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明細書 :逸脱防止ガード付きラダーマクラギ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4549262号 (P4549262)
公開番号 特開2007-063910 (P2007-063910A)
登録日 平成22年7月16日(2010.7.16)
発行日 平成22年9月22日(2010.9.22)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
発明の名称または考案の名称 逸脱防止ガード付きラダーマクラギ
国際特許分類 E01B   3/38        (2006.01)
FI E01B 3/38
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2005-253551 (P2005-253551)
出願日 平成17年9月1日(2005.9.1)
審査請求日 平成19年11月20日(2007.11.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】591121111
【氏名又は名称】株式会社安部日鋼工業
発明者または考案者 【氏名】涌井 一
【氏名】松本 信之
【氏名】曽我部 正道
【氏名】中條 友義
【氏名】飯泉 章
【氏名】宮本 基行
個別代理人の代理人 【識別番号】100087491、【弁理士】、【氏名又は名称】久門 享
審査官 【審査官】藤澤 和浩
参考文献・文献 特表2004-538396(JP,A)
特開2005-163264(JP,A)
特開2005-188201(JP,A)
特開2005-188181(JP,A)
特開平11-247102(JP,A)
調査した分野 E01B 3/00 ~ 3/48
E01B 19/00
E01B 37/00
特許請求の範囲 【請求項1】
平行に伸び、それぞれにレールが敷設された2本の縦梁と、当該縦梁間に設置された複数の繋ぎ梁とからなるラダーマクラギと、前記縦梁に前記レールの外側または内側に沿って前記レールの長手方向に連続して形成された逸脱防止ガードとからなり、前記逸脱防止ガードは前記レールの長手方向に所定間隔おきに形成された複数のスリットと、前記レールの長手方向に連続して挿通された線状部材と、前記各スリットに充填された弾性目地部材とを有し、前記線状部材は各スリットを貫通し、かつ前記線状部材の端部は引張力を吸収する弾性部材を介して定着されてなることを特徴とする逸脱防止ガード付きラダーマクラギ。
【請求項2】
線状部材はアンボンドPC鋼材であることを特徴とする請求項1記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギ。
【請求項3】
スリット内に露出したPC鋼材の露出部分にさや管を挿通するかグリースを塗着してなることを特徴とする請求項1または2記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特に逸脱防止ガードの付設によるマクラギの剛性増大を抑え、マクラギをバラスト道床やコンクリート路盤に直接支障なく敷設できるようにした逸脱防止ガード付きラダーマクラギに関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行中の列車が地震などで脱線して対向列車と衝突したり、高架橋から転落するといった事態になれば、多くの負傷者がでて大惨事になることは容易に想像できることであり、新潟県中越地震における上越新幹線の列車脱線を契機に、走行中の列車の安全性が大きな課題になっている。
【0003】
従来、列車の脱線を防止する方法として、マクラギに当該マクラギの上に敷設されたレールの内側または外側に沿って逸脱防止ガードを取り付ける方法が知られており、上越新幹線の列車脱線事故を受けて、特に注目されてきている。

【特許文献1】特開2004-324245号公報
【特許文献2】特開2004-324287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
逸脱防止ガードは、一般に鋼材または鉄筋コンクリートによってマクラギと一体に形成されるため、逸脱防止ガードを備えたマクラギは逸脱防止ガードを有することで曲げ剛性が大きい。
【0005】
