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明細書 :接着絶縁レールの継目構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4390283号 (P4390283)
公開番号 特開2006-348632 (P2006-348632A)
登録日 平成21年10月16日(2009.10.16)
発行日 平成21年12月24日(2009.12.24)
公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
発明の名称または考案の名称 接着絶縁レールの継目構造
国際特許分類 E01B  11/54        (2006.01)
E01B  11/30        (2006.01)
FI E01B 11/54
E01B 11/30
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願2005-177393 (P2005-177393)
出願日 平成17年6月17日(2005.6.17)
審査請求日 平成19年9月4日(2007.9.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】591036893
【氏名又は名称】鉄道機器株式会社
発明者または考案者 【氏名】若月 修
【氏名】阿部 則次
【氏名】片岡 宏夫
【氏名】大塚 孝
【氏名】小佐野 浩一
【氏名】鬼 憲治
【氏名】永原 正己
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】砂川 充
参考文献・文献 実公昭49-037842(JP,Y1)
特開平01-278601(JP,A)
特開2003-003403(JP,A)
実開平04-117001(JP,U)
実開昭57-160301(JP,U)
調査した分野 E01B 11/54
E01B 11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
レールの継目部分の両側に継目板を絶縁性の接着材によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁レールの継目構造であって、
前記継目板の頭部は、前記継目部分を通過する車輪と接触可能であり、この車輪が接触するこの継目部分の前後のレールの頭部に前記接着材によって接着されており、
前記継目板は、前記継目部分の前後のレールのいずれか一方とは電気的に接続され他方とは電気的に絶縁されていること、
を特徴とする接着絶縁レールの継目構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接着絶縁レールの継目構造において、
前記レールの頭部及び前記継目板の頭部は、前記接着材によって接着されたときに、通常のレールの頭部と同一形状になること、
を特徴とする接着絶縁レールの継目構造。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、レールの継目部分の両側に継目板を絶縁性の接着材によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁レールの継目構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来の接着絶縁レールの継目構造の外観図であり、図10(A)は平面図であり、図10(B)は側面図である。図11は、図10(A)のX1I-XI線で切断した状態を示す断面図である。
図10及び図11に示す車輪Wは、レール102,103と回転接触する鉄道用部材であり、レール102,103のレール頭部102a,103aと接触して摩擦抵抗を受ける踏面W1と、脱輪を防止するために車輪Wの外周に連続して形成されたフランジ面W2とを備えている。従来の接着絶縁レールの継目構造101は、図10に示すように、レール102とレール103との間に絶縁性のレール形110を挿入するとともに、図10及び図11に示すようにレール102,103の継目部分の両側に継目板104,105を接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続している(例えば、特許文献1参照)。このような従来の継目構造101では、図11に示すように、レール102の腹部側面102hに絶縁性の接着材111,112によって継目板104,105が接着されており、レール102及び継目板104,105の貫通孔102d,104a,105aに絶縁性のチューブ106を挿入するとともにこのチューブ106に継目板ボルト107を挿入し平座金109を装着してナット108で締結し組み立てられる。その結果、このような従来の継目構造101では、図10(A)に示すように、境界線Lによって電気的に絶縁されている。
【0003】

【特許文献1】特開平9-111702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12は、従来の接着絶縁レールの継目構造の作用を説明するための模式図であり、図12(A)は接着絶縁レールと車輪との位置関係を概略的に示す平面図であり、図12(B)は車輪の位置と電流との関係を模式的に示すグラフである。
