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明細書 :FWDの評価用装置、および評価方法。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4588643号 (P4588643)
公開番号 特開2007-205955 (P2007-205955A)
登録日 平成22年9月17日(2010.9.17)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
発明の名称または考案の名称 FWDの評価用装置、および評価方法。
国際特許分類 G01N   3/40        (2006.01)
E01C  23/00        (2006.01)
E01C  23/01        (2006.01)
FI G01N 3/40 B
E01C 23/00 A
E01C 23/01
請求項の数または発明の数 3
全頁数 13
出願番号 特願2006-026539 (P2006-026539)
出願日 平成18年2月3日(2006.2.3)
審査請求日 平成20年4月3日(2008.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000151520
【氏名又は名称】株式会社東京測器研究所
発明者または考案者 【氏名】上浦 正樹
【氏名】関根 悦夫
【氏名】岡野 晴樹
【氏名】藤生 高弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100077805、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 辰彦
【識別番号】100099690、【弁理士】、【氏名又は名称】鷺 健志
【識別番号】100109232、【弁理士】、【氏名又は名称】本間 賢一
【識別番号】100125210、【弁理士】、【氏名又は名称】加賀谷 剛
審査官 【審査官】高橋 亨
参考文献・文献 特開2004-239701(JP,A)
実開昭61-089142(JP,U)
特開平03-013841(JP,A)
特開2000-081364(JP,A)
調査した分野 G01N 3/40
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
地盤上に載架されるセンサ部と、該センサ部上に設置された緩衝部材とを有し、該緩衝部材上に錘体を落下させ、その落下に伴い前記センサ部に加わる荷重と該荷重によるセンサ部の上下方向の変位量とに応じた信号を該センサ部から出力するようにしたFWD(Falling Weight Deflectmeter)の評価用装置であって、
剛体状の床面に載架される剛体状の基体ブロックと、該基体ブロック上に金属ばねを介して支持されて、該金属ばねの弾性変形により該基体ブロックに対して上下方向に可動に設けられ、且つ前記FWDのセンサ部を載架するためのFWD載架面が上面部に形成された可動ブロックと、該可動ブロックの前記基体ブロックに対する上下方向の変位量を検出し、その検出信号を出力する変位センサとを備え、前記可動ブロックに作用する上下方向の荷重と該可動ブロックの変位量との間の線形関係を規定する比例定数の値があらかじめ特定されていることを特徴とするFWDの評価用装置。
【請求項2】
前記金属ばねは、軸心を上下方向に向けて前記基体ブロック上に設置された皿ばねであることを特徴とする請求項1記載のFWDの評価用装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のFWDの評価用装置を使用して、前記FWDを評価する方法であって、
前記評価用装置の基体ブロック前記剛体状の床面に載架すると共に、該評価用装置の前記可動ブロックのFWD載架面に前記FWDのセンサ部を載架する第1ステップと、
次いで、前記FWDの錘体を落下させる第2ステップと、
該錘体の落下時における前記センサ部の出力信号に基づき、前記センサ部に作用する荷重と該センサ部の変位量とを計測すると共に、前記評価用装置の変位センサの検出信号に基づき、前記可動ブロックの変位量を計測する第3ステップとを備えると共に、前記FWDの錘体の重量と該錘体の落下開始時の高さとのうちの少なくともいずれか一方を変更して、前記第2ステップおよび第3ステップの処理を複数回実行し、
