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明細書 :フルオロビス(アリールスルホニル)メタンおよびその製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4951754号 (P4951754)
公開番号 特開2007-230961 (P2007-230961A)
登録日 平成24年3月23日(2012.3.23)
発行日 平成24年6月13日(2012.6.13)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
発明の名称または考案の名称 フルオロビス(アリールスルホニル)メタンおよびその製造法
国際特許分類 C07C 315/04        (2006.01)
C07C 317/14        (2006.01)
C07B  39/00        (2006.01)
FI C07C 315/04 CSP
C07C 317/14
C07B 39/00 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2006-057330 (P2006-057330)
出願日 平成18年3月3日(2006.3.3)
審査請求日 平成21年2月16日(2009.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】融 健
【氏名】柴田 哲男
【氏名】中村 修一
【氏名】福澄 岳雄
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 特表2005-511665(JP,A)
特開2001-348354(JP,A)
特開平11-001468(JP,A)
特開昭61-017530(JP,A)
調査した分野 C07C 315/00
C07C 317/00
C07B 39/00
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表されるビス(アリールスルホニル)メタンを
(ArSOCH(1)
(Arは置換または無置換フェニル基、ナフチル基を表す)
塩基と処理し、ついで、フッ素化試薬を加えることによる下記式(2)で表されるフルオロビス(アリールスルホニル)メタンの製造法。
(ArSOCHF(2)
(Arは前に同じ)
【請求項2】
下記式(2)で表されるフルオロビス(アリールスルホニル)メタン。
(ArSOCHF(2)
(Arはフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基を表す)
【請求項3】
Arがフェニル基である請求項に記載の式(2)で表されるフルオロビス(フェニルスルホニル)メタン。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、モノフルオロメチル化に有用な新規1-フルオロ-1,1-ビス(アリールスルホニル)メタンおよびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロ化合物は、医薬品として有用な生理活性物質において、特長ある性能を付加するものとして重要である。これまでエノラートなど活性化された部位でのモノフルオロ化、ハロゲンなどに対する置換反応などでのモノフルオロ化反応は知られていたが、モノフルオロメチル化反応は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はモノフルオロメチル化に有用な新規1-フルオロ-1,1-ビス(アリールスルホニル)メタンおよびその製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、効率的なモノフルオロメチル化試薬を開発しようと鋭意研究した結果、1-フルオロ-1,1-ビス(アリールスルホニル)メタンを見いだしたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるビス(アリールスルホニル)メタンを
(ArSOCH(1)
(Arは置換または無置換フェニル基、ナフチル基を表す)
塩基と処理し、ついで、フッ素化試薬を加えることによる下記式(2)で表されるフルオロビス(アリールスルホニル)メタンの製造法
(ArSOCHF(2)
(Arは前に同じ)
および、モノフルオロメチル方を製造するのに極めて有用な新規化合物である下記式(2)で表されるフルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)からなる。
(ArSOCHF(2)
(Arはフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基を表す)

【発明の効果】
【0005】
本発明の化合物はモノフルオロメチル化試薬として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0007】
フルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)はビス(アリールスルホニル)メタンを塩基と処理し、カルボアニオンを生成し、ついでフッ素化試薬と反応させることにより得ることができる。塩基としては、K2O3, Li2CO3, Na2CO3, NaHCO3, NaOH, KOH, RbOH, CsOH, Cs2CO3, NaH, KHなどが好適に用いられる。塩基はビス(アリールスルホニル)メタンに対して1~10当量用いればよい。フッ素化試薬としては、N-フルオロベンゼンスルホンイミド、N-フルオロ-N-メチル-P-トルエンスルホンアミド、N-フルオロ-N'-クロロメチルトリエチレンジアミン ビス(テトラフルオロボラート) (SELECTFLUOR TM)、トリフルオロメチルハイポフルオライト(CF3OF)、アセチルハイポフルオライト(CH3COOF)、フッ化過クロリル(ClO3F)、硫酸セシウムフルオライト(CsSO4F)、1,1'-ジフルオロ-2,2'-ビピリジニウム ビス(テトラフルオロボラート)、N-フルオロ-4,6-ジメチルピリジニウム 2-スルホナート、N-フルオロ-4-メチルピリジニウム2-スルホナート、N-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジニウム2-スルホナート、N-フルオロ-4,6-ビス(トリフルオロメチル)ピリジニウム2-スルホナートが挙げられる。フッ素化試薬は1~10当量が好適に用いられる。反応は有機溶媒中にて行なわれるが、塩化メチレン, クロロホルム, 1,2-ジクロロエタン, トルエン, ベンゼン, ヘキサン、ペンタン, テトラヒドロフラン ジエチルエーテル, t-ブチルエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセとニトリル、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0008】
フルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)はモノフルオロメチル化試薬として有用である。すなわち、(2)を塩基と処理し、カルボアニオンを生成し、ついで、下記に示す化合物(3)と求核反応することにより、フルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)を得ることができる。(4)は、脱スルホニル化反応に供することによりモノフルオロメチル化生成物に簡便に変換できる。さらに注目すべきことは、フルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)から誘導されるカルボアニオンを、光学活性配位子を用いて各種触媒と反応させることにより、光学活性フルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)を得ることができる点である。さらに、脱スルホニル化反応により光学活性モノフルオロメチル化化合物に導くことができる。すなわち、フルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)はそのカルボアニオンとして求核反応および脱スルホニル化反応により、光学活性モノフルオロメチル化化合物に誘導できる優れた試薬であり、従来全く知られていないフルオロメチルアニオン等価体とも称することができる。
【0009】
ビス(アリールスルホニル)メタン(1)としては、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4-メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2-メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(3-メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(3-メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(4-メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(2-メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(4-エチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(3-エチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2-エチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2,4,6-トリメチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニルスルホニル)メタン、ビス(4-クロロフェニルスルホニル)メタン、ビス(3-クロロフェニルスルホニル)メタン、ビス(2-クロロフェニルスルホニル)メタン、ビス(4-ブロモフェニルスルホニル)メタン、ビス(3-ブロモフェニルスルホニル)メタン、ビス(2-ブロモフェニルスルホニル)メタン、ビス(4-ニトロフェニルスルホニル)メタン、ビス(4-t-ブチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(3,5-ジーt-ブチルー4-メトキシフェニルスルホニル)メタン等が挙げられるが、これらに限られるわけではない。
【0010】
【化1】
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【0011】
化合物(3)の例としては、アリル化合物、カルボニル化合物、a,b-不飽和カルボニル化合物、イミン類、ハロゲン化アルカンなどが挙げられる。具体的には、置換されていても良いアリルアセタート化合物が挙げられ、1-アセトキシー1,3,-ジフェニルプロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-イソブチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-イソブチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-イソブチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-メチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-ブチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-プロピルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(4-オクチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ビス(2,4-ジメチルフェニル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ジ(1-ナフチル)プロペン、1-アセトキシー1,3,-ジ(2-ナフチル)プロペン、1-アセトキシー3—フェニルプロペン、4-アセトキシヘキスー2-エン等が好適なアリルアセタート類として挙げられるが、もとよりこれらに限られることはない。
【0012】
アリルアセタート化合物と触媒を反応させ、ついで、塩基存在下、フルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)と反応させ、フルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)を得ることができる。ここで、触媒としては、パラジウム触媒が好適に用いられる。パラジウム触媒の例としては、アリルパラジウム(II)クロリド2量体、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、トランスーベンジル(クロロ)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、 ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II) クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジ酢酸、シスージクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ(N,N,N‘,N’-テトラエチレンジアミン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、パラジウム(II)シアニドなどが挙げられ、これらの触媒は通常、アキラルまたはキラルな配位子と共に用いられる。配位子はパラジウムに対して1当量用いればよい。例えばアキラル配位子としては、トリフェニルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)エタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセンが挙げられる。