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明細書 :カーボンナノチューブの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4862152号 (P4862152)
公開番号 特開2007-238338 (P2007-238338A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 カーボンナノチューブの製造方法
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
D01F   1/10        (2006.01)
FI C01B 31/02 101F
D01F 1/10
請求項の数または発明の数 6
全頁数 22
出願番号 特願2006-058665 (P2006-058665)
出願日 平成18年3月3日(2006.3.3)
審査請求日 平成19年3月5日(2007.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】京谷 陸征
【氏名】後藤 博正
【氏名】赤木 和夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100091443、【弁理士】、【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 特開平11-329413(JP,A)
ZHANG, X. et al.,Synthesis of Polyaniline Nanofibers by“Nanofiber Seeding”,J. Am. Chem. Soc.,2004年,Vol. 126, No. 14,p. 4502-4503
調査した分野 C01B 31/00-31/36
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
芳香族アミンのモノマーを二環式モノテルペンが存在する溶媒中に溶解してモノマー溶液を調製する調製工程と、
前記モノマー溶液中の前記モノマーを重合してチューブ状の芳香族アミンのポリマーと二環式モノテルペンとの複合体を生成する重合工程と、
前記複合体を不活性ガス雰囲気中で加熱して炭素化することにより炭素化物を生成する加熱炭素化工程とからなり、
前記芳香族アミンが、アニリンまたはアニリンの誘導体から選ばれるいずれか1種であり、
前記二環式モノテルペンが、反応性置換基を有するショウノウの誘導体であり、
前記重合工程における前記モノマーの重合方法が、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを酸化剤とする酸化重合法であり、
前記アニリンまたはアニリンの誘導体から選ばれるいずれか1種のモル濃度が、6.4×10-2乃至1.7×10-1mol/lであり、
前記アニリンまたはアニリンの誘導体から選ばれるいずれか1種と前記ショウノウの誘導体とのモル比が、1:0.3乃至0.6であり、
前記ペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度が、7.9×10-2乃至1.3×10-1mol/lであることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項2】
前記加熱炭素化工程における加熱温度が、800℃以上1500℃以下である請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項3】
前記炭素化物をさらに不活性ガス雰囲気中で加熱する再加熱工程を含む請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項4】
前記再加熱工程における加熱温度が、2100℃以上3000℃以下である請求項3に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項5】
前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノンから選ばれる少なくとも1種である請求項1または3に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項6】
前記重合工程と前記加熱炭素化工程との間に、前記複合体をアルカリ溶液で洗浄する洗浄工程をさらに含む請求項1または5に記載のカーボンナノチューブの製造方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズでチューブ状のカーボンであるカーボンナノチューブおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、燃料電池用の水素吸蔵材、壁掛けテレビ用の電界放出型電子銃の電極材料、超高感度ガスセンサのセンサ材料等の次世代材料として有望である。従来のカーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電(特開平7-165406号公報)、レーザ蒸発法(特開平10-273308号公報)、化学的気相成長法(CVD法)(特公平3-64606号公報)等の金属触媒を利用した気相合成法が一般的である。また最近では、炭素前駆体ポリマーに分解消失性ポリマーを被覆してコア粒子を作成し、このコア粒子を加熱溶融して紡糸したものを加熱して炭素化することによりカーボンナノチューブを製造するポリマーブレンド法がある(特開2002-29719号公報)(図)。

