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明細書 :地震情報ネットワークシステム、及び地震情報の伝達処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4627678号 (P4627678)
公開番号 特開2006-284226 (P2006-284226A)
登録日 平成22年11月19日(2010.11.19)
発行日 平成23年2月9日(2011.2.9)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
発明の名称または考案の名称 地震情報ネットワークシステム、及び地震情報の伝達処理方法
国際特許分類 G01V   1/00        (2006.01)
G01V   1/22        (2006.01)
G08B  31/00        (2006.01)
FI G01V 1/00 D
G01V 1/22
G08B 31/00 A
請求項の数または発明の数 7
全頁数 12
出願番号 特願2005-101503 (P2005-101503)
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
審査請求日 平成19年6月28日(2007.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐藤 新二
【氏名】中村 洋光
個別代理人の代理人 【識別番号】100083839、【弁理士】、【氏名又は名称】石川 泰男
審査官 【審査官】田中 秀直
参考文献・文献 特開平11-337655(JP,A)
特開2004-205467(JP,A)
特開2000-316022(JP,A)
特開2001-352326(JP,A)
中村豊,地震早期検知警報システム「ユレダス」とは?,SUBWAY(日本地下鉄協会報第66号),1994年11月30日,P.15-22
調査した分野 G01V 1/00
G08B 31/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
地震の震動の波形データである地震動波形データを前記波形の各部分に対応する時刻のデータである経過時刻データとともに検出する地震センサと、前記地震動波形データと経過時刻データに基づいて、前記地震の震源までの距離である震源距離と、前記地震の規模を表す指標値であるマグニチュードを含む情報である地震情報を推定演算する地震計コンピュータを有する地震計装置を複数個、有線又は無線の第1回線で、中央コンピュータを有する中央処理装置にそれぞれ接続し、かつ、前記地震に対応する制御を行う地震対策処置制御装置を、有線又は無線の第2回線で前記複数個の地震計装置の各々に接続して構成される地震情報ネットワークシステムであって、
地震が発生した場合に、前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置の地震計コンピュータは、前記推定演算によって求められた当該地震計装置と前記地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算し、
前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置である第1地震計装置は、発生した地震について推定演算した前記地震被害指標値が、前記複数個の地震計装置のうち前記第1地震計装置以外の他の一つの地震計装置である第2地震計装置にも地震被害を与え得る場合の判別値である第1地震被害判別値を超えたときには、前記第1地震計装置が推定演算した地震情報を、前記第1地震計装置と前記中央処理装置を結ぶ前記第1回線を通じて前記中央処理装置に送信し、前記中央処理装置は、前記第2地震計装置との間の前記第1回線を通じて前記地震情報を前記第2地震計装置に送信し、
前記第2地震計装置の地震計コンピュータは前記地震情報に基づいて前記地震が前記第2地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算すること
を特徴とする地震情報ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、
前記中央処理装置は、情報記憶容量の値が第1記憶容量値以上である多量情報蓄積装置を有し、
地震が発生した場合に、前記中央コンピュータは、前記複数個の地震計装置の地震計コンピュータ相互間で送受信される前記地震情報の情報量を検出し、いずれかの地震計コンピュータであるオーバーフロー地震計コンピュータがその単位時間当たりの情報処理能力の上限値を超えた場合には、当該オーバーフロー地震計コンピュータが送受信するすべての地震情報を一時蓄積地震情報として前記多量情報蓄積装置に一時的に蓄積させ、前記一時蓄積地震情報の情報量が前記オーバーフロー地震計コンピュータの情報処理能力の範囲内となった場合には、前記一時蓄積地震情報を前記オーバーフロー地震計コンピュータに配信すること
