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明細書 :磁気作業物質回転型磁気冷凍機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4567609号 (P4567609)
公開番号 特開2007-187368 (P2007-187368A)
登録日 平成22年8月13日(2010.8.13)
発行日 平成22年10月20日(2010.10.20)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
発明の名称または考案の名称 磁気作業物質回転型磁気冷凍機
国際特許分類 F25B  21/00        (2006.01)
FI F25B 21/00 A
請求項の数または発明の数 9
全頁数 8
出願番号 特願2006-004607 (P2006-004607)
出願日 平成18年1月12日(2006.1.12)
審査請求日 平成20年4月3日(2008.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】宮崎 佳樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】田々井 正吾
参考文献・文献 特表2006-512556(JP,A)
特開2002-106999(JP,A)
特公平03-032710(JP,B2)
特開昭62-153662(JP,A)
特開2004-186519(JP,A)
特開平11-111720(JP,A)
特開昭63-113266(JP,A)
調査した分野 F25B 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)中心軸の同心円上であって、該中心軸から離間した位置に回転弾倉型に穴が設けられ、該穴に磁気作業物質が装着される回転弾倉型回転部と、
(b)該回転弾倉型回転部に隣接して該回転弾倉型回転部と対向するように前記中心軸方向に配置され、前記回転弾倉型回転部に設けられた前記穴と対向可能な穴が設けられる固定部と、
(c)該固定部の外側に隣接して前記中心軸方向に固定状態で配置され、前記固定部に形成される前記穴を介して前記回転弾倉型回転部の前記磁気作業物質に作用するように、前記磁気作業物質と対向可能に配置される磁場発生機構とを具備することを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項2】
請求項1記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記磁場発生機構は高温超電導バルク体で構成されることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項3】
請求項1記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記磁場発生機構は永久磁石と鉄ヨークで構成されることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項4】
請求項1記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記磁場発生機構は常電導又は超電導コイルで構成されることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項5】
請求項2記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記高温超電導バルク体は前記回転弾倉型回転部を挟んで両側に配置されることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項6】
請求項1又は5記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部には、4個の磁気作業物質が等間隔に装着されていることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項7】
請求項6記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部には、前記4個の磁気作業物質に対向可能に、等間隔に4個の円筒状の穴が形成され、該4個の円筒状の穴のうち隣り合わない2個の穴に前記高温超電導バルク体の磁気が作用することを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項8】
請求項7記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部に装着される前記磁気作業物質が前記高温超電導バルク体と対向する位置に配置されて励磁されることによって発した熱を、冷媒により排熱部で排熱し、前記回転弾倉型回転部に装着される前記磁気作業物質が前記高温超電導バルク体と対向しない位置に配置されて消磁された際に、前記磁気作業物質により前記冷媒から吸熱させ、該吸熱された冷媒を冷却ステージに送ることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
【請求項9】
請求項8記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部に装着される前記磁気作業物質と熱交換するための冷媒の冷媒流路が、前記回転弾倉型回転部とともに回転することで、冷媒の流れの方向を切り換え可能であることを特徴とする磁気作業物質回転型磁気冷凍機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気作業物質回転型磁気冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気冷却技術における冷凍機としては、従来、永久磁石往復駆動型磁気冷凍機が用いられていたが、最近では、その往復駆動方式に代わり、永久磁石を回転させることで磁界変化を生じさせる永久磁石回転駆動型磁気冷凍機が用いられるようになってきている(下記非特許文献1)。
