TOP > 国内特許検索 > 原子レベルで平坦な金薄膜作製法 > 明細書

明細書 :原子レベルで平坦な金薄膜作製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4195928号 (P4195928)
公開番号 特開2004-149818 (P2004-149818A)
登録日 平成20年10月10日(2008.10.10)
発行日 平成20年12月17日(2008.12.17)
公開日 平成16年5月27日(2004.5.27)
発明の名称または考案の名称 原子レベルで平坦な金薄膜作製法
国際特許分類 C23C  14/14        (2006.01)
C23C  14/24        (2006.01)
G02B   5/08        (2006.01)
FI C23C 14/14 D
C23C 14/24 R
G02B 5/08 C
請求項の数または発明の数 1
全頁数 12
出願番号 特願2002-313636 (P2002-313636)
出願日 平成14年10月29日(2002.10.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2002年5月1日 社団法人日本分析化学会発行の「第63回分析化学討論会要旨集」に発表
審査請求日 平成17年6月24日(2005.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】肥後 盛秀
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】吉田 直裕
参考文献・文献 特開平10-251835(JP,A)
特開平06-167443(JP,A)
SALMERON M, KAUFMAN D S, MARCHON B, FERRER S,Structure and thermal stability of the Au(334) surface and Au(111) thin films in air. A scanning tunneling microscopy study,Appl Surf Sci,1987年,Vol.28 No.3,Page.279-290
TAKEUCHI D, SEKI T, AOKI T, MATSUO J, YAMADA I,Cluster ion bombardment on atomically flat Au(111) solid surfaces,Mater Chem Phys,1998年,Vol.54 No.1/3 ,Page.76-79
KAWASAKI M, UCHIKI H,Sputter deposition of atomically flat Au(111) and Ag(111) films,Surf Sci,1997年,Vol.388 No.1/3 ,Page.L1121-L1125
ELBEL N, BEHNER H, VON SEGGERN H,Preparation and characterization of epitaxial gold films deposited on mica by direct current magnetron sputtering,J Vac Sci Technol B,1995年,Vol.13 No.5 ,Page.2119-2123
調査した分野 C23C 14/00-14/58
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
高真空中で500~600℃の加熱による前処理を行った雲母基板上に、高真空中、蒸着温度470~476℃、蒸着速度1.8~2.2nm/s、膜厚130~170nmの条件で真空蒸着法により、原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を作製することを特徴とする膜形成方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、平坦な表面を持つ金薄膜の作製方法に関する。より詳しくは、前処理した雲母基板上に金を真空蒸着し、原子レベルで平坦な金薄膜を作製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平6-200376号(以下先行技術1という)に表面が平坦な金薄膜を気相成長する方法があり、「原料ガスとしてジメチルゴールドヘキサフロロアセチルアセトネートを用い、熱CVDを利用し特殊条件下で気相成長を行う。あるいは熱CVDの代わりにプラズマCVDを利用する。更に、プラズマCVD/熱CVDの組合せにより2層膜とし密着性等の向上を図る。また、原料ガスを予備加熱し、予め中間生成物を形成しこの中間生成物を高真空状態に載置された基板に噴出して基板上に金薄膜を形成するように構成する。」という記載がある。
【0003】
