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明細書 :アルコール類又はその水溶液から水素を発生させるための光触媒及びその製造方法並びにそれを用いた水素の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4469979号 (P4469979)
公開番号 特開2006-150193 (P2006-150193A)
登録日 平成22年3月12日(2010.3.12)
発行日 平成22年6月2日(2010.6.2)
公開日 平成18年6月15日(2006.6.15)
発明の名称または考案の名称 アルコール類又はその水溶液から水素を発生させるための光触媒及びその製造方法並びにそれを用いた水素の製造方法
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
B01J  21/18        (2006.01)
C01B   3/04        (2006.01)
C01B   3/22        (2006.01)
FI B01J 35/02 J
B01J 21/18 M
C01B 3/04 A
C01B 3/22 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2004-342409 (P2004-342409)
出願日 平成16年11月26日(2004.11.26)
審査請求日 平成19年2月21日(2007.2.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】楠元 芳文
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
審査官 【審査官】後藤 政博
参考文献・文献 特開2004-148305(JP,A)
特開2003-135957(JP,A)
特開2004-330074(JP,A)
特開2005-046680(JP,A)
特開昭62-199788(JP,A)
Bashir Ahmmad 他,二酸化チタンの触媒活性に及ぼすフラーレンの効果,固体・表面光化学討論会講演要旨集,2003年11月21日,Vol.22nd,page.77,78
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
C01B 3/00 - 3/58
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素の網目構造を外殻に有するカーボンナノ構造体又はそれらの誘導体及び酸化チタンを主成分とする、アルコール類又はその水溶液から水素を発生させるための光触媒であって、前記カーボンナノ構造体が単層ナノチューブ又は多層ナノチューブであり、かつ、前記カーボンナノ構造体又はその誘導体が、前記カーボンナノ構造体又はその誘導体と酸化チタンとの合計重量を基準として、1~30 wt%含有される前記光触媒
【請求項2】
アルコール類又はその水溶液に、光照射により活性化された請求項に記載の光触媒を作用させることにより水素を製造する方法。
【請求項3】
アルコール類の40~90vol%濃度水溶液に上記光触媒を作用させることを特徴とする請求項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は新規光触媒、その製造方法、それを用いた水素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新しいエネルギー源として原子力発電が実用化されているが、安全性や廃棄物処理等の問題を抱えているのでクリーンで安全な新エネルギーの開発が注目されている。現在、化石資源の制約やそれらの大量消費によって引き起こされた深刻な地球温暖化など環境問題が注目されている。
【0003】
これに対して、一年間で地上に届く太陽エネルギーは人類の年間エネルギー消費量の1万倍に相当するほど莫大なものであり、その効率的な利用研究が最近活発となっている。その代表的な研究に光触媒がある。この光触媒、たとえば紫外線および可視光応答型光触媒は、無尽蔵な太陽光と水からクリーンな燃料となる水素と酸素を直接製造することができる極めて有用な触媒として注目されている。
【0004】
この反応は下記の反応式(a)に示すようにエネルギー蓄積型の反応であり、光合成において、光を必要とする明反応下で起こる酸素発生も、この分解反応にほかならない。
O→H+(1/2)O (a)
【0005】
一般に、この種の光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを吸収すると、正孔と電子を生成しこれらがそれぞれ酸化反応、還元反応を行い、酸素、水素を発生させる。この光触媒の実用化を考えた場合、光源として太陽光の利用は不可欠である。地表に降り注ぐ太陽光は、可視光である波長500nm付近に放射の最大強度をもっており、波長が約400~750nmの可視光領域のエネルギー量は全太陽光の約43%である。一方、波長が約400nm以下の紫外線領域では全太陽光の5%にも満たない。
【0006】