【特許文献1】特開平7-165406号公報
【特許文献2】特開平10-273308号公報
【特許文献3】特公平3-64606号公報
【特許文献4】特開2002-29719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アーク放電等を利用した気相合成法を用いる場合は、高電圧環境を必要とするため、製造装置が大規模で且つ複雑になる。また、気相合成法では、金属触媒を用いるため残存金属等の不純物がナノカーボンに混入し易く、ナノカーボンの収率が悪くなる。そのため、気相合成法は大量生産には不向きである。さらに気相合成法では、カーボンナノチューブのチューブ形状を制御することが困難であり、カーボンナノチューブの品質にバラツキが生じる問題がある。
【0004】
また、ポリマーブレンド法は、チューブ形状の形成が比較的制御しやすい。しかし、加熱炭素化する前に紡糸工程を経なければならないため、カーボンナノチューブの製造工程が複雑になる問題がある。また、ポリマーブレンド法では、炭素化による分解消失性ポリマーが分解消失する際に大量のガスが発生するため、環境衛生上も問題がある。
【0005】
本発明の目的は、製造工程が簡易なカーボンナノチューブの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、カーボンナノチューブのチューブ形状を制御することができるカーボンナノチューブの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカーボンナノチューブの製造方法では、まず芳香族アミンのモノマーを二環式モノテルペンが存在する溶媒に溶解してモノマー溶液を調製する(調製工程)。次に、モノマー溶液中のモノマーを重合してチューブ状の芳香族アミンのポリマーと二環式モノテルペンとの複合体を生成する(重合工程)。そして、この複合体を不活性ガス雰囲気中で加熱して炭素化することにより炭素化物を生成する(加熱炭素化工程)。これらの調製工程、重合工程および加熱炭素化工程を経ることにより、カーボンナノチューブを製造する。なお、チューブ状の芳香族アミンのポリマーと二環式モノテルペンとの複合体は、カーボンナノチューブを生成する過程で炭素前駆体となる。
【0008】
ここで調製工程で用いる溶媒には、水等の極性溶媒を用いることができる。但し、溶媒は、調製工程で最終的に芳香族アミンのモノマーが溶解する溶媒であればいかなるものでも良いのはもちろんである。二環式モノテルペンを溶媒中に存在させるには、溶媒に芳香族アミンのモノマーを添加した後に二環式モノテルペンを添加してもよいし、溶媒に芳香族アミンのモノマーを添加する前に予め二環式モノテルペンを添加してもよい。また溶媒に芳香族アミンのモノマーを添加するのと同時に二環式モノテルペンを添加してもよい。
【0009】
本発明によれば、芳香族アミンのモノマーを重合して生成した芳香族アミンのポリマーを、そのまま加熱して炭素化するだけでチューブ形状を有するカーボンナノチューブが得られる。そのため、カーボンナノチューブの製造において、気相合成法のような高電圧環境を用いる必要がなく、大規模な装置を用いる必要がない。また、金属触媒を用いないため、残存金属等の混入によるカーボンナノチューブの収率が低下するのを防止することができる。また、本発明ではポリマーブレンド法のように紡糸加工を別途施す必要がないため、簡単な製造工程でカーボンナノチューブを製造することができる。また、ポリマーブレンド法のように炭素化の際に大量のガスが発生する原因となる分解消失性ポリマーを用いないため、加熱炭素化工程におけるガスの発生を少なくすることができる。
【0010】
芳香族アミンとしては、アニリン(aniline)またはその誘導体から選ばれるいずれか1種を用いるのが望ましい。アニリンまたはその誘導体を用いると、加熱してもカーボンナノチューブのチューブ形状が破壊され難い炭素前駆体を得ることができる。なお、アニリンまたはその誘導体から選ばれるいずれか1種のモル濃度は、6.4×10-2乃至1.7×10-1mol/lの範囲とするのが好ましい。ここで、モル濃度(mol/l)は、溶媒1リットルあたりの物質のモル数を示すものである(以下に同じ)。アニリンまたはその誘導体から選ばれるいずれか1種のモル濃度が6.4×10-2より低く、1.7×10-1molより高いとナノサイズのチューブ状構造が形成され難い。
【0011】
