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明細書 :鉄道車両の騒音低減装置とその騒音低減方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4627259号 (P4627259)
公開番号 特開2007-168508 (P2007-168508A)
登録日 平成22年11月19日(2010.11.19)
発行日 平成23年2月9日(2011.2.9)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両の騒音低減装置とその騒音低減方法
国際特許分類 B61D  49/00        (2006.01)
B61D  27/00        (2006.01)
G10K  11/178       (2006.01)
FI B61D 49/00 ZABA
B61D 27/00 J
B61D 27/00 V
G10K 11/16 H
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2005-365887 (P2005-365887)
出願日 平成17年12月20日(2005.12.20)
審査請求日 平成20年4月9日(2008.4.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】小方 幸恵
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】沼田 規好
参考文献・文献 特開2002-127899(JP,A)
特開平10-119774(JP,A)
特開平04-123922(JP,A)
特開平11-020688(JP,A)
調査した分野 B61D 49/00
B61D 27/00
G10K 11/178
特許請求の範囲 【請求項1】
吸気口及び排気口を有する鉄道車両が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減装置であって、
前記吸気口及び前記排気口をそれぞれ開閉する開閉部と、
前記開閉部を開閉動作させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させ、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両の騒音低減装置において、
前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線側の騒音よりも進行方向右側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にし、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線側の騒音よりも進行方向左側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にすること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減装置。
【請求項3】
吸排気口を有する鉄道車両が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減装置であって、
一方の前記吸排気口と他方の前記吸排気口との間を流れる空気の風向を切り替える風向切替部と、
前記風向切替部の切替動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出するように、前記風向切替部の切替動作を制御すること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減装置。
【請求項4】
請求項に記載の鉄道車両の騒音低減装置において、
前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線側の騒音よりも進行方向右側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線側の騒音よりも進行方向左側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出するように、空気を取り入れる側と空気を排出する側とが逆になるように、前記風向切替部の切替動作を逆にすること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減装置。
【請求項5】
吸排気口を有する鉄道車両が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減装置であって、
前記吸排気口を開閉する開閉部と、
前記開閉部を開閉動作させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行するときには、進行方向右側の前記給排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させ、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記給排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減装置。
【請求項6】
請求項5に記載の鉄道車両の騒音低減装置において、