しかしながら、従来の多くの半導体光触媒はエネルギーの高い紫外光を照射したときには水素と酸素の双方を生成できることが知られているものの光触媒活性はそれほど高いものではなく効率の低いものであった。例えばこれまでに、酸化チタン(TiO)単体の系、グラファイトと酸化チタンの混合系、活性炭と酸化チタンの混合系、シリカと酸化チタンの混合系の触媒を用いて水素発生反応の検討が行われているが、ほとんど水素の発生は見られなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
太陽光を効率よく利用するための高効率の光触媒が望まれている。
また、近年、光触媒の応用は有害化学物質の分解の分野で広く研究検討されている。たとえば、水中や大気中の農薬や悪臭物質などの有機物の分解除去あるいは光触媒を塗布した固体表面のセルフクリーニングなどの数多くの応用例がある。
【0008】
本発明は、太陽光などに含まれる紫外線を効率よく吸収する光触媒を使用することによって、水素含有化合物(アルコール類)を含む水や有害化学物質に光を照射し、水素含有化合物(アルコール類)を含む水あるいは有害物質を分解して、高効率の水素の製造方法あるいは有害物質の無害化処理方法を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を炭素の網目構造を外殻に有するカーボンナノ構造体と酸化チタンとの混合系について検討し、炭素の網目構造を外殻に有するカーボンナノ構造体が酸化チタンの光触媒の活性を高める重要因子であることを見いだした。すなわち従来公知の光触媒である酸化チタンTiOに炭素の網目構造を外殻に有するカーボンナノ構造体を適切な比率で混合することにより高効率の水素発生の光触媒として有効であることを見いだし、本発明に至った。本発明は以下の発明を包含する。
【0010】
(1)炭素の網目構造を外殻に有するカーボンナノ構造体又はそれらの誘導体及び酸化チタンを主成分とする光触媒。
(2)カーボンナノ構造体が単層ナノチューブ又は多層ナノチューブである請求項1に記載の光触媒。
(3)カーボンナノ構造体又はその誘導体が、カーボンナノ構造体又はその誘導体と酸化チタンとの合計重量を基準として、1~30wt%含有される(1)又は(2)に記載の光触媒。
(4)アルコール類又はその水溶液に、光照射により活性化された(1)~(3)のいずれかに記載の光触媒を作用させることにより水素を製造する方法。
(5)アルコール類の40~90vol%濃度水溶液に上記光触媒を作用させることを特徴とする(4)に記載の方法。
【0011】
本発明により、既存の光触媒である酸化チタンの触媒活性が飛躍的に高められた光触媒が提供される。
また本発明により、効率的な水素の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において酸化チタンとは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタンなどの各種酸化チタンを意味し、アナターゼ型酸化チタン単独またはアナターゼ型酸化チタンを主成分とするアナターゼ型/ルチン型酸化チタン混合物が好ましい。
【0013】
本発明において炭素の網目構造を外殻に有するカーボンナノ構造体(以下、単に「カーボンナノ構造体」と称することがある)とは、グラファイトシートに類似した炭素原子からなる網目構造を基本として包まれたり巻かれたりした種々の形状を有し、個々のサイズがナノメートルのオーダーである物質の総称であり、典型的には、一枚のグラファイト層が直径がナノメートルのオーダーのチューブ状に巻かれた形状の単層ナノチューブ(Single-walled nanotube, 以下「SWNT」と略すことがある)、SWNTが入れ子状となった形状の多層ナノチューブ(Multi-walled nanotube, 以下「MWNT」と略すことがある)、カーボンナノホーン、フラーレン又はこれらの変形種から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの各種カーボンナノ構造体は1種類からなる単体としても、2種以上からなる混合物としても使用される。上記カーボンナノ構造体は光触媒活性を有する酸化チタンの助触媒として機能しているものと推定される。
【0014】
上記のカーボンナノ構造体のうち、SWNT又はMWNTが好ましく、SWNTが特に好ましい。これらはアーク放電法やレーザー蒸発法等の周知の方法で形成される。これらのカーボンナノチューブは一方又は両方の終端が閉じた状態のものであっても、開いた状態のものであってもよい。また折れ曲がり構造を有するものであってもよい。通常、カーボンナノチューブの管状部分は炭素の6員環で形成されており、末端を閉じるキャップ部分や、折れ曲がり部分には5員環構造又は7員環構造が存在する。
【0015】
本発明にはまた上記のカーボンナノ構造体の誘導体も使用することができる。このような誘導体としてはカーボンナノ構造体に化学修飾を施して溶媒への溶解性を改変したもの等を挙げることができる。
【0016】
カーボンナノ構造体又はその誘導体と酸化チタンとの配合割合は所望の触媒活性を有する限り特に限定されないが、典型的には、カーボンナノ構造体又はその誘導体が、カーボンナノ構造体又はその誘導体と酸化チタンとの合計重量を基準として、1~30wt%、好ましくは7~17wt%含有される。
