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明細書 :スイッチアジャスタ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4359256号 (P4359256)
公開番号 特開2006-265934 (P2006-265934A)
登録日 平成21年8月14日(2009.8.14)
発行日 平成21年11月4日(2009.11.4)
公開日 平成18年10月5日(2006.10.5)
発明の名称または考案の名称 スイッチアジャスタ
国際特許分類 E01B   7/22        (2006.01)
FI E01B 7/22
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2005-085529 (P2005-085529)
出願日 平成17年3月24日(2005.3.24)
審査請求日 平成19年6月28日(2007.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】五十嵐 義信
個別代理人の代理人 【識別番号】100079201、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 光正
審査官 【審査官】須永 聡
参考文献・文献 特開平09-086412(JP,A)
実開平06-059187(JP,U)
実開昭59-105573(JP,U)
特開平10-053136(JP,A)
実開平06-085401(JP,U)
調査した分野 E01B 7/00
E01B 7/22
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
転てつ棒に固着されたブラケットと、一端部が電気転てつ機の動作かんに枢着され、他端部に設けられたねじ部が前記ブラケットのスリーブに挿通されたロッドと、前記ブラケットのスリーブの両側において前記ロッドのねじ部に螺合された密着調整用の第一ナット及び第二ナットとからなるスイッチアジャスタにおいて、第一ナットには前記ブラケットのスリーブの中に挿入されて同スリーブが前記ロッドのねじ部に接触するのを阻止するスリーブを設け、第二ナットには、前記ブラケットのスリーブの中に挿入されて第二ナットを前記ブラケットのスリーブ方向に誘導するスリーブを設けるとともに、そのスリーブの基端部外周に球面又は円錐面の一部からなるリング状の当接面を設けたことを特徴とするスイッチアジャスタ。
【請求項2】
第一ナットのスリーブの基端部外周にも球面又は円錐面の一部からなるリング状の当接面を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項3】
第一ナットのスリーブの先端の外周に断面円弧状の凸条を設けたことを特徴とする請求項2に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項4】
第一ナットのスリーブの先端の外周及び第二ナットのスリーブの先端の外周に、それぞれ断面円弧状の凸条を設けたことを特徴とする請求項2に記載のスイッチアジャスタ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の分岐器を転換鎖錠する転換鎖錠装置のスイッチアジャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は転換鎖錠装置の一例を示す。図5に示すように、鉄道の分岐器のトングレール1を定位又は反位に転換し、そのトングレールを基本レール2に密着させる転換装置には、トングレールの転換、基本レールに対する密着調整を容易にするため、両トングレール1を連結する転てつ棒(タイバー)3の中央と電気転てつ機104の動作かん4との間にスイッチアジャスタSAが設けられている。
【0003】
このスイッチアジャスタSAは、図6~8に示すように、一端が動作かん4に枢着されたロッド5の他端のねじ部5aを転てつ棒3に固着されたブラケット6のスリーブ6aに貫通し、そのスリーブの両側におけるねじ部に第一ナット7と第二ナット8を螺合し、そのナットの締着位置の変更により、定位側密着度及び反位側密着度を調整するように構成されている。締着位置調整後のナット7,8と嵌合してその不要な回転を阻止するコ字形の固定金具9が取付金具10に溶接され、その取付金具10がブラケット6に、一例として両者の中央に設けられた孔10a,6bに貫通された軸11の先端に割ピン12を通して固着されている。
【0004】
トングレール1は太陽熱などより伸縮する。また、トングレールは車両通過の際に大きく振動する場合がある。このようなトングレールの伸縮と振動による転てつ棒3の破断を防ぐため、転てつ棒は複数の長尺部材を連結板で揺動自在に連結して構成されている。また、スイッチアジャスタSAのロッド5は、相当の重量を有するので、ロッドの軸線とブラケットのスリーブ6aの軸線とが一直線上で合致せずに交差する状態となることがある。この場合、ブラケット6とロッド5と両側のナット7,8が精密に組み付けてあると、多くの場合はブラケットが破断される虞がある。すなわち、転換が正常に行われない虞がある。