またキラル触媒としては、(R)-2-[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]-4-フェニル-2-オキサゾリン, (R)-1'-ビナフチル-2.2'-ジフェニルホスフィン、[1,1'-ナフタレン]-2,2'-ジイルビス[ビス(4-メチルフェニル)ホスフィン、2,2'-イソプロピリデン[(4S)-4-フェニル-2-オキサゾリン] (Box-Ph), [4,4'-ビス-1,3-ベンゾジオキソール]-5,5'-ジイルlビス(ジフェニルホスフィン) (SEGPHOS), 1,2-ビス[(2S,5S)-2,5-ジメチルホスフォラノ]エタン(BPE), (R,R)-(-)-1,2-ビス{(R)-4,5-ジヒドロ-3H-ビナフト[1,2-c:2',1'-エ]ホスフィノ}ベンゼン (Binaphane), 1,2-エタンジイルビス[(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィン(DIPAMP), [(1R,2S)-1,2-ジメチル-1,2-エタンジイル]ビス[ジフェニルホスフィン (CHIRAPHOS), (2R,3R)-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジイルビスジフェニルホスフィン(NORPHOS), [(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4,5-ジイル)ビス(メチレン)]ビスジフェニルホスフィン (DIOP)などがあげられる。触媒量としては0.01モル%から20モル%の範囲で用いられるが、特に、0.1モル%から10モル%の範囲で好適に用いられる。キラル配位子を使用すれば,キラルなフルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)を得ることができる。
【0013】
また,塩基としては、K2O3, Li2CO3, Na2CO3, NaHCO3, NaOH, KOH, RbOH, CsOH, Cs2CO3, NaH, KHなどが好適に用いられる。反応は有機溶媒中にて行なわれるが、CH2Cl2, CHCl3, ClCH2CH2Cl, トルエン, ベンゼン, ヘキサン、ペンタン, テトラヒドロフラン ジエチルエーテル, t-ブチルエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセとニトリル、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
【0014】
反応は通常、-50℃から80℃の範囲で行なわれるが、特にー20℃から40℃の範囲で行なうのが好ましい。反応終了顔通常行なわれる方法により粗生成物を単離し、必要により、カラムクロマトグラフィーや蒸留、再結晶などの方法により、より純粋な生成物(4)を得ることができる。
【0015】
本発明よりなるフルオロビス(アリールスルホニル)メタン(2)は、キラルな触媒を用いることによりキラルなフルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)を得ることができることにおいて他に類例のない特徴がある。さらに、フルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)は、脱アリールスルホニル化することによりモノフルオロメチル化生成物に簡便に変換することができるという優れた特徴を有する。脱アリールスルホニル化は、例えば、マグネシウムとメタノール中にて反応させることにより好適に行なうことができる。さらに、この反応の際に、キラルなフルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物(4)の光学純度をほぼ落とすことなく、すなわち、ラセミ化を伴うことなくモノフルオロメチル化生成物に変換できることも特筆に値する。
【0016】
酢酸アリル誘導体の他にも下記に示すフルオロビス(アリールスルホニル)メチル化された生成物を得ることができる。すなわち、α,β—不飽和カルボニル化合物へのβ—付加反応(反応式1)、ケトンまたはアルデヒドへの付加反応(反応式2)、イミンへの付加反応(反応式3)があげられる。これらの反応には延期が適宜用いられるが、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、, DBU, 1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、DABCO、 ピリジン, ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、キニン、キニジン、シンコニン、シンコニジンがあげられる。触媒が好適に用いられるが、N-ベンジルシンコニジウムブロミド, (L)-プロリン, 1,3-ジフェニル-2-チオウレア, BINOL-Al 錯体 (ALB), BINOL-Ti錯体, Box-Ph,(S,S)-N,N‘-ビス(3,5-ジ-t-ブチルサリシリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミン、K2CO3、TiCl4, SnCl4, AlCl3, Cu(OTf)2, MgCl2, NiClO4H2O, Pd(OAc)2、PPh3, dppe, dppp, dppbなどがあげられる。触媒、塩基と共に通常用いられる有機溶媒、例えば、CH2Cl2, CHCl3, ClCH2CH2Cl, Toluene, Benzene, Hexane, THF, Et2O, DMF, DMSO, CH3CNなどを用いて反応させればよい。
【0017】
【化2】
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【0018】
こうして得られるフルオロビス(アリールスルホニル)メチル化生成物は、必要により脱スルホニルか反応を行うことにより、モノフルオロメチル化生成物に簡便に変換できる。
【0019】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0020】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタンの合成
【化3】
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60% 油分散された水素化ナトリウム (205.3 mg, 0.833 mmol, 1.0 eq)のテトラヒドロフラン溶液40 mlを0 ℃に冷却した後に,ビス(フェニルスルホニル)メタン(241 mg, 0.813 mmol, 1.0 eq)を加え,室温で1時間攪拌する。得られた懸濁液を0 ℃でSelectfluor (N-フルオロ-N'-クロロメチルトリエチレンジアミン ビス(テトラフルオロボラート) (33.3 mg, 0.833 mmol, 1.0 eq)のアセトニトリル溶液50 mlに加え,室温で1 時間攪拌する。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:塩化メチレン=2:8) で精製し,(2)を白色固体195 mg (57%)として得た。
1H NMR (200 MHz; CDCl3) δ 5.70 (1H, d, J = 45.8 Hz, CH), 7.55-7.65 (4H, m, Ar), 7.70-7.80 (2H, m, Ar), 7.95-8.05 (4H, d, Ar)
19F NMR (188 MHz; CDCl3)δ167.2 (d, J = 14.8 Hz)
MS (ESI-TOF) 314 (M+), 173 (M+ -SO2Ph), 141 (M+ -PhSO2CHF)
【実施例2】
【0021】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
