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明細書 :配線およびその製造方法ならびにそれらを用いた電子部品と電子機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4848502号 (P4848502)
公開番号 特開2007-220463 (P2007-220463A)
登録日 平成23年10月28日(2011.10.28)
発行日 平成23年12月28日(2011.12.28)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
発明の名称または考案の名称 配線およびその製造方法ならびにそれらを用いた電子部品と電子機器
国際特許分類 H01B   1/00        (2006.01)
H05K   1/09        (2006.01)
H05K   3/12        (2006.01)
H01B  13/00        (2006.01)
H01B   1/22        (2006.01)
C09C   1/62        (2006.01)
C09C   3/12        (2006.01)
FI H01B 1/00 E
H05K 1/09 A
H05K 3/12 610B
H01B 13/00 503Z
H01B 1/22 A
C09C 1/62
C09C 3/12
請求項の数または発明の数 7
全頁数 13
出願番号 特願2006-039271 (P2006-039271)
出願日 平成18年2月16日(2006.2.16)
審査請求日 平成20年11月13日(2008.11.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】小川 一文
【氏名】副島 和博
個別代理人の代理人 【識別番号】100139262、【弁理士】、【氏名又は名称】中嶋 和昭
審査官 【審査官】佐武 紀子
参考文献・文献 特開2003-168606(JP,A)
特開平01-261469(JP,A)
特開平07-109501(JP,A)
特開平08-259847(JP,A)
調査した分野 H01B 1/00-24
H01B 13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子と、前記第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子が混合され、前記第1の反応性官能基と前記第2の反応性官能基との反応により形成された共有結合を介して結合し、硬化成形されていることを特徴とする配線。
【請求項2】
表面に共有結合した前記第1および第2の有機薄膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする請求項記載の配線。
【請求項3】
エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択され、前記第1および第2の反応性官能基の一方または双方と反応する第3の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第3の反応性有機薄膜で被われた基材の表面に、混合された前記第1および第2の反応性金属微粒子の一方または双方が、前記第1および第2の反応性官能基の一方または双方と前記第3の反応性官能基との反応により形成された共有結合を介して結合し、硬化成形されていることを特徴とする請求項1または2記載の配線。
【請求項4】
少なくとも、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を含む第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に金属微粒子を分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させ、一端に前記第1の反応性官能基を含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子を製造する工程と、
少なくとも、前記第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を含む第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に金属微粒子を分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させ、一端に前記第2の反応性官能基を含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子を製造する工程と、
前記第1の反応性金属微粒子と、前記第2の反応性金属微粒子とを溶媒と混合してペースト化する工程と、
前記ペーストを基材表面に塗布し、前記第1および第2の反応性金属微粒子の塗膜を形成する工程と、
前記第1および第2の反応性官能基を反応させ、前記塗膜を硬化させる工程とを含むことを特徴とする配線の製造方法。
【請求項5】
あらかじめ、前記ペーストを塗布前の基材表面に、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択され、前記第1および第2の反応性官能基の一方または双方と反応する第3の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第3の反応性有機薄膜を結合形成しておくことを特徴とする請求項記載の配線の製造方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項記載の配線のいずれか一方または双方を用いた電子部品。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項記載の配線のいずれか一方または双方を用いた電子機器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、配線およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、金属微粒子の表面に熱反応性または光反応性、あるいは、ラジカル反応性またはイオン反応性を付与した導電性微粒子を含む導電性ペーストを用いて作製した配線とその製造方法、さらにそれらを用いた電子部品や電子機器に関するものである。
【0002】
