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明細書 :分娩監視装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4096039号 (P4096039)
公開番号 特開2006-204755 (P2006-204755A)
登録日 平成20年3月21日(2008.3.21)
発行日 平成20年6月4日(2008.6.4)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
発明の名称または考案の名称 分娩監視装置
国際特許分類 A61D   1/08        (2006.01)
A01K  29/00        (2006.01)
A01K  67/02        (2006.01)
FI A61D 1/08 A
A01K 29/00
A01K 67/02
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2005-023787 (P2005-023787)
出願日 平成17年1月31日(2005.1.31)
審査請求日 平成20年1月15日(2008.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】松井 寛二
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100088306、【弁理士】、【氏名又は名称】小宮 良雄
【識別番号】100126343、【弁理士】、【氏名又は名称】大西 浩之
審査官 【審査官】川端 修
参考文献・文献 特開2003-310647(JP,A)
特開2002-142608(JP,A)
特開2002-153162(JP,A)
調査した分野 A61D 1/08
A01K 29/00
A01K 67/02
特許請求の範囲 【請求項1】
向かい合う外陰部の一方に取り付けられる電磁誘導発振器と、もう一方に取り付けられる電磁誘導受信器であって、該発振器と該受信器との間隔距離が、平時の両外陰部の状態で誘導起電の可能な距離、分娩予兆時の両外陰部の開き状態で誘導起電の不能な距離に調整される分娩監視装置。
【請求項2】
該無線受信器に警報装置および/または通信装置が付加されていることを特徴とする請求項1に記載の分娩監視装置。
【請求項3】
該通信装置が無線通信装置であることを特徴とする請求項2に記載の分娩監視装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の分娩開始を離れた場所にいる人に対して知らせるため、機器的に分娩を監視する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動物が分娩するときには様々な危険がともなうため、しかるべき者の立会いが必要となる。例えば牛、馬のごとき家畜であれば、飼育者や、場合によっては獣医師が立会う。分娩日時は予測できるが、その日時にずっと監視していることは、効率面から事実上不可能である。
【0003】
このような状況から、例えば特許文献1にはビデオカメラとモニターによる遠隔監視の分娩兆候検出装置が発案されている。しかし、この装置では、分娩家畜が動いてビデオカメラの視界から外れたら監視不能になるし、管理者がモニターを監視し続けなければならないから、省力面からの効率は乏しい。
【0004】
また分娩時の臭いの変化を検知して監視に役立てる装置が特許文献2に開示されている。臭いは風等で拡散するものであり、いつも検知センサーが正しく動作するとは限らない。
【0005】
一方、特許文献3には、分娩家畜の膣内にプローブを挿入しておき、分娩初期に膣からプローブが抜け落ちるのを検知して分娩監視装置が示されている。この分娩監視装置であると、挿入時にプローブを殺菌消毒しなければならないという手間がかかる。また分娩期にいたる前に膣からプローブが抜け落ちたり、プローブが母体や胎児を傷つけたり、膣外部に通じるリード線を介して、病原菌の膣内感染の原因ともなる危険がある。
【0006】

【特許文献1】特開2002-153162号公報
【特許文献2】特開2002-142608号公報
【特許文献3】特開2003-310647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特許文献1、2、3に記載された装置の前記欠点を解消するためになされたもので、母体や胎児にとって安全であり、遠隔地からも正確、確実に分娩の初期を知ることができる分娩監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された分娩監視装置は、向かい合う外陰部の一方に取り付けられる電磁誘導発振器と、もう一方に取り付けられる電磁誘導受信器であって、該発振器と該受信器との間隔距離が、平時の両外陰部の状態で誘導起電の可能な距離、分娩予兆時の両外陰部の開き状態で誘導起電の不能な距離に調整される。
【0009】
特許請求の範囲の請求項2に記載された分娩監視装置は、該無線受信器に警報装置および/または通信装置が付加されていることを特徴とする。
