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明細書 :ロボットハンド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4100622号 (P4100622)
公開番号 特開2005-066803 (P2005-066803A)
登録日 平成20年3月28日(2008.3.28)
発行日 平成20年6月11日(2008.6.11)
公開日 平成17年3月17日(2005.3.17)
発明の名称または考案の名称 ロボットハンド
国際特許分類 B25J  15/08        (2006.01)
FI B25J 15/08 J
B25J 15/08 K
請求項の数または発明の数 3
全頁数 17
出願番号 特願2003-303022 (P2003-303022)
出願日 平成15年8月27日(2003.8.27)
審査請求日 平成18年6月29日(2006.6.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明者または考案者 【氏名】上田 淳
【氏名】小笠原 司
【氏名】池田 篤俊
【氏名】近藤 誠宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100067828、【弁理士】、【氏名又は名称】小谷 悦司
【識別番号】100096150、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 孝夫
【識別番号】100099955、【弁理士】、【氏名又は名称】樋口 次郎
【識別番号】100109438、【弁理士】、【氏名又は名称】大月 伸介
審査官 【審査官】松浦 陽
参考文献・文献 特開平06-155357(JP,A)
特開平11-156778(JP,A)
特開2003-200375(JP,A)
特開2003-117873(JP,A)
特開2003-181787(JP,A)
特開平07-186078(JP,A)
特開昭52-002951(JP,A)
調査した分野 B25J 15/08
特許請求の範囲 【請求項1】
掌とこれに連結される複数本の指とを備え、前記指が、前記掌に対して順次関節軸を介して回動可能に連結される複数の単位節部から構成されることにより屈伸可能に構成されるとともに、前記掌との連結部分を支点としてそれらの並び方向に揺動可能に構成されるロボットハンドにおいて、
前記指を構成する単位節部のうち前記掌に直接連結される第1単位節部およびこの第1単位節部に連結される第2単位節部をそれぞれ関節軸回りに回転駆動することにより前記指を屈伸させる屈伸用駆動機構と、第1単位節部と前記掌とを連結する関節軸を該関節軸と直交する軸周りに回転駆動することにより前記指を揺動させる揺動用駆動機構とを備えるものであって
前記掌と第1単位節部とを連結する前記関節軸にこれと直交する方向に延びる揺動軸が接続された十字型の関節部材が設けられ、この関節部材の前記揺動軸に第1および第2ベベルギアが前記関節軸を挟んでその両側に回転可能に装着される一方、関節部材の前記関節軸に第3ベベルギアが前記第1ベベルギアに噛合する状態で回転可能に装着されるとともに、前記関節軸のうち前記揺動軸を挟んで第3ベベルギアの反対側の部分に第4ベベルギアが前記第2ベベルギアに噛合する状態で回転可能に装着され、前記第3ベベルアが前記第1単位節部に対して接続される一方、前記第4ベベルギアが前記第2単位節部に対して回転駆動力を伝達するためのリンク機構構成部材に連結され、さらに、前記指を屈伸させるべく第1単位節部および第2単位節部をそれぞれ前記関節軸回りに回転駆動するための第1、第2モータと、前記指を揺動させるべく第1単位節部と前記掌とを連結する関節軸を該関節軸と直交する軸回りに回転駆動するための第3モータとが前記掌に搭載され、前記第1モータの回転駆動力が第1ベベルギアに、第2モータの回転駆動力が第2ベベルギアに、第3モータの回転駆動力が前記関節部材の前記揺動軸にそれぞれ伝達されるように前記屈伸用駆動機構および揺動用駆動機構が構成されている
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記第2単位節部の先端に関節軸を介して第3単位節部が回動可能に連結され、さらに前記第1単位節部に対する第2単位節部の回動に伴い前記第3単位節部を第2単節部に対して前記関節軸回りに回動させる連動機構が設けられていることを特徴とするロボットハンド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロボットハンドにおいて、