本発明において、「金属微粒子」には、金、銀、銅、ニッケル、あるいは、銀メッキした貴金属や銅、ニッケルの金属微粒子、さらに導電性の金属酸化物微粒子であるITOやSnOが含まれる。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクス産業では、従来から、金ペーストや銀ペースト等導電性ペーストを塗布焼結した配線が数多く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のようなバインダーを含む導電性ペーストを焼結した配線では、高温で焼結しないと高導電性が得られなかった。また、高温で焼結しようとすると基材が耐熱基材に限定された。さらにまた、配線と基材表面は結合してないため耐剥離性に問題があった。例えば、かかる参考特許として以下のものがある。
<patcit num="1"><text>特開2004-356053号公報</text></patcit>
【0005】
本発明は、従来の焼結配線に比べて、導電性ペーストの焼結温度を低くでき、且つ導電性ペーストを硬化した配線でありながらバインダーを用いないで硬化することにより、より電導度が高い配線を形成できる基材接着性に優れた導電性ペースト用いた配線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(削除)
【0007】
(削除)
【0008】
(削除)
【0009】
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【0010】
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【0011】
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【0012】
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【0013】
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【0014】
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【0015】
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【0016】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子と、前記第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子が混合され、前記第1の反応性官能基と前記第2の反応性官能基との反応により形成された共有結合を介して結合し、硬化成形されていることを特徴とする配線である。
【0017】
(削除)
【0018】
(削除)
【0019】
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【0020】
の発明は、第の発明において、表面に共有結合した前記第1および第2の有機薄膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする配線である。
【0021】
の発明は、第の発明またはの発明において、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択され、前記第1および第2の反応性官能基の一方または双方と反応する第3の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第3の反応性有機薄膜で被われた基材の表面に、混合された前記第1および第2の反応性金属微粒子の一方または双方が、前記第1および第2の反応性官能基の一方または双方と前記第3の反応性官能基との反応により形成された共有結合を介して結合し、硬化成形されていることを特徴とする配線である。
【0022】
第四の発明は、少なくとも、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を含む第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に金属微粒子を分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させ、一端に前記第1の反応性官能基を含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子を製造する工程と、少なくとも、前記第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を含む第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に金属微粒子を分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させ、一端に前記第2の反応性官能基を含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子を製造する工程と、前記第1の反応性金属微粒子と、前記第2の反応性金属微粒子とを溶媒と混合してペースト化する工程と、前記ペーストを基材表面に塗布し、前記第1および第2の反応性金属微粒子の塗膜を形成する工程と、前記第1および第2の反応性官能基を反応させ、前記塗膜を硬化させる工程とを含むことを特徴とする配線の製造方法である。
【0023】
の発明は、第の発明において、あらかじめ、前記ペーストを塗布前の基材表面に、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択され、前記第1および第2の反応性官能基の一方または双方と反応する第3の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第3の反応性有機薄膜を結合形成しておくことを特徴とする配線の製造方法である。
【0024】
の発明は、第一の発明から第三の発明のいずれかに係る配線を用いた電子部品である。
【0025】
の発明は、第一の発明から第三の発明のいずれかに係る配線を用いた電子機器である。
さらに、本発明に関してその要旨を説明する。
【0026】
本発明は、金属微粒子を少なくともアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させることにより、金属微粒子表面に共有結合した分子で構成する有機薄膜を形成し、金属微粒子本来の導電機能をほぼ保ったままで、表面に反応機能を付与した金属微粒子を作成し、さらに有機溶媒でペースト化した導電性ペーストを提供することを要旨とする。
【0027】
また、金属微粒子を化学吸着液に分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させる工程の後、金属微粒子表面を有機溶剤で洗浄して金属微粒子表面に共有結合した単分子膜で被うことにより、金属微粒子本来の形状と導電機能をほぼ完全に保ったままで反応機能を付与した金属微粒子を有機溶媒でペースト化した導電性ペーストを提供することを要旨とする。