を特徴とする地震情報ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、
前記地震対策処置制御装置は、鉄道線路又は道路を含む交通路を走行する鉄道列車若しくは自動車を含む陸上交通移動体に、地震が発生した旨の情報、又は停止すべき旨の情報、又は迂回すべき旨の情報、若しくは引き返すべき旨の情報を報知又は伝送する交通情報装置の前記情報報知動作又は情報伝送動作を制御すること
を特徴とする地震情報ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、
前記地震対策処置制御装置は、光の色又は断続の静的又は動的パターン、又は音の周波数又は断続の静的又は動的パターン、若しくは既録音又は人工合成音声により地震警報を報知する警報装置を制御すること
を特徴とする地震情報ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、
前記地震対策処置制御装置は、病院を含むライフライン施設において自家発電装置を始動させるよう制御すること
を特徴とする地震情報ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、
前記地震対策処置制御装置は、構造物又は建築物のアクティブ・マス・ダンパーのアクチュエータを始動させるよう制御すること
を特徴とする地震情報ネットワークシステム。
【請求項7】
地震の震動の波形データである地震動波形データを前記波形の各部分に対応する時刻のデータである経過時刻データとともに検出する地震センサと、前記地震動波形データと経過時刻データに基づいて、前記地震の震源までの距離である震源距離と、前記地震の規模を表す指標値であるマグニチュードを含む情報である地震情報を推定演算する地震計コンピュータを有する地震計装置を複数個、有線又は無線の第1回線で、中央コンピュータを有する中央処理装置にそれぞれ接続し、かつ、前記地震に対応する制御を行う地震対策処置制御装置を、有線又は無線の第2回線で前記複数個の地震計装置の各々に接続して構成される地震情報ネットワークシステムを用い、
地震が発生した場合に、前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置の地震計コンピュータに、前記推定演算によって求められた当該地震計装置と前記地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算させ、
前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置である第1地震計装置に、発生した地震について推定演算した前記地震被害指標値が、前記複数個の地震計装置のうち前記第1地震計装置以外の他の一つの地震計装置である第2地震計装置にも地震被害を与え得る場合の判別値である第1地震被害判別値を超えたときには、前記第1地震計装置が推定演算した地震情報を、前記第1地震計装置と前記中央処理装置を結ぶ前記第1回線を通じて前記中央処理装置へ送信させ、前記中央処理装置に、前記第2地震計装置との間の前記第1回線を通じて前記地震情報を前記第2地震計装置へ送信させ、
前記第2地震計装置の地震計コンピュータに、前記地震情報に基づいて前記地震が前記第2地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算させること
を特徴とする地震情報の伝達処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、中央処理装置と複数個の地震計装置を回線で接続した地震情報ネットワークシステム、及びこのネットワークシステムを用いた地震情報の伝達処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中央コンピュータを有する中央処理装置と、複数個の地震計装置と、地震計装置に対応して設けられ地震に対応する制御を行う地震対策処置制御装置を回線で接続した地震情報ネットワークシステムが公知である(例えば、特許文献1参照)。従来の地震情報ネットワークシステムでは、ある地震計装置において検出された震動波形データが、所定のしきい値を超えた場合には、「その地震の震動が、所定のしきい値を超えた」旨の地震警報が、地震計装置に接続されている地震対策処置制御装置に伝達された。これにより、地震警報を受けた地震対策処置制御装置は、例えば、鉄道信号機に停止信号を現示させて列車を停止させる、等の地震対策処置を行っていた。
【0003】
