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明細書 :トンネル覆工コンクリートの内面補強構造物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4536565号 (P4536565)
公開番号 特開2006-274629 (P2006-274629A)
登録日 平成22年6月25日(2010.6.25)
発行日 平成22年9月1日(2010.9.1)
公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
発明の名称または考案の名称 トンネル覆工コンクリートの内面補強構造物
国際特許分類 E21D  11/04        (2006.01)
FI E21D 11/04 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 8
出願番号 特願2005-093953 (P2005-093953)
出願日 平成17年3月29日(2005.3.29)
審査請求日 平成19年7月20日(2007.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000107044
【氏名又は名称】ショーボンド建設株式会社
【識別番号】505114570
【氏名又は名称】株式会社 復建エンジニヤリング
発明者または考案者 【氏名】小島 芳之
【氏名】野城 一栄
【氏名】栗林 健一
【氏名】小野 隆利
【氏名】仲山 貴司
【氏名】小西 真治
【氏名】樋野 勝巳
【氏名】岸本 達也
【氏名】篠宮 弘州
【氏名】石川 善大
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】住田 秀弘
参考文献・文献 特開2001-262841(JP,A)
特開2002-061496(JP,A)
特開2002-348749(JP,A)
調査した分野 E21D 10/00 -E21D 19/06
E21D 23/00 -E21D 23/26
特許請求の範囲 【請求項1】
トンネル覆工コンクリートの内面補強構造物であって、トンネル覆工コンクリートの表面に目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる複数の内面補強部材と、該複数の内面補強部材に形成される欠損部とを具備することを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
【請求項2】
請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は開口であり、該開口を露出させて前記内面補強部材設置後の前記トンネル覆工コンクリートの状態を直接目視にて点検できるように構成したことを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
【請求項3】
請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は十字状の切り欠き部であることを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
【請求項4】
請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は前記内面補強部材それぞれの両側に形成される楕円弧形状の切り欠き部であることを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
【請求項5】
請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は前記内面補強部材それぞれに1個形成される縦長楕円形状の切り欠き部であることを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
【請求項6】
請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は前記内面補強部材それぞれに2個形成される横長楕円形状の切り欠き部であることを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
【請求項7】
請求項記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記開口に前記トンネル覆工コンクリートの破片の落下を防止する補強材を具備することを特徴とするトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル覆工コンクリートの内面補強構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル覆工コンクリートは、周辺地山に支持されるため、その剛性は大きいが、さらに大きな地圧が作用しても、複数のひび割れを分散して生じさせるなど、変形を許容するように、靭性に富んだ構造体であることが望ましい。

【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、周辺地山の支持条件、また地圧の大きさや分布によっては、トンネル覆工コンクリートに、局所的に大きな曲げ応力が発生する場合がある。この場合の対策の1つとして、トンネル覆工コンクリートの曲げ耐力を、鋼板や繊維シートなどの引張部材により向上させる、曲げ補強があげられる。
図9はかかるトンネル覆工コンクリートの一般的な補強工法の断面模式図である。
【0004】
この図に示すように、従来、周辺地山Aに支持されるトンネル覆工コンクリート101には鋼板や繊維シートなどの引張部材よりなる内面補強部材102を取り付けて、補強を行うようにしていた。
しかし、このような曲げ補強設計にあたって、引張部材をより多く配置することが覆工耐力の向上につながるとは限らないという点に留意する必要がある。すなわち、過度な曲げ引張補強は、トンネル覆工コンクリートの終局の破壊モードを曲げ圧縮破壊とさせる。さらに、土圧の分布によっては、せん断破壊となる場合も想定される。これらは、非常に脆性的な破壊となる。