【0028】
このとき、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることも可能である。一方、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いること反応時間を短縮できて都合がよい。
【0029】
また、表面に共有結合した第1および第2の反応性有機薄膜が、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1および第2の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して金属微粒子表面に共有結合する分子で構成されているので、導電性ペーストの硬化を速やかにできて都合がよい。
【0030】
また、表面に共有結合した有機薄膜を単分子膜で構成しておくと、硬化の際、導電性ペースト密度を高くする上で都合がよい。
【0031】
さらにまた、本発明は、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子と、前記第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子が混合され、前記第1の反応性官能基と前記第2の反応性官能基との反応により形成された共有結合を介して結合し、硬化成形されていることを特徴とする配線を提供することを要旨とする。
【0032】
このとき、表面に共有結合した第1および第2の反応性有機薄膜が、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1および第2の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して金属微粒子表面に共有結合する分子で構成されているので、金属微粒子に直接反応性を付与する上で都合がよい。
また、反応性官能基が熱反応性または光反応性、あるいは、ラジカル反応性またはイオン反応性官能基であるので、ペーストを熱固化あるいは、光硬化する上で都合がよい。
【0033】
さらに、反応性官能基が熱反応性のエポキシ基やイミノ基、あるいは、光反応性のカルコン基であるので、硬化温度を低減できて都合がよい。
さらにまた、表面に共有結合した有機薄膜を単分子膜で構成しておくと、配線の導電性を向上する上で都合がよい。
【0034】
一方、ペーストを塗布前の基材表面に、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択され、第1および第2の反応性官能基の一方または双方と反応する第3の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第3の反応性有機薄膜を結合形成しておくと、金属微粒子の表面の第1または第2の反応性官能基と基材表面の第3の反応性官能基と反応する官能基が反応して、基材表面に金属微粒子が前記それぞれの有機薄膜を介して共有結合するので、配線の基材に対する接着性能を向上できて都合がよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、導電性ペーストが硬化した配線でありながら、従来の焼結配線に比べてより低抵抗の導電性ペースト硬化配線を提供できる格別な効果がある。また、耐剥離性能も向上できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、少なくとも、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を含む第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に金属微粒子を分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させ、一端に前記第1の反応性官能基を含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子を製造する工程と、少なくとも、第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を含む第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に金属微粒子を分散させてアルコキシシラン化合物と金属微粒子表面を反応させ、一端に第2の反応性官能基を含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子を製造する工程と、第1の反応性金属微粒子と、第2の反応性金属微粒子とを溶媒と混合してペースト化する工程と、ペーストを基材表面に塗布し、第1および第2の反応性金属微粒子の塗膜を形成する工程と、前記第1および第2の反応性官能基を反応させ、前記塗膜を硬化させる工程とにより、エポキシ基、イミノ基、およびカルコニル基からなる群より選択される第1の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第1の反応性有機薄膜で被われた第1の反応性金属微粒子と、第1の反応性官能基が、エポキシ、イミノ基、カルコニル基である場合、それぞれ、イミノ基、エポキシ基、およびカルコニル基である第2の反応性官能基を一端に含み、他端でSi原子を介して表面に共有結合した第2の反応性有機薄膜で被われた第2の反応性金属微粒子が混合され、第1の反応性官能基と第2の反応性官能基との反応により形成された共有結合を介して結合し、硬化成形されている配線を提供するものである。
【0037】
したがって、本発明には、金属微粒子本来の形状と導電機能をほぼ完全に保ったままで金属微粒子そのものの表面に反応性を付与したバインダーを含まない導電性ペースト、さらに、その機能を用いて導電性ペーストを成形硬化した高性能配線やそれらを用いた電子部品や電子機器を提供でき作用がある。
【0038】
以下、本願発明の詳細を実施例を用いて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0039】
なお、本発明に関する金属微粒子には、金、銀、銅、ニッケル、あるいは、銀メッキした貴金属や銅、ニッケルの微粒子があるが、まず、代表例として銀微粒子を取り上げて説明する。
【実施例1】
【0040】
