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明細書 :ポリフェニレンデンドリマー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4517154号 (P4517154)
公開番号 特開2007-238556 (P2007-238556A)
登録日 平成22年5月28日(2010.5.28)
発行日 平成22年8月4日(2010.8.4)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 ポリフェニレンデンドリマー
国際特許分類 C07C  15/44        (2006.01)
C07C  15/56        (2006.01)
C07C   5/48        (2006.01)
FI C07C 15/44 CSP
C07C 15/56
C07C 5/48
請求項の数または発明の数 3
全頁数 13
出願番号 特願2006-066383 (P2006-066383)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年9月11日 2005年光化学討論会 講演要旨集 540頁 3P079に発表
特許法第30条第1項適用 平成17年9月14日 アクロス福岡において開催された2005年光化学討論会で発表
特許法第30条第1項適用 平成17年12月18日に日本化学会が主催した2005環太平洋国際化学会議ポスターセッションにて発表
特許法第30条第1項適用 平成18年2月8日 筑波大学大学院数理物質科学研究科 化学分野 平成17年度修士論文審査会要旨集において文書をもって発表
特許法第30条第1項適用 平成18年2月14日 筑波大学で開催された筑波大学大学院数理物質科学研究科 化学分野 平成17年度修士論文審査会において文書をもって発表
審査請求日 平成19年3月5日(2007.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】新井 達郎
【氏名】百武 篤也
【氏名】岡本 朋子
個別代理人の代理人 【識別番号】100089705、【弁理士】、【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100126985、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 充利
審査官 【審査官】水島 英一郎
参考文献・文献 Photochemical & Photobiological Sciences,2003年,Vol. 2, No. 11,1181-1186
Tetrahedron Letters,2002年,Vol. 43, No. 30,5265-5268
調査した分野 C07C 15/42
C07C 15/56
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の式を有するポリフェニレンデンドリマー:
【化1】
JP0004517154B2_000009t.gif
[式中、Xは、スチルベンのベンゼン環のパラ位に1つ導入されるか、又は、メタ位に2つ導入されており、Xは、以下の式:
【化2】
JP0004517154B2_000010t.gif
[式中、2個のRは同一であっても、異なっていてもよく、相互に独立して、直鎖、分岐又は環状の、C1-C20アルキル基、C1-C20アルケニル基、C1-C20アルキニル基、C1-C20アルコキシ基;アミノ基(-NH)基;カルボン酸(-COOH)基;C1-C10アルキルアミノ基;C1-C10アシルアミノ基であり、ここで、これらの基は、-COOH、-NH、-SH、-OH、-CH=CH、-Phにより置換されていてもよい]
で表され、ここで、スチルベン部分は、トランス又はシスの立体配置をとることができる]。
【請求項2】
請求項1のポリフェニレンデンドリマーを酸化剤を用いて環化して得られる、以下の式を有するポリフェニレンデンドリマー:
【化3】
JP0004517154B2_000011t.gif
[式中、Rは、請求項1に記載した通りである]。
【請求項3】
請求項1に記載のデンドリマーを酸化剤を用いて環化することを含む、請求項2に記載のデンドリマーを製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリフェニレンデンドリマー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デンドリマー化合物は、中心のコア、コアから延びる枝分かれユニット(デンドロン)により構成される樹状構造、及び、最外層に配置される表面官能基とが三次元的に展開する特異な化学構造を有し、例えば、電子材料科学、界面科学、材料科学等の分野で多くの研究がなされている。デンドリマー化合物の応用例として、電子材料への利用(特許文献1)、液晶への利用(特許文献2)、蛍光性樹脂シートへの利用(特許文献3)等、種々の技術が提案されている。
【0003】
また、ポリフェニレン化合物に関する技術として、縮合多環芳香族化合物を半導体として使用するもの(特許文献4)、トリベンゾトリフェニレノオバレン誘導体を有機発光素子として利用するもの(特許文献5)などが知られている。
