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明細書 :スラブ軌道の騒音低減構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4592454号 (P4592454)
公開番号 特開2006-249881 (P2006-249881A)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成18年9月21日(2006.9.21)
発明の名称または考案の名称 スラブ軌道の騒音低減構造
国際特許分類 E01B   1/00        (2006.01)
E01B  19/00        (2006.01)
E01B  37/00        (2006.01)
FI E01B 1/00
E01B 19/00 B
E01B 37/00 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2005-071900 (P2005-071900)
出願日 平成17年3月14日(2005.3.14)
審査請求日 平成19年6月29日(2007.6.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】北川 敏樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】須永 聡
参考文献・文献 特開昭49-082003(JP,A)
実開昭61-121201(JP,U)
特開昭48-027405(JP,A)
特開昭58-146603(JP,A)
調査した分野 E01B 1/00
E01B 3/46
E01B 19/00
E01B 37/00
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のスラブ版を積層することによって、スラブ軌道上を車両が走行するときに発生する騒音を低減するスラブ軌道の騒音低減構造であって、
前記車両が走行するレールを支持する第1の重量スラブ版と、
路盤上に設置される第2の重量スラブ版と、
前記第1の重量スラブ版と前記第2の重量スラブ版との間に挿入されてこの第1の重量スラブ版から前記路盤に伝わる振動を緩和する軽量スラブ版と、
前記第1の重量スラブ版と前記軽量スラブ版との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する第1の弾性材と、
前記軽量スラブ版と前記第2の重量スラブ版との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する第2の弾性材とを備え、
前記第1及び前記第2の弾性材のばね剛性は、前記レールと前記第1の重量スラブ版との間に挿入される弾性材のばね剛性よりも低いこと、
を特徴とするスラブ軌道の騒音低減構造。
【請求項2】
請求項に記載のスラブ軌道の騒音低減構造において、
前記第2の重量スラブ版と前記路盤との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する第3の弾性材を備えること、
を特徴とするスラブ軌道の騒音低減構造。
【請求項3】
請求項又は請求項に記載のスラブ軌道の騒音低減構造において、
前記第1の重量スラブ版は、前記軽量スラブ版の上面を被覆し、
前記第2の重量スラブ版は、前記軽量スラブ版の下面を被覆すること、
を特徴とするスラブ軌道の騒音低減構造。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のスラブ版を積層することによって、スラブ軌道上を車両が走行するときに発生する騒音を低減するスラブ軌道の騒音低減構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスラブ軌道の騒音低減構造(従来技術1)は、レールの長さ方向に多数のコンクリートスラブ片を並べて設置し、隣接するコンクリートスラブ片同士が接合する接合面を傾斜面に形成している(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1では、レール上を車両が走行してコンクリートスラブ片が振動したときに、隣接するコンクリートスラブ片同士の接合面に相対変位を発生させて、この接合面に生ずる摩擦によって振動を減衰させ騒音を低減させている。
【0003】
また、従来のスラブ軌道の騒音低減構造(従来技術2)は、コンクリートスラブと路盤との間に、圧縮コイルばねを有するばねユニットを備えている(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2では、レール上を車両が走行するときに発生する振動をばねユニットによって減衰させて騒音を低減させている。
【0004】

【特許文献1】特開平8-041801号公報
