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明細書 :光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法及び光学活性ニオブ触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590607号 (P4590607)
公開番号 特開2007-238518 (P2007-238518A)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法及び光学活性ニオブ触媒
国際特許分類 C07C 209/60        (2006.01)
C07C 209/62        (2006.01)
C07C 211/48        (2006.01)
C07C 217/84        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
FI C07C 209/60
C07C 209/62
C07C 211/48
C07C 217/84
B01J 31/22 Z
C07B 61/00 300
C07B 53/00 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2006-064310 (P2006-064310)
出願日 平成18年3月9日(2006.3.9)
審査請求日 平成19年6月14日(2007.6.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】ソルター マシュー メリック
【氏名】ルカリーニ シモーネ
個別代理人の代理人 【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】藤原 浩子
参考文献・文献 国際公開第2005/084803(WO,A1)
特表平11-502198(JP,A)
特表2005-538838(JP,A)
Synthetic Communications,2003年,Vol.33,No.4,p.547-554,表紙
Journal of Organic Chemistry,1999年,Vol.64,p.2537-2539,表紙
調査した分野 C07C 209/00-209/90
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ニオブ化合物と、式
【化1】
JP0004590607B2_000011t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1~3のパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコシキシを示し、Rが結合しているベンゼン環は更に置換基R(Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を示す)を有していても良く、mは0~2のいずれかの整数を示す)で表される光学活性なテトラオール又はその対称体とを有機溶媒中で混合させて得られる反応系中で、式
【化2】
JP0004590607B2_000012t.gif
(R及びRは置換基を有していても良い炭化水素基を示し、RとRは結合して環を形成していてもよく、R=Rであり、Rは置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるアジリジン化合物と、芳香族アミンとを反応させることを特徴とする、光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記ニオブ化合物と、前記光学活性なテトラオール又はその対称体とを前記有機溶媒中でゼオライトを共存させて混合させて前記反応系を得、この反応系から前記ゼオライトを除去した後、前記アジリジン化合物と前記芳香族アミンとを反応させることを特徴とする、請求項1に記載の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記ニオブ化合物がニオブ(V)アルコキシドである請求項1又は2に記載の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記アジリジン化合物として、前記式(II)の化合物に代えて、式
【化3】
JP0004590607B2_000013t.gif
(nは1~3のいずれかの整数を示し、Rは置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるアジリジン化合物を用いる請求項1~3のいずれかに記載の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記光学活性なテトラオールとして、式(I)中のRとRが水素原子であり、Rはイソプロピル基であり、mは1である光学活性なテトラオールを用いる、請求項1~のいずれかに記載の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記ニオブ化合物として、ニオブ(V)メトキシド又はニオブ(V)エトキシドを用いる、請求項1~5のいずれかに記載の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法。