【化4】
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(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン (2.5 mg, 0.0067mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.2 mg, 0.0033 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル (99.1 mg, 0.272 mmol, 2.0 eq)を塩化メチレン中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン (42.6 mg, 0.136 mmol, 1.0 eq)とCs2CO3(87.8 mg, 0.270 mmol, 2.0 eq)を加え,0 ℃で60 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し, (E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(77 mg 、91%, 98% ee)として得た。
HPLC (CHIRALCEL AD-H, Hexane/iPrOH=80:20, 1.0 ml/min, 10.0 min and 15.2 min)
1H NMR (200 MHz; CDCl3) δ 0.88 (12H, t, J = 5.8 Hz, CH3), 1.71-1.92 (2H, m, CH), 2.38 (2H, d, J = 7.2 Hz, CH2), 2.45 (2H, d, J = 7.0 Hz, CH2), 4.70 (1H, dd, J = 9.6, 14.5 Hz, CH=CH-CH), 6.46 (1H, d, J = 15.8 Hz, CH=CH-CH), 6.98-7.90 (19H, m, CH=CH-CH, Ar)
13C NMR (50 MHz; CDCl3)δ127.8 (d, J = 14.5 Hz) 14.3, 21.1, 30.1, 30.3, 45.0, 45.2. 51.1, 51.4, 60.3, 116.4, 119.0, 121.6, 121.7, 126.3, 128.1, 128.3, 128.5, 129.0, 130.0, 130.7, 132.4, 134.0, 134.4, 135.5, 136.0, 136.7, 141.0, 141.2
19F NMR (188 MHz; CDCl3)δ127.8 (d, J = 14.5 Hz)
【実施例3】
【0022】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン(2.5 mg, 0.0067 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.3 mg, 0.0036 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル(50.2 mg, 0.138 mmol, 1.0 eq)をトリフルオロメチルベンゼン中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン(47.9 mg, 0.152 mmol, 1.1 eq)とCs2CO3(49.3 mg, 0.151 mmol, 1.1 eq)を加え,0 ℃で10 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(12.0mg, 14%, 97% ee)として得た。
【実施例4】
【0023】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン (2.6 mg, 0.0070 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.4 mg, 0.0038 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル(50.8 mg, 0.139 mmol, 1.0 eq)をクロロホルム中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン(47.4 mg, 0.151 mmol, 1.1 eq)とCs2CO3(49.5 mg, 0.152 mmol, 1.1 eq)を加え,0 ℃で24 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(5.8mg, 8%, 97% ee)として得た。
【実施例5】
【0024】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン (2.7 mg, 0.0072 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.5 mg, 0.0041 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル(81.9 mg, 0.225 mmol, 1.5 eq)をTHF中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン(47.0 mg, 0.150 mmol, 1.0 eq)とNaH(9.2 mg, 0.230 mmol, 1.5 eq)のTHF溶液を滴下し,0 ℃で24 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(19.9mg, 21%, 95%ee)として得た。
【実施例6】
【0025】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル (4.8 mg, 0.0077 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2(1.6 mg, 0.0044 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル(109.6 mg, 0.301 mmol, 2.0 eq)を塩化メチレン中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン( 46.9 mg, 0.149 mmol, 1.0 eq)とCs2CO3 (98.4 mg, 0.302 mmol, 2.0 eq)を加え,0 ℃で48 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(80.3mg, 87%, 88% ee)として得た。
【実施例7】
【0026】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン(3.6 mg, 0.0096 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.8 mg, 0.0049 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル(74.5 mg, 0.204 mmol, 1.0 eq)を塩化メチレン中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン (70.6 mg, 0.225 mmol, 1.1 eq)とK2CO3(30.8 mg, 0.223 mmol, 1.1 eq)を加え,0 ℃で14 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(40 mg, 31%, 94% ee)として得た。
