TOP > 国内特許検索 > 重量物の支持が可能な超電導磁石装置 > 明細書

明細書 :重量物の支持が可能な超電導磁石装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4772510号 (P4772510)
公開番号 特開2007-189796 (P2007-189796A)
登録日 平成23年7月1日(2011.7.1)
発行日 平成23年9月14日(2011.9.14)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
発明の名称または考案の名称 重量物の支持が可能な超電導磁石装置
国際特許分類 H02N  15/04        (2006.01)
H01F   6/00        (2006.01)
H01L  39/04        (2006.01)
FI H02N 15/04 ZAA
H01F 7/22 A
H01L 39/04
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2006-004648 (P2006-004648)
出願日 平成18年1月12日(2006.1.12)
審査請求日 平成20年4月3日(2008.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
発明者または考案者 【氏名】長嶋 賢
【氏名】笹川 卓
【氏名】清野 寛
【氏名】尾崎 修
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】杉浦 貴之
参考文献・文献 特開平01-202183(JP,A)
特開平11-252960(JP,A)
特開2000-077225(JP,A)
特開2003-289004(JP,A)
特開平07-213082(JP,A)
特開平05-049191(JP,A)
特開2003-007525(JP,A)
特開2003-219581(JP,A)
調査した分野 H02N 15/04
H01F 6/00
H01L 39/04
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)内部に超電導コイルが配置される円筒状のコイル真空容器と、
(b)前記コイル真空容器の内側に固定され配置されるフランジ付き荷重支持体と、
(c)該荷重支持体の少なくとも上方に固定される鉄製のリング状の磁気力ブースターと、
(d)重量物を懸垂するように前記コイル真空容器の中心軸上に配置されるとともに、前記鉄製のリング状の磁気力ブースターに対向するように固定される超電導バルク体を有する荷重支持体とを具備することを特徴とする重量物の支持が可能な超電導磁石装置。
【請求項2】
請求項1記載の重量物の支持が可能な超電導磁石装置において、前記重量物がフライホイールであり、前記鉄製のリング状の磁気力ブースターを前記荷重支持体の上部と下部に配置し、該上部と下部にそれぞれ超電導バルク体を配置することを特徴とする重量物の支持が可能な超電導磁石装置。
【請求項3】
請求項2記載の重量物の支持が可能な超電導磁石装置において、前記超電導バルク体を囲むクライオスタットを設けることを特徴とする重量物の支持が可能な超電導磁石装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物の支持が可能な超電導磁石装置に係り、超電導体の磁束ピニング効果による反発装置でもって重量物の支持を可能にする装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タンパク質の構造解析方法として、強磁気力場発生装置(下記特許文献1)が本願発明者らによって提案されている。
また、重量物の支持が可能な超電導磁石の分野の技術としては、超電導フライホイール電力貯蔵装置(下記特許文献2参照)が本願発明者によって提案されている。

【特許文献1】特開2003-007525号公報
【特許文献2】特開2003-219581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の第1の技術は、重量物の支持が可能な超電導磁石に関するものではなく、また、従来の第2の技術では、重量物の支持が可能ではあるが、超電導磁石装置の構成が複雑になるとともに、低温部にある超電導コイルを支持する荷重支持体を強化する必要があり、それに伴って低温部への熱侵入量が増加してしまうといった問題があった。
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みて、構造が簡単で、かつ重量物の支持が可能な強力な浮上力を得ることができる、重量物の支持が可能な超電導磁石装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕重量物の支持が可能な超電導磁石装置において、内部に超電導コイルが配置される円筒状のコイル真空容器と、前記コイル真空容器の内側に固定され配置されるフランジ付き荷重支持体と、この荷重支持体の少なくとも上方に固定される鉄製のリング状の磁気力ブースターと、重量物を懸垂するように前記コイル真空容器の中心軸上に配置されるとともに、前記鉄製のリング状の磁気力ブースターに対向するように固定される超電導バルク体を有する荷重支持体とを具備することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載の重量物の支持が可能な超電導磁石装置において、前記重量物がフライホイールであり、前記鉄製のリング状の磁気力ブースターを前記荷重支持体の上部と下部に配置し、この上部と下部にそれぞれ超電導バルク体を配置することを特徴とする。
〔3〕上記〔2〕記載の重量物の支持が可能な超電導磁石装置において、前記超電導バルク体を囲むクライオスタットを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)鉄製のリング状の磁気力ブースターを配置したことにより、超電導コイル本体を改造することなく、磁気力(=磁場×磁場勾配)の向上と、最大荷重の向上を図ることができる。