このような従来の接着継目構造101では、図12(A)に示すように、車輪Wが位置P11から位置P13に向かって移動するときに、レール102からレール103に継目部分である位置P12でこの車輪Wが乗り移る。このとき、継目部分で車輪Wからレール102に流れる電流I0が一瞬切れるため、図12(B)に示すように継目部分でアークが発生することがある。このため、このような従来の継目構造101では、継目部分にアークが発生してレール102,103が損傷し、この損傷部分に繰り返し車輪Wが通過するとレール102,103に衝撃力が加わりレール102,103の寿命が短くなってしまう問題点がある。また、このような従来の継目構造101では、レール102,103に衝撃力が加わると接着材111,112が破壊されて絶縁不良が発生する問題点がある。
【0005】
この発明の課題は、接着絶縁レールの継目部分に発生するアークを低減して絶縁機能を長期間維持することができるとともにレール本体の寿命を延伸することができる接着絶縁レールの継目構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、レール(2,3)の継目部分の両側に継目板(4,5)を絶縁性の接着材(11,12)によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁レールの継目構造であって、前記継目板(4)の頭部(4b)は、前記継目部分を通過する車輪(W)と接触可能であり、この車輪が接触するこの継目部分の前後のレール(2,3)の頭部(2a,3a)に前記接着材によって接着されており、前記継目板は、前記継目部分の前後のレールのいずれか一方とは電気的に接続され他方とは電気的に絶縁されていることを特徴とする接着絶縁レールの継目構造(1)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の接着絶縁レールの継目構造において、前記レールの頭部及び前記継目板の頭部は、前記接着材によって接着されたときに、通常のレールの頭部と同一形状になることを特徴とする接着絶縁レールの継目構造である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、接着絶縁レールの継目部分に発生するアークを低減して絶縁機能を長期間維持することができるとともにレール本体の寿命を延伸することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の外観図であり、図1(A)は平面図であり、図1(B)は側面図である。図2は、図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。
【0010】
図1及び図2に示す継目構造1は、レール2,3の継目部分の両側に継目板4,5を絶縁性の接着材11,12によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁継目構造である。継目構造1は、例えば、列車の有無を検知する信号設備の一部である軌道回路としてレール2,3が使用されているときに、隣接する軌道回路との境界に設置されレール2,3を電気的に絶縁する。継目構造1は、軌道構造上の弱点箇所である絶縁継目を強化するために、レール2,3と継目板4,5とを強力な接着材11,12によって一体化している。継目構造1は、図1及び図2に示すように、レール2,3と、継目板4,5と、チューブ6と、継目板ボルト7と、ナット8と、平座金9と、レール形10と、接着材11,12と、導電部13などを備えている。継目構造1は、例えば、図1(A)に示すように、境界線Lによって電気的に絶縁されており、継目部分の前後のレール2,3のうちレール2と継目板4とが電気的に接続されレール3と継目板4とが電気的に絶縁されている。
【0011】
図3は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造におけるレール端部の外観図であり、図3(A)は平面図であり、図3(B)は側面図である。図4は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造におけるレール端部の断面図であり、図4(A)は図3(A)のIV-IVA線で切断した状態を示す断面図であり、図4(B)は図3(A)のIV-IVB線で切断した状態を示す断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すレール2,3は、車輪Wを案内する鉄道用部材である。レール2,3は、いずれも端部が直角に切断されており、突き合わせたレール2とレール3との間に絶縁材を挿入し、レール2,3と継目板4,5とを絶縁性の接着材11,12によって結合した接着絶縁レールである。レール2,3は、いずれも同一構造であり、以下ではレール2側を中心に説明し、レール3側の部分のうちレール2側と対応する部分については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。レール2は、図3及び図4に示すように、レール頭部2aと、レール底部2bと、レール腹部2cと、貫通孔2dと、切欠部2eなどを備えている。
【0013】
図3及び図4に示すレール頭部2aは、車輪Wと接触する部分であり、車輪Wを直接支持する頭頂面(頭部上面)2fなどを備えている。レール底部2bは、まくらぎ又は軌道スラブなどの支持体上に設置される部分であり、レール締結装置の締結ばねによって押さえ付けられる底部上面2gなどを備えている。レール腹部2cは、レール頭部2aに作用する輪重及び押圧をレール底部2bに伝達するように、レール頭部2aとレール底部2bとを繋ぐ部分であり、継目板4,5が接着される腹部側面2hなどを備えている。貫通孔2dは、チューブ6が貫通する孔であり、図3に示すようにレール2の長さ方向に沿ってレール腹部2cに間隔をあけて形成されている。