【0005】
これを防止するため、従来は、図8、図9に示すように、ブラケット6と両側のナット7,8の内、少なくとも一方のナット7との間には、規定により所定の間隙(通常、1~2cm程度)を設けて、ゆとり(マージン)を持たせることとされている。しかし、ナットを移動してトングレールの基本レールに対する密着の調整を行う際は、密着調整の最終段階においては、当該ナットとブラケットのスリーブの密着状態は精密でなければならない。すなわち、スイッチアジャスタには、組立は比較的緩やかである必要があると同時に、密着調整の最終段階におけるナット締着位置の設定は精密になされなければならないという、特殊な事情がある。

【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、旧来のスイッチアジャスタにおいて用いられている密着調整用ナットは、塊状のナット本体のみで構成されていたので、ロッドの軸線とブラケットのスリーブの軸線が不整合の状態にある際に転換時にロッド5のねじ部5aがスリーブ内を移動するときは、ブラケット6のスリーブ6aの端部がそのねじ部に係止されて、迅速に所定の転換位置まで到達できない、また、ブラケット6のスリーブ6aの摩耗が早い等の問題があることから、図8及び図9に示すように、一方のナット7にブラケット6のスリーブ6aに挿入されるスリーブ7aが一体に設けられた。このスリーブ付きナット7は、ロッド5のねじ部5aによるブラケットのスリーブ内での係止及び摩擦を軽減して円滑な移動を可能にする長所を有している。
【0007】
しかしながら、他方のナット8は、依然として塊状のナット本体のみで構成されているので、ロッド5の軸線とスリーブ6aの軸線が不整合の状態にある時は、スリーブ6aの長手方向端面の一部がナット8の平坦面に点接触する不安定な状態であるにもかかわらず、トングレールと基本レールとが密着しているものとして調整作業が終了されることがある。このような不安定状態で放置されると、次の列車通過時の振動などにより、ナット8とスリーブ6aの不安定な接触状態が安定状態に矯正される。すなわち、スリーブ6aの長手方向端面の全部がナット8の平坦面に面接触する方向に移動する。従って、転換されたトングレールの基本レールに対する密着度が低下する。このように、従来は、調整作業を一度行っても、精密な最終的調整にはならないので、後に再度又は再三の調整が必要となるため、メンテナンスが容易でなかった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、一度の調整作業により精密な密着調整が可能であり、後に再度の密着調整が必要とならないスイッチアジャスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記課題を解決するため、転てつ棒に固着されたブラケットと、一端部が電気転てつ機の動作かんに枢着され、他端部に設けられたねじ部が前記ブラケットのスリーブに挿通されたロッドと、前記ブラケットのスリーブの両側において前記ロッドのねじ部に螺合された密着調整用の第一ナット及び第二ナットとからなるスイッチアジャスタにおいて、第一ナットには前記ブラケットのスリーブの中に挿入されて同スリーブが前記ロッドのねじ部に接触するのを阻止するスリーブを設け、第二ナットには、前記ブラケットのスリーブの中に挿入されて第二ナットを前記ブラケットのスリーブ方向に誘導するスリーブを設けるとともに、そのスリーブの基端部外周に球面又は円錐面の一部からなるリング状の当接面を設けたことを特徴としている。
【0010】
上記構成により、転換動作時にロッドがブラケットに関して第二ナットと反対方向に移動されるときは、第二ナットのスリーブがブラケットのスリーブに挿入されているので、第二ナットはそのスリーブに誘導されて確実にブラケットのスリーブに接近する。そして、第二ナットがブラケットのスリーブに接近すると、スリーブの基端部外周に形成されているリング状の当接面がブラケットのスリーブの長手方向端面に環状に面接触するので、ロッドの軸線とブラケットのスリーブの軸線の整合、不整合に関わりなく、常に一定の安定した接触状態が得られる。従って、精密な密着調整を行うことができる。
【0011】
第一ナットのスリーブの基端外周にも球面又は円錐面の一部を設けることが好ましく(請求項2)、第一ナットの先端の外周に断面円弧状の凸条を設けると一層良く(請求項3)、第一ナットの先端の外周及び第二ナットの先端の外周にそれぞれ断面円弧状の凸条を設けると、さらに良い(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、転換動作時にロッドが移動されるときは第二ナットはそのスリーブに誘導されて確実にブラケットのスリーブに接近し、スリーブの基端部外周に形成されているリング状の当接面がブラケットのスリーブの長手方向端面に当接するので、ロッドの軸線とブラケットのスリーブの軸線の整合状態のいかんに関わりなく、常に安定した接触状態が得られる。従って、精密な密着調整を行うことができる。よって、組立ては緩やかでなければならず、かつ、密着調整は精密に行わなければならないという特殊な要求に応えることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、定位側と反位側のいずれの密着調整も精密に行うことができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、第一ナットのスリーブがブラケットのスリーブ内で円滑に移動でき、スリーブ同士の摩耗が防止される。
