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明細書 :騒音振動低減装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4769043号 (P4769043)
公開番号 特開2007-041111 (P2007-041111A)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
発明の名称または考案の名称 騒音振動低減装置
国際特許分類 G10K  11/178       (2006.01)
G10K  11/16        (2006.01)
B61D  49/00        (2006.01)
B61D  17/18        (2006.01)
FI G10K 11/16 H
G10K 11/16 D
B61D 49/00 A
B61D 17/18
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2005-222663 (P2005-222663)
出願日 平成17年8月1日(2005.8.1)
審査請求日 平成19年11月13日(2007.11.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】田川 直人
【氏名】山本 克也
個別代理人の代理人 【識別番号】100079201、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 光正
審査官 【審査官】鈴木 圭一郎
参考文献・文献 特開2005-062786(JP,A)
特開昭55-036566(JP,A)
特開平08-199701(JP,A)
特開平08-319680(JP,A)
特開2004-170665(JP,A)
特開2000-170123(JP,A)
特開2004-216971(JP,A)
調査した分野 G10K 11/00-11/16
B61D 17/18
B61D 49/00
特許請求の範囲 【請求項1】
アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを制御対象板の音源側に複数個配置してなる騒音振動低減装置において、
前記騒音低減モジュールを、そのモジュール枠の前記制御対象板側に開放する空間を密閉する第1の密閉板を各騒音低減モジュール単位に取付けて独立型モジュールとすることにより、各騒音低減モジュール間での制御対象板を介しての振動伝搬を遮断するとともに、
前記制御対象板の音源側に配置された複数個の独立型モジュールの周囲と前記制御対象板との間に密閉された空気層を設けたことを特徴とする騒音振動低減装置。
【請求項2】
アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを、そのモジュール枠の前記制御対象板側に開放する空間を密閉する第1の密閉板を各騒音低減モジュール単位に取付けて独立型モジュールとすることにより、各騒音低減モジュール間での制御対象板を介しての振動伝搬を遮断するとともに、
前記制御対象板の音源側に配置された複数個の独立型モジュールの周囲にフレームを取り付けて、その複数個の独立型モジュールの制御対象板側に開放する空間を形成し、その空間を密閉する第2の密閉板を取り付けるとともに、前記フレームと前記第2の密閉板との間に密閉された空気層を設けてなる独立型騒音振動低減装置。
【請求項3】
アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを制御対象板の音源側に複数個配置してなる騒音振動低減装置において、
前記制御対象板は大面積を有するものであり、
その大面積の制御対象板に、請求項2記載の独立型騒音振動低減装置を複数個取り付け、
各独立型騒音低減装置と制御対象板との間に密閉された空気層を設けた、
ことを特徴とする騒音振動低減装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、壁部を介して外側から内側に進入する騒音(又は振動。以下、同じ。)を低減する装置、特に騒音低減モジュールを用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
壁部を介して外側から内側に進入する騒音を低減する方法には、壁部を構成する外板と内装板の間の空間に吸音材や制振材を配置するパッシブ吸音技術と、外板から内装板に伝わる騒音を検出して、その検出に応じて騒音を打ち消すための音を、音出力面を内装板に向けて配置された平面スピーカに出力させるようにしたアクティブ・ノイズ・コントロール技術(ANC技術)とがある。