【請求項7】

【化1】
JP0004590607B2_000014t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1~3のパーフルオロアルキル基を示し、Rはイソプロピル基を示し、Rが結合しているベンゼン環は更に置換基R(Rは水素原子を示す)を有していても良く、mは1を示す)で表される光学活性なテトラオール又はその対称体と、ニオブ化合物としてニオブ(V)メトキシド又はニオブ(V)エトキシドとを含み、請求項1ないしのいずれかに記載の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法に用いることを特徴とする光学活性ニオブ触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、アジリジン化合物の芳香族アミンによる不斉開環反応を用いた光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシドは酸素原子を有するヘテロ三員環であり、ひずみが高いため求核剤と容易に反応して開環反応が起こる。エポキシドの開環反応は、比較的弱いLewis酸でも進行し、近年、さまざまな金属(Ga, Zr, Sm, Yb, Pr, Gd, Nd, Sn, Ni, Mn, Cr, Co, Cu, Tiなど)とキラル配位子の組み合わせを用いたエポキシ不斉開環反応が検討されている。本発明者らは、キラルビピリジンを不斉配位子としたスカンジウム触媒を用いて、水溶液中で芳香族アミンを求核剤としたメゾエポキシドの不斉開環反応を報告している(非特許文献1)。
また、エポキシドの酸素原子を窒素原子に置き換えた構造を有するアジリジン化合物も、ルイス酸触媒存在下、芳香族アミンにより開環反応を起こし1,2-ジアミン誘導体を与えることが知られている(非特許文献2、3)。光学活性1,2-ジアミン化合物は不斉反応の光学活性配位子などの用途として、その触媒的大量合成方法の開発が望まれているが、効率的なアジリジン化合物の芳香族アミンによる不斉開環反応はほとんど例がない。
一方、有機合成における高機能触媒としてニオブを用いた例として、本発明者らは以前に、光学活性な多価アルコールを配位子とした新規光学活性ニオブ錯体、およびそれを用いた触媒的不斉Mannich型反応の開発に成功している(非特許文献4)。又、本発明者らは、ニオブとテトラオールとからなる不斉反応用触媒を求核付加に用いる技術について報告している(特許文献1)。
【0003】

【非特許文献1】Azoulay, S.; Manabe, K.; Kobayashi, S. Org.Lett. 7, 4593-4595 (2005).
【非特許文献2】Sekar, G.; Singh, V. K. J. Org. Chem. 64, 2537-2539 (1999).
【非特許文献3】Swamy, N. R.; Venkateswarlu, Y. Synth. Commun. 33, 547-554 (2003).
【非特許文献4】Kobayashi, S.; Arai, K.; Shimizu, H.; Ihori, Y.; Ishitani, H.; Yamashita, Y. Angew. Chem. Int. Ed. 44, 761 (2005).
【特許文献1】国際特許公開公報WO2005/84803A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記従来技術を踏まえ、光学活性な多価アルコールを配位子としたニオブ触媒を用いてアジリジン化合物の芳香族アミンによる不斉開環反応を行い、光学活性1,2-ジアミン化合物を高収率かつ、高立体選択的に製造する方法及び光学活性ニオブ触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法は、ニオブ化合物と、式
【化1】
JP0004590607B2_000002t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1~3のパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコシキシを示し、Rが結合しているベンゼン環は更に置換基R(Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を示す)を有していても良く、mは0~2のいずれかの整数を示す)で表される光学活性なテトラオール又はその対称体とを有機溶媒中で混合させて得られる反応系中で、式
【化2】
JP0004590607B2_000003t.gif
(R及びRは置換基を有していても良い炭化水素基を示し、RとRは結合して環を形成していてもよく、R=Rであり、Rは置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるアジリジン化合物と、芳香族アミンとを反応させることを特徴とする。