前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線側の騒音よりも進行方向右側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記給排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にし、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線側の騒音よりも進行方向左側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の吸排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にすること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減装置。
【請求項7】
吸気口及び排気口を有する鉄道車両が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減方法であって、
前記鉄道車両が複線を左側通行するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出すること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減方法。
【請求項8】
請求項に記載の鉄道車両の騒音低減方法において、
前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線側の騒音よりも進行方向右側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線側の騒音よりも進行方向左側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように、空気を取り入れる側と空気を排出する側とを逆にすること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減方法。
【請求項9】
吸排気口を有する鉄道車両が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減方法であって、
前記鉄道車両が複線を左側通行するときには、進行方向右側から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出すること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減方法。
【請求項10】
請求項に記載の鉄道車両の騒音低減方法において、
前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線側の騒音よりも進行方向右側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線側の騒音よりも進行方向左側の沿線側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出するように、空気を取り入れる側と空気を排出する側とを逆にすること、
を特徴とする鉄道車両の騒音低減方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、吸気口及び排気口などを有する移動体が発生する騒音を低減する移動体の騒音低減装置とその騒音低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両用空調換気装置は、車外の空気を吸気する吸気装置と、車内の空気を排出する排気装置と、吸気装置から吸気された車外の空気と排出装置から排出される車内の空気とを熱交換させる熱交換器とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の鉄道車両用空調換気装置では、吸気装置から取り入れた車外の空気と室内の空気とを混合して冷却し、冷却後の空気を車内に送風している。
【0003】

【特許文献1】特開2004-106709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9は、従来の移動体の給気口及び排気口を概略的に示す構成図である。
鉄道車両では、一般に、空調機器用及び電動機冷却用の吸気口及び排気口が車両の進行方向左右側に多数配置されており、これらの吸気口及び排気口にはルーバが装着されている。図9(A)に示すように、例えば、東北新幹線のように左側通行の車両102が下り線(東京方面から仙台方面)101Aを走行する場合には、進行方向左側(一般に山側)の吸気口104Aから空気を吸気して、進行方向右側(一般に海側)の排気口104Bからこの空気を排出している。一方、図9(B)に示すように、車両102が上り線(仙台方面から東京方面)101Bを走行する場合にも、進行方向右側(一般に山側)の吸気口104Aから空気を吸気して、進行方向左側(一般に海側)の排気口104Bからこの空気を排出している。このように従来の鉄道車両では、通常、下り線101Aを走行する場合と上り線101Bを走行する場合に空気の出入口を変更しておらず、常に一方の側(例えば山側)から空気を吸気し他方の側(例えば海側)からこの空気を排出している。
【0005】
新幹線(登録商標)のような高速車両では、車両102の表面の凹凸部から大きなパワーの空力音が発生することが知られている。このため、図9に示すような従来の鉄道車両では、吸気口104A及び排気口104Bに装着されたルーバからも空力音が発生する。特に、車両102が下り線101Aを走行している場合には、この下り線101Aから近い側の沿線W1(山側)にある吸気口104Aから発生する空力音が問題となり、車両102が上り線101Bを走行している場合には、この上り線101Bから近い側の沿線W2(海側)にある排気口104Bから発生する空力音が問題となる。
【0006】