また、二環式モノテルペンとしては、反応性置換基を有するショウノウ(camphor)の誘導体を用いるのが望ましい。反応性置換基としては、ハロゲン基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基等の反応性置換基を用いることができる。反応性置換基を有するショウノウの誘導体を用いると、アニリンまたはその誘導体から選ばれるいずれか1種のポリマーの多くがチューブ状構造になる。なお、反応性置換基を有するショウノウの誘導体の重量をアニリンまたはアニリンの誘導体から選ばれるいずれか1種と反応性置換基を有するショウノウの誘導体とのモル比が、1:0.3乃至0.7となるようにする。ショウノウの誘導体0.3より小さい数となり、0.7より大きい数となるモル比になると、アニリンまたはその誘導体から選ばれるいずれか1種のポリマーがナノサイズのチューブ状構造になる割合が低下するため、ナノサイズのチューブ状構造が形成され難くなる。
【0012】
本発明では、重合工程における芳香族アミンのモノマーの重合方法として、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(ammonium peroxydisulfate)を酸化剤とする酸化重合法を用いる。ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、市場で比較的安価に入手できるため、カーボンナノチューブの製造コストを下げることができる。なお、本発明ではペルオキソ二硫酸アンモニウムを酸化剤として用いるが、酸化重合が行われる酸化剤であれば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム以外の酸化剤を用いてもよいのは勿論である。なお、ペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度は、7.9×10-2乃至1.3×10-1mol/lの範囲とするのが好ましい。ペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度を7.9×10-2より低いと、効率の良い酸化重合を行うことができないため、ナノサイズのチューブ状構造が形成され難い。なお、ペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度を1.3×10-1mol/lより高くしても、ナノサイズのチューブ状構造が形成され得るが、ナノサイズのチューブ状構造そのものを向上させるものではなく、コストが高くなるだけである。したがって、ペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度を1.3×10-1mol/lより高くすることは、技術的に意味がない。
【0013】
加熱炭素化工程における加熱温度を、800℃以上1500℃以下とするのが好ましい。加熱温度が800℃より低いと、炭素化が不十分で炭素以外の元素、特に窒素と水素の残存比率が高くなる。加熱温度が1500℃より高いと、後述のとおりグラファイト化(高結晶化)されるため、低結晶性のカーボンナノチューブを製造したい場合に低結晶性のカーボンナノチューブが得られにくくなる。
【0014】
さらに、加熱炭素化工程の後に炭素化物をさらに加熱する再加熱工程を行うことにより残存する窒素と水素はほぼなくなり、炭素のみから構成されたカーボンナノチューブとなる。またこのような再加熱工程を行うと、カーボンナノチューブを結晶化(グラファイト化)が向上し、導電性のより高いカーボンナノチューブが得られる。再加熱工程における再加熱は、炭素化工程と連続して行っても良く、また、炭素化工程における加熱を一旦終了してから、改めて再加熱工程において加熱しても良い。なお、再加熱工程における加熱温度は、2100℃以上3000℃以下とするのが好ましい。再加熱工程における加熱温度が2000℃より低いと、カーボンナノチューブの結晶化が進みにくい。また加熱温度が3000℃より高いと、カーボンナノチューブの炭素分が昇華して気化し易くなる。
【0015】
加熱炭素化工程における加熱および再加熱工程における再加熱は、不活性ガスとして窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノンから選ばれる少なくとも1種のガスの雰囲気中で行うのが好ましい。炭素前駆体の加熱をこれらのガスの雰囲気中で行うのは、炭素分の炭酸ガス化を防止するためである。
【0016】
本発明において、アニリンの誘導体(芳香族アニリン)としてアニリンスルホン酸を用いた場合、または反応性官能基を有するショウノウの誘導体(二環式モノテルペン)としてショウノウスルホン酸を用いた場合に、スルホン酸が存在するため、炭素前駆体を不活性ガス雰囲気中で加熱して炭素化する際に人体に有毒なSOxガスが発生するおそれがある。このようなガスの発生を阻止するためには、重合工程と加熱炭素化工程との間に、ナノサイズでチューブ状のポリアニリンとショウノウスルホン酸との複合物をアルカリ溶液で還元する洗浄工程をさらに実行すればよい。アルカリ溶液としては、アンモニア溶液を用いることができる。このような洗浄工程を追加することにより、加熱炭素化前に炭素前駆体からスルホン基またはスルホン酸を除去することができる。このような方法(炭素前駆体の化学的還元)により加熱炭素化工程におけるSOxガスの発生を防ぐことができる。
