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明細書 :回路装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4500217号 (P4500217)
公開番号 特開2006-340561 (P2006-340561A)
登録日 平成22年4月23日(2010.4.23)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成18年12月14日(2006.12.14)
発明の名称または考案の名称 回路装置
国際特許分類 B60L   9/18        (2006.01)
FI B60L 9/18 A
請求項の数または発明の数 7
全頁数 14
出願番号 特願2005-165007 (P2005-165007)
出願日 平成17年6月6日(2005.6.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年12月7日 社団法人電気学会発行の「平成16年 鉄道技術連合シンポジウム(J-RAIL2004)講演論文集」に発表
審査請求日 平成19年7月19日(2007.7.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
発明者または考案者 【氏名】小笠 正道
【氏名】田口 義晃
【氏名】上園 恵一
【氏名】丸山 真範
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
【識別番号】100110777、【弁理士】、【氏名又は名称】宇都宮 正明
審査官 【審査官】東 勝之
参考文献・文献 特開2003-199204(JP,A)
特開2003-018702(JP,A)
特開2003-199203(JP,A)
特開2002-305803(JP,A)
特開平08-196001(JP,A)
調査した分野 B60L 9/18
特許請求の範囲 【請求項1】
電気車の動力電源を供給するための集電装置、フィルタリアクトル、フィルタコンデンサ、インバータ、及び、モータを含む主回路と
記集電装置と前記フィルタリアクトルとの間に直列に接続され、前記集電装置の電流値を集電装置点電流値として検出する電流検出器と、
電気車の力行時には前記主回路に電力を供給し、回生時には電力を蓄える蓄電装置と、
前記主回路と前記蓄電装置の間に接続され、前記主回路から前記蓄電装置への電源供給又は前記蓄電装置から前記主回路への電源供給を制御するチョッバ装置主回路と、
前記蓄電装置の電圧を蓄電装置電圧値として検出する電圧検出器と、
前記電圧検出器で検出された蓄電装置電圧値を入力し、当該蓄電装置電圧値が調整充電開始電圧値より低いときに調整充電指令を発生して調整充電電流値を選択し、当該蓄電装置電圧値が調整放電開始電圧値より高いときに調整放電指令を発生して調整放電電流値を選択し、前記調整充電電流値及び前記調整放電電流値の何れも選択しないときにはゼロを選択し、選択した値に基づいて生成した蓄電装置調整電流指令値を出力する調整充放電制御手段と、
前記電流検出器で検出された集電装置点電流値及び前記調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値を入力し、当該集電装置点電流値及び蓄電装置調整電流指令値に基づいて生成した蓄電装置充電電流指令値を出力する充電制御手段と、
前記電流検出器で検出された集電装置点電流値及び前記調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値を入力し、当該集電装置点電流値及び蓄電装置調整電流指令値に基づいて生成した蓄電装置放電電流指令値を出力する放電制御手段と、
前記充電制御手段から出力された蓄電装置充電電流指令値と前記放電制御手段から出力された蓄電装置放電電流指令とを加算した値である蓄電装置電流指令値を入力し、当該蓄電装置電流指令値に基づいて生成した通流率を出力する蓄電装置電流制御手段と、
前記蓄電装置電流制御手段から出力された通流率を入力し、当該通流率に基づいて、前記チョッパ装置主回路において電源供給の制御を行うための信号を生成し、該信号を前記チョッパ装置主回路出力するPWM変調手段と、
を備える電気車の回路装置。
【請求項2】
前記チョッバ装置主回路は、
前記主回路側に接続されたフィルタリアクトルと、
前記フィルタリアクトルに接続されたフィルタコンデンサと
記フィルタコンデンサに並列に接続され、前記フィルタコンデンサの電圧値をフィルタコンデンサ電圧値として検出する電圧検出器と、
電気車の回生時にオンとなる第1スイッチング素子と、
