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明細書 :トンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4494267号 (P4494267)
公開番号 特開2006-274630 (P2006-274630A)
登録日 平成22年4月16日(2010.4.16)
発行日 平成22年6月30日(2010.6.30)
公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
発明の名称または考案の名称 トンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体
国際特許分類 E21D  11/00        (2006.01)
FI E21D 11/00 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 7
出願番号 特願2005-093968 (P2005-093968)
出願日 平成17年3月29日(2005.3.29)
審査請求日 平成19年7月20日(2007.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000107044
【氏名又は名称】ショーボンド建設株式会社
発明者または考案者 【氏名】小島 芳之
【氏名】野城 一栄
【氏名】栗林 健一
【氏名】田辺 将樹
【氏名】仲山 貴司
【氏名】小西 真治
【氏名】江口 和雄
【氏名】若菜 和之
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】住田 秀弘
参考文献・文献 特開2001-173396(JP,A)
調査した分野 E21D 10/00 -E21D 19/04
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)覆工コンクリートにアンカーで固定される支持プレートと、
(b)該支持プレート上に固定されるシャックルと、
(c)該シャックルに固定され、前記覆工コンクリート表面に配置される剥落防止材とを具備することを特徴とするトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体。
【請求項2】
請求項記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記アンカーの四方に配置される4個のシャックルを具備することを特徴とするトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体。
【請求項3】
請求項又は記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記剥落防止材が鋼材、高弾性プレキャスト材、又は繊維材であることを特徴とするトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体。
【請求項4】
請求項又は記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記覆工コンクリートと前記支持プレートの間にネット材を具備することを特徴とするトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体。
【請求項5】
請求項又は記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記覆工コンクリートと前記支持プレートの間に不燃性防水シートを具備することを特徴とするトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、崩落に対する健全度と外力に対する力学的健全度を一括して判定し、精度の高いトンネルの健全度診断システムを既に提案している(下記特許文献1)。
従来、トンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法としては、以下に示すようなものがあった。
図6は従来のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法を示す全体断面図である。
【0003】
この図において、101は覆工コンクリート、102は大規模な崩落の可能性がある部分、103は剥落の塊、104は崩落防止材の主材、105は剥落防止設置範囲(例)である。

【特許文献1】特願2004-012616号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
覆工コンクリートの剥落防止工法の選定は、以下に示す条件を考慮して決定される。
(1)想定される剥落塊の大きさ(剥落防止工法の剛性)
(2)内空断面への許容阻害量(剥落防止工法の厚さ)
(3)漏水の程度等の覆工の状態(剥落防止工法の取り付け方法)
一般に、大きな剥落塊の剥落を防止するためには、高い剛性を有した剥落防止材が必要となり、厚みを有したものとなる。その結果、高い剛性材の使用によりコストが上昇し、また内空断面への阻害量が大きくなる等のデメリットが挙げられる。
【0005】
また、従来のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法では、図7に示すように、問題があった。
図7は従来工法の剥落防止メカニズムを示す図であり、図7(a)は部分正面図、図7(b)は部分側面図である。
大規模な崩落の可能性がある部分102では、剥落防止材の主材(L字形状の鋼材など)104がアンカー106などで覆工コンクリート101に固定されている。したがって、剥落防止材の主材104には矢印の曲げモーメント107が働き、アンカー106には曲げ+軸力108が働くことになる。
【0006】
このように、アンカー106には曲げ+軸力108が働くために、大規模な崩落があると、列車の通過に伴う振動も加わって、アンカー106では支えきれず、大規模な崩落が起き、列車事故につながる恐れもあった。
本発明は、上記状況に鑑みて、大きな剥落塊の剥落を防止する場合においても、剥落防止材の厚み(剛性)を大きくすることがないため内空断面の阻害量を抑えることができ、かつ異なる大きさの剥落塊に対しても1つの工法で剥落防止が可能なトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〕トンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、覆工コンクリートにアンカーで固定される支持プレートと、この支持プレート上に固定されるシャックルと、このシャックルに固定され、前記覆工コンクリート表面に配置される剥落防止材とを具備することを特徴とする。
【0008】
〕上記〔〕記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記アンカーの四方に配置される4個のシャックルを具備することを特徴とする。
〕上記〔〕又は〔〕記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記剥落防止材が鋼材、高弾性プレキャスト材、又は繊維材であることを特徴とする。
【0009】
〕上記〔〕、〔〕又は〔〕記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記覆工コンクリートと前記支持プレートの間にネット材を具備することを特徴とする。
