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明細書 :車両の誤出発防止システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4822500号 (P4822500)
公開番号 特開2007-015527 (P2007-015527A)
登録日 平成23年9月16日(2011.9.16)
発行日 平成23年11月24日(2011.11.24)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
発明の名称または考案の名称 車両の誤出発防止システム
国際特許分類 B61L  23/00        (2006.01)
B61L  29/00        (2006.01)
E02F   9/20        (2006.01)
E05F  15/10        (2006.01)
FI B61L 23/00 E
B61L 29/00
E02F 9/20
E05F 15/10
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2005-198357 (P2005-198357)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
審査請求日 平成19年11月12日(2007.11.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】澤 貢
【氏名】佐藤 清
【氏名】水上 直樹
【氏名】鈴木 綾子
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】柏崎 茂美
参考文献・文献 特開平05-033365(JP,A)
特開平06-251262(JP,A)
特開2005-121729(JP,A)
特開平01-212664(JP,A)
実開平06-083886(JP,U)
特開平9-301174(JP,A)
特開2004-23988(JP,A)
特開平2-197201(JP,A)
特開平4-58702(JP,A)
特開平5-69827(JP,A)
特開平10-273048(JP,A)
調査した分野 B61L 23/00
B61L 29/00
E02F 9/20
E05F 15/10
特許請求の範囲 【請求項1】
出発信号機の信号現示が停止信号から停止信号以外の信号に変化する前に、車両を誤って出発させるのを防止する車両の誤出発防止システムであって、
前記車両の戸閉め完了が通知されてから所定時間経過する前に、この車両を出発させるための操作をしたときに警告を発生する警告発生手段を備えること、
を特徴とする車両の誤出発防止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の誤出発防止システムにおいて、
前記警告発生手段は、前記所定時間経過する前に前記車両のブレーキ装置を緩解させたときに警告を発生すること、
を特徴とする車両の誤出発防止システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両の誤出発防止システムにおいて、
前記所定時間経過するまで前記車両のブレーキ装置の緩解を禁止するように指令する緩解禁止指令手段を備えること、
を特徴とする車両の誤出発防止システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、出発信号機の信号現示が停止信号から停止信号以外の信号に変化する前に、車両を誤って出発させるのを防止する車両の誤出発防止システム、及び設備機器の誤操作を防止する設備機器の誤操作防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道運転士は、信号現示の誤確認防止を目的として指定した位置で対象物を指差しその状態を声に出して確認する指差称呼(指差喚呼)などを行っている。例えば、鉄道運転士は、出発前の確認作業として、車両の戸閉め表示灯の点灯を指差喚呼し、時計で現時刻を確認し、出発信号機の信号現示を確認し称呼してからブレーキを緩め(緩解)、ノッチを投入し車両を発車させている。しかし、戸閉め表示灯の点灯後に、出発信号機の信号現示が常に進行信号であるとは限らず、稀に信号現示が停止信号である場合がある。この場合に、停止信号であるにも関わらず出発信号機を運転士が十分に確認せずに出発してしまうおそれがある。