前記第1および第2モータが前記掌においてその厚み方向に並べて配置される一方、これら第1および第2モータに対して前記第3モータが前記指の長手方向に並べて配置されていることを特徴とするロボットハンド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の手の形状に類似した多指多関節型ロボットハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような多指多関節型ロボットハンドとして例えば特許文献1に開示されるものが一般に知られている。この文献1に開示されるロボットハンドは、掌に5本の指が連結されており、各指はそれぞれ、掌に対して基節部、中節部および末節部が互いに関節軸を介して順次連結された構造とされている。そして、モータにより各節部が関節軸回りに回転駆動されることにより指の屈伸が行われるようになっている。また、掌と基節部とを連結する関節軸は該関節軸と直交する軸回りに揺動可能に構成されてモータで駆動されるようになっており、その結果、各指がその並び方向に揺動するように構成されている。
【0003】
指の各節部を関節軸回りに駆動するモータはそれぞれ隣接する節部に搭載されており、具体的には、末節部を駆動するモータは中節部に、中節部を駆動するモータは基節部に、基節部を駆動するモータは掌部分にそれぞれ搭載されており、各モータの回転駆動力がそれぞれギア伝動機構を介して各節部に伝達されるように構成されている。

【特許文献1】特開平11-156778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1のロボットハンドでは次の点で改良の余地がある。
【0005】
すなわち、多指多関節型ロボットハンドでは、指先応答性を高めるため、あるいは把持力を確保するために各節部において出来るだけ高トルクを発生させ得るのが好ましい。
【0006】
ところが、中節部や末節部を駆動するモータを指自身(すなわち、基節部、中節部)に搭載して指を駆動する上記特許文献1の構成では、強度面や大きさの制約から搭載できるモータが制約を受け易く、モータ選択の自由度が低い。そのため、モータの大きさや重さによる制約を受けて充分なトルクを確保できない場合が生じる。特に、人間の手に近い大きさのロボットハンドでは、各節部に搭載できるモータはごく小型のものに限られるため、トルクを確保することが難しくなる。
【0007】
そこで、近年では、指を屈伸駆動するための全てのモータを掌に搭載し、中節部および末節部をワイヤーを使って駆動することが考えられている。しかし、指をワイヤーで駆動する機構は剛性面で充分と言えず、駆動時にワイヤーの伸びや切断を伴い易く信頼性が低いという問題がある。また、指の屈伸および揺動を行わせる全てのモータを掌に搭載する場合、実用性を考慮すると、掌に対して各指の屈伸および揺動のための駆動機構をコンパクトに収めることが必要となり、この点を解決する必要もある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、人間の手の形状に類似した多指多関節型ロボットハンドにおいて、高トルクで適切に指を駆動することができる信頼性の高いロボットハンドを提供することにあり、より好ましくは、多指多関節型ロボットハンドをコンパクトに構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、掌とこれに連結される複数本の指とを備え、前記指が、前記掌に対して順次関節軸を介して回動可能に連結される複数の単位節部から構成されることにより屈伸可能に構成されるとともに、前記掌との連結部分を支点としてそれらの並び方向に揺動可能に構成されるロボットハンドにおいて、前記指を構成する単位節部のうち前記掌に直接連結される第1単位節部およびこの第1単位節部に連結される第2単位節部をそれぞれ関節軸回りに回転駆動することにより前記指を屈伸させる屈伸用駆動機構と、第1単位節部と前記掌とを連結する関節軸を該関節軸と直交する軸周りに回転駆動することにより前記指を揺動させる揺動用駆動機構とを備えるものであって、前記掌と第1単位節部とを連結する前記関節軸にこれと直交する方向に延びる揺動軸が接続された十字型の関節部材が設けられ、この関節部材の前記揺動軸に第1および第2ベベルギアが前記関節軸を挟んでその両側に回転可能に装着される一方、関節部材の前記関節軸に第3ベベルギアが前記第1ベベルギアに噛合する状態で回転可