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明細書 :パンタグラフ機構

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4526992号 (P4526992)
公開番号 特開2006-288007 (P2006-288007A)
登録日 平成22年6月11日(2010.6.11)
発行日 平成22年8月18日(2010.8.18)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
発明の名称または考案の名称 パンタグラフ機構
国際特許分類 B60L   5/20        (2006.01)
B60L   5/22        (2006.01)
B60L   5/24        (2006.01)
FI B60L 5/20 Z
B60L 5/22 Z
B60L 5/24 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2005-101442 (P2005-101442)
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
審査請求日 平成19年6月27日(2007.6.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】川口 清
【氏名】佐川 明朗
【氏名】長坂 整
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】東 勝之
参考文献・文献 特開平08-111904(JP,A)
特開平06-022403(JP,A)
特開平04-347501(JP,A)
実開平05-055704(JP,U)
特開平07-322407(JP,A)
調査した分野 B60L 5/00 - 5/42
特許請求の範囲 【請求項1】
パンタグラフの舟体が、パンタグラフ台座の車両前後方向中心よりも後方に配置されるとともに、前記パンタグラフの舟体が、上面から見た場合に、車両の進行方向に向かって開いたV字形であり、かつ、架線に対して25°から65°の範囲内の斜交角度を有して配置されることを特徴とするパンタグラフ機構。
【請求項2】
請求項1記載のパンタグラフ機構において、前記パンタグラフの台座が車両の進行方向によって回転する機構を具備することを特徴とするパンタグラフ機構。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両への給電を行うための鉄道車両の屋根上に配置されるパンタグラフ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパンタグラフ機構と振動系は、架線(トロリ線)との摺動接触部と緩衝バネ部と台座の中心とが車両の屋根に対して垂直、すなわち、縦に支持される構造であり、また、パンタグラフの舟体は前後対称形状であって、車両の進行方向に対して直交、つまり、架線(トロリ線)に対して直交するように配置されている(下記特許文献1参照)。
図8はかかる従来のパンタグラフ機構(その1;菱形パンタグラフ)の模式図、図9はそのパンタグラフ機構(その1)の舟体と架線との摺動接触部の上面図である。
【0003】
この図において、101は車両の屋根、102は碍子、103はパンタグラフ台座、104は枠組、105はバネ、106は天井管、107は舟体、108はすり板、109は架線(トロリ線)である。
図9に示すように、舟体107のすり板108と架線(トロリ線)109とは直交(90°)するように配置されている。
【0004】
図10は従来のパンタグラフ機構(その2;シングルアーム形パンタグラフ)の模式図である。
この図において、201は車両の屋根、202は碍子、203はパンタグラフ台座、204は枠組、205はバネ、206は天井管、207は舟体、208はすり板、209は架線(トロリ線)である。
【0005】
この場合も、枠組204の構造が図5のものとは相違するものの、図6と同様に舟体207のすり板208と架線(トロリ線)209とは直交するように配置されている。
図11はその従来のパンタグラフ機構と振動系の模式図である。
この図は上記の図8、図10に示した従来のパンタグラフの構造をさらに簡略化して示した図である。
【0006】
この図11において、111は支持部、112は緩衝バネ部、113は摺動接触部、114は架線(トロリ線)である。このように、従来のパンタグラフは、緩衝バネ部112と摺動接触部113とが縦に支持される構造、つまり、架線(トロリ線)114に対して真下から押し上げて摺動接触するような支持構造となっている。

