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明細書 :電動車両の制御装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4686774号 (P4686774)
公開番号 特開2007-135276 (P2007-135276A)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
発行日 平成23年5月25日(2011.5.25)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
発明の名称または考案の名称 電動車両の制御装置
国際特許分類 B60L  15/20        (2006.01)
FI B60L 15/20 J
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2005-324003 (P2005-324003)
出願日 平成17年11月8日(2005.11.8)
審査請求日 平成20年11月7日(2008.11.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】加藤 利次
【氏名】井上 馨
個別代理人の代理人 【識別番号】100137486、【弁理士】、【氏名又は名称】大西 雅直
審査官 【審査官】竹下 晋司
参考文献・文献 特開2004-254375(JP,A)
調査した分野 B60L 1/00 - 15/42
特許請求の範囲 【請求項1】
駆動輪と路面の間のスリップ率を表現するスリップ状態量を取得する取得手段と、スリップ率の上昇につれてトルク指令値を減じる項を少なくとも一部に含む関数からなる制御則を予め定め、この制御則に基づき前記取得手段で取得したスリップ状態量を用いてドライバーから入力されるトルク指令値に変換を加え、スリップ率と仮想摩擦係数との平衡点の関係を表す定スリップ率曲線の傾きを変換前に比べて急峻にすることで,任意のトルク指令値に対して当該定スリップ率曲線を路面摩擦関数と常に1つの交点で交叉する形に変形する指令値変換手段と、この指令値変換手段で変形された定スリップ率曲線上の前記1つの交点における前記スリップ率に対応するトルク入力値に基づき電動モータの駆動を行う駆動手段とを具備しことを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項2】
駆動輪と路面の間のスリップ率を表現するスリップ状態量を取得する取得手段と、あらゆるトルク指令値に対してスリップ率の上限を規定する項を少なくとも関数の一部に含む関数からなる制御則を予め定めこの制御則に基づき前記取得手段で取得したスリップ状態量を用いてドライバーから入力されるトルク指令値に変換を加え、スリップ率と仮想摩擦係数との平衡点の関係を表す定スリップ率曲線の傾きを変換前に比べて急峻にすることで,任意のトルク指令値に対して定スリップ率曲線を路面摩擦関数と常に1つの交点で交叉する形に変形する指令値変換手段と、この指令値変換手段で変形された定スリップ率曲線上の前記1つの交点における前記スリップ率に対応するトルク入力値に基づき電動モータの駆動を行う駆動手段とを具備しことを特徴とする電動車両の制御装置。
【請求項3】
スリップ状態量としてスリップ率を直接取り扱うようにしている請求項1又は2記載の電動車両の制御装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクションコントロールやブレーキ制御等に好適に利用される電動車両の制御装置に関する。なお、本明細書において電動車両とは、電気自動車、電車、ハイブリッド車、電動バイク、アシスト式自転車、燃料電池車など、駆動のための電動モータを内蔵している車両全般を称する。
【背景技術】
【0002】
路面の状況に対してトルクの掛け方次第によっては、加速・減速時に大きなスリップ現象が生じ易くなり、車両の挙動が不安定になるばかりか、危険な状況に陥り易い。このような状況を改善するには、駆動力を確保しつつスリップ率を抑えることが重要である。
【0003】
