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明細書 :通信装置及び通信方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4537227号 (P4537227)
公開番号 特開2006-245712 (P2006-245712A)
登録日 平成22年6月25日(2010.6.25)
発行日 平成22年9月1日(2010.9.1)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
発明の名称または考案の名称 通信装置及び通信方法
国際特許分類 H04W  84/12        (2009.01)
H04W  40/34        (2009.01)
H04M  11/04        (2006.01)
FI H04L 12/28 300Z
H04L 12/56 100D
H04M 11/04
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2005-055278 (P2005-055278)
出願日 平成17年3月1日(2005.3.1)
審査請求日 平成19年7月3日(2007.7.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】関 清隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
【識別番号】100110777、【弁理士】、【氏名又は名称】宇都宮 正明
審査官 【審査官】脇水 佳弘
参考文献・文献 特開平07-245581(JP,A)
特表2007-508627(JP,A)
特開2004-165964(JP,A)
特開2004-032062(JP,A)
特開平10-013914(JP,A)
特開2000-224088(JP,A)
特開2004-248180(JP,A)
特開2002-186053(JP,A)
特開2002-352389(JP,A)
特開2002-112303(JP,A)
調査した分野 H04L 12/00-66
H04W 84/12
H04M 11/04
H04W 40/34
特許請求の範囲 【請求項1】
アドホックネットワークに接続可能な通信装置であって、
通信を制御する通信制御手段と、
前記通信制御手段で受信される監視パケットを処理するパケット処理手段と、
当該通信装置の移動を検出する移動検出手段と、
警報処理を行う警報処理手段と、
警報を通知する出力手段と、
を備え、
前記パケット処理手段は、
受信した監視パケットの受信レベルを測定する受信レベル測定手段と、
監視パケットに含まれる発信元ノードIDとそのノードIDからの受信レベルで構成されるエントリの組の履歴を抽出して記憶し、且つ前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルを最後の発信元ノードIDとのエントリの組として作成して記憶するエントリ処理手段と、
前記エントリ処理手段で抽出され作成されたエントリの組を監視パケット毎に経路情報として記憶するためのエントリ記憶手段と、
自己のノードIDを発信元ノードIDとし、受信レベルを所定の値とするエントリの組を生成し、前記監視パケットに付加して新たな監視パケットを作成するパケット作成手段と、
前記パケット作成手段で作成した新たな監視パケットを前記通信制御手段を介して送信するパケット送信手段と、
を有し、
前記警報処理手段は、前記エントリ記憶手段に記憶されている前記経路情報の受信レベルの最低値を検出し、該最低値が所定の条件になった場合、該当する経路情報の、最低値の受信レベルのリンクの両端のノードに対して警報メッセージを送信し、
前記警報処理手段は、前記通信制御手段で警報メッセージを受信し、且つ前記移動検出手段で移動中であることを検出した場合、前記出力手段から警報情報を出力する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記パケット処理手段は、抽出したエントリの組の履歴に自己のノードIDが含まれるか否かを検出し、含まれる場合には、前記エントリ処理手段、前記パケット作成手段及び前記パケット送信手段の処理が行われないようにするノードID検出手段を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記エントリ記憶手段に記憶された前記経路情報は、所定の時間経過に応じて消去される、ことを特徴とする請求項1または2記載の通信装置。
【請求項4】
前記移動検出手段は、GPS装置または速度計である、ことを特徴とする請求項1から3何れか記載の通信装置。
【請求項5】
前記出力手段から警報情報が出力された場合、中継装置を介して前記監視パケットの受信を行う、ことを特徴とする請求項1から4何れか記載の通信装置。
【請求項6】
無線アクセスポイントと複数の通信装置をノードとして、ノード間で無線通信する複数の連結からなる通信経路を確保するアドホックネットワークによる通信方法であって、
