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明細書 :水位検出システム、水位検出方法、及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4677561号 (P4677561)
公開番号 特開2007-226681 (P2007-226681A)
登録日 平成23年2月10日(2011.2.10)
発行日 平成23年4月27日(2011.4.27)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
発明の名称または考案の名称 水位検出システム、水位検出方法、及びプログラム
国際特許分類 G06T   7/00        (2006.01)
G01F  23/28        (2006.01)
G08B  21/08        (2006.01)
G01C  13/00        (2006.01)
FI G06T 7/00 200B
G01F 23/28 L
G08B 21/08
G01C 13/00 D
請求項の数または発明の数 7
全頁数 14
出願番号 特願2006-049247 (P2006-049247)
出願日 平成18年2月24日(2006.2.24)
審査請求日 平成21年2月6日(2009.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】岩橋 政宏
【氏名】今井 裕二
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】松永 稔
参考文献・文献 特開平09-035065(JP,A)
特開2004-258752(JP,A)
特開2007-256254(JP,A)
特開2003-149032(JP,A)
特開2002-148094(JP,A)
調査した分野 G06T 7/00
G01C 13/00
G01F 23/28
G08B 21/08
特許請求の範囲 【請求項1】
固定カメラを用いて撮影された映像に基づいて水位を検出する水位検出システムであって、
固定カメラを用いて撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像が供給され、供給された映像を時間方向に積分する積分手段と、
上記積分手段により得られた映像にウェーブレット変換を施す変換手段と、
上記変換手段でのウェーブレット変換により得られた特徴量に基づいて、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを画素毎に推定する推定手段と、
上記推定手段での推定結果に基づいて、映像内領域を上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって水位を検出する領域分割手段とを備え、
上記領域分割手段は、上記流水領域と推定された画素又は上記非流水領域と推定された画素を対象画素として、当該対象画素数を上記流水領域と非流水領域との境界が伸びる方向に関して積算し、さらに得られた対象画素数の分布から境界画素数を決定し、当該境界画素数をしきい値として上記得られた対象画素数に基づき上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって上記流水領域と上記非流水領域との境界を水位として検出することを特徴とする水位検出システム。
【請求項2】
上記積分手段は、供給される映像を複数のフレームにわたって加算することを特徴とする請求項1記載の水位検出システム。
【請求項3】
上記推定手段は、上記ウェーブレット変換により分割された複数の帯域信号を上記特徴量として、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを推定することを特徴とする請求項1又は2記載の水位検出システム。
【請求項4】
上記固定カメラを用いて撮影された映像から上記流水領域及び非流水領域が含まれる領域映像を抽出して上記積分手段に供給する領域抽出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の水位検出システム。
【請求項5】
上記固定カメラを用いて撮影された映像から互いに領域の異なる複数の上記領域映像を抽出し、抽出した各領域映像毎に処理して得られる各領域映像での上記流水領域及び上記非流水領域の分割結果に基づいて、上記撮影された映像における水位を検出することを特徴とする請求項4記載の水位検出システム。
【請求項6】
固定カメラを用いて撮影された映像に基づいて水位を検出する水位検出方法であって、
固定カメラを用いて撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像を時間方向に積分する積分工程と、