【0010】
特許請求の範囲の請求項3に記載された分娩監視装置は、該通信装置が無線通信装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分娩監視装置は、分娩動物の外陰部に小さなセンサー、すなわち発振器と受信器を取り付けるだけなので、新生子と母体を傷つけることがなく、センサーを殺菌、消毒する必要がない。取り付けにあたって獣医師等の資格が要求されない。また、分娩動物に拘束や苦痛を与えることがない。
【0012】
本発明の分娩監視装置によれば、飼育者等が遠隔地に待機し、睡眠している場合でも通報のトリガーとすることができる。そして、分娩開始を知った飼育者等は、その場に行って出産に立会い、適切な介助を行うことで産まれてくる新生子と母体の生命を救う適切な処理ができる。さらに、異常分娩の場合には、速やかに獣医師の治療を受けることを可能にする。本発明の分娩監視装置は、巡回やビデオによる監視作業の必要がなく、飼育者等の労働時間軽減を図ることができ、家畜生産のコストに資することができる。
【0013】
そして本発明の装置は、大動物(牛、馬等)、中動物(豚、緬羊、山羊等)、小動物(兎、ラット、ミンク等)の家畜、動物園等で飼育される展示動物、およびペットまで、各種動物の分娩監視をできる。さらに、ヒトの分娩監視にも利用でき、哺乳動物だけではなく鳥類にも利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明を適用する分娩監視装置の一実施形態を示すブロック回路である。この実施形態の分娩監視装置は、発振器1、受信器2、電源回路15を有する回路ボックス10からなる。
【0016】
発振器1は電磁誘導のための発振コイルであり、鎖線の1aが電磁波の発振域である。受信器2は発振器1から発振された発振電磁波を検知して交流を生ずる受信コイルであり、鎖線の2aが電磁波の受信域である。発振コイル1には、電源15に繋がる交流発振回路11、間欠信号発生回路13に繋がる変調回路12、および出力増幅回路14が接続されている。受信器2には、電源15に繋がる交流増幅回路16、設定値検出回路17、異常動作除去回路18、および無線送信回路19を経て送信アンテナ5が接続されている。送信アンテナ5は回路ボックス10の外面に印刷されている。異常動作除去回路12は、排尿などによる一時的な信号電流を除去するフィルタ回路である。
【0017】
図2は、本発明を適用する分娩監視装置が検知し、送信した分娩開始信号を受信し、警報を発し、あるいはネットワークに乗せるための通信装置20である。この通信装置20は、アンテナ6、受信回路21、ネットワーク接続回路22、警報音回路23、およびスピーカー25からなる。ネットワーク接続回路22はインターネットや携帯電話に接続するための信号制御回路である。
【0018】
図1に示す実施形態の分娩監視装置は、動物に取り付けられる。例えば図3に示すように、分娩間近い雌牛30の腰背部に回路ボックス10が固定される。回路ボックス10にカールコードなど伸縮コード3で繋がる発振器1は一方の外陰部31に接着され、伸縮コード4で繋がる受信器2はもう一方の外陰部32に発振器1と対向するように接着される。
【0019】
このとき発振器1と受信器2との間隔距離は、各出力電力および受信感度との関連で以下のように調整され、発振器1と受信器2が距離センサーとして機能する。平時における両外陰部31と32の状態、すなわち図3のように両外陰部31と32が閉じた状態で、発振器1から発振された発振電磁波を受信器2が検知できる。図1のように、電磁波の発振域1aと電磁波の受信域2aと重なり合うよう距離に調整される。図4に示す分娩予兆時の両外陰部31と32の開き状態では、発振電磁波を受信器2が検知する感度が明瞭に落ちるような距離に調整され、電磁波の発振域1aと電磁波の受信域2aとは離れる。尚、図4の35は胎児牛である。
【0020】
妊娠日が確認している動物は分娩予定日の数日前に、または妊娠日が確認できない動物では、経験的に外見上あるいは行動的に分娩が予測される分娩兆候時(外陰部が腫脹する、乳汁が乳頭から滲む、食欲が減退するなど)に本発明を適用する分娩監視装置を取り付けるのが適当である。
【0021】
図1に示す分娩監視装置で、電源15から電力供給を受けて交流発振回路11が発振し、間欠信号発生回路13から定時間おきに発生する信号にしたがって変調回路12から交流変調信号が出され出力増幅回路14にて増幅され、発振コイル1から電磁波を発振する。
【0022】
図3の平時(分娩期に至る前)においては、両外陰部31と32が閉じて発振器1と受信器2との間隔距離が近いので、受信器2で電磁波を受け起電流が流れ、交流増幅回路16にて増幅され、設定値検出回路17にてスレッシュフォルド以上であると判別され分娩前であるという信号が無線送信回路19を経て送信アンテナ5から送信される。排尿や虫等の飛来で一時的に受信器2の起電流が弱まり、あるいは停止するときには、異常動作除去回路12にてそのような異常動作信号を除去する。
【0023】