電気車の力行時にオンとなる第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との接続点と、前記蓄電装置の正極側との間に接続されたスムージングリアクトルと、
前記第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との接続点と、前記スムージングリアクトルとの間に接続され、前記蓄電装置への又は前記蓄電装置からの蓄電装置電流値を検出する電流検出器と、
を備える、請求項1記載の回路装置。
【請求項3】
前記調整充放電制御手段は、前記電圧検出器で検出された蓄電装置電圧値を入力し該蓄電装置電圧値が調整充電開始電圧値より低いとき調整充電指令を発生して調整充電電流値を選択し、該蓄電装置電圧値が調整放電開始電圧値より高いとき調整放電指令を発生して調整放電電流値を選択し、前記調整充電電流値及び前記調整放電電流値の何れも選択しないときにはゼロを選択し、選択した値に1/2を乗算して蓄電装置調整電流指令値として出力する、請求項1又は2記載の回路装置。
【請求項4】
前記充電制御手段は、
前記電流検出器で検出された集電装置点電流値から充電動作不感帯設定値を減算する第1の手段と、
前記第1の手段によって得られた値が入力される第1増幅器と、
前記第1の手段によって得られた値が入力される第1積分器と、
前記第1積分器の出力値を所定の充電制御上限電圧値及び所定の充電制御下限電圧値で制限して生成した値を、前記第1増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を前記所定の充電制御上限電圧値及び前記所定の充電制御下限電圧値で制限して充電時FC電圧指令値を生成し、前記チョッパ装置主回路の前記電圧検出器で検出されたフィルタコンデンサ電圧値から前記充電時FC電圧指令値を減算する第2の手段と
前記第2の手段によってられた値が入力される第2増幅器と、
前記第2の手段によって得られた値が入力される第2積分器と、
を備え、前記第2積分器の出力値を所定の充電電流リミッタ値及び前記調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値で制限して生成した値を、前記第2増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を前記所定の充電電流リミッタ値及び前記蓄電装置調整電流指令値で制限して得られる蓄電装置充電電流指令値を出力する、請求項1~のいずれか1項記載の回路装置。
【請求項5】
前記放電制御手段は、
前記電流検出器で検出された集電装置点電流値から放電動作不感帯設定値を減算する第3の手段と、
前記第3の手段によって得られた値が入力される第増幅器と、
前記第3の手段によって得られた値が入力される第積分器と、
前記第積分器の出力値を所定の放電制御上限電圧値及び所定の放電制御下限電圧値で制限して生成した値を、前記第増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を前記所定の放電制御上限電圧値及び前記所定の放電制御下限電圧値で制限して放電時FC電圧指令値を生成し、前記チョッパ装置主回路の前記電圧検出器で検出されたフィルタコンデンサ電圧値から前記放電時FC電圧指令値を減算する第4の手段と
前記第4の手段によってられた値が入力される第増幅器と、
前記第4の手段によって得られた値が入力される第積分器と、
を備え、前記第積分器の出力値を所定の放電電流リミッタ値及び前記調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値で制限して生成した値を、前記第増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を前記所定の放電電流リミッタ値及び前記蓄電装置調整電流指令値で制限して得られる蓄電装置放電電流指令値を出力する、請求項1~のいずれか1項記載の回路装置。
【請求項6】
前記充電制御手段及び前記放電制御手段と前記蓄電装置電流制御手段の間、前記充電制御手段から出力された蓄電装置充電電流指令値と前記放電制御手段から出力された蓄電装置放電電流指令値を加算して蓄電装置電流指令値を生成し、該蓄電装置電流指令値から前記チョッパ装置主回路の前記電流検出器で検出された蓄電装置電流値を減算する第5の手段をさらに備え
前記蓄電装置電流制御手段は、
前記第5の手段によって得られた値が入力される第5増幅器と、
前記第5の手段によって得られた値が入力される第5積分器と、