【0015】
請求項4の発明によれば、第一ナットのスリーブ及び第二ナットのスリーブがともにブラケットのスリーブ内で円滑に移動でき、スリーブ同士の摩耗が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施例について、図1ないし図3の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るスイッチアジャスタを構成するロッドの先端部の斜視図、図2は同端部とブラケットとの結合部分の一部省略断面図、図3はスリーブを有しないナットの断面図である。図5以下の図面に示された部材と同じ部材には同一の符号を用いる。
【0017】
図1、2の7は第一ナットであり、図8,9の従来のナットと同様に、ブラケット6のスリーブ6aに挿入されてロッドのねじ部5aがスリーブ6aに接触しないようにするためのスリーブ7aが一体に設けられている。そして、本発明では、第二ナット8にも外観は第一ナット7のスリーブ7aに似たスリーブ8aが一体に設けられているとともに、そのスリーブの基端、すなわち、スリーブ8aのナット8との接続部分の外周に、スリーブ8aの外周面からナット8の、ブラケットのスリーブ6aの長手方向端面に対向する面に向かって上り面となるリング状の当接面8bが形成されている。この当接面8bは、球面の一部又は円錐面の一部で構成されている。
【0018】
上記の構成において、今、ロッド5が図2において左方向に移動されると仮定する。この時、第二ナット8に図1,2に示されているスリーブ8aが無く、図3に示すように、ナットのブラケットのスリーブ6aに対向する面に当接面8bのみが設けられた場合は、ロッドの図2における左方向移動の際に、その当接面8bの全周がブラケットのスリーブ6aの中に安定的に嵌合する保証はない。とくに、ロッド5の軸線とブラケットのスリーブ6aの軸線が合致しない状態では、当接面8bの全周がブラケットのスリーブ6aの中に安定的に嵌合することは困難である。これに対し、本発明の実施例では、図1,2に示すように、第二ナット8のスリーブ8aはブラケット6のスリーブ6aに挿入されているので、ロッド5が左方向に移動する時は、スリーブ8aが当接面8bをブラケット6のスリーブ6aに確実に誘導するので、当接面8bはその全周がスリーブ6aに安定的に嵌合し、当接することができる。従って、その状態で第二ナット8を回転して所定位置まで移動した後、そのナットに固定金具9を嵌合することにより、精密に調整された位置に固定される。固定金具9は、図示の六角形のナットを用いる場合は、ナットを60度回転するたびに嵌合可能である。すなわち、ナットの角数分の一の回転角度単位で密着調整が可能である。
【0019】
本発明の他の実施の形態として、図1,2の第一ナット7のスリーブ7aの基端部の外周にも、第二ナット8のの当接面8aと同様の当接面を設けても良い。この場合は、ロッド5が図2において右方向に移動された場合に、第一ナット7の当接面はスリーブ7aに誘導されて、ブラケット6のスリーブ6aの長手方向端面に安定的に嵌合し、当接することができる。
【0020】
さらに、図4に示すように、第一ナット7のスリーブ7aの基端部に当接面7bを形成するほか、スリーブの径を先端部を残して小さくして、結果的に先端部に断面形状が円弧状の凸条7cを形成し、この凸条をブラケット6のスリーブ6aに挿入すると、図2に示された第一ナット7のスリーブ7aの先端がスリーブの軸線に対して直角な切断面を有する場合に比し、第一ナット7はブラケット6のスリーブ6a内を滑らかに移動することができ、スリーブ同士の摩耗を防止することができる。第二ナット8の先端部にも、凸条7cと同様な凸条を設ければ、、第一ナット7のスリーブ7a及び第二ナット8のスリーブ8aがともにブラケット6のスリーブ6a内で円滑に移動でき、スリーブ同士の摩耗が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るスイッチアジャスタのロッドの先端部を示す斜視図。
【図2】ブラケットとロッドの結合部分を示す断面図。
【図3】当接面のみを有し、スリーブを有しないナットの断面図。
【図4】本発明の他の実施例を示す要部断面図。
【図5】一般的な転換装置とスイッチアジャスタの設置状態を示す平面図。
【図6】従来のスイッチアジャスタの一部省略正面図。
【図7】図6の右側から見た側面図。
【図8】図6の要部の分解斜視図。
【図9】図6の要部の断面図。
【符号の説明】
【0022】
SA スイッチアジャスタ
5 ロッド
5a ねじ部
6 ブラケット
6a スリーブ
7 第一ナット
7a スリーブ
7b 当接面
7c 凸条
8 第二ナット
8a スリーブ
8b 当接面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8