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明細書 :マイクロカプセルによるX線回折造影装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4586159号 (P4586159)
公開番号 特開2002-200065 (P2002-200065A)
登録日 平成22年9月17日(2010.9.17)
発行日 平成22年11月24日(2010.11.24)
公開日 平成14年7月16日(2002.7.16)
発明の名称または考案の名称 マイクロカプセルによるX線回折造影装置
国際特許分類 A61B   6/00        (2006.01)
A61K  49/04        (2006.01)
FI A61B 6/00 331E
A61B 6/00 330Z
A61K 49/04 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願2000-404918 (P2000-404918)
出願日 平成12年12月31日(2000.12.31)
審査請求日 平成19年6月26日(2007.6.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】竹内 康人
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】井上 香緒梨
参考文献・文献 特表平11-502620(JP,A)
特開平11-123190(JP,A)
特開平07-300430(JP,A)
特表平09-509612(JP,A)
特開昭61-057204(JP,A)
調査した分野 A61B 6/00
A61K 49/04
A61B 8/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
目的部位に存在する中空マイクロカプセルの分布をそのX線回折像として観察する装置であって、
X線源のサイズが10μm以下の電子蓄積型X線発生装置から発生させたX線を、フィルタを介して前記目的部位に照射し、
前記中空マイクロカプセルの曲面を成す殻およびその近傍を接線方向に通過するX線の回折効果を観測し、
前記目的部位における前記中空マイクロカプセルの分布を映像として観測するようにしたことを特徴とするマイクロカプセルによるX線回折造影装置。
【請求項2】
前記目的部位に対して超音波を照射する手段を別途併設し、必要に応じて前記目的部位に存在する前記中空マイクロカプセルを破壊消滅させることを特徴とする請求項1に記載のマイクロカプセルによるX線回折造影装置。
発明の詳細な説明 【0001】
この発明は医療ないし生体工学の領域における新規なx線造影方法、特にマイクロバルーンによるX線回折造影方法および同装置を提案せんとする物である。
【0002】
従来のX線造影方法はすべからくX線の吸収剤を分布せしめ、その吸収により透過X線が減衰する事をもって造影していた。しかるに吸収剤は重い核種(例えばバリウム)を有する人体に無害な無機化合物を水溶液または細片として体内に送入し、そのような作用の利用が終った後は自然排出を待つ、という野蛮なものばかりであり、やられた患者は気持ちの良い物ではない。また場合によっては排泄過程において体に無視できない負担をかける手段手法だった。
【0003】
X線においては透過法による造影しか実用になっていなかった理由は、反射(散乱)法では線量の収率がすこぶる悪く、また結像系や少なくともコリメーターないしピンホールカメラの観測系が必要だったりする事による。また従来回折法が利用できなかったのは線源の寸法が小さく出来ず、必要十分な可干渉性を具現できなかった事による。またそもそもX線の回折角度を考えると、X線は波長が可視や紫外の領域と比べて数百分の一と極端に短いので、物体の表面ないし物体と空気または真空との界面で回折する場合でも回折角は1度より遥かに小さく、通常の寸法の光源と観測手段では回折作用を受けた成分のみを選択的に観察する事ができない。
【0004】
回折効果は回折を生ずる場所の“鋭さ”にも由来し、曲率半径が小さい曲面ほど有効である。また回折結果の波が進路を逸れていった先で直進波と干渉して濃淡のイメージになり得るような可干渉性を得るためにはもともとのX線源の寸法が非常に小さくなくてはならない。
【0005】