を備え、前記第5積分器の出力値を所定の蓄電装置上限電圧値及び所定の蓄電装置下限電圧値で制限して生成した値を、前記第5増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を前記所定の蓄電装置上限電圧値及び前記所定の蓄電装置下限電圧値で制限して蓄電装置電圧指令値を生成し、前記チョッパ装置主回路の前記電圧検出器で検出されたフィルタコンデンサ電圧値の逆数と前記蓄電装置電圧指令値を乗算して通流率を生成し出力する、請求項5記載の回路装置。
【請求項7】
前記PWM変調手段は、前記蓄電装置電流制御手段から出力された通流率キャリアと比較してPWM変調を行い、前記PWM変調によって得られた値をオンタイムディレイして前記チョッパ装置主回路の前記第1スイッチング素子を点弧する上アーム点弧信号を生成し、該上アーム点弧信号を前記チョッパ装置主回路の前記第1スイッチング素子に出力し、前記PWM変調によって得られた値の反転値をオンタイムディレイして前記チョッパ装置主回路の前記第2スイッチング素子を点弧する下アーム点弧信号を生成し、該下アーム点弧信号を前記チョッパ装置主回路の前記第2スイッチング素子に出力する、請求項1~のいずれか1項記載の回路装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置と集電装置を搭載した電気車の回路装置に関する。特には、蓄電装置を搭載し、回生エネルギを架線に返せない場合にもエネルギを捨てることなく蓄積し再び力行するときに使用することにより、省エネルギで且つ架線の無い区間においても走行することができる電気車の回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集電装置を搭載した電気車は、回生ブレーキを使用することにより、力行で使用したエネルギを再利用できるため、省エネルギである。しかし、電気車の回生ブレーキは、近傍にエネルギを消費する他の電気車が在線することが前提であり、回生したエネルギが消費されない場合は回生絞込や回生失効が発生して機械レーキが動作し、ブレーキシューなどが消耗する。この回生絞込や回生失効を低減するため、抵抗器により回生エネルギを消費させる装置が実用に供されている。
【0003】
図7は、従来の電気車の主回路図である。図7の電気車の主回路は、電気車の電源を供給する集電装置250と、車輪257と、フィルタリアクトル251と、フィルタコンデンサ251と、電流と電圧を制御するインバータ253と、車輪257を駆動するモータ254と、回生エネルギを消費させるための抵抗器256と、回生時に抵抗器256に接続するスイッチング素子255と、を備えている。
【0004】
図7に示した電気車の主回路によれば、抵抗器256により回生エネルギを消費することにより、原理的に回生絞込や回生失効が発生しないため、電気車の主回路として実用上十分に機能することができた。
【0005】
また、特許公開平8-196001公報の電気車制御措置においては、インバータ回路の入力側は、遮断器とリアクトルおよび第1の電流検出器が直列にされてパンタグラフと大地とへ接続され、チョッパ回路とブレーキ抵抗器との直列回路と、コンデンサおよび電圧検出器が並列に接続される。インバータ回路の出力側には、三相のうち少なくとも二相に第2の電流検出器を挿入した上で、電気車駆動用誘導電動機が接続される。電気ブレーキ時にコンデンサの電圧が上昇した場合はチョッパ回路により抵抗器の電流を加減する制御を行い、各検出器およびインバータ回路からの信号から演算して、抵抗器での電力損失が所定値を越えた場合に保護回路によりチョッパ回路を停止する。これにより、発電ブレーキ回路を有する誘導電動機駆動の直流電気車の制御装置において、ブレーキ抵抗器の小形軽量化と過熱防止及び電気ブレーキの頻度を高めることによる空気ブレーキシューの磨耗防止ができる。

【特許文献1】特許公開平8-196001公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7に示した電気車の主回路においては、エネルギを消費する負荷が他に無い場合、回生エネルギを抵抗器で消費してしまうため、回生エネルギを有効に利用できないという問題があった。
【0007】