前記第3ステップで前記センサ部の出力信号に基づき計測された前記センサ部への作用荷重および該センサ部の変位量から把握される前記比例定数の計測値と前記あらかじめ特定された該比例定数の値との比較と、前記第3ステップで計測された変位センサの検出信号に基づき計測された前記可動ブロックの変位量と前記センサ部の出力信号に基づき計測された該センサ部の変位量との比較とに基づき、前記FWDを評価するようにしたことを特徴とするFWDの評価方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の剛性を検査するためのFWD(Falling Weight Deflectmeter)を評価するための装置、およびその評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路などの地盤の剛性を検査するために使用される剛性検査装置としては、小型で運搬などの取り扱いが容易な、いわゆる小型FWDが知られている。この小型FWDは、地盤上に載架されるセンサ部と、該センサ部上に設置されたゴムなどの緩衝部材とを有し、該緩衝部材上に錘体を落下させ、その落下に伴い前記センサ部に加わる荷重と該センサ部の変位(該荷重による地盤の撓みに伴うセンサ部の変位)とに応じた信号を該センサ部から出力するようにしたものである(例えば特許文献1を参照)。そして、センサ部の出力信号を基に、錘体の落下によって地盤に作用した荷重と地盤の撓み(上下方向の変位)とが計測され、その計測値を基に、地盤の剛性が検査される。

【特許文献1】特開2003-176504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のFWDでは、特に前記緩衝部材の劣化、あるいは環境条件に応じた特性変化が生じやすい。そして、該緩衝部材の状態によって、錘体をセンサ部に落下させたときの荷重の計測値と地盤の撓みの計測値とが影響を受けやすい。従って、使用するFWDによって、地盤の剛性を適切に反映した計測値を得ることができるか否かを評価するための手段が望まれていた。また、この場合、FWDの使用者が、簡便にFWDの評価を行なうことができるようにすることが望まれていた。
【0004】
しかしながら、従来は、この種のFWDの評価を適切且つ簡便に行なうための手段が確立されておらず、FWDの製品毎のメーカが独自の手法によって該FWDの評価を行なうようにしているのが実状である。
【0005】
本発明はかかる背景に鑑み、FWDの評価(FWDにより得られる計測値が地盤の剛性を検査する上で適切なものとなるか否かの評価)を簡便且つ適切に行なうことができる評価用装置および評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のFWDの評価用装置は、かかる目的を達成するために、地盤上に載架されるセンサ部と、該センサ部上に設置された緩衝部材とを有し、該緩衝部材上に錘体を落下させ、その落下に伴い前記センサ部に加わる荷重と該荷重によるセンサ部の上下方向の変位量とに応じた信号を該センサ部から出力するようにしたFWDの評価用装置であって、剛体状の床面に載架される剛体状の基体ブロックと、該基体ブロック上に金属ばねを介して支持されて、該金属ばねの弾性変形により該基体ブロックに対して上下方向に移動自在に設けられ、且つ前記FWDのセンサ部を載架するためのFWD載架面が上面部に形成された剛体状の可動ブロックと、該可動ブロックの前記基体ブロックに対する上下方向の変位量を検出し、その検出信号を出力する変位センサとを備え、前記可動ブロックに作用する上下方向の荷重と該可動ブロックの変位量との間の線形関係を規定する比例定数の値があらかじめ特定されていることを特徴とする。
【0007】
かかる本発明の評価装置によれば前記基体ブロックを剛体状の床面(剛性の高い床面)に載架すると共に、前記可動ブロックのFWD載架面にFWDのセンサ部を載架した状態で、FWDの錘体を落下させると、その落下に伴う荷重(衝撃荷重)がFWDのセンサ部を介して前記可動ブロックに作用する。また、その作用する荷重によって前記金属ばねが弾性変形し、その弾性変形によって可動ブロックがFWDのセンサ部と共に基体ブロックに対して下方に変位する。そして、その変位量に応じた検出信号が前記変位センサから得られる。従って、該変位センサの検出信号から、FWDの錘体の落下時のセンサ部および可動ブロックの変位量を計測できる。
【0008】
また、錘体の落下時において、その落下に伴いFWDのセンサ部に加わる荷重と該荷重による該センサ部の変位量とに応じた信号がFWDのセンサ部から出力される。この場合、基体ブロックを載架する床面、該基体ブロックおよび可動ブロックは剛体状のもの(高剛性のもの)であるので、錘体の落下時にセンサ部に実際に作用する荷重と可動ブロックに実際に作用する荷重とは等しく、また、該センサ部の実際の変位量と可動ブロックの実際の変位量とは等しい。従って、該センサ部の出力信号から、錘体の落下時における可動ブロックの変位量と該可動ブロックに作用した荷重とを計測できる。さらに、前記金属ばねのばね特性によって可動ブロックの変位量と荷重との間には、線形関係が成立するので、前記センサ部の出力信号に基づく該可動ブロックの変位量および荷重の計測値から、当該線形関係を規定する比例定数(ばね定数またはその逆数)を計測することもできる。