しかしながら、地震の規模が大きくなると、1つの地震計装置と地震対策処置制御装置からなる系統(以下、「地震計・対策処置系統」という。)だけでなく、複数の地震計・対策処置系統にまたがる広い範囲の大きな震動を及ぼすことがある。このような場合には、個々の地震計・対策処置系統内での地震対策だけでなく、より広範囲でかつより迅速な地震対策が必要となる。このため、これらの問題に対処し得る地震情報ネットワークシステムの開発が要請されていた。

【特許文献1】特開2004-180048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、個々の地震計・対策処置系統内での地震対策を超えたより広範囲でかつより迅速な地震対策の実施が可能な地震情報ネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る地震情報ネットワークシステムは、
地震の震動の波形データである地震動波形データを前記波形の各部分に対応する時刻のデータである経過時刻データとともに検出する地震センサと、前記地震動波形データと経過時刻データに基づいて、前記地震の震源までの距離である震源距離と、前記地震の規模を表す指標値であるマグニチュードを含む情報である地震情報を推定演算する地震計コンピュータを有する地震計装置を複数個、有線又は無線の第1回線で、中央コンピュータを有する中央処理装置にそれぞれ接続し、かつ、前記地震に対応する制御を行う地震対策処置制御装置を、有線又は無線の第2回線で前記複数個の地震計装置の各々に接続して構成される地震情報ネットワークシステムであって、
地震が発生した場合に、前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置の地震計コンピュータは、前記推定演算によって求められた当該地震計装置と前記地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算し、
前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置である第1地震計装置は、発生した地震について推定演算した前記地震被害指標値が、前記複数個の地震計装置のうち前記第1地震計装置以外の他の一つの地震計装置である第2地震計装置にも地震被害を与え得る場合の判別値である第1地震被害判別値を超えたときには、前記第1地震計装置が推定演算した地震情報を、前記第1地震計装置と前記中央処理装置を結ぶ前記第1回線を通じて前記中央処理装置に送信し、前記中央処理装置は、前記第2地震計装置との間の前記第1回線を通じて前記地震情報を前記第2地震計装置に送信し、
前記第2地震計装置の地震計コンピュータは前記地震情報に基づいて前記地震が前記第2地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項に係る地震情報ネットワークシステムは、
請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、
前記中央処理装置は、情報記憶容量の値が第1記憶容量値以上である多量情報蓄積装置を有し、
地震が発生した場合に、前記中央コンピュータは、前記複数個の地震計装置の地震計コンピュータ相互間で送受信される前記地震情報の情報量を検出し、いずれかの地震計コンピュータであるオーバーフロー地震計コンピュータがその単位時間当たりの情報処理能力の上限値を超えた場合には、当該オーバーフロー地震計コンピュータが送受信するすべての地震情報を一時蓄積地震情報として前記多量情報蓄積装置に一時的に蓄積させ、前記一時蓄積地震情報の情報量が前記オーバーフロー地震計コンピュータの情報処理能力の範囲内となった場合には、前記一時蓄積地震情報を前記オーバーフロー地震計コンピュータに配信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項に係る地震情報ネットワークシステムは、請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、前記地震対策処置制御装置は、鉄道線路又は道路を含む交通路を走行する鉄道列車若しくは自動車を含む陸上交通移動体に、地震が発生した旨の情報、又は停止すべき旨の情報、又は迂回すべき旨の情報、若しくは引き返すべき旨の情報を報知又は伝送する交通情報装置の前記情報報知動作又は情報伝送動作を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項に係る地震情報ネットワークシステムは、請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、前記地震対策処置制御装置は、光の色又は断続の静的又は動的パターン、又は音の周波数又は