前記通信装置は、アドホックネットワークに接続した場合に、通信経路に含まれる連結毎のノード間の受信レベルを含む監視パケットを受信し、
受信した監視パケットに含まれる連結毎のノード間の受信レベルを検証し、
検証結果が所定の条件の場合には、所定のノードに対して警報メッセージを送信し、
さらに、警報メッセージを受信したノードである通信装置は、移動中であれば、警報を出力する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
通信制御手段と、移動検出手段と、警報処理手段と、出力手段と、受信レベル測定手段、エントリ処理手段、パケット作成手段、パケット送信手段及びエントリ記憶手段を有するパケット処理手段と、を備え、アドホックネットワークに接続可能な通信装置における、通信経路を確保する通信方法であって、
(A)通信制御手段で、監視パケットを受信し、
(B)パケット処理手段の受信レベル測定手段で、受信した監視パケットの受信レベルを測定し、
(C)パケット処理手段のエントリ処理手段で、監視パケットに含まれる発信元ノードIDとそのノードIDからの受信レベルで構成されるエントリの組の履歴を抽出し、且つ前記ステップ(B)で測定した受信レベルを最後の発信元ノードIDとのエントリの組として作成し、抽出され作成されたエントリの組を監視パケット毎に経路情報としてエントリ記憶手段に記憶し、
(D)パケット処理手段のパケット作成手段で、自己のノードIDを発信元ノードIDとし、受信レベルを所定の値とするエントリの組を生成し、前記監視パケットに付加して新たな監視パケットを作成し、
(E)パケット処理手段のパケット送信手段及び通信制御手段で、前記ステップ(D)で作成した新たな監視パケットを送信し、
さらに、通信制御手段で警報メッセージを受信した場合、前記ステップ(A)~(E)とは独立して、
(F)移動検出手段で、移動中であるか否かを検出し、
(G)ステップ(F)で移動中であると検出された場合には、警報処理手段によって出力手段から警報情報を出力し、
前記ステップ(C)の後に、前記ステップ(D)~(G)とは独立して、
(H)警報処理手段で、前記ステップ(C)で記憶された前記経路情報の受信レベルの最低値を検出し、該最低値が所定の条件になった場合、該当する経路情報の、最低値の受信レベルのリンクの両端のノードに対して警報メッセージを送信する、 ことを特徴とする通信方法。
【請求項8】
さらに、前記通信装置は、ノードID検出手段を有し、
前記ステップ(C)は、ノードID検出手段で抽出したエントリの組の履歴に自己のノードIDが含まれる場合には、ステップ(C)の他の処理を行わず、且つ後続のステップ(D)及び(E)の処理が行われない、
ことを特徴とする請求項記載の通信方法。
【請求項9】
さらに、(I)前記ステップ(C)で記憶された前記経路情報は、所定の時間経過に応じて消去される、ことを特徴とする請求項または記載の通信方法。
【請求項10】
前記ステップ(G)で警報情報が出力された場合、前記ステップ(A)は、中継装置を介して前記監視パケットの受信を行う、ことを特徴とする請求項から何れか記載の通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無線によって通信を行う通信装置及び通信方法に関する。特には、アドホックネットワーク技術を利用し、低コストで確実に通信経路を確保することができる通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、さまざまな通信技術が発達し、携帯型や設置型の通信装置での無線通信が多く用いられるようになっている。このような通信装置を利用して、例えば、設備の保守などを効率よく行うことができるようになっている。
【0003】
例えば、特開2002-24973公報では、監視対象となる各電力設備1には、遠隔監視端末2および通信ユニット3が設けられており、遠隔監視端末2が対応する電力設備1の異常を検知すると、異常発生を示す異常情報をパケット通信網4を介して遠隔監視センタ6に送信する。これを受け取った遠隔監視センタ6は、担当の保安者の所持する携帯端末10に異常発生を報知する電子メールを送信すると共に、異常内容の詳細情報コンテンツを携帯端末10からアクセス可能な形式で作成することができるようになっている。
【0004】
また、鉄道沿線における作業などでも、作業現場における相互の連絡用、作業を統括する指令センタと作業現場とを結ぶ連絡用等重要な役割として通信装置が利用されている。
【0005】
図10は、通信装置を利用した従来からの鉄道保守作業を示す図である。図10において、鉄道沿線の保守を行う保守用車120A,120Bと、作業員150A,150Bとは、通信装置(図示せず)を有し、それぞれ送受信可能な範囲内にある他の通信装置や無線アクセスポイント140A,140B,140Cとの通信が可能となっている。