【0017】
なお、SOxガスの発生を防ぐ方法としては、炭素前駆体を化学的に還元する方法に代えて、SOxガスが排出する部分にSOxガス吸着装置等を設置して機械的にSOxガスを除去する方法を採用してもよいのは勿論である。
【0018】
また、上述のカーボンナノチューブの製造方法により製造したカーボンナノチューブが本発明のカーボンナノチューブとなる。
【0019】
なお、本発明のカーボンナノチューブは、電極材料として用いることができる。本発明のカーボンナノチューブを電極材料として電極の一部または全部を構成すると、低抵抗性で高導電性の電極が得られる。
【0020】
また、本発明のカーボンナノチューブは、繊維の原料としても用いることができる。本発明のカーボンナノチューブを含有する繊維を構成すると、引っ張り強度等の機械的強度が高く、難燃性が高い高機能繊維が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、二環式モノテルペンの存在化で芳香族アミンのモノマーを重合して生成したチューブ状の芳香族アミンのポリマーを、炭素前駆体としてそのまま不活性ガス雰囲気中で加熱して炭素化するだけでカーボンナノチューブを得ることができるため、簡単な製造工程でカーボンナノチューブを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のカーボンナノチューブ及びその製造方法の実施の形態について、適宜、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態のカーボンナノチューブの製造方法の概要を示すフローチャートである。この実施の形態では、まず調製工程において、芳香族アミンのモノマーを二環式モノテルペンが存在する溶媒に溶解してモノマー溶液を調製する(ST1)。芳香族アミンのモノマーとしては、アニリン(aniline)またはアニリンの誘導体のモノマーを用いることができる。本実施の形態では芳香族アミンとしてアニリン(和光純薬206-04006)を用いる。二環式テルペンは、反応性官能基を有するショウノウ(camphor)の誘導体を用いることができる。本実施の形態では、反応性官能基を有するショウノウの誘導体としてショウノウスルホン酸(camphor sulfonic acid)(東京化成C0015(+)-ショウノウスルホン酸、c0972(-)-ショウノウスルホン酸)を用いる。また、溶媒は、極性溶媒を用いることができる。ただし調製工程で最終的に芳香族アミンのモノマーが溶解する溶媒であればよい。本実施の形態では、極性溶媒として、水(イオン交換水)を用いる。
【0023】
調製工程では、具体的に次のようにモノマー溶液の調製を行う。まずイオン交換水500mLを入れた1Lの三角フラスコに、アニリン5gを加える。このときアニリンのモル濃度は、0.11mol/lである。この時点ではアニリンは溶解せず、アニリンと水は分離する。これにショウノウスルホン酸6.23gを加え、マグネティックスターラで約10分間攪拌する。このときショウノウスルホン酸のモル濃度は0.0537mol/lである。この後、アニリンはアニリンスルホン酸塩となって水に溶解し、これを本実施の形態におけるモノマー溶液とする。ショウノウスルホン酸は、D-(+)体またはL-(-)体のいずれのショウノウスルホン酸を用いても良く、またD-(+)体とL-(-)体とが混合したショウノウスルホン酸を用いても良い。本実施の形態では、D-(+)体のショウノウスルホン酸を用いる。
【0024】
次に重合工程に進み、モノマー溶液中のモノマーを重合してナノサイズでチューブ状のポリアニリンとショウノウスルホン酸との混合物を生成する(ST2)。本実施の形態では、まず調製したモノマー溶液が入った三角フラスコを0℃に冷却する。そしてこの三角フラスコに、ペルオキソ二硫酸アンモニウム12.26gをゆっくり加え、約15時間放置する。このときペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度は0.108mol/lである。その後、三角フラスコ中の溶液をガラスフィルターでろ過し、ろ別した残査を水で洗浄する。これをさらにろ過し、ろ過した残査を、大過剰のメタノールで洗浄して再度ろ過する。すると、ナノサイズでチューブ状のポリアニリンとショウノウスルホン酸の混合物(炭素前駆体)10.43gが得られる。これを真空状態で乾燥した後、後述の加熱炭素化工程に進み炭素前駆体を加熱する。ここで、アニリンのモノマーを重合して得られたポリアニリンがチューブ状構造を有することから、得られたポリアニリンはアニリンのモノマーがそれぞれパラ位に配向した立体構造を有するポリアニリンであるものと推測される。
【0025】
図2は、本実施の形態で合成した炭素前駆体を、走査型電子顕微鏡(トプコン製DSー130)を用いて撮影した写真である。また図3は、本実施の形態で合成した炭素前駆体を、透過型電子顕微鏡(日立HF-3000S)を用いて撮影した写真である。なお図2及び図3の写真中に示したスケールは倍率を表している。図2の写真は、本実施の形態で合成した炭素前駆体がナノサイズのチューブ状構造を有していることを示している。特に図3の写真は、この炭素前駆体が、ナノメートルサイズの大きさを有し、チューブ状構造を有することを示している。
