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明細書 :スタンションポール

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4541251号 (P4541251)
公開番号 特開2007-050729 (P2007-050729A)
登録日 平成22年7月2日(2010.7.2)
発行日 平成22年9月8日(2010.9.8)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
発明の名称または考案の名称 スタンションポール
国際特許分類 B61D  17/04        (2006.01)
B60N   3/02        (2006.01)
B61D  27/00        (2006.01)
B61D  49/00        (2006.01)
FI B61D 17/04 ZAB
B60N 3/02 A
B61D 27/00 Z
B61D 49/00 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2005-235951 (P2005-235951)
出願日 平成17年8月16日(2005.8.16)
審査請求日 平成19年11月30日(2007.11.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】内田 勝
【氏名】小倉 雅則
【氏名】青木 淳
【氏名】富岡 隆弘
【氏名】瀧上 唯夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100067367、【弁理士】、【氏名又は名称】天野 泉
審査官 【審査官】北村 亮
参考文献・文献 特開2004-017842(JP,A)
特開平09-142299(JP,A)
特開平09-317808(JP,A)
特開昭55-004219(JP,A)
特開昭63-026440(JP,A)
調査した分野 B61D 49/00
B61D 37/00
B61D 17/04,17/10-17/12
B61D 27/00
B60N 3/02
F16F 15/023
F16F 9/00- 9/54
特許請求の範囲 【請求項1】
棒状体と、棒状体の一端に配される流体圧緩衝器とを有し、鉄道車両の屋根強度部材と床強度部材との間に介装されるスタンションポールにおいて、流体圧緩衝器を屋根強度部材に直接連結し、棒状体を床強度部材に連結するとともに、スタンションポール全体の等価減衰係数Ceq、屋根強度部材と床強度部材との相対振動における振動周波数f、流体圧緩衝器の作動流体の剛性k、棒状体の剛性kが次の関係を満たすように設定されてなることを特徴とするスタンションポール。
【数1】
JP0004541251B2_000011t.gif

【請求項2】
スタンションポール全体の等価減衰係数Ceq、屋根強度部材と床強度部材との相対振動における振動周波数f、流体圧緩衝器の作動流体の剛性k、棒状体の剛性kが次の関係を満たすように流体圧緩衝器の作動流体の剛性kおよび棒状体の剛性kの一方または両方を設定してなることを特徴とする請求項1に記載のスタンションポール。
【数2】
JP0004541251B2_000012t.gif

【請求項3】
流体圧緩衝器の減衰係数Cは、棒状体と流体圧緩衝器の作動流体の直列剛性をkとすると、次の関係を満たすように設定されてなる請求項1または2に記載のスタンションポール。
【数3】
JP0004541251B2_000013t.gif

【請求項4】
流体圧緩衝器がシリンダとシリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンとを備え、作動流体の剛性kは、ピストン受圧面積とシリンダ内にピストンで区画される作動室の容積との比によって設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスタンションポール。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の屋根強度部材と床強度部材との間に介装されて屋根強度部材と床強度部材との相対振動を抑制するスタンションポールの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道の輸送力増強等の期待に応えるため鉄道車両は高速化の一途を辿っており、この鉄道車両の高速化に伴って車両の軽量化が図られている。
【0003】
ここで車両の軽量化は、車両の高速化は勿論として消費電力を低減させる等、種々の利点があるが、特に車体を軽量化する場合には、車両における乗り心地の点では、車体を構成する屋根、壁、床の構造部材(本明細中、それぞれ「屋根強度部材」、「壁強度部材」、「床強度部材」という)の曲げ剛性が一般的に低下する傾向となるので、各強度部材の弾性振動が増加する。
【0004】
そして、特に車両の軽量化による床強度部材の振動の増加は、乗客が敏感に知覚するところとなるので、車両における快適性を悪化させる一因となる。
【0005】