【0003】
従来、運転士が信号機の信号現示に従わずにこの信号機の内方に進入する信号冒進を防ぐために、自動列車停止装置(Automatic Train Stop(ATS))が設置されている。この自動列車停止装置では、列車が信号機に接近して正常に停止しない場合などに地上からの制御信号によって運転室内に警報ベルを鳴らし運転士に注意を喚起したり、自動的にブレーキを動作させて信号機の手前側に停止させている。しかし、自動列車停止装置は、列車事故を未然に防止することができるが高価であるため、安価な信号冒進警報装置が提案されている。
【0004】
従来の信号冒進警報装置は、信号機に取り付けられこの信号機の停止信号を検知して警報を送信する警報送信機と、列車の運転台に設置され運転士に警報ブザーを発生する車載機とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の信号冒進警報装置では、停止信号を見誤って信号機の内方に冒進したときに、警報送信機からの警報を受信して運転士に対して警報ブザーを鳴動させ、直ちに列車を停止させるためのブレーキ操作をするように促している。
【0005】

【特許文献1】特開2001-301620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の信号冒進警報装置は、沿線の全ての信号機に取り付けられる地上側の警報送信機と、軌道上を走行する全ての車両の運転台に設置される車載機とから構成されている。このため、従来の信号冒進警報装置では、沿線の信号機の全てに警報送信機を取り付ける必要があり、設備が大規模になりコストが高くなってしまう問題点がある。
【0007】
この発明の課題は、簡単な構成で安価に車両の誤出発や設備機器の誤操作を防止することができる車両の誤出発防止システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、出発信号機(S)の信号現示が停止信号から停止信号以外の信号に変化する前に、車両(V)を誤って出発させるのを防止する車両の誤出発防止システムであって、前記車両の戸閉め完了が通知(S100)されてから所定時間経過する前に、この車両を出発させるための操作(S120)をしたときに警告を発生(S140)する警告発生手段(8)を備えることを特徴とする車両の誤出発防止システム(1)である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両の誤出発防止システムにおいて、前記警告発生手段は、前記所定時間経過する前に前記車両のブレーキ装置を緩解(S120)させたときに警告を発生することを特徴とする車両の誤出発防止システムである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の誤出発防止システムにおいて、前記所定時間経過するまで前記車両のブレーキ装置の緩解を禁止するように指令する緩解禁止指令手段(9)を備えることを特徴とする車両の誤出発防止システムである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、簡単な構成で安価に車両の誤出発や設備機器の誤操作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る車両の誤出発防止システムの構成図である。
図1に示す軌道Rは、車両Vが走行する通路(線路)である。軌道Rは、車両Vの車輪を支持し案内してこの車両Vを走行させるレールなどから構成されている。車両Vは、軌道Rに沿って走行する鉄道車両である。車両Vは、例えば、電車又は気動車などであり誤出発防止システム1を搭載している。出発信号機Sは、駅から出発する車両Vに対して信号現示する主信号機である。出発信号機Sは、車両Vに対して出発の可否を指示し車両Vの停止する限界を示している。ここで、信号現示とは、信号が示す符号の意味であり、図1に示すような3現示の場合には停止信号(赤)、注意信号(黄)及び進行信号(青)の3種類である。
【0015】
誤出発防止システム1は、出発信号機Sの信号現示が停止信号から停止信号以外の信号(例えば、進行信号)に変化する前に、車両Vを誤って出発させるのを防止するシステムである。誤出発防止システム1は、戸閉め通知装置4が車両Vの戸閉め完了を通知してから所定時間経過する前に、運転士がブレーキ装置3を緩解したときに、警告発生装置8に所定の警告を発生させて信号冒進を防止する。誤出発防止システム1は、図1に示すように、運転操作装置2と、ブレーキ装置3と、戸閉め通知装置4と、計時装置5と、記憶装置6と、設定装置7と、警告発生装置8と、緩解禁止指令装置9と、制御装置10などを備えている。
