TOP > 国内特許検索 > 酸化反応用高分子担持金クラスター触媒 > 明細書

明細書 :酸化反応用高分子担持金クラスター触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4792559号 (P4792559)
公開番号 特開2007-237116 (P2007-237116A)
登録日 平成23年8月5日(2011.8.5)
発行日 平成23年10月12日(2011.10.12)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 酸化反応用高分子担持金クラスター触媒
国際特許分類 B01J  31/26        (2006.01)
C07C  45/38        (2006.01)
C07C  45/39        (2006.01)
C07C  49/78        (2006.01)
C07C  49/788       (2006.01)
C07C  49/213       (2006.01)
C07C  47/54        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/26 Z
C07C 45/38
C07C 45/39
C07C 49/78
C07C 49/788
C07C 49/213
C07C 47/54
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 10
全頁数 9
出願番号 特願2006-065982 (P2006-065982)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
審査請求日 平成20年9月9日(2008.9.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】岡田 隆介
参考文献・文献 国際公開第2005/085307(WO,A1)
調査した分野 B01J 21/00-38/74
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成る酸化反応用高分子担持金クラスター触媒であって、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、そのベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る、アルコールと酸素分子とを反応させてカルボニル化合物を製造するための酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項2】
前記スチレン系高分子が、下式(化5)
【化5】
JP0004792559B2_000007t.gif
(式中、l、m及びnは構成モノマーのモル比を表す。)で表される請求項1に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項3】
1価又は3価の金化合物を、架橋性官能基を有する重量平均分子量1万から15万のスチレン系高分子の溶液中で還元剤により還元し、続いて該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることによりナノサイズ金クラスターをスチレン系高分子に担持し、さらに、該ナノサイズ金クラスターを担持したスチレン系高分子を架橋させてなる請求項1又は2に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項4】
前記スチレン系高分子を加熱により架橋させることを特徴とする請求項3に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項5】
前記還元剤が水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物又は水素化ケイ素化合物である請求項3又は4に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項6】
前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウム又はボランである請求項5に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項7】
前記金化合物が、ハロゲン化金又はハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体である請求項3~6に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項8】
前記金化合物が、AuCl(PPh)である請求項7に記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の酸化反応用高分子担持金クラスター触媒の存在下で、アルコールと酸素分子とを反応させることから成るカルボニル化合物の製法。
【請求項10】
炭酸カリウムを共存させて行う請求項9に記載の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、酸化反応用の高分子担持金クラスター触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
金コロイド、金ナノクラスターは生物学、触媒、ナノテクノロジーなど様々な分野に置いて注目され、活発に研究されてきた。
金ナノクラスターを触媒として用いる酸素酸化反応は1989年Hrutaらによって、低温一酸化炭素酸化反応において非常に高活性であると報告された(非特許文献1)
一方、酸素を酸化剤として用いた金属触媒によるアルコールのアルデヒド、ケトン、カルボン酸への酸化反応は、RuやPd触媒等を用いる例が、均一系触媒、固相触媒ともに多数報告されている。近年、金クラスターを触媒として用いる例も多数報告されているが、適用可能な基質が限られていることや、選択性が悪いといった問題点が残っている(非特許文献2)。さらに、ナノサイズ金クラスターは低分子チオール化合物が形成するミセル中などでは比較的安定であるが、触媒反応などに供した場合、容易に凝集するため保存や回収再使用は困難であった。
一方、本願発明者らは、マイクロカプセル化法を用いてスチレン系高分子に遷移金属ナノサイズクラスターを担持することにより、パラジウムや白金に於いて非常に高活性な触媒の製造が出来ることを見出してきた(非特許文献3~4、特許文献1)。
【0003】

【特許文献1】WO2005/085307
【非特許文献1】J. Catal. 1989, 115, 301-309
【非特許文献2】Chem. Rev. 2004, 104, 3037-3058
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc. 127, 2125-2135(2005)
【非特許文献4】Synlett 2005, 813-816.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安定で長期保存や回収再使用が可能な高分子固定化ナノサイズ金クラスター触媒を、アルコールのカルボニル化合物への酸素酸化反応等の酸化反応に利用する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成る酸化反応用高分子担持金クラスター触媒であって、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、そのベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る、アルコールと酸素分子とを反応させてカルボニル化合物を製造するための酸化反応用高分子担持金クラスター触媒である。
また、この触媒は、1価又は3価の金化合物を、架橋性官能基を有する重量平均分子量1万から15万のスチレン系高分子の溶液中で還元剤により還元し、続いて該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることによりナノサイズ金クラスターをスチレン系高分子に担持し、さらに、該ナノサイズ金クラスターを担持したスチレン系高分子を架橋させることにより製造することができる。