【0004】

【特許文献1】特開平11-171812
【特許文献2】特開2000-264965
【特許文献3】特開平11-323324
【特許文献4】特開2005-79163
【特許文献5】特開2002-216963
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、新規なポリフェニレンデンドリマー化合物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、デンドリマーのコアにスチルベン、デンドロンにポリフェニレンを有するデンドリマー分子を合成し、新規なポリフェニレンデンドリマーを完成させた。
【0007】
これに限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の式を有するポリフェニレンデンドリマー:
【0008】
【化1】
JP0004517154B2_000002t.gif

【0009】
[式中、Xは、スチルベンのベンゼン環のパラ位に1つ導入されるか、又は、メタ位に2つ導入されており、
Xは、以下の式で表され:
【0010】
【化2】
JP0004517154B2_000003t.gif

【0011】
[式中、2個のRは同一であっても、異なっていてもよく、相互に独立して、直鎖、分岐または環状の、C1-C20アルキル基、C1-C20アルケニル基、C1-C20アルキニル基、C1-C20アルコキシ基;アミノ基(-NH2)基;カルボン酸(-COOH)基;C1-C10アルキルアミノ基;C1-C10アシルアミノ基であり、ここで、これらの基は、-COOH,-NH,-SH,-OH,-CH=CH2,-Ph(フェニル)により置換されていてもよい];
ここで、スチルベン部分は、トランス又はシスの立体配置をとることができる]。
(2)以下の式を有するポリフェニレンデンドリマー:
【0012】
【化3】
JP0004517154B2_000004t.gif

【0013】
[式中、Rは、(1)に記載した通りである]。
(3)(1)に記載のデンドリマーを環化することを含む、(2)に記載のデンドリマーを製造する方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、上記課題が解決された。また、本発明のデンドリマーは光化学材料として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、1つの態様において、以下の式Iを有するポリフェニレンデンドリマーである:
【0016】
【化4】
JP0004517154B2_000005t.gif

【0017】
[式中、Xは、スチルベンのベンゼン環のパラ位に1つ導入されるか、又は、メタ位に2つ導入されており、
Xは、以下の式で表される:
【0018】
【化5】
JP0004517154B2_000006t.gif

【0019】
[式中、2個のRは同一であっても、異なっていてもよく、相互に独立して、直鎖、分岐または環状の、C1-C20アルキル基、C1-C20アルケニル基、C1-C20アルキニル基、C1-C20アルコキシ基;アミノ基(-NH2)基;カルボン酸(-COOH)基;C1-C10アルキルアミノ基;C1-C10アシルアミノ基であり、ここで、これらの基は、-COOH,-NH,-SH,-OH,-CH=CH2,-Phにより置換されていてもよい];
ここで、スチルベン部分は、トランス又はシスの立体配置をとることができる]。
【0020】
本発明においては、デンドリマーのコアとしてスチルベンが使用される。一般にスチルベン分子は、紫外線照射によりC=C二重結合においてtrans体とcis体との間で相互に異性化を起こすことが知られており、また、trans体は蛍光を放出することが知られている。さらに、本発明においては、デンドリマーのデンドロンとしてポリフェニレンを使用する。本発明におけるデンドロンは、比較的剛直な構造を有している。そして、このようなコアとデンドロンを有する本発明のポリフェニレンデンドリマーは、紫外線の照射によって、コアであるスチルベン部分がシス体とトランス体との間で相互に光異性化する。なお、本明細書、及び、本明細書に添付する特許請求の範囲においては、スチルベン部分として、構造式中に、トランス体或いはシス体のみが表されている場合があるとしても、特に明示のない限り、シス体或いはトランス体を排除するものではなく、シス体或いはトランス体を含むものとして記載していることに留意されたい。
【0021】
さらに、本発明のポリフェニレンデンドロンは、アルキル鎖Rによって、溶媒への溶解性を調節することが可能である。例えば、Rとして長鎖アルキル鎖を採用することにより、デンドリマー分子の溶媒への溶解性を高めることが可能である。具体的には、Rとしては、直鎖、分岐または環状の、C1-C20アルキル基、C1-C20アルケニル基、C1-C20アルキニル基、C1-C20アルコキシ基を用いることができる。Rは、より好ましくは、直鎖、分岐または環状の、C5-C15アルキル基、C5-C15アルケニル基、C5-C15アルキニル基、C5-C15アルコキシ基であり、さらに好ましくは、直鎖、分岐または環状の、C8-C15アルキル基、C8-C15アルケニル基、C8-C15アルキニル基、C8-C15アルコキシ基であり、最も好ましくは、直鎖、分岐または環状の、C10-C14アルキル基、C10-C14アルケニル基C10-C14アルキニル基、C10-C14アルコキシ基である。さらに、Rは、アミノ基(-NH2)基;カルボン酸(-COOH)基;C1-C10アルキルアミノ基;C1-C10アシルアミノ基であってもよい。また、Rは、1又は2以上の-COOH,-NH,-SH,-OH,-CH=CH2,-Phにより置換されていてもよい。