断続の静的又は動的パターン、若しくは既録音又は人工合成音声により地震警報を報知する警報装置を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項に係る地震情報ネットワークシステムは、請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、前記地震対策処置制御装置は、病院を含むライフライン施設において自家発電装置を始動させるよう制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項に係る地震情報ネットワークシステムは、請求項1記載の地震情報ネットワークシステムにおいて、前記地震対策処置制御装置は、構造物又は建築物のアクティブ・マス・ダンパーのアクチュエータを始動させるよう制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項に係る地震情報の伝達処理方法は、
地震の震動の波形データである地震動波形データを前記波形の各部分に対応する時刻のデータである経過時刻データとともに検出する地震センサと、前記地震動波形データと経過時刻データに基づいて、前記地震の震源までの距離である震源距離と、前記地震の規模を表す指標値であるマグニチュードを含む情報である地震情報を推定演算する地震計コンピュータを有する地震計装置を複数個、有線又は無線の第1回線で、中央コンピュータを有する中央処理装置にそれぞれ接続し、かつ、前記地震に対応する制御を行う地震対策処置制御装置を、有線又は無線の第2回線で前記複数個の地震計装置の各々に接続して構成される地震情報ネットワークシステムを用い、
地震が発生した場合に、前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置の地震計コンピュータに、前記推定演算によって求められた当該地震計装置と前記地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算させ
前記複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置である第1地震計装置に、発生した地震について推定演算した前記地震被害指標値が、前記複数個の地震計装置のうち前記第1地震計装置以外の他の一つの地震計装置である第2地震計装置にも地震被害を与え得る場合の判別値である第1地震被害判別値を超えたときには、前記第1地震計装置が推定演算した地震情報を、前記第1地震計装置と前記中央処理装置を結ぶ前記第1回線を通じて前記中央処理装置へ送信させ、前記中央処理装置に、前記第2地震計装置との間の前記第1回線を通じて前記地震情報を前記第2地震計装置へ送信させ、
前記第2地震計装置の地震計コンピュータに、前記地震情報に基づいて前記地震が前記第2地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る地震情報ネットワークシステム、及びこのネットワークシステムを用いた地震情報の伝達処理方法によれば、地震の震動の波形データである地震動波形データを波形の各部分に対応する時刻のデータである経過時刻データとともに検出する地震センサと、地震動波形データと経過時刻データに基づいて、地震の震源までの距離である震源距離と、地震の規模を表す指標値であるマグニチュードを含む情報である地震情報を推定演算する地震計コンピュータを有する地震計装置を複数個、有線又は無線の第1回線で、中央コンピュータを有する中央処理装置にそれぞれ接続し、かつ、地震に対応する制御を行う地震対策処置制御装置を、有線又は無線の第2回線で複数個の地震計装置の各々に接続して構成される地震情報ネットワークシステムを構成するようにしたので、地震が発生した場合に、複数個の地震計装置のうちのいずれか一つの地震計装置の地震計コンピュータは、推定演算によって求められた当該地震計装置と地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算することができる、という利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に説明する実施例は、地震の地震動波形データを経過時刻データとともに検出する地震センサと、地震動波形データ等に基づいて震源距離と地震のマグニチュードを含む地震情報を推定演算する地震計コンピュータを有する地震計装置A1等を複数個、第1回線WA1等で、中央コンピュータを有する中央処理装置10に接続し、地震対策処置制御装置B1等を、第2回線WA1等で複数個の地震計装置A1等に接続して地震情報ネットワークシステム101を構成した物であり、地震が発生時に地震計コンピュータは、推定演算で得た震源距離と当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置A1等と近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算することができ、本発明を実現するための構成として最良の形態である。