このため、バラスト道床やコンクリート路盤に、特にラダーマクラギを敷設するに際して、軌きょうを持ち上げ、バラストの突き固めや冶具による整正を行う場合、マクラギの曲げ剛性が大き過ぎるとバラスト道床への変位・追従がほとんど無いか非常に小さいため、マクラギの敷設・整正が非常に困難になる等の課題があった。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、特に逸脱防止ガードの付設によるマクラギの剛性増大を抑えて、マクラギをバラスト道床やコンクリート路盤にも支障なく敷設できるようにした逸脱防止ガード付きラダーマクラギを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギは、平行に伸び、それぞれにレールが敷設された2本の縦梁と、当該縦梁間に設置された複数の繋ぎ梁とからなるラダーマクラギと、前記縦梁に前記レールの外側または内側に沿って前記レールの長手方向に連続して形成された逸脱防止ガードとからなり、前記逸脱防止ガードは前記レールの長手方向に所定間隔おきに形成された複数のスリットと、前記レールの長手方向に連続して挿通された線状部材と、前記各スリットに充填された弾性目地部材とを有し、前記線状部材は各スリットを貫通し、かつ前記線状部材の端部は引張力を吸収する弾性部材を介して定着されてなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギは、請求項1記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギにおいて、線状部材はアンボンドPC鋼材であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギは、請求項1または2記載の逸脱防止ガード付きラダーマクラギにおいて、スリット内に露出したPC鋼材の露出部分にさや管を挿通するかグリースを塗着してなることを特徴とするものである。

【0010】
ラダーマクラギは、2本の縦梁と複数の繋梁とから梯子状に構成されていて、一般に剛性が大きい。そのため、鋼材などからなる逸脱防止ガードを付設すると剛性がさらに大きくなって、バラスト道床やコンクリート路盤への変位・追従がほとんど無いか非常に小さくなるため、ラダーマクラギの敷設・整正が非常に困難になる。
【0011】
しかし、本発明によれば、逸脱防止ガードに複数のスリットを所定間隔おきに形成して逸脱防止ガードの付設によるマクラギの剛性増大が抑えられているため、バラスト道床やコンクリート路盤への変位・追従が可能になり、ラダーマクラギの敷設・整正が非常に容易になる。
【0012】
また、逸脱防止ガードにはPC鋼線やPC鋼より線などのPC鋼材、あるいはアラミド繊維などの新素材(FRP)からなる連続繊維補強材からなる線状部材が連続して挿通され、各スリット間が互いに連結されていることで、互いに協同して外力に抵抗することができるため、万一脱輪して車輪がスリット間に激しく当たったとしても、車輪をレールからそれ以上逸れることのないように確実に保持することができ、スリットを有することによる強度および機能の低下もない
【0013】
なお、マクラギ本体と逸脱防止ガードは、鉄筋コンクリートによって一体に形成されてもよいが、特に逸脱防止ガードのみを繊維補強コンクリートや超高強度コンクリートで形成してもよく、さらに逸脱防止ガードをマクラギ本体と別体に形成し、取付ボルト等による後付けとしてもよい。
【0014】
また、線状部材は、その全長にわたって逸脱防止ガードのコンクリートと付着させる場合と付着させない(アンボンド)場合のいずれの方式によって取り付けてもよく、後者のアンボンド方式とする場合、線状部材の両端部のみを逸脱防止ガードの端部に定着すればよい
【0015】
その際、端部にコイルバネや合成ゴム等の弾性部材を取り付けることによりPC鋼材に作用する張力を吸収できるようにすることもできる。線状部材にはPC鋼線、PC鋼より線、PCワイヤー等のPC鋼材、あるいはアラミド繊維などの新素材(FRP)からなる連続繊維補強材を用いることができ、また、これらの線状部材は必要に応じて複数挿通することもできる
【0016】
各スリットに弾性目地部材を充填することによりPC鋼材の露出部分の腐蝕などを防止することができる。この場合の弾性目地部材には合成ゴムや合成樹脂などを用いることができる。 また、スリット内に露出したPC鋼材の露出部分に鋼管や樹脂管などからなるさや管を挿通したり、単にグリース等を塗着してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、マクラギに当該マクラギのレール敷設部の外側若しくは内側に逸脱防止ガードが設けられているため、列車の走行中の被害を未然に防止することができる。