(2)重量物からなるフライホイールを超電導コイル本体を改造することなく、簡便に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の重量物の支持が可能な超電導磁石装置は、内部に超電導コイルが配置される円筒状のコイル真空容器と、前記コイル真空容器の内側に固定され配置されるフランジ付き荷重支持体と、この荷重支持体の少なくとも上方に固定される鉄製のリング状の磁気力ブースターと、重量物を懸垂するように前記コイル真空容器の中心軸上に配置されるとともに、前記鉄製のリング状の磁気力ブースターに対向するように固定される超電導バルク体を有する荷重支持体とを具備するようにしたものである。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す重量物の支持が可能な超電導磁石の断面模式図である。
この図において、固定側には、荷重の一部を負担する超電導コイル1と、その超電導コイル1の荷重を支持する荷重支持体2(室温~低温)と、円筒状のコイル真空容器3と、その円筒状のコイル真空容器3に固定される上方鍔付き円筒状の荷重支持体(室温)4と、その上方鍔付き円筒状の荷重支持体4(室温)の筒の内側の上下に固定され、荷重の一部を負担する鉄製のリング状の磁気力ブースター5,6とが配置されている。一方、可動側には、支持される円筒状の重量物7と、この円筒状の重量物7から上方に伸びる棒状体(荷重支持体)8と、この棒状体8の先端部に固定され、前記リング状の磁気力ブースター5の中心に配置される、超伝導体などからなる反磁性体(バルク体)9とを備えている。
【0010】
図2はその重量物の支持が可能な超電導磁石の各部に作用する力を示す模式図、図3はその垂直方向の距離z(mm)と磁気力(T2 /m)の特性図であり、aは本発明のように磁気力ブースターがある場合、bは磁気力ブースターがない場合を示している。
電磁力負担の比率が、超電導コイル:磁気力ブースター=50:60なので、荷重を500kgfとした場合、超電導コイルが227kgfを、磁気力ブースターが273kgfを負担することになる。
【0011】
超電導コイル1の中心磁場を5.5T、超電導コイル1のコイル真空容器3の内径(室温ボア)を400mmφ、磁気力ブースター5,6の内径を100mm、バルク体9を60mmφとした場合、11は超電導コイル1の超電導電流、12はバルク体9の超電導電流、13は磁気力ブースター5の表面電流、14は磁気力ブースター5とバルク体9との間の吸引力、15は磁気力ブースター5とバルク体9との間の反発力、16はバルク体9と超電導コイル1の中心部との間の反発力、17はバルク体9に働く浮上力(500kgf)、18は磁気力ブースター5に働く荷重(227kgf)であり、ここで、電流間の距離の効果により、吸引力14の大きさは反発力15の大きさより大きくなる。従って、磁気力ブースター(鉄)5と反磁性体(バルク体)9の間に働く電磁力は吸引力の方が勝ることになる。19は超電導コイル1に働く荷重(273kgf)(反発力のみ)である。
【0012】
このように、磁気力ブースター5,6を配置することで、超電導コイル1本体を改良することなく磁気力(磁場×磁場勾配)を向上させることができる。磁気勾配が大きくなることで、磁気力のバネ常数も向上する。また、許容最大荷重の向上を図ることができる。また、低温部への熱侵入経路となる、超電導コイル1の荷重支持体を補強する必要がないので熱侵入の増大がない。
【0013】
この構成は鉄の飽和磁束密度を超えた領域でも適用可能である。
図4は本発明の適用例を示すフライホイール試験装置の模式図である。
この図において、固定側には、既存品を流用した荷重の一部を負担する超電導コイル21と、その超電導コイル21の荷重を支持する荷重支持体22(室温-低温)と、円筒状のコイル真空容器23と、その円筒状のコイル真空容器23に固定される上方鍔付き円筒状の荷重支持体(室温)24と、その上方鍔付き円筒状の荷重支持体24(室温)の筒の内側の上下に固定され、荷重の一部を負担する鉄製のリング状の磁気力ブースター25,26とが設けられている。一方、可動側には、支持される円筒状のSUS製フライホイール(重量物)27と、この円筒状の重量物27から上方に伸びるクライオスタット28が配置され、このクライオスタット28には冷媒29が封入されており、棒状体(荷重支持体)30と、この棒状体30の先端部と下部に固定され、前記リング状の磁気力ブースター25,26にそれぞれ対向するように配置される、超電導バルク体31,32とを備えている。
【0014】
ここでも、荷重支持体(室温)24には下向きの荷重41が、超電導バルク体31,32にはそれぞれ電磁力(浮上力)42が作用する。
この実施例においても、磁気力ブースター25,26を採用することにより、超電導コイル21本体を改造することなく、磁気力(=磁場×磁場勾配)の向上と、許容最大荷重の向上を図ることができる。
【0015】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の重量物の支持が可能な超電導磁石装置は、従来の超電導磁石本体を改良する必要なしに、これを用いて重量物の支持を行うことができ、フライホイール試験装置などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例を示す重量物の支持が可能な超電導磁石の断面模式図である。
【図2】本発明の重量物の支持が可能な超電導磁石の各部に作用する力を示す模式図である。
【図3】本発明の重量物の支持が可能な超電導磁石の垂直方向の距離z(mm)と磁気力(T2 /m)の特性図である。
【図4】本発明の適用例を示すフライホイール試験装置の模式図である。
【符号の説明】
【0018】
1,21 超電導コイル
2,22 超電導コイルの荷重を支持する荷重支持体(室温~低温)
3,23 円筒状のコイル真空容器
4,24 上方鍔付き円筒状の荷重支持体
5,6,25,26 鉄製のリング状の磁気力ブースター
7 支持される円筒状の重量物
8,30 棒状体(荷重支持体)
9 反磁性体(バルク体)
11 超電導コイルの超電導電流
12 バルク体の超電導電流
13 磁気力ブースターの表面電流
14 磁気力ブースターとバルク体との間の吸引力
15 磁気力ブースターとバルク体との間の反発力
16 バルク体と超電導コイルの中心部との間の反発力
17 バルク体に働く浮上力
18 磁気力ブースターに働く荷重
19 超電導コイルに働く荷重
27 円筒状のSUS製フライホイール(重量物)
28 クライオスタット
29 冷媒
31,32 超電導バルク体
41 荷重
42 電磁力(浮上力)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3