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の第1実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施例である地震情報ネットワークシステム101の全体構成を示す図である。また、図2は、本発明の第1実施例である地震情報ネットワークシステム101における地震計装置と中央処理装置のさらに詳細な構成を示すブロック図であり、図2(A)は、ある地震計装置Aiのさらに詳細な構成を示すブロック図を、図2(B)は、中央処理装置10のさらに詳細な構成を示すブロック図を、それぞれ示している。
【0016】
図1に示すように、第1実施例の地震情報ネットワークシステム101は、中央処理装置10と、複数の地震計装置A1~Anと、複数の地震対策処置制御装置B1~Bmを備えて構成されている。ここに、nは自然数であり、mはn以下の自然数となっている。第1実施例の地震情報ネットワークシステム101は、地震計装置A1等を複数個、有線又は無線の第1回線WA1等で、中央処理装置10にそれぞれ電気的に接続し、かつ、一又は複数の地震対策処置制御装置B1等を、有線又は無線の第2回線WB1等によって、複数個の地震計装置A1等の各々に接続して構成される。したがって、第1回線WA1等の本数はnで、地震計装置A1等の個数nと一致する。また、第2回線WB1等の本数はmで、地震対策処置制御装置B1等の個数mと一致する。
【0017】
図2(A)に示すように、複数(n個)の地震計装置A1~Anのうちのある地震計装置Aiは、地震センサSiと地震計コンピュータCAiを有している。ここに、地震センサSiは、地震の震動の波形データ(以下、「地震動波形データ」という。)を波形の各部分に対応する時刻のデータ(以下、「経過時刻データ」という。)とともに検出するセンサである。また、地震計コンピュータCAiは、地震動波形データと経過時刻データに基づいて、地震の震源までの距離(以下、「震源距離」という。)と、地震の規模を表す指標値であるマグニチュードを含む情報である地震情報を推定演算する。
【0018】
また、図2(B)に示すように、中央処理装置10は、中央コンピュータCCを有している。なお、後述する他の実施例の地震情報ネットワークシステムにおける中央処理装置10の処理内容によっては、中央処理装置10に、さらに多量情報蓄積装置Mが設けられ、中央コンピュータCCに電気的に接続される。多量情報蓄積装置Mとは、通常のパーソナル・コンピュータにおけるハードディスク装置よりも数十~数千倍も大きな記憶容量を有する読出し可能な情報記録装置であり、例えば、通常のハードディスク装置を多数集積して直列又は並列若しくは直並列に電気的接続するとともに記録情報の読出し又は書き込みを制御する制御部(一種のコンピュータ)を有して構成される。
【0019】
また、図3に示すように、複数(m個)の地震対策処置制御装置B1~Bmのうちのある地震対策処置制御装置Bkは、地震対策処置コンピュータCBkを有している。また、地震対策処置制御装置(例えばBk)の地震対策処置コンピュータ(例えばCBk)は、第3回線(例えばWCk)によって地震対策処置装置(例えばTk)に電気的に接続されている。
【0020】
ここに、地震対策処置装置(例えばTk)とは、具体的には、以下のような装置類を含んでいる。例えば、鉄道線路又は道路を含む交通路を走行する鉄道列車若しくは自動車を含む陸上交通移動体に、各種情報を報知又は伝送する交通情報装置である。この交通情報装置は、鉄道線路又は道路の地上側に設けられてもよいし、陸上交通移動体の車内(例えば運転台又は車掌室など)に設けられてもよい。また、情報の報知は、何らかの画像表示装置(図示せず)に画像や文字等の視覚的情報として表示すること、何らかの音響発生装置(図示せず)に音や録音音声又は人工合成音声等の聴覚的情報として表示することのいずれか一方又は両方を含んでいる。このような場合、地震時には、地震対策処置制御装置(例えばBk)の地震対策処置コンピュータ(例えばCBk)は、陸上交通移動体に、地震が発生した旨の情報、又は陸上交通移動体が停止すべき旨の情報、又は陸上交通移動体が迂回すべき旨の情報、若しくは陸上交通移動体が引き返すべき旨の情報を、交通情報装置に報知又は伝送させるように、交通情報装置の情報報知動作又は情報伝送動作を制御する。
【0021】