この発明の課題は、簡単な構造によって鉄道車両が移動するときに発生する騒音を低減することができる鉄道車両の騒音低減装置とその騒音低減方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1に示すように、吸気口(3A,3B)及び排気口(4A,4B)を有する鉄道車両(2)が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減装置であって、前記吸気口及び前記排気口をそれぞれ開閉する開閉部(6)と、前記開閉部を開閉動作させる制御部(7)とを備え、前記制御部は、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させ、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させることを特徴とする鉄道車両の騒音低減装置(5)である。
【0008】
請求項2の発明は、図3に示すように、請求項1に記載の鉄道車両の騒音低減装置において、前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線(W1)側の騒音よりも進行方向右側の沿線(W2)側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にし、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線(W2)側の騒音よりも進行方向左側の沿線(W1)側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にすることを特徴とする鉄道車両の騒音低減装置である。
【0009】
請求項3の発明は、図4及び図7に示すように、吸排気口(11A,11B;11A~11D)を有する鉄道車両(2)が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減装置であって、一方の前記吸排気口と他方の前記吸排気口との間を流れる空気の風向を切り替える風向切替部(12)と、前記風向切替部の切替動作を制御する制御部(7)とを備え、前記制御部は、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出するように、前記風向切替部の切替動作を制御することを特徴とする鉄道車両の騒音低減装置(5)である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項に記載の鉄道車両の騒音低減装置において、図8に示すように、前記制御部は、前記鉄道車両が複線を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線(W1)側の騒音よりも進行方向右側の沿線(W2)側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線(W2)側の騒音よりも進行方向左側の沿線(W1)側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出するように、空気を取り入れる側と空気を排出する側とが逆になるように、前記風向切替部の切替動作を逆にすることを特徴とする鉄道車両の騒音低減装置である。
【0011】
請求項5の発明は、図5に示すように、吸排気口(11A~11D)を有する鉄道車両(2)が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減装置であって、前記吸排気口を開閉する開閉部(6)と、前記開閉部を開閉動作させる制御部(7)とを備え、前記制御部は、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行するときには、進行方向右側の前記給排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させ、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記給排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出するように前記開閉部を開閉動作させることを特徴とする鉄道車両の騒音低減装置(5)である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の鉄道車両の騒音低減装置において、図6に示すように、前記制御部は、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線(W1)側の騒音よりも進行方向右側の沿線(W2)側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記給排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にし、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線(W2)側の騒音よりも進行方向左側の沿線(W1)側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の吸排気口から排出するように前記開閉部の開閉動作を逆にすることを特徴とする鉄道車両の騒音低減装置である。
【0013】