【0017】
本発明の光触媒は、カーボンナノ構造体又はその誘導体の粉末と酸化チタン粉末とを混合することにより調製される。光を有効に利用するためには、比表面積が大きい粒子、すなわち粒子径の小さい粒子ほど好ましく、例えば10nm~200μmの粒子径を有する粒子が好ましい。一般に固相反応法で調製した酸化チタン粉末は粒子が大きく、その比表面積は小さいが、ボールミルなどで粉砕を行うことなどにより粒子径を小さくできる。また、粉末のまま使用されるだけでなく、適宜成形加工又は焼結されて使用され得る。例えば微粒子を成型して板状及び/又は薄膜の形態で使用することもできる。また、粉末の触媒を適当な基板上に固定化して使用することもできる。
【0018】
更に、本発明の光触媒は、Ptなどの白金族元素、Niなどの遷移金属、NiO、IrO、RuO等からなる群から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒によって修飾、担持することができる。担持方法は混練法や含浸法、光電着法などで行うことができる。
【0019】
本発明の光触媒による水素の製造は、アルコール類(水素含有化合物)若しくはその水溶液又は水(以下これらをまとめて「反応溶液」と称する場合がある)に本発明の光触媒を作用させることにより行われる。アルコール類又はその水溶液を用いることが特に好ましい。アルコール類の濃度は10~100vol%が好ましく、40~90vol%が特に好ましい。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールが挙げられる。アルコール類の水溶液中では、アルコール分子と水分子が水素結合でつながった会合体を形成し、さらに上下のアルコール会合体を水分子が水素結合のネットワークでつなぎ水和クラスターを形成していると考えられている。反応溶液に用いられる水としては純粋な水に限定されず、炭酸塩や炭酸水素塩、ヨウ素塩、臭素塩等の塩類を混合、溶解した水を用いてもよい。
【0020】
上記反応溶液に本発明の光触媒を添加する。触媒の添加量は、基本的に入射した光が効率よく吸収できる量を選ぶ。このように光分解用触媒を添加したアルコール水溶液に光を照射することによって光触媒が活性化され水素発生反応が進行する。照射する光は、半導体光触媒である酸化チタンのバンドギャップを超えるようなエネルギーを持つものである必要がある。このような光としては紫外線が挙げられる。本発明の光触媒は非常に高効率であり、太陽光に含まれる紫外線を有効に利用することができるため、本発明では光触媒が添加された反応溶液に太陽光を照射してもよい。
【0021】
本発明の光触媒はまた水素の製造以外の種々の光触媒反応に使用できる。たとえば、水中や大気中の農薬や悪臭物質などの有機物の分解除去あるいは光触媒を塗布した固体表面のセルフクリーニングに本発明の光触媒を使用することができる。反応形態は、例えば、有機物を含む水溶液に触媒を添加して光照射することにより行うことができる。悪臭物質の分解は気相反応により行うこともできる。有機物の分解の場合、分解される有機物は一般に電子供与体として働き、正孔によって酸化分解されるとともに、電子によって水素が発生するか、酸素が還元される。
【0022】
以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
【実施例】
【0023】
材料・試薬
使用した光触媒は、酸化チタン(TiO,日本アエロジル製のP25)である。この粉末状の光触媒は約80%がアナターゼ構造、約20%がルチル構造であり、細孔の少ない多面構造である。粒径は約20nmで、比表面積は約50mである。
【0024】
使用したカーボンナノチューブ粉末は、米国(MTR Ltd.製造,(株)マツボーから購入)から輸入されたものであり、両方の終端が閉じた単層ナノチューブ(SWNT)を20~40wt%の純度で含有する。この粉末中には製造時に混入したと考えられる不純物として、アモルファス(無定形)の煤(スス)、微量のC-60、C-70およびもっと大きな炭素数をもつフラーレン、数ナノメートル程度の大きさをもつ金属触媒も含まれている。SWNTの直径は0.7~1.2nmで、長さは約10~30μmである。以下、この粉末をSWNT粉末と称することがある。
【0025】
触媒活性の比較のために、純度99.98%の白金((株)ニラコ製の300meshのもの)を用いた。
アルコール類(メタノール,エタノール,1-プロパノール)は和光純薬工業(株)またはナカライテスク(株)の特級グレードのものを用いた。
水は脱イオン水を二回再蒸留したものを用いた。
【0026】
実験方法
反応容器として、パイレックス(登録商標)ガラス製のシュレンク管(容積153ml)を用いた。シュレンク管の上端はシリコンキャップで密閉した。人工光源として超高圧水銀ランプ(ウシオ電機(株)製、USH-500SC(出力500W))を使用した。紫外線だけを用いて光照射実験をするために、紫外線を通すフィルター(株式会社東芝、ATG UV-D33)を使い、懸濁液が熱くならないように適宜出力を下げるなどの措置をとった。
【0027】