【0005】

【特許文献2】特開平8-158302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、従来のスラブ軌道を概略的に示す斜視図である。
従来のスラブ軌道102は、車両が走行するレール103と、このレール103をスラブ版106に締結するレール締結装置104と、このレール103を支持し路盤101上に設置されるコンクリート製のスラブ版106と、路盤101とスラブ版106との間に挿入される低いばね剛性のゴム製のスラブマット109などから構成されている。このような従来のスラブ軌道102では、レール103の底部下面とスラブ版106の上面との間に金属製のタイプレート104aが挿入されており、このタイプレート104aの上面とレール103の底部下面との間にはゴム製の軌道パッド104bが挿入されている。このような従来のスラブ軌道102では、軌道パッド104bのばね剛性が大きい場合には、レール103上を車両が走行するときにこの車両の車輪とレール103とが振動することによって発生する転動騒音を低減することができる。しかし、このような従来のスラブ軌道102では、軌道パッド104bのばね剛性が大きい場合には、車両の走行によって発生する振動エネルギーの大部分がスラブ版106から路盤101に伝わり、路盤101の振動によって大きな構造物騒音が発生する問題点がある。
【0007】
また、従来技術1では、コンクリートスラブ片を路盤上に多数並べて設置する必要があるため、多数のコンクリートスラブ片を現場に搬入して位置決めして並べるための作業が必要であり、作業に手間がかかり長時間を要するという問題点がある。また、従来技術2では、隣接するコンクリートスラブ片同士が接合面で直接接触する構造であるため、車両の走行による振動によってこの接合面が相対変位するとこの接合面が比較的短期間で摩耗し、交換作業に手間がかかりコストが高くなってしまう問題点がある。
【0008】
従来技術3では、コンクリートスラブの下面とばねユニットの上面と、路盤の上面とばねユニットの下面とをそれぞれボルトなどの締結部材によって連結する必要がある。このため、従来技術3では、コンクリートスラブとばねユニットとを現場に搬入してこのばねユニットを連結するための作業が必要になり、設置作業に手間がかかり長時間を要するという問題点があった。
【0009】
この発明の課題は、簡単な構造で施工が短時間であり沿線の騒音を低減させることができるスラブ軌道の騒音低減構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、複数のスラブ版(6,7,10)を積層することによって、スラブ軌道(1)上を車両が走行するときに発生する騒音を低減するスラブ軌道の騒音低減構造であって、前記車両が走行するレール(3)を支持する第1の重量スラブ版(6)と、路盤(2)上に設置される第2の重量スラブ版(10)と、前記第1の重量スラブ版と前記第2の重量スラブ版との間に挿入されてこの第1の重量スラブ版から前記路盤に伝わる振動を緩和する軽量スラブ版(7)と、前記第1の重量スラブ版と前記軽量スラブ版との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する第1の弾性材(8)と、前記軽量スラブ版と前記第2の重量スラブ版との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する第2の弾性材(9)とを備え、前記第1及び前記第2の弾性材のばね剛性は、前記レールと前記第1の重量スラブ版との間に挿入される弾性材(4b)のばね剛性よりも低いことを特徴とするスラブ軌道の騒音低減構造(5)である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項に記載のスラブ軌道の騒音低減構造において、前記第2の重量スラブ版と前記路盤との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する第3の弾性材(11)を備えることを特徴とするスラブ軌道の騒音低減構造である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項又は請求項に記載のスラブ軌道の騒音低減構造において、前記第1の重量スラブ版は、前記軽量スラブ版の上面を被覆し、前記第2の重量スラブ版は、前記軽量スラブ版の下面を被覆することを特徴とするスラブ軌道の騒音低減構造である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、簡単な構造で施工が短時間であり沿線の騒音を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の使用状態を概略的に示す斜視図である。図2は、この発明の第1実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の正面図である。