【0009】
ここで、FWDが正常に機能しておれば、センサ部の出力信号から計測されるセンサ部の変位量は、前記変位センサの検出信号から計測される可動ブロックの変位量と一致もしくはほぼ一致するはずである。また、センサ部の出力信号から計測されるセンサ部の変位量と該センサ部への作用荷重とを基に、前記比例定数を計測したとき、その比例定数の計測値は、あらかじめ特定された前記比例定数の値に一致もしくはほぼ一致するはずである。また、前記金属ばねは一般に、そのばね特性が環境条件の影響を受け難いと共に経年変化を生じにくいので、前記可動ブロックへの作用荷重と該可動ブロックの変位量との間の線形関係を規定する前記比例定数は、あらかじめ力基準機などを使用して高精度に特定しておくことができる。
【0010】
従って、本発明の評価用装置を使用することで、FWDの錘体の落下時におけるFWDのセンサ部の出力信号と、評価用装置の変位センサの検出信号と、あらかじめ特定された前記比例定数の値とを基に、FWDの評価を適切に行なうことができる。また、この場合、FWDを評価用装置の可動ブロックに載せた状態で、該FWDの錘体を落下させ、そのときのセンサ部の出力信号と評価用装置の変位センサの検出信号を観測するだけで、FWDの評価を行なうことができるので、その評価を容易に行なうことができる。
【0011】
よって、本発明の評価用装置を使用することで、FWDの評価を簡便且つ適切に行なうことができる。
【0012】
なお、本発明の評価用装置では、前記金属ばねは、軸心を上下方向に向けて前記基体ブロック上に設置された皿ばねであることが好適である。金属ばねとして皿ばねを使用することで、該金属ばねのばね特性の安定性を高めることができる。また、FWDの錘体の落下時の可動ブロックの振動を抑えて、前記センサ部の出力信号と前記変位センサの検出信号を波形を滑らかなものとすることができ、FWDの評価の信頼性を高めることができる。
【0013】
かかる本発明の評価用装置を使用したFWDの評価は、より具体的には、本発明の評価方法によって次のように行なうことが好ましい。
【0014】
すなわち、本発明のFWDの評価方法は、前記したFWDの評価用装置を使用して、該FWDを評価する方法であって、前記評価用装置の基体ブロック前記剛体状の床面に載架すると共に、該評価用装置の前記可動ブロックのFWD載架面に前記FWDのセンサ部を載架する第1ステップと、次いで、前記FWDの錘体を落下させる第2ステップと、該錘体の落下時における前記センサ部の出力信号に基づき、前記センサ部に作用する荷重と該センサ部の変位量とを計測すると共に、前記評価用装置の変位センサの検出信号に基づき、前記可動ブロックの変位量を計測する第3ステップとを備えると共に、前記FWDの錘体の重量と該錘体の落下開始時の高さとのうちの少なくともいずれか一方を変更して、前記第2ステップおよび第3ステップの処理を複数回実行し、前記第3ステップで前記センサ部の出力信号に基づき計測された前記センサ部への作用荷重および該センサ部の変位量から把握される前記比例定数の計測値と前記あらかじめ特定された該比例定数の値との比較と、前記第3ステップで計測された変位センサの検出信号に基づき計測された前記可動ブロックの変位量と前記センサ部の出力信号に基づき計測された該センサ部の変位量との比較とに基づき、前記FWDを評価するようにしたことを特徴とする。
【0015】
かかる本発明の評価方法によれば、前記FWDの錘体の重量と該錘体の落下開始時の高さとのうちの少なくともいずれか一方を変更して、前記第2ステップおよび第3ステップの処理を複数回実行するので、前記第3ステップで前記センサ部の出力信号に基づき計測された前記センサ部への作用荷重および該センサ部の変位量から前記比例定数を適切に計測することができる。そして、この比例定数の計測値とあらかじめ特定された比例定数の値との比較と、前記第3ステップで計測された変位センサの検出信号に基づき計測された前記可動ブロックの変位量と前記センサ部の出力信号に基づき計測された該センサ部の変位量との比較とに基づき、FWDを評価するので、該FWDの評価を適切に行なうことができる。