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明細書 :有機化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4576586号 (P4576586)
公開番号 特開2007-238536 (P2007-238536A)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
発行日 平成22年11月10日(2010.11.10)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 有機化合物の製造方法
国際特許分類 C07C  45/68        (2006.01)
C07C  49/784       (2006.01)
C07C  67/343       (2006.01)
C07C  69/757       (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 45/68
C07C 49/784
C07C 67/343
C07C 69/757 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2006-065207 (P2006-065207)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
審査請求日 平成19年6月14日(2007.6.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
個別代理人の代理人 【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】増永 淳司
参考文献・文献 特開2003-327550(JP,A)
Journal of the American Chemical Society,2002年,124,P12946-47
Green Chemistry,2003年,5,524-28
Journal of the American Chemical Society,2002年,P6516-17
Journal of the American Chemical Society,2003年,P10182-83
Yuki Gosei Kagaku Kyoukaishi,2005年,63(2),P144-153
調査した分野 C07C 45/68
C07C 49/784
C07C 67/343
C07C 69/757
C07B 61/00
CA/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
水、水と混和しない有機溶媒、及びフルオラス溶媒からなる3相溶媒中に、親水性基とパーフルオロアルキル基とを有するフルオラス化合物と、相間移動触媒とを含有する系において、水相と有機相に分離した反応基質及反応剤を反応させ
前記反応基質としてハロゲン化アルキル及び求核剤となる活性メチレン化合物を用い、前記反応剤として無機塩基を用い、アルキル化反応を生じさせるか、又は前記反応基質としてオレフィンを用い、前記反応剤として次亜塩素酸塩を用い、エポキシ化反応を生じさせることを特徴とする、有機化合物の製造方法。
【請求項2】
前記フルオラス溶媒は、炭素数6~10の炭化水素化合物又は炭素数6~10のハロゲン化炭化水素化合物における全ての水素原子がフッ素原子で置換された化合物である、請求項1に記載の有機化合物の製造方法。
【請求項3】
前記フルオラス化合物が式(I)
【化1】
JP0004576586B2_000014t.gif
(Rは炭素数4~10のパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数2~6の多価アルコール基を示し、Xはメチレン基を示し、nは0~3の整数を示す)で表される、請求項1又は2に記載の有機化合物の製造方法。
【請求項4】
前記フルオラス化合物が式(II)
【化2】
JP0004576586B2_000015t.gif
(Rは炭素数6~10のパーフルオロアルキル基を示す)で表される、請求項3に記載の有機化合物の製造方法。
【請求項5】
前記相間移動触媒が4級アンモニウム塩である、請求項1~4のいずれかに記載の有機化合物の製造方法。
【請求項6】
前記4級アンモニウム塩が式(III)
【化3】
JP0004576586B2_000016t.gif
(Rは炭素数4~8のアルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示す)で表される化合物である、請求項5に記載の有機化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、水相と有機相に分離した反応基質や反応剤を反応させて行う有機化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機合成化学において、新しい反応媒体の開発は最も重要な課題の一つである。近年、このような新しい溶媒として、フルオラス溶媒が注目されている。フルオラス溶媒は、パーフルオロアルキル基等のフッ素を多く含む部位を有し、飽和炭化水素に比べ高密度、低沸点で、耐熱性や耐薬品性に優れている。また、分子間力が弱く、気体に対し大きな溶解度を示す。さらに、室温では水や有機溶媒と混和し難いが、加熱することで一部の有機溶媒と混和する性質を有している。しかしながら、有機相-フルオラス相の二相系反応の検討は、エステル化反応、重合反応、酸素酸化反応、ブロモ化反応、酵素反応などに限られていた。
フルオラス溶媒のこのような性質を利用して合成化学的研究が活発に行われている。又、材料化学やコロイド科学の分野で、親フルオラス性置換基を有する多成分界面活性剤を用いた応用例(非特許文献1)や、親フルオラス性置換基を有する多成分ポリマー応用例(非特許文献2)が検討されている。
【0003】

【非特許文献1】Kondo, Y. et al. J.Am.Chem.Soc. 124, 66516-6517 (2002).