そこで、上記各部材の振動を低減する方法として、乗客がつかまるための手摺や握り棒として利用されているスタンションポールと呼ばれる棒状体を、屋根強度部材と床強度部材との間に介装して上記振動を抑制しようとする提案がされている。この提案では、車体の屋根強度部材と床強度部材とをスタンションポールで連結し、車体の剛性を向上させることによって、屋根強度部材と床強度部材の各々の弾性振動を抑制して、車両における乗り心地悪化を改善することができる。
【0006】
また、車体は一般的に前後方向に直方体形状として構成されているが、車両走行中に軌道高低狂い等によって車体が加振されると、前後方向に長い屋根強度部材と床強度部材は、波打つように撓み、入力される振動周波数によって、時には同位相で、時には位相差をもった振動モードで振動するが、スタンションポールに減衰作用を発揮するダンパ等を設けることにより、振動エネルギを吸収して、振動抑制効果を高めることによって、より一層の快適性の向上をも狙っている(たとえば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2004-17842号公報(第4頁第14行目から第5頁第1行目まで、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記提案では、減衰作用を発揮するものとして粘弾性ダンパ等を採用するところであるが、粘弾性ダンパは、安価ではあるが一般的には温度変化によって減衰特性が変化し、粉体ダンパは低周波数の振動に対してはフリクションが大きく求められる減衰作用を発揮することができない場合があることから、減衰力発生要素として上記不具合の無い流体圧緩衝器を使用することが考えられる。
【0008】
ここで、従来のスタンションポールにあっては、棒状体と直列に流体圧緩衝器を接続して構成されることになり、流体圧緩衝器の作動流体、具体的にはたとえば、作動油等は、作動室内の容積変化によりバネ要素としても機能することから、このように構成されたスタンションポールは、棒状体と流体圧緩衝器の作動流体の2つのバネ要素を備えていることになる。
【0009】
したがって、上記のように構成されたスタンションポール全体としての等価減衰係数は、棒状体と流体圧緩衝器の直列配置と、上記2つのバネ要素によって、流体圧緩衝器の固有の減衰係数より小さくなってしまい、狙った減衰効果を得ることができなくなってしまう場合があり、車両における快適性を満足させることができなくなってしまう可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、鉄道車両の屋根強度部材と床強度部材のそれぞれの振動を効果的に抑制可能なスタンションポールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、棒状体と、棒状体の一端に配される流体圧緩衝器とを有し、鉄道車両の屋根強度部材と床強度部材との間に介装されるスタンションポールにおいて、流体圧緩衝器を屋根強度部材に直接連結し、棒状体を床強度部材に連結するとともに、スタンションポール全体の等価減衰係数Ceq、屋根強度部材と床強度部材との相対振動における振動周波数f、流体圧緩衝器の作動流体の剛性k、棒状体の剛性kが次の関係を満たすように設定されてなることを特徴とする。
【数4】
JP0004541251B2_000002t.gif

【発明の効果】
【0012】
本発明のスタンションポールによれば、あらかじめ屋根強度部材と床強度部材との相対振動におけるある周波数の振動を低減するのに必要とされる等価減衰係数Ceqを決めた場合に、上記の関係を満たすように、作動流体の剛性kおよび棒状体の剛性kの一方または両方を設定すれば、流体圧緩衝器の減衰係数Cを適宜設定することで必要とされる等価減衰係数Ceqを実現できることになる。
【0013】
したがって、このスタンションポールにあっては、スタンションポール全体の等価減衰係数Ceq、屋根強度部材と床強度部材との相対振動における振動周波数f、流体圧緩衝器の作動流体の剛性k、棒状体の剛性kが上記の関係を満たすように設定されるので、必要とされるスタンションポール全体の等価減衰係数Ceqを狙った値に設定することができることから、確実に狙った減衰効果を期待でき、鉄道車両の屋根強度部材と床強度部材のそれぞれの振動を効果的に抑制することができるようになるので、鉄道車両における快適性を満足させることができる。また、屋根強度部材に直接流体圧緩衝器を連結し、棒状体を床強度部材に連結するので、流体圧緩衝器の外径が大きくなっても、該流体圧緩衝器は、車体内の乗車スペースには何ら影響を与えず、乗客に干渉して乗客に不快感を与えることが無く、また、乗車定員にも何ら影響を与えずにすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のスタンションポールを各図に基づいて説明する。図1は、屋根強度部材と床強度部材と間に一実施の形態におけるスタンションポールを介装した鉄道車両の車体の概略斜視図である。図2は、スタンションポールを概念的に示した図である。図3は、流体圧緩衝器の概略縦断面図である。図4は、屋根強度部材と床強度部材との間に一実施の形態におけるスタンションポールを介装した鉄道車両の概略横断面図である。図5は、等価減衰係数と流体圧緩衝器の減衰係数との関係を示す図である。図6は、屋根強度部材と床強度部材との間に一実施の形態の変形例におけるスタンションポールを介装した鉄道車両の車体の概略縦断面図である。