所定の濃度(アルコール含量)に調製した20mlのアルコール水溶液と、予め秤量した酸化チタン粉末とSWNT粉末(酸化チタンとSWNTの合計全量を30mgに固定)をシュレンク管内に入れ、シリコンキャップで蓋をして密閉した。混合を促進させるために、約2分間超音波処理を施した。溶液中の溶存酸素やシュレンク管内の空気を取り除くために、アルゴンガスで1時間バブリングした。バブリングとは蓋にシリンジ針(注射針)を二本刺して、一方の針から溶液中にアルゴンガスを導入し、他方の針からガスを放出するようにしたものである。その後、超高圧水銀ランプからの紫外線を照射し、一定時間ごとにシリンジで気体を一定量(通常は1ml)採集し、ガスクロマトグラフ(島津製作所製,GC-8AIT)を用いて水素の検出を行った。
【0028】
実験1
50vol%アルコール水溶液中で酸化チタン(TiO)粉末とSWNT粉末の混合割合を変化させたときの1時間あたりの水素発生量を測定した。本実験では触媒の全量を30mgに固定したまま、TiO粉末とSWNT粉末の両粉末の混合割合を0wt%(この場合は、TiOのみを含む)から100wt%(この場合は、SWNT粉末のみを含む)まで種々変化させた。50vol%アルコール水溶液の量は20mlであった。用いたアルコールはメタノール,エタノールまたは1-プロパノールである。結果を図1に示す(図中では水素発生量を水素ガス発生速度(単位はμmol/h)として表示)。図1から、SWNT粉末をTiO粉末に加えることで急激な水素発生量の増加が見られることが分かる。そして水素発生量はSWNT粉末含量として10~50wt%(SWNT粉末中のSWNT純度を30wt%と仮定すれば、酸化チタンとSWNTの合計重量を基準として、SWNT含量が3~23wt%)の範囲で高く、20~40wt%(同7~16wt%)の範囲で特に高く、25~40wt%(同9~14wt%)の範囲で最も高い。一方、SWNT粉末含量が70wt%(同41wt%)を超えると水素発生速度は減少する傾向が見られた。1時間後、最も水素発生量の多かったSWNT粉末含量での、水素ガスの量はメタノールで32μmolであった。用いたどのアルコール水溶液でも水素ガスが発生するが、今回の実験条件下で水素発生量の多かったアルコールの順番は、メタノール>エタノール>1-プロパノールであった。もっとも注目すべきことは、TiO粉末だけを入れた場合でも、SWNT粉末だけを入れた場合でも水素ガスはほとんど発生しないのに、両者を混ぜると驚異的な量の水素が発生するということである。SWNT粉末がTiOに対する強力な助触媒として機能していることを示していると考えられる。
【0029】
実験2
下記の各種濃度のアルコール水溶液20mlに、触媒として30mgのTiO粉末/SWNT粉末混合物(SWNT粉末含量:25wt%)を添加し、光照射により水素発生反応を進行させ、1時間あたりの水素発生量(μmol/h)を測定した。アルコールとしてはメタノール、エタノール又は1-プロパノールを用いた。アルコール水溶液中のアルコール濃度は0vol%(この場合は水のみ)、20vol%、40vol%、60vol%、80vol%、又は100vol%(この場合はアルコールのみ)に設定した。結果を図2に示す。
【0030】
メタノール、エタノール、1-プロパノールのいずれを用いた場合であっても、水にアルコールを加えると水素発生量の急激な増加が見られ、アルコールの濃度が40~90vol%のときに水素発生量が高まることがわかる。また、アルコールだけでも、かなりの量の水素が発生することもわかる。
【0031】
実験3
20mlの50vol%メタノール水溶液中で、TiO粉末と白金(Pt)粉末の混合物(合計重量30mg)またはTiO粉末とSWNT粉末の混合物(合計重量30mg)を光触媒として用いて紫外線を照射して反応させたときの水素ガス発生量の照射時間依存性を比較した。結果を図3に示す。図3から、SWNTを用いた系からの水素発生量が白金を用いた系に充分匹敵することが分かる。白金はTiOに対する助触媒の中で、もっとも優れた助触媒であることが知られている。今回の結果は、SWNTがもっとも優れた助触媒と同等程度の機能をもつことを初めて示したものである。白金は貴金属で、高価である。SWNTのようなカーボンナノチューブ類は、今後量産化され、価格が急激に下がっていくと予想されている。また、今回は純度のかなり低いカーボンナノチューブを用いたので、今回のものよりもずっと純度の高いカーボンナノチューブ類を使用することによって、水素ガス発生量や効率が今後一段と向上していくものと期待される。従って、実用化を考えると、白金よりもSWNTをはじめとするカーボンナノチューブ類の方が、断然有利であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】各種アルコール(メタノール、エタノール又は1-プロパノール)水溶液を用い、光触媒中のSWNT含量を変化させたときの水素ガス発生速度を示す図である。
【図2】各種アルコール(メタノール、エタノール又は1-プロパノール)水溶液を用い、アルコールの濃度を変化させたときの水素ガス発生速度を示す図である。
【図3】TiO粉末に対する添加物(助触媒)として、白金(Pt)粉末またはSWNT粉末を用いたときの水素ガス発生量の照射時間依存性を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2