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明細書 :接着絶縁レールの継目構造とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4666479号 (P4666479)
公開番号 特開2006-348633 (P2006-348633A)
登録日 平成23年1月21日(2011.1.21)
発行日 平成23年4月6日(2011.4.6)
公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
発明の名称または考案の名称 接着絶縁レールの継目構造とその製造方法
国際特許分類 E01B  11/54        (2006.01)
E01B  31/02        (2006.01)
FI E01B 11/54
E01B 31/02
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2005-177394 (P2005-177394)
出願日 平成17年6月17日(2005.6.17)
審査請求日 平成19年9月4日(2007.9.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】若月 修
【氏名】阿部 則次
【氏名】片岡 宏夫
【氏名】大塚 孝
【氏名】小佐野 浩一
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】藤澤 和浩
参考文献・文献 実公昭49-037842(JP,Y1)
特開平01-278601(JP,A)
特開昭48-062866(JP,A)
実公昭52-030646(JP,Y2)
特開2005-127046(JP,A)
特開平10-088501(JP,A)
特開平08-134804(JP,A)
米国特許出願公開第2009/0302125(US,A1)
調査した分野 E01B 11/54
E01B 31/02
特許請求の範囲 【請求項1】
レールの継目部分の両側に継目板を絶縁性の接着材によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁レールの継目構造であって、
前記接着材を剥離させる応力が作用したときに、継目板側接着材とレール側接着材とに前記接着材を切り離す切り離し材を備えること、
を特徴とする接着絶縁レールの継目構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接着絶縁レールの継目構造において、
前記継目板側接着材は、前記レール側接着材よりも厚く形成されていること、
を特徴とする接着絶縁レールの継目構造。
【請求項3】
レールの継目部分の両側に継目板を絶縁性の接着材によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接合する接着絶縁レールの製造方法であって、
継目板側接着材とレール側接着材との間に切り離し材が挟み込まれた積層材によって前記継目板と前記レールとを接着する接着工程を含むこと、
を特徴とする接着絶縁レールの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、レールの継目部分の両側に継目板を絶縁性の接着材によって接着し、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁レールの継目構造とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の接着絶縁レールの継目構造の断面図である。
図9に示す車輪Wは、レール102と回転接触する鉄道用部材であり、レール102のレール頭部102aと接触して摩擦抵抗を受ける踏面W1と、脱輪を防止するために車輪Wの外周に連続して形成されたフランジ面W2とを備えている。従来の接着絶縁レールの継目構造101は、図9に示すようにレール102の継目部分の両側に継目板104,105を接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続している(例えば、特許文献1参照)。このような従来の継目構造101では、図9に示すように、レール102の腹部側面102gに絶縁性の接着材111によって継目板104,105が接着されており、レール102及び継目板104,105の貫通孔102d,104a,105aに絶縁性のチューブ106を挿入するとともにこのチューブ106に継目板ボルト107を挿入し平座金109を装着してナット108で締結し組み立てられる。
【0003】

【特許文献1】特開平9-111702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の継目構造101では、図9に示すように、車輪Wがレール102の継目部分を走行すると、列車荷重によってこの継目部分に衝撃力が作用する。このため、継目板104,105の側面やレール102の側面に塗布されたプライマが接着材111とともに剥離することがある。このため、継目板104,105と接着材111との間に雨水が浸入して継目板104,105の側面が錆び、この継目板104,105の金属表面の保護皮膜が局部的に破壊されて孔食が発生する場合がある。そして、衝撃力Fによる曲げ応力が継目部分に繰り返し作用すると、孔食が発生した部分から亀裂が発生する問題点がある。
