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明細書 :車輪支持装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4557909号 (P4557909)
公開番号 特開2007-218791 (P2007-218791A)
登録日 平成22年7月30日(2010.7.30)
発行日 平成22年10月6日(2010.10.6)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
発明の名称または考案の名称 車輪支持装置
国際特許分類 G01M   7/02        (2006.01)
G01M  17/08        (2006.01)
B61F  13/00        (2006.01)
FI G01M 7/00 A
G01M 17/00 F
B61F 13/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願2006-041104 (P2006-041104)
出願日 平成18年2月17日(2006.2.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2005年(平成17年)8月22日 社団法人日本機械学会発行の「第9回「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集 通計番号No.05-15」に発表
審査請求日 平成20年5月16日(2008.5.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】瀧上 唯夫
【氏名】富岡 隆弘
【氏名】山本 大輔
【氏名】西山 幸夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100104064、【弁理士】、【氏名又は名称】大熊 岳人
審査官 【審査官】▲高▼見 重雄
参考文献・文献 特開平10-339629(JP,A)
特開平06-317502(JP,A)
特開2004-025994(JP,A)
特開平09-086123(JP,A)
特開平11-129900(JP,A)
特許第3585425(JP,B2)
特開2000-283894(JP,A)
調査した分野 G01M 7/02
B61F 13/00
G01M 17/08
特許請求の範囲 【請求項1】
車両の車輪を支持する車輪支持装置であって、
前記車輪をレール上に弾性支持する弾性支持部を備え、
前記弾性支持部は、前記車両の台車を加振してこの車両全体を加振する車両加振システムに使用され、この車両の台車を加振してこの車両全体を加振したときに前記車輪と前記レールとの間の振動の伝達を防ぐこと、
を特徴とする車輪支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車輪支持装置において、
前記弾性支持部は、前記車輪と前記レールとの間を電気的に絶縁すること、
を特徴とする車輪支持装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の車輪支持装置において、
前記弾性支持部は、前記レールに着脱自在に装着されること、
を特徴とする車輪支持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車輪支持装置において、
前記車輪の移動を規制する移動規制部を備えること、
を特徴とする車輪支持装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の車輪を支持する車輪支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速化、地盤振動低減、省エネルギ、低コスト化などの要求により鉄道車両の軽量化、構造簡素化が進められているが、これに伴って車体の上下方向の振動が乗り心地の面から問題となるケースが目立つようになっている。乗り心地に影響がある車体の上下振動は、車体を支える空気ばねの上で車体自身は変形しないで振動する「剛体振動」と、車体が曲げ変形しながら振動する「車体曲げ振動」とに大別される。このうち車体曲げ振動は、人が敏感に感じる周波数で顕著に生じるため、乗り心地を向上させるにはその低減が重要となる。曲げ振動が顕著になる共振周波数(固有振動数)とそのときの振動の形(固有振動モード(モード形))は、車体の構造や材質、質量などで決まり、固有振動数とモード形の組は「固有振動モード特性」と呼ばれ、車種毎に固有の性質である。この固有振動モード特性を調べることで車体振動を特徴付けることができ、振動低減に必要な情報を得ることができる。従来、このような固有振動モード特性を調べる場合には、レール上に車輪を接触させた状態で車体を定置で加振する定置加振試験装置を用いており、この定置加振試験装置の動電型加振器などによって車体を直接加振する方法が主流であった。