すなわち、前記比例定数の計測値とあらかじめ特定された比例定数の値とが一致もしくはほぼ一致し、且つ、各回の錘体の落下時において変位センサの検出信号に基づき計測された前記可動ブロックの変位量と前記センサ部の出力信号に基づき計測された該センサ部の変位量とが一致もしくはほぼ一致しておれば、FWDが正常に機能していると評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のFWDの評価用装置および評価方法の一実施形態を図1~図5を参照して説明する。図1は本実施形態の評価用装置の構成を示す断面図、図2は図1の評価用装置を使用して評価するFWD(小型FWD)とその評価システムの構成を示す図、図3は図1の評価用装置の可動ブロックに作用する荷重と該可動ブロックの変位量との関係を例示するグラフ、図4は図2に示すFWDにより計測される荷重と変位量との波形を例示するグラフ、図5は図2に示すFWDのセンサ部の出力から計測された荷重と変位量との関係を例示するグラフである。
【0017】
図1に示すように、評価用装置1は、基体ブロック2と、この基体ブロック2に金属ばねとしての皿ばね3を介して支持された可動ブロック4と、可動ブロック4の基体ブロック2に対する上下方向の変位量を検出する変位センサ5を備えている。
【0018】
基体ブロック2は、円板状に形成された底板6と、この底板6の上面に固着された本体部7とから構成されている。底板6および本体部7は、剛体状の(高剛性の)金属材などにより形成されている。本体部7は、大略筒状に形成されており、その貫通穴8の軸心を底板6の上下方向に向け、且つ、該軸心を底板6の軸心と一致させた状態で、底板6の上面に図示しないボルトなどの締結部材により固定されている。従って、貫通穴8の下端は、底板6により閉蓋されている。
【0019】
この本体部7の貫通穴8は、その軸方向(上下方向)の中間部分が小さい径の小径穴8bとなっており、この小径穴8bの上側の部分と下側の部分とが、それぞれ小径穴8bよりも径の大きい大径穴8a,8bとなっている。換言すれば、これらの小径穴8bおよび大径穴8a,8bを同軸に連通させることで、貫通穴8が形成されている。なお、図示の例では、大径穴8cは、大径穴8aよりも小径とされている。また、本体部7の下部には、大径穴8cの内周面から本体部7の外周面に該本体部7の径方向に貫通するケーブル挿通孔9が穿設されている。
【0020】
可動ブロック4は、円板状の大径部4aと、該大径部4aよりも径の小さい円柱状の小径部4bとから構成されている。小径部4aは、大径部4aの一端面(図1の下端面)から、該大径部4aと同軸且つ一体に突設されている。大径部4aは、貫通穴8の大径穴8aの径よりも若干小さい径に形成され、小径部4bは、貫通穴8の小径穴8bの径よりも若干小さい径に形成されている。そして、該可動ブロック4の小径部4bが貫通穴8の大径穴8a側から小径穴8bを貫通させて大径穴8cまで該貫通穴8と同軸に挿入され、且つ大径部4aが、その上端部(小径部4bと反対側の端部)を大径穴8aの上方に突出させた状態で該大径穴8aに挿入されている。なお、大径部4aの上端面(可動ブロック4の上端面)は、後述するFWD21のセンサ部22を載架するFWD載架面である。
【0021】
さらに、可動ブロック4の大径部4aと小径部4bとの境界の環状段差面4x(大径部4aの下端面)と、前記貫通穴8の大径穴8aと小径穴8bとの境界の環状段差面8x(大径穴8aの底面)との間に、前記皿ばね3が介装されている。該皿ばね3は、例えばJIS G 4801/ばね鋼鋼材/SUP10により形成されている。この皿ばね3は、その軸心部に可動ブロック4の小径部4bの径とほぼ同径の貫通穴3aが穿設されており、この貫通穴3aを介して小径部4bに外挿されている。このとき、皿ばね3の貫通穴3aの周囲部分は、可動ブロック4の環状段差面4xに当接され、且つ、該皿ばね3の周縁部分は、可動ブロック4の環状段差面4xから可動ブロック4の軸方向(貫通穴8の軸方向)に間隔を有する状態で貫通穴8の環状段差面8xに当接されている。これにより、可動ブロック4が皿ばね3を介して基体ブロック2の貫通穴8の環状段差面8x上に支持されている。そして、このとき、皿ばね3の撓み(弾性変形)によって、可動ブロック3がその軸方向(上下方向)に基体ブロック2に対して可動とされている。
【0022】
なお、可動ブロック4の小径部4bの下部(大径穴8c内に突出した部分)の外周には、一対のC型止め輪10,10が装着されている。このC型止め輪10,10は、貫通穴8の小径穴8bの径よりも大きい外径を有し、評価用装置1の運搬時などに、可動ブロック4が基体ブロック2の貫通穴8から抜け落ちるのを防止する。
【0023】
前記変位センサ5は、本実施形態では、非接触変位センサであり、可動ブロック4の下端面(小径部4bの下端面)の中央部に大径穴8c内で対向し、且つ、該下端面と上下方向に間隔を有する状態で基体ブロック2の底板6の上面に固設されている。この場合、該変位センサ5と可動ブロック4の下端面との間隔(上下方向の間隔)は、皿ばね3が最大限に撓んでも、可動ブロック4が変位センサ5に接触することがないような間隔に設定されている。