学術論文Langmuir、13巻、23号、6176~6182ページ、1997年(以下先行技術2という)に、高温(250~350℃)の雲母基板上にアルミニウムを真空蒸着して原子レベルで平坦な薄膜を作製する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術1には、熱CVDやプラズマCVDを用いて複雑な条件で薄膜を作製しなければならない問題点があり、また作製した薄膜表面の平坦さに関する記載がなされていない。
【0005】
先行技術2は、アルミニウム薄膜に適用され、原子レベルで平坦な表面が得られているが、そこに記載の条件では、原子レベルで平坦な表面の金薄膜が得られない。
【0006】
本発明は、操作の簡単な真空蒸着法を用いて、雲母基板上に原子レベルで平坦な金薄膜を作製する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は鋭意研究の結果、真空蒸着法において、雲母基板の前処理方法および蒸着の際の真空度、蒸着温度、蒸着速度、膜厚等の条件を検討することにより、原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を実現し、上記課題を解決した。
【0008】
本発明にいう原子レベルで平坦とは、1μm×1μmにおける二乗平均粗さ(Rms)や表面高さ分布(Bearing Histogram)のピークの半値幅(W)が原子0.5~2個の大きさに相当する表面をいう。
【0009】
本発明にいう二乗平均粗さ(Rms)とは、表面高さの標準偏差であり、この値が小さいほど表面は平坦である。
【0010】
【数1】
JP0004195928B2_000002t.gifここで、Zaveは表面高さの平均値、Zjiは個々の表面高さの測定値、Nは測定点の数である。
【0011】
本発明にいう表面高さ分布(Bearing Histogram)とは、表面起伏の解析結果を表すものであり、その分布のピークの半値幅(W)は表面の粗さ・平坦さを表す尺度である。Wの値が小さいほど表面は平坦である。ここで、表面高さ分布のピークの形がガウス型の場合には、Wは次式となる。
【0012】
【数2】
JP0004195928B2_000003t.gif【0013】
金原子の直径が0.29nmであることから、上に記載された定義により、原子レベルで平坦な金薄膜のRmsの値は0.15~0.58nmとなる。また、Wの値は0.35~1.37nmになる。
【0014】
本発明にいう雲母とは、天然に産するフィロ珪酸塩鉱物の一種であって、海緑石、金雲母、黒雲母、白雲母およびマイカなどが挙げられる。
【0015】
本発明にいう前処理とは、劈開した雲母基板を加熱し、表面を清浄化する操作のことである。
【0016】
本発明による原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を、原子間力顕微鏡(AFM)や走査トンネル顕微鏡(STM)などの走査プローブ顕微鏡(SPM)における基板として提供するものである。
【0017】
本発明にいうAFMやSTMなどのSPMにおける基板は、その表面上に固定された試料の形態観察を行うために、原子レベルでの平坦性が要求される。また空気中や水中で安定に使用できることも必要である。
【0018】
本発明による原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を、反射赤外分光法、反射可視・紫外分光法、反射X線分光法等の反射分光分析法における反射鏡、あるいは基板として提供するものである。
【0019】
本発明にいう反射赤外分光法、反射可視・紫外分光法、反射X線分光法等の反射分光分析法における反射鏡は、その表面の平坦性が良く、乱反射による光の損失が少ないものである。また空気中での使用において安定なものである。
【0020】
本発明にいう反射赤外分光法、反射可視・紫外分光法、反射X線分光法等の反射分光分析法における基板は、その表面の平坦性が良く、その基板表面に吸着された試料分子の配向性を正確に定めるものである。
本発明にいう配向性とは、基板表面における試料分子の並び方や向きのことである。
【0021】
本発明の金薄膜は、薄膜表面の二乗平均粗さ(Rms)が1μm×1μm当たり0.15~0.58nmおよび/または薄膜表面の表面高さ分布(Bearing Histogram)のピークの半値幅(W)が1μm×1μm当たり0.35~1.37nmである。
【0022】
本発明の金薄膜を作製する方法は、高真空中で500~600℃の加熱による前処理を行った雲母基板上に、高真空中、蒸着温度470~476℃、蒸着速度1.8~2.2nm/s、膜厚130~170nmの条件で真空蒸着法により、原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を作製するものである。
【0023】
本発明の金薄膜の利用法としては、これを原子間力顕微鏡(AFM)や走査トンネル顕微鏡(STM)等の走査プローブ顕微鏡(SPM)の基板とすることが挙げられる。
【0024】