【0015】
本発明の一実施の形態におけるスタンションポールPは、図1、図2および図4に示すように、棒状体1と、流体圧緩衝器Dとを備え、棒状に形成され、鉄道車両Tの車体Bの屋根強度部材Lと床強度部材Fとの間に介装されている。
【0016】
棒状体1は、管状に形成されても、中実に形成されてもよく、また、棒状体1の端部には、流体圧緩衝器Dが直列に接続されている。そして、スタンションポールPは、流体圧緩衝器Dを屋根強度部材Lに直接連結し、棒状体1を床強度部材Fに連結して屋根強度部材Lと床強度部材Fとの間に介装されている。
【0017】
さらに、流体圧緩衝器Dは、図3に示すように、両ロッド型の緩衝器として構成され、シリンダ2と、シリンダ2内に摺動自在に挿入されるピストン4と、シリンダ2内にピストンで隔成され作動流体が充満される2つの作動室R1,R2と、ピストン4に連結されシリンダ2内に移動自在に挿通されるロッド3とを備えて構成され、シリンダ2とロッド3の相対移動時に圧縮される作動室R1(R2)から膨張される作動室R2(R1)へ移動する作動流体にオリフィス、リーフバルブ等の減衰力発生要素5を通過させることによって所定の圧力損失を生じせしめ、上記相対移動を抑制する所定の減衰力を発生可能なようになっている。
【0018】
なお、作動流体は、液体でも気体でもよいが、一般的には体積弾性係数が大きい油を用いるとよい。また、流体に電気粘性流体を使用する場合には、流体圧緩衝器Dを上記圧力損失に加えて流体の粘度変化によっても減衰力を可変にすることができるように設定するようにしてもよい。さらに、上述したところでは、流体圧緩衝器Dは、両ロッド型とされているが、片ロッド型とされてもよい。
【0019】
そして、この流体圧緩衝器Dは、ロッド3の図2中下端を棒状体1に連結することで、棒状体1と一体化されている。また、流体圧緩衝器Dは、シリンダ2の上端に結合されるとともにロッド3が進退可能なように挿通される筒体6を備えており、この筒体6を屋根強度部材Lに、棒状体1の下端を床強度部材Fに連結することで、スタンションポールPが屋根強度部材Lと床強度部材Fとの間に介装される。
【0020】
他方、鉄道車両Tは、図1および図4に示すように、車体Bと複数の台車Gとを備えて構成され、車体Bと台車Gとの間にはバネ要素と緩衝器を並列配置して構成されるサスペンション装置10が介装され、また、台車Gは、両端に車輪Whを備えた輪軸Sにバネ要素と緩衝器を並列配置して構成されるサスペンション装置11によって弾性的に支持されている。
【0021】
なお、図1に示したところでは、車体Bの3箇所にスタンションポールPがそれぞれ介装されているが、床強度部材Fの振動抑制に適するようにスタンションポールPの設置数は適宜変更することができる。
【0022】
また、スタンションポールPの上方に屋根強度部材Lの一部として車体B内の気温を制御する図示しないエアコンディショナーが設けられている場合には、スタンションポールPの上端を上記エアコンディショナーに直接連結するとしてもよい。
【0023】
さて、上記のように構成された鉄道車両Tが図示しない軌道上を走行する場合、軌道の狂い等によって、車輪Whに上下方向に振動すると、この振動は、サスペンション装置11を介して台車Gに伝播し、さらに、この台車Gの振動がサスペンション装置10を介して車体Bに伝播されることになる。
【0024】
車体Bは、屋根強度部材Lと床強度部材Fと4つの壁強度部材Wとで構成され、直方体形状を成しており、上記のように加振されると、車両進行方向に長い屋根強度部材Lと床強度部材Fは、波打つように撓み、入力される振動の周波数によって、時には同位相で、時には位相差をもった振動モードで振動する。
【0025】
そして、スタンションポールPは、屋根強度部材Lと床強度部材Fとを連結しており、棒状体1がバネ要素として機能し、また、流体圧緩衝器Dが屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対移動を抑制する減衰力を発揮するので、屋根強度部材Lと床強度部材Fの振動を抑制することができるのであるが、流体圧緩衝器Dの作動流体は、シリンダ2内の圧力が変化すると自身の体積にも変化が生じてバネ要素として作用することになる。
【0026】
すなわち、このスタンションポールPには、弾性体である棒状体1と作動流体の2つのバネ要素を備えていることから、スタンションポール全体が屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対振動速度に対して屋根強度部材Lと床強度部材Fのそれぞれに作用させる減衰力に関係する等価減衰係数Ceqに影響を与え、上記等価減衰係数Ceqは、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cとは異なった値をとることになる。
【0027】
