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明細書 :気温推定方法及び気温推定システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4586171号 (P4586171)
公開番号 特開2007-114053 (P2007-114053A)
登録日 平成22年9月17日(2010.9.17)
発行日 平成22年11月24日(2010.11.24)
公開日 平成19年5月10日(2007.5.10)
発明の名称または考案の名称 気温推定方法及び気温推定システム
国際特許分類 G01W   1/10        (2006.01)
FI G01W 1/10 K
G01W 1/10 R
請求項の数または発明の数 8
全頁数 9
出願番号 特願2005-305997 (P2005-305997)
出願日 平成17年10月20日(2005.10.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 ▲1▼刊行物:中国・四国の農業気象 第18号(日本農業気象学会 中国・四国支部会誌) 発行日:2005年10月6日 発行者:米谷 俊彦 岡山大学資源生物科学研究所 ▲2▼刊行物:農業環境工学関連7学会2005年合同大会 講演要旨集 発行日:平成17年9月12日 発行者:日本植物工場学会 他6 開催日:平成17年9月12日~15日 開催場所:金沢大学 講演番号:GS85-3
審査請求日 平成20年7月4日(2008.7.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】植山 秀紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100105463、【弁理士】、【氏名又は名称】関谷 三男
【識別番号】100102576、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 敏章
審査官 【審査官】田中 秀直
参考文献・文献 特開2005-085059(JP,A)
特開2005-274171(JP,A)
黒瀬義孝、他,四国地域を対象にした熱画像情報による冬期/放射冷却条件下の気温分布の把握,農業気象,1993年,49巻1号,第11-17頁,http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/society/51-2388.pdf
調査した分野 G01W 1/00-1/18
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し、
前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差を推定し、
前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差を推定し、
前記推定された気象要因による気温差及び地理的要因による気温差とから、注目地点と気象観測地点との間の気温差を決定し、注目地点における気温を推定することを特徴とする気温推定方法。
【請求項2】
注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し、
前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による温位差を推定し、
前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による温位差を推定し、
前記推定された気象要因による温位差及び地理的要因による温位差とから、注目地点と気象観測地点との間の温位差を決定し、注目地点における気温を推定することを特徴とする気温推定方法。
【請求項3】
前記放射冷却強度データに代えて、日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量のうち少なくとも1つを含む気象観測データを説明変数とする重回帰分析により、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差又は温位差を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の気温推定方法。
【請求項4】
前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに代えて、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差又は温位差を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の気温推定方法。
【請求項5】
注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し蓄積する気象観測データ蓄積データベースと、
前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差を推定する第1の推定部と、
前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差を推定する第2の推定部と、
前記推定された気象要因による気温差及び地理的要因による気温差とから、注目地点と気象観測地点との間の気温差を決定し、注目地点における気温を推定する第3の推定部と、
前記推定された注目地点における気温を出力する出力部とを備えた気温推定システム。
【請求項6】
注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し蓄積する気象観測データ蓄積データベースと、