【特許文献1】特開2004-301591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来のパンタグラフは、摺動接触部と緩衝バネ部と台座の中心とが縦に支持される構造であり、かつ、舟体のすり板が架線に対して直交するように配置されているため、前後方向の剛性が弱くスティックスリップによる架線の波状摩耗が発生し易く、かつ、高速走行時には空力的なカルマン渦が生じることにより、舟体の上下振動と舟体からの騒音が急激に増加するといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記状況に鑑みて、スティックスリップによる架線の波状摩耗を低減、消滅させるとともに、カルマン渦の発生を減少させ、前後、並びに上下振動の抑制と舟体からの騒音の低減を図ることができるパンタグラフ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕パンタグラフ機構において、パンタグラフの舟体が、パンタグラフ台座の車両前後方向中心よりも後方に配置されるとともに、前記パンタグラフの舟体が、上面から見た場合に、車両の進行方向に向かって開いたV字形であり、かつ、架線に対して25°から65°の範囲内の斜交角度を有して配置されることを特徴とする。
【0010】
〕上記〔1〕記載のパンタグラフ機構において、前記パンタグラフの台座が車両の進行方向によって回転する機構を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スティックスリップによる架線の波状摩耗を低減、消滅させるとともに、空力的なカルマン渦の発生を減少させ、前後、並びに上下振動の抑制と舟体からの騒音の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のパンタグラフ機構は、パンタグラフの舟体が、パンタグラフ台座の車両前後方向中心よりも後方に配置されるとともに、前記パンタグラフの舟体が、上面から見た場合に、車両の進行方向に向かって開いたV字形であり、かつ、架線に対して25°から65°の範囲内の斜交角度を有して配置される。よって、進行方向への圧縮と復元を繰り返すことによるスティックスリップによる架線の波状摩耗を低減、消滅させるとともに、カルマン渦による空力振動の発生を減少させ、前後、並びに上下振動の抑制と舟体からの騒音の低減を図ることができる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示すパンタグラフ機構の舟体と架線との摺動接触部の上面図、図2はそのパンタグラフ機構の模式図であり、図2(a)はその第1のパンタグラフ機構の模式図、図2(b)はその第2のパンタグラフ機構の模式図である。
これらの図において、1は車両の屋根、2は碍子、3はパンタグラフ台座、4は枠組、5はバネ、6は天井管、7は舟体、8はすり板、9は架線(トロリ線)である。
【0014】
まず、この実施例では、支持部(碍子2,パンタグラフ台座3)と緩衝バネ部(枠組4,バネ5)と摺動接触部(舟体7,すり板8)からなるパンタグラフが、摺動接触部が支持部の前後方向中心よりも、車両の進行方向に対して、後方に配置されるようにして形成されている。なお、バネ5によって、上向きにモーメント状の圧縮力を加えるようにしている。
【0015】
また、図1に示すように、舟体7及びすり板8と架線(トロリ線)9とは斜交角度θを有するように配置されている。
この斜交角度θは、25°から65°の範囲であるのが好ましい。
これは、あまり斜交角度θが小さいと、舟体7と架線9との離脱が懸念され、これを回避するために、寸法の長い舟体が必要になるからであり、また、斜交角度θが90°に近くなるにしたがって、スティックスリップによる架線の波状摩耗が発生し易くなり、ならびにカルマン渦による空力振動が生じるといった従来と同様の問題が生じることになるからである。
【0016】
本発明によれば、上記のように構成したので、前後方向の剛性が増し、スティックスリップによる架線の波状摩耗を低減、消滅させるとともに、カルマン渦による空力振動の発生を減少させ、前後、並びに上下振動の抑制と舟体からの騒音の低減を図ることができる。
図3は本発明のパンタグラフが複数配置される編成車両を示す模式図、図4はそれに搭載されるパンタグラフ機構の部分上面図である。
【0017】
この実施例では、先行するパンタグラフ11には、図4(a)に示すように、図1及び図2と同様な舟体12とすり板13が架線(トロリ線)14と斜交角度θを有するように配置されている。一方、後行するパンタグラフ21には、図4(b)に示すように、舟体22とすり板23が架線(トロリ線)14と斜交角度180°-θを有するように配置されている。
【0018】