【非特許文献2】hou, Z. et al. J. Am. Chem. Soc. 125, 10182- (2003).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水相-有機相の2相系反応では、しばしば相間移動触媒が用いられるが、相間の接触面積を増やすため、高速撹拌、超音波、マイクロ波、マイクロリアクターなどの特殊な装置を用いないと高収率で生成物を得ることが難しく、スケールアップが困難で一般性に欠けるなどの問題がある。
このようなことから、本発明は、水相と有機相に分離した反応基質及び/又は反応剤の反応を特殊な装置等を用いることなく高収率で行い、スケールアップも容易な有機化合物を製造する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、水、水と混和しない有機溶媒、及びフルオラス溶媒からなる3相溶媒中に、親水性基とパーフルオロアルキル基とを有するフルオラス化合物と、相間移動触媒とを含有する系において、水相と有機相に分離した反応基質及反応剤を反応させ、前記反応基質としてハロゲン化アルキル及び求核剤となる活性メチレン化合物を用い、前記反応剤として無機塩基を用い、アルキル化反応を生じさせるか、又は前記反応基質としてオレフィンを用い、前記反応剤として次亜塩素酸塩を用い、エポキシ化反応を生じさせることを特徴とする。
【0006】
前記フルオラス溶媒は、炭素数6~10の炭化水素化合物又は炭素数6~10のハロゲン化炭化水素化合物における全ての水素原子がフッ素原子で置換された化合物であることが好ましい。
前記フルオラス化合物が式(I)
【化1】
JP0004576586B2_000002t.gif
(Rは炭素数4~10のパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数2~6の多価アルコール基を示し、Xはメチレン基を示し、nは0~3の整数を示す)で表されることが好ましい。
前記フルオラス化合物が式(II)
【化2】
JP0004576586B2_000003t.gif
(Rは炭素数6~10のパーフルオロアルキル基を示す)で表されることが好ましい。
【0007】
前記相間移動触媒が4級アンモニウム塩であることが好ましい。又、前記4級アンモニウム塩が式(III)
【化3】
JP0004576586B2_000004t.gif
(Rは炭素数4~8のアルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示す)で表される化合物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、水相と有機相に分離した反応基質及び/又は反応剤の反応を高収率で行って有機化合物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<反応系>
本発明に係る有機化合物の製造方法は、水、水と混和しない有機溶媒、及びフルオラス溶媒からなる3相溶媒中に、フルオラス化合物と相間移動触媒とを含有する系において行う。
本発明者らは、従来の水相-有機相の2相系反応に対し、さらにフルオラス溶媒を第3相として加えることで、フルオラス相が水相、有機相の分散媒体として機能し、水相-有機相間の界面に影響を与えるものと考え、鋭意検討を行った。その結果、水-有機溶媒-フルオラス溶媒の3相溶媒中に、(従来の2相系で用いられてきた)相間移動触媒と共に、パーフルオロアルキル基と親水性基とを有するフルオラス化合物を添加することにより、親水性物質と親油性物質との反応が大幅に促進されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
<フルオラス溶媒>
フルオラス溶媒は、パーフルオロカーボン等のフッ素を多く含む部位を有し、水や有機溶媒と混和しない第3相を形成する。このようなフルオラス溶媒は、フッ素を多く含む部位を有する化合物をよく溶解する。フッ素を多く含む部位としては、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアリール基、パーフルオロアラルキル基等が挙げられる。フルオラス溶媒としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロベンゼン誘導体、が挙げられ、特に炭素数6~10の炭化水素化合物又は炭素数6~10のハロゲン化炭化水素化合物における全ての水素原子がフッ素原子で置換された化合物が好ましい。
具体的なフルオラス溶媒としては、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロトルエン、パーフルオロベンゼン、パーフルオロオクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカリン等が挙げられる。