【0024】
この変位センサ5は、例えば公知のレーザ式変位センサ(レーザ式ギャップセンサ)により構成され、可動ブロック4と変位センサ5との間隔の変化量(該間隔の任意の初期値からの変化量)、すなわち可動ブロック4の上下方向の変位量を検出する。そして、その検出信号を該変位センサ5に接続された信号出力ケーブル11を介して出力する。該信号出力ケーブル11は、大径穴8cの内部から、基体ブロック2の前記ケーブル挿通孔9を通って、基体ブロック2の外部に導出されている。
【0025】
なお、変位センサ5は、静電容量式の変位センサ、あるいは渦電流式の変位センサなど、他の種類のギャップセンサにより構成してもよい。あるいは、変位センサ5を接触式の変位センサにより構成してもよい。該変位センサ5は応答性と検出精度とが比較的高いものを使用することが望ましい。
【0026】
以上が本実施形態の評価用装置1の構造である。
【0027】
ここで、上記のように構成された評価用装置1にあっては、あらかじめ可動ブロック4にその上方から作用する荷重(静的荷重)と、該可動ブロック4の上下方向の変位量との関係があらかじめ図示を省略する力基準機とひずみゲージ式の高感度変位計(接触式変位計)とを使用して、計測され、その計測データを基に、可動ブロック4への作用荷重と該可動ブロック4の変位量との関係を規定する比例定数としてのばね定数(=作用荷重/変位量)が特定されている。
【0028】
この計測は、本実施形態では、次のように行なった。すなわち、評価用装置1を力基準機にセットして、該評価用装置1の可動ブロック4にその上方から、あらかじめ設定した複数種類の値の荷重を順次、力基準機により付与する。そして、各値の荷重の付与状態において、可動ブロック4の変位量(可動ブロック4に荷重を付与していない状態を基準とする変位量)を2台のひずみゲージ式高感度変位計により互いに異なる箇所で計測し、それらの計測値の平均値を可動ブロック4の実際の変位量として得る。図3にその計測データを例示する。この例では、力基準機により可動ブロック4に付与する荷重の値を、1kN、2kN、3kN、4kN、5kNの5種類の値に設定した。
【0029】
そして、この計測データを基に、評価用装置1の可動ブロック4の作用荷重と変位量との関係を表す直線の傾きを最小2乗法などの1次回帰手法により求めることにより、評価用装置1の前記ばね定数を特定した。図3の例では、ばね定数は、7.65kN/mmである。以下、このようにして特定した評価用装置1のばね定数を評価用装置1の基準ばね定数という。なお、本実施形態では、可動ブロック4の作用荷重と変位量との関係を規定する比例定数として、ばね定数を特定したが、該ばね定数の逆数値を当該比例定数として特定するようにしてもよい。
【0030】
次に、この評価用装置1を使用して評価を行なうFWD(小型FWD)の構成の概要を図2を参照して説明する。なお、小型FWDは、公知のものであるので、その構成の説明は概略に留める。
【0031】
図2に例示するFWD21は、例えば本願出願人が前記特許文献1に開示した小型FWDであり、地盤上に載架されるセンサ部22と、このセンサ部22の上面部の周縁部に固設された緩衝部材23と、該センサ部22の上面中央部から立設されて上下方向に延在するガイドロッド24と、このガイドロッド24に外挿されて該ガイドロッド24に沿って上下動自在に設けられた錘体25とを備えている。図では、錘体25は、落下した状態で示されており、緩衝部材23上に載架されている。緩衝部材23は、例えばゴム材により形成されている。
【0032】
ガイドロッド24の上部には、手動操作によって錘体25を係脱自在に係止する係止機構26が装着されている。この場合、係止機構26は、ガイドロッド24に対する装着位置を上下方向に変更可能とされており、これにより錘体25を持ち上げて係止機構26により係止したときの該錘体25の高さを調整できるようになっている。
【0033】
また、図示を省略するが、センサ部22には、その上方から加えられる荷重を検出する荷重センサと、その荷重作用時の該センサ部22の上下方向の変位量を検出するための変位検出用センサとが内蔵されている。この場合、本実施形態で説明するFWD21では、変位検出用センサは、センサ部22の上下方向の加速度を検出する加速度センサにより構成され、該加速度センサの出力信号が表す加速度を2階積分することで、センサ部22の上下方向の変位量が計測される。さらに、センサ部22には、荷重センサおよび変位検出用センサ(加速度センサ)の出力信号を処理するデータ処理部も内蔵されており、このデータ処理部によって、荷重センサの出力信号から所定のサンプリングタイム毎の荷重の計測値を示すデジタルデータが時系列的に生成されると共に、変位検出用センサの出力信号から所定のサンプリングタイム毎のセンサ部22の変位量の計測値を示すデジタルデータが時系列的に生成されるようになっている。そして、それらの計測値データが、センサ部22から導出されたケーブル27を介して外部に出力される。