さらに上記の金薄膜を反射赤外分光法、反射可視・紫外分光法、反射X線分光法等の反射分光分析法における反射鏡または基板に利用する方法も含まれる。
【0025】
【発明の実施の形態】
雲母基板の前処理および金の真空蒸着は、内径40cm、高さ28cmのステンレス製のベルジャー内で行い、液体窒素トラップを付けた6インチの油拡散ポンプを用いて真空排気を行う。ベルジャーに取り付けた電離真空計を用いて真空度を測定する。
【0026】
本発明の原子レベルで平坦な金薄膜を作製するための加熱に用いる銅製のヒーターブロック11と雲母基板を載せるためのマスク21を図1に示す。雲母基板の加熱には、図1に示す銅製のヒーターブロックを用い、温度校正された熱電対を用いて温度を測定する。蒸着時のボートの加熱によるヒーターブロックの温度上昇は最高3℃である。
【0027】
〈雲母基板の前処理〉
雲母を8mm×12mmに切断する。その雲母基板に粘着テープを貼り付けた後、これを剥がすことにより表面を劈開する。表面を劈開した雲母基板8枚を、図1に示すヒーターブロック11とマスク21の間に挟み、1~8×10-6Torrの高真空中において500~600℃に加熱し、その表面を清浄化する。
【0028】
〈真空蒸着法〉
抵抗加熱法を用いて真空蒸着を行う。金粒子をモリブデン製のボートに載せ、ボートに電流を流すことによって加熱し蒸着する。ボートと雲母基板との距離を13cmにする。雲母基板の直下のシャッターを開閉することにより、蒸着の開始と終了の操作を行う。雲母基板の近くに取り付けた水晶振動子膜厚計を用いて蒸着速度と膜厚を測定する。
【0029】
上記の前処理した雲母基板を1~3×10-6Torrにおいて470~476℃に保ち、蒸着速度1.8~2.2nm/sで蒸着し、膜厚130~170nmの金薄膜を作製する。作製した金薄膜が100℃よりも低い温度になるまで1~3×10-6Torrの高真空中で放冷し、大気中に取り出す。
【0030】
〈利用方法〉
本発明による原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜をAFMやSTMなどのSPMの基板として利用すれば、空気中や水中において金薄膜表面に存在する試料(被測定物)の詳細な形態観察ができる。また平坦性が良いために、表面高さ分布(Bearing Histogram)が正確に測定できる。これらの結果を解析することにより、その表面に存在する物質の体積を求めることができる。
【0031】
本発明による原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を、反射赤外分光法、反射可視・紫外分光法、反射X線分光法等の反射分光分析法における反射鏡として利用すれば、乱反射による光の損失が少なく、高感度な反射分光分析法が可能となる。また反射分光分析法における基板として利用すれば、その表面の平坦性が良いために、吸着分子の配向性に関する情報も得られる。
【0032】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を、図面やグラフを用いて説明する。
【0033】
〔実施例1〕
雲母を8mm×12mmに切断する。その雲母基板に粘着テープを貼り付けた後、これを剥がすことにより表面を劈開する。このようにして空気中で表面を劈開した雲母基板を2.3~6.5×10-6Torrの高真空中において550℃で2時間加熱することにより表面を清浄化する。
【0034】
前処理した雲母基板を1.5×10-6Torrにおいて473℃に保ち、蒸着速度2.0~2.2nm/sで蒸着し、膜厚150nmの金薄膜を作製する。作製した金薄膜が100℃よりも低い温度になるまで1.5×10-6Torrの高真空中で放冷し、その後大気中に取り出す。
【0035】
以下の条件で雲母基板の前処理と金の真空蒸着を行い、原子レベルで平坦な金薄膜を作製した。
【0036】
雲母基板の前処理
真空度: 2.3~6.5×10-6Torr
温度: 550℃
時間: 2時間
真空蒸着の条件
真空度: 1.5×10-6Torr
雲母基板の温度:473℃
蒸着速度: 2.0~2.2nm/s
膜厚: 150nm
【0037】
本発明により雲母基板上に作製した原子レベルで平坦な金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)画像(a)と、この画像を解析して得られた表面高さ分布(b)を図2に示す。AFM画像のサイズは1μm×1μm、高さ40nmであり、表面のRmsと表面高さ分布のピークの半値幅(W)の値も示している。
【0038】
図2より原子レベルで平坦な表面の金薄膜であることが分かる。Rmsの値は0.24nmであり、金原子1個の直径(0.29nm)よりも小さい。表面高さ分布のピークも鋭く(W=0.46nm)、金薄膜の全表面に渡って平坦であることを示している。
【0039】
〔実施例2〕
実施例1と同様に、以下の条件で雲母基板の前処理と金の真空蒸着を行い、原子レベルで平坦な金薄膜を作製した。
【0040】