そして、等価減衰係数Ceqと、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cとの関係は、屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対振動における振動周波数をf、棒状体1と作動流体の直列剛性をkとすると、式(1)で表すことができる。
【数5】
JP0004541251B2_000003t.gif
なお、棒状体1と作動流体の直列剛性k、流体圧緩衝器Dの作動流体の剛性kおよび棒状体1の剛性kは、式(2)の関係を有する。
【数6】
JP0004541251B2_000004t.gif
また、作動流体の剛性kは、流体圧緩衝器Dのピストンの受圧面積Aと、作動流体の体積弾性係数Kと、流体圧緩衝器Dの作動室R1,R2内の容積Vと、式(3)のような関係を有している。
【数7】
JP0004541251B2_000005t.gif
つまり、等価減衰係数Ceqは、式(1)から作動流体とスタンションポールPの直列剛性kの値が大きければ大きいほど、大きな値を採りうることが理解できる。また、式(1)から、等価減衰係数Ceqは、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cが、式(4)の関係を満たすとき、式(5)で示される極大値を採ることがわかる。
【数8】
JP0004541251B2_000006t.gif
【数9】
JP0004541251B2_000007t.gif
すなわち、等価減衰係数Ceqと上記直列剛性kとの間には、式(6)の関係があり、等価減衰係数は、必ず、式(5)の極大値以下の値しか採りえない。
【数10】
JP0004541251B2_000008t.gif
この式(6)の直列剛性kに式(2)を代入して変形すると、作動流体の剛性kと、棒状体1の剛性kと、等価減衰係数Ceqと、屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対振動における振動周波数fは、式(7)に示した関係を満たさなくてはならないことになる。
【数11】
JP0004541251B2_000009t.gif
すなわち、あらかじめ屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対振動におけるある周波数の振動を低減するのに必要とされる等価減衰係数Ceqを決めた場合に、上記式(7)の関係を満たすように、作動流体の剛性kおよび棒状体1の剛性kの一方または両方を設定すれば、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cを式(1)に則って適宜設定することで必要とされる等価減衰係数Ceqを実現できることになる。
【0028】
したがって、本実施の形態におけるスタンションポールPにあっては、スタンションポール全体の等価減衰係数Ceq、屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対振動における振動周波数f、流体圧緩衝器の作動流体の剛性k、棒状体1の剛性kが式(7)を満たすように設定されるので、必要とされるスタンションポールP全体の等価減衰係数Ceqを狙った値に設定することができることから、確実に狙った減衰効果を期待でき、鉄道車両Tの屋根強度部材Lと床強度部材Fの振動を効果的に抑制することができるようになるので、鉄道車両Tにおける快適性を満足させることができる。
【0029】
ここで、式(2)から理解できるように、直列剛性kは、作動流体の剛性kおよび棒状体1の剛性kが大きければ大きいほど、大きな値となり、式(1)から直列剛性kが大きければ大きいほど、等価減衰係数Ceqも大きな値を採りうるようになる。
【0030】
また、棒状体1を剛性kが比較的高い金属とすると、作動流体の剛性kは、棒状体1の剛性kより、一般的には充分小さいので、直列剛性kの値を大きくするには、作動流体の剛性kを大きくすることが効果的である。
【0031】
つまり、式(1)から理解できるように、等価減衰係数Ceqは、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cに低減率α(α<1)を乗じた小さな値となるが、直列剛性kを大きくしておくことで、低減率αを1に近づけて等価減衰係数Ceqの流体圧緩衝器Dの減衰係数Cに対する落ち込みを低減することができ、特に、作動流体の剛性kの調整によって直列剛性kを設定する場合には、上述のように、等価減衰係数Ceqの流体圧緩衝器Dの減衰係数Cに対する落ち込みを効果的に低減することができる。
【0032】
そして、作動流体の剛性kは、式(3)から、流体圧緩衝器Dのピストン受圧面積Aの二乗に比例し、作動室内容積Vに反比例することから、できるだけ流体圧緩衝器Dの受圧面積Aを大きくし作動室内容積Vを小さくすることで、作動流体の剛性kを大きくすることができる。
【0033】
このように作動流体の剛性kを流体圧緩衝器Dのピストン受圧面積Aと作動室内容積Vによって設定することで、作動流体の剛性kを任意に設定することができ、上記低減率αを大きくすることができ、また、作動流体の剛性kの設定が簡易である。したがって、等価減衰係数Ceqの流体圧緩衝器Dの減衰係数Cに対する落ち込みを低減することができ、効率的なスタンションポールPを実現することができる。