〕上記〔〕、〔〕、〔〕又は〔〕記載のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体において、前記覆工コンクリートと前記支持プレートの間に不燃性防水シートを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)使用する強力アンカーで支持された剥落防止材をピン構造とすることにより、小さな剛性でも大きな剥落塊の崩落を防止することができ、また剥落防止工法による内空断面への阻害量を抑えることができる。
(2)剥落抵抗耐力の異なる少なくとも2つ以上の剥落防止材を使用することにより、異なる大きさの剥落塊でも1つ工法でその剥落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体は、覆工コンクリートにアンカーで固定される支持プレートと、この支持プレート上に固定されるシャックルと、このシャックルに固定され、前記覆工コンクリート表面に配置される剥落防止材とを具備する。よって、トンネルの覆工コンクリートの剥落による落下を的確に防止することができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示すトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法を示す全体断面図、図2は本発明の実施例を示すトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法を示す剥落防止メカニズムの説明図であり、図2(a)はその通常の剥落塊の場合、図2(b)はその大規模な剥落の場合を示す図である。図2における剥落防止材の側面図は図7におけるものと同様であるので割愛する。
【0013】
図1において、1は覆工コンクリート、2は大規模な崩落の可能性がある部分、3は剥落の塊、4は剥落防止材の主材、5は剥落防止設置範囲(例)である。
そこで、図2(a)に示すように、剥落防止材の主材4は、強力アンカー6で覆工コンクリート1に固定されるとともに、シャックル7を介して連結されている。つまり、チェーンからなる剥落防止材を構成する。
【0014】
また、剥落防止材の主材4の中央部は、伸縮シャックル8で連結されている。
したがって、図2(a)に示すように、通常の剥落塊の落下は剥落防止材の主材4で防止される。
また、図2(b)に示すように、強力アンカー6の中間部で大規模な剥落が生じた場合、剥落防止材の主材4の中間部が下がり、伸縮シャックル8が伸びるが、強力アンカー6には曲げモーメントは作用せず、軸力9のみが働くので強固な固定ができる。
【0015】
図3は本発明の剥落防止工法の第1実施例を示す強力アンカーの部分平面図であり、図3(a)はその平面図、図3(b)はその断面図である。
これらの図において、10は覆工コンクリート、11は強力アンカー、12は強力アンカー12で固定される支持プレート、13~16は四方に配置されるシャックル、17~20は四方に配置される剥落防止材の主材(鋼材)である。
【0016】
図4は本発明の剥落防止工法の第2実施例を示す強力アンカーの部分平面図であり、図4(a)はその平面図、図4(b)はその断面図である。
これらの図において、30は覆工コンクリート、31は強力アンカー、32は強力アンカーで固定される支持プレート、33~36は四方に配置されるシャックル、37~40は四方に配置される剥落防止材の主材(合成繊維)である。
【0017】
この実施例では、図3における剥落防止材の主材(鋼材)17~20が、剥落防止材の主材(合成繊維)37~40に代わっている点を除くと同じ構造である。
図5は本発明の剥落防止工法の第3実施例を示す強力アンカーの部分断面図である。
この実施例において、40は覆工コンクリート、41は覆工コンクリート40の表面に配置される剥落防止ネット、42はその剥落防止ネット41上に配置される不燃性防水シート、43は不燃性防水シート42上に設けられる支持プレート、44は覆工コンクリート40の表面に剥落防止ネット41と不燃性防水シート42を介して強力アンカー45で固定される剥落防止材の主材(鋼材)である。
【0018】
本発明の長所としては以下に述べるようなことが挙げられる。
(1)大規模な剥落塊の崩落を防止することが可能である。
図2に示すように、覆工コンクリート1の剥落防止工法において、その剥落防止材(鋼材・高弾性プレキャスト材・繊維材等)4の少なくとも一部をピン構造とすることで、剥落防止材4には曲げモーメントが生じず、また強力アンカー6にも軸力9のみ作用することになる。この構造により、小さな剛性でも大きな剥落塊の崩落を防止することが可能となる。
【0019】
(2)本発明だけで小さな剥落塊から大きな剥落塊までの崩落防止が可能である。
図2に示すように、剥落抵抗耐力の異なる少なくとも2つ以上の剥落防止材を使用することで、異なる大きさの剥落塊に対しても1つの工程でその剥落を防止することが可能となる。
(3)従来の剥落防止工に比べ、内空断面への阻害量が抑制できる。
【0020】
図1~図2に示すように、本発明では小さな剛性の剥落防止材でも大きな剥落塊の崩落を防止することが可能であるため、従来の剥落防止工に比べ、内空断面を阻害する量が少ない。
(4)従来の剥落防止工に比べ、優れた経済性を有する。
図1~図2に示すように、同じ種類の補強材を用いて同程度の剥落塊の剥落防止を期待する場合、本発明で使用する補強材量は、従来の内面補強工法に比べ少なく、経済性に優れている。
【0021】
(5)従来の剥落防止工法と変わらない現場作業量
施工方法は従来の工法と変わらないため、従来工法と変わらない現場作業量である。
(6)地下水の排水機能
繊維シートやパネルを覆工前面に貼り付けるような従来工法においては、覆工の亀裂や目地に沿って漏水が生じる場合、別途、止水や導水などの処理工法が必要となる。本発明は、図5に示すように、剥落防止材の主材44の設置にあわせて不燃性防水シート42を敷設することが容易であるため、止水や導水などの処理工法が不要となり、経済性に優れている。
【0022】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止構造体は、トンネルの覆工コンクリートの剥落による落下を的確に防止する工法として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例を示すトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法を示す全体断面図である。
【図2】本発明の実施例を示すトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法を示す剥落防止メカニズムの説明図である。
【図3】本発明の剥落防止工法の第1実施例を示す強力アンカーの部分平面図である。
【図4】本発明の剥落防止工法の第2実施例を示す強力アンカーの部分平面図である。
【図5】本発明の剥落防止工法の第3実施例を示す強力アンカーの部分断面図である。
【図6】従来のトンネルの覆工コンクリートの剥落防止工法を示す全体断面図である。
【図7】従来工法の剥落防止メカニズムを示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1,10,30,40 覆工コンクリート
2 大規模な崩落の可能性がある部分
3 剥落の塊
4 剥落防止材の主材
5 剥落防止設置範囲
6,11,31,45 強力アンカー
7 シャックル
8 伸縮シャックル
9 軸力
12,32,43 支持プレート
13~16,33~36 四方に配置されるシャックル
17~20 四方に配置される剥落防止材(鋼材)
37~40 四方に配置される剥落防止材(合成繊維)
41 覆工コンクリートの表面に配置される剥落防止ネット
42 剥落防止ネット上に配置される不燃性防水シート
44 剥落防止材の主材(鋼材)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6