【0006】
前記ニオブ化合物がニオブ(V)アルコキシドであることが好ましい。
【0007】
前記アジリジン化合物として、前記式(II)の化合物に代えて、式
【化3】
JP0004590607B2_000004t.gif
(nは1~3のいずれかの整数を示し、Rは置換基を有していてもよりアリール基を示す)で表されるアジリジン化合物を用いることが好ましい。
【0008】
前記ニオブ化合物と、前記光学活性なテトラオール又はその対称体とを前記有機溶媒中でゼオライトを共存させて混合させて前記反応系を得、この反応系から前記ゼオライトを除去した後、前記アジリジン化合物と前記芳香族アミンとを反応させることが好ましい。
前記光学活性なテトラオールとして、式(I)中のRとRが水素原子であり、Rはイソプロピル基であり、mは1である光学活性なテトラオールを用いることが好ましい
前記光学活性なテトラオールとして、式(I)中のRとRが水素原子であり、Rはイソプロピル基であり、mは1である光学活性なテトラオールを用いることが好ましい。
前記ニオブ化合物として、ニオブ(V)メトキシド又はニオブ(V)エトキシドを用いることが好ましい。
【0009】
本発明の光学活性ニオブ触媒は、式
【化1】
JP0004590607B2_000005t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1~3のパーフルオロアルキル基を示し、Rはイソプロピル基を示し、Rが結合しているベンゼン環は更に置換基R(Rは水素原子を示す)を有していても良く、mは1を示す)で表される光学活性なテトラオール又はその対称体と、ニオブ化合物としてニオブ(V)メトキシド又はニオブ(V)エトキシドとを含み、前記光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法に用いることを特徴とする。
【0010】
前記光学活性なテトラオールとして、式(I)中のRとRが水素原子であり、Rはイソプロピル基であり、mは1である光学活性なテトラオールを用いることが好ましい。
前記ニオブ化合物として、ニオブ(V)メトキシド又はニオブ(V)エトキシドを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、上記従来技術を踏まえ、光学活性な多価アルコールを配位子としたニオブ触媒を用いて、光学活性1,2-ジアミン化合物を高収率かつ、高立体選択的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の光学活性1,2-ジアミン化合物の製造方法は、ニオブ化合物と、以下の式Iで表されるテトラオールとを有機溶媒中で混合させて得られる反応系中で、式IIで表されるアジリジン化合物と、芳香族アミンとを反応させる。
【0013】
<ニオブ化合物>
本発明で用いる5価のニオブ化合物としては、特に制限されないが、例えばNbX(式中、Xはアルコキシドまたはハロゲン原子を表す)で表されるものが挙げられる。このうち、取扱いの容易なことから、Nbアルコキシド(特にNbメトキシド又はNbエトキシド)が好ましい。
【0014】
<ビナフトール構造を含むテトラオール>
本発明で用いられるビナフトール構造を有するテトラオールは、(R)-体または(S)-体の光学活性ビナフトール骨格を含む。このものを上記ニオブ化合物と混合することにより、中心金属であるニオブ原子に光学活性テトラオールが酸素原子を介して結合した構造を有する不斉触媒が形成される。ここで、ビナフトール環とフェノールとの距離およびフェノール上の置換基を微調整することにで、様々な求核付加反応に対する最適な触媒構造を構築できる。
【0015】
前記テトラオールとしては、式I
【化1】
JP0004590607B2_000006t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1~3のパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコシキシを示し、Rが結合しているベンゼン環は更に置換基R(Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を示す)を有していても良く、mは0~2のいずれかの整数を示す)で表される光学活性なテトラオール又はその対称体を用いることができる。Rとしては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソプロピルオキシ基、tert-ブチル基、tert-ブトキシ基、シクロプロピル基等が挙げられ、Rとしては例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、メトキシ基等が挙げられる。
特に、RとRが水素原子であり、Rはイソプロピル基であり、mは1であるテトラオールを用いることが好ましい。
【0016】