まず、粒径が500nm程度の無水の銀微粒子1を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性官能基、例えば、エポキシ基あるいは、イミノ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、下記式(化1)あるいは、(化2)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチルスズジアセチルアセトナート、あるいは、有機酸である酢酸を1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサンとジメチルホルムアミド(50:50)混合溶媒に1重量%程度の濃度(好ましい化学吸着剤の濃度は、0.5~3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0041】
【化1】
JP0004848502B2_000002t.gif

【0042】
【化2】
JP0004848502B2_000003t.gif

【0043】
この吸着液に無水の銀微粒子を混入撹拌して普通の空気中で(相対湿度45%)で2時間反応させた。このとき、無水の銀微粒子表面には水酸基2が多数含まれているの(図1a)で、前記化学吸着剤の-Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒、あるいは、有機酸である酢酸の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記式(化3)あるいは、(化4)に示したような結合を形成し、銀微粒子表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜3あるいは、アミノ基を含む化学吸着膜4が約1ナノメートル程度の膜厚で形成された(図1b、1c)。
【0044】
なお、ここで、アミノ基を含む吸着剤を使用する場合には、スズ系の触媒では沈殿が生成するので、酢酸等の有機酸を用いた方がよかった。また、アミノ基はイミノ基を含んでいるが、アミノ基以外にイミノ基を含む物質には、ピロール誘導体や、イミダゾール誘導体等がある。さらに、ケチミン誘導体を用いれば、被膜形成後、加水分解により容易にアミノ基を導入できた。
その後、塩素系溶媒を添加して撹拌洗浄する(本実施例では、クロロホルムを用いた。)と、表面に反応性官能基、例えばエポキシ基あるいは、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子をそれぞれ作製できた。
【0045】
【化3】
JP0004848502B2_000004t.gif

【0046】
【化4】
JP0004848502B2_000005t.gif

【0047】
この処理部は、被膜がナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、銀微粒子サイズや導電性を損なうことはほとんどなかった。
なお、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発し銀微粒子表面に残った化学吸着剤が銀微粒子表面で空気中の水分と反応して、銀微粒子表面に前記化学吸着剤よりなる極薄のポリマー膜が形成された銀微粒子が得られた。
【0048】
この方法の特徴は脱アルコール反応であるため、銀微粒子のような酸で破壊されるような物でも使用可能である。
【0049】
次に、前記エポキシ基あるいは、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子をそれぞれほぼ同量取りイソプロピルアルコール中で十分混合し、ペースト化した後、スクリーン印刷機を用いて、基材表面にパターン状に印刷塗布し、さらに50~100℃程度に加熱(光反応性官能基の場合は、溶媒を蒸発させて後、光を照射すればよい。)すると、イソプロピルアルコールは蒸発し、下記式(化5)に示したような反応でエポキシ基とアミノ基が付加して銀微粒子は結合硬化して、電導度がおよそ0.2×10ジーメンスの導体配線を形成できた。
【0050】
【化5】
JP0004848502B2_000006t.gif

【実施例2】
【0051】
実施例1に於いて、あらかじめ同様の方法で基材表面11にも反応性官能基(例えば、エポキシ基)を持つ有機薄膜12を形成しておき、前記導電ペーストを印刷塗布後、加熱硬化すると、一部の銀微粒子(例えば、アミノ基で被われた)表面の有機薄膜は、図2に示したように基材表面の有機薄膜とも反応して共有結合を生成し、耐剥離強度の高い電極配線13を製造できた。
【0052】
なお、上記実施例では、反応性基を含む化学吸着剤として式(化1)あるいは、(化2)に示した物質を用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)~(16)に示した物質が利用できた。
(1) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(2) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OCH)3
(3) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(6) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(7) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OC)3
(8) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(9) (CHCHOCH(CH)CH (CH2)Si(OC)3
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(11) H2N(CH2)Si(OCH)3
(12) H2N(CH2)Si(OCH)3
(13) H2N(CH2)Si(OCH)3
(14) H2N(CH2)Si(OC)3
(15) H2N(CH2)Si(OC)3
(16) H2N(CH2)Si(OC)3
ここで、(CHOCH)-基は、下記式(化6)で表される官能基を表し、(CHCHOCH(CH)CH-基は、下記式(化7)で表される官能基を表す。
【0053】
【化6】
JP0004848502B2_000007t.gif

【0054】
【化7】
JP0004848502B2_000008t.gif

【0055】
また、上記実施例では、熱反応性あるいは、イオン反応性基を含む化学吸着剤を用いたが、光反応性のものとして、下記(21)~(29)に示した物質が利用できた。
【0056】
(21) CH≡C-C≡C(CH2)15SiCl3
(22) CH≡C-C≡C(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
(23) CH≡C-C≡C(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(24) CH(CH2C≡C-C≡C(CH2)15SiCl3