特に電動車両の場合は、トルクの応答時定数が非常に小さいため、駆動輪のトルクを自由に制御することができる反面、駆動輪へのトルクのかけ方によっては、駆動輪のスリップ率が大幅に変動する可能性がある。その原因については従来より考察が加えられ、次のようなメカニズムが明らかになっている。
【0004】
例えば、図8(a)、(b)に示す2WDの電気自動車についてみると、タイヤ駆動力Fは、路面摩擦関数μ(λ)と垂直抗力Nを用いて図10(1)式のように表される。ここで、路面摩擦関数μ(λ)は、車両速度V、車輪速度Vωを用いた(2)式で定義されるスリップ率λのみで求まる非線形関数である。路面摩擦関数μ(λ)の曲線形状はタイヤと路面状況により決まる。因みに、車両の解析においては、路面摩擦関数μ(λ)を近似式(3)でモデル化したものが一般に用いられる。図8(c)はその曲線概要を示しており、路面状況によって概ねμ(λ)~μ(λ)の範囲の変動が予想される。
【0005】
ところで、車両の運動方程式は車両重量をMとして図10(4)式で表され、駆動輪の運動方程式は駆動軸の合成慣性モーメントをJ、駆動輪の角速度をω、駆動輪軸の駆動トルクをT、タイヤ半径をrとして(5)式で表される。
【0006】
また、(5)式で表される駆動輪の運動方程式を、(4)式で表される車両の運動方程式の次元に合わせると、駆動輪軸の慣性モーメントの重量換算値をMω、駆動輪軸の駆動トルクTの力換算値をFとし、ω=Vω/rが成り立つとして、(6)式の関係式が得られる。以上の(1)~(5)式に示した関係を用いたモデルの概略が図9に示される。
【0007】
ここで、駆動輪に一定の駆動トルクTを加えたとき、スリップ率λがある値で平衡状態となるようなタイヤ駆動力F、指令トルク力換算値Fとの関係は以下のように考察される。
【0008】
モータの粘性摩擦係数や転がり抵抗が無視できるとすると、図10(2)式の両辺を時間tで微分して(7)式が、この(7)式に(4)式及び(6)式を代入して(8)式がそれぞれ導かれる。そして、スリップ率λの平衡状態を考えているので、(8)式でスリップ率の時間変化dλ/dtを0とすると(9)式が得られ、この(9)式と(1)式及び、F=r・Tとから、(10)式が導出される。
【0009】
モータの発生する駆動トルクTは、トルク入力値Tと一致するように調整される。そこで、Tを固定しλの関数としてみると、摩擦係数は図11のような曲線μ*(T,λ)を描く。この曲線μ*(T,λ)は、トルク入力値Tが大きくなるほど全体として上に移動し、トルク入力値Tを一定にすることで一意に決まる。これはあるスリップ率λにおいて、そのスリップ率λが変化しなくなる(つまり平衡点となる)ような仮想的な摩擦係数(以下、「仮想摩擦係数」とする)を表しており、このようなスリップ率と仮想摩擦係数との平衡点の関係を表したものが定スリップ率曲線と称され、図10(11)式のμ*(T,λ)で示される。そして、この定スリップ率曲線μ*(T,λ)と路面摩擦関数μ(λ)との交点が動作点となる。
【0010】
ここで、トルク入力値Tを大きくしていくと、交点は1点(T<T)→2点(T=T)→3点(T<T<T)→2点(T=T)→1点(T<T)へと変化する。そして、交点が2点→1点に変化するとき(μ(λ)の最大値を超えるとき)に、路面摩擦係数μ(λ)上におけるスリップ率λと摩擦係数μの値が大きくジャンプする現象が生じる。摩擦係数μの変動は駆動力の変動に直結しているため、この現象は駆動力の低下のみならず乗り心地の悪化や車輪の寿命を短くするなどの問題につながる。
【0011】
このような不具合を解消するためには、スリップ率λの大幅な変動を抑制し、なお駆動力を極力損なわないためのトルク制御方法が必要となる。スリップ時にモータに発生する逆起電力を捉えてスリップ率λを制御する手法も考えられているが、これだと制御が後手に回り、スリップ率の大幅な変動を抑止する上では不十分である。
【0012】
そこで、例えば非特許文献1、2等に示されるように、摩擦係数μが路面摩擦関数μ(λ)上のどの位置にあるかを逐次推定し、それが最大値となる付近のスリップ率λを超えないようにスリップ率制御器からトルク指令を出して、実際のトルク指令に反映させモータを駆動制御する手法が提案されている。