【0005】
一方、このような孔食による亀裂の発生を防止するために、継目板104,105を厚くして強度を向上させると、この継目板104,105が大型化しレール102への取り付けが困難になるとともに、耐食性に優れた継目板104,105に交換するとコストが高くなってしまう問題点がある。また、継目板104,105の側面及びレール102の側面の腐食を防止するためにこれらの表面に防錆塗料などを塗布すると、防錆塗料に対する接着材111の接着力が低下してしまう問題点がある。
【0006】
この発明の課題は、継目板の側面及びレールの側面の腐食を防止して耐久性を向上させることができる接着絶縁レールの継目構造とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、レール(2,3)の継目部分の両側に継目板(4,5)を絶縁性の接着材(11)によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁レールの継目構造であって、前記接着材を剥離させる応力が作用したときに、継目板側接着材(11a)とレール側接着材(11b)とに前記接着材を切り離す切り離し材(12)を備えることを特徴とする接着絶縁レールの継目構造(1)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の接着絶縁レールの継目構造において、前記継目板側接着材は、前記レール側接着材よりも厚く形成されていることを特徴とする接着絶縁レールの継目構造である。
【0009】
請求項3の発明は、レール(2,3)の継目部分の両側に継目板(4,5)を絶縁性の接着材(11)によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接合する接着絶縁レールの製造方法であって、継目板側接着材(11a)とレール側接着材(11b)との間に切り離し材(12)が挟み込まれた積層材によって前記継目板と前記レールとを接着する接着工程(#150)を含むことを特徴とする接着絶縁レールの製造方法(#100)である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、継目板の側面及びレールの側面の腐食を防止して耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の外観図であり、図1(A)は平面図であり、図1(B)は側面図である。図2は、図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。
【0012】
図1及び図2に示す継目構造1は、レール2,3の継目部分の両側に継目板4,5を絶縁性の接着材11によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する接着絶縁継目構造である。継目構造1は、例えば、列車の有無を検知する信号設備の一部である軌道回路としてレール2,3が使用されているときに、隣接する軌道回路との境界に設置されレール2,3を電気的に絶縁する。継目構造1は、軌道構造上の弱点箇所である絶縁継目を強化するために、レール2,3と継目板4,5とを強力な接着材11によって一体化している。継目構造1は、図1及び図2に示すように、レール2,3と、継目板4,5と、チューブ6と、継目板ボルト7と、ナット8と、平座金9と、レール形10と、接着材11と、切り離し材12と、接着材13などを備えている。継目構造1は、図1(A)に示すように、境界線Lによって電気的に絶縁されている。
【0013】
図1及び図2に示すレール2,3は、車輪Wを案内する鉄道用部材である。レール2,3は、いずれも端部が直角に切断されており、突き合わせたレール2とレール3との間に絶縁材を挿入し、レール2,3と継目板4,5とを絶縁性の接着材11によって結合した接着絶縁レールである。レール2,3は、いずれも同一構造であり、以下ではレール2側を中心に説明し、レール3側の部分のうちレール2側と対応する部分については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。レール2は、図2に示すように、レール頭部2aと、レール底部2bと、レール腹部2cと、貫通孔2dなどを備えている。
【0014】
図2に示すレール頭部2aは、車輪Wと接触する部分であり、車輪Wを直接支持する頭頂面(頭部上面)2eなどを備えている。レール底部2bは、まくらぎ又は軌道スラブなどの支持体上に設置される部分であり、レール締結装置の締結ばねによって押さえ付けられる底部上面2fなどを備えている。レール腹部2cは、レール頭部2aに作用する輪重及び押圧をレール底部2bに伝達するように、レール頭部2aとレール底部2bとを繋ぐ部分であり、継目板4,5が接着される腹部側面2gなどを備えている。貫通孔2dは、チューブ6が貫通する孔であり、レール2の長さ方向に沿ってレール腹部2cに間隔をあけて形成されている。
【0015】
図1及び図2に示す継目板4,5は、レール2,3の継目部分におけるレール腹部2cの両側面に継目板ボルト7によって固定されてレール2,3を接続する継目板である。継目板4,5には、長さ方向に所定の間隔をあけて図2に示す貫通孔4a,5aが形成されている。継目板4,5は、鍛造、熱間押出し加工又は機械加工によって所定の寸法及び形状に製作され、焼入れ及び焼もどしの熱処理がされている。