【0012】
<有機溶媒>
有機溶媒としては、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素、酢酸エチルなどのエステル、ジクロロエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル化合物等が挙げられる。
【0013】
3相溶媒における、水、有機溶媒、及びフルオラス溶媒の混合割合は特に制限されないが、例えば、体積比でフルオラス相が50%以上、水と有機溶媒がそれぞれ5%以上含まれる組成のものを適宜調整することができる。
【0014】
<フルオラス化合物>
フルオラス化合物は親水性基とパーフルオロアルキル基とを有し、親フルオラス性界面活性剤として機能する。フルオラス化合物の大部分はフルオラス相に存在し、一部が水相との界面に存在すると推定される。フルオラス化合物の作用は明確ではないが、フルオラス相が水相と有機相との分散媒体として界面を拡大し、その界面における相間移動を促進することが考えられる。
フルオラス化合物としては、例えば、式(I)
【化1】
JP0004576586B2_000005t.gif
(Rは炭素数4~10のパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数2~6の多価アルコール基を示し、Xはメチレン基を示し、nは0~3の整数を示す)で表される化合物を用いることができる。
【0015】
又、フルオラス化合物として、式(II)
【化2】
JP0004576586B2_000006t.gif
(Rは炭素数6~10のパーフルオロアルキル基)で表される化合物を用いることができる。
【0016】
具体的なフルオラス化合物としては、例えば、3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール、3-パーフルオロヘキシル-1,2-プロパンジオール、3-パーフルオロオロデシル-1,2-プロパンジオールが挙げられる。
フルオラス化合物の添加割合は、例えば相間移動触媒に対して0.1~10モル%、好ましくは0.5~2モル%とすることができる。
【0017】
<相間移動触媒>
相間移動触媒は、従来の水相-有機相の2相系反応で用いるのと同様のものを用いることができる。相間移動触媒としては、例えば、水にも有機溶媒にも可溶なカチオンを持つ塩やクラウンエーテルを用いることができる。具体的な相間移動触媒としては、例えば、長鎖アルキルアンモニウムカチオンを持つ塩(テトラブチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム塩など)が挙げられる。テトラブチルアンモニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムブロミドが挙げられる。
特に、相間移動触媒が4級アンモニウム塩であることが好ましく、4級アンモニウム塩が式(III)
【化3】
JP0004576586B2_000007t.gif
(Rは炭素数4~8のアルキル基を示し、Yはハロゲン原子を示す)で表される化合物であることが好ましい。
【0018】
相間移動触媒の添加割合は、例えば反応基質に対して0.1~10モル%とすることができる。
【0019】
<反応物質と反応の種類>
本発明は、上記反応系中で水相と有機相に分離した反応基質及び/又は反応剤を反応させるものである。反応基質及び/又は反応剤の組合せは特に限定されない。例えば、反応基質を疎水性とし、これと反応する反応剤を水溶性とすることができ、その逆に反応基質を水溶性とし、反応剤を疎水性としてもよい。反応基質及び/又は反応剤としてそれぞれ2種以上を用いてもよい。又、2種の反応基質をそれぞれ水相と有機相に分離させてもよい。反応基質及び/又は反応剤として用いる化合物としては、例えば従来の水相-有機相の2相系反応で用いるのと同様のものを用いることができる。
反応としては、従来の水相-有機相の2相系反応と同様に、求核反応、酸化反応、アルキル化反応、エポキシ化、加水分解反応などに適用できる。
親水性物質としては、糖、アミノ酸、低分子量のアルコールやアミン或いはカルボン酸などの極性有機化合物、無機酸、無機塩基、有機酸の金属塩、無機塩などを例示することができる。
親油性物質としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステルなど一般的に水への溶解度が低く低極性有機溶媒に溶解する化合物が広く使用可能である。
【0020】
本発明に適した反応として、反応基質は疎水性(親油性)の有機化合物であり、前記反応剤が水溶性(親水性)の酸又は水溶性の塩基である反応が挙げられる。
【0021】