前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による温位差を推定する第1の推定部と、
前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による温位差を推定する第2の推定部と、
前記推定された気象要因による温位差及び地理的要因による温位差とから、注目地点と気象観測地点との間の温位差を決定し、注目地点における気温を推定する第3の推定部と、
前記推定された注目地点における気温を出力する出力部とを備えた気温推定システム。
【請求項7】
前記第1の推定部は、前記放射冷却強度データに代えて、日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量のうち少なくとも1つを含む気象観測データを説明変数とする重回帰分析により、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差又は温位差を推定することを特徴とする請求項5又は6に記載の気温推定システム。
【請求項8】
前記第2の推定部は、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに代えて、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差又は温位差を推定することを特徴とする請求項5又は6に記載の気温推定システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、近隣の気象観測地点における気象観測データに基づいて気温を推定する方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
気温は、農業、土木、建築、環境といった様々な産業において、非常に大きな影響力を及ぼす重要な気象要素である。特に、農業生産における気温の影響は大きく、作物の生育段階や収穫量の予測、栽培施設内の環境調節などにあたり気温は不可欠な情報である。現在、日本気象協会や民間企業、自治体などが気象情報の提供を行っている。
【0003】
一方で、ある注目地点における気温をその近隣の気象観測地点における気象観測データから推定することが試みられている。例えば、非特許文献1には、風速を変数として気温の地点間差から注目地点における気温を推定する方法が提案されている。非特許文献2には、距離による重み付けで温位を内挿することにより山間部の気温分布を推定する方法が提案されている。非特許文献3には、簡易定点観測装置による気象観測データを目的変数とし、標高や河川からの距離を説明変数として、重回帰モデルにより年平均気温を推定する方法が提案されている。
【0004】
日本においては、注目地点を含むメッシュの周辺のアメダス(Automated Meteorological Data Acquisition System)観測データと1kmメッシュ平年値データとの気温差を距離による重み付けにより内挿し、アメダス観測データに対応した1kmメッシュの気温を推定する方法が開発されている。また、特許文献1には、過去数日の気温データと気象予報データとから、翌日又は当日の各時刻の気温を予測する方法が記載されている。さらに、特許文献2には、現在の気象観測データに対して過去の気象情報に基づく気象変化度を加味することにより将来気象を予測する方法が記載されている。
【0005】
上記したような気象予測に必要な気象観測データは、日本気象協会や民間企業、自治体などにより提供されており、500m~数kmメッシュ程度の解像度で気温等の観測データが利用できるようになっている。
【0006】

【特許文献1】特開平8-320383号公報。
【特許文献2】特開平10-96790号公報。
【非特許文献1】Svessonn et al.(1997)
【非特許文献2】Dodson and Marks(2002)
【非特許文献3】Lookingbill and Urban(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、国土の約7割を中山間地域が占める日本においては、1kmメッシュ内に300m以上もの標高差を有する地域もあり、そのような地域の各地点の実際の気温を推定するのには現在提供されている気象観測データでは解像度が十分ではない。また、風速等の気象要素を実際に観測することなく現在利用可能な気象観測データのみに基づいて、数十mメッシュ程度の解像度で気温を推定する技術は確立されていない。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、現在利用可能な気象観測データに基づいて、数十mメッシュ程度の解像度で気温推定を行うことができる方法及びシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、気温の地点間差が地理的要因と気象要因とから生じることに着目し、注目地点の近隣の気象観測データに対してそれぞれの要因による影響を加味することにより、注目地点の気温を推定する方法に想到した。また、山間地域では気温分布が標高(気圧)の影響を強く受けることを考慮し、気象観測地点と注目地点との気温差そのものを推定するよりも、気温を標準気圧(1000hPa)下における温位に変換して推定を行うことにより推定精度を高めることができることを考案した。
【0010】
以下、本発明による気温推定について説明する。
(1)注目地点の温位Tpは、気象観測地点における温位Tspと両地点間の温位差ΔTpとから、次式のようにして求められる。
Tp=Tsp+ΔTp
【0011】
上記したように、温位差ΔTpは、気象要因による温位差ΔTPWと地理的要因による温位差ΔTPGとに分離できるものと考える。
ΔTp=ΔTPW+ΔTPG
【0012】
