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明細書 :超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4772525号 (P4772525)
公開番号 特開2007-209129 (P2007-209129A)
登録日 平成23年7月1日(2011.7.1)
発行日 平成23年9月14日(2011.9.14)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
発明の名称または考案の名称 超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置
国際特許分類 H02N  15/04        (2006.01)
B60L  13/04        (2006.01)
FI H02N 15/04
B60L 13/04 S
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2006-025637 (P2006-025637)
出願日 平成18年2月2日(2006.2.2)
審査請求日 平成20年4月3日(2008.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】清野 寛
【氏名】長嶋 賢
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】杉浦 貴之
参考文献・文献 特開平01-202183(JP,A)
特開2003-007525(JP,A)
特開2000-077225(JP,A)
特開平04-266077(JP,A)
実開平05-076062(JP,U)
特開平07-027136(JP,A)
特開2003-219581(JP,A)
調査した分野 H02N 15/04
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)超電導コイル(2)を周方向断熱荷重支持材(3)と上下方向断熱荷重支持材(4)で支持したクライオスタット(1)と、
(b)前記超電導コイル(2)の長手方向の中心線上に中心を有し、前記クライオスタット(1)の上方に配置される第1の反磁性体(5)と、
(c)該第1の反磁性体(5)の下方に連結される連結ロッド(7)と、
(d)該連結ロッド(7)を介して前記第1の反磁性体(5)の下部配置される第2の反磁性体(6)と、
(e)前記第1の反磁性体(5)と前記第2の反磁性体(6)との間の前記連結ロッド(7)に取り付けられる電磁力測定用ロードセル(12)とを具備することを特徴とする超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置。
【請求項2】
請求項1記載の超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置において、前記第2の反磁性体(6)が路盤(11)上に配置される位置調整装置(9)とロードセル(13)を介して支持ロッド(8)により支持されることを特徴とする超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁力を利用した支持装置やベアリングは非接触であることから高速回転させても損失が少ないという利点がある。
そのような電磁力を利用した支持装置においては、従来から永久磁石が使用されてきたが、それに使用する永久磁石の発する磁束密度には限界があることから載荷力に限界があった。
【0003】
そこで、重載荷力を増やす一つの方法として、バルク(固まり状態)の超電導物質の反磁性効果と永久磁石の間に働く電磁力を利用する方法が考えられている。例えば、国内ではNEDOの開発(非特許文献1参照)、アメリカではアルゴンヌ研究所(非特許文献2参照)の例がある。
また、より大きな載荷力を得られるものとして、超電導コイルとバルク超電導物質の相互作用力を利用したものも考えられている(特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2003-219581号公報
【非特許文献1】新エネルギー・産業技術総合開発機構、「フライホイール電力貯蔵要超電導磁気軸受け技術研究開発」
【非特許文献2】T.M.Mulcahy et al.:IEEE Tran.Appl.Superconductiity,Vol.11,No.1(2001),pp.1729-1732.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような電磁力支持装置において、従来の超電導磁石をそのまま使用して大きな荷重を保持させようとすると、クライオスタット内で超電導コイルを断熱支持している断熱荷重支持材に大きな荷重がかかってしまう。