請求項7の発明は、図1に示すように、吸気口(3A,3B)及び排気口(4A,4B)を有する鉄道車両(2)が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減方法であって、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出することを特徴とする鉄道車両の騒音低減方法である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項に記載の鉄道車両の騒音低減方法において、図3に示すように、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線側(W1)の騒音よりも進行方向右側の沿線(W2)側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線(W2)側の騒音よりも進行方向左側の沿線(W1)側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸気口から取り入れた空気を同じ側の前記排気口から排出するように、空気を取り入れる側と空気を排出する側とを逆にすることを特徴とする鉄道車両の騒音低減方法である。
【0015】
請求項9の発明は、図4、図5及び図7に示すように、吸排気口(11A,11B;11A~11D)を有する鉄道車両(2)が発生する騒音を低減する鉄道車両の騒音低減方法であって、前記鉄道車両が複線を左側通行(1A,1B)するときには、進行方向右側から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行するときには、進行方向左側から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出することを特徴とする鉄道車両の騒音低減方法である。
【0016】
請求項10の発明は、請求項に記載の鉄道車両の騒音低減方法において、図6及び図8に示すように、前記鉄道車両が複線(1A,1B)を左側通行しているときに、進行方向左側の沿線(W1)側の騒音よりも進行方向右側の沿線(W2)側の騒音を低減するときには、進行方向左側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向右側の前記吸排気口から排出し、前記鉄道車両が複線を右側通行しているときに、進行方向右側の沿線(W2)側の騒音よりも進行方向左側の沿線(W1)側の騒音を低減するときには、進行方向右側の前記吸排気口から取り入れた空気を進行方向左側の前記吸排気口から排出するように、空気を取り入れる側と空気を排出する側とを逆にすることを特徴とする鉄道車両の騒音低減方法である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、簡単な構造によって鉄道車両が移動するときに発生する騒音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る移動体の騒音低減装置を概略的に示す構成図であり、図1(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図1(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
図1に示す沿線W1,W2は、軌道1に沿って存在する土地(領域)であり、軌道1を挟み二つに分かれて存在する。沿線W1は、下り線1Aの中心線から近い側(上り線1Bの中心線から遠い側)の土地であり、例えば東北新幹線の場合には下り線1Aを東京方面から仙台方面に向かう車両2の進行方向左側(山側)の土地である。沿線W2は、上り線1Bの中心線から近い側(下り線1Aの中心線から遠い側)の土地であり、例えば東北新幹線の場合には上り線1Bを仙台方面から東京方面に向かう車両2の進行方向左側(海側)の土地である。
【0021】
軌道1は、車両2が走行する通路(線路)であり、車両2の車輪を案内する一対のレール1aなどから構成されている。軌道1は、図1に示すように、二本の本線で構成された複線であり、下り線1Aと上り線1Bとから構成されている。下り線1Aは、例えば、東北新幹線の場合には東京方面から仙台方面に向かう車両2が走行する線路であり、上り線1Bは例えば東北新幹線の場合には仙台方面から東京方面に向かう車両2が走行する線路である。
【0022】
車両2は、軌道1に沿って走行する移動体である。車両2は、電車、電気機関車、気動車などであり、例えば高速で走行する新幹線(登録商標)などの鉄道車両である。車体2aは、乗客を積載し輸送するための構造物である。車両表面2bは、車体2aの主構造(構体)の一部を構成する側板、妻板、屋根板、床板などの外板である。
【0023】
吸気口3A,3Bは、外部から空気を取り入れる部分であり、車両2の空調機器用や電動機冷却用の空気を供給するための空気取入口である。吸気口3A,3Bは、図1に示すように、例えば、車両2の左右にそれぞれ1個ずつ配置されており、図1(A)に示すように下り線1Aを走行する車両2から見たときに、吸気口3Aは進行方向右側の仙台方面寄りに配置されており、吸気口3Bは進行方向左側の東京寄りに配置されている。
【0024】
排気口4A,4Bは、内部から空気を排出する部分であり、車両2の空調機器用や電動機冷却用の空気を排出するための空気排出口である。排気口4A,4Bは、図1に示すように、例えば、車両2の左右にそれぞれ1個ずつ配置されており、図1(A)に示すように下り線1Aを走行する車両2から見たときに、排気口4Aは進行方向左側の仙台方面寄りに配置されており、排気口4Bは進行方向右側の東京方面寄りに配置されている。
【0025】