【0016】
図2に示すチューブ6は、レール2,3の貫通孔2d,3d及び継目板4,5の貫通孔4a,5aに挿入される部材である。チューブ6は、レール2,3、継目板4,5及び継目板ボルト7を絶縁する筒状の絶縁材である。チューブ6は、例えば、プラスチックなどの合成樹脂によって成形されている。
【0017】
図1及び図2に示す継目板ボルト7は、レール2,3と継目板4,5とを締結するためのボルトであり、図2に示すようにチューブ6に挿入される。図1及び図2に示すナット8は、継目板ボルト7に装着される部材であり、継目板ボルト7の雄ねじ部と噛み合う雌ねじ部が形成されている。図2に示す平座金9は、継目板4,5とナット8との間に挿入される部材であり、車輪Wが通過するときに発生する衝撃による継目板ボルト7及びナット8の緩みを防止する。
【0018】
レール形10は、継目部分の前後のレール2とレール3との間の隙間に挿入してこれらのレール2,3間を絶縁する絶縁材である。レール形10は、図1に示すレール2,3の断面形状とほぼ同一であり、図1に示すレール2とレール3との突き合わせ部の隙間に挿入可能なように薄板状に形成されている。
【0019】
図3は、図2のIII部分を拡大して示す断面図であり、図3(A)は接着前の状態の断面図であり、図3(B)は接着後の状態を示す断面図である。図4は、図2のIV部分を拡大して示す断面図であり、図4(A)は接着前の状態を示す断面図であり、図4(B)は接着後の状態を示す断面図である。図5は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造に使用される接着シートの平面図である。
【0020】
図2~図4に示す接着材11は、レール2,3と継目板4,5とを接着する部材であり、レール2,3と継目板4,5との間に挟み込まれこれらを接合する。接着材11は、図3(B)に示すように、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとを備えている。接着材11は、例えば、ガラスペーパーの不織布に樹脂を含浸させた成形用中間素材(プリプレグ)の接着シート11cを複数積層し、図3に示すようにこれらの接着シート11cを加熱硬化させて複合材料化されている。接着シート11cには、図5に示すように、加熱硬化後に長さ方向に所定の間隔をあけて、チューブ6が貫通する貫通孔11dが形成される。
【0021】
図3(A)に示す継目板側接着材11aは、継目板4,5の側面と接着してこの継目板4,5の側面を被覆し保護する部材であり、レール側接着材11bはレール2,3の側面と接着してこのレール2,3の側面を被覆し保護する部材である。継目板側接着材11aは、継目部分を車輪Wが通過して接着材11を剥離させる応力が作用したときに、レール側接着材11bよりも強固な接着力を発生するように、図3(B)に示すようにこのレール側接着材11bよりも厚く形成されている。例えば、継目板側接着材11aは接着シート11cを13枚積層して加熱硬化され形成され、レール側接着材11bは接着シート11cを7枚積層して加熱硬化され形成されており、複数枚の接着シート11cによって接着材11が形成されている。
【0022】
図6は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の切り離し材を接着シートに重ね合わせた状態を示す側面図である。
図2、図3及び図6に示す切り離し材12は、接着材11を剥離させる応力が作用したときに、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとに接着材11を切り離す部材である。切り離し材12は、例えば、四フッ化エチレン樹脂の粘着シートであり、図3(A)に示すように接着シート11cと積層して組み立てるときの位置ずれを防止するために、両面に粘着材が塗布されている。切り離し材12は、図2及び図3に示すように、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとの間に挟み込まれており、接着シート11cが加熱硬化したときにこの接着材11と接着することによって一体化する。切り離し材12は、図6に示すように、継目構造1に曲げ応力が大きく作用する領域(継目部分)に配置されており、下縁部が接着材11の下縁部から僅かに露出しており、上縁部が接着材11の中心線に一致して配置されている。切り離し材12は、接着材11の貫通孔11dを避けるように上側の隅部が直線状に切り落とされている。切り離し材12は、継目板側接着材11a及びレール側接着材11bとこの切り離し材12との接触面(境界面)において接着材11を分離して構造的に縁を切っている。このため、切り離し材12は、継目部分を車輪Wが通過して接着材11を剥離させる応力が作用したときに、レール2,3の側面又は継目板4,5の側面から接着材11が剥離する前に、継目板側接着材11a又はレール側接着材11bをこの境界面で剥離させる。このように、切り離し材12は、レール2,3の側面及び継目板4,5の側面から接着材11が剥離するのを抑制する。
【0023】