以下、従来の超電導磁石を用いた電磁力支持装置について詳細に説明する。
図6は従来の反磁性体と超電導コイルの反発力利用の電磁力支持装置の模式図である。
【0005】
この図において、101はクライオスタット、102は超電導コイル、103は超電導コイル102の周方向断熱荷重支持材、104は超電導コイル102の上下方向断熱荷重支持材、105は上方に配置され支持物106を有する反磁性体、107は超電導コイル102と反磁性体105間の電磁気的な相互作用によって生じる磁気ばね、108は路盤109上に配置され、上記した電磁力支持装置を支持する架台、110は超電導コイル102に作用する付加荷重、111は超電導コイル102の上下方向断熱荷重支持材104に作用する付加荷重、112は架台108の脚部に作用する付加荷重、113は路盤109に作用する付加荷重であり、この付加荷重113に対して反力114と力の釣合いがとれることになる。
【0006】
図7は従来の強磁性体と超電導コイルの反発力利用の電磁力支持装置の模式図である。
この図において、201はクライオスタット、202は超電導コイル、203は超電導コイル202の周方向断熱荷重支持材、204は超電導コイル202の上下方向断熱荷重支持材、205は下方に配置され支持物206を有する強磁性体、207は超電導コイル202と強磁性体205間の電磁気的な相互作用によって生じる磁気ばね、208は路盤209上に配置され、上記した電磁力支持装置を支持する架台、210は超電導コイル202に作用する付加荷重、211は超電導コイル202の上下方向断熱荷重支持材204に作用する付加荷重、212は架台208の脚部に作用する付加荷重、213は路盤209に作用する付加荷重であり、この付加荷重213に対して反力214と力の釣合いがとられることになる。
【0007】
上記したように、これらの電磁力支持装置は、反磁性体105と超電導コイル102の反発力、または強磁性体205と超電導コイル202の吸引力を利用して支持物106,206を支持する。その際に、従来の超電導コイル102,202では、超電導コイル102,202に加わる電磁力を上下方向断熱荷重支持材104,204でクライオスタット101,201に伝えて、それを架台108,208等を介して路盤109,209等に固定する。
【0008】
なお、ここでは、断熱支持材を上下、左右に分けて説明しているが、一つもしくは一組の部品で上下、左右の荷重支持を担う場合でも機能上は上下、左右の各断熱荷重支持材であり、上記説明と同じである。
かかる従来の電磁力支持装置の構造では、以下の問題が生じる。
(1)断熱荷重支持材を介して荷重を伝達するため、断熱荷重支持材の高荷重化が必要である。
【0009】
(2)断熱荷重支持材の高荷重化に伴い、超電導コイルへの熱侵入が増大する。
(3)冷凍負荷が増大することにより、冷凍機の大型・高容量化が必要となる。
本発明は、上記状況に鑑みて、1対の反磁性体(超電導バルク)と、それらを連結する「連結ロッド」と、その連結ロッドに取り付けたロードセルだけで簡便に試験ができる超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置において、超電導コイル(2)を周方向断熱荷重支持材(3)と上下方向断熱荷重支持材(4)で支持したクライオスタット(1)と、前記超電導コイル(2)の長手方向の中心線上に中心を有し、前記クライオスタット(1)の上方に配置される第1の反磁性体(5)と、この第1の反磁性体(5)の下方に連結される連結ロッド(7)と、この連結ロッド(7)を介して前記第1の反磁性体(5)の下部配置される第2の反磁性体(6)と、前記第1の反磁性体(5)と前記第2の反磁性体(6)との間の前記連結ロッド(7)に取り付けられる電磁力測定用ロードセル(12)とを具備することを特徴とする。
【0011】
〔2〕上記〔1〕記載の超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置において、前記第2の反磁性体(6)が路盤(11)上に配置される位置調整装置(9)とロードセル(13)を介して支持ロッド(8)により支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
超電導コイルへ外部から加わる電磁力、例えば反磁性体との反発力に関する耐荷重は断熱荷重支持材の強度で決定される。通常の超電導コイルでは外部からの熱侵入を抑えるために断熱荷重支持材の断面をなるべく小さく設計する。そのため、汎用の超電導コイルでは外部から大きな電磁力を加えることができない。このような現状に対して、本発明の試験装置によれば、