【0005】
また、トンネル覆工コンクリートの背面の地下水が覆工の亀裂や目地に沿って生じると、従来の内面補強工法では、図9に示すように覆工全面を覆ってしまうため、地山からの漏水が覆工101と内面補強部材102の界面で滞水し、内面補強部材102の腐食や覆工の劣化などの変状を生じさせる恐れがあった。
本発明は、上記状況に鑑みて、トンネル覆工コンクリートが地圧を受ける場合にも、脆性的な破壊を生じることがなく、強度と靭性の向上効果が顕著で、かつ補強後の点検性能にも優れたトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕トンネル覆工コンクリートの内面補強構造物であって、トンネル覆工コンクリートの表面に目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる複数の内面補強部材と、この複数の内面補強部材に形成される欠損部とを具備することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は開口であり、この開口を露出させて前記内面補強部材設置後の前記トンネル覆工コンクリートの状態を直接目視にて点検できるように構成したことを特徴とする。
【0007】
〔3〕上記〔1〕記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は十字状の切り欠き部であることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は前記内面補強部材それぞれの両側に形成される楕円弧形状の切り欠き部であることを特徴とする。
【0008】
〔5〕上記〔1〕記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は前記内面補強部材それぞれに1個形成される縦長楕円形状の切り欠き部であることを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記欠損部は前記内面補強部材それぞれに2個形成される横長楕円形状の切り欠き部であることを特徴とする。
【0009】
〔7〕上記〔2〕記載のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物において、前記開口に前記トンネル覆工コンクリートの破片の落下を防止する補強材を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)トンネル覆工コンクリートが地圧を受ける場合にも、脆性的な破壊を生じることがなく、強度と靭性の向上効果が顕著で、かつ補強後の点検性能にも優れている。
(2)補強部材の欠損部のコンクリート断面で複数のひび割れが生じることで、覆工コンクリート全体を靭性に富んだ構造物とし、脆性的な破壊を生じさせない。
【0011】
(3)構造体として変位(ひび割れ)を許容することは、大きな地圧を吸収することである。すなわち、剛性を大きくすることで大きな地圧に対抗してきた従来の内面補強工法に比べ、補強材の剛性を小さくすることができる。
(4)従来の内面補強工法に比べ経済性に優れる。すなわち、同じ種類の補強材を用いて、同程度の地圧を吸収することを期待する場合、本発明で使用する補強部材の量は、従来の内面補強工法に比べ少なく、経済性に優れている。
【0012】
(5)従来の内面補強工法と変わらない現場作業量である。つまり、施工方法は変わらないため、従来工法と変わらない現場作業量ですむ。
(6)補強後の点検性能を向上させることができる。すなわち、補強部材の欠損部の開口を露出させたタイプのものは、補強部材の設置後においてトンネル覆工コンクリートの状態を直接目視にて確認することができる。
【0013】
(7)トンネル覆工コンクリートの背面から地下水が生じても、本発明における内面補強部材の欠損部(開口)は、漏水の排出口の機能を果たすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物は、トンネル覆工コンクリートの表面に目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる複数の内面補強部材と、この複数の内面補強部材に形成される欠損部とを具備し、前記トンネル覆工コンクリートの脆性的な破壊を防止する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明にかかるトンネル覆工コンクリートの内面補強工法を示す断面模式図である。
この図に示すように、周辺地山Aに支持されるトンネル覆工コンクリート1の表面には欠損部3を有する鋼板・高弾性プレキャストパネル・繊維シートなどの内面補強部材2が配置される。なお、この欠損部3は内面補強部材に設けられた開口であり、この開口を露出させるようにしてもよいし、この開口に低強度・低弾性補強材を配置するようにしてもよい。
【0016】
図2は本発明のトンネル覆工コンクリートの内面補強工法を施工した場合の破壊状況を示す断面模式図である。
この図において、トンネル覆工コンクリート1の表面には、欠損部3を有する内面補強部材2が配置されているので、地圧4と脚部支持力5が作用すると、欠損部3に曲げ引張破壊力6が生成する(曲げ破壊先行型となる)。
【0017】
この欠損部3に生成される曲げ引張破壊力6により、欠損部3の断面にひび割れが生じることとなる。このように、内面補強部材の欠損部3で複数のひび割れを生じさせるということは、トンネル覆工コンクリートに作用する外力を吸収するということであり、その結果、脆性的な破壊が生じるのを防ぐことができる。
以下、各種の欠損部形状を有する実施例について説明する。
【0018】
図3は本発明の第1実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