パッシブ吸音技術は、高周波領域の騒音には効果があるが、低周波領域の騒音には効果が低い、吸音効果を上げるには質量則により壁厚が厚くなる、などの難点がある。これに対して、アクティブ・ノイズ・コントロール技術によれば、上記難点が解消されることから、最近は、アクティブ・ノイズ・コントロール技術の研究開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)

【特許文献1】特開2004-216971号公報
【特許文献2】特開2005-3777号公報
【0003】
ところで、騒音を打ち消すための音を発生させるためのアクチュエータである平面スピーカとして、カード型圧電スピーカを用いる場合は、その圧電スピーカの面積は最大で50mm×50mm程度であるため、検出部と平面スピーカと制御部とからなるアクティブ・ノイズ・コントロール装置を壁の外板と内装板の間の空間に配置することを容易にするため、検出部と平面スピーカと制御部とをモジュール枠内に一まとまりに組み立ててモジュール構造(すなわち騒音低減モジュール)とすることが、特許文献1(段落番号0013~0017)に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、騒音低減モジュールを用いる従来の騒音振動低減装置は、その騒音低減モジュールを制御対象板に直接に取り付けるか、又は制御対象板と一体となった小空間内に取り付けるものであった。
これらの取り付け方法には、騒音低減モジュール内の騒音が正常に制御されて低減しても、制御対象板から放出される透過音(騒音)は有効に低減されないという問題があった。この例を図1に示す。図1は、これらの取り付け方法の場合の制御対象板透過音の制御効果を示すグラフである。各騒音低減モジュール内騒音の制御効果は、図2に示す通りであって、クティブ・ノイズ・コントローによってモジュール内空間の騒音は200Hz~400Hzの範囲で約11dB低減されているにもかかわらず、図1に示すように、同帯域において制御対象板の透過音は低減されていない。
この原因を調査したところ、第1の原因として、騒音低減モジュール間で制御対象板を介した振動伝搬があること。第2の原因として、制御対象板と騒音低減モジュールとが一体となって振動していること。これらの原因によって、制御対象板から放出される騒音が有効に低減されないことがわかった。
【0005】
第1の原因について説明する。図2のような特性で騒音低減モジュール内の騒音が低減されている時に、騒音低減モジュール間で制御対象板を介しての振動伝搬が発生するため、その影響で制御対象板の振動低減は低減のピークや範囲がモジュール内の騒音低減とは異なり、同様な形態をとらない。そのため、モジュール内の騒音低減効果が制御対象板の振動低減に対応していないので、結局、騒音が効果的に低減できないという問題がある。
第2の原因について説明する。低周波においては騒音によって、例えば図3に示すように、制御対象が1次ないし2次等、制御対象板10と騒音低減モジュールA’が一体となって振動する。その場合、個々の騒音低減モジュールA’が有効に動作し各モジュール内の騒音が低減され、同時に図4に示すように、制御対象板の各モジュール単位の狭範囲の振動が低減されても、騒音低減モジュール全体が制御対象板と一体で振動しているため、制御対象板全体の振動は低減されないので、結局、有効な騒音低減ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを制御対象板の音源側に複数個配置してなる騒音振動低減装置において、騒音低減モジュール相互の関係及び制御対象板に対する取付構造を改良して、騒音低減モジュール間の制御対象板を介した振動伝搬を防止し、かつ、騒音低減モジュールの制御対象板との一体振動を防止して、有効な騒音低減を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを制御対象板の音源側に複数個配置してなる騒音振動低減装置において、前記騒音低減モジュールを、そのモジュール枠(1a)の前記制御対象板(10)側に開放する空間(5)を密閉する第1の密閉板(6)を各騒音低減モジュール単位に取付けて独立型モジュール(A)とすることにより、各騒音低減モジュール(A)間での制御対象板を介しての振動伝搬を遮断するとともに、前記制御対象板(10)の音源側に配置された複数個の独立型モジュール(A)の周囲と前記制御対象板(10)との間に密閉された空気層(12)を設けたことを特徴としている(請求項1)。