上記積分工程で得られた映像にウェーブレット変換を施す変換工程と、
上記ウェーブレット変換により得られた特徴量に基づいて、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを画素毎に推定する推定工程と、
上記推定工程での推定結果に基づいて、映像内領域を上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって水位を検出する領域分割工程とを有し、
上記領域分割工程にて、上記流水領域と推定された画素又は上記非流水領域と推定された画素を対象画素として、当該対象画素数を上記流水領域と非流水領域との境界が伸びる方向に関して積算し、さらに得られた対象画素数の分布から境界画素数を決定し、当該境界画素数をしきい値として上記得られた対象画素数に基づき上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって上記流水領域と上記非流水領域との境界を水位として検出することを特徴とする水位検出方法。
【請求項7】
固定カメラを用いて撮影された映像に基づく水位検出処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
固定カメラを用いて撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像を時間方向に積分する積分ステップと、
上記積分ステップで得られた映像にウェーブレット変換を施す変換ステップと、
上記ウェーブレット変換により得られた特徴量に基づいて、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを画素毎に推定する推定ステップと、
上記推定ステップでの推定結果に基づいて、映像内領域を上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって水位を検出する領域分割ステップとをコンピュータに実行させ、
上記領域分割ステップにて、上記流水領域と推定された画素又は上記非流水領域と推定された画素を対象画素として、当該対象画素数を上記流水領域と非流水領域との境界が伸びる方向に関して積算し、さらに得られた対象画素数の分布から境界画素数を決定し、当該境界画素数をしきい値として上記得られた対象画素数に基づき上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって上記流水領域と上記非流水領域との境界を水位として検出することを特徴とするプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水位検出システム、水位検出方法、及びプログラムに関し、詳しくは、撮影して得られる映像信号に基づく河川等の水位検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の氾濫による水害を事前に察知して水防活動に役立てるために、河川敷の各所に水位計や監視カメラを設置し、それらにより得られるデータを一箇所に集約するシステムが、国土交通省が設置するテレメータをはじめとして多数実現されている。また、傾斜模様が描かれた量水板を河川中に設置し、その量水板を含む画像を取り込んで画像処理を行うことで、水位計を設置せずに河川映像から河川の水位を検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】

【特許文献1】特開平9-161076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流水を妨げる物体を河川の中に設置することは、洪水等の災害の要因となり得るため、河川法により厳しく制限管理されており、河川において量水板が設置できる場所は限られている。その一方で、できるだけ多くの箇所から水位データを収集することが、より正確で信頼できる防災情報を生成するためには欠かせない。
【0005】
本発明は、水中にいかなる物体をも設置することなく、河川等を被写体とする映像信号のみから、その河川等の水位を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水位検出システムは、固定カメラを用いて撮影された映像に基づいて水位を検出する水位検出システムであって、固定カメラを用いて撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像が供給され、供給された映像を時間方向に積分する積分手段と、上記積分手段により得られた映像にウェーブレット変換を施す変換手段と、上記変換手段でのウェーブレット変換により得られた特徴量に基づいて、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを画素毎に推定する推定手段と、上記推定手段での推定結果に基づいて、映像内領域を上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって水位を検出する領域分割手段とを備え、上記領域分割手段は、上記流水領域と推定された画素又は上記非流水領域と推定された画素を対象画素として、当該対象画素数を上記流水領域と非流水領域との境界が伸びる方向に関して積算し、さらに得られた対象画素数の分布から境界画素数を決定し、当該境界画素数をしきい値として上記得られた対象画素数に基づき上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって上記流水領域と上記非流水領域との境界を水位として検出することを特徴とする。
本発明の水位検出方法は、固定カメラを用いて撮影された映像に基づいて水位を検出する水位検出方法であって、固定カメラを用いて撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像を時間方向に積分する積分工程と、上記積分工程で得られた映像にウェーブレット変換を施す変換工程と、上記ウェーブレット変換により得られた特徴量に基づいて、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを画素毎に推定する推定工程と、上記推定工程での推定結果に基づいて、映像内領域を上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって水位を検出する領域分割工程とを有し、上記領域分割工程にて、上記流水領域と推定された画素又は上記非流水領域と推定された画素を対象画素として、当該対象画素数を上記流水領域と非流水領域との境界が伸びる方向に関して積算し、さらに得られた対象画素数の分布から境界画素数を決定し、当該境界画素数をしきい値として上記得られた対象画素数に基づき上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって上記流水領域と上記非流水領域との境界を水位として検出することを特徴とする。
本発明のプログラムは、固定カメラを用いて撮影された映像に基づく水位検出処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、固定カメラを用いて撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像を時間方向に積分する積分ステップと、上記積分ステップで得られた映像にウェーブレット変換を施す変換ステップと、上記ウェーブレット変換により得られた特徴量に基づいて、上記流水領域の画素であるか又は上記非流水領域の画素であるかを画素毎に推定する推定ステップと、上記推定ステップでの推定結果に基づいて、映像内領域を上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって水位を検出する領域分割ステップとをコンピュータに実行させ、上記領域分割ステップにて、上記流水領域と推定された画素又は上記非流水領域と推定された画素を対象画素として、当該対象画素数を上記流水領域と非流水領域との境界が伸びる方向に関して積算し、さらに得られた対象画素数の分布から境界画素数を決定し、当該境界画素数をしきい値として上記得られた対象画素数に基づき上記流水領域及び上記非流水領域に分割することによって上記流水領域と上記非流水領域との境界を水位として検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、河川等を被写体として固定カメラで撮影された流水領域及び非流水領域が含まれる映像を時間方向に積分して流水領域におけるエッジ成分を抑圧し、その映像全体にウェーブレット変換を施して得られた特徴量に基づいて画素毎に流水領域の画素であるか又は非流水領域の画素であるかを推定する。そして、その推定結果に基づいて流水領域及び非流水領域に分割することによって流水領域と非流水領域との境界を水位として検出する。これにより、水中にいかなる物体をも設置することなく、河川等を被写体とする映像信号のみから、水位を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による流水領域検出システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態による流水領域検出システムは、固定カメラCMを用いた撮影で得られる河川等を被写体とする映像信号から、時間方向の積分(例えば本実施形態ではフレーム加算)、ウェーブレット変換及び最尤推定に基づき、その河川等における流水領域を検出する。
【0010】