また、保守用車120A,120B、作業員150A,150Bと保守作業等を統括する指令センタ110とは、任意の地点に設けられた無線アクセスポイント140A,140B,140CとADSL等の有線回線130を介して通信可能に接続されている(図10において、矢印が通信を行う装置の組合せの例を示す)。
【0006】
このような作業で利用される通信装置としては、携帯電話、無線LAN端末などがあり、また、鉄道沿線沿いに既に設置されている固定電話に無線インタフェースを仮設し、作業員150A,150Bや保守用車120A,120Bが無線電話端末を所持する、トランシーバを使用するなどの方法も行われている。

【特許文献1】特開2002-24973公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、作業員150A,150Bや保守用車120A,120Bが携帯電話を所持し、連絡が必要な場合に電話をかける方法の場合、(1)トンネル内など携帯電話のエリア外では使用できない、(2)携帯電話の利用料金がかかる、(3)回線の輻輳の場合や、相手端末が使用中の場合にはつながらない、などの問題があった。
【0008】
また、沿線に無線LANアクセスポイントを設置し、作業員150A,150Bや保守用車120A,120Bが無線LAN端末を使用する場合、(1)アクセスポイントを常設する場合には、設置や保守のコストがかかる、(2)アクセスポイントを臨時に設置する場合には、仮設や撤去の工事が必要になる、(3)作業範囲を確実にカバーするようにアクセスポイントを設置する必要がある、などの問題があった。
【0009】
沿線電話に無線インタフェースを仮設し、作業員150A,150Bや保守用車120A,120Bが無線電話端末を所持する場合、沿線電話を中心とした一定のエリア内でしか使用できない、という問題があった。
【0010】
さらに、トランシーバを使用する場合には、直接電波が届くトランシーバ相互間しか通信ができず、通信範囲が非常に狭いという問題があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、低コストで確実に通信経路を確保することができる通信装置及び通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の通信装置は、アドホックネットワークに接続可能な通信装置であって、通信を制御する通信制御手段と、通信制御手段で受信される監視パッケットを処理するパケット処理手段と、当該通信装置の移動を検出する移動検出手段と、警報処理を行う警報処理手段と、警報を通知する出力手段と、を備え、パケット処理手段は、受信した監視パケットの受信レベルを測定する受信レベル測定手段と、監視パケットに含まれる発信元ノードIDとそのノードIDからの受信レベルで構成されるエントリの組の履歴を抽出して記憶し、且つ受信レベル測定手段で測定した受信レベルを最後の発信元ノードIDとのエントリの組として作成して記憶するエントリ処理手段と、自己のノードIDを発信元ノードIDとし、受信レベルを所定の値とするエントリの組を生成し、監視パケットに付加して新たな監視パケットを作成するパケット作成手段と、パケット作成手段で作成した新たな監視パケットを通信制御手段を介して送信するパケット送信手段と、を有し、警報処理手段は、通信制御手段で警報メッセージを受信し、且つ移動検出手段で移動中であることを検出した場合、出力手段から警報情報を出力する、ことを特徴とする。
【0013】
ここで、パケット処理手段は、エントリ処理手段で抽出され作成されたエントリの組を監視パケット毎に経路情報として記憶するためのエントリ記憶手段を有する、ことができる。
【0014】
また、パケット処理手段は、抽出したエントリの組の履歴に自己のノードIDが含まれるか否かを検出し、含まれる場合には、エントリ処理手段、パケット作成手段及びパケット送信手段の処理が行われないようにするノードID検出手段を有する、ことができる。
【0015】
また、警報処理手段は、エントリ記憶手段に記憶されている経路情報の受信レベルの最低値を検出し、該最低値が所定の条件になった場合、該当する経路情報の、最低値の受信レベルのリンクの両端のノードに対して警報メッセージを送信する、ようにすることができる。
【0016】
ここで、エントリ記憶手段に記憶された経路情報は、所定の時間経過に応じて消去される、ようにすることができる。
【0017】
また、移動検出手段は、GPS装置または速度計である、ように構成することができる。
【0018】
また、出力手段から警報情報が出力された場合、中継装置を介して監視パケットの受信を行う、ようにするとよい。
【0019】
また、上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の通信方法は、通信装置の通信経路を確保する通信方法であって、通信装置をアドホックネットワークに接続し、受信した監視パケットの各経路におけるノード間の受信レベルを検証し、検証結果が所定の条件の場合には、所定のノードに対して警報メッセージを送信する、ことを特徴とする。