能に装着されるとともに前記関節軸のうち前記揺動軸を挟んで第3ベベルギアの反対側の部分に第4ベベルギアが前記第2ベベルギアに噛合する状態で回転可能に装着され、前記第3ベベルアが前記第1単位節部に対して接続される一方、前記第4ベベルギアが前記第2単位節部に対して回転駆動力を伝達するためのリンク機構構成部材に連結され、さらに、前記指を屈伸させるべく第1単位節部および第2単位節部をそれぞれ前記関節軸回りに回転駆動するための第1、第2モータと前記指を揺動させるべく第1単位節部と前記掌とを連結する関節軸を該関節軸と直交する軸回りに回転駆動するための第3モータとが前記掌に搭載され、前記第1モータの回転駆動力が第1ベベルギアに、第2モータの回転駆動力が第2ベベルギアに、第3モータの回転駆動力が前記関節部材の前記揺動軸にそれぞれ伝達されるように前記屈伸用駆動機構および揺動用駆動機構が構成されているものである。
【0010】
また、請求項に記載の発明は、
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、前記第2単位節部の先端に関節軸を介して第3単位節部が回動可能に連結され、さらに前記第1単位節部に対する第2単位節部の回動に伴い前記第3単位節部を第2単節部に対して前記関節軸回りに回動させる連動機構が設けられているものである。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のロボットハンドにおいて、前記第1および第2モータが前記掌においてその厚み方向に並べて配置される一方、これら第1および第2モータに対して前記第3モータが前記指の長手方向に並べて配置されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のロボットハンドによると、掌に搭載したモータで第1、第2単位節部を駆動するように屈伸用駆動機構が構成され、第1単位節部のみならず第2単位節部を駆動するモータについても掌に搭載される。そのため、第2単位節部を駆動するモータについてもその選択の自由度が高まり、第1、第2単位節部を共に高出力(高トルク)のモータで駆動することが可能となる。しかも、第2単位節部を駆動する駆動機構がリンク機構から構成されているため、ワイヤーを使った駆動機構のような伸びや切断といったトラブルを伴うことがなく、動力を確実に第2単位節部に伝達することができる。従って、より高トルクで適切に指を駆動することができる信頼性の高いロボットハンドを提供することができる。なお、指の軽量化を図ることも可能となるため、指をより素早く動かすことが可能になるという効果もある。
【0013】
また、このロボットハンドによると、第1モータの回転駆動力が第1,第3ベベルギアを介して第1単位節部に伝達され、これにより掌に対して第1単位節部が関節部材の関節軸回りに回転駆動される。また、第2モータの回転駆動力が第2,第4ベベルギアおよびリンク機構構成部材を介して第2単位節部に伝達され、これにより第1単位節部に対して第2単位節部が関節軸回りに回転駆動される。さらに、第3モータにより関節部材(揺動軸)が駆動されることにより掌に対して指(第1単位節部)が揺動することとなる。この構成によると、各モータの駆動力を関節部材とギアとを組み合わせたコンパクトな構成で第1単位節部等に伝達することが可能となる。従って、一指あたりの屈伸用駆動機構および揺動用駆動機構の占有面積を抑えることができ、ロボットハンドをよりコンパクトに構成することができる。
【0014】
請求項に記載のロボットハンドによると、指がさらに第3単位節部を有する構成であっても、第3単位節部を駆動するための専用のモータが不要となる。そのため、指の軽量化を図ることが可能となり、指をより素早く動かすことが可能となる。また、第3単位節部を専用のモータで駆動する従来のこの種のロボットハンドと比較すると、第3単位節部に専用のモータが不要となる分、ロボットハンドを安価に製作することができるというメリットもある。
【0015】