【0034】
以上が本実施形態において前記評価用装置1により評価するFWD(小型FWD)21の概要構成である。
【0035】
なお、図2において、31は小型FWD21用の測定器、32は評価用装置1用の測定器である。測定器31は、小型FWD21のセンサ部22に前記ケーブル27を介して接続され、該センサ部22の出力信号が示す荷重および変位量の計測値の時系列波形を表示したり、該計測値のピーク値を表示するなどの処理を行なう。また、測定器32は、評価用装置1の前記信号出力ケーブル11に接続され、前記変位センサ5の出力信号が示す変位量の計測値の時系列波形を表示したり、該計測値のピーク値を表示するなどの処理を行なう。
【0036】
次に、評価用装置1を使用した小型FWD21の評価手法を図2を参照して説明する。
(手順1)
まず、高剛性のコンクリートなど、剛体状の材質で形成された水平な床面A上に、評価用装置1を、その基体ブロック2の底板6を介して載架する。さらに、該評価用装置1の可動ブロック4の上端面(FWD載架面)の中央箇所に、小型FWD21のセンサ部22を載架する。
(手順2)
次いで、小型FWD21のセンサ部22のケーブル27と、評価用装置1の信号出力ケーブル11とをそれぞれ前記測定器31,32に接続した後、小型FWD21の錘体25を所定の高さまで持ち上げて、係止機構26により係止する。
(手順3)
次いで、測定器31,32を起動した状態で、錘体25を係止機構26から脱離させ、落下させる。このとき、錘体25は、前記緩衝部材23上に落下し、その落下によって、小型FWD21のセンサ部22と評価用装置1の可動ブロック4に衝撃荷重が作用する。また、その衝撃荷重によって、評価用装置1の皿ばね3が撓み、可動ブロック4が小型FWD21のセンサ部22と共に下動する。そして、このとき、センサ部22に作用する荷重(これは可動ブロック4に作用する荷重に等しい)が該センサ部22に内蔵された荷重センサ(図示しない)の出力信号を基に該センサ部22で計測され、その計測データ(所定のサンプリングタイム毎の計測データの時系列)が測定器31に出力される。また、センサ部22の変位量(これは可動ブロック4の変位量に等しい)が該センサ部22に内蔵された変位検出用センサ(図示しない)の出力信号を基に該センサ部22で計測され、その計測データ(所定のサンプリングタイム毎の計測データの時系列)が測定器31に出力される。
【0037】
同時に、可動ブロック4の変位量は、評価用装置1の変位センサ5でも検出され、その検出信号が前記測定器32に出力される。
【0038】
そして、測定器31では、センサ部22から入力された計測データが示す荷重および変位量の計測値の波形を表示すると共に、その荷重および変位量のそれぞれの計測値の波形のピーク値を求めて、該ピーク値の表示と記憶保持とを行なう。
【0039】
また、測定器32では、変位センサ5から入力された検出信号が示す変位量の計測値の波形を表示すると共に、その変位量の計測値の波形のピーク値を求めて、該ピーク値の表示と記憶保持とを行なう。なお、測定器31,32における波形の表示は、省略してもよい。
【0040】
上記のようにして、測定器31で得られる荷重および変位量の計測値の波形の具体例を図4に示す。図4中のグラフaが、小型FWD21のセンサ部22による荷重の計測値の波形を例示し、グラフbが、該センサ部22による変位量の計測値の波形を例示している。なお、荷重の計測値の波形(グラフa)は、小型FWD21の錘体25を係止機構26で係止した状態におけるセンサ部22への荷重を基準として(0として)示されている。同様に、変位量の計測値の波形(グラフb)は、錘体25を係止機構26で係止した状態におけるセンサ部22の変位量を基準として(0として)示されている。さらに、図4の縦軸の荷重は、下向きの荷重を正とし、変位量は、下向きの変位量を正としている。
【0041】
図4のグラフa,bに見られるように、センサ部22による荷重の計測値の波形は、小型FWD21の錘体25が緩衝部材23上に落下した瞬間(図4の時刻t1)から立ち上がる、上に凸の波形となり、センサ部22による変位量の計測値の波形は、荷重の計測値の波形の立ち上がりからやや遅れて立ち上がる、上に凸の波形となる。
【0042】