【0016】
運転操作装置2は、運転士が車両Vを運転操作するための手段である。運転操作装置2は、運転士が車両Vを制御するときに操作する主幹制御器(マスターコントローラ)であり、車両Vの運転室内の運転台に設置されている。運転操作装置2は、例えば、運転士の手動操作によって前後方向にスライドするマスコンハンドル部を備えており、ワンハンドルマスコンの場合には速度制御又は加速度制御するときには後方にスライド操作され、ブレーキ制御するときには前方にスライド操作される。
【0017】
ブレーキ装置3は、車両Vを制動させる手段である。ブレーキ装置3は、例えば、駆動力発生装置が発生する駆動力をてこの原理によって制輪子に伝達して車両Vの車輪の踏面に制輪子を押し付け、踏面と制輪子との間に発生する摩擦力によって車輪の回転を抑える基礎ブレーキ装置(踏面ブレーキ装置)である。ブレーキ装置3は、制御装置10からの指令に基づいて動作する。
【0018】
戸閉め通知装置4は、乗客が乗降するための車両Vのドアの閉鎖を通知する手段である。戸閉め通知装置4は、車両Vのドアを開閉するための戸閉め操作装置(車掌スイッチ)を車掌が操作して、車両Vの全てのドアが完全に閉鎖したときに点灯する戸閉め表示灯(戸閉めランプ)などであり、車両Vの運転室内の運転台に設置されている。戸閉め通知装置4は、車両Vのドアが開いた状態で車両Vが発車するのを防止するために、全ての車両Vのドアが閉じたときに励磁される戸閉め連動継電器と連動して車両Vのドアの閉鎖を通知する。
【0019】
計時装置5は、戸閉め通知装置4が車両Vの戸閉め完了を通知してからの経過時間を計測する手段である。計時装置5は、例えば戸閉め表示灯が点灯するのと同時に時間の計測を開始するタイマなどである。計時装置5は、戸閉め通知装置4の戸閉め完了通知と連動して時間の計測を開始し、計測を開始してから所定時間経過後に時間の計測を終了する。
【0020】
記憶装置6は、車両Vの発車を所定時間だけ禁止するための出発禁止時間を記憶する手段である。記憶装置6は、例えば、戸閉め通知装置4が車両Vの戸閉め完了を通知してから出発信号機Sの信号現示を運転士が確認し指差称呼するまでに要する時間を出発禁止時間として記憶するメモリである。
【0021】
設定装置7は、記憶装置6が記憶する出発禁止時間の長さを任意の長さに設定するための手段である。一般に、誤出発エラーの発生者は、戸閉め表示灯が点灯したときに、出発信号機Sの信号現示が稀に停止信号であるにも関わらず、信号現示がいつも停止現示以外であると誤認してブレーキ装置3を緩解してしまうことがある。このため、誤出発エラーの発生者は、誤出発エラーの非発生者に比べて、車両Vを出発させる際の基本作業である出発信号機Sの確認や指差称呼などを怠るため、戸閉め表示灯が点灯してからブレーキ装置3を緩解するまでの時間が短いことが実験結果から確認されている。設定装置7は、例えば、戸閉め表示灯が点灯してからブレーキ装置3を緩解するまでに誤出発エラーの非発生者が要する時間のうち最長時間又は平均時間 (例えば、1.5秒程度)を出発禁止時間として設定する。設定装置7は、出発禁止時間を手動で設定する入力装置などを備えており、特別な権限を有する管理者のみに出発禁止時間の変更を許可している。
【0022】
警告発生装置8は、戸閉め完了が通知されてから所定時間経過する前に、車両Vを出発させるための操作をしたときに警告を発生する手段である。警告発生装置8は、例えば、出発禁止時間が経過する前にブレーキ装置3を運転士が緩解したときに警告を発生する。警告発生装置8は、出発禁止時間内である旨を運転士に知らせるための音を発生するスピーカ、ブザーなどの音発生装置や、文字、図形、記号などを液晶画面上に表示する表示装置や、発光素子などを点灯させる発光装置などであり、車両Vの運転室内の運転台に設置されている。
【0023】
緩解禁止指令装置9は、出発禁止時間が経過するまでブレーキ装置3の緩解を禁止するように指令する手段である。緩解禁止指令装置9は、出発禁止時間内にブレーキ装置3を運転士が緩解したときに、このブレーキ装置3を制御するブレーキ制御装置にこのブレーキ装置3を緩解しないように制御装置10に指令させる。
【0024】
