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明細書 :トンネル走行実験装置及びトンネル走行実験方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4758733号 (P4758733)
公開番号 特開2007-139444 (P2007-139444A)
登録日 平成23年6月10日(2011.6.10)
発行日 平成23年8月31日(2011.8.31)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
発明の名称または考案の名称 トンネル走行実験装置及びトンネル走行実験方法
国際特許分類 G01M   9/02        (2006.01)
FI G01M 9/02
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2005-330063 (P2005-330063)
出願日 平成17年11月15日(2005.11.15)
審査請求日 平成20年4月11日(2008.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】齋藤 実俊
【氏名】飯田 雅宣
【氏名】福田 傑
【氏名】高見 創
【氏名】佐久間 豊
個別代理人の代理人 【識別番号】100090033、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 博司
【識別番号】100093045、【弁理士】、【氏名又は名称】荒船 良男
審査官 【審査官】萩田 裕介
参考文献・文献 特開2001-165821(JP,A)
特許第2955178(JP,B2)
調査した分野 G01M 9/00 - 10/00
G01M 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
模擬トンネルと、この模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段と、前記発射手段から前記模擬トンネルの先まで延在する案内手段と、軸対称な回転体として形成され前記回転ロールの回転により前記発射手段から発射される基台と、3次元形状を有し前記基台により加速され前記案内手段に案内されて前記模擬トンネル内を通過する模擬車両と、を備え
前記模擬車両は前記基台と分離可能に形成されており、
前記基台を前記模擬トンネルの手前で前記模擬車両と分離して停止させる制動手段を備えることを特徴とするトンネル走行実験装置。
【請求項2】
模擬トンネルと、この模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段と、前記発射手段から前記模擬トンネルの先まで延在する案内手段と、軸対称な回転体として形成され前記回転ロールの回転により前記発射手段から発射される基台と、3次元形状を有し前記基台により加速され前記案内手段に案内されて前記模擬トンネル内を通過する模擬車両と、を備え
前記模擬車両は前記発射手段及び前記模擬トンネルの間に設置され、前記発射手段から発射された前記基台の衝突により前記模擬トンネル内を通過するものであることを特徴とするトンネル走行実験装置。
【請求項3】
模擬車両を発射して模擬トンネル内を通過させるトンネル走行実験方法であって、
前記模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段を使用し、軸対称な回転体として形成された基台を前記回転ロールの回転により発射して、前記基台により3次元形状を有する模擬車両を加速させて模擬トンネル内を通過させ
前記模擬車両として前記基台と分離可能に形成されたものを用い、
前記基台を前記模擬トンネルの手前で前記模擬車両と分離して停止させて前記模擬車両に前記模擬トンネル内を通過させることを特徴とするトンネル走行実験方法。
【請求項4】
模擬車両を発射して模擬トンネル内を通過させるトンネル走行実験方法であって、
前記模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段を使用し、軸対称な回転体として形成された基台を前記回転ロールの回転により発射して、前記基台により3次元形状を有する模擬車両を加速させて模擬トンネル内を通過させ
前記模擬車両を前記発射手段及び前記模擬トンネルの間に設置し、前記発射手段が発射した前記基台の衝突により前記模擬車両を加速させて前記模擬トンネル内を通過させることを特徴とするトンネル走行実験方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル走行実験装置及びトンネル走行実験方法に関し、特に、模擬車両を用いて鉄道車両がトンネル内を通過する際に発生する現象を実験的に検証するトンネル走行実験装置及びトンネル走行実験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、列車がトンネルに突入すると圧縮波及び膨張波が生じる。この圧縮波や膨張波がトンネル内を伝播して反対側の坑口に到達すると、この圧縮波あるいは膨張波前面の圧力勾配にほぼ比例したパルス状の圧力波(微気圧波)が坑口から外部に放射される。