なお、図示は省略するが、測定器32で得られる変位量の計測値の波形は、測定器31で得られる変位量の計測値の波形と同様のパターンの波形となる。
【0043】
以上のようにして、手順3では、小型FWD21のセンサ部22から出力される計測データを基に、錘体25の落下時における該センサ部22への荷重(衝撃荷重)のピーク値と、該センサ部22の変位量(下方への変位量)のピーク値とが測定器31により求められ、そのピーク値の表示と記憶保持とが行なわれる。同時に、評価用装置1の変位センサ5から出力される検出信号を基に、錘体25の落下時における可動ブロック4の変位量(下方への変位量)のピーク値とが測定器32により求められ、そのピーク値の表示と記憶保持とが行なわれる。
(手順4)
次いで、錘体25を再び前記手順3の開始時と同じ高さまで持ち上げることと、これに続いて手順3と同じ処理を行なうこととを、所定回数(例えば5回)、繰り返す。なお、この手順4は省略してもよい。
(手順5)
次に、小型FWD21の錘体25の重量、または落下開始時の高さ(以下、落下高さという)、あるいは、該重量および落下高さの両者を変更し、前記手順3および手順4と同じ処理を繰り返す。すなわち、小型FWD21の錘体25の重量と落下高さとの組をあらかじめ複数種類、定めておき、その各種類の重量および落下高さの組に対して、手順3および手順4と同じ処理を行なう。なお、手順4は省略してもよい。
(手順6)
次いで、測定器31で表示または記憶保持されたセンサ部22の作用荷重および変位量のピーク値の計測データを基に、該作用荷重と変位量との関係を規定するばね定数(比例定数)を求める。具体的には、まず、小型FWD21の錘体21の重量および落下高さの、各種類の組に対応する荷重のピーク値の計測データの平均値(前記手順4の回数分の計測データの平均値)と、変位量のピーク値の計測データの平均値(前記手順4の回数分の計測データの平均値)とを求める。これにより、作用荷重のピーク値の計測データの平均値と、変位量のピーク値の計測データの平均値とが、センサ部22の計測データから錘体21の重量および落下高さの各種類の組に対応して求められる。以下、このようにして求められる作用荷重のピーク値の計測データの平均値と変位量のピーク値の計測データの平均値とをそれぞれFWD計測荷重、FWD計測変位量という。なお、これらのFWD計測荷重、FWD計測変位量は、測定器31で演算してもよいが、測定器31とは別の計算機やパソコン等を使用して求めてよい。
【0044】
さらに、手順6では、測定器32で表示または記憶保持された可動ブロック4の変位量のピーク値の計測データを基に、錘体21の重量および落下高さの各種類の組毎に、該変位量のピーク値の計測データの平均値(前記手順4の回数分の計測データの平均値)とを求める。以下、このようにして求められる変位量のピーク値の計測データの平均値を評価用装置計測変位量という。なお、該評価用装置計測変位量は、測定器32で演算してもよいが、測定器32とは別の計算機やパソコン等を使用して求めてもよい。
【0045】
補足すると、前記手順4を省略するようにした場合には、測定器31で表示または記憶保持されたセンサ部22の作用荷重および変位量のピーク値の計測データ(錘体25の重量および落下高さの各種類の組毎の計測データ)を、それぞれ、FWD計測荷重、FWD計測変位量として得るようにすればよい。同様に、測定器32で表示または記憶保持された可動ブロック4の変位量のピーク値の計測データ(錘体25の重量および落下高さの各種類の組毎の計測データ)を、評価用装置計測変位量として得るようにすればよい。
(手順7)
次いで、錘体25の重量および落下高さの各種類の組毎の前記FWD計測荷重およびFWD計測変位量から、それらの間の関係を規定する比例定数としてのばね定数(=FWD計測荷重/FWD計測変位量)を算出する。具体的には、前記評価用装置1の基準ばね定数を特定した場合と同様に、FWD計測荷重とFWD計測変位量との関係を表す直線の傾きを最小2乗法などの1次回帰手法により求めることにより、ばね定数を算出する。このようにして、FWD計測荷重とFWD計測変位量とから求められるばね定数を以下、FWD計測ばね定数という。このFWD計測ばね定数は、評価用装置1の可動ブロック4の作用荷重と変位量との関係を規定するばね定数を、小型FWD21のセンサ部22の計測データを基に推定したものとしての意味を持つ。
【0046】
なお、手順7は、前記評価用装置計測変位量を求める前に行なうようにしてもよい。
(手順8)