騒音低減装置5は、吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bを有する車両2が発生する騒音を低減する装置である。騒音低減装置5は、吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bを開閉することによって沿線W1,W2の騒音を低減する。騒音低減装置5は、例えば、吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bを開閉することによって、車両2が走行するときに吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bから発生する空力音などの騒音を低減したり、車両2が走行又は停止しているときに吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bから発生する送風機音や吸排気音などの騒音を低減したりする。騒音低減装置5は、図1に示すように、開閉部6と制御部7などを備えている。
【0026】
図2は、この発明の第1実施形態に係る移動体の騒音低減装置の開閉部を概略的に示す構成図であり、図2(A)は開閉部が開放動作した状態を示し、図2(B)は開閉部が閉鎖動作した状態を示す。
図1に示す開閉部6は、吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bを開閉する装置であり、吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bにそれぞれ設置されている。開閉部6は、いずれも同一構造であり、以下では図2に示す吸気口3Aに配置された開閉部6について説明する。開閉部6は、図2に示すように、ルーバ6aと、回転軸6bと、リンク部材6c,6dと、駆動部6eなどを備えている。
【0027】
ルーバ6aは、風向を調整する部材であり、吸気口3Aの開口部を覆うように配置されている。ルーバ6aは、多数の薄い羽根板を平行又は格子状に配列して形成されており、これらの羽根板を同時に所定の角度だけ回転することによって風向を調整する。ルーバ6aは、図2(A)に示すように、吸気口3Aを開放するときには、所定の角度だけ傾斜してこれらの開口部を開く。一方、ルーバ6aは、図2(B)に示すように、吸気口3Aを閉鎖するときには、この吸気口3Aから発生する騒音が低減するように、車両表面2bとほぼ同一面(同一高さ)になるように一直線上に並びこれらの開口部を閉じる。
【0028】
回転軸6bは、ルーバ6aを回転自在に支持する部材であり、回転軸6bの両端部は吸気口3Aの内周部に取り付けられている。リンク部材6cは、ルーバ6aに回転自在に連結された部材であり、長さ方向に移動することによって多数の羽根板を同時に回転させてルーバ6aの向きを可変する。リンク部材6dは、回転することによってリンク部材6cを軸方向に移動させる部材である。リンク部材6dは、一方の端部がリンク部材6cに回転自在に連結され、他方の端部が駆動部6eのピストンロッド6fに回転自在に連結されており、中間部が吸気口3Aの内周部に回転自在に支持されたてこ機構である。駆動部6eは、ルーバ6aを開閉動作させるための駆動力を発生する装置であり、進退自在に駆動するピストンロッド6fを有するエアシリンダや油圧シリンダなどのアクチュエータと、これらを動作させる空気圧回路や油圧回路などを備えている。駆動部6eは、図2(A)に示すように、ピストンロッド6fをA1方向に後退させてリンク部材6dをB1方向に回転させることによって、リンク部材6cをC1方向にスライドさせてルーバ6aをD1方向に回転させ吸気口3Aを開放する。一方、駆動部6eは、図2(B)に示すように、ピストンロッド6fをA2方向に前進させてリンク部材6dをB3方向に回転させることによって、リンク部材6cをC2方向にスライドさせてルーバ6aをD2方向に回転させ吸気口3Aを閉鎖する。
【0029】
図1に示す制御部7は、開閉部6を開閉動作させる部分である。制御部7は、車両2の左右いずれか一方の側が他方の側に比べて騒音対策が重要視されているときに、騒音対策が重要視されている一方の側の開閉部6を閉鎖動作させ、他方の側の開閉部6を開放動作させる。制御部7は、例えば、図1(A)に示すように、車両2が下り線1Aを走行するときには、進行方向右側の吸気口3Aから取り入れた空気を同じ側の排気口4Bから排出するように、開閉部6を開閉動作させる。一方、制御部7は、例えば、図1(B)に示すように、車両2が上り線1Bを走行するときには、進行方向右側の吸気口3Bから取り入れた空気を同じ側の排気口4Aから排出するように、開閉部6を開閉動作させる。制御部7は、開閉部6を開放動作させるときには開放動作信号を駆動部6eの空気圧回路や油圧回路の開閉弁などに出力し、開閉部6を閉鎖動作させるときには閉鎖動作信号を駆動部6eの空気圧回路や油圧回路の開閉弁などに出力する。
【0030】
次に、この発明の第1実施形態に係る移動体の騒音低減方法を説明する。
図1(A)に示すように、下り線1Aを車両2が走行するときには、吸気口3A及び排気口4Bが開放し吸気口3B及び排気口4Aが閉鎖して、吸気口3Aから取り入れられた空気が排気口4Bから排出する。一般に、下り線1Aを車両2が走行するときには、この下り線1Aに近い沿線W1側がこの下り線1Aから遠い沿線W2側よりも騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視される。このため、図2(B)に示すように、沿線W1側の吸気口3B及び排気口4Aを開閉部6が閉鎖すると、車両表面2bとルーバ6aとがほぼ同一面となり、これらの吸気口3B及び排気口4Aから発生する騒音が低減して沿線W1側の騒音が低減する。一方、図2(A)に示すように、吸気口3A及び排気口4Bを開閉部6が開放すると、これらの吸気口3A及び排気口4Bから騒音が発生するが、沿線W1よりも沿線W2が下り線1Aから離れており沿線W2側に与える騒音による影響は少ない。
【0031】