図1及び図2に示す路盤1は、軌道を支持する基盤であり、鉄道車両が通過するときに荷重を支持する構造物である。路盤1は、例えば、スラブ軌道区間に設置される路盤コンクリートであり、図1に示すようにスラブ版6,7の水平力を支えるために所定の間隔をあけて突起(突起コンクリート)2aが形成されている。
【0019】
図1及び図2に示すスラブ軌道2は、道床とまくらぎとを一体化させた軌道である。スラブ軌道2は、道床バラストとまくらぎとを用いた一般的な有道床軌道の保守作業を低減されるために開発された省力化軌道の一種である。スラブ軌道2は、図1に示すように、レール3と、レール締結装置4と、騒音低減構造5とを備えている。
【0020】
図1及び図2に示すレール3は、鉄道車両の車輪を支持し案内してこの鉄道車両を走行させる部材である。レール3は、鉄道車両の車輪と接触するレール頭部3aと、スラブ版6に設置されるレール底部3bと、レール頭部3aとレール底部3bとを繋ぐレール腹部3cとから構成されている。レール底部3bには、締結ばね4cによって押さえ付けられる底部上面3dと、スラブ版6に設置される底部下面3eとが形成されている。
【0021】
レール締結装置4は、レール3をスラブ版6に締結する装置である。レール締結装置4は、図1に示すように、レール3の長さ方向に沿って所定の間隔をあけてこのレール3をスラブ版6に締結する。レール締結装置4は、レール3を上下方向及び左右方向に調整可能な構造であり、車両が通過する際に発生する振動を吸収する緩衝機能を有する。レール締結装置4は、図2に示すように、タイプレート4aと、軌道パッド4bと、締結ばね4cと、締結ボルト4dと、ボルト4eなどを備えている。
【0022】
タイプレート4aは、レール3とスラブ版6との間に挿入される板状の締結用部材であり、レール3の水平方向の移動を規制する。軌道パッド4bは、レール3とタイプレート4aとの間に挿入される緩衝用の板状部材であり、車両が通過する際に発生する衝撃荷重を緩和するとともに、レール3が長手方向に移動するふく進に対する抵抗力を確保するために、レール底部3bの底部下面3eとタイプレート4aの上面との間に挟み込まれる加硫ゴム製やウレタン製の板状部材である。軌道パッド4bは、スラブ版6の表面を保護する機能と電気的に絶縁する機能とを有する。締結ばね4cは、レール3を押さえ付けて締結するばねである。締結ばね4cは、例えば、板状のばね鋼を略U字状に折り曲げて形成した板ばね(主ばね)であり押さえ金(ばねクリップ)として機能する。締結ボルト4dは、締結ばね4cを締め付ける部材であり、タイプレート4aの雌ねじ部と噛み合う六角ボルトなどである。締結ボルト4dは、レール底部3bの底部上面3dに締結ばね4cを押し付けている。ボルト4eは、タイプレート4aをスラブ版6に固定する部材である。
【0023】
騒音低減構造5は、複数のスラブ版6,7を積層することによって、スラブ軌道2上を車両が走行するときに発生する騒音を低減する構造である。騒音低減構造5は、車両の走行によってスラブ版6が振動したときに、スラブ版6から路盤1に伝わるこの振動エネルギーをスラブ版7によって吸収し、このスラブ版7の振動を弾性材8,9によって緩衝させる。騒音低減構造5は、図1及び図2に示すように、スラブ版6,7と弾性材8,9とを備えており、二つに分割されたスラブ版6,7からなる二重構造(サンドイッチ構造)によって沿線の騒音を低減する。騒音低減構造5は、例えば、スラブ版6,7及び弾性材8,9の厚さの合計が、図5に示すような従来のスラブ軌道102のスラブ版106及びスラブマット109の厚さの合計と略等しくなるように工場生産され現場に搬入敷設される。
【0024】
スラブ版6は、車両が走行するレール3を支持する重量スラブ版である。スラブ版6は、矩形平板状のプレキャストのコンクリート版(軌道スラブ)である。スラブ版6は、図5に示すような従来のスラブ軌道102のスラブ版106と同一の幅及び長さ(例えば、長さ5m×幅2m程度)を有するが、このスラブ版106に比べて厚さが薄く形成されている。スラブ版6は、スラブ版7が振動してこのスラブ版7から騒音が放射するのを抑制するために、このスラブ版7の上面を被覆している。
【0025】
スラブ版7は、スラブ版6と路盤1との間に挿入されて、このスラブ版6からこの路盤1に伝わる振動を緩和する軽量スラブ版である。スラブ版7は、スラブ版6よりも軽量に形成されている。スラブ版7は、例えば、矩形平板状のプレキャストのコンクリート版(軌道スラブ)を使用する場合には、スラブ版6と同一の幅及び長さに形成しこのスラブ版6よりも薄く形成する。スラブ版7は、レール3上を車両が走行して振動が発生したときに、路盤1とスラブ版6との間で振動することによって、スラブ版6から路盤1に伝わる振動を緩和し、スラブ版6から路盤1に伝わる振動を低減させる。
【0026】