前記テトラオールとしては、具体的には、例えばRとRが水素原子であり、Rはイソプロピル基の化合物を挙げることができる。
ナフタレン環上の置換基の役割は主に電子的な効果と考えられるが、単に配位のし易さに対する影響だけではない。
【0017】
<触媒の調製>
上記ニオブ化合物とテトラオールとの混合割合は、(ニオブ化合物)/(テトラオール)の値モル比で1/1~1/2が好ましく、1/1~1/1.3がより好ましい。
上記ニオブ化合物とテトラオールとの混合方法は特に限定されないが、通常、有機溶媒中で上記各成分を混合し、適宜攪拌すればよい。有機溶媒としては、炭化水素やハロゲン化炭化水素などを好適に用いることができ、特に、塩化メチレン、トルエン、又はそれらの混合溶媒が好適である。混合温度に特に制約はないが、室温付近で混合するのが簡便であり、その後、室温からトルエンの沸点の間の温度(好ましくは60℃付近)で熟成するのが好適である。触媒の熟成時間は、通常30分から24時間、好ましくは1~3時間の範囲である。
【0018】
<その他の成分>
上記ニオブ化合物とテトラオールからなる不斉触媒系に、さらに含窒素化合物を含有させると、触媒特性が良好となる。含窒素化合物としては、ピリジン類(例えばピリジン、2,6-Lutidine, 2,4,6-Collidine等)、キノリン類(例えば、キノリン、イソキノリン)、iPr2NEt,又はイミダゾール類(例えばN-メチルイミダゾール)が好ましい。これらの含窒素化合物の含有量は、上記ニオブ化合物と等モル程度とするのが好ましい。これらの含窒素化合物を反応系に加えるタイミングに特に制約はないが、通常、ニオブ化合物を添加する前にテトラオールと混合しておくか、テトラオールとニオブ化合物を混合してから求核剤を加えるまでの間に含窒素化合物を添加するのが好ましい。
又、上記ニオブ化合物とテトラオールからなる不斉触媒系に、さらにモレキュラーシーブ(Molecular Sieves)などの合成結晶性ゼオライトを添加すると触媒特性が向上する。通常、モレキュラーシーブとしては3Aまたは4Aが好適である。
【0019】
<アジリジン化合物>
反応基質となるアジリジン化合物は、式
【化2】
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(R及びRは置換基を有していても良い炭化水素基を示し、RとRは結合して環を形成していてもよく、R=Rであり、Rは置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表される。R及びRとして、例えばメチル基、エチル基、フェニル基等を挙げられるが、特にRとRとで環を形成しているものが特に好ましい。
【0020】
前記アジリジン化合物として、前記式(II)の化合物に代えて、式
【化3】
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(nは1~3のいずれかの整数を示し、Rは置換基を有していてもよりアリール基を示す)で表されるアジリジン化合物を用いることができる。式IIIの化合物は、式IIの化合物のRとRが結合して環を形成した場合に相当する。Rとしては、例えばフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-フェノキシフェニル基、2,4-時メトキシフェニル基、4-フルオロフェニル基等が挙げられる。
【0021】
<芳香族アミン>
芳香族アミンは、上記触媒の存在下でアジリジン化合物の不斉開環反応を行う求核剤として作用する。芳香族アミン化合物にアルキル基やアルコキシ基などの電子供与性基が結合していることが好ましい。芳香族アミンとしては、例えばアニリン、o-アニシジン、p-アニシジン等を好適に使用できる。
【0022】
反応液中のアジリジン化合物/芳香族アミンのモル比は好ましくは0.8~2.0より好ましくは1.0~1.5程度である。また触媒は、反応系のモル%として1~20モル%、より好ましくは2~10モル%使用する。
反応温度は0~50℃、より好適には10~30℃の範囲である。
反応時間は、適宜定めてもよく、例えば、24~72時間である。
【0023】
この反応により、光学活性1,2-ジアミン化合物が生成する。光学活性1,2-ジアミン化合物は不斉反応の光学活性配位子などの用途となる。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0024】
以下のようにして本発明に係る光学活性1,2-ジアミン化合物を生成するための反応を行った。なお、実験で用いた有機溶媒はすべて適切な乾燥剤から蒸留し、モレキュラーシーブス共存下で保存していたものを用い、反応試薬は常法に基づき精製を行った。以下のニオブアルコキシドと式Iの不斉配位子(L)はグローブボックス中で保存し、秤量を行った。また、反応容器は減圧条件下で充分に加温し乾燥したのちにアルゴンで置換したものを用いた。