次に、図1(B)に示すように、下り線1Aを走行していた車両2が終着駅で折り返して上り線1Bを走行するときには、吸気口3A及び排気口4Bが閉鎖し吸気口3B及び排気口4Aが開放して、吸気口3Bから取り入れられた空気が排気口4Aから排出する。一般に、上り線1Bを車両2が走行するときには、この上り線1Bに近い沿線W2側がこの上り線1Bから遠い沿線W1側よりも騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視される。このため、図2(B)に示すように、沿線W2側の吸気口3A及び排気口4Bを開閉部6が閉鎖すると、車両表面2bとルーバ6aとがほぼ同一面となり、吸気口3B及び排気口4Aから発生する騒音が低減して沿線W2側の騒音が低減する。一方、図2(A)に示すように、吸気口3B及び排気口4Aを開閉部6が開放するため、吸気口3B及び排気口4Aから騒音が発生するが、沿線W2よりも沿線W1が上り線1Bから離れており沿線W1側に与える騒音による影響は少ない。
【0032】
この発明の第1実施形態に係る移動体の騒音低減装置とその騒音低減方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bを開閉部6がそれぞれ開閉し、車両2の左右いずれか一方の側が他方の側に比べて騒音対策が重要視されているときに、騒音対策が重要視されている一方の側の開閉部6を制御部7が閉鎖動作させ、他方の側の開閉部6を制御部7が開放動作させる。その結果、図9に示すような従来の車両102のように左右いずれの側からも発生した騒音のうち、騒音対策が重要視されている側から発生する騒音を低減することができるため、沿線騒音を低減することができる。
【0033】
(2) この第1実施形態では、車両2が下り線1Aを左側通行するときには、進行方向右側の吸気口3Aから取り入れた空気を同じ側の排気口4Bから排出するように、開閉部6を制御部7が開閉動作させる。その結果、図1(A)に示すように、車両2の進行方向左側の吸気口3B及び排気口4Aが常に閉鎖され、車両2の進行方向右側の吸気口3A及び排気口4Bが常に開放される。このため、下り線1Aに近い沿線W1側の騒音を低減することができる。また、この第1実施形態では、車両2が上り線1Bを左側通行するときには、進行方向右側の吸気口3Bから取り入れた空気を同じ側の排気口4Aから排出するように開閉部6を制御部7が開閉動作させる。その結果、図1(B)に示すように、下り線1Aを車両2が走行する場合とは開閉動作が逆になり、車両2の進行方向左側の吸気口3A及び排気口4Bが常に閉鎖され、車両2の進行方向右側の吸気口3B及び排気口4Aが常に開放される。このため、上り線1Bに近い沿線W2側の騒音を低減することができる。
【0034】
(第2実施形態)
図3は、この発明の第2実施形態に係る移動体の騒音低減装置を概略的に示す構成図であり、図3(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図3(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。以下では、図1及び図2に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図3に示す騒音低減装置5は、開閉部6と、制御部7と、速度検出部8と、路線情報記憶部9と、現在位置検出部10などを備えている。制御部7は、車両2が通過する沿線W1,W2の騒音対策の優先度が一方の側と他方の側とで入れ替わったときには、開閉部6の開閉動作を逆にする。
【0035】
速度検出部8は、車両2の速度を検出する装置であり、車両2の車輪の回転数に応じて発生する距離パルス信号を速度情報として出力する速度発電機などである。路線情報記憶部9は、騒音低減装置5に関する種々の情報を記憶する装置であり、車両2が走行する全区間の沿線W1,W2の騒音対策の優先度に関する情報を路線情報として記憶するメモリ部などである。路線情報記憶部9は、例えば、図3(A)に示すように、下り線1Aに近い沿線W1側よりもこの下り線1Aから遠い沿線W2側のほうが騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視されているような区間を車両2が走行するときには、この区間の路線の位置及びこの区間の距離などを路線情報として記憶している。路線情報記憶部9は、沿線W1,W2の騒音対策の優先度が変更されたような場合には変更後の路線情報が書き込まれ記憶される。現在位置検出部10は、車両2の現在位置を検出する装置である。現在位置検出部10は、軌道1側の特定地点に設置された自動列車停止装置(ATS)のATS地上子との間で相互に情報を送受信するために車両2側に設置されたATS車上子と、このATS車上子からの信号を受信して現在位置情報(絶対位置情報)を制御部7に出力するATS受信機などを備えている。
【0036】
次に、この発明の第2実施形態に係る移動体の騒音低減方法を説明する。
例えば、沿線W1側には住居が少なく沿線W2側には住居が多い場合や、沿線W1,W2側にはいずれも防音壁などの防音構造物が存在するが沿線W2側にはこの防音構造物よりも高い位置に住居がある場合などがある。このような場合には、一般的な事情とは異なり、沿線W1側よりも沿線W2側のほうが特別な事情により騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視される。図3(A)に示すように、下り線1Aを車両2が走行すると、車両位置検出部10のATS車上子が出力する絶対位置情報に基づいて制御部7が車両2の絶対位置を検出する。そして、次のATS地上子に車両2が到達するまで速度検出部8が出力する距離パルス信号を制御部7が積算して車両2の現在位置を検出し、開閉部6の開閉動作を逆にする必要があるか否かを制御部7が判断する。開閉部6の開閉動作を逆にする必要があると制御部7が判断したときには、吸気口3A及び排気口4Bを開閉部6に閉鎖させ、吸気口3B及び排気口4Aを開閉部6に開放させると、沿線W2側の騒音が低減される。