【0020】
さらに、警報メッセージを受信した際に、通信装置が移動中であれば、警報を出力する、ようにすることができる。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の態様の通信方法は、通信制御手段と、移動検出手段と、警報処理手段と、出力手段と、受信レベル測定手段、エントリ処理手段、パケット作成手段及びパケット送信手段を有するパケット処理手段と、を備え、アドホックネットワークに接続可能な通信装置における、通信経路を確保する通信方法であって、(A)通信制御手段で、監視パケットを受信し、(B)パケット処理手段の受信レベル測定手段で、受信した監視パケットの受信レベルを測定し、(C)パケット処理手段のエントリ処理手段で、監視パケットに含まれる発信元ノードIDとそのノードIDからの受信レベルで構成されるエントリの組の履歴を抽出して記憶し、且つステップ(B)で測定した受信レベルを最後の発信元ノードIDとのエントリの組として作成して記憶し、(D)パケット処理手段のパケット作成手段で、自己のノードIDを発信元ノードIDとし、受信レベルを所定の値とするエントリの組を生成し、監視パケットに付加して新たな監視パケットを作成し、(E)パケット処理手段のパケット送信手段及び通信制御手段で、ステップ(D)で作成した新たな監視パケットを送信し、さらに、通信制御手段で警報メッセージを受信した場合、ステップ(A)~(E)とは独立して、(F)移動検出手段で、移動中であるか否かを検出し、(G)ステップ(F)で移動中であると検出された場合には、警報処理手段によって出力手段から警報情報を出力する、ことを特徴とする。
【0022】
さらに、通信装置は、エントリ記憶手段を有し、ステップ(C)は、抽出され作成されたエントリの組を監視パケット毎に経路情報としてエントリ記憶手段に記憶する、ことができる。
【0023】
さらに、通信装置は、ノードID検出手段を有し、ステップ(C)は、ノードID検出手段で抽出したエントリの組の履歴に自己のノードIDが含まれる場合には、ステップ(C)の他の処理を行わず、且つ後続のステップ(D)及び(E)の処理が行われない、ようにすることができる。
【0024】
また、ステップ(C)の後に、ステップ(D)~(G)とは独立して、(H)警報処理手段で、ステップ(C)で記憶された経路情報の受信レベルの最低値を検出し、該最低値が所定の条件になった場合、該当する経路情報の、最低値の受信レベルのリンクの両端のノードに対して警報メッセージを送信する、ようにする。
【0025】
さらに、(I)ステップ(C)で記憶された経路情報は、所定の時間経過に応じて消去される、ようにするとよい。
【0026】
また、ステップ(G)で警報情報が出力された場合、ステップ(A)は、中継装置を介して監視パケットの受信を行う、ことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の通信装置及び通信方法によれば、アドホックネットワーク技術を利用し、通信経路が所定の条件になった場合、警報を出して通知すると共に中継装置などの利用を促すことによって、低コストで確実に通信経路を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の通信装置及び通信方法の実施の形態を説明する。以下においては、主に鉄道沿線の保守点検作業における通信装置及び通信方法の利用を具体的な一例として説明する。
【0029】
図1は、本発明の通信装置を利用する鉄道沿線の保守点検作業を示す図である。この保守点検作業における通信システムは、鉄道沿線の保守を行う保守用車20A,20Bと、作業員50A,50Bとは、本発明の通信装置(図示せず)を有し、保守作業等を統括する指令センタ10とは、任意の地点に設けられた無線アクセスポイント40A,40BとADSL等の有線回線30を介して通信可能に接続され、それぞれ送受信可能な範囲内にある通信装置や無線アクセスポイントとの通信が可能となっている(図1において、記号A~Eの経路が通信可能な通信経路を示す)。ここで、指令センタ10からは、一定周期で受信経路監視用の監視パケットを送信している。
【0030】
図2は、アドホックネットワークに接続可能なアドホック端末(以下、単に「通信装置」ともいう)である本発明の通信装置の一例を示す図である。この通信装置60は、通信を制御する通信制御部61と、通信制御部61で受信される監視パッケットを処理するパケット処理部63と、当該通信装置60の移動を検出する移動検出部64と、警報処理を行う警報処理部62と、警報を通知する出力部65と、を備えている。
【0031】
