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明細書 :金属イオンを用いた園芸作物の花の色改変法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4967115号 (P4967115)
公開番号 特開2007-143506 (P2007-143506A)
登録日 平成24年4月13日(2012.4.13)
発行日 平成24年7月4日(2012.7.4)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
発明の名称または考案の名称 金属イオンを用いた園芸作物の花の色改変法
国際特許分類 A01G   7/00        (2006.01)
A01G   7/06        (2006.01)
FI A01G 7/00 604Z
A01G 7/06 A
請求項の数または発明の数 7
全頁数 8
出願番号 特願2005-344322 (P2005-344322)
出願日 平成17年11月29日(2005.11.29)
審査請求日 平成20年6月17日(2008.6.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】渡部 由香
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査官 【審査官】竹中 靖典
参考文献・文献 特開2004-194523(JP,A)
特開昭60-239403(JP,A)
特開平06-024884(JP,A)
特開平03-164115(JP,A)
特開2004-248662(JP,A)
特開2000-287544(JP,A)
特開2003-274761(JP,A)
特開2003-180165(JP,A)
調査した分野 A01G 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
リブデン化合物をモリブデン濃度として0.1~20mM含有する溶液又は懸濁液を葉面に散布することを特徴とする、アントシアニン系色素を含有する植物に青色の花を咲かせる方法。
【請求項2】
リブデン化合物をモリブデン濃度として0.1~20mM含有する溶液又は懸濁液を葉面に散布することを特徴とする、アントシアニン系色素を含有する植物の花をより青色に変える方法。
【請求項3】
アントシアニン系色素を含有する植物が、トルコキキョウ、チューリップ、キク、アスター、ユリ、アルストロメリア、グラジオラス、スイトピー、カーネーション、アネモネ、ストック、キンギョソウ、ラナンキュラス、カラー、フリージア、ハボタン、ラン、ニチニチソウ、ナデシコ又はリコリスから選ばれる請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
モリブデン化合物がモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はモリブデン酸リチウムから選ばれる請求項1~いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
モリブデン化合物を3日ごとに1ないし10回散布する請求項1~いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
モリブデン濃度として0.1~20mMのモリブデン化合物を含有することを特徴とする、アントシアニン系色素を含有する花を青色に変色させる葉面散布用花卉変色剤。
【請求項7】
更に、展着剤を含有する請求項記載の葉面散布用花卉変色剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の花色と異なる色の花を咲かせる植物の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、アントシアニン系色素を含有する植物であって、通常は、橙色、ピンク色、赤色、赤紫色等の花を咲かせる植物に、青色の花を咲かせるための栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の自然な発色については天然植物色素が貢献しているが、その主な物質としてクロロフィル類、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素が挙げられる。クロロフィルは緑色の色素で主に葉や茎の発色に寄与している。力ロチノイドは黄色から橙、赤の色をカバーしている。アントシアニン色素の発色は橙色からピンク、赤色、赤紫色が多い。青色の発色もアントシアニン系色素によるものであるが、その発色機構は複雑であり現在も研究が進められている。また、生花店で販売されている主な花卉類において空色に近い青色の花の品種は意外に少ない。バラでは古来より青いバラの作製が育種家の夢であるが、従来の育種技術では困難と言われており、近年、遺伝子工学を利用して青バラの作製が研究されている。多くの青い色の花は、デルフィニジンを含有しているが、バラなどの青い花が知られていない植物はデルフィニジンを含まない。そこで、例えば、特許文献1では、3′,5′-ヒドロキシラーゼのごときDHKヒドロキシル化酵素をコードする核酸配列をトランスジェニック植物に導入し発現させ、それにより、DHK(ジヒドロカンフェロール)及び/又は他の適当な基質を、最終的に、アントシアニジンのアントシアニン誘導体、例えばデルフィニジン、ペチュニジン又はマルビジン(malvidin)に転換することにより、青色及び青様色の種々の色相の植物生産を試みている。また、特許文献2には、芳香族アシル基の転移により、アントシアンの吸収極大が長波長側に移動することから、既存の花色に青味を持たす場合に有効であると考えられるので、植物において、アントシアンへのアシル基転移反応を制御する方法が示されている。