【発明の効果】
【0006】
本発明により、酸化剤として気体酸素又は空気を使用し、室温付近という温和な条件下でアルコールをカルボニル化合物に酸化するための、回収再使用が容易な高分子固定化金触媒を提供できた。本固定化金触媒を用いたアルコールの酸化では、カルボン酸などへの過剰酸化を起こしにくく、カルボニル化合物への選択的な酸化反応が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のクラスター組成物は、金のナノサイズクラスターが、スチレン系高分子との相互作用によりポリマーに微小クラスターとして担持された形態を有する。
金をスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば上記したごとき構造を有する高分子と金前駆体とを、a)適当な極性の良溶媒に溶解し還元剤と混合た後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、b)適当な非極性又は低極性の良溶媒に溶解し還元剤と混合した後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、ことにより行われる。
金クラスターはスチレン系高分子の芳香環との相互作用により担持されている。
【0008】
尚、極性の良溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などがあり、非極性又は低極性の良溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。金クラスターを架橋性ポリマーに担持する際の、ポリマーの濃度は用いる溶媒やポリマーの分子量によっても異なるが、約5.0~200 mg/mL、好ましくは10~100 mg/mlである。1価又は3価の金化合物は、ポリマー1gに対して、0.01~0.5 mmol、好ましくは0.03~0.2 mmol使用する。還元剤は、還元に必要な量の1~10当量使用するが、例えば1価の金化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合の水素化ホウ素ナトリウムは、金化合物の0.5~5倍モルが好適である。還元に必要な温度および時間は金化合物や還元剤の種類によるが、通常は0℃~50℃の間、好ましくは室温で、1~24時間で行われる。相分離する際の貧溶媒は、良溶媒に対して1~10(v/v)倍量、好ましくは2~5倍量使用し、0.5~5時間程度で滴下する。
【0009】
金前駆体としては、1価又は3価の金化合物を用いる。このような金化合物として、ハロゲン化金、ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体が挙げられる。ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体として、AuCl(PPh)が挙げられる。
【0010】
このような金化合物を還元剤を用いて還元することにより、ナノサイズの金クラスターがスチレン形高分子に担持される。このような還元剤として、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物又は水素化ケイ素化合物、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム又はボランを用いることができる。
【0011】
本発明のスチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとした高分子であり、そのベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有する。
この架橋性官能基を有する親水性側鎖は、親水性を有する架橋性官能基のみから成るものであっても、親水性側鎖の主鎖に架橋性官能基が付いたものでもよい。
架橋性官能基の一方は、エポキシ基である。これは適当な基で保護されていてもよい。
もう一方の架橋性官能基は水酸基である。
親水性側鎖の主鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1~6程度のアルキレン基であってもよいが、-R(OR-、-R(COOR-、又は-R(COOR(OR-(式中、Rは共有結合又は炭素数1~6、好ましくは共有結合又は1~2のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立して炭素数2~4、好ましくは2のアルキレン基を表し、w、x及びzは1~10の整数、yは1又は2を表す。)で表される主鎖をもつものが親水性であるため好ましい。このような好ましい主鎖として、-CH(OC-や-CO(OC-等が挙げられる。

【0012】
このようなスチレン系高分子として、例えば、下式(化1)
【化1】
JP0004792559B2_000002t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に5~60%含み、下式(化3)
【化3】
JP0004792559B2_000003t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に10~60%含み、かつこれらの合計が100%以下となるように含み、更にこれらの合計が100%未満の場合には残部としてスチレンモノマーを含むモノマー混合物を共重合して得られたスチレン系高分子が挙げられる。