次いで、上記の如く求めたFWD計測ばね定数と前記評価用装置1の基準ばね定数との比較、並びに、錘体25の重量および落下高さの各種類の組毎のFWD計測変位量と評価用装置計測変位量との比較に基づいて、小型FWD21を評価する。具体的には、FWD計測ばね定数と基準ばね定数とがほぼ一致する(両ばね定数の差が所定範囲内に収まる)という条件と、錘体25の重量および落下高さの各種類の組毎のFWD計測変位量と評価用装置計測変位量とがほぼ一致する(両変位量の差が所定範囲内に収まる)という条件とが成立する場合には、小型FWD21が正常であると判断する。そして、これらの条件のいずれかが満たされない場合には、小型FWD21は不良であると判断する。ここで、小型FWD21が正常であるというのは、該小型FWD21を使用して、任意の地盤の剛性を検査したときに、該小型FWD21のセンサ部22の計測データから地盤の剛性を適正に把握することができるということ、換言すれば、該計測データが地盤の実際の剛性状態を適切に反映したものとなることを意味する。
【0047】
以上が、本実施形態における小型FWD21の評価手法の手順である。
【0048】
次に、該評価手法による具体的な実施例を表1および図5を参照して説明する。
【0049】
小型FWD21の錘体25の重量を5kg、落下高さを15cm、30cm、45cmの3種類に定め、前記手順1~8に従って、小型FWD21を評価した。なお、この例では、小型FWD21は新品である。
【0050】
このとき、錘体25の重量および落下高さの各組に対応して、前記手順6で得られたFWD計測荷重、FWD計測変位量、評価用装置計測変位量の値を表1に示す。また、該FWD計測荷重およびFWD計測変位量の間の関係を示すグラフを図5に示す。図5中の黒点が、錘体25の重量および落下高さの各組に対応する、FWD計測荷重およびFWD計測変位量の組を示している。
【0051】
【表1】
JP0004588643B2_000002t.gif

【0052】
この場合、評価用装置1の前記基準ばね定数は、前記図3に示した値(=7.65kN/mm)である。また、前記手順7で求められたFWD計測ばね定数、すなわち、図5の直線の傾きは、同図に示す如く、7.67kN/mmである。
【0053】
この実施例では、基準ばね定数と、FWD計測ばね定数とは、ほぼ一致している。また、表1に示した如く、錘体25の重量および落下高さの各組に対応する、FWD計測変位量と、評価用装置計測変位量とは、ほぼ一致している。従って、前記手順8において、小型FWD21は、正常であると判断される。
【0054】
なお、この実施例では、錘体25の重量を1種類として、落下高さを複数種類(3種類)に設定したが、重量を複数種類に設定し、落下高さを1種類に設定してもよく、あるいは、重量および落下高さの両者を複数種類に設定してもよい。
【0055】
以上説明したようにして、本実施形態によれば、評価用装置1を使用して、小型FWD21の評価を簡易に行なうことができる。また、評価用装置1は、その構造が極めて簡単であるので、小型FWD21の評価を低コストで行なうことができる。また、評価用装置1の可動ブロック4を基体ブロック2に支持する金属ばねとして、皿ばね4を使用しているので、小型FWD21の錘体25の落下時に、該皿ばね4の振動が生じにくいと共に、評価用装置1の特性(可動ブロック4の作用荷重と変位量との関係)の安定性が高く、該特性が環境条件の影響を受け難いと共に、経年的な変化を生じにくい。従って、評価用装置1を長期間にわたって使用して、小型FWD21の評価を安定且つ高い信頼性で行なうことができる。
【0056】
なお、前記実施形態では、小型FWD21の評価用装置1について説明したが、該評価用装置21は、図2に示した小型FWD21と異なる構成の小型FWDにも適用できる。さらに、本発明は、小型FWDだけでなく、公知の通常のFWD(比較的大型なFWD)についても適用できる。その場合には、評価用装置の形状、大きさ、金属ばねのばね定数などを該FWDに適合するように設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態の評価用装置の構成を示す断面図。
【図2】図1の評価用装置を使用して評価するFWD(小型FWD)とその評価システムの構成を示す図。
【図3】評価用装置の可動ブロックに作用する荷重と該可動ブロックの変位量との関係を例示するグラフ。
【図4】小型FWDにより計測される荷重と変位量との波形を例示するグラフ。
【図5】小型FWDのセンサ部の出力から計測された荷重と変位量との関係を例示するグラフ。
【符号の説明】
【0058】
1…評価用装置、2…基体ブロック、3…皿ばね(金属ばね)、4…可動ブロック、5…変位センサ、21…FWD(小型FWD)、22…センサ部、23…緩衝部材、25…錘体。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4