【0003】
また、花色に関して新色を得る方法としては、最も手軽な方法としては、白色の花弁をもつ花の茎からに青や緑などの人工的な色素液を吸収させ、好みの色に着色する方法があり、現在、種々の色素液が販売されている。しかしながら、この方法では切り花全体が一様に着色され、人工的な印象を受けるため人気がなく、あまり活用されていない。
【0004】
モリブデンイオンとB環に水酸基をもつアントシアニン色素が結合して強酸性条件下で青色になる反応は溶媒で抽出したアントシアニン色素の分析方法の一つとして、古くから知られている。非特許文献1は、モリブデン酸ナトリウム溶液を切り花の茎から吸収させる、あるいは花に直接散布処理を行い花色を青色化させる効果について調査しており、5mMのモリブデンイオン溶液を切り花の切り口から吸収させたところキキョウの花において青色化が見られたが、キキョウ以外の花では、青色化が起こり且つ薬害が少なく鑑賞期間が短くならない等の条件を備えたものは極めて少なかったことから、切り花にモリブデン化合物の溶液を吸収させる方法は利用できない場合が多い、と結論づけている。実際に、この現象が論文で発表されてから20年近く経過しているが、一般的な技術としては全く利用されていない。
【0005】
また、本願発明者等は、すでに、モリブデン化合物を使用して栽培することにより、青色の花を咲かせる、アントシアニン系色素を含有する植物の栽培方法を開発している(特許文献3)。
【0006】
特許文献2には、開花の2週間~1週間ほど前から開花までに0.1mM以上の水溶性モリブデン酸塩類水溶液を数回施肥することにより、根からモリブデンイオンが吸収され、花弁に移行し、花弁中のアントシアニン色素と結合して青く発色させる方法が記載されている。この方法は、花の収穫前に花弁の青色化が終了するので、生花店において入荷後すぐに販売することができ、また、通常の切り花に比べて棚持ちの程度も遜色がないものであった。

【特許文献1】特許第3087246号
【特許文献2】特開平9-70290号
【特許文献3】特開2004-194523号
【非特許文献1】園芸学会雑誌,52巻,174-179,1983年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モリブデン化合物を用いる栽培方法は、十分な青発色のためには、モリブデンを1mM以上の高濃度で投与する必要があるために、根に生育障害が生じる場合があった。また、前記モリブデン化合物を用いる栽培方法は、主として水耕栽培に用いる方法であるため、水耕栽培装置などの設備投資が必要であった。そこで、本願発明は、水耕栽培装置などを必要としない、健全な植物に青色の花を付けさせる方法を提供することを課題とする。更に本願発明は、根への負担を少なくし、健全な植物に青色の花を付けさせる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者等は、根に代わり、葉面にモリブデン化合物含有剤などの重金属含有化合物を散布することにより、水耕栽培装置などの設備を必要とせずに、根をいためることなく、健全な植物に青い花を咲かせることができることを見出した。
【発明の効果】
【0009】
根をいためることがなく、健全な植物であって、色だけが青色に変色したものを提供でき、これにより観賞植物の価値をいっそう向上できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.[アントシアニン系色素を含有する植物の花を青色に変える方法]
本願発明は、アントシアニン色素を含む植物に対し、モリブデンイオンなど金属イオンを表面に散布させることにより、モリブデンイオンを植物体内に有効に吸収させ、花の色をより青色にする方法を包含している。
【0011】
2.[使用する金属化合物]
本発明の製造法において用いられる金属としては、タングステン化合物、コバルト化合物、マンガン化合物、及びモリブデン化合物などの金属化合物が上げられ、好適には、タングステン化合物又はモリブデン化合物を用いることができる。金属化合物は、金属化合物単独で使用することもできるが、金属化合物及び葉面処理剤として通常使用される助剤もしくは添加剤、例えば、農薬散布時に通常使用される展着剤からなる金属化合物含有葉面処理剤と組み合わせて使用しても良い。
【0012】
また、これら金属化合物は、適宜の溶媒、例えば、水又は有機溶媒に、溶解又は懸濁して、溶液又は懸濁液として使用される。
【0013】
前記タングステン化合物としては、好適には、6価のタングステン、タングステン酸の塩、タングステン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0014】
