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明細書 :超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4335162号 (P4335162)
公開番号 特開2006-262542 (P2006-262542A)
登録日 平成21年7月3日(2009.7.3)
発行日 平成21年9月30日(2009.9.30)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
発明の名称または考案の名称 超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置及びその製造方法
国際特許分類 B60L  13/03        (2006.01)
FI B60L 13/02 A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 12
出願番号 特願2005-072441 (P2005-072441)
出願日 平成17年3月15日(2005.3.15)
審査請求日 平成19年7月20日(2007.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000108580
【氏名又は名称】タカオカ化成工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】鈴木 正夫
【氏名】饗庭 雅之
【氏名】田中 実
【氏名】岡田 重紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】根本 徳子
参考文献・文献 特開2003-032811(JP,A)
特開平06-020830(JP,A)
調査した分野 B60L 13/03
H01F 7/20
H01F 41/12
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)推進・浮上・案内機能を有する巻線コイルと、
(b)該巻線コイル上に配置される表面に導電性処理を施したFRP板と、
(c)該FRP板上に配置される表面強化のための保護層と、
(d)前記巻線コイルとFRP板と保護層を一体化する封止樹脂とを具備することを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置。
【請求項2】
請求項1記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層がガラスクロスシートからなることを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置。
【請求項3】
請求項1記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層がガラスマット上に金属メッシュを有することを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置。
【請求項4】
請求項1記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層が導電性ポリウレタンフォーム上に導電性不織布を有することを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置。
【請求項5】
請求項1記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層がガラスクロスシート上に導電性ラバーシートを有することを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置。
【請求項6】
コイル成形時に導電性処理を施したFRP板と表面強化のための保護層を金型にセットしてモールド樹脂により一体化させることを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法において、前記モールド樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法において、前記表面強化のための保護層がガラスクロスシートからなることを特徴とする超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導磁気浮上式鉄道に配置される地上コイル装置及びその製造方法に係り、特に、推進・浮上・案内機能を有する一体化されたPLG地上コイルの保護層の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図16は従来の超電導磁気浮上式鉄道の地上コイル装置の模式図、図17は超電導磁気浮上式鉄道のPLG地上コイル装置の模式図である。
【0003】
超電導磁気浮上式鉄道において、従来の地上コイルでは、図16に示すように、ガイドウェイ100の両側に設けられるガイドウェイ側壁101には特別高圧機器である推進用地上コイル102が配置され、その車両側(軌道側)に低圧の浮上・案内用地上コイル103を配置するようにしていた。すなわち、ガイドウェイ側壁101に地上コイルを二層に配置するようにしていた。
【0004】
一方、コスト低減を狙いとした将来向けシステムとして、図17に示すように、ガイドウェイ200の両側に設けられるガイドウェイ側壁201に、同一コイルで地上コイルの3機能(推進・浮上・案内)を兼用できるPLG地上コイル202を配置する方式が検討されている。
【0005】
しかしながら、このPLG地上コイル方式では地上コイル202が単層配置となるため、特別高圧機器であるPLG地上コイル202が車両側(軌道側)に露出することになり、感電防止及び軌道側からの飛来物によるコイル破損防止対策が求められていた。

【特許文献1】特開平7-211545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
山梨実験線で使用している推進用地上コイルは、公称電圧が22kVの特別高圧機器であり、変電所からの電力供給中は高電圧が印加され、コイルの表面電位が上昇している。何らかのトラブル対応によりガイドウェイ上にて保守・点検作業をする必要が生じた場合には、推進コイルからの感電防止対策が不可欠である。
【0007】
また、ガイドウェイに設置された地上コイルは、500km/hの超高速列車の走行により、絶えず飛来物の危険に曝されている。そのため、ガイドウェイ内の微小ゴミや車両からの微小部品の落下により、コイル表面が損傷を受ける可能性は極めて高い。推進コイルのモールド材として使用しているエポキシ樹脂には電気絶縁機能を優先させているため、機械的強度 (特に耐衝撃強度)に劣り、これに対する何らかの表面保護が必要となる。