また、特許公開平8-196001公報の電気車制御措置においても、同様に回生エネルギを有効に利用できないという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、回生エネルギを常に有効に使用するため、回生ブレーキ使用時、他に負荷が無く架線電圧が上昇した場合には回生できないエネルギを、車上に搭載した蓄電装置に蓄積し、次回力行するときに使用可能とすることができる回路装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の回路装置は、電気車の動力電源を供給するための集電装置、フィルタリアクトル、フィルタコンデンサ、インバータ、及び、モータを含む主回路と、集電装置とフィルタリアクトルとの間に直列に接続され、集電装置の電流値を集電装置点電流値として検出する電流検出器と、電気車の力行時には主回路に電力を供給し、回生時には電力を蓄える蓄電装置と、主回路と蓄電装置の間に接続され、主回路から蓄電装置への電源供給又は蓄電装置から主回路への電源供給を制御するチョッバ装置主回路と、蓄電装置の電圧を蓄電装置電圧値として検出する電圧検出器と、電圧検出器で検出された蓄電装置電圧値を入力し、当該蓄電装置電圧値が調整充電開始電圧値より低いときに調整充電指令を発生して調整充電電流値を選択し、当該蓄電装置電圧値が調整放電開始電圧値より高いときに調整放電指令を発生して調整放電電流値を選択し、調整充電電流値及び調整放電電流値の何れも選択しないときにはゼロを選択し、選択した値に基づいて生成した蓄電装置調整電流指令値を出力する調整充放電制御手段と、電流検出器で検出された集電装置点電流値及び調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値を入力し、当該集電装置点電流値及び蓄電装置調整電流指令値に基づいて生成した蓄電装置充電電流指令値を出力する充電制御手段と、電流検出器で検出された集電装置点電流値及び調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値を入力し、当該集電装置点電流値及び蓄電装置調整電流指令値に基づいて生成した蓄電装置放電電流指令値を出力する放電制御手段と、充電制御手段から出力された蓄電装置充電電流指令値と放電制御手段から出力された蓄電装置放電電流指令とを加算した値である蓄電装置電流指令値を入力し、当該蓄電装置電流指令値に基づいて生成した通流率を出力する蓄電装置電流制御手段と、蓄電装置電流制御手段から出力された通流率を入力し、当該通流率に基づいて、チョッパ装置主回路において電源供給の制御を行うための信号を生成し、該信号をチョッパ装置主回路出力するPWM変調手段とを備える。
【0010】
ここで、チョッバ装置主回路は、主回路側に接続されたフィルタリアクトルと、フィルタリアクトルに接続されたフィルタコンデンサと、フィルタコンデンサに並列に接続され、フィルタコンデンサの電圧値をフィルタコンデンサ電圧値として検出する電圧検出器と、電気車の回生時にオンとなる第1スイッチング素子と、電気車の力行時にオンとなる第2スイッチング素子と、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との接続点と、蓄電装置の正極側との間に接続されたスムージングリアクトルと、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との接続点と、スムージングリアクトルとの間に接続され、蓄電装置への又は蓄電装置からの蓄電装置電流値を検出する電流検出器とを備えることができる。
【0011】
また、調整充放電制御手段は、電圧検出器で検出された蓄電装置電圧値を入力し該蓄電装置電圧値が調整充電開始電圧値より低いとき調整充電指令を発生して調整充電電流値を選択し、該蓄電装置電圧値が調整放電開始電圧値より高いとき調整放電指令を発生して調整放電電流値を選択し、調整充電電流値及び調整放電電流値の何れも選択しないときにはゼロを選択し、選択した値に1/2を乗算して蓄電装置調整電流指令値として出力することができる。
【0012】
また、充電制御手段は、電流検出器で検出された集電装置点電流値から充電動作不感帯設定値を減算する第1の手段と、第1の手段によって得られた値が入力される第1増幅器と、第1の手段によって得られた値が入力される第1積分器と、第1積分器の出力値を所定の充電制御上限電圧値及び所定の充電制御下限電圧値で制限して生成した値を、第1増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を所定の充電制御上限電圧値及び所定の充電制御下限電圧値で制限して充電時FC電圧指令値を生成し、チョッパ装置主回路の電圧検出器で検出されたフィルタコンデンサ電圧値から充電時FC電圧指令値を減算する第2の手段と第2の手段によってられた値が入力される第2増幅器と、第2の手段によって得られた値が入力される第2積分器とを備え、第2積分器の出力値を所定の充電電流リミッタ値及び調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値で制限して生成した値を、第2増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を所定の充電電流リミッタ値及び蓄電装置調整電流指令値で制限して得られる蓄電装置充電電流指令値を出力することができる。