【0022】
さらに、本発明のポリフェニレンデンドリマーは、フィルム状にすることができる。したがって本発明のデンドリマーは、例えば、蛍光性のフィルムとして利用することが可能である。また、本発明のポリフェニレンデンドリマーを含んでなるフィルムに紫外光を照射すると、光異性化反応が進行し、フィルムの紫外・可視吸収および、蛍光スペクトルが変化する。したがって、本発明のポリフェニレンデンドリマーはフォトクロミック材料としても好適に使用することができる。
【0023】
本発明のポリフェニレンデンドリマーをフィルム化する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、本発明のポリフェニレンデンドリマーを溶媒中に溶解させ、その溶液をガラス板上に滴下し、溶媒を蒸発させることにより得ることができる。フィルム化に使用する溶媒は、本発明のポリフェニレンデンドリマーが溶解するものであれば特に制限はないが、好適には、ヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、THF、ベンゼン、ジクロロメタン、酢酸エチルを挙げることができ、特に好適には、ヘキサン、クロロホルムである。ここで、本発明のポリフェニレンデンドリマーを含んでなるフィルムには、ポリフェニレンデンドリマー以外の化合物が含まれていてもよく、用途に応じて、適宜様々な添加剤を加えることができる。例えば、ポルフィリン系化合物およびピレン、アントラセン等の芳香族多環式炭化水素などの各種発光性色素は、本発明のデンドリマーと組み合わせることにより発光性材料としての用途が期待できるため、特に好適である。1つの態様において、本発明のデンドリマーを以下の手順によりフィルム化することができる。すなわち、本発明のポリフェニレンデンドリマーをヘキサンおよびクロロホルムに溶解させ、室温下でガラス上に滴下し、その後、溶媒が蒸発すると、上記ポリフェニレンデンドリマーのフィルムを得ることができる。
【0024】
また、本発明のデンドリマーは、高分子化合物中に混合して使用することもできる。本発明のデンドリマーを分散させる高分子は、デンドリマーを均一に溶解させる高分子化合物であれば特に制限はないが、光学材料として用いる場合には、散乱の無い透明なものが好ましい。具体例として、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂や、これらの共重合体、混合体の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0025】
また、本発明のポリフェニレンデンドリマーは、特徴的な光化学的挙動を示すため、有機EL、半導体材料、及び、蛍光性材料として使用することが考えられる。
また、本発明は、1つの態様において、以下の式を有するポリフェニレンデンドリマーである:
【0026】
【化6】
JP0004517154B2_000007t.gif

【0027】
[式中、Rは、上記した通りである]。
また、本発明は、1つの態様において、上記ポリフェニレンデンドリマーの製造方法である。具体的には、本発明のポリフェニレンデンドリマーの製造方法は、式Iで表されるデンドリマーを環化することを含む。
【0028】
本発明において、環化反応における酸化剤としては、公知の酸化剤を使用することがdきるが、好適な酸化剤として、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、塩化銅(II)過マンガン酸カリウム、ジクロロジシアノ-p-ベンゾキノン、酢酸タリウム(III)、二酸化マンガンを挙げることができる。環化反応における酸化剤の量も特に限定されないが、原料のデンドリマー1モルあたり、好ましくは10~1000モル、より好ましくは100~800モル、さらに好ましくは400~500モルの酸化剤を使用する。また、反応温度、pHにも特に制限はないが、例えば、室温で反応させることができ、また、酸性—中性で反応を行うことができる。
【実施例】
【0029】
以下の実施例において、本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、以下の実施例の記載は、あくまで本発明を説明するための例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0030】
[実施例1]アルキル置換デンドロンの合成
(1)1-ブロモ-4-ドデカノイルベンゼンの合成