【0013】
好ましいスチレン系高分子として、下記の高分子が挙げられる。
【化5】
JP0004792559B2_000004t.gif
式中、m、nは(l+m+n)に対して、mは5~60%、好ましくは10~50%、nは10~60%、好ましくは20~50%であり、lは残部である。
【0014】
このようなスチレン系高分子と上記の金前駆体を、上記のような適当な溶媒に還元剤と共に溶解し、その後、高分子に対する貧溶媒を加えることにより、金クラスター含有高分子を相分離させることができる。
この場合、金前駆体がまず還元を受ける。金前駆体に配位子が結合していた場合は、その際に配位子が脱離する。還元された金はクラスターとして高分子の疎水性部分に取り込まれ、高分子の芳香環から電子供与を受け微小な状態でも安定化される。
これに担持されている金クラスター1個の平均径は20nm以下、好ましくは0.3~20nm、より好ましくは0.3~10nm、更に好ましくは0.3~5nm、より更に好ましくは0.3~2nm、よりより更に好ましいのは0.3~1nmであり、数多くの金クラスターがミセルの疎水性部分(スチレン系高分子の芳香環)に均一に分散して存在していると考えられる。このように金属が微小なクラスター(微小金属塊)となっているため、高い触媒活性を示すことができる。
【0015】
金クラスターの径及び価数等の周辺環境は透過型電子顕微鏡(TEM)又は拡張X線吸収微細構造(EXAFS)で測定することができる。
【0016】
このように金クラスターを担持したミセルは、架橋性官能基(エポキシ基と水酸基)により架橋することができる。架橋することにより金クラスターは安定化すると共に種々の溶剤に対して不溶化し、担持した金クラスターの漏れを防止することが出来る。
架橋反応により、金クラスターを担持した高分子鎖同士を結合させることや、架橋基を有する材料など適当な担体に結合させることもできる。
架橋反応は、加熱や紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
【0017】
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは100~160℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0018】
本ナノサイズ金クラスターを合成用触媒以外の用途で使用する場合の好ましい形態として、塊や膜としたり、担体に固定することもできる。ガラス、シリカゲル、樹脂などの担体表面の架橋性官能基(例えば、水酸基やアミノ基など)と金含有ポリマーの架橋性官能基とを架橋反応させると、本発明の高分子担持金クラスターは担体表面に強固に固定される。また、適当な樹脂やガラスで出来た反応容器の表面に、ミセルの架橋性官能基を使用して本発明の高分子担持金クラスター組成物を固定化してやれば、より再使用が簡便な触媒担持反応容器として使用できる。
【0019】
このようにして得られた架橋型金含有ポリマーミセルは多くの空孔を有しており、適当な溶剤で膨潤して表面積を拡大する。また担持された金は数ナノメートル以下の非常に小さいクラスターを形成する。
【0020】
このような高分子担持金クラスター触媒は酸化反応に有効であり、特に、アルコールを酸素分子により酸化する反応に有効である。
また、このアルコールとして、1級または2級のアルコールを用いることができる。
また酸素分子としては、酸素ガス、又は空気を用いることができる。
この反応は、好ましくは以下のような条件下で行なわれる。
反応溶媒として、高分子を膨潤させ基質アルコールを溶解するものであれば、単一溶媒でも混合溶媒でも使用できる。水と有機溶媒の混合溶媒が有効な場合もある。
基質の濃度は、0.01~1mmol/ml、好ましくは0.05~0.5mmol/mlである。
反応温度は、0~80℃、好ましくは室温~40℃である。
反応時間は、1~50時間である。
そのほか反応の際の添加剤として、塩基の添加、好ましくはアルカリ金属の炭酸塩が有効である。このような場合は、アルカリ金属炭酸塩の水溶液の使用が好適である。
その結果、アルコールに対応するカルボニル化合物を効果的に合成することができる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
4-ビニルベンジルグリシジルエーテルは特許文献1に記載の方法に従って合成した。他の化合物は市販品を必要に応じて精製して使用した。酸化反応で得られたカルボニル化合物の収率は内部標準を用いたガスクロマトグラフィーで定量した。
製造例1
150 mLのTHFにソジウムハイドライド(60% in mineral oil, 5.2g)を加え、0℃にてその反応液にテトラエチレングリコール(25.4 g, 131 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後 1-クロロメチル-4-ビニルベンゼン(13.3 g, 87.1 mmol)を加え、さらに12時間撹拌を続けた。0℃に冷却しジエチルエーテルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。水相をエーテルで抽出した後、併せた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、テトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルを得た(20.6 g, 66.2 mmol, 76%)。
1H NMR (CDCl3) δ 2.55-2.59 (m, 1H), 3.59-3.73 (m, 16H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 18 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 11.0, 17.9 Hz), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.31-7.39 (m, 2H); 13C NMR δ 61.8, 69.5, 70.5, 70.69, 70.74, 72.6, 73.0, 113.8, 126.3, 128.0, 136.0, 137.1, 138.0.
【0022】
製造例2
スチレン(1.9 g、18 mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(3.4 g、18 mmol)、製造例1で得たテトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(5.6 g、18 mmol)、及び2,2'-アゾ(イソブチロニトリル)(164 mg、1 mmol)をクロロホルム(9 ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、48時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF200 mlを加えた反応液をエーテル1l中に0℃にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、メタノールにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式の架橋性スチレン系高分子(高分子1)(8.2g、x:y:z:=29:35:36)を得た。コポリマーのモノマー成分の比はH-NMRにより決定した。
【化6】
JP0004792559B2_000005t.gif