【0003】
従来の定置加振試験装置は、車両の車体を上下方向に加振するための加振力を発生する加振器(動電型加振器)と、車体の床下中央に一端が連結され他端が加振器に連結された加振棒と、車体の床、屋根、側面などに取り付けられてこれらの振動を検出する加速度計などを備えている(例えば、非特許文献1参照)。このような従来の定置加振試験装置は、車体を加振器によって直接加振して車体の振動を加速度計によって測定し、この測定結果をデータ処理して固有振動数、減衰比、振動形状などの固有振動モード特性を解析している。
【0004】

【非特許文献1】富岡 隆弘、瀧上 唯夫、RRR、財団法人研友社、2005年5月1日、第16頁~第19頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の定置加振試験装置では、レール上に車輪を接触させた状態で車体を加振している。このため、従来の定置加振試験装置では、大きな加振力を車体に作用させても台車を十分な変位(加速度)で加振することができず、台車を含めた車両全体の振動特性を把握できない問題点があった。また、従来の定置加振試験装置では、走行時と加振条件が異なるため、乗り心地を定量的に予測することができない問題点があった。
【0006】
この発明の課題は、加振試験時などに台車を含む車両全体を加振できるように車輪を支持することができる車輪支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、車両(V)の車輪(3a,3b)を支持する車輪支持装置であって、前記車輪をレール(R1,R2)上に弾性支持する弾性支持部(17,18)を備え、前記弾性支持部は、前記車両の台車(2)を加振してこの車両全体を加振する車両加振システム(10)に使用され、この車両の台車を加振してこの車両全体を加振したときに前記車輪と前記レールとの間の振動の伝達を防ぐことを特徴とする車輪支持装置(16)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車輪支持装置において、前記弾性支持部は、前記車輪と前記レールとの間を電気的に絶縁することを特徴とする車輪支持装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車輪支持装置において、前記弾性支持部は、前記レールに着脱自在に装着されることを特徴とする車輪支持装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車輪支持装置において、前記車輪の移動を規制する移動規制部(19,20)を備えることを特徴とする車輪支持装置である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、加振試験時などに台車を含む車両全体を加振できるように車輪を支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の使用状態を概略的に示す正面図である。図2は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の使用状態を概略的に示す側面図である。図3は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の使用状態を概略的に示す平面図である。
【0014】
図1及び図2に示す軌道Rは、車両Vが走行する通路(線路)である。軌道Rは、車両Vの車輪3a,3bを支持し案内してこの車両Vを走行させるレールR1,R2などから構成されている。レールR1,R2は、車輪3a,3bと接触するレール頭部R3を備えており、このレール頭部R3は車輪3a,3bを直接支持し車輪3a,3bの踏面3dと接触して摩擦抵抗を受ける頭頂面(頭部上面)R4などを備えている。図1~図3に示す車両Vは、軌道Rに沿って走行する鉄道車両であり、電車又は気動車などである。車両Vは、車体1と台車2などを備えている。図1~図3に示す車両Vは、例えば、輪軸3を2対有する台車(2軸ボギー台車)2によって支持される2軸ボギー車である。
【0015】