請求項に記載のロボットハンドによると、掌に対して屈伸用駆動機構および揺動用駆動機構のモータを指毎にコンパクトに搭載することが可能となり、ロボットハンドをコンパクトな構成とすることが可能となる。換言すれば、決められた掌の大きさの中に屈伸用駆動機構および揺動用駆動機構のモータを指毎にコンパクトに収めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明にかかるロボットハンドを平面図で模式的に示している。同図に示すロボットハンド10は、掌12とこれに連結される指とを備えた多指多関節型のロボットハンドであって、図示の例では4本の指14a~14dを備えている。各指14a~14dは、基節部16、中節部17および末節部18からなり、これら単位節部がその順番で前記掌12に順次関節軸を介して回動可能に連結されることにより屈伸可能に構成されるとともに、同図の矢印に示すように掌12に対して左右方向(指14a~14dの並び方向)に揺動可能に構成されており、掌12に搭載されるモータによりそれぞれ駆動されるようになっている。以下、指14a~14dおよびその駆動機構について詳述する。なお、各指14a~14dは共通の構成を有するため、以下の説明では図1中、最も右側の指14aを例に説明することにする。
【0018】
図2~図5は、指14aおよびその駆動機構の構成をそれぞれ側面図、縦断面図、斜視図(簡略図)および平断面図でそれぞれ示している。
【0019】
これらの図に示すように前記指14aを構成する基節部16、中節部17および末節部18は手の腹側(図2および図3では右側)に開く断面コ字型に形成されており、指先側
の節部が掌12側の節部に順次挿入された状態でそれぞれ関節軸19a,19bを介して回転可能に連結されている。詳しくは、基節部16の先端部に中節部17の基端部が挿入されて該挿入部分で両節部同士が関節軸19aを介して回転可能に連結されるとともに、中節部17の先端部に末節部18の基端部が挿入されて該挿入部分で両節部同士が関節軸19bを介して回転可能に連結されている。
【0020】
前記基節部16の側壁16aは下方に延設されており、前記関節軸19a,19bと平行に設けられた関節軸20がこれら側壁16aに亘って回転可能に挿入されている。関節軸20は、これと直交する方向、すなわち掌12の厚み方向(図2および図3では左右方向)に延びる駆動軸21(揺動軸)に対してその途中部分に交差した状態で貫通し、かつ相対回転可能に接続されている。なお、当実施形態では、このように十字型に接続された関節軸20および駆動軸21により本発明の関節部材が構成されている。
【0021】
駆動軸21は、掌12のフレーム(図示省略)に固定されたモータ22(第3モータ)の出力軸に連結されており、このモータ22により回転駆動されるようになっている。なお、上記モータ22および後記モータ32,34としては、例えば減速機構を内蔵したサーボモータが適用されている。
【0022】
図5に示すように前記関節軸20には、駆動軸21を挟んでその両側に大小2つのベベルギア24,26が向かい合わせに、かつ関節軸20に対して相対的に回転可能に装着されている。これらギア24,26のうち一方側(大きい方)のベベルギア24(第3ベベルギア)は基節部16の前記側壁16aに固定されている。また、他方側のベベルギア26(第4ベベルギア)にはリンク46(リンク機構構成部材)が一体に組付けられている。一方、駆動軸21には、関節軸20を挟んで両側に大小2つのベベルギア28,30が向かい合わせに、かつ駆動軸21に対して相対的に回転可能に装着されている。そして、これらギア28,30のうち一方側(大きい方)のベベルギア28(第1ベベルギア)が、関節軸20に挿着された前記ベベルギア24に、他方側のベベルギア30(第2ベベルギア)が、同前記ベベルギア26にそれぞれ噛合している。
【0023】
前記関節軸20および駆動軸21の下側には、さらに指14aを屈伸させるための2つのモータ32,34が上向きに、かつ前記駆動軸21に沿って並べられた状態で掌12の前記フレームに固定されている。
【0024】
これらモータ32,34のうち一方側(図2および図3では右側)のモータ32(第2モータ)の出力軸36には先端にベベルギア38が固定され、このベベルギア38が駆動軸21に挿着された前記ベベルギア30に噛合している。また、モータ32の出力軸36の途中部分(ベベルギア38とモータ本体との間の部分)にはプーリ一体型のベベルギア44が相対的に回転可能な状態で挿着され、このベベルギア44が、駆動軸21に挿着された前記ベベルギア28に噛合している。ベベルギア44のプーリ44a(プーリの部分)には、他方側のモータ34(第1モータ)の出力軸40に固定されたプーリ42との間に亘って駆動ベルト41が掛け渡されており、これによりベベルギア44が出力軸36回りに回転駆動されるように構成されている。
【0025】