本実施形態による流水領域検出システムは、図1に示すように、領域抽出部1、フレーム加算部2、ウェーブレット変換部3、最尤推定部4、及び領域分割部5を有する。以下、図1に示した流水領域検出システムの各機能部について詳細に説明する。なお、以下においては、必要に応じて図2に示すような実際の河川画像について流水領域及び非流水領域を検出、判別することで、河川の水位検出を行う場合を適宜例示して説明する。
【0011】
(領域抽出部1)
領域抽出部1は、固定カメラCMを用いて撮影された撮像映像から、半分に陸部が、もう半分には流水部が写っているような領域を数フレームにわたり抽出する。ここで、流水部とは、撮像映像における水面等の水が写りこんだ領域であり、陸部とは、流水部以外の領域(例えば、背景画像等の領域)である。
【0012】
例えば、領域抽出部1は、図2(a)に示すように上半分が陸部、下半分が流水部であるような領域画像を撮像映像から抽出する。なお、領域画像を抽出する際、陸部が下で流水部が上、又は陸部及び流水部がそれぞれ左と右、あるいは右と左に写っていても良く、流水領域の検出は可能である。また、撮影映像全体の半分が陸部、もう半分が流水部となるように固定カメラCMのアングル等を調整して撮影を行い、得られた撮影映像そのものを領域画像としても良い。
【0013】
ここで、領域画像における陸部には模様のある静止した物体が写っており,流水部においては水面が常に動いていることが望ましい。また、領域画像において水面は水平であることが望ましく、そうなるように撮影画像(領域画像)を90度回転させるか拡大や縮小をするなどのアフィン変換を施すことも効果的である。また、夜間に撮影した映像については、例えば赤外線照射した結果として、陸部に何らかの模様が写ってさえいれば、流水部には何も写っていなくても良く、流水領域を検出可能である。
【0014】
領域画像の抽出は、ある時点でユーザーが抽出位置を指定した後は、流水領域の検出結果を基に得られた水位に応じて水面が常に領域画像の中心付近に位置するようにして、ある時間間隔で自動的に実施するようにしても良い。
【0015】
(フレーム加算部2)
フレーム加算部2は、領域抽出部1により抽出された領域画像について、複数のフレームを同期加算する。すなわち、フレーム加算部2は、領域抽出部1により抽出された領域画像を時間方向に積分する。これにより、動いている流水部がぼやけた、あるいは滑らか
となった画像が得られる。つまり、流水部のエッジ成分(高周波成分)が抑圧される。その一方で、静止している陸部は特に変化しない。このことは、例えば図2(a)及び図2(b)を比較することで確認できる。図2(b)は、フレーム加算部2により複数フレームを同期加算して得られたものである。
【0016】
ただし、複数のフレームの領域画像を加算する際、単純に加算を行うと画素値も単純に増大してしまい要求されるリソース等も増大するので、例えば加算したフレーム数で画素値を割るなどして画素値の値域拡大を防止することが望ましい。また、例えば、画像を加算する際に、画素値に重み係数を乗じたり、あるいは画素値に関しビットシフトを行ったりしても良い。
【0017】
例えば、フレーム加算部2は、4枚のフレームを加算する場合には,各フレームにおける画素値に0.25を乗じるか、あるいはそれと等価になるように画素値を右に2ビットシフトさせた後に、既にフレームメモリに格納されている画素値と加算し、加算結果をフレームメモリに新たに格納する。これにより、加算される枚数分のフレームメモリを用意することなく、少ないフレームメモリでフレーム加算を実現することができる。
【0018】
また、フレームメモリに格納されている画素値と、領域抽出部1により抽出された領域画像の画素値とを加算して2で割った後、その加算結果をフレームメモリに新たに格納する。この処理を繰り返すことで,複数のフレームの領域画像が重み加算された画像が生成される。あるいは、固定カメラCMで撮像する際に、シャッターを比較的長い時間に亘り開けておき、露光時間を比較的長くすることでも、上述したように複数のフレームを加算した場合と同等の効果を得ることができる。
【0019】
ここで、詳細は後述するが本実施形態では、映像においてエッジ画素を多く含む領域を陸部分、エッジ画素が少ない領域を流水部分として、陸部及び流水部の判別を行う。そして、陸部と流水部の境界の位置を水面として認識することで、図2(a)に示したような水位を算出することが可能となる。
【0020】
(ウェーブレット変換部3)
ウェーブレット変換部3は、フレーム加算部2により生成された画像に対してウェーブレット変換を施し、流水部には少ないが陸部には多く存在するエッジ成分、つまり流水部と陸部の差異を強調させるようなN次元(Nは整数)の特徴ベクトル(特徴量)を計算する。例えば、図2(b)に示した画像に、ウェーブレット変換部3によるウェーブレット変換を施すことで、図2(c)に示すようにLL、LH、HL、HHといった4つの帯域画像が生成される。但し、帯域画像の画素数は、ウェーブレット変換前の画素数の縦横共に半分となる。