【0013】
さらに、放電制御手段は、電流検出器で検出された集電装置点電流値から放電動作不感帯設定値を減算する第3の手段と、第3の手段によって得られた値が入力される第増幅器と、第3の手段によって得られた値が入力される第積分器と、第積分器の出力値を所定の放電制御上限電圧値及び所定の放電制御下限電圧値で制限して生成した値を、第増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を所定の放電制御上限電圧値及び所定の放電制御下限電圧値で制限して放電時FC電圧指令値を生成し、チョッパ装置主回路の電圧検出器で検出されたフィルタコンデンサ電圧値から放電時FC電圧指令値を減算する第4の手段と第4の手段によってられた値が入力される第増幅器と、第4の手段によって得られた値が入力される第積分器とを備え、第積分器の出力値を所定の放電電流リミッタ値及び調整充放電制御手段から出力された蓄電装置調整電流指令値で制限して生成した値を、第増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を所定の放電電流リミッタ値及び蓄電装置調整電流指令値で制限して得られる蓄電装置放電電流指令値を出力することができる。
【0014】
また、本発明の回路装置は、充電制御手段及び放電制御手段と蓄電装置電流制御手段の間、充電制御手段から出力された蓄電装置充電電流指令値と放電制御手段から出力された蓄電装置放電電流指令値を加算して蓄電装置電流指令値を生成し、該蓄電装置電流指令値からチョッパ装置主回路の電流検出器で検出された蓄電装置電流値を減算する第5の手段をさらに備え、蓄電装置電流制御手段は、第5の手段によって得られた値が入力される第5増幅器と、第5の手段によって得られた値が入力される第5積分器とを備え、第5積分器の出力値を所定の蓄電装置上限電圧値及び所定の蓄電装置下限電圧値で制限して生成した値を、第5増幅器の出力値に加算し、該加算して得られた値を所定の蓄電装置上限電圧値及び所定の蓄電装置下限電圧値で制限して蓄電装置電圧指令値を生成し、チョッパ装置主回路の電圧検出器で検出されたフィルタコンデンサ電圧値の逆数と蓄電装置電圧指令値を乗算して通流率を生成し出力することができる。
【0015】
PWM変調手段は、蓄電装置電流制御手段から出力された通流率キャリアと比較してPWM変調を行い、PWM変調によって得られた値をオンタイムディレイしてチョッパ装置主回路の第1スイッチング素子を点弧する上アーム点弧信号を生成し、該上アーム点弧信号をチョッパ装置主回路の第1スイッチング素子に出力し、PWM変調によって得られた値の反転値をオンタイムディレイしてチョッパ装置主回路の第2スイッチング素子を点弧する下アーム点弧信号を生成し、該下アーム点弧信号をチョッパ装置主回路の第2スイッチング素子に出力することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電気車の回路装置によれば、蓄電装置を搭載し、回生エネルギを架線に返せない場合にもエネルギを捨てることなく蓄積でき、再び力行するときに使用できるため、省エネルギであり、且つ架線の無い区間においても走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の回路装置の実施の形態を説明する。以下においては、主に鉄道車両の電気車における回路装置を具体的な一例として説明する。
【0018】
図1は、本発明の回路装置の一例を示す図である。この回路装置は、電気車の動力電源を供給するための集電装置50、フィルタリアクトル51、フィルタコンデンサ52、電圧と電流を制御するインバータ53、グランドレベルの電圧の車輪55および車輪55を駆動するモータ54からなる主回路200と、主回路200の集電装置50とフィルタリアクトル51との間に直列に接続され、集電装置50の電流値を集電装置点電流値Ioとして検出する電流検出器11と、電気車の力行時には主回路200に電力を供給し、回生時には電力を蓄える蓄電装置65と、主回路200と蓄電装置65の間に並列に接続され、主回路200から蓄電装置65への電源供給または主回路200への蓄電装置65からの電源供給を制御するチョッバ装置主回路106と、蓄電装置65の電圧を蓄電装置電圧値VBとして検出する電圧検出器14と、電圧検出器14で検出した蓄電装置電圧値VBを入力とし、当該蓄電装置電圧値VBに基づいて算出した蓄電装置調整電流指令値Iaを出力する調整充放電制御部103と、電流検出器11で検出された集