【0003】
この微気圧波の放射は、破裂的な空気圧音(一次音)を招くだけでなく、坑口付近の家屋の窓ガラスや戸を急に動かして二次音を発生させる要因となるものであり、その抑制防止が重要となっている。具体的な微気圧波低減対策としては、列車先頭形状を長くすることや、トンネル入口にフードを設けるなどの手段が講じられているが、このような列車先頭の最適形状やトンネルフードの最適構造を定めるには、トンネル走行の模擬実験を行って微気圧波を実測することが極めて望ましい。
【0004】
また、近年は列車のさらなる高速化(時速300km以上)が進み、上述した微気圧波の他、従来は問題にならなかった、トンネル突入時及びトンネル退出時に当該トンネルと列車との相互作用により発生する低周波のトンネル突入波、退出波も、微気圧波と同様の問題をもたらす可能性が出てきている。これらの問題を解決するため、従来から実験室レベルで上述した諸現象を調べるトンネル走行実験が行われている。なお、トンネル突入波、退出波、微気圧波を総称して低周波音という。
【0005】
従来のトンネル走行実験装置としては、例えば、特許文献1に開示されるように、一対の回転ロールを直列に並べた3段構成の発射手段によって模擬車両を発射し、ピアノ線により模擬トンネル2に案内してトンネル内を通過させるトンネル走行実験装置が知られている。
【0006】
このようなトンネル走行実験装置によれば、模擬トンネル及び模擬車両の断面積比を実物と相似にすることにより、時間を圧縮した形で実物と相似なトンネル内圧縮波形が得られるため、微気圧波の現象を解析してこれらの低減対策の検討を行うことができる。

【特許文献1】特開2001-165821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のトンネル走行実験装置では、模擬車両の発射手段を一対の回転ロールにより構成していることから、模擬車両を軸対象(回転体)形状とする必要があった。
【0008】
一方、車両では、車両近傍における空気の流れ、例えば、車両が近づいたときのトンネル内の列車風や、トンネル内に車両が突入した瞬間の坑口付近の圧力波には、車両の三次元形状の影響が顕著に表れる。したがって、軸対称な形状を有する模擬車両による実験を行うのみでは、列車近傍の空力現象を的確に把握することが困難であった。
【0009】
また、車両は、空力ブレーキなどの突起がある場合や、中間車両が2階建てである場合もあり、軸対称な回転体としての模擬車両を用いた実験では、微気圧波などの現象を的確に把握することが困難な場合があった。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、一対の回転ロールを発射手段として備えたトンネル走行実験装置において、軸対称な回転体以外の三次元形状を有する車両に関するトンネル走行の模擬実験を正確に行うことを可能とするトンネル走行実験装置及びトンネル走行実験方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、トンネル走行実験装置であって、模擬トンネルと、この模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段と、前記発射手段から前記模擬トンネルの先まで延在する案内手段と、軸対称な回転体として形成され前記回転ロールの回転により前記発射手段から発射される基台と、3次元形状を有し前記基台により加速され前記案内手段に案内されて前記模擬トンネル内を通過する模擬車両と、を備え
前記模擬車両は前記基台と分離可能に形成されており、
前記基台を前記模擬トンネルの手前で前記模擬車両と分離して停止させる制動手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明によれば、基台は軸対称な回転体であることから、基台を発射手段が備える一対の回転ロールから発射することが可能となる。そして、発射手段から発射された基台により模擬車両を加速させて模擬車両に模擬トンネルを通過させることから、模擬車両を一対の回転ロールから発射する必要はなく、模擬車両を任意の3次元形状とすることが可能となる。これにより、車両と同様の3次元形状とした模擬車両に模擬トンネルを通過させ、模擬トンネルに突入した時に発生する圧力波を検出することにより、車両がトンネルに突入した時の車両近傍における空力現象、例えば、車両が近づいたときのトンネル内の列車風や、トンネル内に車両が突入した瞬間の坑口付近の圧力波などを的確に把握することが可能となる。
また、模擬車両と分離可能に結合した基台を発射手段が備える一対の回転ロールから発射して、模擬車両及び基台を加速することができる。また、基台と分離して模擬車両のみに模擬トンネルを通過させることから、模擬車両を編成全体と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時や車両がトンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象を把握することが可能となる。
【0017】