【0023】
実施例1
製造例2で得た高分子1(800 mg)と水素化ホウ素ナトリウム(7.0 mg, 0.18 mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(10 mL)溶液に、室温でクロロトリフェニルホスフィン金((C6H5)3P)AuCl)(アルドリッチ、30 mg、0.06 mmol)のTHF(2.0 ml)溶液を0.15時間手滴下し、24時間撹拌した。この混合液にヘキサン(20 ml)を加えた。析出した金クラスターを含むマイクロカプセル化高分子をろ別し、ヘキサン洗浄と減圧乾燥を行った。その後、無溶媒下150℃で5時間加熱して高分子を架橋させた。得られた固体を、THF(20 ml)続いて水(20 ml)で洗浄、減圧乾燥し、高分子固定化ナノサイズ金クラスターを842 mg得た。反応式を下式に示す。
金の含有量はICPにより定量した(0.079 mmol/g)。得られた高分子固定化ナノサイズ金クラスターのTEMによる観察の結果、担持されたクラスターのサイズは大部分が1~5nmであった。
【化7】
JP0004792559B2_000006t.gif

【0024】
実施例2
実施例1で製造した高分子固定化ナノサイズ金クラスター(180 mg、アルコールに対して3モル%)、炭酸カリウム(200 mg) 及び1-フェニルエタノール(60 mg, 0.5 mmol) に塩化メチレン-水(1:1, 6 ml)を加え、酸素雰囲気中、室温で24 時間攪拌した。酢酸エチル(5 ml)を加え、ろ過後、水(10 ml)で洗浄した。有機相をガスクロマトグラフィーで分析した結果、アセトフェノンが定量的に生成していた。
濾過により回収した高分子固定化ナノサイズ金クラスターを用いて、同じ反応を行ったところ、再びアセトフェノンを定量的に生成していた。
実施例3
高分子固定化ナノサイズ金クラスター(60 mg、アルコールに対して1モル%)使用し、他は実施例1と同様の反応を行った結果、アセトフェノンを収率84%で得た。同じ反応を繰り返した結果、2回目収率80%、3回目収率90%で目的物が生成していた。
実施例4
塩化メチレンに代えてトルエンを用い、他は実施例1と同様の反応を行った結果、アセトフェノンが収率98%で生成していた。
実施例5
1-フェニルエタノールに代えてα-メチル-2-ナフタレンメタノール(アルドリッチ)を用い、他は実施例1と同様に反応を行った。有機相をガスクロマトグラフィーで分析する代わりに、濃縮後、分取用薄層クロマトグラフィーを用いて生成したところ、2-アセトナフトンを収率87%で得た。
【0025】
実施例6
1-フェニルエタノールに代えて4-フェニル-2-ブタノールを用い、他は実施例1と同様の反応を行った結果、4-フェニル-2-ブタノンが収率60%で生成していた。
実施例7
1-フェニルエタノールに代えてベンジルアルコールを用い、酸素に代えて空気中で実施例3と同様の反応を行った結果、ベンズアルデヒドが収率78%で生成していた。
実施例8
炭酸カリウムの代わりにカリウムtert-ブトキシドを用い、他は実施例4と同じ反応を行った結果、減量のベンジルアルコールは消失したが、ベンズアルデヒドは検出されなかった。
実施例9
炭酸カリウムの代わりに炭酸セシウムを用い、他は実施例4と同じ反応を行った結果、55%のベンジルアルコールが消失し、18%のベンズアルデヒドが生成していた。