騒音低減モジュールはモジュール枠(1a)の制御対象板側に開放する空間が第1の密閉板(6)で密閉され、それぞれ独立しており、かつ、独立型モジュール(A)の周囲と制御対象板(10)との間に密閉された空気層(12)を設けたので、騒音低減モジュール間の制御対象板を介しての振動伝搬が発生しない。
【0008】
また、独立型モジュールと制御対象板との間に密閉された空気層が設けられていると、制御対象板は空気層の騒音により加振される。従って、各独立型モジュールから放射される騒音が低減されることにより、空気層の騒音が小さくなる。さらに、制御対象板が騒音低減モジュールの付いていない単体となるため、制御対象板と騒音低減モジュールとの一体の振動はなくなり、制御対象板の低周波振動も低減される。
【0009】
本発明は、騒音低減モジュールを用いる騒音振動低減装置を簡単に組み立てることができ、なおかつ、有効確実な騒音低減効果を発揮できる新規な独立型騒音振動低減装置を提供する。
その独立型騒音振動低減装置(B)は、アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを、そのモジュール枠(1a)の制御対象板側に開放する空間を密閉する第1の密閉板(6)を各騒音低減モジュール単位に取付けて独立型モジュール(A)とすることにより、各騒音低減モジュール間での制御対象板(10)を介しての振動伝搬を遮断するとともに、制御対象板(10)の音源側に配置された複数個の独立型モジュール(A)の周囲にフレーム(13)を取り付けて、その独立型モジュールの制御対象板(10)側に開放する空間を形成し、その空間を密閉する第2の密閉板(14)を取り付けるとともに、前記フレーム(13)と前記第2の密閉板(14)との間に密閉された空気層(15)を設けてなっている(請求項2)。
【0010】
本発明は、さらに、アクティブ・ノイズ・コントロール技術により騒音を低減させる騒音低減モジュールを制御対象板の音源側に複数個配置してなる騒音振動低減装置において、前記制御対象板(10)は大面積を有するものであり、その大面積の制御対象板に、上記独立型騒音振動低減装置(B)を複数個取り付け、各独立型騒音低減装置(B)と制御対象板(10)との間に密閉された空気層(17)を設けたことを特徴としている(請求項)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、騒音低減モジュールはそれぞれ独立しているので、騒音低減モジュール間の制御対象板を介した振動伝搬を防止することができる。従って、騒音低減モジュール内の騒音低減効果が第1の密閉板の振動低減効果に有効に反映され、有効な騒音低減が実現される。
【0012】
また、請求項1の発明によれば、各独立型モジュールと制御対象板との間に密閉された空気層を設けたので、騒音低減モジュールと制御対象板が一体振動をすることもない。従って、騒音低減モジュール内の騒音低減効果が有効に空気層内騒音低減につながり、制御対象板の振動低減に反映され、有効な騒音低減が実現される。
【0013】
請求項2の発明によれば、独立型騒音振動低減装置の単体で、騒音低減モジュール間の振動伝搬、及び、騒音低減モジュールと密閉板の一体振動を防止することができ、さらに、空気層による騒音低減効果が加味されるので、騒音低減効果が大きい。
【0014】
請求項3の発明によれば、独立型騒音振動低減装置の複数個を大面積の制御対象板に取り付け、各独立型騒音低減装置と制御対象板との間に密閉された空気層を設けたので、大面積の制御対象板における騒音振動低減用に好適である。そして、騒音低減モジュールの取付、密閉板の設置が容易になり、大面積の制御対象板においても大きな騒音低減効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を用いながら説明する。
図5は、本発明において用いる騒音低減モジュールの概念を示す。図5において、A’は騒音低減モジュール、6は制御対象板又は密閉板、1aはモジュール枠であり、それらの間に囲まれたモジュール内空間(密閉空間)5を有する。
騒音低減モジュールA’は、密閉空間5内に進入してきた騒音をアクティブ・ノイズ・コントロール技術により低減させることによって、制御対象板(又は密閉板)10の振動を低減させ、これによって、ここから放出される透過音(騒音)を低減するシステムである。
騒音低減モジュールA’は、制御対象板(又は密閉板)6の騒音が侵入する側の面に貼り付けられており、制御対象板(又は密閉板)6は、例えば、鉄道車両の外壁を構成する外板と内装板の中の内装板に該当する。