車体1は、乗客又は貨物などを積載し輸送するための構造物である。台車2は、車体1を支持して走行する装置であり、図1~図3に示すように輪軸3と、軸箱4と、台車枠5と、軸ばね6と、まくらばね(空気ばね)8と、けん引装置9などを備えている。輪軸3は、車輪3a,3bと車軸3cとを組み立てた部材である。車輪3a,3bは、レールR1,R2と転がり接触する部材であり、踏面3dとフランジ面3eとを備えている。踏面3dは、レールR1の頭頂面R4と接触して摩擦抵抗を受ける部分であり、フランジ面3eはレールR1,R2から車輪3a,3bが脱輪しないように車輪3a,3bを誘導するために車輪3a,3bの外周部に連続して形成された突起状の部分である。以下では、図1~図3に示す車輪3a,3bには、車両Vの前側から後側に向かって順に1位から8位までの番号を付して説明する。車軸3cは、車輪3a,3bを取り付ける部材である。軸箱4は、一対の車輪3a,3bと一体となって回転する車軸3cを回転自在に支持する部材であり、図示しない軸箱支持装置によって台車枠5の所定の位置に保持されている。台車枠5は、台車2の主要構成部であり、軸ばね6は軸箱4と台車枠5とを結合し垂直方向の荷重を弾性的に支持する装置である。まくらばね8は、車体1と台車枠5との間を結合し、車体1の垂直方向の荷重を支持しつつ台車枠5から車体1に伝わる振動を低減する装置である。けん引装置9は、車体1と台車2とを連結してこれらの間で前後方向の力を伝達させる装置である。
【0016】
図1~図3に示す車両加振システム10は、車両Vの台車2を加振して車両V全体を加振するシステムである。車両加振システム10は、加振装置11と、振動測定装置12と、解析装置13と、車輪支持装置16などを備えている。加振装置11は、台車2の軸箱4を加振する手段であり、軸箱4を加振するアクチュエータ部11aと、このアクチュエータ部11aを加振動作させるための加振指令信号を発生する信号出力部11bと、この信号出力部11bが出力する加振指令信号に基づいて、アクチュエータ部11aを駆動するための駆動電流を出力するドライバ部11cなどを備えている。アクチュエータ部11aは、図1及び図2に示すように、軸箱4を上下方向に駆動する駆動部11dと、下端が地面に固定されて反力を得るための固定部11eなどを備えている。振動測定装置12は、車両Vの振動を測定する手段であり、車体1の振動を検出する振動検出部12aと、軸箱4の振動を検出する振動検出部12bと、振動検出部12a,12bが出力する振動検出信号をそれぞれ増幅するアンプ部12cと、アンプ部12cが出力する車体1及び軸箱4の振動検出信号から特定の周波数成分を抽出又は遮断するフィルタ部12dと、車体1の振動測定値(車体加速度)と軸箱4の振動測定値(軸箱加速度)とを記録するデータ記録部12eなどを備えている。図1~図3に示す振動検出部12aは、固有振動モード特性の同定に必要な個数(図1~図3では代表して1個のみ示す)が車体1に設置されている。
【0017】
解析装置13は、振動測定装置12の測定結果に基づいて車両Vの状態を解析する手段である。解析装置13は、加振装置11が軸箱4を加振したときに振動測定装置12が測定した軸箱振動測定値(軸箱加速度)及び車体振動測定値(車体加速度)に基づいて、軸箱振動測定値から車体振動測定値への伝達関数を解析して、車体1の固有振動モード特性を同定するほか乗り心地を評価する。解析装置13は、例えば、前記振動特性や乗り心地を解析するソフトウェアを備えたパーソナルコンピュータ(PC)などである。
【0018】
図4は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の正面図である。図5は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の平面図である。図6は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の側面図である。図7は、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の底面図である。図8は、図5のVIII-VIII線で切断した状態を示す断面図である。図9は、図5のIX-IX線で切断した状態を示す断面図である。図10は、図5のX-X線で切断した状態を示す断面図である。
【0019】
図1~図10に示す車輪支持装置16は、車両Vの車輪3a,3bを支持する装置である。車輪支持装置16は、例えば、車両加振システム10によって台車2の軸箱4を加振して車両Vの振動を測定し車両Vの状態を評価するときに、台車2を含む車両V全体が振動するように車輪3a,3bをレールR1,R2上に弾性支持する。車輪支持装置16は、図4~図10に示すように、弾性支持部17,18と、移動規制部19,20と、連結部21,22などを備えている。
【0020】