【非特許文献1】東京大学工学部堀研究室,「電気自動車の制御に関する研究」(東大三月号の研究),1999年5月
【非特許文献2】電気学会論文誌D分冊120巻4号,「ファジィ推論を用いた電気自動車用トラクションコントロールシステムのための最適スリップ率推定器」,平成12年4月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、刻々変化する摩擦係数μを推定するのは難しく、このように本質的に非線形な特性の物理量を制御する場合、路面変化やノイズなどにより摩擦係数が推定値をはずれたときに上述した問題が発生する可能性が拭えないものであった。また、これを回避するために路面摩擦関数μ(λ)の最大値よりもかなり手前の摩擦係数μ以内に動作点が収まるようにスリップ率制御器からトルク指令を出すように構成することもできるが、これだと駆動力が不十分になるというジレンマがあった。
【0014】
本発明は、このような制御上の問題がこれまでの定スリップ率曲線に準拠する限りついて回ることに着目し、定スリップ率曲線そのものを見直すことによって、上述した課題の抜本的解決を図り、スリップ率の大幅な変動を抑制でき尚かつ最大の駆動力(すなわち、μ(λ)の最大値付近)を発生するトルク制御を可能にする電動車両の制御装置を新たに提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0016】
すなわち、本発明に係る電動車両の制御装置は、図1(a)に示すように、駆動輪と路面の間のスリップ率を表現するスリップ状態量αを取得する取得手段1と、スリップ率の上昇につれてトルク指令値T*を減じる項を少なくとも一部に含む関数からなる制御則f(α)を予め定め、この制御則f(α)に基づき前記取得手段1で取得したスリップ状態量αを用いてドライバーから入力されるトルク指令値T*に変換を加え、スリップ率λと仮想摩擦係数μとの平衡点の関係を表す同図(b)の変換前の定スリップ率曲線μ*(T,λ)の傾きを急峻にすることで,任意のトルク指令値T*に対して当該定スリップ率曲線μ*(T,λ)を路面摩擦関数μ(λ)と常に1つの交点で交叉するような形の定スリップ率曲線μ*(T*,λ)に変形する指令値変換手段2と、この指令値変換手段2で変形された定スリップ率曲線μ*(T*,λ)上の前記1つの交点における前記スリップ率λに対応するトルク入力値Tに基づき電動モータEMの発生する駆動トルクTを調整する駆動手段3とを具備するものである。

【0017】
すなわち、本発明は路面摩擦関数μ(λ)上の摩擦係数μを逐次監視するのではなく、定スリップ率曲線μ*(T,λ)を変形した定スリップ率曲線μ*(T*,λ)と路面摩擦関数μ(λ)との交点(すなわち動作点)が常に1点となるようにフィードバック補償を行なうだけである。
【0018】
このようにすれば、交点が2以上となる場合のように路面摩擦関数μ(λ)が最大値を超えた際にスリップ率が大幅に変動するという現象が起こらないため、安定走行を実現することができ、安全性の向上も図ることができる。しかも、定スリップ率曲線μ*(T*,λ)は、後述のように車両に関する4つの定数と、スリップ率λを用いることで構成でき、実際の路面摩擦関数μ(λ)を推定する必要がないため推定誤差の影響を受けることもなく、制御系も簡素なものとなる。その上、最大のμ(λ)付近を有効に利用できるため、望ましい加・減速性能に必要なトルクの確保とスリップ防止とを有効に両立させることができる。
【0019】
簡易かつ明確な手法としては、制御則f(α)を、スリップ率が上昇するにつれてトルク指令値を減じる項を少なくとも一部に含む関数として規定しておくのが有効であり、スリップ率の絶対的抑制を目的とする場合には、制御則f(α)を、あらゆるトルク指令値に対してスリップ率の上限を規定する項を少なくとも一部に含む関数として規定しておくことが有効となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明した構成であるから、駆動輪のトルク指令値を大きくしてもスリップ率の大幅な変動を抑制でき、しかもスリップ率を最大の駆動力を発生する摩擦係数付近に制御できるため、乗り心地と加減速性能がよい上に、車輪の寿命の長い電動車両を実現することができる。