(1)第1と第2の反磁性体(超電導バルク)間の反発力と超電導コイル間の力が超電導コイル部で内力として釣り合うので、断熱荷重支持材に新たに電磁力は付加されない。従って、超電導コイルの上下、左右に断熱荷重支持材の耐荷重以上の荷重をかけることができる。
【0013】
(2)大きな電磁力を付与することを考慮していない汎用の超電導マグネットでも大きな載荷力を与える試験ができる。
(3)基本的には1対の反磁性体(超電導バルク)と、それらを連結する「連結ロッド」と、その連結ロッドに取り付けたロードセルだけで試験ができ、簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置は、超電導コイル(2)を周方向断熱荷重支持材(3)と上下方向断熱荷重支持材(4)で支持したクライオスタット(1)と、前記超電導コイル(2)の長手方向の中心線上に中心を有し、前記クライオスタット(1)の上方に配置される第1の反磁性体(5)と、この第1の反磁性体(5)の下方に連結される連結ロッド(7)と、この連結ロッド(7)を介して前記第1の反磁性体(5)の下部配置される第2の反磁性体(6)と、前記第1の反磁性体(5)と前記第2の反磁性体(6)との間の前記連結ロッド(7)に取り付けられる電磁力測定用ロードセル(12)とを具備する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す反磁性体と超電導コイルの反発力を利用した電磁力支持装置の試験装置の模式図である。
この図において、1はクライオスタット、2は超電導コイル、3は超電導コイルの周方向断熱荷重支持材、4は超電導コイルの上下方向断熱荷重支持材、5は超電導コイル2の中央部であって上方に配置される第1の反磁性体(超電導バルク体)、6は連結ロッド7を介して第1の反磁性体5の下部に配置される第2の反磁性体(超電導バルク体)、8は第2の反磁性体(超電導バルク体)6の下部に配置される支持ロッド、9は支持ロッド8の下部に配置される位置調整機構、10は路盤11上に配置され、上記した電磁力支持装置を支持する架台である。また、12は第1の反磁性体5と第2の反磁性体6との間に配置される電磁力測定用ロードセル、13は支持ロッド8に配置される断熱荷重支持材付加荷重測定用ロードセルである。
【0016】
超電導コイル2の水平方向中心からの距離を等しくとって第1の反磁性体5と第2の反磁性体6を対向して配置すると、第1の反磁性体5と超電導コイル2との間に働く電磁力と第2の反磁性体6と超電導コイル2との間に働く電磁力は大きさが同じで、付与方向が逆転することになる。このためバルクを配置したことにより発生する電磁力は超電導コイル2部分で圧縮内力として釣り合い、断熱荷重支持材に新たな外力は負荷されない。
【0017】
また、第1の反磁性体5と第2の反磁性体6とをつないだ連結ロッド7により、超電導バルク側に加わる電磁力も連結ロッド7に加わる引張内力として釣り合うために外部への荷重伝達経路が必要でなくなる。
したがって、
(1)大きな電磁力を付与することを考慮していない汎用の超電導マグネットでも大きな載荷力を与えた試験ができる。
【0018】
(2)基本的には1対のバルクと、それらを連結する連結ロッドと、連結ロッドに取り付けたロードセルだけで試験ができ、簡便である。
なお、楕円で囲まれたセット14(支持ロッド8、断熱荷重支持材付加荷重測定用ロードセル13、位置調整機構9)は、断熱荷重支持材に加わる荷重をモニタするためのもので、基本構成ではなく、オプション機器である。
【0019】
また、φAは第1の反磁性体5,第2の反磁性体6の直径、φBは超電導コイル2の直径、Lは超電導コイル2の高さ、sは第1の反磁性体5と第2の反磁性体6の間隔を示している。ここで、φAを60mm,厚さtは15mm、φBを170mm、Lは180mm、sを240,140mmとして実施した計算結果を図2~図5に示す。
図2はバルク体のJc-B特性図であり、横軸は印加磁場〔T〕、縦軸は臨界電流密度Jc〔A/cm2 〕である。実線は63K、線は77Kの場合を示している。バルク体の特性はGd系のものを用いた。
【0020】
図3はバルク体に働く上下方向の電磁力を示す図(その1)であり、横軸は印加磁場〔T〕、縦軸は電磁力〔kgf〕である。実線は63K、線は77Kを示している。