図4、図8及び図9に示す弾性支持部17は、車輪3aをレールR1上に弾性支持する手段であり、弾性支持部18は車輪3bをレールR2上に弾性支持する手段である。弾性支持部17,18は、レールR1,R2の頭頂面R4と車輪3a,3bの踏面3dとの間に挟み込まれる四角柱状のウレタンゴムなどの弾性体である。弾性支持部17,18は、ウレタンゴムなどの絶縁性ゴムを使用したときには、レールR1,R2と車輪3a,3bとの間を電気的に絶縁する機能を有する。弾性支持部17,18は、レールR1,R2の頭頂面R4と密着可能であり、レールR1,R2に着脱自在に装着される。弾性支持部17,18は、図1~図3に示す加振装置11によって台車2が加振されたときに、レールR1,R2と車輪3a,3bとの間の振動の伝達を防ぐ。弾性支持部17,18は、例えば、図3に示すように、1位及び2位の軸箱4を加振したときに1位から8位までの軸箱4に加振力が伝達されないようにこの加振力を絶縁する機能を有する。
【0021】
図4、図5及び図7~図9に示す移動規制部19は、車輪3aの移動を規制する手段であり、移動規制部20は車輪3bの移動を規制する手段である。移動規制部19,20は、レールR1,R2と車輪3a,3bとの間に弾性支持部17,18を挟み込んだときに、レールR1,R2に対して車輪3a,3bが前後方向及び左右方向に移動するのを規制する。移動規制部19,20は、いずれも同一構造であり、以下では移動規制部19を中心として説明し、移動規制部20側の部材のうち移動規制部19側と同一の部材については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。移動規制部19は、図4、図8及び図9に示すように、車輪搭載部材19aと、前後移動規制部材19b,19cと、固定部材19dと、左右移動規制部材19e,19fと、固定部材19gと、ガイド部材19h,19iと、固定部材19jと、間隔調整部材19k,19mなどを備えている。
【0022】
図4~図10に示す車輪搭載部材19aは、車輪3aを搭載する部材である。車輪搭載部材19aは、図5、図6及び図10に示すように、レールR1の長さ方向に伸びて配置された板状部材であり、図8及び図9に示すように車輪搭載部材19aの幅は車輪3aの幅と同一に形成されている。車輪搭載部材19aは、図8に示すように、搭載面19nと位置決め部19p,19qなどを備えている。搭載面19nは、車輪3aの踏面3d及びフランジ面3eに沿った形状に形成された部分であり、車輪搭載部材19aの上面に形成されている。位置決め部19pは、車輪搭載部材19aに対して弾性支持部17を位置決めする部分であり、車輪搭載部材19aの下面に弾性支持部17が装着されるように凹状に形成されている。位置決め部19qは、車輪搭載部材19a上に車輪3aを位置決めする部分であり、図5、図7及び図8に示すように車輪3aのフランジ面3eと嵌合するように、車輪搭載部材19a上面に形成された切欠部及び片方の縁部に形成された切欠部である。
【0023】
図5、図6及び図10に示す前後移動規制部材19b,19cは、レールR1に対して車輪3aが前後方向に移動するのを規制する部材である。前後移動規制部材19b,19cは、レールR1の長さ方向に所定の間隔をあけて車輪3aの前後に配置されており、図6及び図10に示すように車輪3aの踏面3dと搭載面19nとの間に挟み込まれて車輪3aの前後方向の移動(回転)を規制するように断面形状が四角形に形成されている。図7及び図9に示す固定部材19dは、前後移動規制部材19b,19cを車輪搭載部材19aに固定する六角穴付きボルトであり、車輪搭載部材19aの下面側から挿入され装着されている。
【0024】
図4及び図7~図9に示す左右移動規制部材19e,19fは、レールR1に対して車輪3aが左右方向に移動するのを規制する部材である。左右移動規制部材19e,19fは、図4及び図6に示すように、外観が四角形状の板状部材であり、図8及び図9に示すように車輪3aの両側側面を挟み込むように対向して配置されている。左右移動規制部材19e,19fは、車輪3aの幅と同一に配置されている。図4~図9に示す固定部材19gは、左右移動規制部材19e,19fを車輪搭載部材19aに固定する六角穴付きボルトであり、左右移動規制部材19e,19fの外側側面から挿入され装着されている。
【0025】
図4及び図7~図9に示すガイド部材19h,19iは、車輪3aを上下方向に移動自在にガイドする部材である。ガイド部材19h,19iは、左右移動規制部材19e,19fが左右方向に移動してレールR1から脱落するのを防止するストッパとしても機能する。ガイド部材19h,19iは、図4及び図7~図9に示すように、外観が四角柱状の部材であり、図4、図8及び図9に示すようにレール頭部R3の両側側面を挟みこむように対向して配置されている。ガイド部材19h,19iは、図1~図3に示す加振装置11によって台車2を加振して車輪3aを上下方向に自由に変位させたときに、レール頭部R3の両側側面と接触して、振動変位に対して車輪3aが摩擦抵抗を受けないように、図8及び図9に示すようにレールR1の幅よりも僅かに広く間隔をあけて配置されている。図4、図5及び図7~図9に示す固定部材19jは、ガイド部材19h,19iを左右移動規制部材19e,19fに固定する六角穴付きボルトであり、左右移動規制部材19e,19fの外側側面から挿入され装着されている。