また、他の地震対策処置装置(例えばTk)としては、警報装置が挙げられる。この警報装置は、光を発生すること、あるいは音又は人工音声を発生することが可能となっている。このような場合、地震時には、地震対策処置制御装置(例えばBk)の地震対策処置コンピュータ(例えばCBk)は、警報装置に、光の色又は断続の静的又は動的パターン、又は音の周波数又は断続の静的又は動的パターン、若しくは既録音又は人工合成音声により地震警報を報知する内容、方法等を制御する。
【0022】
また、他の地震対策処置装置(例えばTk)としては、病院を含むライフライン施設における自家発電装置が挙げられる。この自家発電装置は、電力を一時的に供給することができる装置である。このような場合、地震時には、地震対策処置制御装置(例えばBk)の地震対策処置コンピュータ(例えばCBk)は、自家発電装置に、作動を開始する(発電し給電を開始する)ようにを制御する。
【0023】
また、他の地震対策処置装置(例えばTk)としては、構造物又は建築物のアクティブ・マス・ダンパーのアクチュエータが挙げられる。この構造物又は建築物のアクティブ・マス・ダンパーのアクチュエータは、構造物又は建築物への地震の振動を抑制すること(制振)ができる装置である。このような場合、地震時には、地震対策処置制御装置(例えばBk)の地震対策処置コンピュータ(例えばCBk)は、構造物又は建築物のアクティブ・マス・ダンパーのアクチュエータに、作動を開始する(制振を開始する)ようにを制御する。
【0024】
上記のような構成により、本発明の第1実施例である地震情報ネットワークシステム101は、以下のような作用を行う。
【0025】
地震が発生した場合に、複数個の地震計装置A1~Anのうちのいずれか一つの地震計装置(例えば地震計装置Ai)の地震計コンピュータ(例えば地震計コンピュータCAi)は、推定演算によって求められた当該地震計装置(例えば地震計装置Ai)と地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該地震計装置(例えば地震計装置Ai)及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算する。
【0026】
ここで、地震計コンピュータ(例えば地震計コンピュータCAi)は、地震被害指標値に対する第1判別基準値を決定しておいて、図示しないROM(読出し専用メモリ)等に格納しておき、推定演算で得られた地震被害指標値が当該第1判別基準値を超えた場合には、「この地震は当該地震計装置(例えば地震計装置Ai)及びその近傍に加害性を有する(レベル○○の地震被害を起こす)」と判別するようにプログラムしておくことも可能である。
【実施例2】
【0027】
本発明は、上記した第1実施例の地震情報ネットワークシステム以外の構成によっても実現可能である。以下に、本発明の第2実施例について、説明する。本発明の第2実施例である地震情報ネットワークシステムのハードウェアの構成は、図1~3と全く同様である。異なるのは、中央処理装置10の中央コンピュータCCの情報処理ソフトウェアと、地震計コンピュータ(例えば地震計コンピュータCAi)の情報処理ソフトウェアが異なる点である。
【0028】
以下、本発明の第2実施例の情報処理方法について、図1~3を参照しながら説明する。
【0029】
複数個の地震計装置A1~Anのうちのいずれか一つの地震計装置である第1地震計装置(例えば地震計装置A1)は、発生した地震について地震計コンピュータが推定演算した地震被害指標値が、複数個の地震計装置A1~Anのうち第1地震計装置(例えば地震計装置A1)以外の他の一つの地震計装置である第2地震計装置(例えば地震計装置A2)にも地震被害を与え得る場合の判別値(以下、「第1地震被害判別値」という。)を超えたときには、第1地震計装置(例えば地震計装置A1)の地震計コンピュータは、第1地震計装置(例えば地震計装置A1)の地震計コンピュータが推定演算した地震情報を、第1地震計装置(例えば地震計装置A1)と中央処理装置10を結ぶ第1回線(例えば第1回線WA1)を通じて中央処理装置10の中央コンピュータCCに送信し、中央処理装置10の中央コンピュータCCは、第2地震計装置(例えば地震計装置A2)との間の第1回線(例えば第2回線WB2)を通じて、地震情報を第2地震計装置(例えば地震計装置A2)の地震計コンピュータに送信する。
【0030】
このように構成すれば、地震情報を受信した第2地震計装置(例えば地震計装置A2)の地震計コンピュータは、第2地震計装置(例えば地震計装置A2)から地震の震源までの距離(以下、「震源距離」という。)を含む情報である地震情報を推定演算することができる。また、第2地震計装置(例えば地震計装置A2)の地震計コンピュータは、推定演算によって求められた当該第2地震計装置(例えば地震計装置A2)と地震の震源との間の震源距離と、当該地震のマグニチュードに基づき、当該地震が当該第2地震計装置(例えば地震計装置A2)及びその近傍に及ぼす地震被害の程度を示す地震被害指標値を推定演算する。