請求項記載の発明は、ンネル走行実験装置であって、模擬トンネルと、この模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段と、前記発射手段から前記模擬トンネルの先まで延在する案内手段と、軸対称な回転体として形成され前記回転ロールの回転により前記発射手段から発射される基台と、3次元形状を有し前記基台により加速され前記案内手段に案内されて前記模擬トンネル内を通過する模擬車両と、を備え、前記模擬車両は前記発射手段及び前記模擬トンネルの間に設置され、前記発射手段から発射された前記基台の衝突により前記模擬トンネル内を通過するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項記載の発明によれば、基台は軸対称な回転体であることから、基台を発射手段が備える一対の回転ロールから発射することが可能となる。そして、発射手段から発射された基台により模擬車両を加速させて模擬車両に模擬トンネルを通過させることから、模擬車両を一対の回転ロールから発射する必要はなく、模擬車両を任意の3次元形状とすることが可能となる。これにより、車両と同様の3次元形状とした模擬車両に模擬トンネルを通過させ、模擬トンネルに突入した時に発生する圧力波を検出することにより、車両がトンネルに突入した時の車両近傍における空力現象、例えば、車両が近づいたときのトンネル内の列車風や、トンネル内に車両が突入した瞬間の坑口付近の圧力波などを的確に把握することが可能となる。
また、発射手段から発射した基台の衝突により模擬車両を加速させて模擬トンネルを通過させることができる。また、模擬車両を編成全体と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時や車両がトンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象を把握することが可能となる。更に、基台を模擬車両に衝突させる構成とすることにより、基台の断面積が模擬車両の断面積より大きくなるように構成する必要はなく、設計の自由度が高められる。
【0019】
請求項記載の発明は、模擬車両を発射して模擬トンネル内を通過させるトンネル走行実験方法であって、前記模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段を使用し、軸対称な回転体として形成された基台を前記回転ロールの回転により発射して、前記基台により3次元形状を有する模擬車両を加速させて模擬トンネル内を通過させ
前記模擬車両として前記基台と分離可能に形成されたものを用い、
前記基台を前記模擬トンネルの手前で前記模擬車両と分離して停止させて前記模擬車両に前記模擬トンネル内を通過させることを特徴とする。
【0020】
請求項記載の発明によれば、基台を発射手段が備える一対の回転ロールから発射することが可能となる。そして、発射手段から発射された基台により模擬車両を加速させて模擬車両に模擬トンネルを通過させることから、模擬車両を一対の回転ロールから発射する必要はなく、模擬車両を任意の3次元形状とすることが可能となる。これにより、車両と同様の3次元形状とした模擬車両に模擬トンネルを通過させ、模擬トンネルに突入した時に発生する圧力波を検出することにより、車両がトンネルに突入した時の車両近傍における空力現象、例えば、車両が近づいたときのトンネル内の列車風や、トンネル内に車両が突入した瞬間の坑口付近の圧力波などを的確に把握することが可能となる。
また、模擬車両と分離可能に結合した基台を発射手段が備える一対の回転ロールから発射して、模擬車両及び基台を加速することができる。また、基台と分離して模擬車両のみに模擬トンネルを通過させることから、模擬車両を編成全体と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時や車両がトンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象などを把握することが可能となる。
【0025】
請求項記載の発明は、模擬車両を発射して模擬トンネル内を通過させるトンネル走行実験方法であって、前記模擬トンネルの前方に設置され一対の回転ロールを備える発射手段を使用し、軸対称な回転体として形成された基台を前記回転ロールの回転により発射して、前記基台により3次元形状を有する模擬車両を加速させて模擬トンネル内を通過させ、前記模擬車両を前記発射手段及び前記模擬トンネルの間に設置し、前記発射手段が発射した前記基台の衝突により前記模擬車両を加速させて前記模擬トンネル内を通過させることを特徴とする。
【0026】
請求項記載の発明によれば、基台を発射手段が備える一対の回転ロールから発射することが可能となる。そして、発射手段から発射された基台により模擬車両を加速させて模擬車両に模擬トンネルを通過させることから、模擬車両を一対の回転ロールから発射する必要はなく、模擬車両を任意の3次元形状とすることが可能となる。これにより、車両と同様の3次元形状とした模擬車両に模擬トンネルを通過させ、模擬トンネルに突入した時に発生する圧力波を検出することにより、車両がトンネルに突入した時の車両近傍における空力現象、例えば、車両が近づいたときのトンネル内の列車風や、トンネル内に車両が突入した瞬間の坑口付近の圧力波などを的確に把握することが可能となる。