【0021】
これら4つの帯域画像(帯域信号)を、フレーム加算部2により生成された画像の各画素に対する特徴ベクトルの4つの成分とすれば良い。すなわち、図2(c)に示した場合の特徴ベクトルは、4次元のベクトルとなる。但し、上述したように画素数が縦横ともに半分となっているため、フレーム加算部2により生成された画像での近接する4つの画素からなるグループが、帯域画像における1画素に対応する。したがって、4つの画素を1グループとし、それを単位として特徴ベクトルが生成される。
【0022】
また、図3(c)に示したLL帯域画像(低周波数画像)に対して、ウェーブレット変換を更にもう1回適用しても良く、この場合には全部で7つの帯域画像が生成されるので、特徴ベクトルは7次元のベクトルとなる。なお、ウェーブレット変換により得られる帯域画像のすべてを常に使う必要はなく、陸部と流水部の違いが見られない帯域画像については特徴ベクトルに含めなくても良い。
【0023】
また、ウェーブレット変換の基底には数多くの種類が存在するが何れを用いても良い。特に、画像圧縮の国際標準であるJPEG2000(例えば、「JPEG 2000-Image compression fundamentals, standards and practice」、D.S.Taubman,M.W.Marcellin共著,Kluwer Academic Publishers,2002を参照)におけるウェーブレット変換を利用することで、汎用的なIPコアを活用でき、システムの開発期間の短縮や回路の小型化を図ることが可能となる。
【0024】
(最尤推定部4)
最尤推定部4は、ウェーブレット変換部3により生成された画像における個々の画素について、陸領域の画素であるか、あるいは流水領域の画素であるかを推定する。さらに、例えば、最尤推定部4は、推定結果に応じて画素値を白(陸領域と推定された画素)又は黒(流水領域と推定された画素)の何れかにし、図2(d)に一例を示すような画像を得るようにしても良い。
【0025】
陸領域の画素であるか、又は流水領域の画素であるかの推定を行う際には、例えば最尤推定法を利用することができる。最尤推定法を用いる場合、まず、流水領域及び陸領域であると既に分かっている画像領域をそれぞれ教師画像として指定する。ここでは、これらをそれぞれクラスω1及びクラスω2と呼ぶ。次に、判別対象となる画像について、画素毎にどちらのクラスに属するかを判別する。
【0026】
最尤推定の結果、画素毎に事前確率P(G(m,n)|ωi),i∈{1,2}が最大となるクラスωiが決定される。特徴ベクトルの値の確率密度分布が正規分布であると仮定できる場合には、次式の対数尤度関数を最小にするクラスを求めることで、流水領域又は陸領域のどちらのクラスに属するかが判別される。
【0027】
【数1】
JP0004677561B2_000002t.gif

【0028】
ここで、μi,Ciはクラスωiの教師画像より求めた特徴ベクトルの平均値ベクトルと共分散行列であり、di2はマハラノビス距離である。
【0029】
なお、上述した説明では、流水領域及び陸領域のそれぞれについて1クラスを割り当てているが、複数のクラスを割り当てることも可能である。また、教師画像の位置については、既に計算された水位の下の部分を流水部、上の部分を陸部というように、時々刻々と更新される水位を基準として自動的に設定することで、日照変化や水位変化に対して安定した流水領域検出が可能となる。
【0030】
(領域分割部5)
領域分割部5は、最尤推定部4により生成された画像に対して、陸領域であると推定された画素を多く含む領域を陸部、それ以外を流水部と判別して、非流水領域及び流水領域に二分割する。この処理は、最尤推定部4により陸領域であると推定された画素の分布又は流水領域であると推定された画素の分布に基づいてなされる。
【0031】
例えば、このようにして得られた2つの領域の境界を出力することで、図2(a)に示したように陸部と流水部の境界として水位が算出される。
【0032】
領域分割部5における処理については、様々な形態が考えられる。以下、図3~図6を参照して、領域分割部5における処理の一例について説明する。
【0033】
図3は、領域分割部5の構成例を示すブロック図であり、図4は、図3に示す領域分割部5による領域分割の原理を説明するための図である。
【0034】
(横方向ヒストグラム計算部11)
横方向ヒストグラム計算部11は、対象とする領域画像について、最尤推定部4にて陸領域であると推定された画素(以下、「推定陸部画素」とも呼ぶ。)が幾つ存在するかを各行毎に数える。つまり、横方向ヒストグラム計算部11は、各行毎に推定陸部画素数を積算し、推定陸部画素の横方向のヒストグラムを生成する。