なお、1編成車両10に3台以上のパンタグラフを配置する場合には、上記した斜交角度θの摺動接触部を有するパンタグラフと、上記した斜交角度180°-θの摺動接触部を有するパンタグラフとを順次交互に配置することが望ましい。
このようなパンタグラフ機構とすることにより、上記した効果に加えて、架線(トロリ線)に対して舟体のすり板が、いつも一定の角度で摺動接触することに起因する、架線の片減りをなくして、既に形成された波状摩耗を平滑化させる効果があり、架線(トロリ線)の長寿命化を図ることができる。
【0019】
図5は本発明の他の実施例を示すパンタグラフ機構の舟体と架線との摺動接触部の上面図である。
この実施例では、進行方向に向かって開いたV字形状の舟体31とその舟体31上にすり板32を形成するようにしている。その場合、舟体31の中心線33に対する舟体31の斜交角度θは、25°から65°の範囲内とするのが望ましい。この斜交角度θのときに、すり板32と架線34とがスムーズに摺動し、スティックスリップや空力振動の発生を大幅に低減させることができる。
【0020】
図6は本発明の実施例を示す舟体とすり板との配置を示す図であり、図6(a)はその第1実施例であり、図6(b)はその第2実施例である。
図6(a)に示すように、舟体41内にはすり板42が遊合状態で配置され、バネ43によってすり板42に対して車両の進行方向とは逆方向にバイアスがかかるように構成される。なお、44は架線である。
【0021】
また、図6(b)に示すように、舟体51内には枢支部52を有するすり板53が配置され、そのすり板53の下部には押し上げバネ54が配置されている。なお、55は架線である。
図7は本発明の実施例を示すパンタグラフを回転可能にする台座を有するパンタグラフ機構の説明図であり、図7(a)はパンタグラフの第1の態様を示す模式図であり、図7(b)は図7(a)から180度回転したパンタグラフの第2の態様を示す模式図である。
【0022】
図7(a)において、台座61上の枠組62上には進行方向に向かって開いたV字形状の舟体63とその舟体63上に設けられるすり板64が形成されており、架線65と摺動接触するようになっている。この状態から、台座61を180度回転させることにより、図7(b)に示す状態にすることができる。
すなわち、この実施例では、図7(a)に示されるように進行した車両が、終点で折り返して、逆方向に進行する場合には、図7(b)に示すように、舟体63とすり板64を有するパンタグラフの台座61が空圧式の回転リンクまたはモータ(図示なし)によって水平面で180度回転してロックできるようにする。したがって、台座61の回転によって、舟体63とすり板64も水平状態で180度回転することになり、車両が逆方向に進行する場合でも問題なく機能することができる。なお、65は架線である。
【0023】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のパンタグラフ機構は、鉄道車両の架線からの給電を行うパンタグラフ機構として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例を示すパンタグラフ機構の舟体と架線との摺動接触部の上面図である。
【図2】本発明の実施例を示すパンタグラフ機構の模式図である。
【図3】本発明のパンタグラフが複数配置される編成車両を示す模式図である。
【図4】図3の編成車両に搭載されるパンタグラフ機構の部分上面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すパンタグラフ機構の舟体と架線との摺動接触部の上面図である。
【図6】本発明の実施例を示す舟体とすり板との配置を示す図である。
【図7】本発明の実施例を示すパンタグラフを回転可能する台座を有するパンタグラフ機構の説明図である。
【図8】従来のパンタグラフ機構(その1)の模式図である。
【図9】従来のパンタグラフ機構(その1)の舟体と架線との接触部の上面図である。
【図10】従来のパンタグラフ機構(その2)の模式図である。
【図11】従来のパンタグラフ機構と振動系の模式図である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両の屋根
2 碍子
3,61 パンタグラフ台座
4,62 枠組
5,43 バネ
6 天井管
7,12,22,31,41,51,63 舟体
8,13,23,32,42,53,64 すり板
9,14,34,44,55,65 架線(トロリ線)
10 1編成車両
11 先行するパンタグラフ
21 後行するパンタグラフ
33 中心線
52 枢支部
54 押し上げバネ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10