また、発射手段から発射した基台の衝突により模擬車両を加速させて模擬トンネルを通過させることができる。また、模擬車両を編成全体と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時や車両がトンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象などを把握することが可能となる。更に、基台を模擬車両に衝突させる構成とすることにより、基台の断面積が模擬車両の断面積より大きくなるように構成する必要はなく、設計の自由度が高められる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1及び請求項記載の発明によれば、模擬車両を任意の3次元形状とすることにより、求められる特有の物理条件におけるトンネル走行実験を行うことが可能となる。また、車両が模擬トンネルに突入した時や模擬トンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象を把握して、車両が地下駅を通過する際の圧力変動などを的確に把握することが可能となる。
【0030】
請求項及び請求項記載の発明によれば、模擬車両を任意の3次元形状とすることにより、求められる特有の物理条件におけるトンネル走行実験を行うことが可能となる。また、基台より模擬車両を大きく構成することも可能となり、トンネル走行実験装置の設計の自由度が高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[第1の実施形態]
以下、本実施形態の第1の実施形態に係るトンネル走行実験装置1について、図1を参照して説明する。
【0032】
図1に示すように、トンネル走行実験装置1は模擬トンネル2を備えている。模擬トンネル2としては、トンネル走行実験装置に用いられる公知の模擬トンネルを使用することができる。
【0033】
また、模擬トンネル2の前方には、発射手段3が設けられている。発射手段3は、図1に示すように、2つの回転ロール4を上下に配置した一対の回転ロール4を直列に並べた3段構成となっている。また、回転ロール4のそれぞれには回転手段としてのモータ(図示略)が直結されており、模擬トンネル2に遠い回転ロール4から近い回転ロール4に行くにつれて順次回転を速くすることができるようになっている。
【0034】
ここで、本実施形態の回転ロール4は直径が50~100cm程度の金属製の回転ロールであり、ロール面にはゴム材(図示略)が貼り付けてある。また、一対の回転ロール4のうち少なくとも一方の回転ロール4は前記モータと共に上下に移動可能となっており、基台7の径に合わせて、一対の回転ロール4の間隔を調節できる構成となっている。
【0035】
また、トンネル走行実験装置1には、発射手段3が備える一対の回転ロール4の間及び模擬トンネル2の内部を通過する案内手段5が設けられている。本実施形態の案内手段5はピアノ線によって構成され、発射手段3から模擬トンネル2まで緊張装置(図示略)により張力を与えられた状態に保持されている。
【0036】
また、案内手段5には、模擬車両6及びこの模擬車両6と一体に形成された基台7が設置されるようになっている。
【0037】
模擬車両6は、車両の先頭部分の形状と同様の3次元形状として形成されている。ここで、3次元形状とは、例えば新幹線などの流線型の先頭形状や、空力ブレーキなどの突起がある車両の形状や、2階建て車両の形状をいう。また、模擬車両6は基台7より断面積の径が小さくなるように形成されている。また、模擬車両6の中心部分には案内手段5を挿通するための挿通孔(図示略)が形成されている。
【0038】
基台7は、軸対称な回転体であり、模擬車両6と一体に形成されている。これにより、模擬車両6及び基台7を発射手段3の挿入口(図示略)から挿入して、基台7を一対の回転ロール4から発射することにより、模擬車両6及び基台7を加速させることが可能となっている。また、基台7の中心部分には、案内手段5を挿通するための挿通孔(図示略)が模擬車両6の挿通孔に連接するように形成されている。
【0039】
また、案内手段5の延長上であって模擬トンネル2を挟んで発射手段3の反対側には、模擬車両6を停止させる制動手段8が設けられている。制動手段8としては、トンネル走行実験装置に用いられる公知の制動手段を使用することができる。
【0040】
また、模擬トンネル2には圧力センサ9が内蔵されている。更に、模擬トンネル2の入口付近には公知の速度センサ10が設けられており、模擬トンネル2の入口付近及び出口付近にはそれぞれマイクロフォン11(低周波振動検出手段)が設けられている。
【0041】
また、発射手段3とマイクロフォン11との間には、遮音シートによって構成された遮音手段12が設けられている。また、トンネル走行実験装置1が備える上記の各構成部分の周囲には、発射手段3及び模擬トンネル2をほぼ覆うようにして、吸音材によって構成された吸音手段13が設けられている。
【0042】