制御装置10は、車両Vの種々の動作を制御する中央処理装置(CPU)である。制御装置10は、運転操作装置2を運転士が操作してブレーキ装置3を緩解したか否かを監視したり、車両Vの戸閉め完了の通知を戸閉め通知装置4に指令したり、計時装置5に時間の計測を指令したり、記憶装置6から出発禁止時間を読み出して計時装置5が計測した時間と照合したり、設定装置7によって設定された出発禁止時間を記憶装置6に記憶させたり、警告発生装置8に所定の警告の発生を指令したり、緩解禁止指令装置9からの指令に基づいてブレーキ装置3を緩解しないように指令したりする。制御装置10には、図1に示すように、運転操作装置2、ブレーキ装置3、戸閉め通知装置4、計時装置5、記憶装置6、設定装置7、警告発生装置8及び緩解禁止指令装置9が相互に通信可能なように接続されている。
【0025】
次に、この発明の第1実施形態に係る車両の誤出発防止システムの動作を説明する。
図2は、この発明の第1実施形態に係る車両の誤出発防止システムの動作を説明するためのフローチャートである。以下では、制御装置10の動作を中心として説明する。
ステップ(以下、Sという)100において、戸閉め通知装置4が戸閉め完了通知をしたか否かを制御装置10が判断する。例えば、車掌スイッチを車掌が操作して車両Vのドアが全て完全に閉鎖すると、戸閉め連動継電器から制御装置10に戸閉め完了が通知されて、戸閉め完了を通知するように戸閉め通知装置4に制御装置10が指令する。戸閉め通知装置4が戸閉め完了を通知したときにはS110に進み、戸閉め通知装置4が戸閉め完了を通知しなかったときには戸閉め完了を通知するまで判断を繰り返す。
【0026】
S110において、計時装置5に計時開始を制御装置10が指令する。戸閉め通知装置4が戸閉め完了を通知するのと同時に制御装置10が計時装置5に計測開始を指令すると、戸閉め完了からの経過時間の計測を計時装置5が開始する。
【0027】
S120において、ブレーキ装置3が緩解されたか否かを制御装置10が判断する。運転操作装置2を運転士が操作してマスコンハンドル部を後方にスライド操作すると、ブレーキ装置3が緩解される。ブレーキ装置3が緩解されたときにはS130に進み、ブレーキ装置3が緩解されなかったときには緩解されるまで判断を繰り返す。
【0028】
S130において、出発禁止時間を経過したか否かを制御装置10が判断する。記憶装置6が記憶する出発禁止時間と計時装置5が計測した経過時間とを制御装置10が比較し、経過時間が出発禁止時間を越えたか否かを判断する。出発禁止時間を経過していないときにはS140に進み、出発禁止時間を経過したときには、出発信号機Sの信号現示を運転士が確認し指差称呼をしたものと考えられるため、一連の動作を終了する。
【0029】
S140において、警告発生装置8に警告発生を制御装置10が指令する。出発禁止時間を経過する前にブレーキ装置3が緩解されたときには、出発信号機Sの信号現示を運転士が十分に確認せずにブレーキ装置3を緩解した可能性が高いと考えられる。このため、運転士に注意を喚起するために、警告発生装置8がブザーを鳴動させたり画面上に警告を表示させたり発光素子を点灯させたりする。
【0030】
この発明の第1実施形態に係る車両の誤出発防止システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、車両Vの戸閉め完了が通知されてから所定時間経過する前に、この車両Vを出発させるための操作をしたときに警告発生装置8が警告を発生する。このため、所定時間内は運転士に安全確認を徹底させ、出発信号機Sの信号現示を運転士が十分に確認せずに車両Vを出発させないように運転士に注意を喚起することができる。また、従来の信号冒進警報装置や自動列車停止装置のような地上側の設備が不要になり、車両V側の既存の設備を利用して安価で簡単にシステムを構成することができる。特に、地方鉄道や閑散線区などでは低コストでシステムを構成することができる。
【0031】
(2) この第1実施形態では、車両Vの戸閉め完了が通知されてから所定時間経過する前に、車両Vのブレーキ装置3を緩解させたときに警告発生装置8が警告を発生する。このため、出発信号機Sの信号現示を運転士が十分に確認せずに、ブレーキ装置3を運転士が緩解して、車両Vを出発させるのを可能な限り阻止することができる。また、出発信号機Sの信号現示が進行信号である場合には、戸閉め完了後に直ちに車両Vを発車可能であるが、この場合であっても所定時間内はブレーキ装置3の緩解を許可しないことで出発信号機Sの確認を運転士に常に義務付け習慣化させ教育することができる。
【0032】