【0026】
なお、本実施の形態において重合したポリアニリンに対して、溶媒(イオン交換水)に反応性官能基を有する二環式モノテルペン(ショウノウスルホン酸)が存在しない状態で調製したモノマー溶液から溶液中のモノマーを重合して合成した通常のポリアニリンを、上記の走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を図4に示す。なおこの写真の倍率は、写真中に示されたスケールで表されている。図4の写真に示されたポリアニリンは、チューブ状構造等の一定の形状を有するものではなく、図2及び3に示す本実施の形態におけるポリアニリンの形状とは異なる形状を有する。
【0027】
本実施の形態では、次に加熱炭素化工程において、重合工程で合成したチューブ状構造の炭素前駆体をアルゴンガス雰囲気中で加熱して炭素化する(ST3)。加熱炭素化工程における加熱温度は、800℃以上1500℃以下とする。本実施の形態では、800~1200℃の加熱温度で、1時間、炭素前駆体を加熱する。なお、加熱炭素化工程における加熱は、カーボンの酸化による炭酸ガス化を防ぐため不活性ガスの雰囲気中で行う。本実施の形態では、不活性ガスとしてアルゴンガスを用いる。
【0028】
図5は、本実施の形態の製造方法により製造したカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。また図6は、本実施の形態の製造方法により製造したカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で撮影した写真である。なお、これらの写真においても写真中に示したスケールは倍率を表している。図5の写真は、本実施の形態で製造したカーボンナノチューブの形状が、チューブ状の構造を有し、加熱前の炭素前駆体のチューブ状構造をほぼ維持した構造を有することを示している(図2)。図6の写真は、このカーボンナノチューブが、ナノメートルサイズの大きさを有し、チューブ状構造を有し、加熱前の炭素前駆体におけるチューブ状構造を有し、そのチューブ状構造をほぼ維持していることを示している(図3)。本実施の形態では、得られたカーボンナノチューブの長さ方向の長さ寸法は約10μmであり、カーボンナノチューブの外径の寸法は約0.1μmとなっている。しかし、本発明のカーボンナノチューブの製造方法により得られたカーボンナノチューブの寸法は、上記寸法に限定されるものではない。またカーボンナノチューブの内径の寸法は加熱前の炭素前駆体の内径の寸法よりも大きくなっている。得られたカーボンナノチューブの収率は炭素前駆体に対する重量比で約45~55%である。
【0029】
さらに本実施の形態では、上記炭素化工程の後に、十分な炭素化を行うために再加熱工程を置き、加熱炭素化工程で得られたカーボンナノチューブをアルゴンガス雰囲気中で再度加熱する(ST4)。再加熱工程における加熱温度は2100℃~3000℃とすることができるが、本実施の形態では加熱温度を2500℃~3000℃として、炭素化工程で生成したカーボンナノチューブを再度加熱する。
【0030】
図7は、本実施の形態において再加熱工程(ST4)を経て得られたカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。また図8は、本実施の形態において再加熱工程(ST4)を経て得られたカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で撮影した写真である。これらの写真において、写真中に示したスケールは倍率を示している。特に図8の写真は、このカーボンナノチューブが、図6のカーボンナノチューブに比べて表面が平坦になり、結晶化が向上(グラファイト化)していることを示している。本実施の形態では、得られたカーボンナノチューブの長さ方向の長さ寸法は約10μmであり、カーボンナノチューブの外径の寸法は約0.1μmとなっている。しかし、本発明のカーボンナノチューブの製造方法により得られたカーボンナノチューブの寸法は、上記寸法に限定されるものではない。また図8の写真は、図8に表されたカーボンナノチューブの内径の寸法は、図6に表されたカーボンナノチューブの内径の寸法よりも大きくなっている。なお再加熱によるカーボンナノチューブの収率は、再加熱前の重量に対して80%以上である。
【0031】