【0037】
この発明の第2実施形態に係る移動体の騒音低減装置とその騒音低減方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、車両2が通過する沿線W1,W2の騒音対策の優先度が一方の側と他方の側とで入れ替わったときには、開閉部6の開閉動作を制御部7が逆にする。このため、通常の場合とは異なる特別な事情によって沿線W1,W2の騒音対策の優先度が逆になるようなときに、騒音対策の事情に応じて沿線騒音を低減することができる。
【0038】
(第3実施形態)
図4は、この発明の第3実施形態に係る移動体の騒音低減装置を概略的に示す構成図であり、図4(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図4(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
図4に示す騒音低減装置5は、吸排気口11A,11Bを有する車両2が発生する騒音を低減する装置であ。風向切替部12は、吸排気口11Aと吸排気口11Bとの間を流れる空気の風向を切り替える装置である。風向切替部12は、例えば、空調機器用や電動機冷却用に外部から空気を取り込み外部に排出するためのブロワ、圧縮機、ファンなどの送風機を備えている。風向切替部12は、空気を送り出す方向を逆転可能であり、吸排気口11Aから吸排気口11Bに向かって空気を送り出す送風動作と、吸排気口11Bから吸排気口11Aに向かって空気を送り出す送風動作とに切り替わる。制御部7は、車両2の左右いずれか一方の側が他方の側に比べて騒音対策が重要視されているときに、騒音対策が重要視されている一方の側の吸排気口11A又は吸排気口11Bから空気を排出し他方の側の吸排気口11A又は吸排気口11Bから空気を取り入れるように、風向切替部12の切替動作を制御する。制御部7は、例えば、図4(A)に示すように、車両2が下り線1Aを左側通行するときには、進行方向右側の吸排気口11Aから取り入れた空気を進行方向左側の吸排気口11Bから排出するように、風向切替部12の切替動作を制御する。一方、制御部7は、図4(B)に示すように、車両2が上り線1Bを左側通行するときには、進行方向右側の吸排気口11Bから取り入れた空気を進行方向左側の吸排気口11Aから排出するように、風向切替部12の切替動作を制御する。
【0039】
この第3実施形態に係る移動体の騒音低減装置とその騒音低減方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、図1~図3に示す合計4個の吸気口3A,3B及び排気口4A,4Bを図4に示す合計2個の吸排気口11A,11Bに削減することができるため、騒音低減装置5の構成が簡単になり低コスト化を図ることができる。また、この第3実施形態では、騒音対策が重要視されている側の吸排気口11Bから空気が排出するため、この吸排気口11Bの周辺の空気層が厚くなり、吸排気口11Bに気流が直接衝突するのが抑えられ、吸排気口11Bから発生する騒音を低減することができる。
【0040】
(第4実施形態)
図5は、この発明の第4実施形態に係る移動体の騒音低減装置の通常の場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、図5(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図5(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。図6は、この発明の第4実施形態に係る移動体の騒音低減装置の特別な場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、図6(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図6(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【0041】
図5及び図6に示す車両2は、吸排気口11A~11Dを左右に複数有する。騒音低減装置5は、開閉部6と、制御部7と、速度検出部8と、路線情報記憶部9と、現在位置検出部10などを備えており、開閉部6は吸排気口11A~11Dをそれぞれ開閉する。制御部7は、車両2の左右いずれか一方の側が他方の側に比べて騒音対策が重要視されているときに、騒音対策が重要視されている一方の側から空気が排出され他方の側から空気が取り入れられるように開閉部6を開閉動作させる。制御部7は、例えば、図5(A)に示すように、車両2が下り線1Aを左側通行するときには、一般的に沿線W2側よりも沿線W1側のほうが騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視されているため、吸排気口11A,11Bを開放し、吸排気口11C,11Dを閉鎖して沿線W2側の騒音を低減する。一方、車両2が通過する沿線W1,W2の騒音対策の優先度が一方の側と他方の側とで入れ替わったときには、吸排気口11A~11Dの空気を取り入れる側と空気を排出する側とを逆にする必要がある。制御部7は、図6(A)に示すように、車両2が下り線1Aを左側通行する場合であって、沿線W1側よりも沿線W2側のほうが特別な事情により騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視されているときには、吸排気口11C,11Dを開放し、吸排気口11A,11Bを閉鎖して沿線W2側の騒音を低減する。この発明の第4実施形態には、第1実施形態から第3実施形態までの効果と同様の効果がある。
【0042】
(第5実施形態)