まず、アルゴンの雰囲気下で反応容器に式Iの不斉配位子(L, 0.076 mmol;式IでR1= R3=H, R2はイソピロピル基,m=1)を加え、これに室温でNb(OMe)5 (0.070 mmol)のトルエン溶液(2 ml)を加えた。反応溶液を60℃に加温し、3時間攪拌した後室温に冷ました。得られた黄色溶液をガスタイトシリンジを用いて、モレキュラーシーブス3A(200 mg)が入っている別の二径フラスコに加えた。その後、混合物を室温で30分攪拌し、puradisc 25TF (Whatman)フィルター装置付きのガスタイトシリンジで上記混合物である触媒溶液(0.5 mL, 0.017 mmol, 5 mol%)を濾過し、別の二径フラスコに移した。これにアジリジン1(7-フェニル-7-アザ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタン) (0.347 mmol)のトルエン溶液(0.60 mL)と、アニリン (0.416 mmol)のトルエン溶液(0.60 mL)とを順次加え、反応混合物を室温で60時間攪拌した。その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の添加によって反応を止めた。水層を塩化メチレンで抽出して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、濾過と減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル,9:1)によって精製し,目的物3(収率91%、62%ee)を得た。
反応式を式IVに示す。なお、具体的には目的物は式Vの記号3aで表される。
(1S,2S)-N,N'-diphenylcyclohexane-1,2-diamine (3a):
1H NMR (CDCl3): δ 1.22-1.26 (m, 2H), 1.40-1.47 (m, 2H), 1.78-1.82 (m, 2H), 2.35-2.39 (m, 2H), 3.20-3.24 (m, 2H), 3.82 (bs, 2H), 6.62-6.65 (m, 4H), 6.71-6.75 (m, 2H), 7.17-7.25 (m, 4H). 13C NMR (CDCl3): δ 24.7, 32.7, 57.4, 113.6, 117.7, 129.4, 147.8. IR (KBr) 3383, 3051, 2855, 1600, 1497, 1315, 719, 693 cm-1. HPLC: Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate =1.0 ml/min: tR=34.8 min (1R,2R), tR=41.0 min (1S,2S). HRMS (ESI): Calcd for C18H22N2 (M+1)+ 267.1817, found 267.1838. [α]D28 = -61.9° (c = 0.94, benzene). Absolute configuration of (1S,2S)-3a was determined by comparison of αD already known in literature ([α]D28 = -64.1° (c = 0.95, benzene)).
【化4】
JP0004590607B2_000009t.gif
【化5】
JP0004590607B2_000010t.gif



【実施例2】
【0025】
アジリジン化合物として7-(2-メトキシフェニル)-7-アザ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタンを用いたことの他は実施例1と同様の反応を実施したところ、式Vの化合物3bを収率89%、74%eeで得た。
(1S,2S)-N-(2-methoxyphenyl)-N'-phenylcyclohexane-1,2-diamine (3b):
1H NMR (CDCl3): δ 1.21-1.28 (m, 2H), 1.40-1.47 (m, 2H), 1.77-1.81 (m, 2H), 2.31-2.41 (m, 2H), 3.25-3.29 (m, 2H), 3.77 (s, 3H), 4.25 (bs, 2H), 6.63-6.78 (m, 6H), 6.87-6.92 (m, 1H), 7.17-7.22 (m, 2H). 13C NMR (CDCl3): ? 24.6, 24.8, 32.4, 32.5, 55.4, 56.8, 57.2, 109.8, 110.3, 113.7, 116.7, 117.4, 121.2, 129.3, 137.6, 147.4, 148.0. IR (KBr) 3390, 3051, 2900, 2855, 1591, 1497, 1315, 719, 692 cm-1. HPLC: Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 100/1, flow rate =1.0 ml/min: tR=15.5 min (1R,2R), tR=19.9 min (1S,2S). HRMS (ESI): Calcd for C18H22N2 (M+1)+ 297.1889, found 297.1898.