(25) CH(CH2C≡C-C≡C(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
(26) CH(CH2C≡C-C≡C(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(27) (C) (CH)2CO(C)O(CH2)OSi(OCH)3
(28) (C) (CH)2CO(C)O(CH2)OSi(OC)3
(29) (C) CO(CH)2(C)O(CH2)OSi(OCH)3
ここで、(C) (CH)2CO(C) -および(C) CO(CH)2(C)-はカルコニル基を表す。
【0057】
また、微粒子の素材がAuの場合には、表面に水酸基を持ってないが、化学吸着剤として末端のSiCl3基やSi(OCH)3を-SH基やトリアジンチオール基で置換した薬剤(例えば、H2N(CH2)-SH(nは整数))、具体的には、H2N(CH2)11-SH等を用いれば、Sを介してアミノ基を含む単分子膜が形成された金微粒子を製造できた。一方、-SHとメトキシシリル基を両末端にもつ薬剤(例えば、HS(CH)Si(OCH)3(mは整数))、具体的には、HS(CH)Si(OCH)3等を用いれば、Sを介して表面に反応性のメトキシシリル基を含む単分子膜が形成された金微粒子を製造できた。
【0058】
なお、実施例1にいて、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0059】
また、膜形成溶液の溶媒として、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいは、フッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいは、それら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させて銀微粒子濃度を上げようとする場合には、溶媒の沸点は50~250℃程度がよい。さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機被膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいは、それら混合物が使用できた。
【0060】
具体的に使用可能なものは、有機塩素系溶媒、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド、あるいは、それら混合物等を挙げることができる。
【0061】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0062】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分~2/3程度まで短縮できた。
【0063】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9~9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早く(30分程度まで)でき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0064】
例えば、シラノール触媒であるジブチルスズオキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0065】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチルスズビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を30分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0066】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0067】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0068】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8-トリアザ-1,8-ノナジエン、3,11-ジメチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、2,10-ジメチル-3,6,9-トリアザ-2,9-ウンデカジエン、2,4,12,14-テトラメチル-5,8,11-トリアザ-4,11-ペンタデカジエン、2,4,15,17-テトラメチル-5,8,11,14-テトラアザ-4,14-オクタデカジエン、2,4,20,22-テトラメチル-5,12,19-トリアザ-4,19-トリエイコサジエン等がある。
【0069】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは、酢酸、プロピオン酸、酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
また、上記実施例では、銀微粒子を例として説明したが、本発明は、表面に活性水素、すなわち水酸基の水素などを含んだ金属微粒子で有れば、どのような金属微粒子にでも適用可能である。しかしながら、導電性を確保するためには、銀、あるいは銀で被覆された金属微粒子が良かった。
【0071】
具体的には、銀、銅、ニッケル、あるいは、銀メッキした貴金属や銅、ニッケルの微粒子等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例1における銀微粒子の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の銀微粒子表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、アミノ基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図2】本発明の実施例2における配線を銀微粒子レベルまで拡大した概念図であり、エポキシ基を含む単分子膜が形成された銀微粒子Eとアミノ基を含む単分子膜が形成された銀微粒子Aを略等量混合し、エポキシ基を含む単分子膜が形成された基材表面に印刷塗布して加熱硬化させ後の図を示す。
【符号の説明】
【0073】
1 銀微粒子
2 水酸基
3 エポキシ基を含む単分子膜
4 アミノ基を含む単分子膜
エポキシ基を含む単分子膜で被被された銀微粒子
アミノ基を含む単分子膜で被被された銀微粒子
11 基材
12 エポキシ基を含む単分子膜
13 電極配線
図面
【図1】
0
【図2】
1