human IgE and IgG. Allergy 1996; 51: 306-312.およびHeinzmann A, Blattmann S, Spuergin P, Forster J, Dwichmann KA. The recognition pattern of sequential B cell epitopes of β-lactogloblin does not vary with the clinical manifestations of cow’s milk allergy. Int Arch Allergy Immunol 1999; 120: 280-286参照)。また、更に、89本のピンの吸光度の平均値を新たに基準値とし、この値以上の発色を示したペプチドをPIN-ELISA準陽性と定義した。
【0048】
PIN-ELISAの結果より、グループI、グループIIに含まれる全患者のエピトープマッピングを行った。エピトープマッピングの方法の一例を表2に示す。
【0049】
【表2】
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【0050】
P4のペプチドと比較してP5 のペプチドが反応性を増加させ準陽性を示したのは、アミノ酸KDが新たに加わったからであり、IgEがP5と結合する上で、これらのアミノ酸が重要であると考えられた。P6は、P5よりも強く反応し陽性を示したため、新たに加わったアミノ酸VLも重要であると考えられる。P6と似たアミノ酸配列を持つP7がP6と比較して、その反応性が低下したのは、アミノ酸ATがなくなったためであることから、ATも重要であると考えられた。また、KDはP7にも存在するが、このペプチドにIgEの結合は見られない。同様にATはP4にも存在するがP4にIgE結合は認められない。このことから、ATとKDが同時に存在するときペプチドは患者IgEと結合し、そこにVLが加わると患者IgEとの結合はより強くなるものと思われる。以上の理由から、これらのアミノ酸を含んだ部分をエピトープと考えた。
【0051】
決定した患者血清中IgEが認識するオボムコイド上のエピトープを図3に示す。上からそれぞれオボムコイドのドメイン1、2、3を示している。最も上の行にアミノ酸番号、その下に対応するアミノ酸を示している。また、PIN-ELISA陽性を示したペプチドに対応するエピトープ部分を濃く塗りつぶし、PIN-ELISA準陽性のペプチドに対応するエピトープ部分を薄く塗りつぶして表示した。
【0052】
図3より、グループIIの全患者で認識されるエピトープのうち、グループIの患者からは認識されないエピトープが3カ所存在することが明らかになった。図3では、これらの部分をそれぞれ円で囲み、A部、B部、C部とした。A部のアミノ酸配列はRPICGTDGVT、B部のそれはPVCGTDGVTY、C部はGGCRKELAAVであり、合成した89本のペプチドのうちP14、P47、P63 にそれぞれ相当する部分であった。このうちA部とB部のアミノ酸配列には高いホモロジーが認められた。
【0053】
PIN-ELISA法では、陽性基準として全てのペプチドの吸光度から求めた「平均吸光度+標準偏差」という計算上の数値を利用した。しかし、患者によって、その基準値は異なる。そこで、どの患者においても常に「平均吸光度+標準偏差」に対して一定の割合で発色するペプチドを、今回使用した89本の中から探索したところ、P12(NKDLRPICGT)が該当した。そこで、P14、P47、P63の各ペプチドに対する吸光度をP12に対する吸光度で除し、P12に対する倍率を求めた。その結果を図4に示す。縦軸は、上記のように算出した「12番のペプチドに対する吸光度の倍率」を示しており、横軸は比較の対象となったペプチドの番号を示している。
【0054】
図4より、グループIの患者血清中のIgEはP14、P47、P63に対する反応性が小さく、P12に対する発色の0.5倍以下であった。しかし、グループIIの患者血清中のIgEはP14、P47、P63に対する反応性が高く、P12に対する発色の1.0倍以上の発色を示した。グループIとIIとの間には、明らかな有意差が認められ、p値は、P14を用いた場合0.0062、P47を用いた場合0.0084、P63を用いた場合0.0117であった。こうしたことから、本発明により、食物摂取試験と相関する血液検査が実施可能であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】グループIの患者由来の血清を用いて行ったPIN-ELISA結果のうち、最も典型的な実験結果を示した図である。横軸はペプチドの番号を示しており、縦軸は吸光度を示している。また、図の中に見られる実線は89本のピンの吸光度の平均値+標準偏差の値であり、これより高い発色を示したペプチドをPIN-ELISA陽性と定義している。また、図の中に示した破線は89本のピンの吸光度の平均値であり、これより高い発色を示したペプチドをPIN-ELISA準陽性と定義している。3本の矢印は、図2と比較した際に、グループIIの患者血清IgEは反応するが、グループIの患者IgEは反応しないペプチドを示している。
【図2】グループIIの患者由来の血清を用いて行ったPIN-ELISA結果のうち、最も典型的な実験結果を示した図である。横軸はペプチドの番号を示しており、縦軸は吸光度を示している。また、図の中に見られる実線は89本のピンの吸光度の平均値+標準偏差の値であり、これより高い発色を示したペプチドをPIN-ELISA陽性と定義している。また、図の中に示した破線は89本のピンの吸光度の平均値であり、これより高い発色を示したペプチドをPIN-ELISA準陽性と定義している。3本の矢印は、図1と比較した際に、グループIの患者IgEは反応しないが、グループIIの患者血清IgEは反応するペプチドを示している。
【図3】グループI、IIの患者のPIN-ELISA結果から、それぞれの患者の血清中IgEが認識するオボムコイド上のエピトープを決定し、まとめたものである。上からそれぞれオボムコイドのドメイン1、2、3を示している。最も上の行にアミノ酸番号、その下に対応するアミノ酸を示している。また、PIN-ELISA陽性を示したペプチドに対応するエピトープ部分を濃く塗りつぶし、PIN-ELISA準陽性のペプチドに対応するエピトープ部分を薄く塗りつぶして示している。さらに、グループI、IIで認識の異なるエピトープ部分を円で囲い、それぞれA部、B部、C部としている。
【図4】P14、P47、P63の各ペプチドに対する各患者血清IgEの反応性を測定して得られた吸光度をP12に対する吸光度で除し、P12に対する倍率を示している。縦軸は、P12のペプチドに対する吸光度の倍率を示しており、横軸は比較の対象となったペプチドの番号(P14、P47、P63)を示している。グループIの結果を黒の塗りつぶしで示し、グループIIの結果を灰色の塗りつぶしで示している。更に、両者間の有意差をp値で示している。

【配列表フリ-テキスト】
【0056】
配列番号1:合成ペプチド
配列番号2:合成ペプチド
配列番号3:合成ペプチド
配列番号4:合成ペプチド
配列番号5:合成ペプチド
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3