図4に示す分娩予兆時には、両外陰部31と32が開いて発振器1と受信器2との間隔距離が離れ、電磁波の受信域2aが電磁波の発振域1aから離れるので受信器2の起電流が停止する。これにより、設定値検出回路17にてスレッシュフォルド以下であると判別され分娩直前であるという信号電波が無線送信回路19を経て送信アンテナ5から送信される。
【0024】
図2に示す通信装置20は、例えば牧場管理棟に設置されており、分娩直前であるという信号電波はアンテナ6を経て、受信回路21で受信され警報音回路23、およびスピーカー25から分娩直前である音声が流される。あるいは、ネットワーク接続回路22を通じてインターネットや携帯電話で所定のところに知らされる。その知らせによって飼育者等が分娩中のところに行くことができる。
【0025】
尚、上記実施の態様では伸縮コード3・4を使用することで尾34の動きを吸収して回路ボックス10が落ちたり、発振器1や受信器2が外れたりするのを防いでいる。
【0026】
また、発振器1や受信器2の取り付けには、接着剤による貼り付け、医療用のステプラによる止め、縫い付けなどがある。回路ボックス10の取り付けには、接着剤による貼り付け、ベルトによる止めなどがある。
【0027】
上記実施態様では、変調回路12に間欠信号発生回路13に繋なげ、断続的に電磁波を発振させて電源15の消費電力を少なくしているが、変調回路12,および間欠信号発生回路13を省略し、交流発信回路11から常時交流磁界を発生するようにしてもよい。
【0028】
発振器のコイル1、および受信器のコイル2は、磁性材料に巻き線したものであっても、絶縁体にプリントしたコイルのいずれでも良い。発振器コイル1と受信器コイル2は同一構造にしておくことが製造コスト抑えるためにも好ましい。
【0029】
回路ボックス10の回路はIC(集積回路)化することで小型化できる。また、一方のセンサーを送受兼用コイルとし、電源バッテリー含む送信信号の発生回路および受信信号処理回路に繋げ、対向する応答センサーはその送受兼用コイルからの交流磁界に同期するコイルとすることでも実施することができる。この場合には、応答センサーはパッシブ電力で動作でき、アクティブ電力動作ではないから、電源と有線接続をする必要がない。したがって、送受兼用コイルのセンサーと応答センサーとは配線で繋ぐことなく、分娩動物の両外陰部に各々取り付けることができ、便利である。
【実施例】
【0030】
本発明者は、発振器1、および受信器2を磁性コア(2mm×10mm、厚さ2mm)に巻いたコイルとし、発振器コイル1と受信器コイル2との距離を計測した。磁気結合の結合係数の変化により信号の大きさが変化するのを、発振器1と受信器2との間の距離とする。そして、図1、2の回路構成からなる分娩監視装置を試作し、実装テストをした。
【0031】
多くの動物の胎児は、分娩時、前肢、頭部、胴体部、後肢の順で母体から出るが、頭部が最も径が大きく、膣を通るにも時間がかかる。そこで分娩予兆時の両外陰部の開き状態を、胎児の頭部の径よりも小さい数値、すなわち前肢が出始めるタイミングの両外陰部の距離を、発振器1と受信器2との間の距離に設定する。
【0032】
発明者は、多くの動物の分娩に立ちあい、新生子の頭部の大きさを測定し、その平均的測定値から大動物(牛、馬):12cm前後、中動物(豚、緬羊、山羊):5~7cm前後、小動物(兎、ラット、ミンク):1~2cm、またペット(犬、猫)は大小様々であるが概ね3~5cm程度が適当であると想定した。その想定をもとに、分娩予定日の2日前に発振器1と受信器2との間の距離を、両外陰部の距離が上記の値になるよう設定し、分娩動物の外陰部に発振器1と受信器2を取り付けた。そして警報を待って分娩場所に10分程度で到着したところ、いずれも前肢が母体から出始めており、丁度良いタイミングで適切な分娩介助を行うことができた。時間的な無駄もなかった。
【0033】
勿論、妊娠動物の個々の性癖、あるいは分娩の難易、体調等によって、発振器1と受信器2との間隔距離を上記以外に設定することは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用する分娩監視装置の一実施形態を示すブロック回路図である。

【0035】
【図2】本発明を適用する分娩監視装置に付設される通信装置の一実施形態を示すブロック回路図である。

【0036】
【図3】本発明を適用する分娩監視装置を牝牛に取り付けた平時の状態を示す図である。

【0037】
【図4】本発明を適用する分娩監視装置を牝牛に取り付けた分娩直前の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1は発振器、1aは電磁波の発振域、2は受信器、2aは電磁波の受信域、3・4は伸縮コード、5は送信アンテナ、6はアンテナ、10は回路ボックス、11は交流発振回路、12は変調回路、13は間欠信号発生回路、14は出力増幅回路、15は電源回路、16は交流増幅回路、17は設定値検出回路、18は異常動作除去回路、19は無線送信回路、20は通信装置、21は受信回路、22はネットワーク接続回路、23は警報音回路、25はスピーカー、30は雌牛、31・32は外陰部、34は尾、35は胎児牛である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3