本発明に適した反応の具体例としては、反応基質としてハロゲン化アルキル及び求核剤となる活性メチレン化合物を用い、反応剤として無機塩基を用いたアルキル化反応が挙げられる。無機塩基は活性メチレンのプロトンを引き抜く触媒となる。
【0022】
又、本発明に適した反応の具体例としては、反応基質としてオレフィンを用い、反応剤として次亜塩素酸塩を用いたエポキシ化反応が挙げられる。
【0023】
<実施例>
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【0024】
以下の実施例において、溶媒や各試薬、生成物等の分析は以下の各測定装置を用いた。1H NMR と 13C NMR は、JEOL JNM-LA400を使用し、CDCl3を溶媒とし、テトラメチルシラン (δ= 0、 1H NMR) または CDCl3 (δ= 77.0、13C NMR)を内部標準物質として測定した。 IR スペクトルの測定は JASCO FT/IR-610 を使用した。質量分析は、SHIMADZU GC-17Aまたは SHIMADZU GCMS-QP5050Aを使用した。融点測定は、YAZAWA BY-1 を使用した。カラムクロマトグラフィーはSilica gel 60 (Merck)を用い、分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィーはWakogel B-5Fを使用した。すべての基質は市販品を特に精製せずに用い、溶媒は、定法に従い蒸留したものを使用した。
各実施例の反応は10 ml フラスコを用いて、マグネチックスターラーで攪拌しながら行った。
【0025】
フルオラス化合物としては、以下のフルオラスジオールを用いた。フルオラスジオールは、対応する3-パーフルオロアルキル-1,2-エポキシプロパン(ダイキン工業社製)から既知の方法(Jew, S.-S.; Lee, J.-H.; Jeong, B.-S.; Yoo, M.-S.; Kim, M.-J.; Lee, J.; Choi, S.-H.; Lee, K.; Lah, M. S.; Park, H.-G. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1383. )で調製した。各フルオラス化合物の物性値は以下の通りであった。
【0026】
3-パーフルオロヘキシル-1,2-プロパンジオール(式IV)
【化4】
JP0004576586B2_000008t.gif
colorless prisms; mp 68-69 ℃; 1H NMR (CD3OD) d 2.15-2.28 (1H, m), 2.39-2.49 (1H, m), 3.46 (1H, dd, J = 5.5, 11.0 Hz), 3.53 (1H, dd, J = 5.5, 11.0 Hz), 4.02-4.08 (1H, m); 19F NMR (CD3OD) d・-127.7 (2F, s), -125.1 (2F, s), -124.3 (2F, s), -123.2 (2F, s), -115.0 (1F, d, J = 270.2 Hz), -113.7 (1F, d, J = 275.5 Hz), -82.8 (3F, s); IR (KBr): 3370, 2948, 1236, 1205, 1145, 705, 658, 530 cm-1; HRMS (ESI): Exact mass calcd for C9H8F13O2 [M+H]+, 395.0311. Found 395.0293.
3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール(式V)
【化5】
JP0004576586B2_000009t.gif
colorless prisms; mp 110-113 ℃; 1H NMR (CD3OD) d 2.16-2.28 (1H, m), 2.39-2.50 (1H, m), 3.47 (1H, dd, J = 5.5, 11.0 Hz), 3.54 (1H, dd, J = 5.5, 11.7 Hz), 4.03-4.08 (1H, m); 13C NMR (CD3OD, partially) d・35.4 (t, J = 21.0 Hz), 66.8; 19F NMR (CD3OD) d・-127.7 (2F, s), -125.0 (2F, s), -124.1 (2F, s), -123.3 (4F, s), -123.0 (2F, s), -115.0 (1F, d, J = 270.2 Hz), -113.7 (1F, d, J = 275.5 Hz), -82.7 (3F, s); IR (KBr): 3362, 2938, 1204, 1148, 661, 528 cm-1; HRMS (ESI): Exact mass calcd for C11H8F17O2 [M+H]+, 495.0247. Found 495.0259.