ブロモベンゼン(24.9 g, 0.158 mol)にAlCl3(13.0 g, 0.0978 mol)を加え、室温、空気下でラウロイルクロライド(17.4 g, 0.0796 mol)を滴下した。1時間後反応溶液を氷水(200 ml)にあけてジクロロメタンで抽出した。有機層を希塩酸、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。エタノールで再結晶をして、真空乾燥をして1-ブロモ-4-ドデカノイルベンゼン(0.0762 mol、収率96%)を得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 0.88 (t, J=6.4 Hz, 3H), 1.32-1.25 (m, 18H), 1.72 (t, J=7.2 Hz, 2H), 7.60 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.85 (d, J=8.6 Hz, 2H)
【0031】
(2)1-ブロモ-4-ドデシルベンゼンの合成
1-ブロモ-4-ドデカノイルベンゼン(18.6 g, 0.0548 mol)のジエチレングリコール(120 ml)溶液にKOH(12.4 g, 0.188 mol)とヒドラジン一水和物(8.20 g, 0.164 mol)を加えて窒素下、210℃で3時間攪拌した。反応液を氷水200 mlにあけてジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和NaHCO3水で洗浄した後、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮した。これを展開溶媒hexane/AcOEt (97/3)のシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、1-ブロモ-4-ドデシルベンゼン(9.26 g, 収率67%)を得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 0.88 (t, J=6.4, 3H), 1.40-1.20 (m, 18H),1.57-1.51 (br, 2H), 2.54 (t, J=7.6 Hz, 2H), 7.03 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.37 (d, J=8.4 Hz, 2H)
【0032】
(3)1,2-ビス(4-ドデシルフェニル)エタン-1,2-ジオンの合成
1-ブロモ-4-ドデシルベンゼン(2.52 g, 0.00998 mol)の蒸留テトラヒドロフラン(10 ml)溶液に窒素下、-78 ℃でsec-ブチルリチウム(10 ml, 0.0099 mol)を加えた。1,4-ジメチルピペラジン-2,3-ジオン(0.936 g,0.00497 mol)の蒸留テトラヒドロフラン(10 ml)溶液に窒素下、0 ℃で上記の反応溶液を加えた。3時間攪拌後、有機層を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄した後、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮した。これを展開溶媒ヘキサン/酢酸エチル(95/5)のシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、1,2-ビス(4-ドデシルフェニル)エタン-1,2-ジオン(収率56%)を得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 0.88 (t, J=6.4 Hz, 6H), 1.40-1.20 (m, 36H), 1.62-1.57 (br, 4H), 2.67 (t, J=7.6 Hz, 4H), 7.31 (d, J=8.4 Hz, 4H), 7.89 (d, J=8.4 Hz, 4H)
【0033】
(4)アルキル置換デンドロンの合成
窒素下でエタノールに1,2-ビス(4-ドデシルフェニル)エタン-1,2-ジオン(1.00 g, 1.83 mmol)、1,3-ジフェニルアセトン(0.354 g, 1.66 mmol)を溶解し還流した。あらかじめ少量のエタノールに溶解させたKOH(1.83 mmol)を上記の反応溶液に加え15分反応させた後、ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。展開溶媒ジクロロメタン/ヘキサン(1/2)のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離しアルキル置換デンドロン(0.533 g, 0.739 mmol, 収率45%)を得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 0.89 (t, J=6.3 Hz, 6H), 1.40-1.20 (m, 36H), 1.61-1.54 (br, 4H), 2.56 (t, J=7.6 Hz, 4H), 6.81 (d, J=8.2 Hz, 4H), 6.97 (d, J=8.6 Hz, 4H), 7.27-7.22 (m, 10 H)
【0034】
[実施例2]スチルベンコアの合成
(1)1,3-ジブロモ-5-ブロモメチルベンゼンの合成
3,5-ジブロモトルエン(4.15 g, 0.0166 mol)とNBS(2.95 g, 0.0166 mol)、AIBN(10mg)をCCl4に溶解し2時間半還流させた。コハク酸をろ別後、ろ液を濃縮してヘキサンで再結晶を行い、1,3-ジブロモ-5-ブロモメチルベンゼン(1.94 g, 5.90 mmol)を得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 4.37 (s, 2H), 7.47 (s, 2H), 7.60 (s, 1H)