【0003】
図5はかかる磁気冷凍システムの原理説明図である。
【0004】
磁気冷凍システムは、磁性体(以下、磁気冷凍で用いる磁性体を磁気作業物質という)に磁界をかけていくとそれ自体が発熱し、磁界を取り去ると温度が下がる現象(磁気熱量効果)を利用している。
【0005】
磁気作業物質が冷えるのは、外部の磁界により磁気作業物質中の磁化の向きが揃えられている状態から、磁界を弱くする(ゼロにする)と、磁化の向きがバラバラとなり磁気エントロピーが増加するためである。磁気冷凍は、この時、磁気作業物質が周りから熱を奪うことにより冷凍を行う。
【0006】
図6はかかる従来の永久磁石回転駆動型磁気冷凍機の構成図である。
【0007】
この図において、回転する永久磁石101の周りに、4組の磁気作業物質102~105を充填した容器を配置し、4組の磁気作業物質102~105に磁界変化を繰り返し与える構造となっている。

【非特許文献1】建築設備と配管工事 2003,9月,pp.42-46
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来の永久磁石回転駆動型磁気冷凍機は、永久磁石101を設け、それを回転させる機構と、その回転する永久磁石101の周辺に固定された磁気作業物質102~105を配置するために、寸法が大型になるとともに、磁気作業物質102~105への永久磁石101の応答に難があり、シャープな磁界変化ができなかった。
【0009】
また、従来のシステムは、流路切換のための切換バルブなどを装備し、流路を切換制御する必要があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、回転部の中心軸の同心円上であって中心軸から離間した位置に装着される磁気作業物質を、回転部の中心軸を中心として回転させ、対向する固定の超電導バルク体との関係で冷凍を行うことができる、磁気作業物質回転型磁気冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、中心軸の同心円上であって、この中心軸から離間した位置に回転弾倉型に穴が設けられ、この穴に磁気作業物質が装着される回転弾倉型回転部と、この回転弾倉型回転部に隣接してこの回転弾倉型回転部と対向するように前記中心軸方向に配置され、前記回転弾倉型回転部に設けられた前記穴と対向可能な穴が設けられる固定部と、この固定部の外側に隣接して前記中心軸方向に固定状態で配置され、前記固定部に形成される前記穴を介して前記回転弾倉型回転部の前記磁気作業物質に作用するように、前記磁気作業物質と対向可能に配置される磁場発生機構とを具備することを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記磁場発生機構は高温超電導バルク体で構成されることを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔1〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記磁場発生機構は永久磁石と鉄ヨークで構成されることを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記磁場発生機構は常電導又は超電導コイルで構成されることを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔2〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記高温超電導バルク体は前記回転弾倉型回転部を挟んで両側に配置されることを特徴とする。
【0016】
〔6〕上記〔1〕又は〔5〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部には、4個の磁気作業物質が等間隔に装着されていることを特徴とする。
【0017】
〔7〕上記〔6〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部には、前記4個の磁気作業物質に対向可能に、等間隔に4個の円筒状の穴が形成され、該4個の円筒状の穴のうち隣り合わない2個の穴に前記高温超電導バルク体の磁気が作用することを特徴とする。
【0018】
〔8〕上記〔7〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部に装着される前記磁気作業物質が前記高温超電導バルク体と対向する位置に配置されて励磁されることによって発した熱を、冷媒により排熱部で排熱し、前記回転弾倉型回転部に装着される前記磁気作業物質が前記高温超電導バルク体と対向しない位置に配置されて消磁された際に、前記磁気作業物質により前記冷媒から吸熱させ、該吸熱された冷媒を冷却ステージに送ることを特徴とする。
【0019】
〔9〕上記〔8〕記載の磁気作業物質回転型磁気冷凍機において、前記回転弾倉型回転部に装着される前記磁気作業物質と熱交換するための冷媒の冷媒流路が、前記回転弾倉型回転部とともに回転することで、冷媒の流れの方向を切り換え可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0021】
(1)構造が簡便で、強力な冷凍を行わせることができる。
【0022】
(2)独特な磁場形状と急峻な磁場勾配を得ることができ、かつシャープな磁界変化が可能であり、良好な冷凍を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の磁気作業物質回転型磁気冷凍機は、中心軸の同心円上であって、この中心軸から離間した位置に回転弾倉型に穴が設けられ、この穴に磁気作業物質が装着される回転弾倉型回転部と、この回転弾倉型回転部に隣接してこの回転弾倉型回転部と対向するように前記中心軸方向に配置され、前記回転弾倉型回転部に設けられた前記穴と対向可能な穴が設けられる固定部と、この固定部の外側に隣接して前記中心軸方向に固定状態で配置され、前記固定部に形成される前記穴を介して前記回転弾倉型回転部の前記磁気作業物質に作用するように、前記磁気作業物質と対向可能に配置される高温超電導バルク体とを具備する。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の全体の模式図、図2はその回転型流路の構成を示す図である。