【0031】
ここで、第2地震計装置(例えば地震計装置A2)の地震計コンピュータは、地震被害指標値に対する第1判別基準値を決定しておいて、図示しないROM(読出し専用メモリ)等に格納しておき、推定演算で得られた地震被害指標値が当該第1判別基準値を超えた場合には、「この地震は当該地震計装置(例えば地震計装置A2)及びその近傍に加害性を有する(レベル○○の地震被害を起こす)」と判別するようにプログラムしておくことも可能である。
【0032】
このようにして、本発明の第2実施例の地震情報ネットワークシステムにおいては、ある地震計装置が得た地震情報を、他の地震計装置にも転送することができるため、各地震計装置の付近での地震被害予測を、より迅速に行うことができる、という利点を有している。
【実施例3】
【0033】
本発明は、上記した第1、2実施例の地震情報ネットワークシステム以外の構成によっても実現可能である。以下に、本発明の第3実施例について、説明する。本発明の第3実施例である地震情報ネットワークシステムのハードウェアの構成は、図1~3と全く同様である。異なるのは、中央処理装置10の中央コンピュータCCの情報処理ソフトウェアと、地震計コンピュータ(例えば地震計コンピュータCAi)の情報処理ソフトウェアが異なる点である。
【0034】
以下、本発明の第3実施例の情報処理方法について、図1~3を参照しながら説明する。
【0035】
中央処理装置10は、情報記憶容量の値が第1記憶容量値以上である多量情報蓄積装置Mを有しており、地震が発生した場合に、中央コンピュータCCは、複数個の地震計装置A1~Anの地震計コンピュータの相互間で送受信される地震情報の情報量を検出し、いずれかの地震計コンピュータ(以下、「オーバーフロー地震計コンピュータ」という。)が、その単位時間当たりの情報処理能力の上限値を超えた場合には、中央コンピュータCCは、当該オーバーフロー地震計コンピュータが送受信するすべての地震情報を、一時蓄積地震情報として、多量情報蓄積装置Mに一時的に蓄積させ、その後に一時蓄積地震情報の情報量がオーバーフロー地震計コンピュータの情報処理能力の範囲内となった場合には、中央コンピュータCCは、一時蓄積地震情報をオーバーフロー地震計コンピュータに配信する。
【0036】
一般に、大規模地震の場合のように、地震被害範囲が広域にわたると予想されるような場合には、複数個の地震計装置A1~Anの地震計コンピュータの相互間で送受信される地震情報の情報量は、莫大なものとなり、各地震計コンピュータの情報処理能力や記憶装置の情報記憶容量、あるいは中央コンピュータの情報処理能力や記憶装置の情報記憶容量を超過する場合もあり得る。そのような場合には、システムダウンを起こすこともあるが、その際の地震計相互間で送受信しようとしていた地震情報は、その一部又は全部が失われるおそれがある。しかし、上記した第3実施例の地震情報ネットワークシステムのように構成すれば、そのような情報の錯綜時においても、地震情報は、緊急避難対策として、多量情報蓄積装置Mに一時的に蓄積されるので、地震情報が喪失することはない。
【0037】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではない。上記した実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、地震情報ネットワークシステムを運営・管理する事業者、地震情報ネットワークシステムを構築・建設する土木・建築業・通信機器産業等で実施可能であり、これらの産業で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施例である地震情報ネットワークシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例である地震情報ネットワークシステムにおける地震計装置と中央処理装置のさらに詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例である地震情報ネットワークシステムにおける地震対策処置制御装置のさらに詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
10 中央処理装置
101 地震情報ネットワークシステム
1~An 地震計装置
1~Bm 地震対策処置制御装置
CAi 地震計コンピュータ
CBk 地震対策処置コンピュータ
CC 中央コンピュータ
M 多量情報蓄積装置
P 中央処理装置
i 地震センサ
k 地震対策処置装置
WA1~WAn 第1回線
WB1~WBm 第2回線
WCk 第3回線
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2