雲母基板の前処理
真空度: 1.8~3.2×10-6Torr
温度: 550℃
時間: 2時間
真空蒸着の条件
真空度: 1.3×10-6Torr
雲母基板の温度:473℃
蒸着速度: 2.0~2.2nm/s
膜厚: 150nm
【0041】
作製した平坦な金薄膜のAFM画像(a)と、この画像を解析して得られた表面高さ分布(b)を図3に示す。図3より原子レベルで平坦な表面の金薄膜であることが分かる。Rmsの値は0.32nmであり、表面高さ分布のピークも鋭く(W=0.47nm)、金薄膜の全表面に渡って平坦であることを示している。
【0042】
〔実施例3〕
実施例1と同様に、以下の条件で雲母基板の前処理と金の真空蒸着を行い、原子レベルで平坦な金薄膜を作製した。
【0043】
雲母基板の前処理
真空度: 2.7~7.7×10-6Torr
温度: 550℃
時間: 2時間
真空蒸着の条件
真空度: 2.2×10-6Torr
雲母基板の温度:473℃
蒸着速度: 2.1~2.2nm/s
膜厚: 150nm
【0044】
作製した平坦な金薄膜のAFM画像(a)と、この画像を解析して得られた表面高さ分布(b)を図4に示す。図4より原子レベルで平坦な表面の金薄膜であることが分かる。Rmsの値は0.32nmであり、表面高さ分布のピークも鋭く(W=0.54nm)、金薄膜の全表面に渡って平坦であることを示している。
【0045】
〔実施例4〕
本発明により作製したこれらの原子レベルで平坦な金薄膜を、AFMやSTMなどのSPMの基板として用いた。有機化合物の希薄溶液を金薄膜上に滴下し、その表面吸着種の形態を観察することができた。さらに表面吸着種の体積も計算することができた。
【0046】
〔実施例5〕
本発明により作製したこれらの原子レベルで平坦な金薄膜を、各種の反射分光法における反射鏡に利用したところ、感度が向上した。
【0047】
〔実施例6〕
本発明により作製したこれらの原子レベルで平坦な金薄膜を、各種の反射分光法における試料(被測定物)の基板として用いて、極微量の表面吸着種を形成させたところ、その吸収・蛍光スペクトルのピーク強度が、従来の粗い表面の金基板よりも著しく増加した。
【0048】
〔比較例1〕
雲母基板の温度が実施例1~3よりも5℃高い478℃で作製した金薄膜のAFM画像(a)と表面高さ分布(b)を図5に示す。雲母基板の温度が異なる以外他の条件は同じであるが、平坦な表面の金薄膜は得られない。Rmsの値は7.31nmであり、表面高さ分布は不規則な表面形態による起伏を示しており、その幅は4.15nmと広くなっている。
【0049】
〔比較例2〕
雲母基板の温度が実施例1~3よりも5℃低い468℃で作製した金薄膜のAFM画像(a)と表面高さ分布(b)を図6に示す。雲母基板の温度が異なる以外他の条件は同じであるが、平坦な表面の金薄膜は得られない。Rmsの値は1.37nmであり、表面高さ分布も粗い表面を反映して幅広い分布である(W=1.85nm)。
【0050】
〔比較例3〕
前処理を行っていない室温(26℃)の雲母基板に作製した金薄膜のAFM画像(a)と表面高さ分布(b)を図7に示す。雲母基板の温度が室温であり、また前処理を行っていないこと以外他の条件は実施例1~3と同じであるが、平坦な表面の金薄膜は得られない。薄膜の表面は直径30nm、高さ10nm程度の粒子により構成されており、Rmsの値は2.60nmであり、表面高さ分布も幅広い(W=6.75nm)。このような室温で蒸着された粗い表面の金薄膜をAFMやSTMなどのSPMの基板として表面吸着種の形態観察に用いた場合、満足な結果は得られない。また各種の反射分光法における反射鏡や基板としても充分な性能を発揮しない。
【0051】
〔実施例7〕
本発明により実施例1の条件で作製した膜厚150nmの原子レベルで平坦な金薄膜のAFM画像を図8に示す。AFM画像のサイズは10μm×10μm、高さ200nmである。薄膜の全面において平坦であることが分かる。
【0052】
〔比較例4〕
図9に実施例7よりも膜厚が50nm厚い200nmの金薄膜のAFM画像を示す。膜厚が異なる以外他の条件は同じであるが、表面の所々に高い粒子が存在し、金薄膜の平坦性は良くない。同様に作製した膜厚175nmと300nmの金薄膜にも表面の所々に高い粒子が存在する。
【0053】
〔比較例5〕
図10に実施例7よりも膜厚が50nm薄い100nmの金薄膜のAFM画像を示す。膜厚が異なる以外他の条件は同じであるが、平坦な表面の金薄膜は得られない。表面には溝が存在しており、金粒子間を隔てている。同様に作製した膜厚125nmの金薄膜にも溝が存在しており、金粒子間を隔てている。膜厚50nmの金薄膜は、膜厚と同じ深さの溝が存在し、金粒子を孤立させている。
【0054】
〔比較例6〕