(2)ここで、気象要因による温位差ΔTPWは、放射冷却の強度を用いて求めることができる。本手法で用いる”放射冷却の強度”とは、高層気象台のレーウインゾンデ観測で観測される地上面と1000hpa面との温位差(1000hpa温位-地上面温位)の値である。この値が大きいほど、逆転層が発達しており放射冷却の強度が強いと考えられる。但し、放射冷却の強度が直接得られない場合には、日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量といった気象観測データを説明変数とする重回帰分析によりΔTPWの値を求めることもできる。例えば、下記のような重回帰式を利用することができる。
ΔTPW=α×日照率+β×日較差+γ×夜間風速+δ
(α,β,γ,δは定数)
【0013】
(3)一方、地理的要因による温位差ΔTPGは、過去に観測された日毎の注目地点と基準地点との温位差を月平均した値として、次式から求められる。
【0014】
【数1】
JP0004586171B2_000002t.gif

【0015】
上式中、DAYは観測日の総日数、ΔTpはd日目における注目地点と基準地点との温位差、[Tp]はd日目における基準地点と全地点との温位差の平均値である。
尚、ΔTPGは、放射冷却の強度を用いて次式から求めることも可能である。
ΔTPG=λ×RCindex+μ
(λ,μは定数)
【0016】
但し、放射冷却の強度を示すRCindexは次式で与えられる。
RCindex=α×日照率+β×日較差+γ×夜間風速+δ
(α,β,γ,δは定数)
【0017】
以上説明したように、本発明は、注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差を推定し、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差を推定し、前記推定された気象要因による気温差及び地理的要因による気温差とから、注目地点と気象観測地点との間の気温差を決定し、注目地点における気温を推定することを特徴とする気温推定方法を提供するものである。
【0018】
本発明は、また、注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による温位差を推定し、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による温位差を推定し、前記推定された気象要因による温位差及び地理的要因による温位差とから、注目地点と気象観測地点との間の温位差を決定し、注目地点における気温を推定することを特徴とする気温推定方法を提供するものである。
【0019】
本発明の気温推定方法では、前記放射冷却強度データに代えて、日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量のうち少なくとも1つを含む気象観測データを説明変数とする重回帰分析により、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差又は温位差を推定することもできる。
【0020】
本発明の気温推定方法では、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに代えて、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差又は温位差を推定することもできる。
【0021】
本発明は、また、注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し蓄積する気象観測データ蓄積データベースと、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差を推定する第1の推定部と、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差を推定する第2の推定部と、前記推定された気象要因による気温差及び地理的要因による気温差とから、注目地点と気象観測地点との間の気温差を決定し、注目地点における気温を推定する第3の推定部と、前記推定された注目地点における気温を出力する出力部とを備えた気温推定システムを提供するものである。
【0022】
本発明は、また、注目地点の近隣にある気象観測地点から、少なくとも気温データを含む気象観測データと、放射冷却強度データと、過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータとを取得し蓄積する気象観測データ蓄積データベースと、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による温位差を推定する第1の推定部と、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による温位差を推定する第2の推定部と、前記推定された気象要因による温位差及び地理的要因による温位差とから、注目地点と気象観測地点との間の温位差を決定し、注目地点における気温を推定する第3の推定部と、前記推定された注目地点における気温を出力する出力部とを備えた気温推定システムを提供するものである。
【0023】
本発明の気温推定システムにおいて、前記第1の推定部は、前記放射冷却強度データに代えて、日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量のうち少なくとも1つを含む気象観測データを説明変数とする重回帰分析により、注目地点と気象観測地点との間の気象要因による気温差又は温位差を推定するようにしてもよい。
【0024】