弾性材8は、スラブ版6とスラブ版7との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する部材である。弾性材8のばね剛性は、レール3とスラブ版6との間に挿入される軌道パッド4bのばね剛性よりも低い。弾性材8は、例えば、自動車の廃タイヤなどの再生ゴムによって形成された矩形平板状のゴム板であり、スラブ版6,7と同一の長さ及び幅で形成されている。
【0027】
弾性材9は、スラブ版7と路盤1との間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する部材である。弾性材9は、弾性材8と同一の寸法及び材質によって形成された矩形平板状のゴム板であり、弾性材9のばね剛性は弾性材8と同様に軌道パッド4bのばね剛性よりも低い。弾性材8,9は、スラブ版7を上下方向から挟み込んでおり、このスラブ版7が振動したときにこの振動を減衰させて、このスラブ版7から発生する騒音を低減させる機能を有する。
【0028】
次に、この発明の第1実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の作用を説明する。
図1及び図2に示す軌道パッド4bのばね剛性が高く、レール締結装置4によってレール3とスラブ版6とが硬く締結されている場合には、レール3上を車両が走行するときに発生する転動騒音が減少する。一方、レール3上を車両が走行するときに発生する振動の大部分がスラブ版6からスラブ版7に伝わるが、重量が比較的重いスラブ版6と路盤1との間には、重量が比較的軽いスラブ版7が挟み込まれている。このため、スラブ版6が振動するとスラブ版7が容易に振動し、スラブ版6の振動エネルギーがスラブ版7の振動エネルギーとして使用されてスラブ版7の振動エネルギーに置き換えられ吸収される。その結果、スラブ版6から路盤1に伝わるこの振動エネルギーがスラブ版7によって緩衝されて、スラブ版6から路盤1に伝わる振動が低減し構造物騒音が低減する。また、スラブ版7の上面がスラブ版6に覆われており、スラブ版7の下面が路盤1に覆われているため、スラブ版7が振動したときにこのスラブ版7から発生する騒音が抑えられる。
【0029】
この発明の第1実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、重量のスラブ版6と路盤1との間に挿入された軽量のスラブ版7がスラブ版6から路盤1に伝わる振動を緩和し、スラブ版6とスラブ版7との間に弾性を付与する弾性材8が挿入され、スラブ版7と路盤1との間に弾性を付与する弾性材9が挿入されている。このため、レール3上を車両が走行してスラブ版6が振動したときに、スラブ版6から路盤1に伝わる振動エネルギーを低減させて、鉄道沿線の騒音を低減させることができる。
【0030】
(2) この第1実施形態では、弾性材8,9のばね剛性が軌道パッド4bのばね剛性よりも低い。このため、レール3上を車両が走行するときに発生する転動騒音と構造物騒音とを低減することができる。
【0031】
(3) この第1実施形態では、スラブ版6がスラブ版7の上面を被覆している。このため、スラブ版7が振動したときにこのスラブ版7から発生する騒音を低減することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図3は、この発明の第2実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の使用状態を概略的に示す斜視図である。図4は、この発明の第2実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の正面図である。以下では、図1及び図2に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図3及び図4に示す騒音低減構造5は、スラブ版6,7,10と弾性材8,9,11とを備えており、三つに分割されたスラブ版6,7,10からなる三重構造(サンドイッチ構造)によって沿線の騒音を低減する。騒音低減構造5は、例えば、スラブ版6,7,10及び弾性材8,9,11の厚さの合計が、図5に示すような従来のスラブ軌道102のスラブ版106及びスラブマット109の厚さの合計と略等しくなるように工場生産され現場に搬入敷設される。
【0033】
スラブ版10は、路盤1上に設置される重量スラブ版であり、スラブ版6とスラブ版10との間にスラブ版7が挿入されており、スラブ版7の上面をスラブ版6が被覆し、スラブ版7の下面をスラブ版10が被覆している。スラブ版10は、スラブ版6,7と同一の幅、長さ及び厚さを有する矩形平板状のプレキャストのコンクリート版(軌道スラブ)である。弾性材9は、スラブ版7とスラブ版10との間に挿入されてこれらに弾性を付与する層であり、弾性材8,9のばね剛性は軌道パッド4bのばね剛性よりも低い。弾性材11は、スラブ版10と路盤1とに間に挿入されてこれらの間に弾性を付与する層であり、弾性材8,9と同一の寸法及び材質によって形成された矩形平板状のゴム板である。弾性材8は、スラブ版10から路盤1に伝わる振動を低減し騒音の拡散を抑制する機能を有する。