【実施例3】
【0026】
アジリジン化合物として7-(4-メトキシフェニル)-7-アザ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタンを用いたことの他は実施例1と同様の反応を実施したところ、式Vの化合物化合物3cを収率93%、70%eeで得た。
(1S,2S)-N-(4-methoxyphenyl)-N'-phenylcyclohexane-1,2-diamine (3c):
1H NMR (CDCl3): δ1.18-1.26 (m, 2H), 1.38-1.44 (m, 2H), 1.75-1.80 (m, 2H), 2.30-2.37 (m, 2H), 3.07-3.13 (m, 1H), 3.16-3.22 (m, 1H), 3.70 (bs, 2H), 3.76 (s, 3H), 6.59-6.65 (m, 4H), 6.71-6.74 (m, 1H), 6.77-6.81 (m, 2H), 7.17-7.21 (m, 2H). 13C NMR (CDCl3): δ24.8, 32.7, 55.9, 57.5, 58.5, 113.7, 115.1, 115.4, 117.7, 129.4, 141.9, 147.9, 152.5. IR (KBr) 3383, 3051, 2921, 1603, 1497, 1323, 719 cm-1. HPLC: Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 19/1, flow rate =1.0 ml/min: tR=14.7 min (1R,2R), tR=20.9 min (1S,2S). HRMS (ESI): Calcd for C18H22N2 (M+1)+ 297.1889, found 297.1905.
【実施例4】
【0027】
アジリジン化合物として7-(3-メトキシフェニル)-7-アザ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタンを用い、反応時間を98時間としたことの他は実施例1と同様の反応を実施したところ、式Vの化合物3dを収率93%、56%eeで得た。
(1S,2S)-N-(3-methoxyphenyl)-N'-phenylcyclohexane-1,2-diamine (3d):
1H NMR (CDCl3): δ1.19-1.24 (m, 2H), 1.39-1.44 (m, 2H), 1.76-1.79 (m, 2H), 2.34-2.37 (m, 2H), 3.18-3.21 (m, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.85 (bs, 2H), 6.18-6.19 (m, 1H), 6.23-6.31 (m, 2H), 6.62-6.64 (m, 2H), 6.70-6.74 (m, 1H), 7.07-7.11 (m, 1H), 7.16-7.20 (m, 2H). 13C NMR (CDCl3): δ 24.7, 32.7, 55.2, 57.3, 57.4, 99.6, 102.7, 106.7, 113.6, 117.7, 129.5, 130.2, 147.8, 149.2, 161.0. IR (KBr) 3383, 3051, 2945, 2855, 1589, 1497, 1315, 663 cm-1. HPLC: Daicel Chiralcel OD, hexane/iPrOH = 4/1, flow rate =1.0 ml/min: tR=17.5 min (1R,2R), tR=24.0 min (1S,2S). HRMS (ESI): Calcd for C18H22N2 (M+1)+ 297.1889, found 297.1985.
【実施例5】
【0028】
アジリジン化合物として7-(2,4-ジメトキシフェニル)-7-アザ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタンを用いたことの他は実施例1と同様の反応を実施したところ、式Vの化合物3eを収率92%、69%eeで得た。
(1S,2S)-N-(2,4-dimethoxyphenyl)-N'-phenylcyclohexane-1,2-diamine (3e):
1H NMR (CDCl3): δ 1.20-1.29 (m, 2H), 1.39-1.45 (m, 2H), 1.75-1.78 (m, 2H), 2.27-2.39 (m, 2H), 3.13-3.18 (m, 1H), 3.22-3.27 (m, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 4.05 (bs, 2H), 6.41-6.46 (m, 2H), 6.61-6.65 (m, 3H), 6.69-6.73 (m, 1H), 7.16-7.20 (m, 2H). 13C NMR (CDCl3): δ 24.6, 24.8, 32.4, 32.5, 55.5, 55.9, 57.3, 57.8, 99.4, 103.9, 111.5, 113.8, 117.5, 129.3, 131.7, 148.1, 148.8, 152.3. IR (KBr) 3383, 3051, 2946, 2929, 2855, 1588, 1497, 1315, 719, 691 cm-1. HPLC: Daicel Chiralcel OD-H, hexane/iPrOH = 30/1, flow rate =1.0 ml/min: tR=11.9 min (1R,2R), tR=22.0 min (1S,2S). HRMS (ESI): Calcd for C18H22N2 (M+1)+ 327.1994, found 327.1999.