電装置点電流値Ioをオフセット制御して入力とし、当該集電装置点電流値Ioに基づいて算出した蓄電装置充電電流指令値Icを出力する充電制御部101と、電流検出器11で検出された集電装置点電流値Ioをオフセット制御して入力とし、当該集電装置点電流値Ioに基づいて算出した蓄電装置放電電流指令値Ipを出力する放電制御部102と、充電制御部101から出力された蓄電装置充電電流指令値Icと放電制御部102から出力された蓄電装置放電電流指令Ipとを加算した値である蓄電装置電流指令値Iを入力とし、当該蓄電装置電流指令値Iに基づいて算出した通流率αを出力する蓄電装置電流制御部104と、蓄電装置電流制御部104から出力された通流率αを入力とし、当該通流率αに基づいて、チョッパ装置主回路106の蓄電装置65に対する電源供給の制御を行うための信号(上アーム点弧信号PH,下アーム点弧信号PL)を生成し、該信号PH,PLをチョッパ装置主回路106へ出力するPWM変調部105と、を備える。
【0019】
ここで、チョッパ装置制御回路100は、チョッパ装置主回路106を制御するために、充電制御部101と、放電制御部102と、調整充放電制御部103と、蓄電装置電流制御部104と、PWM変調部105と、を備える。
【0020】
図2は、チョッバ装置主回路106を示す図である。図2において、チョッバ装置主回路106は、主回路200側に接続されたフィルタリアクトル60と、フィルタリアクトル60に接続されたフィルタコンデンサ61と、フィルタリアクトル60とフィルタコンデンサ61との間に接続され、フィルタコンデンサ61の電圧値をフィルタコンデンサ電圧値Vfcとして検出する電圧検出器12と、PWM変調部105からの上アーム点弧信号PHに応じて電気車の回生時にONとなる第1スイッチング素子(上アーム)62と、PWM変調部105からの下アーム点弧信号PLに応じて電気車の力行時にONとなる第2スイッチング素子(下アーム)63と、第1スイッチング素子62と第2スイッチング素子63の間と、蓄電装置65の正極側との間に接続されたスムージングリアクトル64と、第1スイッチング素子62と第2スイッチング素子63の間と、スムージングリアクトル64との間に接続され、蓄電装置65へのまたはからの蓄電装置電流値IBを検出する電流検出器13と、を備える。
【0021】
図3は、調整充放電制御部103を示す図である。図3において、調整充放電制御部103は、電圧検出器14で検出した蓄電装置電圧値VBを入力とし、該蓄電装置電圧値VBが調整充電開始電圧値より低いとき調整充電指令を発生して調整充電電流値を選択し、該蓄電装置電圧値VBが調整放電開始電圧値より高いとき調整放電指令を発生して調整放電電流値を選択し、調整充電電流値および調整放電電流値の何れも選択しないときには0[A]を選択し、選択した値に1/2を乗算して蓄電装置調整電流指令値Iaとして出力する。
【0022】
図4は、充電制御部101を示す図である。図4において、充電制御部101は、電流検出器11で検出した集電装置点電流値Ioを入力とし、該集電装置点電流値Ioから充電動作不感帯設定値を減算した値が入力される増幅器(第1増幅器)1と、増幅器1と同じ値が入力される積分器(第1積分器)2と、積分器1の出力値を所定の充電制御上限電圧値および所定の充電制御下限電圧値で制限して生成した値を、増幅器1の出力値に加算し、該加算して得た値を所定の充電制御上限電圧値および所定の充電制御下限電圧値で制限して充電時FC電圧指令値を生成し、チョッパ装置主回路106の電圧検出器12で検出されたフィルタコンデンサ電圧値Vfcから充電時FC電圧指令値を減算し、該減算して得た値が入力される増幅器(第2増幅器)5と、増幅器5と同じ値が入力される積分器(第2積分器)6と、を備えている。
【0023】
ここで、充電制御部101は、積分器6の出力値を所定の充電電流リミッタIclimitおよび調整充放電制御部103からの蓄電装置調整電流指令値Iaで制限して生成した値を、増幅器5の出力値に加算し、該加算して得た値を所定の充電電流リミッタIclimitおよび蓄電装置調整電流指令値Iaで制限して得る蓄電装置充電電流指令値Icを出力する。
【0024】