ここで、パケット処理部63は、受信した監視パケットの受信レベルを測定する受信レベル測定部71と、監視パケットに含まれる発信元ノードIDとそのノードIDからの受信レベルで構成されるエントリの組の履歴を抽出して記憶し、且つ受信レベル測定部71で測定した受信レベルを最後の発信元ノードIDとのエントリの組として作成して記憶するエントリ処理部73と、エントリ処理部73で抽出され作成されたエントリの組を監視パケット毎に経路情報として記憶するためのエントリ記憶部74と、自己のノードIDを発信元ノードIDとし、受信レベルを所定の値とするエントリの組を生成し、監視パケットに付加して新たな監視パケットを作成するパケット作成部75と、パケット作成部75で作成した新たな監視パケットを通信制御部61を介して送信するパケット送信部76と、抽出したエントリの組の履歴に自己のノードIDが含まれるか否かを検出し、含まれる場合には、エントリ処理部73、パケット作成部75及びパケット送信部76の処理が行われないようにするノードID検出部72と、を有している。
【0032】
また、警報処理部62は、通信制御部61で警報メッセージを受信し、且つ移動検出部64で移動中であることを検出した場合、出力部65から警報情報を出力する。さらに、警報処理部62は、エントリ記憶部74に記憶されている経路情報の受信レベルの最低値を検出し、該最低値が所定の条件になった場合、該当する経路情報の、最低値の受信レベルのリンクの両端のノードに対して警報メッセージを送信する。
【0033】
ここで、エントリ記憶部74に記憶された経路情報は、所定の時間、例えば、指令センタ10の監視パケットの送信周期[T]に所定の時間[α]を加えた時間、の経過に応じて消去される。ここで、T+α<2×T(即ち、T>α)であることが望ましい。
【0034】
また、移動検出部64は、作業員50A,50Bが携帯する場合には、GPS装置にするとよい。また、保守用車20A,20Bで利用する通信装置では、保守用車20A,20Bの速度計などで構成することができる。
【0035】
また、本発明のアドホックネットワークに接続可能な通信装置60における、通信経路を確保する通信方法においては、通信装置60をアドホックネットワークに接続し、受信した監視パケットの各経路におけるノード間の受信レベルを検証し、検証結果が所定の条件の場合には、所定のノードに対して警報メッセージを送信する。さらに、警報メッセージを受信した際に、通信装置が移動中であれば、警報を出力する。以下、本発明の通信方法について、具体例を挙げて説明する。
【0036】
図3は、本発明のアドホックネットワークに接続可能な通信装置における、通信経路を確保する通信方法を示すフローチャートである。図4は、監視パケットの構造を示す図である。図1~4において、通信制御部61で、指令センタ10から送信された監視パケットを受信する(ステップ301)。ここで、図4(A)は、監視パケットの一般的な構成を示している。また、図4(B)は、指令センタ10が送信する監視パケットの構成を示す。図4(A)に示すように、監視パケットは、可変長であり、発信されたノードのID(発信元ノードID)とそのノードから当該監視パケットを受信した際の受信レベルが組となってエントリを形成し、監視パケットの先頭には、今まで経由してきた通信ノードの数(指令センタ10を含む)=エントリ数が示される。すなわち、監視パケットが中継されるたびに<発信元ノードID、受信レベル>の組を追記していく。指令センタ10は、発信元ノードIDに自身のノードIDを、受信レベルには所定の値(以下においては「0」とする)を記載したエントリ数=1の監視パケット(図4(B))を生成して送信する。
【0037】
パケット処理部63の受信レベル測定部71は、受信した監視パケットの受信レベルを測定する(ステップ302)。次に、ノードID検出部72は、抽出したエントリの組(全ての履歴)の発信元ノードIDをチェックする(ステップ303)。ここで、自己のノードIDが含まれる場合には、監視パケットがループして戻ってきたことになるため処理を終了する(ステップ304)。
【0038】
ステップ304で、自己のノードIDが含まれない場合には、パケット処理部63のエントリ処理部73で、監視パケットに含まれる発信元ノードIDとそのノードIDからの受信レベルで構成されるエントリの組の履歴を抽出し、且つステップ(302)で測定した受信レベルを最後の発信元ノードIDとのエントリの組として作成して、即ち、最後の発信元ノードIDの受信レベル「0(所定の値)」を実際に測定した受信レベルに書き換え(ステップ305)、監視パケット毎に経路情報としてエントリ記憶部74に記憶する(ステップ306)。なお、記憶された経路情報は、所定の時間、例えば、指令センタ10の監視パケットの送信周期[T]に所定の時間[α]を加えた時間、の経過に応じて消去される。ここで、T+α<2×T(即ち、T>α)であることが望ましい。
【0039】
次に、パケット処理部63のパケット作成部75で、自己のノードIDを発信元ノードIDとし、受信レベルを「0(所定の値)」とするエントリの組を生成して監視パケットに付加し、エントリ数に1を加えて新たな監視パケットを作成する(ステップ307)。
【0040】
そして、パケット処理部63のパケット送信部76及び通信制御部61から、ステップ307で作成した新たな監視パケットを送信する(ステップ308)。
【0041】