【0035】
例えば、図4(a)に模式的に示す二値画像において、上から一行目には6個の推定陸部画素、二行目には7個の推定陸部画素が存在している。したがって、横方向ヒストグラム計算部11により生成される横方向のヒストグラム(図4(b))には、それぞれの行、すなわち縦位置について、推定陸部画素数が6及び7としてプロットされる。
【0036】
(縦方向ヒストグラム計算部12)
縦方向ヒストグラム計算部12は、横方向ヒストグラム計算部11により生成された横方向ヒストグラムを参照し、各推定陸部画素数の値について、対応する縦位置が幾つ存在するかを数える。つまり,縦方向ヒストグラム計算部12は、横方向ヒストグラムにおける各推定陸部画素数に関する縦方向のヒストグラムを生成する。
【0037】
例えば,図4(b)に示した横方向ヒストグラムにおいて、左から一列目には2個の推定陸部画素数、二列目には1個の推定陸部画素数がある。縦方向ヒストグラム計算部12により生成される横方向のヒストグラム(図4(c))には、それぞれの列、すなわち推定陸部画素数について、推定陸部画素数の縦方向積算値が2及び1としてプロットされる。
【0038】
(境界値決定部13)
縦方向ヒストグラム計算部12により生成された縦方向ヒストグラムには、陸部に関連するヒストグラム部分と、流水部に関連するヒストグラム部分の2つのクラスタ(分布)が存在する。したがって、これら2つのクラスタを分離する境界部分を決定することができる。境界値決定部13は、その境界部分(境界画素数)を決定する。この境界部分の決定方法としては種々の方法を用いることができる。
【0039】
例えば、境界値決定部13は、クラス内の分散が小さく、かつクラス間の距離が大きくなるように境界を定めても良いし、又はクラス内分散・クラス間分散比が最大となるように境界を定めても良い。あるいは、境界値決定部13は、縦方向ヒストグラムを双峰性のガウス分布に帰着させて2つのクラスの境界を決定しても良い。
【0040】
(水位計算部14)
水位計算部14は、境界値決定部13により決定された縦方向ヒストグラムにおける2つのクラスの境界に基づいて、それに対応する横方向ヒストグラムにおける境界を定め、更にそれに対応する二値画像の境界を定める。これにより、画像が陸部と流水部の領域に二分割され、その境界を水位として出力する。
【0041】
具体的には、境界値決定部13により決定された境界をしきい値として、それに対応する図4(c)に示した縦方向ヒストグラムにおける境界P1が、図4(b)に示した横方向ヒストグラムにおける対応点P2を経て、図4(a)に示した二値画像における陸部と流水部との境界である水位P3が求められる。実際の河川画像に適用した場合を図5に示している。
【0042】
なお、上述した説明では、画像において水面が水平である(陸部と流水部の境界が横方向に伸びている)場合を一例として示したが、画像において水面が垂直である(陸部と流水部の境界が縦方向に伸びている)場合には、各列毎にエッジ画素数を積算してエッジ画素の縦方向のヒストグラムを生成し、それを参照して各エッジ画素数に関する横方向のヒストグラムを生成するようにすれば良い。
【0043】
以上、説明したように本実施形態によれば、河川等を被写体として固定カメラCMを用いて撮影された撮像映像から、領域抽出部1により陸部と流水部の境界、すなわち陸部と流水部を含む領域画像を抽出し、フレーム加算部2により各領域について数フレーム分を加算して流水部が滑らかになった画像を生成する。さらに、その画像全体にウェーブレット変換をウェーブレット変換部3により施し、ウェーブレット変換により得られた特徴ベクトルを基に陸部の画素であるか、流水部の画素であるか最尤推定部4で推定し、その推定結果に基づき領域分割部5により陸部及び流水部に領域分割を行う。これにより、陸部及び流水部をそれぞれ検出でき、その二領域の境界を水位と判定することで、水中にいかなる物体をも設置することなく、河川等を被写体とする映像信号のみから、その流水領域を検出することができる。
【0044】
なお、上述した説明では、領域抽出部1は、固定カメラCMを用いて撮影された撮像映像から1つの領域画像を抽出するようにしているが、図6に示すように、1枚のフレームに対して複数の領域画像(図6に示す例では、領域1、領域2、及び領域3)を抽出するようにしても良い。その場合、複数の領域画像において、その一部領域が重複していても構わない。これらの各領域画像のそれぞれについて、上述した処理により陸部及び流水部を判別し、得られた複数の結果から総合的に判断して最終的な陸部及び流水部の領域分割を行うようにしても良い。例えば、複数の結果の平均値を最終的な陸部及び流水部の境界としたり、多数決法により最終的な陸部及び流水部の領域を決定することで、固定カメラCMのレンズに雨水が付着したり、降雨や降雪あるいは霧による画像障害が発生して流水部が検出しにくい場合でも、流水部を高精度かつ安定して検出することが可能となる。