【0034】
さて、上述のように、式(7)の関係を満たせば、必要とされる等価減衰係数Ceqを実現できるのであるが、等価減衰係数Ceqは、流体圧緩衝器Dの減衰係数C=k/(2・π・f)のときに、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cの二分の一の値となる極大値k/(4・π・f)を採り、ある屋根強度部材Lと床強度部材Fとの相対振動における振動周波数f、ある直列剛性kとしたときの等価減衰係数Ceqと流体圧緩衝器Dの減衰係数Cの関係は、図5に示すような、上に凸の曲線を描くことになる。
【0035】
つまり、極大値以外の等価減衰係数Ceqに対しては、それを満足する減衰係数Cはk/(2・π・f)の値を境にして大小の二つ存在することになる。
【0036】
ここで、本実施の形態におけるスタンションポールPでは、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cは、式(8)を満たすように設定してある。
【数12】
JP0004541251B2_000010t.gif

【0037】
したがって、本実施の形態におけるスタンションポールPの流体圧緩衝器Dは、上記等価減衰係数Ceqを満足する大小2つの減衰係数のうち、必ず小さい値を採るように設定されることになる。
【0038】
一般的に、流体圧緩衝器の減衰係数を大きくするには、伸縮作動時の2つの作動室R1,R2内の圧力差を大きくする必要があり、その分大きな圧力に耐えうるように、シリンダ2の端部、外周部の肉厚を厚くしたり、ロッド3の強度をあげるためにロッド径を太くしたりする必要がある。
【0039】
すなわち、上記のように、流体圧緩衝器Dの減衰係数Cが上記等価減衰係数Ceqを満足する大小2つの減衰係数のうち、必ず小さい値に設定されることで、必要な等価減衰係数Ceqを満足する減衰係数Cを小さくすることができ、不必要に流体圧緩衝器の重量増加を招かず、また、流体圧緩衝器Dのコストを低減でき、効率的なスタンションポールPを実現することができる。
【0040】
なお、上述したように、作動流体の剛性kを大きく設定する上で、流体圧緩衝器Dのピストン受圧面積Aを大きくし作動室内容積Vを小さくすることで、等価減衰係数Ceqの流体圧緩衝器Dの減衰係数Cに対する落ち込みを効果的に低減することが可能であるが、そのように設定すると、流体圧緩衝器Dの外径が大きくなることになる。
【0041】
そこで、本実施の形態のスタンションポールPは、図示したところでは、屋根強度部材Lに直接流体圧緩衝器Dを連結し、棒状体1を床強度部材Fに連結するとして、屋根強度部材Lと床強度部材Fとの間に介装されている。
【0042】
したがって、流体圧緩衝器Dの外径が大きくなっても、該流体圧緩衝器Dは、車体B内の乗車スペースには何ら影響を与えず、乗客に干渉して乗客に不快感を与えることが無く、また、乗車定員にも何ら影響を与えずにすむ。
【0043】
また、図示したところでは、流体圧緩衝器Dを直接に屋根強度部材Lに連結しているが、棒状体1の中間部の上方であって乗客に干渉しない位置に流体圧緩衝器Dを介装するようにしても、乗車スペース、乗車定員への影響、乗客に不快感を与えることを無くすることができる。
【0044】
さらに、図6に示した参考例におけるスタンションポールP1のように、車体Bを構成する構造体としての床強度部材Fの上方に、乗客が乗るフロアを設けて、該フロア20と床強度部材Fとの間に流体圧緩衝器Dの搭載スペースが確保される場合には、床強度部材Fに直接にまたは棒状体1を介して流体圧緩衝器Dを連結して上記該フロア20と床強度部材Fとの間に流体圧緩衝器Dを収納しておくようにしてもよい。
【0045】
この場合にも、乗客はフロア20上に搭乗することになり、乗客の足元で流体圧緩衝器Dが邪魔となるようなことが無く、乗車スペース、乗車定員への影響、乗客に不快感を与えることを無くすることができる。
【0046】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】屋根強度部材と床強度部材と間に一実施の形態におけるスタンションポールを介装した鉄道車両の車体の概略斜視図である。
【図2】スタンションポールを概念的に示した図である。
【図3】流体圧緩衝器の概略縦断面図である。
【図4】屋根強度部材と床強度部材との間に一実施の形態におけるスタンションポールを介装した鉄道車両の概略横断面図である。
【図5】等価減衰係数と流体圧緩衝器の減衰係数との関係を示す図である。
【図6】屋根強度部材と床強度部材との間に参考例におけるスタンションポールを介装した鉄道車両の車体の概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 棒状体
2 シリンダ
3 ロッド
4 ピストン
5 減衰力発生要素
6 筒体
10,11 サスペンション装置
20 フロア
B 車体
D 流体圧緩衝器
F 床強度部材
G 台車
L 屋根強度部材
P,P1 スタンションポール
R1,R2 作動室
S 輪軸
T 鉄道車両
W 壁強度部材
Wh 車輪
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5