【0026】
また、逸脱防止ガードに複数のスリットを設けることにより、逸脱防止ガードの付設によるマクラギの剛性増大を抑制することができるため、バラスト道床やコンクリート路盤への変位・追従が可能になり、マクラギの敷設・整正が非常に容易になる等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1と図2は、ラダーマクラギ本体と逸脱防止ガードとからなる逸脱防止ガード付きマクラギを示し、図において、ラダーマクラギ本体1は、平行に伸びる2本の縦梁1a,1aと、当該縦梁1a,1aの端部間とその内側間にそれぞれ架け渡された2本の端梁1bと、複数の繋ぎ梁1c,1cとから形成されている。
【0028】
縦梁1aと端梁1bは鉄筋コンクリートから一体的に形成され、縦梁1aにレール敷設部1dが形成され、両端の端梁1bは列車荷重に対する両端の反力受けとして形成されている。
【0029】
また、繋ぎ梁1cは鋼管などの鋼材から形成され、縦梁1b,1bの長手方向に所定間隔おきに架け渡され、各繋ぎ梁1cの両端は縦梁1aのコンクリート内に一体的に定着されている。
【0030】
逸脱防止ガード2は、縦梁1a,1aのレール敷設部1dの外側(図1(a)参照)または内側(図1(b)参照)に鉄筋コンクリートによって縦梁1a,1aと一体に、かつ当該縦梁1a,1aの長手方向に連続して形成されている。
【0031】
逸脱防止ガード2には当該逸脱防止ガード2の長手方向と直交する複数のスリット2aが、逸脱防止ガード2の長手方向に所定間隔おきに形成され、各スリット2aに合成ゴム等などからなる弾性目地部材3がそれぞれ充填されている。
【0032】
なお、各スリット2aは、図示するように逸脱防止ガード2の上端部から中間部に渡って形成されていてもよく、あるいは逸脱防止ガード2の上端部から下端部に渡って逸脱防止ガード2を横断するように形成されていてもよい。
【0033】
また、各逸脱防止ガード2には、PC鋼材4がアンボンド方式により逸脱防止ガード2の長手方向に連続して挿通され、各PC鋼材4の両端部4a,4aは、例えば図2(b)に図示するように逸脱防止ガード2の端部に支圧板5と定着ナット6等によってそれぞれ定着されている。また、支圧板5の裏側に合成ゴム等のクッション部材7が介在されている。
【0034】
なお、この場合のPC鋼材4の端部4a、支圧板5、定着ナット6およびクッション部材7はコンクリート内に埋設されている。
【0035】
このような構成において、例えば図2(a)に図示するように縦梁1a,1aに当該縦梁1a,1aのレール敷設部1d,1dにそれぞれ敷設されたレール8,8の外側に逸脱防止ガード2,2がそれぞれ設けられているため、列車の走行中の列車被害を未然に防止することができる。
【0036】
また、逸脱防止ガード2には複数のスリット2aが設けられていることで、逸脱防止ガード2の付設による縦梁1a,1aの剛性増大を抑制することができるため、敷設時のバラストの突き固めによる軌きょうの整正が可能であり、バラスト道床9にも支障なく設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るマクラギの逸脱防止ガード付は、逸脱防止ガードの付設によるマクラギの剛性増大を抑制できるため、バラスト道床やコンクリート路盤への変位・追従が可能になり、マクラギの敷設を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】逸脱防止ガード付きマクラギの一例を示し、(a)は縦梁のレール敷設部の外側に逸脱防止ガードを有する逸脱防止ガード付きマクラギの端部斜視図、(b)は縦梁のレール敷設部の内側に逸脱防止ガードを有する逸脱防止ガード付きマクラギの端部斜視図である。
【図2】(a)は、レールが敷設された状態を示す逸脱防止ガード付きマクラギの一部斜視図、(b)PC鋼材端部の定着部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ラダーマクラギ本体
2 逸脱防止ガード
3 弾性目地部材
4 PC鋼材
5 支圧板
6 定着ナット
7 クッション部材(弾性部材)
8 レール
9 バラスト道床
図面
【図1】
0
【図2】
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