【0021】
特に、ハイブリッド自動車や電気鉄道等の発展に必要不可欠な高トルクモータを搭載した電動車両に適用した場合には、そのスリップを抑制し最大の駆動力を発生する制御装置として極めて有用なものとなり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
【0023】
本実施形態は、例えば制御対象を2WDの電気自動車とし、駆動輪のスリップを適切に制御するためのもので、図2に示すように、スリップ状態量として駆動輪と路面の間のスリップ率λそのものを取得する取得手段1と、予め定めた制御則f(λ)に基づき前記取得手段1で取得したスリップ率λを用いてドライバーから入力されるトルク指令値T*に変換を加える指令値変換手段2と、この指令値変換手段2で変換された値をトルク入力値Tとして電動モータEMの駆動を行う駆動手段3とを具備する。
【0024】
取得手段1は、駆動輪から検出される車輪速度Vωと、従動輪から検出される車両速度Vとに基づいてスリップ状態量であるスリップ率λを算出する。これらの速度検出は各車軸に設けたロータリエンコーダ等の検出手段によって行なう。
【0025】
指令値変換手段2は、制御則f(λ)として式(a)に示すように、スリップ率λにゲインKを乗じた値をトルク指令値T*から減じる関数を規定する。そして、ドライバーのトルク指令値T*と、前記取得手段1で取得したスリップ率λとを入力し、駆動手段3に入力するトルク入力値Tを算出する。すなわち、スリップ率λが大きくなるにつれてトルク入力値Tを減少方向にシフトする変換をなす。
【0026】
駆動手段3は、トルク入力値Tと一致する駆動トルクTを発生するように電動モータEMを駆動する。
【0027】
このような制御入力を加えることで、既述した(11)式に表される定スリップ率曲線μ*(T,λ)は、図2式(b)並びに図4及び図5に示す定スリップ率曲線μ*(T*,λ)に変形される。したがって、この新たな定スリップ率曲線μ*(T*,λ)と路面摩擦関数μ(λ)との交点が動作点となる。定スリップ率曲線μ*(T*,λ)は、図2式(b)に明らかなように車両に関する4つの定数r、N、M、Mωと、スリップ率λとから構成されている。
【0028】
図4は、制御入力のゲインKをKに固定し、トルク指令値T*を増減させた場合の、定スリップ率曲線μ*(T*,λ)の変化の様子を示している。この定スリップ率曲線μ*(T*,λ)は、トルク指令値T*が大きくなるほど全体として上に移動する。図5はそれよりも小さいゲインKとしたときの定スリップ率曲線μ*(T*,λ)の変化の様子を示している。
【0029】
これらの図を参照すると、K=0では定スリップ率曲線μ*(T,λ)は変形されないが、制御入力のゲインKの値を0→K→Kと大きくすることで、曲線を原点に向かって凹となるように湾曲させ、路面摩擦関数μ(λ)のより左側の領域に定スリップ率曲線μ*(T*,λ)との交点を持つ範囲を制限できることがわかる。また、ゲインKの値を大きくすると、定スリップ率曲線μ*(T*,λ)の傾きが急峻となる。そのため、例えばある一定のトルク指令値T*の下で、K=Kときに路面摩擦関数μ(λ)の編曲点と1点でのみ交わり(図4におけるP点参照)、K<K(例えば図5のK)では最早交点が複数個となることはなくなり、一つの安定な平衡点に落ち着くことになる。つまり、任意のトルク指令値T*に対して定スリップ率曲線μ*(T*,λ)が、路面摩擦関数μ(λ)と常に1点で交叉するように変形される。図5の状態から更にK<Kとなると、定スリップ率曲線μ*(T*,λ)との交点を持つ範囲を最大値よりも更に左側の安定な領域に制限できることがわかる。
【0030】
したがって、トルク指令値T*が大きくなり、図4に示すように路面摩擦関数μ(λ)の最大値よりも右側の、従来であれば不安定な領域で交点を持つことになっても、そのスリップ率λの平衡点が一つならば、その最大値を多少越えた領域においても動作点を安定化させることができることを意味する。さらに、ゲインKを大きくすることで、トルク指令値T*が大きい場合でも、スリップ率λが過大になることはなく、かつ、スリップ率λをある一定の平衡点で安定化させることができる。
【0031】