上述の実施の形態では、加熱工程の際にSOxガスが発生する。これは、二環式モノテルペンとしてショウノウスルホン酸を用いるため、炭素前駆体にスルホン基が結合および/またはスルホン酸が付着(内包する場合を含む)し、これを加熱することによりSOxが発生するものと考えられる。そこで、さらに他の実施の形態では、重合工程と加熱炭素化工程との間に、さらに洗浄工程を設けて、スルホン基またはスルホン酸を含む炭素前駆体をアルカリ溶液で洗浄することにより、加熱工程前に炭素前駆体からスルホン基またはスルホン酸を除去する。この実施の形態では、アルカリ溶液としてアンモニア溶液(水:アンモニア水=1:1)の混合溶液を用意する。なおアンモニア溶液の量はポリマーに対し過剰量ある場合は水:アンモニア水=1:<1でもよい。これに重合工程で合成した炭素前駆体(真空乾燥する前の状態で)を加え、約2時間攪拌する。なお、溶液の色は、アンモニア溶液による洗浄前は、緑色であるのに対して、洗浄後は濃紺色となる。溶液の色が緑色なのは、アンモニア溶液による洗浄前のポリアニリンが酸化型である(ポリアニリンにスルホン基が結合および/またはスルホン酸が付着している)ことによるものと考えられる。その後、これをろ化してろ別した残査を真空状態で乾燥し芳香族アミンのポリマーとしてポリアニリンを得る。このようにして洗浄した炭素前駆体を加熱工程で加熱してもSOxガスは発生しない。洗浄工程を経由したことにより炭素前駆体からスルホン基またはスルホン酸が除去されたものと考えられる。
【0032】
図9は、アルカリ溶液(アンモニア溶液)による洗浄工程を経た炭素前駆体を走査型電子顕微鏡により観察した写真であり、図10は図9に示す炭素前駆体を加熱して製造したカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡により観察した写真である。図7(A)及び図10の写真は、洗浄工程を経て製造したカーボンナノチューブと、洗浄工程を経ないで製造したカーボンナノチューブとが、同等の外観を呈するチューブ状の構造を有することを示している。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、実施例及び比較例から最適範囲を確認する。まず本実施の形態において、アニリン(芳香族アミン)の量を変えた場合(ショウノウスルホン酸の量、イオン交換水の量、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量、加熱温度及び加熱時間は、それぞれ一定)の実施例及び比較例を下記に列挙する。
【0034】
実施例1 アニリン3g(6.4×10-2mol/l)、ショウノウスルホン酸6.23g(5.4×10-2mol/l)、イオン交換水500ml、ペルオキソ二硫酸アンモニウム12.26g(1.1×10-1mol/l)、アルゴンガス雰囲気中で炭素化するための加熱温度1000℃、加熱時間1hr
実施例2 実施例1において、アニリンの量を5g(1.1×10-1mol/l)とする(上述した本発明の実施の形態と同一)。
【0035】
実施例3 実施例1において、アニリンの量を8g(1.7×10-1mol/l)とする。
【0036】
比較例1 実施例1において、アニリンの量を1g(2.2×10-2mol/l)とする。
【0037】
比較例2 実施例1において、アニリンの量を9g(1.9×10-1mol/l)とする。
【0038】
表1は、アニリン(芳香族アミン)の量を変えたときの各実施例及び比較例ごとに、加熱後にチューブ形成の有無を確認した表である。
【表1】
JP0004862152B2_000002t.gif

【0039】
表1より、実施例1乃至3の範囲において、カーボンナノチューブの長さ方向の長さが10μm以下のナノサイズのチューブ状のカーボン(カーボンナノチューブ)が得られる。したがってアニリン(芳香族アミン)の最適範囲は、6.0×10-2乃至1.7×10-1mol/lとなる。
【0040】
次に、反応性置換基を有するショウノウスルホン酸(二環式モノテルペン)の量を変えた場合(アニリンの量、イオン交換水の量、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量、アルゴンガス雰囲気中で炭素化するための加熱温度及び加熱時間は、それぞれ一定)の実施例及び比較例を下記に列挙する。
【0041】
実施例4 アニリン5g(1.1×10-1mol/l)、ショウノウスルホン酸4g、(3.4×10-2mol/l)(アニリンとショウノウスルホン酸のモル比/1:0.3)、イオン交換水500ml、ペルオキソ二硫酸アンモニウム12.26g(1.1×10-1mol/l)、アルゴンガス雰囲気中で炭素化するための加熱温度1000℃、加熱時間1hr。
【0042】
実施例5 実施例4において、ショウノウスルホン酸の量を6.23g(5.4×10-2mol/l)とする[上述した本発明の実施の形態(実施例2)と同一](アニリンとショウノウスルホン酸のモル比/1:0.5)。
【0043】
実施例6 実施例4において、ショウノウスルホン酸の量を8g(6.9×10-2mol/l)とする(アニリンとショウノウスルホン酸のモル比/1:0.6)。
【0044】
比較例3 実施例4において、ショウノウスルホン酸の量を3g(2.6×10-2mol/l)とする(アニリンとショウノウスルホン酸のモル比/1:0.2)。
【0045】
比較例4 実施例4において、ショウノウスルホン酸の量を9g(7.8×10-2mol/l)とする(アニリンとショウノウスルホン酸のモル比/1:0.7)。
【0046】
表2は、ショウノウスルホン酸(二環式モノテルペン)の量を変えたときの各実施例及び比較例ごとに、アルゴンガス雰囲気中で炭素化するための加熱後にチューブ状構造の形成の有無を確認した表である。
【表2】
