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明細書 :低水分領域における土壌水分測定方法及び測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4840803号 (P4840803)
公開番号 特開2007-192631 (P2007-192631A)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
発明の名称または考案の名称 低水分領域における土壌水分測定方法及び測定装置
国際特許分類 G01N  33/24        (2006.01)
FI G01N 33/24 E
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願2006-010063 (P2006-010063)
出願日 平成18年1月18日(2006.1.18)
審査請求日 平成20年10月9日(2008.10.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】黒瀬 義孝
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100105463、【弁理士】、【氏名又は名称】関谷 三男
【識別番号】100099128、【弁理士】、【氏名又は名称】早川 康
【識別番号】100139767、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 俊二
審査官 【審査官】海野 佳子
参考文献・文献 実開平02-039158(JP,U)
実開昭52-154294(JP,U)
実開昭59-137566(JP,U)
特開平10-090253(JP,A)
調査した分野 G01N 33/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
土壌の水分を示すpF値が2.8以上に乾燥した低水分領域における土壌の水分を測定する方法であって、
下端にポーラスカップが取り付けられている透明の管体内に水を満たして上端に蓋を取り付け、ポーラスカップを土壌中に差し込み、ポーラスカップから管体内に入る空気量を前記管体の側面に付した目盛りで読み取ることにより土壌水分を測定することを特徴とする低水分領域における土壌水分測定方法。
【請求項2】
土壌の水分を示すpF値が2.8以上に乾燥した低水分土壌の水分を測定する装置であって、
上端には蓋が着脱自在に取り付けられ、下端にはポーラスカップが取り付けられている透明の管体の外周に、上端から下方に亘って土壌の含水程度を示す目盛りが付されており、前記ポーラスカップを土壌に差し込み前記管体上部に進入した空気の量を前記目盛りで読み取り土壌水分を測定することを特徴とする低水分土壌用の土壌水分測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌の乾燥程度を測定する測定装置に関し、特に、低水分領域における土壌水分を測定することのできる土壌水分測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
田畑や果樹園等において土壌の乾燥程度を知ることは、適切な灌水を行う上で非常に重要であり、土壌水分を測定する方法・装置には多種多様なものがある。
【0003】
土壌の水分状態を測定する方法・装置には、体積含水率や含水比などの水分量を測定するものと、土壌水分の圧力水頭(pF値)を測定するものとに大別される。前者を測定するものには、TDR水分計、誘電率水分計、ヒートプローブ式水分計、採土法などがあり、後者を測定するものには、テンシオメーターがある。
【0004】
TDR水分計、誘電率水分計、ヒートプローブ式水分計、採土法などは、テンシオメーターでは測定できない低水分領域まで測定できる。しかし、これらの測定器によって測定される体積含水率や含水比は土壌の乾湿程度を示す指標とはなるが、植物の水ストレスの指標には適さない。体積含水率が同じでも、土壌の種類や耕起の有無によって植物が土中の水を吸い上げるのに必要な力が異なるためである。一方、テンシオメーターは、水を入れた管体下端に設けられたポーラスカップを土壌中に埋設し、このポーラスカップを水で満たして土壌水と水理的に連続させ、水がポーラスカップから土壌中に浸透することによって生じる負圧を真空計で読みとることにより、土壌の乾湿程度を測定している(特許文献1)。このテンシオメーターにより測定されるpF値は植物が土中の水を吸い上げるのに必要な力を表すものであり、植物が受けている水ストレスや灌水の必要性を把握するには優れた指標となっている。しかし、テンシオメーターは圧力を測定するために真空計を使用するため、高価になる欠点がある。そこで、下端にポーラスカップを取り付けた透明の管体内に、上部に空気を残して水を入れ、この空気の圧力を空気の層の厚みにより読み取ることによって、真空計を用いないで土壌の乾燥程度を計測できるようにしたテンシオメーターが考えられている(特許文献2)。しかし、土壌がpF2.8以上に乾燥すると、空気が管体内に入り、内部の負圧が低下して正確に測定できない。
【0005】

【特許文献1】実願昭63-117405号(実開平2-39158号)のマイクロフイルム