【0026】
図4、図8及び図9に示す間隔調整部材19k,19mは、ガイド部材19hとガイド部材19iとの間の間隔を調整する部材である。間隔調整部材19kは、左右移動規制部材19eとガイド部材19hとの間に挿入されるスペーサであり、間隔調整部材19mは左右移動規制部材19fとガイド部材19iとの間に挿入されるスペーサである。間隔調整部材19k,19mは、図4に示すように、例えば、レールR1のレール頭部R3の形状が複数種類存在し、これらのレール頭部R3の幅に応じてガイド部材19hとガイド部材19iとの間の間隔を調整する必要があるときに、左右移動規制部材19e,19fとガイド部材19h,19iとの間に任意の枚数重ねて挿入される。間隔調整部材19k,19mは、固定部材19jによってガイド部材19h,19iとともに左右移動規制部材19e,19fに固定される。
【0027】
図4、図5及び図7~図9に示す連結部21,22は、移動規制部19と移動規制部20とを連結する手段である。連結部21,22は、移動規制部19と移動規制部20との間隔を一定に保持し、移動規制部19,20に車両Vの重量が作用したときに移動規制部19,20が傾いたり移動したりするのを防止する。連結部21,22は、例えば、在来線と新幹線のようにレールR1とレールR2との間の間隔(軌間)が異なるときに、軌間に応じて移動規制部19と移動規制部20との間の間隔を調整可能なように長さが伸縮自在である。連結部21,22は、いずれも同一構造であり、以下では連結部21を中心として説明し、連結部22側の部材のうち連結部21側と同一の部材については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。連結部21は、図4、図8及び図9に示すように、固定軸21a,21bと、固定部材21c,21dと、連結軸21eと、締結部材21f,21gなどを備えている。
【0028】
図4、図8及び図9に示す固定軸21aは、左右移動規制部材19fに固定される部材であり、固定軸21bは左右移動規制部材20fに固定される部材である。図9に示すように、固定軸21a,21bの一端部には、雄ねじ部21hが形成されており、固定軸21a,21bの他端部には雌ねじ部21iが形成されている。図4、図8及び図9に示すように、固定部材21cは固定軸21aを左右移動規制部材19fに固定するボルトであり、左右移動規制部材19fの内側側面から挿入されて固定軸21aの雌ねじ部21iに装着されている。固定部材21dは固定軸21bを左右移動規制部材20fに固定するボルトであり、左右移動規制部材20fの内側側面から挿入されて固定軸21bの雌ねじ部21iに装着されている。
【0029】
連結軸21eは、固定軸21aと固定軸21bとを連結する部材である。図9に示すように、連結軸21eの両端部には、固定軸21a,21bの雄ねじ部21hと噛み合う雌ねじ部21jが形成されている。締結部材21f,21gは、固定軸21a,21bの雄ねじ部21hに装着されるナットであり、固定軸21a,21bの雄ねじ部21hに対して連結軸21eの雌ねじ部21jが緩むのを防止する。締結部材21f,21gは、例えば、固定軸21a,21bの雄ねじ部21hと連結軸21eの雌ねじ部21jとの噛み合い量を調整した後に雄ねじ部21hに締め付けられることによって、レールR1とレールR2との間の間隔に応じて、移動規制部19と移動規制部20との間の間隔を一定に固定する。
【0030】
次に、この発明の実施形態に車輪支持装置の使用方法について説明する。
先ず、軸箱4の下部にジャッキを設置して、ジャッキによって台車枠5を上昇させレールR1,R2と車輪3a,3bとの間に隙間をあける。次に、図4、図8及び図9に示すように、左右移動規制部材19eと左右移動規制部材19fとの間に車輪3aを挟み込み、左右移動規制部材19eと左右移動規制部材19fとが固定部材19gによって車輪搭載部材19aに固定されて移動規制部19が組み立てられる。同様に、左右移動規制部材20eと左右移動規制部材20fとの間に車輪3bが挟み込まれて、移動規制部20が組み立てられる。次に、レールR1,R2と車輪搭載部材19a,20aとの間に弾性支持部17,18が挟み込まれて取り付けられた状態で車両Vの重量が作用したときに、移動規制部19と移動規制部20の間隔や角度が変化しないように、連結部21,22の長さを調整して締結部材21f,21g,22f,22gを締め付ける。車軸3cによって車輪3a,3bが強固に連結されているため、移動規制部19,20が車輪3a,3bに装着されたことによって、連結部21,22の間隔が所定の長さに決まる。