JP0004862152B2_000003t.gif

【0047】
表2より、実施例4乃至6の範囲において、実施例1乃至3と同じようなチューブ状構造を有するカーボンナノチューブが得られる。したがってショウノウスルホン酸(二環式モノテルペン)の最適範囲は、アニリンとショウノウスルホン酸とのモル比が1:0.3~0.6となる。
【0048】
次に、酸化剤(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)の量を変えた場合(アニリンの量、ショウノウスルホン酸、イオン交換水の量、加熱温度及び加熱時間は、それぞれ一定)の実施例及び比較例を下記に列挙する。
【0049】
実施例7 アニリン5g(1.1×10-1mol/l)、ショウノウスルホン酸6.23g(5.4×10-2mol/l)、イオン交換水500ml、ペルオキソ二硫酸アンモニウム9g(7.9×10-2mol/l)、アルゴンガス雰囲気中で炭素化するための加熱温度1000℃、加熱時間1hr。
【0050】
実施例8 実施例7において、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量を12.26g(1.1×10-1mol/l)とする[上述した本発明の実施の形態(実施例2及び実施例5)と同一]。
【0051】
実施例9 実施例7において、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量を15g(1.3×10-1mol/l)とする。
【0052】
比較例5 実施例7において、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量を0.9g(7.9×10-3mol/l)とする。
【0053】
比較例6 実施例7において、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量を16g(1.4×10-1mol/l)とする。
【0054】
表3は、酸化剤(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)の量を変えたときの各実施例及び比較例ごとに、加熱後にチューブ状構造の形成の有無を確認した表である。
【表3】
JP0004862152B2_000004t.gif

【0055】
表3より、実施例7乃至9の範囲において加熱後にチューブ状構造が形成される。したがってペルオキソ二硫酸アンモニウム(酸化剤)の最適範囲は、7.9×10-2乃至1.3×10-1mol/lとなる。なお、比較例6でも、チューブ状構造が形成されるが、チューブ形状の形成を向上させるものではなく、コストが高くなるだけである。したがって、ペルオキソ二硫酸アンモニウムのモル濃度を1.3×10-1mol/lより高くすることに技術的意義はない。
【0056】
次に、アルゴンガス雰囲気中での加熱炭素化工程における加熱温度を変えた場合(アニリンの量、ショウノウスルホン酸、イオン交換水の量、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量及び加熱時間は、それぞれ一定)の実施例及び比較例を下記に列挙する。
【0057】
実施例10 アニリン5g(1.1×10-1mol/l)、ショウノウスルホン酸6.23g(5.4×10-2mol/l)、イオン交換水500ml、ペルオキソ二硫酸アンモニウム12.26g(1.1×10-1mol/l)、アルゴンガス雰囲気中で炭素化するための加熱温度800℃、加熱時間1hr。
【0058】
実施例11 実施例7において、加熱温度を1000℃とする[上述した本発明の実施の形態(実施例2、実施例5及び実施例8)と同一]。
【0059】
実施例12 実施例7において、加熱温度を1200℃とする。
【0060】
実施例13 実施例7において、加熱温度を1500℃とする。
【0061】
比較例7 実施例7において、加熱温度を600℃とする。
【0062】
表4は、加熱炭素化工程における加熱温度を変えた場合に生成したカーボンナノチューブをカーボンナノチューブの窒素含有量(重量%)と結晶状態を、各実施例及び比較例ごとに確認した表である。
【表4】
JP0004862152B2_000005t.gif

【0063】
表4より、実施例10乃至12の範囲において触視による堅さの堅いカーボンナノチューブが得られる。したがって加熱炭素化工程における加熱温度の最適範囲は、800℃~1500℃となる。
【0064】
次に、加熱炭素化工程で炭素化を行った後、さらに再加熱を行う再加熱工程における再加熱温度を変えた場合(アニリンの量、ショウノウスルホン酸、イオン交換水の量、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの量及び加熱温度及び加熱時間は、それぞれ一定)の実施例及び比較例を下記に列挙する。
【0065】
実施例14 アニリン5g(1.1×10-1mol/l)、ショウノウスルホン酸6.23g(5.4×10-2mol/l)、イオン交換水500ml、ペルオキソ二硫酸アンモニウム12.26g(1.1×10-1mol/l)、加熱温度1000℃、加熱時間1hr、再加熱温度2500℃及び再加熱時間15min。