【0034】
次に、この発明の第2実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の作用を説明する。
図3及び図4に示すレール3上を車両が走行するときに発生する振動がスラブ版6からスラブ版7に伝わるため、スラブ版6からの振動エネルギーによってスラブ版7が振動する。重量が比較的重いスラブ版6と重量が比較的に重いスラブ版10との間に、重量が比較的軽いスラブ版7が挟み込まれている。このため、スラブ版6が振動するとスラブ版7が容易に振動し、スラブ版6の振動エネルギーがスラブ版7の振動エネルギーとして使用されてスラブ版7の振動エネルギーに置き換えられ吸収される。その結果、スラブ版6から路盤1に伝わるこの振動エネルギーがスラブ版7によって緩衝されて、スラブ版6から路盤1に伝わる振動が低減し構造物騒音が低減する。また、スラブ版7の上面がスラブ版6に覆われており、スラブ版7の下面がスラブ版10に覆われているため、スラブ版7が振動したときにこのスラブ版7から発生する騒音が抑えられる。さらに、スラブ版10から路盤1に伝わる振動を弾性材8が低減し騒音の拡散を抑制する。
【0035】
この発明の第2実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、重量のスラブ版6と重量のスラブ版10との間に軽量のスラブ版7が挿入されている。このため、第1実施形態に比べて、スラブ版7の振動をより一層低減させることができる。また、この第2実施形態では、スラブ版10と路盤1との間に弾性材11が挿入されている。このため、第1実施形態に比べて、スラブ版10から路盤1に伝わる振動をより一層低減することができる。
【0036】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、路盤1がコンクリート路盤である場合を例に挙げて説明したが、路盤1が土構造物である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、レール3とスラブ版6との間にタイプレート4aを挿入してこれらを締結するレール締結装置4を使用する場合を例に挙げて説明したが、タイプレート4aを省略してレール3をスラブ版6に直結する直結型のレール締結装置を使用する場合についてもこの発明を適用することができる。
【0037】
(2) この実施形態では、弾性材8,9,11がゴムである場合を例に挙げて説明したが、ばねなどの他の弾性材を使用することもできる。また、この実施形態では、スラブ版7と路盤1との間に弾性材9を挿入し、スラブ版10と路盤1との間に弾性材11を挿入する場合を例に挙げて説明したが、この構造に限定するものではない。例えば、セメントとアスファルトとを混合した混合モルタル(CAモルタル)からなるてん充層を弾性材9,11と路盤1との間に形成して、高低及び弾性を調整することもできる。
【0038】
(2) この第2実施形態では、スラブ版10と路盤1との間に弾性材11を挿入する場合を例に挙げて説明したが、この弾性材11を省略することもできる。また、この第2実施形態では、弾性材11がゴムなどである場合を例に挙げて説明したが、弾性材11の代わりにスラブマットを使用したりてん充層を形成したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の第1実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の使用状態を概略的に示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の正面図である。
【図3】この発明の第2実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の使用状態を概略的に示す斜視図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係るスラブ軌道の騒音低減構造の正面図である。
【図5】従来のスラブ軌道を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 路盤
2 スラブ軌道
3 レール
4 レール締結装置
4b 軌道パッド(弾性材)
5 騒音低減構造
6 スラブ版(重量スラブ版)(第1の重量スラブ版)
7 スラブ版(軽量スラブ版)
8 弾性材(第1の弾性材)
9 弾性材(第2の弾性材)
10 スラブ版(第2の重量スラブ版)
11 弾性材(第3の弾性材)

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4