図5は、放電制御部102を示す図である。図5において、放電制御部102は、電流検出器11で検出した集電装置点電流値Ioを入力とし、該集電装置点電流値Ioから放電動作不感帯設定値を減算した値が入力される増幅器(第1増幅器)3と、増幅器3と同じ値が入力される積分器(第1積分器)4と、積分器4の出力値を所定の放電制御上限電圧値および所定の放電制御下限電圧値で制限して生成した値を、増幅器3の出力値に加算し、該加算して得た値を所定の放電制御上限電圧値および所定の放電制御下限電圧値で制限して放電時FC電圧指令値を生成し、チョッパ装置主回路106の電圧検出器12で検出されたフィルタコンデンサ電圧値Vfcから放電時FC電圧指令値を減算し、該減算して得た値が入力される増幅器(第2増幅器)7と、増幅器7と同じ値が入力される積分器(第2積分器)8と、を備え、積分器8の出力値を所定の放電電流リミッタIplimitおよび調整充放電制御部103からの蓄電装置調整電流指令値Iaで制限して生成した値を、第2増幅器の出力値に加算し、該加算して得た値を所定の放電電流リミッタIplimitおよび蓄電装置調整電流指令値Iaで制限して得る蓄電装置放電電流指令値Ipを出力する、ことができる。
【0025】
また、図1において、充電制御部101と蓄電装置電流制御部104の間で、充電制御部101からの蓄電装置充電電流指令値Icと放電制御部102からの蓄電装置放電電流指令値Ipを加算して蓄電装置電流指令値Iを算出し、該蓄電装置電流指令値Iからチョッパ装置主回路106の電流検出器13で検出された蓄電装置電流値IBを減算し、該減算して得られた値を蓄電装置電流制御部104に入力する。
【0026】
図6は、蓄電装置電流制御部104およびPWM変調部105を示す図である。図6において、蓄電装置電流制御部104は、蓄電装置電流指令値Iから蓄電装置電流値IBを減算して得られた値が入力される増幅器9と、増幅器9と同じ値が入力される積分器10と、を備えている。
【0027】
ここで、積分器10の出力値を所定の蓄電装置上限電圧値および所定の蓄電装置下限電圧値で制限して生成した値を、増幅器9の出力値に加算し、該加算して得た値を所定の蓄電装置上限電圧値および所定の蓄電装置下限電圧値で制限して蓄電装置電圧指令値を生成する。この増幅器9、積分器10および所定の蓄電装置上限電圧値と所定の蓄電装置下限電圧値での制限による蓄電装置電圧指令値の生成部分がPI補償器となる。そして、チョッパ装置主回路106の電圧検出器12で検出されたフィルタコンデンサ電圧値Vfcの逆数と蓄電装置電圧指令値を乗算して通流率α(α=蓄電装置電圧指令値/Vfc)を生成し出力する。
【0028】
PWM変調部105は、蓄電装置電流制御部104からの通流率αとキャリアと比較してPWM変調をし、PWM変調をした値をオンタイムディレイ(ONTD)してチョッパ装置主回路106の第1スイッチング素子62を点弧する上アーム点弧信号PHを生成し、該上アーム点弧信号PHをチョッパ装置主回路106の第1スイッチング素子62に出力し、PWM変調をした値の反転値をオンタイムディレイ(ONTD)してチョッパ装置主回路106の第2スイッチング素子63を点弧する下アーム点弧信号PLを生成し、該下アーム点弧信号PLをチョッパ装置主回路106の第2スイッチング素子63に出力する。
【0029】
以下、図1~6を参照して、本発明の回路装置の動作について説明する。ここで、電流の向きは、架線(集電装置50)からエネルギの供給を受ける方向を正としている。
【0030】
電気車が走行中に回生レーキを使用すると、モータ54で発電された電気エネルギが集電装置50を通じて架線(図示せず)へ送られる。このとき、離線したり、近傍に負荷となる車両がいない場合は架線ヘエネルギを送れなくなるため、結果としてフィルタコンデンサ61の電圧が上昇する。放電制御部102では、放電時FC電圧指令値が放電制御上限電圧値で制限されるため、増幅器7および積分器8に入力される値は正となり、蓄電装置放電電流指令値Ipは0となる。
【0031】
また、充電制御部101では、フィルタコンデンサ61の電圧が充電時FC電圧指令値より大きくなったとき、増幅器5および積分器6に正の値が入力され、蓄電装置充電電流指令値Icが充電を意味する正の値を示す。
【0032】
充電制御部101と蓄電装置電流制御部104の間で、蓄電装置充電電流指令値Icと蓄電装置放電電流指令値Ipが加算されて蓄電装置電流指令値Iとなり、この蓄電装置電流指令値Iから蓄電装置電流値IBを減算した値(I-IB)が蓄電装置電流制御部104のPI補償器の増幅器9および積分器10に入力される。PI補償器から出力される蓄電装置電圧指令値が実際の蓄電電圧VBよりも大きくなるように、すなわち、蓄電装置65の蓄電電流IBが正になるように自動調整され、蓄電装置65へ充電される。ここで、蓄電電流IBが蓄電装置電流指令値Iに追随するようにPI補償器によってフィードバック制御され、これにより、流通率αが変化し、第1スイッチング素子62(上アーム)の点弧時間が増減することで、蓄電装置65への平均印加電圧が調整される。このとき、第2スイッチング素子63(下アーム)は点弧しない。
【0033】