【0035】
(2)(3,5-ジブロモベンジル)リン酸ジエチルの合成
1,3-ジブロモ-5-ブロモメチルベンゼン(1.94 g, 5.90 mmol)に亜燐酸トリエチル(0.993 g, 5.98 mmol)を添加し、窒素下180℃で5時間反応させた。乾燥させ、(3,5-ジブロモベンジル)リン酸ジエチルを得た。(3,5-ジブロモベンジル)リン酸ジエチルは精製せずに次の反応に用いた。
【0036】
(3)3,3,5,5-テトラブロモスチルベンの合成
窒素置換、氷で冷やしながらテトラヒドロフランと水素化ナトリウム (288 mg, 7.08 mmol)の溶液中に(3,5-ジブロモベンジル)リン酸ジエチルを加えてしばらく攪拌した。ここに3,5-ジブロモベンズアルデヒド(2.28 g, 5.90 mmol)を添加し、室温に戻して2時間反応させた。水にあけてCH2Cl2で抽出し、有機層を濃縮して展開溶媒ヘキサン100%のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離しクロロホルムで再結晶を行い無色針状結晶3,3,5,5-テトラブロモスチルベン(0.355 g, 収率12 %)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO, 289 K) d 7.44 (s, 2H, Olefin-H), 7.79 (t, J=1.6 Hz, 2H), 7.87 (d, J=1.6 Hz, 4H)。
【0037】
(4)3,3,5,5-テトラキス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]スチルベンの合成
トルエン、トリエチルアミンに3,3,5,5-テトラブロモスチルベン(0.0965 g, 0.195 mmol)、[Ph3P]PdCl2 (4 mg, 0.006 mmol)、ヨウ化銅(2 mg, 0.011 mmol)、トリフェニルフォスフィン(3 mg, 0.011 mmol)を加えて50℃に加熱した。トリイソプロピルシリルアセチレン(200 mg, 1.10 mmol)を加えてしばらく攪拌し、70℃に上げて一晩反応させた。水にあけジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物をヘキサン100%のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後ヘキサン100%GPCで単離し、3,3,5,5-テトラキス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]スチルベンを得た。なお、TIPS基の代わりにTBDMS基(t-ブチルジメチルシリル基)あるいはTBDPS基(t-ブチルジフェニルシリル基)を使用することも可能である。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 1.09-1.14 (br, 84H), 7.04 (s, 2H, Olefin-H), 7.45 (t, J=1.4 Hz, 2H), 7.54 (d, J=1.2 Hz, 4H)
【0038】
(5)4,4-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]スチルベンの合成
トルエン、トリエチルアミンに4,4-ジヨウドスチルベン(0.100 mg, 0.233 mmol)、[Ph3P]PdCl2 (5 mg)、ヨウ化銅(3 mg)、トリフェニルフォスフィン(4 mg)を加えて50℃に加熱した。トリイソプロピルシリルアセチレン(512 mg, 2.81 mmol)を加えてしばらく攪拌し、80℃に上げて一晩反応させた。水にあけジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濃縮した。展開溶媒ヘキサン100%のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離し、4,4-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]スチルベンを得た。なお、上記の反応において、4,4-ジヨウドスチルベンの代わりに、4,4-ジブロモスチルベン及びヨウ化カリウムを用いて反応を進行させることもできる。
1H NMR (200 MHz, CDCl3, 298 K) d 1.00-1.10 (m, 42H), 7.08 (s, 2H, Olefin-H), 7.45 (s, 8H)
【0039】
[実施例3]ポリフェニレンデンドリマーの合成
(1)アルキル置換ポリフェニレンデンドリマー(デンドロンがスチルベンのメタ位に置換されたもの:本明細書においてはtrans-meta-G1ともいう)の合成