【0026】
これらの図において、回転弾倉型回転部1は円柱状をなし、中心軸2を中心として回転できるように形成されている。その中心軸2から離間し、かつ中心軸2の同心円上には、4個の円筒状の穴3が等間隔に形成されている。この4個の円筒状の穴3に磁気作業物質4〔例えば、ガドリウム(Gd)〕が装着される。したがって、回転弾倉型回転部1が回転することにより、磁気作業物質4も中心軸2の回りを回転する。この回転弾倉型回転部1の両側には、固定部5,6が回転弾倉型回転部1に隣接して配置される。図においては、説明のために回転弾倉型回転部1と固定部5,6の間に間隔を設けて示しているが、これらは実際は隙間なく接しており、後述するように、流路以外はシーリングされている。また、固定部5,6の両外側には、磁場発生機構としての高温超電導バルク体9,10が軸方向に配置されている。固定部5,6には回転弾倉型回転部1に装着されている4個の磁気作業物質4と対応可能に円筒状の穴7,8が、回転弾倉型回転部1と同様に4個、軸方向に形成されている。それらの穴7,8のうち、隣り合わない2個の穴にだけ高温超電導バルク体9,10の磁場が作用するように配置される。
【0027】
したがって、高温超電導バルク体9,10と磁気作業物質4とが、固定部5,6の円筒状の穴7,8を介して対向して配置されている時には、磁気作業物質4が励磁されて発熱し、高温超電導バルク体9,10と磁気作業物質4とが、円筒状の穴7,8を介して対向しないように配置されている時には、磁気作業物質4が消磁されて吸熱する。つまり、回転弾倉型回転部1の回転により、固定の高温超電導バルク体9,10に対する磁気作業物質4の位置が変化することで、この発熱と吸熱のサイクルが繰り返され、冷凍が行われる。磁気作業物質4に吸熱された冷媒は、冷媒流路11を介して、冷却ステージ12へ送られる。また、磁気作業物質4の発熱を吸収した冷媒は、冷媒流路13を介して排熱部14へ送られ、排熱される。ここで排熱された冷媒は、ポンプ15により再度冷媒流路11から磁気作業物質4へ運ばれ、吸熱されて冷却ステージ12へ送られるというサイクルを繰り返す。
【0028】
このように構成したので、回転運動は磁気作業物質側で行うことができ、高温超電導バルク体をその磁気作業物質に対向するように固定したままで利用することができる。
【0029】
また、簡便な構造で、強力な冷凍を行わせることができる。
【0030】
さらに、独特な磁場形状と急峻な磁場勾配を得ることができ、かつシャープな磁界変化が可能であり、良好な冷凍を行わせることができる。
【0031】
図3は本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の冷媒流路が通じている場合を示す図、図4は本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の冷媒流路調整が通じていない場合を示す図である。
【0032】
回転弾倉型回転部1は、磁気作業物質4が回転可能に装着された回転弾倉型回転部となっており、その両側には、固定部に形成された円筒状の穴を介して磁気作業物質4と対向可能に固定された高温超電導バルク体9,10が配置される。
【0033】
回転弾倉型回転部1と固定部との接合部は、流路以外がシーリングされている。また、磁気作業物質4の周囲は断熱されている。
【0034】
従って、回転弾倉型回転部1が回転し、磁気作業物質4と高温超電導バルク体9が円筒状の穴7,8を介して対向しているときは、図3に示すように冷媒流路が開通し、熱交換が行われるが、回転弾倉型回転部1の回転中、磁気作業物質4と高温超電導バルク体9,10が対向していないときは、図4に示すように、回転弾倉型回転部1と固定部5,6との接合部がシーリングされるため、冷媒は流れない。
【0035】
このように構成したため、本発明によれば、効率的に熱交換を行うことができ、有効に冷凍を行うことができる。
【0036】
また、従来のシステムは流路切換のための切換バルブなどを装備し、流路を切換制御する必要があったが、本発明によれば、回転弾倉型回転部が回転することでその役割を果たすことができるため、切換バルブが不要である。
【0037】
なお、上記実施例では、磁場発生機構としての高温超電導バルク体について述べたが、高温超電導バルク体のほかに、永久磁石と鉄ヨーク、常電導又は超電導コイルを用いるようにしてもよい。
【0038】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の磁気作業物質回転型磁気冷凍機は、コンパクトで、かつ効率的な冷凍が可能な磁気冷凍機を提供でき、高い磁気熱量効果をもつ材料開発や装置の小型化に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の全体の模式図である。
【図2】本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の回転型流路の構成を示す図である。
【図3】本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の冷媒流路が通じている場合を示す図である。
【図4】本発明の磁気作業物質回転型(回転弾倉型)磁気冷凍機の流路が通じていない場合を示す図である。
【図5】磁気冷凍機システムの原理説明図である。
【図6】従来の永久磁石回転駆動型磁気冷凍機の構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1 回転弾倉型回転部
2 中心軸
3,7,8 円筒状の穴
4 磁気作業物質
5,6 固定部
9,10 高温超電導バルク体
11,13 冷媒流路
12 冷却ステージ
14 排熱部
15 ポンプ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5