(3) この第1実施形態では、車両Vの戸閉め完了が通知されてから所定時間経過するまで車両Vのブレーキ装置3の緩解を禁止するように緩解禁止指令装置9が指令する。このため、出発信号機Sの信号現示を運転士が十分に確認せずに、運転操作装置2を運転士が操作して車両Vを発車させようとしても、ブレーキ装置3が停車状態を維持するため車両Vの誤出発を防止することができる。
【0033】
(第2実施形態)
図3は、この発明の第2実施形態に係る設備機器の誤操作防止システムの構成図である。以下では、図1に示す部分と対応する部分については、対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
図3に示す設備機器Mは、プラント、工場、工事現場などで使用される機械、器具、装置などである。誤操作防止システム11は、設備機器Mの誤操作を防止するシステムである。誤操作防止システム11は、操作許可通知装置14が設備機器Mの所定の操作を許可する通知をしてから所定時間経過する前に、作業者が運転操作装置12を操作したときに、警告発生装置18に所定の警告を発生させて誤操作を防止する。誤操作防止システム11は、図3に示すように、運転操作装置12と、操作許可通知装置14と、計時装置15と、記憶装置16と、設定装置17と、警告発生装置18と、操作禁止指令装置19と、制御装置20などを備えている。
【0034】
運転操作装置12は、作業者が設備機器Mを運転操作するための手段であり、設備機器Mを動作させるときに作業者が操作するスイッチ、ボタン、ハンドルなどである。操作許可通知装置14は、設備機器Mの操作の許可を通知する手段である。操作許可通知装置14は、例えば、運転操作装置12を作業者が操作して設備機器Mにある動作させたときに、この動作の完了又は次の動作を許可する通知をしたりする。計時装置15は、操作許可通知装置14が設備機器Mの操作を許可する通知をしてからの経過時間を計測する手段である。記憶装置16は、設備機器Mの操作を所定時間だけ禁止するための操作禁止時間を記憶する手段である。記憶装置16は、例えば、設備機器Mがある動作を完了してから、運転操作装置12を作業者が操作して設備機器Mに次の動作をさせるまでに、作業者が安全を確認するのに要する時間を操作禁止時間として記憶する。設定装置17は、記憶装置16が記憶する操作禁止時間の長さを任意の長さに設定するための手段である。警告発生装置18は、操作禁止時間が経過する前に、設備機器Mを操作したときに警告を発生する手段である。警告発生装置18は、例えば、操作禁止時間が経過する前に運転操作装置12を作業者が操作して設備機器Mを動作させようとしたときに警告を発生する。操作禁止指令装置19は、操作禁止時間が経過するまで運転操作装置12の操作を禁止するように指令する手段であり、設備機器Mの動作を制御する動作制御装置にこの設備機器Mが動作しないように制御装置20に指令させる。
【0035】
制御装置20は、設備機器Mの種々の動作を制御する中央処理装置(CPU)である。制御装置20は、運転操作装置12を作業者が操作したか否かを監視したり、操作許可通知装置14に設備機器Mの操作の許可を通知するように指令したり、計時装置15に時間の計測を指令したり、記憶装置16から操作禁止時間を読み出して計時装置15が計測した時間と照合したり、設定装置17によって設定された操作禁止時間を記憶装置16に記憶させたり、警告発生装置18に所定の警告の発生を指令したり、操作禁止指令装置19に操作禁止の指令をさせたりする。制御装置20には、図3に示すように、運転操作装置12、操作許可通知装置14、計時装置15、記憶装置16、設定装置17、警告発生装置18及び操作禁止指令装置19が相互に通信可能なように接続されている。
【0036】
次に、この発明の第2実施形態に係る設備機器の誤操作禁止システムの動作を説明する。図4は、この発明の第2実施形態に係る設備機器の誤操作禁止システムの動作を説明するためのフローチャートである。以下では、制御装置20の動作を中心として説明する。なお、図2に示すステップと対応するステップについては対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