これは超電導コイル2の水平方向中心位置から上方に70mm離れた位置に第1の反磁性体5を配置したもので、対向する第2の反磁性体6は配置していない。液体窒素温度の77Kでは上下反発力が100kgf程度で頭打ちになるのに対して、固体窒素温度の63Kに冷却すると、1.5Tで100kgを越えて3.5Tで500kgに達する。今回の例で用いた超電導コイルのサイズでは断熱荷重支持材の上下方向の耐荷重はおおむね100kgf程度である。このため、超電導バルク1つの配置では77Kまでの冷却までしか試験ができないことになる。
【0021】
図4は、バルク体に働く上下方向の電磁力 (図3参照)を超電導コイルの発生する磁場分布に沿って、超電導コイルの上下方向の位置と電磁力の関係として表した図である。バルク体の温度は63Kとし、印加磁場を3.5Tとして計算した。横軸は上下方向の位置を表し、Z=0は超電導コイル2の水平方向中心位置を示している。zが正の値で中心より上、負の値で中心より下となる。また、縦軸は上下方向の電磁力(kgf) である。電磁力は正が上向き、負で下向きの力になっている。図4(a)ではバルク体5、6の間隔sを140mmとした図を重ね合わせ、図4(b)では間隔sを240mmにした図を重ね合わせている。
【0022】
図5(a)および図5(b)は、図4(a)および図4(b)のバルク体配置のものを上下方向に変位させた時の電磁力の変化を各々表したものである。実線が第1の反磁性体5,第2の反磁性体6と超電導コイル2間に働く電磁力を表し、線は連結ロッド7、ロードセル12および超電導コイル2に加わる内力を表す。横軸は上下方向の位置を表しており、z=0は第1の反磁性体5,第2の反磁性体6が超電導コイルの水平方向中心線から同じ距離にあることを示し、zが正の値で中心より上への変位を、また、負の値で中心より下方へ変位することを表している。縦軸は上下方向の電磁力(kgf) と内力(kgf) を表す。電磁力は正が上向き、負で下向きの力になっており、内力は正が引っ張り、負では圧縮になる。z=0では、荷重は内力だけになり、外力は発生しない。このため基本的には1対の第1の反磁性体5,第2の反磁性体6とそれらを連結する連結ロッド7とこの連結ロッド7に取り付けたロードセル12だけで試験ができる。この時、第1の反磁性体5と第2の反磁性体6は超電導コイル2の水平方向中心線からの距離が等しいので、第1の反磁性体5と超電導コイル2との間に働く電磁力と第2の反磁性体6と超電導コイル2との間に働く電磁力は大きさが同じで、付与方向が逆転することになる。このため、反磁性体を配置したことにより発生する電磁力は超電導コイル2部分で圧縮内力として釣り合い、断熱荷重支持材に新たな外力は負荷されない。
【0023】
実施例では、1対の第1の反磁性体5,第2の反磁性体6の間隔を140mmと240mmとしている。140mmの方が反磁性体に加わる上下方向電磁力を大きくできるが、z=0付近で変位させると外力が変位を助長する方向に働いて変位に対して安定性が良くない。
一方、240mmでは140mmほど電磁力が大きくないが、z=0で変位させると外力は復元方向に働くので安定性が良い。このように、本発明では1対の第1の反磁性体5,第2の反磁性体6を接続する連結ロッドの長さを調節することで安定した試験ができる。
【0024】
更に、楕円で囲まれたセット14(支持ロッド8、断熱荷重支持材付加荷重測定用ロードセル13、位置調整機構9)を設置すると、断熱荷重支持材への荷重が0であることを確認しながら試験を行うことができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の超電導磁石装置を用いた電磁力支持装置の試験装置は、磁気浮上式鉄道車両に搭載する超電導磁石装置などの試験装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例を示す反磁性体と超電導コイルの反発力を利用した電磁力支持装置の試験装置の模式図である。
【図2】バルク体のJc-B特性図である。
【図3】バルク体に働く電磁力を示す図(その1)である。
【図4】バルク体に働く電磁力を示す図(その2)である。
【図5】バルク体に働く電磁力を示す図(その3)である。
【図6】従来の反磁性体と超電導コイルの反発力利用の電磁力支持装置の模式図である。
【図7】従来の強磁性体と超電導コイルの反発力利用の電磁力支持装置の模式図である。
【符号の説明】
【0027】
1 クライオスタット
2 超電導コイル
3 超電導コイルの周方向断熱荷重支持材
4 超電導コイルの上下方向断熱荷重支持材
5 第1の反磁性体(超電導バルク体)
6 第2の反磁性体(超電導バルク体)
7 連結ロッド
8 支持ロッド
9 位置調整機構
10 架台
11 路盤
12 電磁力測定用ロードセル
13 断熱荷重支持材付加荷重測定用ロードセル
14 セット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6