図7は、この発明の第5実施形態に係る移動体の騒音低減装置の通常の場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、図7(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図7(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。図8は、この発明の第5実施形態に係る移動体の騒音低減装置の特別な場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、図8(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、図8(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【0043】
制御部7は、例えば、図7(A)に示すように、車両2が下り線1Aを左側通行するときには、一般的に沿線W2側よりも沿線W1側のほうが騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視されているため、吸排気口11Aから吸排気口11Bに空気が送風されるように風向切替部12の切替動作を制御して沿線W2側の騒音を低減する。一方、制御部7は、図8(A)に示すように、車両2が下り線1Aを左側通行する場合であって、沿線W1側よりも沿線W2側のほうが特別な事情により騒音対策の優先度が高く騒音対策が重要視されているときには、吸排気口11Bから吸排気口11Aに空気が送風されるように風向切替部12の切替動作を制御して沿線W2側の騒音を低減する。この発明の第5実施形態には、第1実施形態から第4実施形態までの効果と同様の効果がある。
【0044】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、移動体として新幹線(登録商標)を例に挙げて説明したが、高速で走行する磁気浮上式鉄道や自動車などの移動体についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、東北新幹線を例に挙げて説明したが、東海道新幹線などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、吸気口3A,3B、排気口4A,4B及び吸排気口11A~11Dを車両2の側面に配置した場合を例に挙げて説明したが、このような配置場所を限定するものではない。例えば、車両2の中心軸に対して左右の妻面、床下、屋根上に吸気口3A,3Bなどを配置した場合についてもこの発明を適用することができる。
【0045】
(2) この実施形態では、軌道1が複線である場合を例に挙げて説明したが、軌道1が複々線である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、車両2が左側通行である場合を例に挙げて説明したが、右側通行である場合についてもこの発明を適用することができる。例えば、図1に示す車両2が複線を右側通行するときには、進行方向左側の吸気口3Bから取り入れた空気を同じ側の排気口4Aから排出するように、開閉部6を制御部7が制御することができる。同様に、図4及び図5に示す車両2が複線を右側通行するときには、進行方向左側の吸排気口11Cから取り入れた空気を進行方向右側の吸排気口11Dから排出させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の第1実施形態に係る移動体の騒音低減装置を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図2】この発明の第1実施形態に係る移動体の騒音低減装置の開閉部を概略的に示す構成図であり、(A)は開閉部が開放動作した状態を示し、(B)は開閉部が閉鎖動作した状態を示す。
【図3】この発明の第2実施形態に係る移動体の騒音低減装置を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図4】この発明の第3実施形態に係る移動体の騒音低減装置を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図5】この発明の第4実施形態に係る移動体の騒音低減装置の通常の場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図6】この発明の第4実施形態に係る移動体の騒音低減装置の特別な場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図7】この発明の第5実施形態に係る移動体の騒音低減装置の通常の場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図8】この発明の第5実施形態に係る移動体の騒音低減装置の特別な場合の動作状況を概略的に示す構成図であり、(A)は下り線を車両が走行している状態を示し、(B)は上り線を車両が走行している状態を示す。
【図9】従来の移動体の給気口及び排気口を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1 軌道
1A 下り線
1B 上り線
1a レール
2 車両(移動体)
2a 車体
2b 車両表面
3A,3B 吸気口
4A,4B 排気口
5 騒音低減装置
6 開閉部
6a ルーバ
6b 回転軸
6c,6d リンク部材
6e 駆動部
6f ピストンロッド
7 制御部
8 速度検出部
9 路線情報記憶部
10 現在位置検出部
11A~11D 吸排気口
12 風向切替部
1,W2 沿線

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8