3-パーフルオロオロデシル-1,2-プロパンジオール(式VI)
【化6】
JP0004576586B2_000010t.gif
colorless prisms; mp 155-157 ℃; 1H NMR (CD3OD) d 2.15-2.28 (1H, m), 2.38-2.50 (1H, m), 3.47 (1H, dd, J = 5.5, 11.0 Hz), 3.53 (1H, dd, J = 5.5, 11.0 Hz), 4.03-4.07 (1H, m); 19F NMR (CD3OD) d・-127.7 (2F, s), -125.0 (2F, s), -124.1 (2F, s), -123.3-123.0 (10F, m), -115.0 (1F, d, J = 270.2 Hz), -113.7 (1F, d, J = 270.2 Hz), -82.8 (3F, s); IR (KBr): 3364, 2943, 1203, 1146, 647, 557, 526 cm-1; HRMS (ESI): Exact mass calcd for C13H8F21O2 [M+H]+, 595.0183. Found 595.0159.
【実施例1】
【0027】
メタノール(0.5 ml)にテトラブチルアンモニウムブロミド (相間移動触媒;東京化成、0.010 mmol) と3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール(フルオラス化合物;0.025 mmol)とを溶解し、減圧濃縮した後10分間真空乾燥した。このものにトルエン(200 μL)を加え、さらに2-オキソシクロペンタンカルボン酸tert-ブチルエステル(親油性物質;0.50 mmol) 、臭化ベンジル(親油性物質;0.75 mmol), パーフルオロメチルシクロヘキサン(フルオラス溶媒;東京化成、2.0 mL) および水酸化カリウム水溶液(1 M, 0.60 mL) を順に加え、室温下、800回転/分で攪拌した。40分後に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、塩化メチレンで3回抽出した。有機相を併せて無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し、減圧濃縮した。粗成性物を分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製して目的物を得た。収率は94%であった。
一方、フルオラス溶媒(パーフルオロメチルシクロヘキサン)とフルオラス化合物(3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール)を添加せず、水-有機溶媒の2相系として同様に反応を行ったところ、収率は66%であった。
反応式をVII式で示す。
【化7】
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得られた目的物(tert-Butyl 1-benzyl-2-oxocyclopentanecarboxylate)の物性値は以下のようになった。
1H NMR (CDCl3) δ= 1.43 (9H, s), 1.52-1.59 (1H, m), 1.85-1.99 (1H, m), 2.32-2.37 (2H, m), 3.12 (2H, s), 7.13-7.15 (2H, m), 7.18-7.27 (3H, m); 13C NMR (CDCl3) d・19.4, 27.7, 31.8, 38.2, 38.6, 61.8, 81.9, 126.6, 128.2, 130.2, 136.8, 170.2, 215.2.
【実施例2】
【0028】
親油性物質として、2-オキソシクロペンタンカルボン酸tert-ブチルエステルに代えて 1,2-ジフェニルエタノンを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。目的物が収率96%で得られた。
反応式をVIII式で示す。
【化8】
JP0004576586B2_000012t.gif
得られた目的物(1,2,3-Triphenylpropan-1-one)の物性値は以下のようになった。
1H NMR (CDCl3) δ=3.08 (1H, dd, J = 7.5, 13.7 Hz), 3.58 (1H, dd, J = 7.5, 13.7 Hz), 4.83 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.09 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.13-7.16 (1H, m), 7.19-7.22 (3H, m), 7.24-7.28 (4H, m), 7.35 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.44-7.45 (1H, m), 7.91 (2H, d, J = 8.2 Hz).