この実施例においては、トンネル覆工コンクリート11上に複数の内面補強部材12が目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる。この内面補強部材12には十字状の切り欠き部(欠損部)13が形成される。なお、内面補強部材12は縦横に複数配置されるのではなく、一枚の広い内面補強部材に複数の十字状の切り欠き部を形成するようにしてもよい。また、切り欠き部(欠損部)13は露出させてもよいし、この切り欠き部(欠損部)13に低強度・低弾性補強材を配置するようにしてもよい。
【0019】
図4は本発明の第2実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
この実施例においては、トンネル覆工コンクリート21上に複数の内面補強部材22が目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる。この内面補強部材22の両側には楕円弧形状の切り欠き部(欠損部)23が形成される。この切り欠き部(欠損部)23は露出させてもよいし、この切り欠き部(欠損部)23に低強度・低弾性補強材を配置するようにしてもよい。
【0020】
図5は本発明の第3実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
この実施例においては、トンネル覆工コンクリート31上に複数の内面補強部材32が目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる。この内面補強部材32には1個の縦長楕円形状の切り欠き部(欠損部)33が形成される。なお、内面補強部材32は縦横に複数配置されるのではなく、一枚の広い内面補強部材に複数の楕円形状の切り欠き部を形成するようにしてもよい。また、この切り欠き部(欠損部)33は露出させてもよいし、この切り欠き部(欠損部)33に低強度・低弾性補強材を配置するようにしてもよい。
【0021】
図6は本発明の第4実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
この実施例においては、トンネル覆工コンクリート41上に複数の内面補強部材42が目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる。この内面補強部材42には2個の横長楕円形状の切り欠き部(欠損部)43が形成される。なお、内面補強部材42は縦横に複数配置されるのではなく、一枚の広い内面補強部材に複数の楕円形状の切り欠き部を形成するようにしてもよい。また、この切り欠き部(欠損部)43は露出させてもよいし、この切り欠き部(欠損部)43に低強度・低弾性補強材を配置するようにしてもよい。
【0022】
なお、欠損部の形状は上記した以外にも各種の形状にするようにしてもよい。
図7は本発明の他の実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
この実施例においては、トンネル覆工コンクリート51上に、長方形の欠損部53を間に挟んでその上下に内面補強部材52(例えば、繊維シート)を配置したものが、目地が列状に連続するようにして縦横に並べて張り付けられる。この欠損部53は露出させてもよいし、この欠損部53に低強度・低弾性補強材を配置するようにしてもよい。
【0023】
図8はトンネル覆工コンクリートの破壊モードの状況を示す図であり、横軸変位μ、縦軸は荷重Pを示している。ここで、×付き線はトンネル覆工コンクリートに補強なしの場合、実線は従来の内面補強を行った場合、○付き線は本発明の内面補強を行った場合を示しており、本発明の内面補強の場合は靭性が向上していることが明らかである。
すなわち、上記した実施例によれば、内面補強部材が欠損部を有しているため、
(1)靭性の向上を図ることができる。図1及び図2に示すように、補強部材の欠損部のコンクリート断面で複数のひび割れが生じることで、トンネル覆工コンクリート全体を靭性に富んだ構造物とし、脆性的な破壊を生じさせない。つまり、トンネル覆工コンクリートに作用する大きなエネルギーを吸収できる機能を有している。
【0024】
構造体として変位(ひび割れ)を許容することで、大きな地圧を吸収することができる。これにより、剛性を大きくすることで大きな地圧に対抗してきた従来の内面補強工法に比べて、補強部材の剛性を小さくすることができる。
(2)また、欠損部を露出させる場合には、その欠損部から設置後の覆工コンクリートの状態を直接目視にて点検することができる。
【0025】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のトンネル覆工コンクリートの内面補強構造物は、補強部材の剛性を小さくし、靭性に富んだ構造を有するトンネル覆工コンクリートの内面補強に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかるトンネル覆工コンクリートの内面補強工法を示す断面模式図である。
【図2】本発明のトンネル覆工コンクリートの内面補強工法を施工した場合の破壊状況を示す断面模式図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
【図5】本発明の第3実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
【図6】本発明の第4実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
【図7】本発明の他の実施例を示すトンネル覆工コンクリートの内面補強工法の部分模式図である。
【図8】トンネル覆工コンクリートの破壊モードの状況を示す図である。
【図9】トンネル覆工コンクリートの一般的な補強工法の断面模式図である。
【符号の説明】
【0028】
A 地山
1,11,21,31,41,51 トンネル覆工コンクリート
2,12,22,32,42,52 内面補強部材
3 欠損部
4 地圧
5 脚部支持力
6 曲げ引張破壊力
13 十字状の切り欠き部(欠損部)
23 楕円弧形状の切り欠き部(欠損部)
33 縦長楕円形状の切り欠き部(欠損部)
43 2個の横長楕円形状の切り欠き部(欠損部)
53 長方形の欠損部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8