実施例2(4)に記載の方法により得られた3,3,5,5-テトラキス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]スチルベン(217 mg, 0.241 mmol)をテトラヒドロフランに溶解し、窒素下室温でテトラブチルアンモニウムフルオライドを加え5分攪拌させた。水を加え反応を止め、テトラヒドロフランを留去した後ジクロロメタンで抽出し有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。薄茶色残渣に少量のメタノールを加え、溶解しない薄茶色化合物を得た(59.4 mg)。この混合物中に脱保護したスチルベンが含まれていることをNMRから確認した。これ以上の生成は行わず、次の反応へ進んだ。
【0040】
(Diels-Alder反応)
上記の方法で得られたコアスチルベンと、実施例1(4)に記載の方法により得られたアルキル置換デンドロン(614 mg, 0.852 mmol)をジフェニルエーテルに溶解し、窒素下120℃で26時間反応させた。水にあけてジクロロメタンで抽出し有機層を濃縮して展開溶媒クロロホルム/ヘキサンのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、クロロホルムGPCで単離し、アルキル置換ポリフェニレンデンドリマーを得た(128 mg, 0.0425 mmol, 収率18%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 298 K) d 0.90 (t, J=6.6 Hz, 24H), 1.15-1.20 (m, 16H), 1.20-1.38 (m, 128H), 1.38-1.46 (m, 16H), 2.36 (t, J=6.6 Hz, 8H), 2.40 (t, J=6.6 Hz, 8H), 6.28 (s, 2H, Olefin-H), 6.60-6.64 (m, 16H), 6.68-6.72 (m, 16H), 6.76-6.77 (m, 8H), 6.80-6.83 (m, 4H), 6.86-6.87 (m, 12H), 6.94 (s, 2H), 7.12-7.18 (m, 20H), 7.24-7.26 (m, 4H)
【0041】
(2)アルキル置換ポリフェニレンデンドリマー(デンドロンがスチルベンのパラ位に置換されたもの:本明細書においてはtrans-para-G1ともいう)の合成
実施例2(5)に記載の方法により得られた4,4-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]スチルベン(40.5 mg, 0.158 mmol)をテトラヒドロフランに溶解し、実施例3(1)と同様の反応を行い、アルキル置換ポリフェニレンデンドリマーを得た(269 mg, 0.167 mmol)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3, 298 K) d 0.90 (t, J=7.2 Hz, 12H), 1.12-1.16 (m, 8H), 1.20-1.33 (m, 64H), 1.39-1.48 (m, 8H), 2.37 (t, J=7.8 Hz, 4H), 2.41 (t, J=7.8 Hz, 4H),6.64-6.67 (m, 8H), 6.71-6.73 (m, 8H),6.87-6.88 (m, 4H), 6.94-6.97 (m, 8H), 7.12-7.18 (m, 14H), 7.26-7.28 (m, 4H), 7.58 (s, 2H, Olefin-H)
【0042】
[実施例4]環化ポリフェニレンデンドリマーの合成
(1)環化ポリフェニレンデンドリマー(デンドロンがスチルベンのメタ位に置換されたもの:本明細書においては、trans-meta-[G1]PAHともいう)の合成
トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(2.13 g)と塩化アルミニウム(0.788 g)の二硫化炭素(100 ml)溶液を窒素下でしばらく攪拌し、実施例3(1)に記載の方法により得られたポリフェニレンデンドリマー(44.4 mg)を加えて室温で4日間反応させた。メタノール(50 ml)を加えて沈殿物をろ過した。ろ紙上の固体をアンモニア水、希塩酸、メタノールで洗浄し、黒褐色固体(34.4 mg)を得た。その後THF/n-ブチルアミン(4/1)の混合溶媒中で超音波処理し、遠心分離器で溶媒に不溶な成分と、可溶な成分に分離した。
【0043】
(2)環化ポリフェニレンデンドリマー(デンドロンがスチルベンのパラ位に置換されたもの:本明細書においてはtrans-para-[G1]PAHともいう)の合成
トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(3.18 g)と塩化アルミニウム(1.23 g)の二硫化炭素(100 ml)溶液を窒素下でしばらく攪拌し、実施例3(2)に記載の方法により得られたポリフェニレンデンドリマ-(37.3 mg)を加えて室温で4日間反応させた。メタノール(50 ml)を加えて沈殿物をろ過した。ろ紙上の固体をアンモニア水、希塩酸、メタノールで洗浄し、黒褐色固体(35.6 mg)を得た。 その後THF/n-ブチルアミン(4/1)の混合溶媒中で超音波処理し、遠心分離器で溶媒に不溶な成分と、可溶な成分に分離した。
【0044】
[実施例5]各種物性の測定
(1)測定方法
蛍光測定