前記モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸の塩類等が挙げられる。モリブデン酸の塩類の好ましい例としては、例えば、モリブデン酸アンモニウム、例えばモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸リチウム等のモリブデン酸のアルカリ金属塩類等、水溶性のモリブデン酸塩類が挙げられる。
【0015】
3.[本発明方法の処理対象となる植物]
本発明の方法により、花をより青くする又は青い花を咲かせる対象となるアントシアニン系色素を含有する植物としては、例えば、トルコキキョウ(ユーストマ)、チューリップ、キク、アスター、ユリ、アルストロメリア、グラジオラス、スイトピー、カーネーション、アネモネ、ストック、キンギョソウ、ラナンキュラス、カラー、フリージア、ハボタン、ラン、ナデシコ、リコリス、ニチニチソウ等の観賞用花卉類が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、上記の植物以外でもアントシアニン系色素、例えば、デルフィニジン(Delphinidin)の配糖体、具体的には、delphinidin 3-rutinoside(delphinidin 3-O-(6-(α-rhamnopyranosyl)-6-D-glucopyranoside)、シアニジン(Cyanidin)の配糖体、具体的には、以下の式(1)で表されるシアニジンの配糖体
【0016】
【化1】
JP0004967115B2_000002t.gif

【0017】
3-O-(2-O-sinapyl-β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl)-5-O-(β-D-glucopyranosyl)cyanidin、
3-O-(6-O-p-coumaryl-2-O-(2-O-synapyl-β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl)-5-O-(β-D-glucopyranosyl)cyanidin、
3-O-(6-O-ferulyl-2-O-(2-O-synapyl-β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl)-5-O-(β-D-glucopyranosyl)cyanidin、
3-O-(6-O-sinapyl-2-O-(2-O-synapyl-β-D-glucopyranosyl)-β-D-glucopyranosyl)-5-O-(β-D-glucopyranosyl)cyanidin
、ペチュニジン(Petunidin)の配糖体、6-ヒドロキシーシアニジン(6-Hydroxy-Cyanidin)の配糖体、6-ヒドロキシーデルフィニジン(6-Hydroxy-Delphinidin)の配糖体、プチェリジン(Puchellidin)の配糖体などを含む植物が上げられる。前記アントシアニン系色素としては好適には、3位に結合している糖が一つだけのアントシアニン(シアニジンモノグリコシド等)を除く、アントシアニングリコシドあるいはアントシアニンアシルグリコシドを挙げることができる。また、アントシアニジンA環の3位の位置に糖または有機酸が2個以上結合したアントシアニン(なお、5位の位置も糖が結合していても良い)系色素を含む植物も本発明の対象として好適である。
【0018】
なお、本願発明により、花の色をより青みをますことができるか否かは、後述する、花の色を青色化出来る植物のスクリーニング方法によりテストを行って、青色化する品種であれば、本発明の方法により青色化可能である。更に、本発明のスクリーニング方法及び製造法は、上記花卉類ばかりでなく、アントシアニン系色素を含む観賞用の葉物類にも適用可能である。
【0019】
4.[対象植物:アントシアニン系色素を含有するか否かのスクリーニング方法]
本発明の対象となるアントシアニン系色素を含有する植物か否かのスクリーニング方法は、通常、以下のようにして行われる。
【0020】
対象とする植物の花弁切片を0.1mM以上、好ましくは0.5~10mM程度の水溶性モリブデン酸塩類水溶液、好ましくはモリブデン酸アンモニウム水溶液に接触させ、一定時間放置後、花弁切片が青色化するか否かを目視により観察する。青色化すれば、その品種は本発明の製造法が適用可能であると言うことができる。
【0021】
花弁切片を水溶性モリブデン酸塩類水溶液と接触させる方法としては、通常、水溶性モリブデン酸塩類水溶液を例えばシャーレ等の平たく口の広い容器に入れ、これに花弁切片を浮かべるか或いは浸すことにより行われる。
【0022】
放置時間は、花弁の厚さや硬さ等により水溶性モリブデン酸塩類水溶液が花弁に充分浸透するまでに要する時間が異なるので、通常1日以上、好ましくは1~3日間位放置する。
【0023】
この方法により、これまでトルコキキョウ(ユーストマ)、チューリップ(品種:パープルフラッグ)、ユリ、アスター、キク、アルストロメリア、フリージア、ハボタン、ラン、ナデシコ、リコリス、及びニチニチソウに関し青色化が可能なことを確認済みである。
【0024】
5.[モリブデン化合物などの金属化合物の使用方法]
以下、モリブデン化合物について詳述するが、他の上記金属化合物も同様にして使用することができる。本発明は植物に含まれる赤紫系の色素、アントシアニンと結合して青色を発色する金属イオン、好適にはモリブデンイオンに注目し、花卉類の収穫前にモリブデン含有化合物を含有する溶液を葉面に散布または塗布など適宜の手段で与えることにより、植物の根をいためることなくアントシアニン色素を含む花卉類の青色化を行い、新しい花色を作り出すことにより園芸産業分野に貢献するものである。