【特許文献2】実願昭51-63473号(実開昭52-154294号)のマイクロフイルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に示すようなテンシオメーターは、pF3.0よりも乾燥した土壌では原理的に測定できず、実用上はpF2.8程度までしか測定できない。乾燥に強い植物ではpF2.8以上でも問題なく生育できるため、低水分領域の土壌の乾燥程度を測定できる土壌水分測定装置が要望されていた。さらに、土壌水分は1つの圃場でも場所によって異なるため、数地点で測定する必要があり、安価な土壌水分測定装置の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は前記課題を解決するものであり、pF2.8以上の低水分領域における土壌の乾燥程度を測定することのできる安価な土壌水分測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、土壌水分を測定する方法を研究する課程においてpF2.8以上に乾燥した土壌においてはポーラスカップから水が染み出すとともに管体内に空気が入り、管体内に入る空気の量は乾燥した土壌ほど多くの空気が入り込むことを知得した。そして、実験等によりこの管体内に入る空気の量を測定することにより乾燥土壌の土壌水分の程度を計測できることがわかった。
【0009】
本発明における低水分領域における土壌水分測定方法は、上記知得に基づくものであり、土壌の水分を示すpF値が2.8以上に乾燥した低水分領域における土壌の水分を測定する方法であって、下端にポーラスカップが取り付けられている透明の管体内に水を満たして上端に蓋を取り付け、ポーラスカップを土壌中に差し込み、ポーラスカップから管体内に入る空気量を前記管体の側面に付した目盛りで読み取ることにより土壌水分を測定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明における低水分土壌用の土壌水分測定装置は、土壌の水分を示すpF値が2.8以上に乾燥した低水分土壌の水分を測定する装置であって、上端には蓋が着脱自在に取り付けられ、下端にはポーラスカップが取り付けられている透明の管体の外周に、上端から下方に亘って土壌の含水程度を示す目盛りが付されており、前記ポーラスカップを土壌に差し込み前記管体上部に進入した空気の量を前記目盛りで読み取り土壌水分を測定することを特徴とする。
【0011】
本発明における低水分領域における土壌水分測定方法及び測定装置は、従来のテンシオメーターでは計測できなかった、pF2.8よりも乾燥した土壌の水分を測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明における低水分領域における土壌水分測定方法及び測定装置は、乾燥した土壌の土壌水分の程度を測定することができ、乾燥に強い植物の灌水指標として植物の栽培に活用できる。また、本発明の土壌水分測定装置は、塩ビ管、ガラス管等で形成された透明の管体、ポーラスカップ、ゴム栓で構成されており、その構成部品が少なく安価に造ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明を実施する形態である土壌水分測定装置を示し、1は塩ビ管、ガラス管等で形成された透明の管体であり、管体1の上端から下方に亘りその側面には、土壌水分の程度を示す目盛り2が付してある。管体1の下端には、素焼きで形成されたポーラスカップ3が取り付けられている。管体1の上端には蓋体であるゴム栓4が着脱自在に取り付けられる。
【0014】
本発明の土壌水分測定装置の使用方法について説明する。
管体1内に水を上端まで入れ、ゴム栓4で上端を塞ぎ、ポーラスカップ3を土壌中に差し込む。土壌のpF値が2.8以上となると、管体1内部の水がポーラスカップ3から土壌中に染み出るとともに管体1内に空気が入り込む。管体1内に入り込んだ空気は管体1の上端に移動し、時間が経過するにつれ空気が溜まってくる。この上端に溜まった空気の厚さ(量)を管体1に付された目盛り2によって読み取ることにより、土壌水分の程度を計測することができる。
【0015】
毎日、空気の厚さを測定した後に、減少分の水を補充する場合には、測定日の土壌水分の程度が測定される。一方、水を補充しない場合には、毎日の空気流入分が積算される。例えば、毎日水を補充する場合に、10cmの空気の流入が毎日あるとする。水を補充しない場合には、空気の厚さは1日目が10cm、2日目が20cm、3日目が30cmとなり、空気の量は乾燥程度に応じて積算される。なお、灌水や降雨によって土壌が湿潤状態になると、空気の厚さはほぼ0近傍に戻る。
【0016】
本発明の土壌水分測定装置は従来使われているテンシオメーターと併用し、補完しながら使うと一層有用である。また、本発明の原理は従来使われているテンシオメーターに適用することができる。すなわち、テンシオメーターの上端に目盛りを付するとともに、ポーラスカップから入る空気を確実に上端に溜まるようにすれば、この溜まった空気量により乾燥した土壌の土壌水分の程度を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の低水分土壌用の土壌水分測定装置の実施の形態を示す側面図。
【符号の説明】
【0018】
1 管体、2 目盛り、3 ポーラスカップ、4 ゴム栓。
図面
【図1】
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