図11に蒸着速度が実施例7よりも0.5nm/s遅い1.5nm/sで作製した金薄膜のAFM画像を示す。蒸着速度が異なる以外他の条件は同じであるが、平坦な表面の金薄膜は得られない。1.0nm/sと0.5nm/sの蒸着速度の場合にも1.5nm/sの場合と同様に平坦な表面の金薄膜は得られない。3.0nm/sの蒸着速度の場合にも平坦な表面の金薄膜は得られない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明により、真空蒸着法を用いて、雲母基板の前処理方法、真空度、雲母基板の温度、蒸着速度、膜厚等の条件を検討することによって、雲母基板上に広い範囲で原子レベルで平坦な金薄膜を作製することができた。
【0056】
本発明は先行技術1のような熱CVDやプラズマCVDの装置を用いて複雑な条件で操作する必要がなく、簡便な真空蒸着法を用いて、原子レベルで平坦な金薄膜作製法を提供するものである。
【0057】
また、原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜をAFMやSTMなどのSPMの基板として利用すれば、空気中や水中において金薄膜表面に存在する試料(被測定物)の詳細な形態観察ができる。平坦性が良いために、表面高さ分布(Bearing Histogram)が正確に測定できる。これらの結果を解析することにより、その表面に存在する物質の体積を求めることができる。
【0058】
本発明による原子レベルで平坦な表面を持つ金薄膜を、反射赤外分光法、反射可視・紫外分光法、反射X線分光法等の反射分光分析法における反射鏡として利用すれば、乱反射による光の損失が少なく、高感度な反射分光分析法が可能となる。また反射分光分析法における基板として利用すれば、その表面の平坦性が良いために、吸着分子の配向性に関する情報も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原子レベルで平坦な金薄膜を作製するための加熱に用いる銅製のヒーターブロックと雲母基板を載せるためのマスクの図である。
【図2】(a)本発明の原子レベルで平坦な金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:1μm×1μm、40nmH)を示す図である。
(b)本発明の原子レベルで平坦な金薄膜の表面高さ分布を示す図である。
【図3】(a)本発明の原子レベルで平坦な金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:1μm×1μm、40nmH)を示す図である。
(b)本発明の原子レベルで平坦な金薄膜の表面高さ分布を示す図である。
【図4】(a)本発明の原子レベルで平坦な金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:1μm×1μm、40nmH)を示す図である。
(b)本発明の原子レベルで平坦な金薄膜の表面高さ分布を示す図である。
【図5】(a)478℃の雲母基板上に作製した金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:1μm×1μm、40nmH)を示す図である。
(b)478℃の雲母基板上に作製した金薄膜の表面高さ分布を示す図である。
【図6】(a)468℃の雲母基板上に作製した金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:1μm×1μm、40nmH)を示す図である。
(b)468℃の雲母基板上に作製した金薄膜の表面高さ分布を示す図である。
【図7】(a)前処理を行っていない室温(26℃)の雲母基板上に作製した金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:1μm×1μm、40nmH)を示す図である。
(b)前処理を行っていない室温(26℃)の雲母基板上に作製した金薄膜の表面高さ分布を示す図である。
【図8】本発明の473℃の雲母基板上に作製した膜厚150nmの原子レベルで平坦な金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:10μm×10μm、200nmH)を示す図である。
【図9】473℃の雲母基板上に作製した膜厚200nmの金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:10μm×10μm、200nmH)を示す図である。
【図10】473℃の雲母基板上に作製した膜厚100nmの金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:10μm×10μm、200nmH)を示す図である。
【図11】473℃の雲母基板上に蒸着速度1.5nm/sで作製した金薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)写真(画像のサイズ:10μm×10μm、200nmH)を示す図である。
【符号の説明】
11 ヒーターブロック
13 熱電対を取り付けるための穴
21 雲母基板を載せるマスク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10