図2及び図4(B)に示す接着材13は、レール2,3の貫通孔2d,3d及び継目板4,5の貫通孔4a,5aとチューブ6との間の隙間に充填される部材である。接着材13は、例えば、接着材11と同様の成形用中間素材(プリプレグ)の接着シート13aをほぼ正方形状に形成して、接着材11の貫通孔11dをそれぞれ覆うように複数積層し、図4(B)に示すようにこの接着シート13aを加熱硬化されて形成される。接着材13は、図4(A)に示すように、接着材11と継目板4,5との間に挟み込まれた状態で加熱されると溶け出して、図4(B)に示すように貫通孔2d,3d,4a,5aの内周部とチューブ6の外周部との間の隙間に浸入しこの隙間に充填される。
【0024】
次に、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの製造方法を説明する。
図7は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの製造方法の工程図である。
図7に示す接着絶縁レールの製造工程#100は、レール2,3の継目部分の両側に継目板4,5を絶縁性の接着材11によって接着して、この継目部分を電気的に絶縁し接続する工程である。接着絶縁レールの製造工程#100は、表面処理工程#110と、予備加熱工程#120と、プライマ塗布工程#130と、密着工程#140と、接着工程#150と、締結工程#160とを含む。
【0025】
表面処理工程#110は、レール2,3及び継目板4,5を研磨する工程である。この表面処理工程#110では、レール2,3及び継目板4,5の接着面がサンドブラスト処理、ショットブラスト処理又はショットピーニング処理されてこの接着面の錆などが除去され、必要に応じてアセトンなどの溶剤によってこの接着面の油脂分が除去される。
【0026】
予備加熱工程#120は、レール2,3及び継目板4,5を予備加熱する工程である。この予備加熱工程#120では、レール2,3及び継目板4,5がレール加熱機などの電気炉内で所定の温度(例えば、約50°C)まで予備加熱される。
【0027】
プライマ塗布工程#130は、レール2,3及び継目板4,5にプライマを塗布する工程である。このプライマ工程#130では、レール2,3、継目板4,5、貫通孔2d,3d,4a,5a及びレール形10の接着面にエポキシ一液配合樹脂やエポキシ化フェノール樹脂系のプライマなどの表面処理材が塗布されて、接着面が指触乾燥状態にされる。
【0028】
密着工程#140は、接着シート11cを複数重ね合わせて切り離し材12を間に挟み込んだ積層材をレール2,3と継目板4,5との間に密着させるとともに、接着シート11c,13aを複数重ね合わせた積層材をレール2,3と継目板4,5との間に密着させる工程であり、継目構造1の組立作業を実施する工程である。先ず、貫通孔2d,3d,4a,5aにチューブ6を挿入するとともに、チューブ6に継目板ボルト7を挿入する。次に、レール2,3の突き合わせ部にレール形10を挿入し、継目板4,5の側面に複数毎の接着シート13aを取り付けるとともに、レール2,3の側面と継目板4,5の側面との間に、上層及び下層が複数枚の接着シート11cからなり中間層が切り離し材12からなる積層材を挟み込む。そして、ナット8を圧締具によって所定の締め付け量で仮締めし、継目構造1が組み立てられる。
【0029】
接着工程#150は、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとの間に切り離し材12が挟み込まれた積層材によってレール2,3と継目板4,5とを接着する工程である。先ず、加熱温度を測定するために熱伝対が装着される。次に、レール加熱器によってレール2,3を所定の温度(例えば、150°C)まで加熱して所定の硬化温度(例えば、145~155°C)に維持して均一に加熱し、所定の硬化時間(例えば、40分)で硬化させる。
【0030】
締結工程#160は、継目板ボルト7とナット8とを所定のトルクで締結する工程である。接着材11,13の冷却後に、継目板ボルト7とナット8とを所定のトルク(例えば、500N・m)で本締めし、接着材11,13の露出部分とこの周辺にウレタン塗料などの仕上げ塗料が塗布されて、一連の製造工程が終了される。
【0031】
次に、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の作用を説明する。
図8は、この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の原理を説明するための模式図であり、図8(A)は切り離し前の状態を示す模式図であり、図8(B)は切り離し後の状態を示す模式図である。以下では、レール2と継目板4とが接着材11によって接着されている場合を例に挙げて説明する。
【0032】