車両が減速して回生エネルギが小さくなった場合、或いは近傍でエネルギを消費する負荷が発生した場合はフィルタコンデンサ61の電圧(フィルタコンデンサ電圧値Vfc)が下がる。このフィルタコンデンサ電圧値Vfcが充電時FC電圧指令値を下回ると、増幅器5および積分器6に入力される値は負となり、蓄電装置充電電流指令値Icは0となる。なお、力行時にも何らかの理由でフィルタコンデンサ61の電圧が上昇する可能性があるが、力行時は集電装置点電流値Ioが正であるので、充電時FC電圧指令値は充電制御上限電圧値となり、これ以上の電圧にならなければ充電動作を行わない。
【0034】
一方、電気車が力行すると、架線から集電装置50を通じてエネルギが供給される。このとき、離線したり、近傍に力行中の車両が存在した場合は架線からエネルギが供給できなくなり、結果としてフィルタコンデンサ61の電圧が降下する。充電制御部101では、充電時FC電圧指令値が充電制御下限電圧値で制限されるため、増幅器5および積分器6に入力される値は負となり、蓄電装置充電電流指令値Icは0となる。
【0035】
また、放電制御部102では、フィルタコンデンサ61の電圧が放電時FC電圧指令値より小さくなったとき、増幅器7および積分器8に負の値が入力され、蓄電装置放電電流指令値Ipが放電を意味する負の値を示す。
【0036】
充電制御部101と蓄電装置電流制御部104の間で、蓄電装置充電電流指令値Icと蓄電装置放電電流指令値Ipが加算されて蓄電装置電流指令値Iとなり、この蓄電装置電流指令値Iから蓄電装置電流値IBを減算した値(I-IB)が蓄電装置電流制御部104のPI補償器の増幅器9および積分器10に入力される。PI補償器から出力される蓄電装置電圧指令値が実際の蓄電電圧VBよりも小さくなるように、すなわち、蓄電装置65の蓄電電流IBが負になるように自動調整され、蓄電装置65から放電される。ここで、蓄電電流IBが蓄電装置電流指令値Iに追随するようにPI補償器によってフィードバック制御され、これにより、流通率αが変化し、第2スイッチング素子63(下アーム)の点弧時間が増減することで、蓄電装置65からの平均放電電圧が調整される。このとき、第1スイッチング素子62(上アーム)は点弧しない。
【0037】
車両が十分加速して使用する電力が小さくなった場合、或いは近傍でエネルギを消費する負荷がいなくなった場合は、フィルタコンデンサ61の電圧(フィルタコンデンサ電圧値Vfc)が上がる。このフィルタコンデンサ電圧値Vfcが放電時FC電圧指令値を上回ると、増幅器7および積分器8に入力される値は正となり、蓄電装置放電電流指令値Ipは0となる。なお、回生時にも何らかの理由でフィルタコンデンサ61の電圧が下降する可能性があるが、回生時は集電装置点電流値Ioが負であるので、放電時FC電圧指令値は放電制御下限電圧値となり、これ以下の電圧にならなければ放電動作を行わない。
【0038】
電気車が力行および回生を繰り返し、蓄電装置65の電圧が設定した範囲を逸脱した場合は、調整充放電制御部103において、調整充電指令および調整放電指令により蓄電装置放電電流指令値Iaが決定され、調整充放電が行われる。
【0039】
本発明の回路装置による電気車の制御により、離線時にも力行回生ができ、さらには架線が無い区間への乗り入れにも、なんらの切り替え作業も無く、架線がある区間と同様の走行が可能であるため、何らかの理由で架線を設けられない区間を有する路線にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の回路装置の一例を示す図である。
【図2】チョッバ装置主回路106を示す図である。
【図3】調整充放電制御部103を示す図である。
【図4】充電制御部101を示す図である。
【図5】放電制御部102を示す図である。
【図6】蓄電装置電流制御部104およびPWM変調部105を示す図である。
【図7】従来の電気車の主回路図である。
【符号の説明】
【0041】
1,3,5,7,9 増幅器
2,4,6,8,10 積分器
11,13 電流検出器
12,14 電圧検出器
50,250 集電装置
51,60,251 フィルタリアクトル
52,61,252 フィルタコンデンサ
53,253 インバータ
54,254 モータ
55,257 車輪
62 第1スイッチング素子
63 第2スイッチング素子
64 スムージングリアクトル
65 蓄電装置
100 チョッパ装置制御回路
101 充電制御部
102 放電制御部
103 調整充放電制御部
104 蓄電装置電流制御部
105 PWM変調部
106 チョッパ装置主回路
200 主回路
255 スイッチング素子
256 抵抗器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6