S200において、操作許可通知装置14が設備機器Mの操作の許可を通知したか否かを制御装置20が判断し、操作許可が通知されたときにはS210に進み、操作許可が通知されなかったときには操作許可が通知されるまで判断を繰り返す。S210において、計時装置15に計時開始を制御装置10が指令し、操作許可通知装置14が操作許可を通知するのと同時に操作許可の通知がされてからの経過時間の計測を計時装置15が開始する。S220において、運転操作装置12が操作されたか否かを制御装置20が判断し、操作されたときにはS230に進み、操作されなかったときには操作されるまで判断を繰り返す。S230において、操作禁止時間を経過したか否かを制御装置20が判断し、操作禁止時間を経過していないときにはS240に進み、操作禁止時間を経過したときには、作業者が安全を確認したものと考えられるため、一連の動作を終了する。S240において、警告発生装置18に警告発生を制御装置20が指令する。操作禁止時間を経過する前に運転操作装置12が操作されたときには、作業者が安全を十分に確認せずに運転操作装置12を操作した可能性が高いと考えられる。このため、作業者に注意を喚起するために、警告発生装置18がブザーを鳴動させたり画面上に警告を表示させたり発光素子を点灯させたりする。
【0038】
この発明の第2実施形態に係る設備機器の誤操作防止システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、設備機器Mの操作を許可する通知がされてから所定時間経過する前に、この設備機器Mの操作を開始したときに警告発生装置18が警告を発生する。このため、所定時間内は作業者に安全確認を徹底させ、十分に安全を確認せずに設備機器Mを操作させないように作業者に注意を喚起することができる。
【0039】
(2) この第2実施形態では、設備機器Mの操作を許可する通知がされてから所定時間経過するまで設備機器Mの操作を禁止するように操作禁止指令装置19が指令する。このため、作業者が十分に安全を確認せずに運転操作装置12を操作して、設備機器Mを動作させるのを可能な限り阻止することができる。
【0040】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、車両Vとして鉄道車両を例に挙げて説明したが、自動車などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、所定時間経過するまでブレーキ装置3の緩解や運転操作装置12の操作を禁止するために緩解禁止指令装置9や操作禁止指令装置19を備えているが、より一層の低コスト化を図る場合にはこれらの装置を省略することもできる。さらに、この実施形態では、車両Vや設備機器Mの制御装置10,20に誤出発防止機能や誤操作防止機能を付加する場合を例に挙げて説明したが、これらの機能を装置としてユニット化して制御装置10,20と通信可能なように接続し着脱自在に構成することもできる。
【0041】
(2) この実施形態では、3現示の出発信号機Sを例に挙げて説明したが、停止信号、注意信号及び進行信号の他に警戒信号(黄・黄)及び減速信号(黄・青)を信号現示に含む5現示の出発信号機についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、出発信号機Sの信号現示が停止信号から進行信号に変化する前に車両Vを出発させる場合を例に挙げて説明したが、注意信号、警戒信号、減速信号などに変化する前に車両Vを出発させる場合についても、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の第1実施形態に係る車両の誤出発防止システムの構成図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る車両の誤出発防止システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明の第2実施形態に係る設備機器の誤操作防止システムの構成図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係る設備機器の誤操作禁止システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 誤出発防止システム
2 運転操作装置
3 ブレーキ装置
4 戸閉め通知装置
5 計時装置
6 記憶装置
7 設定装置
8 警告発生装置
9 緩解禁止指令装置
10 制御装置
11 誤操作防止システム
12 運転操作装置
14 操作許可通知装置
15 計時装置
16 記憶装置
17 設定装置
18 警告発生装置
19 操作禁止指令装置
20 制御装置
R 軌道
V 車両
S 出発信号機
M 設備機器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3