【0016】
図6は上記騒音低減モジュールA’を用いる本発明の騒音低減装置の第1の実施例の構成を概略的に示す図である。
第1の実施例においては、各騒音低減モジュールA’は、モジュール内空間、すなわち、図5のモジュール枠1aの制御対象板10側に開放する空間5を密閉する密閉板6がモジュール単位で取付けられて、独立型モジュールAが構成されている。
密閉板6は制御対象板10を分割したものではなく、モジュール内の騒音低減をするための密閉空間を構成する板である。
【0017】
第1の実施例においては、各独立型モジュールAが相互に分離して取り付けられている。これにより、各独立型モジュールA間での制御対象板10を介する振動の影響が遮断されている。従って、従来技術による騒音低減モジュール間の制御対象板を介した振動伝搬が防止されるので、モジュール内の騒音低減効果に対応した確実な騒音低減効果が得られる。
【0018】
また、この実施例では、上記独立型モジュールAの複数個を一まとめにし、その周囲と制御対象板10との間をフレーム11により密閉して、制御対象板10と複数個の独立型モジュールAとの間に空気層12を形成してある。従って、各独立型モジュールA間での制御対象板10を介する振動の影響が遮断されているとともに、各独立型モジュールAを透過する騒音が有効に低減されるため空気層12内の騒音が低減される。また、独立型モジュールAは空気層12を介して制御対象板10から離間されているため、制御対象板10との一体となった振動が防止される。従って、有効な騒音低減効果が発揮される。
【0019】
図7のBは、上記複数個の独立型モジュールAの周囲にフレーム13を取り付け、そのフレームに密閉板14を固定して、独立型モジュールAの空間を密閉するとともに、独立型モジュールAと密閉板14との間に空気層15を設けて構成されている独立型騒音低減装置である。
【0020】
独立型騒音低減装置Bは、上記構成により、それ単独で、独立型モジュールA間の振動伝搬、独立型モジュールAと密閉板14の一体振動を防止することができ、さらに、これによる空気層15の騒音低減効果により、大きい騒音低減効果を発揮することができる。
【0021】
図8は、独立型騒音低減装置Bの騒音低減効果を示すグラフである。この場合は、モジュール内騒音は、アクティブ・ノイズ・コントロール制御により図2とほぼ同じ特性で低減され、制御対象板10から放出される騒音が200Hz~400Hzの範囲で約8dB低減され、図1と比較して低周波においてもモジュール内騒音の制御効果が現れるようになった。
【0022】
そして、図7には、この独立型騒音低減装置Bの1個又は複数個を、フレーム16により制御対象板10に対して密閉し固定して、独立型騒音低減装置と制御対象板10との間にもう一つの空気層17を設けて複合型騒音低減装置Cが構成された例が併せて示されている。
制御対象板10が大面積を有するものである場合は、その制御対象板10に独立型騒音低減装置Bを複数個取り付けると有効な騒音振動低減効果が得られる。
【0023】
複合型騒音低減装置Cのこのような構成により、各独立型モジュールA間の振動伝搬、各独立型モジュールAと制御対象板10との一体となった振動が防止され、さらに二つの空気層15,17内の騒音が有効に低減される。従って、図5の騒音低減モジュールA’を用いる騒音低減装置として、騒音振動低減効果が広範囲に向上されたものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来技術による透過音制御効果を示すグラフ。
【図2】従来の騒音低減モジュール内騒音制御効果を示すグラフ。
【図3】制御対象板と騒音低減モジュールの一体振動を示す図。
【図4】制御対象板のモジュール単位の振動加速度低減効果を示す図。
【図5】本発明で用いる騒音低減モジュールの概念を示す図。
【図6】本発明の第1の実施例の構成を概略的に示す図。
【図7】本発明の第2及び第3の実施例の構成を概略的に示す図。
【図8】第2の実施例で用いる独立型騒音低減装置の透過音制御効果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0025】
A´ 騒音低減モジュール
A 独立型モジュール
1a モジュール枠
5 モジュール空間
6 密閉板
7 空気層
10 御対象板
11 フレーム
12 空気層
13 フレーム
14 密閉板
15 空気層
16 フレーム
17 空気層
B 独立型騒音低減装置
C 複合型騒音低減装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7