【実施例8】
【0027】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン(2.3 mg, 0.0062 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.3 mg, 0.0036 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(2E)-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-2-プロペニル (50.6 mg, 0.139 mmol, 1.0 eq)をトルエン中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン ( 48.2 mg, 0.153 mmol, 1.1 eq)とCs2CO3(49.8 mg, 0.153 mmol, 1.1 eq)を加え,0 ℃で8 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=8:2) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンを黄色固体(8.8 mg, 10%, 96% ee)として得た。
【実施例9】
【0028】
1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メチル化反応
(E)-4-フルオロ-1,3-ジフェニル-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エンの合成
【化5】
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(4S)-2-(2-ジフェニルホスフィノフェニル)-4-イソプロピル-1,3-オキサゾリン(3.5 mg, 0.00937 mmol, 5 mol%)と[Pd(C3H5)Cl]2 (1.8 mg, 0.0049 mmol, 2.5 mol%)と酢酸(E)-1,3-ジフェニルアリル (50.5 mg, 0.200 mmol, 1.0 eq)を1,2-ジクロロエタン中,室温で15分間撹拌した。0 ℃に冷却した後に,1-フルオロ-1,1-ビス(フェニルスルホニル)メタン (68.6 mg, 0.218 mmol, 1.1 eq)とCs2CO3(71.2 mg, 0.219 mmol, 1.1 eq)を加え,0 ℃で2 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:塩化メチレン=3:7) で精製し,(E)-4-フルオロ-1,3-ジフェニル-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エン(33.4mg, 33%, 91% ee)を白色固体として得た。
1H NMR (200 MHz; CDCl3) δ4.72 (1H, dd, J = 9.2, 14.5 Hz, CH=CH-CH), 6.49 (1H, d, J = 15.8 Hz, CH=CH-CH), 7.00-7.90 (21H, m, CH=CH-CH, Ar)
19F NMR (188 MHz; CDCl3)δ128.5 (d, J = 14.5 Hz)
【実施例10】
【0029】
3-フルオロ-2-(4-イソブチルフェニル)-3,3-ビス(フェニルスルホニル)プロパン-1-オールの合成
【化6】
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(E)-4-フルオロ-1,3-ビス(4-イソブチルフェニル)-4,4-ビス(フェニルスルホニル)ブト-1-エン (5a, 506 mg, 0.818 mmol, 1.0 eq)のMeOH 20 ml, CH2Cl2 7 ml溶液を-78 ℃に冷却し,そこにオゾン発生装置で発生させたオゾンガスを30 min導入した後,5分間O2を導入し,過剰のオゾンを除いた。続いてNaBH4(93.1 mg, 2.49 mmol, 3.0 eq)を加え,2 hかけて室温まで昇温した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=6:4) で精製し,3-フルオロ-2-(4-イソブチルフェニル)-3,3-ビス(フェニルスルホニル)プロパン-1-オールを白色固体(393 mg, 98%)として得た。
1H NMR (200 MHz; CDCl3) δ 0.88 (6H, d, J= 6.6 Hz, CH3), 1.70-1.90 (1H, m, CH), 2.19 (1H, t, J = 6.2 Hz, OH), 2.39 (2H, d, J = 7.2 Hz, CH2), 3.95-4.10 (1H, m, CH), 4.42-4.60 (1H, m, CHH), 4.68-4.84 (1H, m, CHH), 6.90-7.10 (4H, m, Ar), 7.40-7.60 (4H, m, Ar), 7.60-7.80 (6H, m, Ar)
19F NMR (188 MHz; CDCl3)δ129.7 (d, J = 9.2 Hz)
【実施例11】
【0030】
脱スルホニル化反応
【化7】
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マグネシウムリボン (707 mg, 29.1 mmol, 45.0 eq)のMeOH 5 ml溶液にCH2Br2を1滴,続いてTMSClを1滴加える。0℃に冷却した後,3-フルオロ-2-(4-イソブチルフェニル)-3,3-ビス(フェニルスルホニル)プロパン-1-オール (317 mg, 0.646 mmol, 1.0 eq)のMeOH 5 ml溶液を滴下する。0 ℃で2時間攪拌したのち,水を加えて反応を停止させ,1M HClで水溶液を酸性にする。水層を塩化メチレンで抽出し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させ,減圧下で溶媒を留去した後,カラムクロマトグラフィー (へキサン:酢酸エチル=7:3) で精製し,3-フルオロ-2-(4-イソブチルフェニル)プロパン-1-オール(119 mg, 87%)を得た。
1H NMR (200 MHz; CDCl3) δ 0.90 (6H, d, J = 6.6 Hz, CH3), 1.55 (1H, br, OH), 1.74-1.95 (1H, m, CH), 2.44 (2H, d, J = 7.2 Hz, CH2), 3.05-3.30 (1H, dm, J= 19.8 Hz, CHCH2F), 4.69 (2H, dd, J = 5.6, 47.2 Hz, CH2F), 7.00-7.20 (4H, m, Ar)
19F NMR (188 MHz; CDCl3)δ 8.15 (dt, J = 19.8, 47.2 Hz)
MS (ESI-TOF) 210 (M+), 179 (M+ -CH2OH), 160 (M+-CH2OH, F)