【0066】
実施例15 実施例14において、再加熱温度を2600℃とする[上述した本発明の実施の形態(実施例2、実施例5、実施例8及び実施例11)と同一]。
【0067】
実施例16 実施例14において、再加熱温度を3000℃とする。
【0068】
比較例8 実施例14において、再加熱温度を行わない(ブランク)。
【0069】
比較例9 実施例14において、加熱温度を1900℃とする。
【0070】
表5は、再加熱炭素化工程における再加熱温度を変えた場合のカーボンナノチューブの窒素含有量(重量%)と結晶性を、各実施例及び比較例ごとに確認した表である。
【表5】
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【0071】
表5より、実施例14乃至16の範囲において窒素は殆ど除去されており、しかも高結晶性のカーボンナノチューブが得られる。したがって、再加熱工程における再加熱温度の最適範囲は、2000℃以上3000℃以下となる。
【0072】
なお、特に図示しないが、本発明のカーボンナノチューブの製造方法を用いると、ポリマーブレンド法等の従来の製造方法に比べて、ガスの発生が大幅に少なくなる。したがって、本発明を実施することにより、環境衛生の劣化を防止することができる。
【0073】
本発明のカーボンナノチューブの実施の形態は、導電材料として用いることができる。本発明のカーボンナノチューブ実施の形態を導電材料とする電極の製造方法は、特に図示しない公知の電極製造方法により製造することができる。公知の電極製造方法としては、例えば、絶縁性の接着剤を混合してペースト状にした本実施の形態のカーボンナノチューブを、熱硬化性樹脂製の芯棒の表面に塗布する電極製造方法等がある。なお、本発明のカーボンナノチューブ実施の形態を導電材料とする電極の製造方法は、上述した電極製造方法に限定されるものではない。本発明のカーボンナノチューブを導電材料として電極の一部または全部を構成すると、低抵抗性で高導電性の電極が得られる。
【0074】
また、本発明のカーボンナノチューブの実施の形態は、繊維の原料としても用いることができる。本実施の形態のカーボンナノチューブを含有する繊維の製造方法は、特に図示しない公知の繊維製造方法により製造することができる。公知の繊維製造方法としては、例えば、接着剤を混合してペースト状にした本実施の形態のカーボンナノチューブを、熱可塑性樹脂の繊維に含浸させたシート状のプリプレグを作成し、このプリプレグを加熱して炭素含有繊維シートを作成する繊維製造方法等がある。なお、本発明のカーボンナノチューブの実施の形態を含有する繊維の製造方法は、繊維の形状を含めこの繊維製造方法に限定されるものではない。本発明のカーボンナノチューブを含有する繊維を構成すると、引っ張り強度等の機械的強度が高く、難燃性が高い高機能繊維が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態のカーボンナノチューブの製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態の一例で合成した炭素前駆体を、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図3】本発明の実施の形態の一例で合成した炭素前駆体を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図4】溶媒(イオン交換水)に二環式モノテルペン(ショウノウスルホン酸)が存在しない状態で調製したモノマー溶液から溶液中のモノマーを重合して合成したポリアニリンを走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図5】本発明の実施の形態の製造方法により製造したカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図6】本発明の実施の形態の製造方法により製造したカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図7】本発明の他の実施の形態の製造方法により製造したカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図8】本発明の他の実施の形態の製造方法により製造したカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図9】本発明さらに他の実施の形態により合成した(アルカリ溶液による洗浄工程を経た)炭素前駆体を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
【図10】本発明さらに他の実施の形態により製造した(アルカリ溶液による洗浄工程を経た)カーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
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