本発明の気温推定システムにおいて、前記第2の推定部は、前記過去における注目地点と気象観測地点との気温差のデータに代えて、前記放射冷却強度データに基づいて、注目地点と気象観測地点との間の地理的要因による気温差又は温位差を推定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上、説明したように、本発明の気温推定方法及び気温推定システムによれば、風速等の気象要素を実際に観測することなく現在利用可能な気象観測データのみに基づいて、数十mメッシュ程度の解像度で気温を推定することが可能となる。これにより、地域特有の気象資源を活用した作物立地配置や栽培計画の立案を支援するシステムなどの実用化ができることとなる。また、土木建築分野においては、様々な施設における施工前の詳細な温度環境シミュレーションを行うことが可能となる。
【0026】
さらに、国土の約7割を中山間地域が占め、数平方kmの範囲で地点間の気温差が7℃にもなり得る日本においては、地域の多様な温度環境を高精度に把握することにより、これを有効な資源として省エネルギーなどに役立てることが可能である。具体的には、本発明の気温推定方法及び気温推定システムにより、数十mメッシュ程度の解像度で気温を推定することができれば、複雑な地形を有する地域においても圃場単位の気象特性を考慮した作物立地配置を行うことにより、凍結防止用や遮光用の農業資材の使用量を削減し、農業施設の環境調節費用を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の気温推定方法及び気温推定システムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1~図2は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0028】
図1は、本発明による気温推定システムの構成を概略的に示す図である。図1において、気温推定システムはアメダス等の気象観測データを取得し蓄積する気象観測データ蓄積DBと、気象観測地点と注目地点との気象要因による温位差ΔTPWを計算する処理部と、気象観測地点と注目地点との地理的要因による温位差ΔTPGを計算する処理部と、前記2つの処理部による処理結果及び蓄積された気象観測データから注目地点における気温を推定する処理部とから構成されている。
【0029】
気象観測データ蓄積DBには、従来から利用可能である500m~数kmメッシュ程度の解像度の気象観測データに加えて、各観測地点における放射冷却強度や日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量といった観測データが随時蓄積されている。
【0030】
ΔTPW計算部では、気象観測データ蓄積DBから得られる放射冷却強度データ、あるいは日照率、気温の日較差、夜間風速、降水量等のデータに基づいて、気象観測地点と注目地点との間の気象要因による温位差ΔTPWを計算する。
【0031】
ΔTPG計算部では、気象観測データ蓄積DBから得られる注目地点と基準地点との温位差を月平均値(又は旬(十日)平均値、半旬平均値、日平均値を用いてもよい)に基づいて、あるいは放射冷却強度データ等に基づいて、地理的要因による温位差ΔTPGを計算する。
【0032】
気温推定処理部では、気象観測データ蓄積DBから得られる気象観測地点における温位Tspに対して、ΔTPW計算部及びΔTPG計算部の出力結果を足し合わせて得られる温位差ΔTpを加味することにより、注目地点の温位Tpを計算し、この注目地点の温位Tpあるいはこれを注目地点の温度に変換した値を気温推定結果として出力する。
【実施例】
【0033】
本発明者らは、実際の気象観測データを用いて本発明による気温推定方法を実施した。2000年における茨城県のアメダスポイント“つくば”の気象観測データを用いて、その周辺の各アメダスポイント(土浦、筑波山、龍ヶ崎、我孫子、下妻)における1991~1999年の月平均温位を推定し、同期間、同アメダスポイントにおける月平均温位の実測値(気温の実測値から換算される)との比較を行った。この結果を図2に示す。
【0034】
図2の表において、各アメダスポイントにおける月平均温位の推定値と実測値とのRMSE(Root Mean Square Error:2乗平均平方誤差)を示している。また、括弧内には、各アメダスポイントにおける月平均温位の実測値を示している。この表から、いずれのアメダスポイントのいずれの月間においても、気温の推定値と実測値とのずれが小さいことが分かる。このように、本発明の気温推定方法では、現在利用可能な500m~数kmメッシュ程度の解像度の気象観測データを用いて、かなり高精度に気温推定を行うことが可能となっている。
【0035】
また、広島県神石郡神石高原町のアメダスポイント(油木)とその周辺22地点に設置した気温観測装置における2004年6~12月の気象観測データに基づいて、ΔTPG及びΔTPWの推定モデルを作成し、この推定モデルを用いて、2005年1~4月の各観測地点とアメダスポイントとの間のΔTPG及び温位差ΔTPの月平均値を推定した。これらの推定値と実測値との比較を行った結果を図3及び図4に示す(図中Rは推定値と実測値との相関係数を示す)。ΔTPG、ΔTPともに、推定値と実測値との間に大きなずれは生じなかった。
【0036】
以上、本発明の気温推定方法及び気温推定システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による気温推定システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】実際の気象観測データを用いて本発明による気温推定方法を実施した結果を示す図である。
【図3】実際の気象観測データを用いて本発明による気温推定方法を実施した結果を示す図である。
【図4】実際の気象観測データを用いて本発明による気温推定方法を実施した結果を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3