なお、図2~図4に示すように、指14aを構成する単位節部のうち中節部17と前記リンク46との間にはリンク48がピンで連結されている。より詳しくは、中節部17の基端部分であって関節軸19aよりも手の腹側の位置と前記リンク46とが直線状のリンク48に連結されている。また、基節部16の先端部分と末節部18の基端部分とがリンク50によりピンで連結されている。このリンク50は略Z字型に形成されており、基節部16における関節軸19aよりも手の甲側の位置と末節部18のうち関節軸19bよりも手の腹側の位置とに亘って連結されている。
【0026】
次に、上記ロボットハンド10の動作について説明する。
【0027】
図2等に示すように各節部16~18が真っ直ぐに延びた指14aの伸長状態において、まず、指14aを掌12に対して揺動(図1の白抜き矢印参照)させるには、前記モータ22により駆動軸21を回転駆動する。このように駆動軸21を回転駆動すると、これに応じて前記関節軸20が駆動軸21との交点を支点として揺動し、その結果、指14aが掌12に対して揺動することとなる。
【0028】
一方、上記伸長状態から指14aを折り曲げるには、前記モータ34によりベベルギア44を回転駆動する。このようにベベルギア44を駆動すると、その回転駆動力がベベルギア28およびベベルギア24を介して基節部16(側壁16a)に伝達され、その結果、図6に示すように関節軸20回りに基節部16が回動し、指14aが手の腹側に傾倒することとなる。なお、この場合にはベベルギア44の駆動と共にベベルギア38を回転駆動してリンク46(ベベルギア26)を回転させる。すなわち、上記の通り指14aはその基節部16と中節部17とがリンク48により連結されているため、基節部16だけを関節軸20回りに回動させようとするとリンク48によりその動きが妨げられる。従って、これを避けるため基節部16の回動量(角度)に応じて前記リンク46を同図中に矢印で示すように回動させるようにする。具体的には、モータ32によりベベルギア38を回転駆動する。このようにベベルギア38を駆動すると、その回転駆動力がベベルギア30を介してベベルギア26に伝達され、その結果、該ベベルギア26に一体に組付けられた前記リンク46が回動することとなる。
【0029】
上記の動作は指14aを伸長状態のまま掌12に対して手の腹側に折り曲げる場合であるが、指14aをその途中部分から折り曲げる場合には、上記の位置からリンク46(ベベルギア26)をさらに回転させる。このようにリンク46を回転させると、図7に示すようにリンク48を介して中節部17が手の腹側に引かれ、その結果、関節軸19aを支点として中節部17が回動し、基節部16に対して中節部17が手の平側に折れ曲がることとなる。そして、このように中節部17が基節部16に対して折れ曲がると、リンク50を介して末節部18が引かれ、その結果、関節軸19bを支点として末節部18が回動し、中節部17に対して末節部18が手の腹側に折れ曲がることとなる。
【0030】
ここでは、関節軸20を支点として指14a全体を掌12に対して折り曲げる動作と、関節軸19a,19bを支点として中節部17および基節部16を折り曲げる動作とを分けて説明しているが、これらの動作を並行して行うことにより指14aの屈折動作をスムーズに行うことができる。また、上記のような動作と逆の動作を行うことにより、指14aを伸長状態に戻すことができる。
【0031】
なお、上記の説明では、ロボットハンド10の指14a~14dのうちその一本の指14aの構成およびその駆動機構について説明したが、他の指14b~14dについても上記指14aと同様に構成されている。従って、各指14a~14dをそれぞれ揺動および屈伸させることにより人間の手に近い動きを実現することができる。
【0032】
以上のようなロボットハンド10の構成によると、基節部16のみならず中節部17についても掌12に搭載したモータ32により駆動するように駆動機構が構成されているため、中節部を駆動するためのモータを基節部に搭載している従来のこの種のロボットハンドのように基節部16の大きさや強度によってモータ32の大きさや重量に制約が課せられることがない。換言すれば、中節部17を駆動するためのモータについての選択の自由度を高めることができる。従って、基節部16のみならず中節部17についてもより高出力(高トルク)のモータで駆動することが可能となり、その結果、ロボットハンド10の
各指をより高トルクで駆動できるようになる。
【0033】
しかも、リンク機構(リンク46,48等)を使って中節部17を駆動するため、ワイヤーを使った駆動機構のような動力伝達媒体の伸びや切断といったトラブルを伴うことがなく、モータ32の回転駆動力を確実に中節部17に伝達することができる。従って、より高トルクで適切に指14aを駆動することができ、信頼性の高いロボットハンドを提供することができる。