【0014】
図1~図4に示す切欠部2eは、継目板4の継目板頭部4bが接着される部分である。切欠部2eは、図3(A)に示すように、レール2の端部から所定の長さ分だけレール頭部2aの一方の側面側を一部切り落としたような形状に形成されており、図4(A)に示すようにこの切り落とされた部分の平坦面と腹部側面2hとが同一面(同一高さ)に形成されている。
【0015】
図5は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造における継目板の外観図であり、図5(A)は平面図であり、図5(B)は側面図である。図6は、図5(A)のVI-VI線で切断した状態を示す断面図である。
図1及び図2に示す継目板4,5は、レール2,3の継目部分におけるレール腹部2cの両側面に継目板ボルト7によって固定されてレール2,3を接続する継目板である。継目板4,5には、図2及び図5に示すように、長さ方向に所定の間隔をあけて貫通孔4a,5aが形成されており、鍛造、熱間押出し加工又は機械加工によって所定の寸法及び形状に製作され、焼入れ及び焼もどしの熱処理がされている。
【0016】
継目板4は、レール2,3の内側に取り付けられる継目板である。継目板4は、図2~図6に示すように、継目板頭部4bを備えており、この継目板頭部4bは、継目部分を通過する車輪Wと接触可能であり、この車輪Wが接触するこの継目部分の前後のレール2,3のレール頭部2a,3aに接着材11,12によって接着されている。継目板頭部4bは、レール2,3の一部を構成しており、継目板頭部4b及びレール頭部2a,3aは接着材11,12によって接着されたときに、図2に示すように通常のレールのレール頭部と同一形状になる。継目板頭部4bは、図2に示すように、レール2,3に取り付けられたときに頭頂面2f,3fと同一面(同一高さ)になって車輪Wを直接支持しこの車輪Wの踏面W1と接触するする継目板頭頂面(継目板頭部上面)4cを備えている。継目板4は、継目部分の前後のレール2,3のいずれか一方とは電気的に接続され他方とは電気的に絶縁されており、例えば、図1に示すようにレール2とは電気的に接続されレール3とは電気的に絶縁されている。
【0017】
継目板5は、レール2,3の外側に取り付けられる継目板である。継目板5は、図2に示すように、継目板4の形状とは異なり通常の継目板であり、例えば「JIS E1125 接着絶縁レール 付図1.2」に記載されているレール用接着継目板などと同一形状に形成されている。
【0018】
図2に示すチューブ6は、レール2,3の貫通孔2d,3d及び継目板4,5の貫通孔4a,5aに挿入される部材である。チューブ6は、レール2,3、継目板4,5及び継目板ボルト7を絶縁する筒状の絶縁材である。チューブ6は、例えば、プラスチックなどの合成樹脂によって成形されている。
【0019】
図1及び図2に示す継目板ボルト7は、レール2,3と継目板4,5とを締結するためのボルトであり、図2に示すようにチューブ6に挿入される。図1及び図2に示すナット8は、継目板ボルト7に装着される部材であり、継目板ボルト7の雄ねじ部と噛み合う雌ねじ部が形成されている。図2に示す平座金9は、継目板4,5とナット8との間に挿入される部材であり、車輪Wが通過するときに発生する衝撃による継目板ボルト7及びナット8の緩みを防止する。
【0020】
図7は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造におけるレール形の外観図であり、図7(A)は平面図であり、図7(B)は側面図である。
レール形10は、継目部分の前後のレール2とレール3との間の隙間に挿入してこれらのレール2,3間を絶縁する絶縁材である。レール形10は、図7(A)に示すように、レール2,3の断面形状とほぼ同一であり、切欠部2e,3eが形成されたレール頭部2a,3aの端面と接合する頭部10aと、レール底部2b,3bの端面と接合する底部10bと、レール腹部2c,3cの端面と接合する腹部10cなどを備えている。レール形10は、図1に示すレール2とレール3との突き合わせ部の隙間に挿入可能なように、図7(B)に示すように薄板状に形成されている。
【0021】
図1及び図2に示す接着材11,12は、レール2,3と継目板4,5とを接着する部材である。接着材11,12は、例えば、ガラスペーパーの基材に熱硬化性エポキシ系樹脂接着剤を含浸させて乾燥状態にした乾式接着材などである。接着材11,12には、図2に示すように、長さ方向に所定の間隔をあけて、チューブ6が貫通する貫通孔11a,12aが形成されている。図2に示すように、接着材11はレール2,3と継目板4との間に挟み込まれこれらを接合しており、上端部が頭頂面2f及び継目板頭頂面4cと同一面(同一高さ)に形成されている。接着材12は、レール2,3と継目板5との間に挟み込まれこれらを接合している。接着材11は、車輪Wの走行による衝撃を継目板頭部4bが受けるため、図2に示すように接着材12よりも厚く形成されている。
【0022】