本発明では造影剤として毛細血管を通過し得る程度の寸法(数μm程度以下)の、人体内部において無害分解され得る物質を殻に持つ中空マイクロカプセルないしマイクロバルーンを用い、X線源として物体中の原子核に収束電子ビームを集中照射して輝点サイズが10μmないし数μmの制動放射を誘発する方式の物を用い、これらの有機的な組み合わせにより回折法造影を実用的に可能にする物である。ここで、マイクロバルーンの殻の厚さは数百Åないしそれ以下である事が出来、この薄さがもとで前後で高い回折角を得る事ができる。
【0006】
方法および装置の実施例としては以下のファントムのモデル実験を解説する。図1はこの実験系の概要を模式的に示すスケッチで、これにおいて、(1)は電子蓄積型X線発生装置であり、シンクロトロン系にパルス的に注入された電子を周回して繰り返し利用しつつ重金属片などで出来たターゲット(11)にぶつけ、ターゲット内の原子核のクーロン力におり電子に制動をかけX線の放射を行う。得られるX線は0.1%バンドにつき毎秒10の9乗光子程度は容易に得られ、放射角は立体角で80ミリラジアン程度、光源のサイズはターゲットのサイズで決り、10ないし100μ程度の小さな寸法の物は容易に得られる。さらに図示は省略するが、波長を選択するフィルタを用いても良い事は勿論である。
【0007】
(2)は生体等価ファントムであり、ゼラチンや寒天などの中に細い管路(21)が血管を模擬し、ポンプ(22)、リザーバー(23)等により成る系により水を疑似血液として環流させる。この水の中には必要に応じて注射器(26)などによりマイクロバルーンを含むコントラスト剤の濃縮液が滴下される。一方マイクロバルーンは強力な超音波により破壊されて中空性を失い中のガスが逃げ出しまたは周囲の水に溶解してなくなるので、これを実験的に実現するために超音波送波器(24)がこのファントムには配置され、パルス発生器(25)がこれを必要に応じて駆動する。この管路中のマイクロバルーンは超音波パルスの照射により中空性を失い、従ってX線の回折能力も失われ、影を作る能力も失われる。
【0008】
(3)はX線イメージ撮影系であり、リアルタイム観測が望まれればX線テレビないしシンチレーターにCCD素子などを貼り付けた物などの汎用の物でよい。またスナップショットで構わなければただの蛍光版にXせんフイルムを密着させた物でさえ十分である。
【0009】
X線源が非常に小さい寸法なので僅かに回折された成分がかなり遠方に行っても可干渉性を持ち、結果として回折源のある所を通過するX線はその分だけ減衰して見え、マクロバルーンのある所は暗く見える。それが超音波パルスの照射により消滅して元の明るさに戻るので、その間の差を取ればマイクロバルーンの分布を定量計測する事ができ、換言すれば疑似血液の環流量の分布を画像化して計測する事ができる。
【0010】
ここで用いるマイクロバルーンは殻の物質が生体適合性を持つものが必要であるが、超音波造影剤は一般にこの目的に適っている。ファントム実験には生体適合性の必要がないので工業用のマイクロバルーンを用いる事ができる。
【0011】
マイクロバルーンの殻の厚さは目的とするX線の回折効果の程度に効くパラメーターであり得る。色々な評価基準があり得るが、一例として、平均外径4μmないし14μm、体積占積率85-92%の炭化水素ガスを含むポリビニリデンクロライド・アクリロニトリル共重合体よりなるマイクロバルーンは適合する物の一例であり、殻の厚さは数百オングストロームから数十オングストロームの範囲にある。またファントム実験ならガラスマイクロバルーン、シラスマイクロバルーン、電解気泡発生器によるサーファクタント含有水溶液中の電解気泡、炭酸塩水溶液の酸水溶液との遭遇による炭酸ガスの発生、また超音波キャビテーションによる気泡、等々による微小気泡も同様のX線回折造影能力を持つ事が示される。
【0012】
商用される超音波造影剤も同程度の性質を持つ事が知られているので、同様に電子蓄積型X線発生装置の微小寸法ターゲットより放射されるX線に対して回折造影の能力がある。
【0013】
以上により明らかにされたごとく、本発明のX線造影方法および同装置によれば新しい手法の医療用ないし一般の非破壊検査用の造影撮影が行い得て、益する所大である。しかしながら本発明の主旨はこの明細書の記述を越えた無数の展開形があり得る事は同業者、経験者ないし有識者には自明の事である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この実験系の概要を模式的に示すスケッチである。
【符号の説明】
(1)電子蓄積型X線発生装置
(11)ターゲット
(2)生体等価疑似ファントム
(21)管路
(22)ポンプ
(23)リザーバー
(24)超音波送波器
(25)パルス発生器
(26)注射器
(3)X線イメージ撮像系
図面
【図1】
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