【0045】
(本発明の他の実施形態)
なお、上述した実施形態は、コンピュータのCPU又はMPU、RAM、ROM等で構成可能なものであり、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現でき、上記プログラムは本発明の実施形態に含まれる。また、コンピュータが上述の実施形態の機能を果たすように動作させるプログラムを、例えばCD-ROMのような記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませることによって実現できるものであり、上記プログラムを記録した記録媒体は本発明の実施形態に含まれる。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータがプログラムを実行し処理を行うことにより、上述の実施形態の機能が実現されるプログラムプロダクトは、本発明の実施形態に含まれる。上記プログラムプロダクトとしては、上述の実施形態の機能を実現するプログラム自体、上記プログラムが読み込まれたコンピュータ、ネットワークを介して通信可能に接続されたコンピュータに上記プログラムを提供可能な送信装置、及び当該送信装置を備えるネットワークシステム等がある。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)又は他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理のすべて又は一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
【0046】
例えば、図7に示すようなコンピュータ機能700を有し、そのCPU701により上述した実施形態での動作が実施される。
コンピュータ機能700は、図7に示すように、CPU701と、ROM702と、RAM703と、キーボード(KB)709のキーボードコントローラ(KBC)705と、表示部としてのCRTディスプレイ(CRT)710のCRTコントローラ(CRTC)706と、ハードディスク(HD)711及びフレキシブルディスク(FD)712のディスクコントローラ(DKC)707と、ネットワークインタフェースカード(NIC)708とが、システムバス704を介して互いに通信可能に接続された構成としている。
CPU701は、ROM702又はHD711に記憶されたソフトウェア、又はFD712より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス704に接続された各構成部を総括的に制御する。
すなわち、CPU701は、上述したような動作を行うための処理プログラムを、ROM702、HD711、又はFD712から読み出して実行することで、上述した実施形態での動作を実現するための制御を行う。
RAM703は、CPU701の主メモリ又はワークエリア等として機能する。
KBC705は、KB709や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。
CRTC706は、CRT710の表示を制御する。
DKC707は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び上記処理プログラム等を記憶するHD711及びFD712とのアクセスを制御する。
NIC708はネットワーク713上の他の装置と双方向にデータをやりとりする。
【0047】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態による流水領域検出システムの構成例を示す図である。
【図2】図1に示す流水領域検出システムで処理された画像の一例を示す図である。
【図3】領域分割部の構成例を示す図である。
【図4】図3に示す領域分割部による領域分割の原理を説明するための図である。
【図5】図3に示す領域分割部による領域分割を実際の河川画像に適用した場合を示す図である。
【図6】領域抽出部による領域画像抽出の他の例を示す図である。
【図7】本実施形態における流水領域検出システムを実現可能なコンピュータ機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1 領域抽出部
2 フレーム加算部
3 ウェーブレット変換部
4 最尤推定部
5 領域分割部
11 横方向ヒストグラム計算部
12 縦方向ヒストグラム計算部
13 境界値決定部
14 水位計算部
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図7】
4
【図2】
5
【図6】
6