図8(A)に示すように、接着材11に切り離し材12が挟み込まれた状態でレール2と継目板4とが接着材11によって接合されている。この状態で継目部分を車輪Wが通過すると、レール2及び継目板4の下側に引っ張り応力が作用し、図8(B)に示すようにレール2と継目板4とが相対的に変位して接着材11にせん断応力が作用する。図8(A)に示すように、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとの縁を切るようにこれらの間には切り離し材12が挟みこまれている。このため、図8(B)に示すように、継目板4と継目板側接着材11aとがこれらの接触面(境界面)で剥離するか、レール2とレール側接着材11bとがこれらの接触面(境界面)で剥離するよりも前に、継目板側接着材11a又はレール側接着材11bと切り離し材12とがこれらの接触面(境界面)で剥離する。このため、継目板4の側面が露出するのを継目板側接着材11aが防ぐとともに、レール2の側面が露出するのをレール側接着材11bが防ぐ。その結果、継目板4と継目板側接着材11aとの間に雨水が浸入したり、レール2とレール側接着材11bとの間に雨水が浸入したりするのが阻止されて、継目板4の側面やレール2の側面が錆びて孔食が形成されこれらが折損するのが防止される。
【0033】
この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造とその製造方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、接着材11を剥離させる応力が作用したときに、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとに切り離し材12がこの接着材11を切り離す。このため、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとに接着材11を強制的に切り離し、剥離を誘導する剥離層として切り離し材12を機能させることができる。また、レール2,3と継目板4,5との相対的な変位を吸収し緩和する緩衝材としてこの切り離し材12を機能させることができる。さらに、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとに切り離されても、継目板側接着材11aが継目板4,5の側面を保護し、レール側接着材11bがレール2,3の側面を保護するため、これらの表面のコーティング効果を長期間維持することができる。
【0034】
(2) この実施形態では、レール側接着材11bよりも継目板側接着材11aが厚く形成されている。このため、継目板側接着材11aと継目板4,5との間の接着力がレール側接着材11bとレール2,3との接着力よりもより一層強固にすることができる。その結果、レール2,3よりも薄肉でありレール2,3よりも折損しやすい継目板4,5の側面を継目板側接着材11aによって重点的に保護することができる。
【0035】
(3) この実施形態では、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとの間に切り離し材12が挟み込まれた積層材によってレール2,3と継目板4,5とを接着する。このため、接着材11の中間層に切り離し材12を簡単に介在させて、一連の組立作業によって容易に一体成形することができる。
【0036】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
例えば、この実施形態では、切り離し材12として四フッ化エチレン樹脂の粘着シートを例に挙げて説明したが、四フッ化エチレン樹脂以外の粘着シートについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、継目板側接着材11aとレール側接着材11bとの間に切り離し材12を組立作業時に挟み込み加熱硬化させる場合を例に挙げて説明したが、組立作業前にこれらの間に切り離し材12を予め挟み込み製造工場などでシート状に形成しておくこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図2】図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。
【図3】図2のIII部分を拡大して示す断面図であり、(A)は接着前の状態の断面図であり、(B)は接着後の状態を示す断面図である。
【図4】図2のIV部分を拡大して示す断面図であり、(A)は接着前の状態を示す断面図であり、(B)は接着後の状態を示す断面図である。
【図5】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造に使用される接着シートの平面図である。
【図6】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の切り離し材を接着シートに重ね合わせた状態を示す側面図である。
【図7】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの製造方法の工程図である。
【図8】この発明の実施形態に係る接着絶縁レールの継目構造の原理を説明するための模式図であり、(A)は切り離し前の状態を示す模式図であり、(B)は切り離し後の状態を示す模式図である。
【図9】従来の接着絶縁レールの継目構造の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 継目構造
2,3 レール
4,5 継目板
6 チューブ
7 継目板ボルト
8 ナット
9 平座金
10 レール形
11 接着材
11a 継目板側接着材
11b レール側接着材
11c 接着シート
12 切り離し材
13 接着材
13a 接着シート

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8