一方、ステップ306の後に、ステップ307~308とは独立して、警報処理部62は、ステップ306で記憶された経路情報の受信レベルの最低値を検出し(ステップ309)、該最低値が所定の条件になった場合(ステップ310)、該当する経路情報の、最低値の受信レベルのリンクの両端のノードに対して警報メッセージを送信する(ステップ311)。
【0042】
ここで、例えば、図1の構成において、無線アクセスポイント(無線AP)40Bは、図4(B)の監視パケットを受信レベル100で受信したとすると、ステップ307でエントリ1の内容を<指令センタ、100>として、図4(c)の監視パケットを作成して、ステップ308で送信する。
【0043】
さらに図4(C)の監視パケットを作業員50Aの通信装置60が受信レベル70で受信したとすると、ステップ306でエントリ記憶部74に記録する情報は、<指令センタ、100><無線AP40B、70>となり、ステップ308で送信する監視パケットは、図4(D)のようになる。ここで、作業員50Aの通信装置60が送信した監視パケットは、無線AP40Bも受信するが、監視パケットには自分自身のノードID(無線AP40B)が含まれているため、無線AP40Bは、その監視パケットを廃棄し、中継しない。
【0044】
図5は、各中継地点での通信装置60が記録する情報の内容を示す。上述したようなアルゴリズムの結果、各中継地点での通信装置60が記録するデータの内容は、図5のとおりになる(但し、受信レベルは、一例である)。ここでは、無線AP40Aと保守用車20Aの通信装置60は省略している。また、簡単のため、作業員50Aの通信装置を単に「作業員50A」と書いている。図5において、例えば、作業員50Bの通信装置60は、作業員50Aの通信装置60から直接受信する監視パケット(経路B->C)と、作業員50Aの通信装置60からの監視パケットを受信した保守用車20Aの通信装置60が送信する監視パケット(経路B->D->E)を両方受信するので、記録する情報は2経路になる。
【0045】
この図5により、指令センタ10のノードから自ノードまで経路がいくつあるか、各経路の電波状況はどのようになっているか、が解る。また各経路の情報は、一定時問経過したら(例えば、指令センタ10が監視パケットを送信する周期T+α)、消去される。
【0046】
図6は、端末装置60が警報メッセージを受信した場合の処理を示すフローチャートである。図6において、通信制御部61で警報メッセージを受信した場合(ステップ601)、図3に示した処理(ステップ301~311)とは独立して、移動検出部64で、移動中であるか否かを検出し(ステップ602)、移動中であると検出された場合には、警報処理部62によって出力部65から警報情報を出力する(ステップ603)。ステップ602で、移動中でない場合には、経路途中の他のノードの状態の変化による理由であるため、出力部65から警報情報を出力する必要がない。
【0047】
また、ステップ603で警報情報が出力された場合、中継装置80(図7参照)を介して監視パケットの受信を行うようにすることができ(ステップ604)、そのまま移動を停止するようにしてもよい(ステップ605)。
【0048】
次に、各ノード(通信装置60)が移動することによって、受信レベルが変化する場合について説明する。以下では、<例1>作業員50Bが移動して通信経路C,Eの受信レベルが変化する場合、<例2>作業員50A,50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路Bの受信レベルが変化する場合、<例3>作業員50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路C,Dの受信レベルが変化する場合、<例4>作業員50A、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路C,Eの受信レベルが変化する場合、について説明する。
【0049】
図1の状態でのノードIDと受信レベルの対応が図5の通りであるとする。ここで、各ノードは、自ノードヘのすべての経路ごとに最も低い受信レベルのリンクとそのリンク両端のノードを求める(すなわちその経路上で一番「弱い」リンクを求める)。図5の例では、作業員50A、作業員50B、保守用車20Bについては、それぞれ以下のようになる。
作業員50A通信装置 :70(無線AP40B~作業員50A通信装置の間)
作業員50B通信装置 :経路B->Cは60
(作業員50A通信装置~作業員50B通信装置の問)
経路B->D->Eは50
(保守用車20B通信装置~作業員50B通信装置の間)
保守用車20B通信装置:経路B->Dは70
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間、
作業員50A通信装置~保守用車20B通信装置の間)
経路B->C->Eは40
(作業員50B通信装置~保守用車20B通信装置の間)
【0050】