路面摩擦関数μ(λ)は近似式ではあるものの実際の路面状況と大きくかけ離れた値をとることは考え難く、路面摩擦関数μ(λ)にはピークが1つであるという性質も変わらないため、設計段階において想定される路面摩擦関数μ(λ)に対してある程度余裕のあるゲイン設定をしておけば、後は摩擦係数μを監視することなく成り行きで運転してもあらゆる路面に対応し得るものとなる。
【0032】
よって、路面摩擦関数μ(λ)上の摩擦係数μを推定して制御する場合に比べて、常に定スリップ率曲線μ*(T*,λ)との交点(すなわち動作点)を1点に保って車両に安定走行を行なわせることが可能となる。
(第2実施形態)
【0033】
図3に示す本実施形態の指令値変換手段20は、制御則f(λ)として式(c)に示すように、あらゆるトルク指令値T*に対してスリップ率の上限を規定する項(λlimit-λ)を一部に含む関数を規定する。そして、ドライバーのトルク指令値T*と、前記取得手段1で取得したスリップ率λとを入力し、実際のトルク入力値Tを算出する。
【0034】
このような制御入力を加えることで、既述した(10)式に表される定スリップ率曲線μ*(T,λ)は、図3式(d)並びに図4及び図5に示す定スリップ率曲線μ*(T*,λ)に変形される。したがって、この新たな定スリップ率曲線μ*(T*,λ)と路面摩擦関数μ(λ)との交点が動作点となる。
【0035】
この実施形態の場合も、前記第1実施形態の場合と同様にスリップ率λをある一定の平衡点で安定化させることができる。この制御入力の場合、トルク指令値T*が過大なときでも、設定した際上限のスリップ率λlimit以上になることはないため、スリップ率λの絶対的抑制に有効となる。また、ゲインKの値を調整することで、定スリップ率曲線μ*(T*,λ)の傾きを変化させることができるので、この実施形態も平衡点の数を1つに限定する調整が可能になることがわかる。
【0036】
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0037】
例えば、本発明のような制御則f(α)を定めるにあたり、指数関数や折れ線関数、多項式など、種々の関数を用いることができ、そのゲインや係数も多種多様に設定することができる。要は制御則f(α)は、路面摩擦関数と1点でのみ交叉するように定スリップ率曲線を変形し得る全ての関数を含むものとして定義することができる。
【0038】
また、スリップ状態量αとして上記実施形態ではスリップ率λそのものを取扱うように構成したが、スリップ率λを表現するような変数であれば他のものでもよく、例えば電動モータ内の逆起電力、電流値等を取り扱うようにすれば、一部の演算を省略できる効果等が期待できる。
【0039】
さらに、上記実施形態は加速時のトラクション制御に本発明を適用したが、制動用にも同様に適用することができる。その場合の制御のブロック線図は図7のようになり、取得手段10のスリップ率λの計算式が異なるのみで他は上記と同様となる。
【0040】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の構成説明図。
【図2】本発明の第1実施形態を示すブロック線図。
【図3】本発明の第2実施形態を示すブロック線図。
【図4】第1実施形態においてK=Kとしたときの作用説明図。
【図5】第1実施形態においてK=Kとしたときの作用説明図。
【図6】第2実施形態の作用説明図。
【図7】本発明の変形例を示すブロック線図。
【図8】電動車両の数式モデルを導出するための図。
【図9】電動車両の数式モデルを示すブロック線図。
【図10】数式モデルに関する関係式を示す図。
【図11】従来制御の不具合を説明する図。
【符号の説明】
【0042】
1…取得手段
2…指令値変換手段
3…駆動手段
EM…電動モータ
f(α)…制御則
…タイヤ駆動力
T…トルク入力値
…モータの発生する駆動トルク
*、T*、T*…トルク指令値
α…スリップ状態量
λ…スリップ率
μ(α)、μ(λ)…路面摩擦関数
μ*(T,λ)…定スリップ率曲線(非制御)
μ*(T*,λ)…定スリップ率曲線(制御時)

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10