導電部13は、継目部分の前後のレール2,3のいずれか一方と継目板4とを電気的に接続する部分である。導電部13は、例えば、図1に示すように、レール2と継目板4とを電気的に接続している。導電部13は、レール間の電気的接続を良好にするためにレールの継目部分に取り付けられるレールボンドなどに近似した構造である。導電部13は、軟銅線をより合わせた導体13aと、この導体13aの両端部に取り付けられレール2と継目板4とにそれぞれ溶接又は圧接される端子13bなどを備えている。
【0023】
次に、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの製造方法を説明する。
図8は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの製造方法を説明するための工程図である。
図8に示す接着絶縁レールの製造工程#100は、レール2,3の継目部分の両側に継目板4,5を絶縁性の接着材11,12によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する工程である。接着絶縁レールの製造工程#100は、表面処理工程#110と、予備加熱工程#120と、プライマ塗布工程#130と、密着工程#140と、接着工程#150と、締結工程#160とを含む。
【0024】
表面処理工程#110は、レール2,3及び継目板4,5を研磨する工程である。この表面処理工程#110では、レール2,3及び継目板4,5の接着面がサンドブラスト処理、ショットブラスト処理又はショットピーニング処理されてこの接着面の錆などが除去され、必要に応じてアセトンなどの溶剤によってこの接着面の油脂分が除去される。
【0025】
予備加熱工程#120は、レール2,3及び継目板4,5を予備加熱する工程である。この予備加熱工程#120では、レール2,3及び継目板4,5がレール加熱機などの電気炉内で所定の温度(例えば、約50°C)まで予備加熱される。
【0026】
プライマ塗布工程#130は、レール2,3及び継目板4,5にプライマを塗布する工程である。このプライマ工程#130では、レール2,3、継目板4,5、貫通孔2d,3d,4a,5a及びレール形10の接着面にエポキシ一液配合樹脂やエポキシ化フェノール樹脂系のプライマなどの表面処理材が塗布されて、接着面が指触乾燥状態にされる。
【0027】
密着工程#140は、レール2,3と継目板4,5との間に接着材11,12を密着させる工程であり、継目構造1の組立作業を実施する工程である。先ず、貫通孔2d,3d,4a,5aにチューブ6を挿入するとともに、チューブ6に継目板ボルト7を挿入する。次に、レール2,3の突き合わせ部にレール形10を挿入し、レール2,3と継目板4,5との間に接着シートを挟み込み、ナット8を圧締具によって所定の締め付け量で仮締めし継目構造1が組み立てられる。
【0028】
接着工程#150は、接着材11,12を加熱してレール2,3と継目板4,5とを接着する工程である。先ず、加熱温度を測定するために熱伝対が装着される。次に、レール加熱器によってレール2,3を所定の温度(例えば、150°C)まで加熱して所定の硬化温度(例えば、145~155°C)に維持して均一に加熱し、所定の硬化時間(例えば、40分)で硬化させる。
【0029】
締結工程#160は、継目板ボルト7とナット8とを所定のトルクで締結する工程である。接着材11,12の冷却後に、継目板ボルト7とナット8とを所定のトルク(例えば、500N・m)で本締めし、接着材11,12の露出部分とこの周辺にウレタン塗料などの仕上げ塗料が塗布される。その後に、レール2と継目板4とに導電部13の端子13bが接続されて、レール2と継目板4とが電気的に接続されて、一連の製造工程が終了される。
【0030】
次に、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の作用を説明する。
図9は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の作用を説明するための模式図であり、図9(A)は接着絶縁レールと車輪との位置関係を概略的に示す平面図であり、図9(B)は車輪の位置と電流との関係を模式的に示すグラフである。
【0031】
図9(A)に示すように、レール2上を車輪Wが位置P1を矢印方向に回転移動しているときには、レール頭部2aの頭頂面2fと車輪Wの踏面W1とが接触しており、図9(B)に示すように架線から集電装置によって取り込まれた電流I0が車輪Wからレール2に流れている。図9(A)に示すように、車輪Wがさらに回転移動して位置P2に到達すると、頭頂面2fと踏面W1とが接触するとともに、継目板頭部4bの継目板頭頂面4cと踏面W1とが接触する。レール2と継目板4とが導電部13によって電気的に接続されている。このため、図9(B)に示すように、位置P1を車輪Wが回転移動しているときと同様に、レール頭部2a及び継目板頭部4bを通じて車輪Wからレール2に電流I0が流れる。
【0032】
図9(A)に示すように、車輪Wがさらに回転移動して位置P3に到達し、レール2からレール3に車輪Wが乗り移ると、継目板頭頂面4cと踏面W1とは接触状態を維持しているが、踏面W1が頭頂面2fから離れレール頭部3aの頭頂面3fと接触する。このため、継目板4及び導電部13を通じて車輪Wからレール2に電流が流れるとともに、車輪Wからレール3にも電流が流れる。車輪Wがさらに回転移動して位置P4に到達すると、継目板頭頂面4cと部分的に接触していた踏面W1がこの継目板頭頂面4cから完全に離れ、レール頭部3aの頭頂面3fのみと接触する。このため、車輪Wから継目板4を通じてレール2に流れていた電流が遮断されて、車輪Wからレール3にのみ電流I0が流れる。その結果、図9(B)に示すように、車輪Wからレール2に流れていた電流がレール2,3の継目部分の位置P3において瞬時に遮断されず、車輪Wからレール2への電流の流れが減衰し、急激な電流の低下が緩和されて継目部分でアークが発生するのが防止される。車輪Wがさらに回転移動して位置P5を回転移動しているときには、頭頂面3fと踏面W1とが接触しており、車輪Wからレール3に電流I0が流れている。