ここで、警報を発する条件は、以下を全て満たす場合である。
(A)限界受信レベル(=L1)を超える経路数が1個
(B)警報受信レベル(=L2)を超える経路数が0個
上記(A)及び(B)は、「ある程度の品質で通信できる経路が1つしかない(その経路が使えなくなれば孤立する(通信不能になる)可能性がかなりある)」という状況である。ここで、L1及びL2は事前に決められた値であり、L1<L2である。
【0051】
上記(A),(B)の条件が満たされた場合、該当する経路の最低受信レベルのリンクの両端のノードに向けて「警報メッセージ」を送信する。ここで、自分自身が該当すれば自分宛てにも送信する。「警報メッセージ」を受信したノードは、自分が移動していれば警報を発する。保守作業で使用する作業員50A,50Bの通信装置60にはGPSが移動検出部64として付いているので、速度は判定できる。また保守用車20A,20Bの場合は、移動検出部64として速度計を利用することもできる。ここで、L1=30及びL2=40に設定している場合、図1の状態では、どのノードも警報を発しない。
【0052】
<例1>作業員50Bが移動して通信経路C,Eの受信レベルが変化する場合
図7は、作業員50Bが移動して通信経路C,Eの受信レベルが変化する場合の状態を示す図である。図8は、作業員50Bが移動したときの、各装置の監視パケットの受信状況を示す図である。図8(A)におけるノードIDと受信レベルの関係は、
作業員50A通信装置 :70
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間)
作業員50B通信装置 :経路B->Cは35
(作業員50A通信装置~作業員50B通信装置の間)
経路B->D->Eは25
(保守用車20B通信装置~作業員50B通信装置の間)
保守用車20B通信装置:経路B->Dは70
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間、
作業員50A通信装置~保守用車20B通信装置の間)
経路B->C->Eは25
(作業員50B通信装置~保守用車20B通信装置の間)
のようになる。ここで、下線部が変化した受信レベルである。
【0053】
作業員50B通信装置は、条件(A)及び(B)にマッチするので作業員50A通信装置と作業員50B通信装置に向けて「警報メッセージ」を送信する。作業員50B通信装置は移動しているので、作業員50B通信装置は警報を発し、そこで作業員50Bは手持ちの中継装置80をその場所に置いて(図7)移動を続けたり、その場所に留まったりする。また作業員50A通信装置は警報依頼メッセージを受信するが移動していないので警報は発せられない。また保守用車20B通信装置は条件(A)及び(B)を満たさないので何もしない。この結果の受信状況は、図8(B)のようになる。作業員50B通信装置は、作業員50A通信装置から直接受信する経路と、中継装置80を経由する経路の2つが確保できたので、警報は発せられない。また、作業員50Bがさらに移動すると、作業員50A通信装置~中継装置80~作業員50B通信装置という経路しか確保できなくなるため、作業員50B通信装置から作業員50A通信装置と中継装置80に向けて「警報メッセージ」が送信されるが、作業員50A通信装置も中継装置80も移動していないので何も起こらない。中継装置80~作業員50B通信装置間の受信状況が悪くなった時に再度作業員50B通信装置が警報を発する。
【0054】
<例2>作業員50A,50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路Bの受信レベルが変化する場合
図9(A)は、作業員50A,50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路Bの受信レベルが変化する場合の監視パケットの受信状況を示す図である。作業員50A通信装置、作業員50B通信装置、保守用車20B通信装置のグループが移動するにつれて、監視パケットの受信状況は、図9(A)のようになる。下線部が、変化した受信レベルである。
作業員50A通信装置 :35
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間)
作業員50B通信装置 :経路B->Cは35
(無線AP40B~作業員50A通信装置の問)
経路B->D->Eは35
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間)
保守用車20B通信装置:経路B->Dは35
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間)
経路B->C->Eは35
(無線AP40B~作業員50A通信装置の間)
【0055】
作業員50A通信装置は、図7の作業員50B通信装置と同じ状況になるので、無線AP40Bと作業員50A通信装置に向けて「警報メッセージ」を送信し、作業員50A通信装置は警報を発する。無線AP40Bは警報メッセージを受信するが移動していないので警報は発せられない。また作業員50B通信装置や保守用車20B通信装置は条件(A)を満たさないので何もしない。