【0034】
また、上記ロボットハンド10では、末節部18を、リンク機構を使って中節部1の動きに連動させることにより(すなわち、連動機構を設けることにより)、指14a(~14d)に一切モータを搭載することなく指14a(~14d)を駆動できるようにしているため、従来のこの種のボロットハンドに比較すると指14a(~14d)を大幅に軽量化することができる。従って、指14a(~14d)をより素早く動かすことが可能になるという効果もある。その上、末節部18を駆動するためのモータが必要ない分、ロボットハンド10を安価に製作することができ、また制御構成を簡素化することができるという特徴もある。
【0035】
また、上記のように関節軸20と駆動軸21とが直交する十字型の関節部材を設け、モータ22により駆動軸21を回転駆動することにより指14a(~14d)を揺動させる一方で、この関節部材の軸20,21にベベルギア24,26,28および30を装着し、モータ34の回転駆動力をベベルギア28,24を介して基節部16に伝達することにより該基節部16を駆動するとともに、モータ32の回転駆動力をベベルギア30,26等を介して中節部17に伝達することにより該中節部17を駆動するように駆動機構を構成しているため、上記のような関節部材とベベルギアとを組み合わせたコンパクトな機構で指14a(~14d)の揺動および屈伸動作を行わせることができ、ロボットハンド10をコンパクトに構成することができる。
【0036】
特に、前記モータ22,32,34のうち指を揺動させるためのモータ22を掌12の厚み方向に向け(すなわち出力軸21が厚み方向に延びる姿勢とし)、このモータ22の下側(指14aの長手方向)に指屈伸用のモータ32,34を配置するとともに、これらモータ32,34を前記厚み方向に並べて配置するようにしているので、比較的高出力(高トルク)の大型モータを使用した場合でも、指毎に各モータ22,32,34を効率良く掌12に搭載することができる。従って、上記のような駆動力伝達のための構成と相俟ってロボットハンド全体をコンパクトに構成することができる。
【0037】
なお、以上説明したロボットハンド10は、本発明を実施するための最良の形態であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である
【0038】
例えば、上記の例では、末節部18を、リンク機構を使って中節部17の動きに連動させることにより駆動するように構成しているが、従来同様に専用モータで駆動するように構成してもよい。例えば、図8に示すように関節軸19a回りに回転可能なベベルギア52を設け、これを末節部18に固定するとともに、このギア52に、中節部17に搭載したモータ54の出力軸に装着したベベルギア56を噛合させ、前記モータ54により末節部18を駆動するようにしてもよい。この構成によると、末節部18を独立して駆動させることができるので指先部分の動きの自由度が高まるという利点がある。なお、この構成の場合には中節部17にモータ54を搭載することとなるが、中節部17を駆動するモータ32は掌12に搭載されているため、該モータ32の大きさや重量に関しては制約を受けることがない
【0039】
た、上記の例では、各指14a~14dは、いずれも基節部16、中節部17および末節部18を有する3関節型の指構造を有しているが、2関節、あるいは4関節以上の関節をもつ指構造であっても構わない。また、指の数も4本に限らず、3本、あるいは5本以上であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るロボットハンドを示す平面図(模式図)である。
【図2】指およびその駆動機構の構成を示す側面図(図1のA矢視図)である。
【図3】図2の縦断面図である。
【図4】指およびその駆動機構の一部を示す斜視図(簡略図)である。
【図5】駆動機構の一部を示す図2のB-B断面図である。
【図6】指の屈伸動作を説明する側面図である。
【図7】指の屈伸動作を説明する側面図である。
【図8】ロボットハンドの変形例を示す指の要部断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ロボットハンド
12 掌
14a~14d 指(指)
16 基節部(第1単位節部)
17 中節部(第2単位節部)
18 末節部(第3単位節部)
22,32,34 モータ
19a,19b,20 関節軸
図面
【図4】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7