以上のような構成により、トンネル走行実験装置1では、発射手段3が備える一対の回転ロール4から基台7を発射することにより模擬車両6に模擬トンネル2を通過させる。そして、圧力センサ9で模擬車両6が模擬トンネル2に突入した時に発生する微気圧波現象などの圧力波を測定し、マイクロフォン11で模擬トンネル2の入口で発生する突入波・退出波や模擬トンネル2の出口で発生する微気圧波などを測定すると共に、速度センサ10で模擬車両6の速度を測定するようになっている。
【0043】
次に、本実施形態に係るトンネル走行実験装置1を用いた本発明のトンネル走行実験方法について説明する。
【0044】
まず、模擬車両6及び基台7に形成された挿通孔(図示略)に案内手段5を挿通し、基台7を発射手段3が備える一対の回転ロール4から発射する。この際、基台7の径に合わせて一対の回転ロール4の間隔を調節する。
【0045】
次に、一対の回転ロール4を模擬トンネル2より遠い方から近い方に順次加速すると、模擬車両6及び基台7は発射手段3により発射され、模擬車両6は模擬トンネル2に突入する。
【0046】
模擬車両6が模擬トンネル2に突入すると、速度センサ10は模擬トンネル2の入口付近で模擬車両6の速度を測定し、マイクロフォン11は模擬トンネル2の入口で発生する突入波・退出波を測定する。また、圧力センサ9は模擬トンネル2内で発生する圧縮波や膨張波を測定する。さらに、マイクロフォン11は模擬トンネル2の出口で発生する微気圧波などを測定する。
【0047】
続いて、制動手段8は模擬トンネル2を通過した模擬車両6を停止させる。
【0048】
以上より本実施形態のトンネル走行実験装置1及びトンネル走行実験方法によれば、基台7は軸対称な回転体であることから、基台7を発射手段3が備える一対の回転ロール4から発射することが可能となる。そして、発射手段3から発射された基台7により模擬車両6を加速させて模擬車両6に模擬トンネル2を通過させることから、模擬車両6を一対の回転ロール4から発射する必要はなく、模擬車両6を任意の3次元形状とすることが可能となる。これにより、車両と同様の3次元形状とした模擬車両6に模擬トンネル2を通過させ、模擬トンネル2に突入した時に発生する微気圧波現象などの圧力波を検出することにより、車両がトンネルに突入した時の車両近傍における空力現象、例えば、車両が近づいたときのトンネル内の列車風や、トンネル内に車両が突入した瞬間の坑口付近の圧力波などを的確に把握することが可能となる。
【0049】
また、模擬車両6を車両の先頭部分と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時の車両近傍における低周波音の現象などを把握することが可能となる。
【0050】
なお、トンネル走行実験装置1の構成は本実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形可能である。例えば、マイクロフォン11の個数を増やして、微気圧波や突入波の立体的な広がりをさらに精度よく把握することもできる。また、模擬トンネル2の途中で、断面形状を変えたり分岐部を設けたり、あるいは器材孔を設けたりすることで、これらが車両のトンネル通過時の諸現象に与える影響を測定・検討することも可能である。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、本実施形態の第2の実施形態に係るトンネル走行実験装置1について、図2~図4を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態の模擬車両6は車両全体の形状と同様の3次元形状として形成されており、模擬車両6の後端面には凸部14が形成されている。
【0053】
また、基台7の前端面には、凸部14と嵌合するように凹部15が形成されており、凸部14及び凹部15が嵌合することにより、模擬車両6と基台7とは容易に分離できるように結合されている。なお、凸部14及び凹部15の形状はこれに限らず、嵌合により模擬車両6及び基台7を容易に分離できるように結合できれば、その他の形状にすることも可能である。このような構成により、基台7を発射手段3が備える一対の回転ロール4から発射して、模擬車両6を加速させることが可能となっている。
【0054】
また、本実施形態では、図2に示すように、発射手段3と模擬トンネル2との間に制動手段16が設けられている。制動手段16には、模擬車両6の断面積より径が大きく、かつ基台7の断面積より径が小さい車両通過孔17が形成されており、模擬トンネル2の手前で基台7を模擬車両6と分離して停止させるようになっている。これにより、図4に示すように、模擬車両6のみが模擬トンネル2に突入するようになっている。
【0055】
次に、本実施形態に係るトンネル走行実験装置1を用いた本発明のトンネル走行実験方法について説明する。
【0056】
まず、基台7の凹部15に模擬車両6の凸部14を嵌合することにより、模擬車両6及び基台7を結合する。
【0057】
続いて、模擬車両6を結合した基台7を発射手段3が備える一対の回転ロール4から発射すると、模擬車両6及び基台7は加速される。
【0058】