【0056】
<例3>作業員50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路C,Dの受信レベルが変化する場合
図9(B)は、作業員50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路C,Dの受信レベルが変化する場合の監視パケットの受信状況を示す図である。作業員50B通信装置、保守用車20B通信装置のグループが移動するにつれて、監視パケットの受信状況は、図9(B)のようになる。下線が、変化した受信レベルである。
作業員50B通信装置 :経路B->Cは35
(作業員50A通信装置~作業員50B通信装置の間)
経路B->D->Eは25
(作業員50A通信装置~保守用車20B通信装置の間)
保守用車20B通信装置:経路B->Dは25
(作業員50A通信装置~保守用車20B通信装置の間)
経路B->C->Eは35
(作業員50A通信装置~作業員50B通信装置の間)
【0057】
作業員50B通信装置と保守用車20B通信装置はともに、条件(A)及び(B)にマッチするので作業員50A通信装置と作業員50B通信装置に向けて「警報メッセージ」を送信する。作業員50B通信装置は移動しているので、作業員50B通信装置は警報を発し、そこで作業員50Bは手持ちの中継装置80をその場所に置いて移動を続けたり、その場所に留まったりする。また作業員A通信装置は警報メッセージを受信するが移動していないので警報は発せられない。
【0058】
<例4>作業員50A、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路C,Eの受信レベルが変化する場合
この場合は、作業員50B通信装置、保守用車20B通信装置から見ると上記<例3>と同じ状況になるため、この両者が作業員50A通信装置と作業員50B通信装置に向けて「警報メッセージ」を送信する。しかし、この場合は作業員50B通信装置は停止しているので警報は発せられない。一方、作業員50A通信装置は警報が発せられる。
【0059】
以上のように、中継装置80を置く等の処置が必要な通信装置60にのみ警報が発せられるとともに、その処置が行われれば通信を継続することが可能になる。さらに、付加的な効果として、監視パケットを一定時間以上受信しなければ自分がネットワークから孤立していることが分かるので、通信装置の所持者に注意を促すことができる。
【0060】
上述のように、本発明の通信装置及び通信方法によれば、アドホックネットワーク技術を利用し、通信経路が所定の条件になった場合、警報を出して通知すると共に中継装置などの利用を促すことによって、低コストで確実に通信経路を確保することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の通信装置を利用する鉄道沿線の保守点検作業を示す図である。
【図2】アドホックネットワークに接続可能なアドホック端末である本発明の通信装置の一例を示す図である。
【図3】本発明のアドホックネットワークに接続可能な通信装置における、通信経路を確保する通信方法を示すフローチャートである。
【図4】監視パケットの構造を示す図である。
【図5】各中継地点での通信装置60が記録する情報の内容を示す。
【図6】端末装置60が警報メッセージを受信した場合の処理を示すフローチャートである。
【図7】作業員50Bが移動して通信経路C,Eの受信レベルが変化する場合の状態を示す図である。
【図8】作業員50Bが移動したときの、各装置の監視パケットの受信状況を示す図である。
【図9】(A)作業員50A,50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路Bの受信レベルが変化する場合の監視パケットの受信状況を示す図、(B)作業員50B、保守用車20Bが1グループとして移動し、通信経路C,Dの受信レベルが変化する場合の監視パケットの受信状況を示す図である。
【図10】通信装置を利用した従来からの鉄道保守作業を示す図である。本発明の通信装置を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10,110 指令センタ
20A,20B,120A,120B 保守用車
30,130 有線回線
40A,40B,140A,140B,140C 無線アクセスポイント
50A,50B,150A,150B 作業員
60 アドホック端末(通信装置)
61 通信制御部
62 警報処理部
63 パケット処理部
64 移動検出部
65 出力部
71 受信レベル測定部
72 ノードID検出部
73 エントリ処理部
74 エントリ記憶部
75 パケット作成部
76 パケット送信部
80 中継装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9