【0025】
モリブデンイオンは、一定濃度以上で効果がある。薬害が起こらなければ、与えすぎの問題はそれほどないが、あまり多すぎると植物の組織が破壊されるので好ましくない。また、5mMと10mMのモリブデンイオンを花弁に吸収させた場合、両処理区で色相角度の差が少なく、10mM以上では青色化効果はほぼ頭打ちになると思われる。そこで、本発明で用いられるモリブデン化合物の使用量は、モリブデン濃度として、通常0.1~20mM、好ましくは0.5~5mMの範囲とすることができる。モリブデン化合物は比較的安価であり、施用方法も、例えば、これを上記の規定の水溶液にして散布するだけですむため簡便に作製、利用できる。
【0026】
モリブデン化合物の施用(散布)時期は、予想開花前2週間以内であることが望ましく、予想開花前2週間~1週間の間に散布するのがより好ましい。
【0027】
更に本発明はモリブデン化合物に加えて農薬散布に通常使用される展着剤をあわせて使用することもできる。展着剤としては、葉がぬれにくい花卉類への散布に用いられているものであればいずれも使用可能である。
【0028】
具体的には、花卉栽培において、開花前2週間から1週間にモリブデン酸アンモニウム等のモリブデン化合物をモリブデン濃度として上記した如き濃度、例えば5mM程度の濃度になるように水に加えて調製した溶液を対象植物に、好適には葉面に散布する。散布回数としては、1~10回散布することができる。散布頻度は、適宜の日数間隔例えば1から7日に1度の頻度、好適には3日に1度の頻度で散布できる。散布は、対象植物全体に散布してもよいが、葉面を中心に散布することがこのましい。
【0029】
栽培期間後期に青色化に必要な最少期間のみモリブデンイオンを吸収させることにより薬害を出さずに、花弁にモリブデンを蓄積させることができる。添加時期は上記した如く開花前2週間から1週間ほどである。この間に葉からモリブデンイオンが吸収され、花弁に移行し、花弁中のアントシアニン色素と結合して青く発色する。花の収穫前に花弁の青色化が終了するので、生花店において入荷後すでに販売することができ、また、通常の切り花に比べて棚持ちの程度も遜色がない。
【0030】
本発明のモリブデン処理方法は、開花直前まで健全な発育をした園芸作物の葉に行うものであって、植物の生育に害を与えることが少ない。
【0031】
本発明で使用するモリブデン化合物を溶解した液は無色であり、植物に吸収させた場合、アントシアニン色素のない部位は着色しない。アントシアニン色素の存在する部分にのみモリブデンが反応するため、花弁等のアントシアニン色素が存在する部分のみが青く変化することになる。さらに、青色化はアントシアニン色素の濃淡に依存するため、アントシアニン色素の濃い部分は濃く、薄い部分は薄く青色化し、自然に近い感覚の発色が得られる。これは人工的に色素液で着色される花に比べ、鑑賞的な品質において大きく優れている。
【0032】
なお、モリブデン化合物又はタングステン化合物などの金属化合物の水溶液が葉面塗布後地面に落ちないように、水不透性シートで地面をカバーするなど、金属化合物水溶液が地面に吸収されないようにすることができる。
【0033】
6.[青色化の確認]
本発明の方法又は上記アントシアニン系色素を含有するか否かのスクリーニング方法において、花が青色か、又はより青くなったか否かは、目視でも確認できるが、通常用いられる色彩系を用いて、色相、明度、彩度を測定することによることもできる。
【実施例】
【0034】
開花15日前のアネモネ(品種:ポルトブルー)1株あたり、噴霧器を用いてモリブデン酸アンモニウム10mMを1mL散布し、その後3日ごとに1mLを5回散布した(以下Mo処理という)。開花後、花弁を採取し、花弁中央部を分光測色計(MINOLTA CM-2000)により明度、彩度、色相角度を測定し、無処理のものと比較した。
【0035】
結果は以下の表1の通りである。明度は花の明るさを示し、Mo処理をすることによりごくわずかであるが、明るい色となった。彩度は色の鮮やかさを示すが、無処理とMo処理でほとんど変化がなかった。これは、Mo処理により、鮮やかさが低下せず、障害等が出なかったことを示す。色相角度は0度が赤、-90度が青を表し、色相角度がマイナス方向ヘシフトすることにより、赤から、紫、青方向へ色が変化する。色相角度は5回のMo処理で6度程度青色方向にシフトし、Mo処理により花弁の青みが増す結果となった。
【0036】
【表1】
JP0004967115B2_000003t.gif

【0037】
また、モリブデン酸アンモニウム溶液散布による組織別のMo量を表2に示す。Mo量の測定については、乾燥させた植物組織を湿式灰化させ、ICP発光分析装置で測定した。葉面散布によりモリブデンが葉から吸収され、花弁に移行していることが分かった。
【0038】
【表2】
JP0004967115B2_000004t.gif

【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明は、花卉栽培の分野で利用することができる。また、本願発明により、簡便にモリブデン化合物処理をすることができるようになるので、花卉青色化が容易となり、より広範な場面で、モリブンデン化合物処理により花卉類青色化ができるようになる。