【0008】
そこで、これまでの検討では、FRP等の保護板(厚さ5~7mm)をコイル表面の10~20箇所にボルトで締結、もしくは保護板をコイル表面に接着させる等の案が一般的であった。
【0009】
しかし、このようなFRP保護板は、後作業でコイル表面に取付けることになるため、施工に時間がかかったり、施工時にバラツキが生じるなどの問題があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、電気絶縁性が高く、かつ機械的強度にも優れたた保護層を有する超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、推進・浮上・案内機能を有する(PLG)巻線コイルと、この巻線コイル上に配置される表面に導電性処理を施したFRP板と、このFRP板上に配置される表面強化のための保護層と、前記巻線コイルとFRP板と保護層を一体化する封止樹脂とを具備することを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層がガラスクロスシートからなることを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔1〕記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層がガラスマット上に金属メッシュを有することを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層が導電性ポリウレタンフォーム上に導電性不織布を有することを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔1〕記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置において、前記保護層がガラスクロスシート上に導電性ラバーシートを有することを特徴とする。
【0016】
〔6〕超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法において、コイル成形時に導電性処理を施したFRP板と表面強化のための保護層を金型にセットしてモールド樹脂により一体化させることを特徴とする。
【0017】
〔7〕上記〔6〕記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法において、前記モールド樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0018】
〔8〕上記〔6〕又は〔7〕記載の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法において、前記表面強化のための保護層がガラスクロスシートからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電気絶縁性が高く、かつ機械的強度にも優れた保護層を有する超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置を提供することができる。すなわち、
(1)一体成形によりコイル内部に保護層を内蔵させるため、施工のバラツキが解消され、信頼性の高い地上コイルが提供できる。
(2)保護板を後作業で取り付ける必要が無く、日常の保守作業において、省力化が狙える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置は、巻線コイルと、この巻線コイル上に配置される表面に導電性処理を施したFRP板と、このFRP板上に配置される表面強化のための保護層と、前記巻線コイルとFRP板と保護層を一体化する封止樹脂とを具備する。よって、電気絶縁性が高く、かつ機械的強度にも優れた保護層を有する超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置を提供することができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の部分断面図である。
【0023】
この図において、1は推進・浮上・案内機能を有する(PLG)巻線コイル、2は表面に導電性処理を施した(ここでは、導電性塗料を塗布した)FRP板、3はそのFRP板2上の表面強化のための保護層、4は巻線コイル1とFRP板2と保護層3とを一体化するモールド樹脂、5は下金型、6は上金型である。
【0024】
このように構成したことで、巻線コイル1とFRP板2及び保護層3はコイル成形時に一体化することができる。
【0025】
以下、この超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の製造方法を詳細に説明する。
【0026】
まず、各要素について説明する。
【0027】
図2は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の巻線コイルを示す図であり、図2(a)はその平面図、図2(b)はその側面図である。
【0028】
これらの図において、この巻線コイル11は日の字形状をしており、その表面にはガラスクロステープ(図示なし)が巻かれている。また、内渡り部11A,11Bや段間絶縁用スペーサ11C,TIG溶接と絶縁処理部11D,口出し端子導体11Eなどを備えている。
【0029】
図3は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置のFRP板を示す図である。
【0030】
この図において、保護板としてのFRP板12は上記した巻線コイル11をカバーする大きさを有しており、サンドブラスト処理の後、導電塗装が施される。そのFRP板12の厚さは1.2mmである。ここで、12A,12Bは穴あき部、12Cは金型固定部である。
【0031】
図4は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層としてのガラスクロスシートを示す図である。
【0032】
このガラスクロスシート13は上記した巻線コイル11及びFRP板12をカバーする大きさを有しており、その厚みは積層で3mmである。ここで、13A,13Bは穴あき部である。
【0033】
そこで、図2に示す巻線コイル11上には、図3に示すようなFRP板12がスペーサを介して配置され、その上に、図4に示すようなガラスクロスシート13が配置される。
【0034】
そして、下金型5と上金型6にそれらがセットされた後、注型タンクでエポキシ樹脂が注入されて樹脂封止される。
【0035】
このようにして、図5に示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置が製造される。
【0036】