【0033】
この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、継目部分を通過する車輪Wと継目板頭部4bが接触可能であり、この車輪Wが接触するこの継目部分の前後のレール2,3のレール頭部2a,3aに接着材11,12によって継目板頭部4bが接着されている。また、この実施形態では、継目板4がレール2とは電気的に接続されレール3とは電気的に絶縁されている。このため、継目部分を通過する車輪Wからレール2に流れる電流が緩やかに減少し、車輪Wからレール3に流れる電流が緩やかに増加するため、この継目部分でアークが発生するのを防止することができる。
【0034】
(2) この実施形態では、レール頭部2a,3a及び継目板頭部4bが接着材11,12によって接着されたときに、通常のレール頭部と同一形状になる。このため、継目部分を車輪Wが通過するときに障害とはならず、図10及び図11に示すような従来の継目構造101で使用される継目板ボルト7などの部品との共通化を図ることができ接着絶縁レールを容易に組み立てることができる。
【0035】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
例えば、この実施形態では、車輪Wがレール2からレール3に移動する場合を例に挙げて説明したが、車輪Wがレール3からレール2に移動する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、レール2と継目板4とを電気的に接続し、レール3と継目板4とを電気的に絶縁する場合を例に挙げて説明したが、レール2と継目板4とを電気的に絶縁し、レール3と継目板4とを電気的に接続する場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、接着材11,12が乾式接着材である場合を例に挙げて説明したが、シート状のガラスペーパーに樹脂を含浸させた成形用中間素材(プリプレグ)であり加熱硬化後に複合材料になる接着材などについてもこの発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図2】図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。
【図3】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造におけるレール端部の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図4】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造におけるレール端部の断面図であり、(A)は図3(A)のIV-IVA線で切断した状態を示す断面図であり、(B)は図3(A)のIV-IVB線で切断した状態を示す断面図である。
【図5】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造における継目板の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図6】図5(A)のVI-VI線で切断した状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造におけるレール形の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図8】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの製造方法を説明するための工程図である。
【図9】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の作用を説明するための模式図であり、(A)は接着絶縁レールと車輪との位置関係を概略的に示す平面図であり、(B)は車輪の位置と電流との関係を模式的に示すグラフである。
【図10】従来の接着絶縁レールの継目構造の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図11】図10(A)のX1I-XI線で切断した状態を示す断面図である。
【図12】従来の接着絶縁レールの継目構造の作用を説明するための模式図であり、(A)は接着絶縁レールと車輪との位置関係を概略的に示す平面図であり、(B)は車輪の位置と電流との関係を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1 継目構造
2,3 レール
2a,3a レール頭部
2f,3f 頭頂面
4,5 継目板
4b,5b 継目板頭部
4c,5c 継目板頭頂面
6 チューブ
7 継目板ボルト
8 ナット
9 平座金
10 レール形
11,12 接着材
13 導電部
L 境界線
W 車輪
1 踏面

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11