【実施例3】
【0029】
親油性物質として、2-オキソシクロペンタンカルボン酸tert-ブチルエステルに代えて 1,2-ジフェニルエタノンを用い、親水性物質として臭化ベンジルに代えてヨウ化ブチル(2 eq) を用い、塩基として水酸化カリウムの飽和水溶液(0.2 ml) を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。収率は85%であった。
一方、フルオラス溶媒(パーフルオロメチルシクロヘキサン)とフルオラス化合物(3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール)を添加せず、水-有機溶媒の2相系として同様に反応を行ったところ、収率は63%であった。
得られた目的物(1,2-Diphenylhexan-1-one)の物性値は以下のようになった。
1H NMR (CDCl3) δ= 0.85 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.17-1.38 (4H, m), 1.80-1.86 (1H, m), 2.16-2.22 (1H, m), 4.54 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.16-7.19 (1H, m), 7.26-7.28 (2H, m), 7.31 (2H, d, J = 6.9 Hz), 7.36 (2H, t, J = 9.0 Hz), 7.43-7.46 (1H, m), 7.95-7.98 (2H, m).
【実施例4】
【0030】
親油性物質として、2-オキソシクロペンタンカルボン酸tert-ブチルエステルに代えて tert-ブチル2-(ジフェニルメチレンアミノ)酢酸を用い、塩基として4M水酸化カリウム水溶液(0.8 ml) を用い、有機溶媒としてトルエンに代えて塩化メチレン(0.8 ml) を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。収率は72%であった。
一方、フルオラス溶媒(パーフルオロメチルシクロヘキサン)とフルオラス化合物(3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール)を添加せず、水-有機溶媒の2相系として同様に反応を行ったところ、収率は20%であった。
得られた目的物(tert-Butyl N-(diphenylmethylene)phenylalaninate)の物性値は以下のようになった。
1H NMR (CDCl3) δ=1.43 (9H, s), 3.17 (1H, dd, J = 9.3, 13.4 Hz), 3.23 (1H, dd, J = 4.1, 13.1 Hz), 4.12 (1H, dd, J = 4.5, 9.3 Hz), 6.60 (2H, d, J = 6.0 Hz), 7.04-7.06 (2H, m), 7.13-7.21 (3H, m), 7.26-7.38 (6H, m), 7.56-7.58 (2H, m).
【実施例5】
【0031】
テトラブチルアンモニウムブロミド (相間移動触媒;東京化成、0.010 mmol) と3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオール(フルオラス化合物;0.025 mmol)とをメタノール(0.5 ml)に溶解し、減圧濃縮した後10分間真空乾燥した。このものに有機溶媒としてトルエン(200 μL)を加え、さらにtrans-カルコン(親油性物質;0.50 mmol) 、次亜塩素酸ナトリウム(親水性物質;10%, 0.7 ml), パーフルオロメチルシクロヘキサン(フルオラス溶媒;東京化成、2.0 mL) を順に加え、室温下、800回転/分で16時間攪拌した。水を加えて塩化メチレンで3回抽出し、有機相を併せて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮し、粗成性物を分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製して目的物を得た。収率は93%であった。
反応式をIX式で示す。
【化9】
JP0004576586B2_000013t.gif
得られた目的物(trans-2,3-Epoxy-1,3-diphenylpropan-1-one)の物性値は以下のようになった。
1H NMR (CDCl3) δ=4.08 (1H, d, J = 1.4 Hz), 4.30 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.36-7.42 (5H, m), 7.47-7.51 (2H, m), 7.61-7.63 (1H, m), 8.00-8.02 (2H, m); 13C NMR (CDCl3) d・59.4, 61.0, 125.8, 128.3, 128.7, 128.8, 129.0, 134.0, 135.4 (x2), 193.0.