図5は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置を示す図であり、図5(a)はその平面図、図5(b)はその側面図、図5(c)は図5(a)のA-A線(締結部)拡大断面図である。
【0037】
これらの図において、14は超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置であり、締結部には金属ブッシュ14Aが配置され、口出し端子導体11E上へもFRP板12及びガラスクロスシート13が延びている。14Bはケーブル接続用金具である。
【0038】
このように、図5(c)から明らかなように、巻線コイル11の車両側の表面には導電塗装が施されるFRP板12に保護層としてのガラスクロスシート13がエポキシ樹脂15でモールドされている。
【0039】
以下、本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層の他の実施例について説明する。
【0040】
図6は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層(その1)を示す断面図である。
【0041】
この図において、21はガラスマット、22はそのガラスマット21の表面に形成される金属メッシュである。
【0042】
図7は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層(その2)を示す断面図である。
【0043】
この図において、31は導電性ポリウレタンフォーム、32はその導電性ポリウレタンフォーム31の両面に形成される導電性不織布である。
【0044】
図8は本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層(その3)を示す断面図である。
【0045】
この図において、41はガラスマット、42はそのガラスマットの片面に形成される厚手の導電性不織布又は導電ラバーシートである。
【0046】
このように構成したので、高電圧33kVが印加されるコイルであっても感電を防止できるとともに、車両側からの飛来物に対する機械的強度を高めることができる。
【0047】
さらに、本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の工程の詳細を図9~図15に示す。
【0048】
図9に示すようなガラスクロスシート上に、図10に示すように導電性処理を施したFRP板が配置され、金型内に巻線コイルとともにセットされて、注型タンクと硬化炉で図11に示すようにエポキシ樹脂が注入されて樹脂封止され硬化される。その後、図12に示すようにアフターキュアを行い、図13に示すように半導電塗料を塗布し、図14に示すように、耐候性塗料を塗布し、図15に示すような、超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置(車両側からの外観)が製造される。
【0049】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置及びその製造方法は、感電の恐れがなく、かつ機械的強度が高い超電導磁気浮上式鉄道用地上コイルとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の部分断面図である。
【図2】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の巻線コイルを示す図である。
【図3】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置のFRP板を示す図である。
【図4】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層としてのガラスクロスシートを示す図である。
【図5】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置を示す図である。
【図6】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層(その1)を示す断面図である。
【図7】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層(その2)を示す断面図である。
【図8】本発明の超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の保護層(その3)を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第1の工程を示す図である。
【図10】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第2の工程を示す図である。
【図11】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第3の工程を示す図である。
【図12】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第4の工程を示す図である。
【図13】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第5の工程を示す図である。
【図14】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第6の工程を示す図である。
【図15】本発明の実施例を示す超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置の第7の工程を示す図である。
【図16】従来の超電導磁気浮上式鉄道の地上コイル装置の模式図である。
【図17】超電導磁気浮上式鉄道のPLG地上コイル装置の模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1,11 推進・浮上・案内機能を有する(PLG)巻線コイル
2,12 導電性塗料を塗布したFRP板
3 表面強化のための保護層
4,15 モールド樹脂
5 下金型
6 上金型
11A,11B 内渡り部
11C 段間絶縁用スペーサ
11D TIG溶接と絶縁処理部
11E 口出し端子導体
12A,12B,13A,13B 穴あき部
12C 金型固定部
13 ガラスクロスシート
14 超電導磁気浮上式鉄道用地上コイル装置
14A 金属ブッシュ
14B ケーブル接続用金具
21,41 ガラスマット
22 金属メッシュ
31 導電性ポリウレタンフォーム
32 導電性不織布
42 厚手の導電性不織布又は導電ラバーシート
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16