続いて、模擬車両6及び基台7が案内手段5によって制動手段16まで案内されると、図3に示すように、制動手段16が模擬トンネル2の手前で基台7を模擬車両6と分離して停止させる。これにより、図4に示すように、模擬車両6のみが模擬トンネル2に突入する。
【0059】
以上より本実施形態のトンネル走行実験装置1及びトンネル走行実験方法によれば、模擬車両6と分離可能に結合した基台7を一対の回転ロール4から発射して、模擬車両6及び基台7を加速させることができる。また、基台7と分離して模擬車両6のみに模擬トンネル2を通過させることから、模擬車両6を編成全体と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時や車両がトンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象などを把握することが可能となる。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、本実施形態の第3の実施形態に係るトンネル走行実験装置1について、図5~図7を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
模擬車両6は、第2の実施形態と同様に、編成全体の形状と同様の3次元形状として形成されている。また、本実施形態の模擬車両6は、図5に示すように、発射手段3及び模擬トンネル2の間の案内手段5に設置されるようになっている。
【0062】
また、基台7の前端面は、模擬車両6の後端面に衝突することにより模擬車両6を加速させることが可能な構成とされている。例えば、基台7の前端面をゴムなどによって覆うことが可能である。なお、図5~図7では模擬車両6より基台7の断面積の直径が大きいものとして記載しているが、本実施形態では基台7より模擬車両6の断面積の直径が大きいものとして構成することも可能である。
【0063】
また、基台7の後端面には、制動手段として図示しない紐が取り付けてあり、模擬トンネル2の手前で基台7を停止させるようになっている。これにより、模擬車両6のみが模擬トンネル2を通過するようになっている。
【0064】
また、案内手段5は、発射手段3から発射された基台7を模擬車両6まで案内すると共に、基台7の衝突により加速された模擬車両6を模擬トンネル2まで案内するようになっている。
【0065】
次に、本実施形態に係るトンネル走行実験装置1を用いた本発明のトンネル走行実験方法について説明する。
【0066】
まず、模擬車両6を発射手段3及び模擬トンネル2の間の案内手段5に設置する。
【0067】
また、基台7を発射手段3が備える一対の回転ロール4から発射する。
【0068】
続いて、案内手段5により基台7が模擬車両6まで案内されると、図6に示すように、基台7の前端面が模擬車両6の後端面に衝突することにより、図7に示すように、模擬車両6が模擬トンネル2の方向に加速して、模擬トンネル2に突入する。
【0069】
以上より本実施形態のトンネル走行実験装置1及びトンネル走行実験方法によれば、発射手段3から発射した基台7の衝突により模擬車両6を加速させて模擬トンネル2を通過させることができる。また、模擬車両6を車両全体と同様の3次元形状とすることにより、車両がトンネルに突入する時や車両がトンネル内を通過する時の車両近傍における空力現象などを把握することが可能となる。更に、基台7を模擬車両6に衝突させる構成とすることにより、基台7の断面積が模擬車両6の断面積より大きくなるように構成する必要はなく、設計の自由度が高められる。
【0070】
以上詳細に説明したように、本発明のトンネル走行実験装置及びトンネル走行実験方法によれば、一対の回転ロールを発射手段として備えたトンネル走行実験装置において、軸対称な回転体以外の三次元形状を有する車両に関するトンネル走行の模擬実験を正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の実施形態に係るトンネル走行実験装置の構成を説明する概略図である。
【図2】第2の実施形態に係る模擬車両及び発射手段を示す側面図である。
【図3】第2の実施形態に係る制動手段の機能を説明する側面図である。
【図4】第2の実施形態に係る制動手段の機能を説明する他の側面図である。
【図5】第3の実施形態に係る模擬車両及び発射手段を示す側面図である。
【図6】第3の実施形態に係る車両部分に衝突部が衝突する様子を示す側面図である。
【図7】第3の実施形態に係る車両部分が衝突により加速する様子を示す側面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 トンネル走行実験装置
2 模擬トンネル
3 発射手段
4 回転ロール
5 案内手段
6 模擬車両
7 基台
8 制動手段
9 圧力センサ
10 速度センサ
11 マイクロフォン
12 遮音手段
13 吸音手段
14 凸部
15 凹部
16 制動手段
17 車両通過孔
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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