測定溶媒として、ヘキサン(関東化学、けい光分析用)、ベンゼン(和光純薬、分光分析用)、クロロホルム(関東化学、けい光分析用)を使用した。吸収スペクトル測定は島津UV-1600型可視紫外分光光度計を用いた。また、蛍光、蛍光励起スペクトル測定は日立F-4500型蛍光光度計を用いた。
【0045】
蛍光量子収率の算出
蛍光量子収率は、アントラセンのエタノール溶液を標準物質として、以下の式に従い相対法により算出した。
【0046】
【数1】
JP0004517154B2_000008t.gif

【0047】
光異性化に伴う紫外・可視吸収スペクトル変化の測定
溶媒はベンゼンを用いた。光源にはJASCO FP333型蛍光光度計の150 Wキセノンランプを用いて、バンド幅10 nmで照射を行った。純粋なトランス体とシス体の吸収スペクトルをあらかじめ測定しておき、光照射時のトランス体またはシス体の特定波長のおける吸光度変化を、それぞれのパーセント濃度の変化として算出した。吸光度の変化が一定になったときのトランス体とシス体のパーセント濃度を、光定常状態比とした。
【0048】
(2)ポリフェニレンデンドリマーの物性測定
実施例3(1)で得たtrans-meta-G1、及び、実施例3(2)で得たtrans-para-G1について、光化学的挙動を測定した。
【0049】
上述の方法に従って、これらの化合物の有機溶媒(クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン)中における蛍光励起スペクトルを測定した。スチルベンコアに由来する蛍光を測定した結果、trans-meta-G1の蛍光量子収率は、溶媒がクロロホルムの場合、0.50、ベンゼンの場合、0.70、ヘキサンの場合には0.69であった。一方、trans-para-G1の蛍光量子収率は、溶媒がクロロホルムの場合、0.88、ベンゼンの場合、0.83、ヘキサンの場合、0.90であり、溶媒の極性にかかわらず、高い蛍光量子収率を示した。これは、スチルベンの蛍光量子収率と比較すると、trans-meta-G1は10倍程度、trans-para-G1は20倍程度大きい蛍光量子収率を有することを意味する。このことから、デンドロン部位からスチルベン部位へ高効率でエネルギー移動が起こることが示された。
【0050】
さらに、上述の方法によって紫外・可視収集スペクトルを測定したところ、実施例3(1)で得られたtrans-meta-G1、及び、実施例3(2)で得られたtrans-para-G1に紫外線を照射すると、trans体とcis体との間で異性化が相互に生じることが確認された。具体的には、trans-meta-G1に紫外線を照射したところ、UVスペクトルにおいてtransスチルベンに特有の長波長部の吸光度が減少し、蛍光スペクトルもtrans体由来のスペクトルが観察された。meta-G1の異性化における光定常状態比を計算したところ、trans体/cis体=12/88だった。
【0051】
一方、para-G1については、trans-para-G1に紫外線を照射したところ、UVスペクトルにおいてtransスチルベンに特有の長波長部の吸光度が減少し、蛍光スペクトルもtrans体由来のスペクトルが観察された。para-G1の異性化における光定常状態比を計算したところ、、para-G1ではtrans体/cis体=85/15だった。
【0052】
(3)環化ポリフェニレンデンドリマーの物性測定
実施例4で得られた環化ポリフェニレンデンドリマー(デンドロンがスチルベンのメタ位に置換されたもの(trans-meta-[G1]PAH)、及び、パラ位に置換されたもの(trans-para-[G1]PAH))について、光学的物性を測定した。trans-meta-[G1]PAH、及び、trans-para-[G1]PAHをそれぞれ、THF/n-ブチルアミン(4/1)の混合溶媒に加え、超音波処理し、遠心分離器で溶媒に不溶な成分と、可溶な成分に分離し、不溶成分及び可溶成分のそれぞれについて紫外・可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定した。結果を図1~図4に示す。図1-図4のスペクトルより、芳香族多環式炭化水素がシート状に広がっっていることが示唆される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、実施例4(1)で得られた環化ポリフェニレンデンドリマーの不溶成分(Precipitant)の吸収(Absorbance:Abs)、蛍光(FL)および、蛍光励起(FLE)スペクトルを示すグラフである。グラフ中、横軸が波長(wavelength)、縦軸が吸収(abosorbance)及び蛍光強度(Fluorescence Intensity)である。
【図2】図2は、実施例4(1)で得られた環化ポリフェニレンデンドリマーの可溶成分(Supernatant)の吸収(Abs)、蛍光(FL)および、蛍光励起(FLE)スペクトルを示すグラフである。
【図3】図3は、実施例4(2)で得られた環化ポリフェニレンデンドリマーの不溶成分の吸収(Abs)、蛍光(FL)および、蛍光励起(FLE)スペクトルを示すグラフである。
【図4】図4は、実施例4(2)で得られた環化ポリフェニレンデンドリマーの不溶成分の吸収(Abs)、蛍光(FL)および、蛍光励起(FLE)スペクトルを示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3