【0031】
次に、レールR1,R2の頭頂面R4と位置決め部19p,20pとの間に弾性支持部17,18を設置すると、図8に示すように弾性支持部17,18が位置決め部19p,20pに位置決めされる。この状態で、ジャッキによって台車枠5を下降させ車輪3a,3bを下降させると、ガイド部材19hとガイド部材19iとの間にレール頭部R3が位置し、ガイド部材20hとガイド部材20iとの間にレール頭部R3が位置し、車輪支持装置16が設置される。このとき、ガイド部材19h,19iとレール頭部R3との間に1mm程度の間隔が形成され、ガイド部材20h,20iとレール頭部R3との間にも1mm程度の間隔が形成される。
【0032】
次に、この発明の実施形態に係る車輪支持装置の作用を説明する。
図1~図3に示すように、加振装置11の駆動部11dが上下方向に往復運動して、1位及び2位の軸箱4を駆動部11dが加振する。図4、図8及び図9に示すように、レールR1,R2と車輪3a,3bとの間には、車輪支持装置16の弾性支持部17,18が挟み込まれている。このため、軸箱4が加振されると弾性支持部17,18が弾性変形して伸縮し、軌道R上で台車2が加振されて台車2とともに車両V全体が加振される。このとき、図3に示す1位及び2位の軸箱4を加振させると、1位及び2位の車輪3a,3bからレールR1,R2を通じて3位から8位までの車輪3a,3bに振動が伝播しようとするが、弾性支持部17,18がこの振動の伝播を遮断する。また、図8及び図9に示すように、ガイド部材19h,20hとレール頭部R3の一方の側面との間、及びガイド部材19i,20iとレール頭部R3の他方の側面との間には1mm程度の隙間が形成されているため、車輪3a,3bが振動して上下方向に変位してもこれらの車輪3a,3bに摩擦力が作用することはない。
【0033】
この発明の実施形態に係る車輪支持装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、車輪3a,3bをレールR1,R2上に弾性支持部17,18が弾性支持する。例えば、レールR1,R2と車輪3a,3bとを接触させた状態で車体1を加振すると、大きな加振力を作用させても台車2を含む車両V全体を十分に加振させることができず、十分な変位(加速度)を得ることができない。この実施形態では、車輪支持装置16が弾性支持部17,18を備えるため、レールR1,R2に対して車輪3bが十分に変位可能になり、台車2を含む車両V全体を加振させることができる。
【0034】
(2) この実施形態では、車輪3a,3bとレールR1,R2との間の振動の伝達を弾性支持部17,18が防ぐ。例えば、図3に示す1位及び2位の軸箱4を加振したときに、1位及び2位の車輪3a,3bからレールR1,R2に振動が伝播して、レールR1,R2と接触している3位から8位までの車輪3a,3bが振動するのを弾性支持部17,18によって防ぐことができる。その結果、1位及び2位の軸箱4のみを加振したときの台車2を含む車両Vの振動を、図1~図3に示す振動測定装置12によって測定することができる。
【0035】
(3) この実施形態では、車輪3a,3bとレールR1,R2との間を弾性支持部17,18が電気的に絶縁する。このため、レールR1,R2上に車輪3a,3bを弾性支持部17,18によって弾性支持したときに、車輪3a,3bとレールR1,R2との間に電流が流れるのを防止することができる。
【0036】
(4) この実施形態では、弾性支持部17,18がレールR1,R2に着脱自在に装着される。このため、車輪支持装置16をレールR1,R2に簡単に装着してレールR1,R2上に車輪3a,3bを弾性支持し、車両Vに対して種々の試験を実施することができる。
【0037】
(5) この実施形態では、車輪3a,3bの移動を移動規制部19,20が規制する。このため、レールR1,R2上から車輪3a,3bが前後方向や左右方向に移動して脱落するのを防止することができる。
【0038】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、1位及び2位の軸箱4を加振するときに1位及び2位の車輪3a,3bとレールR1,R2との間に車輪支持装置16を装着した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、1位及び2位の軸箱4を加振する場合であって加振力が大きいときには、1位から4位までの車輪3a,3bとレールR1,R2との間に車輪支持装置16を装着したり、1位から8位までの全ての車輪3a,3bとレールR1,R2との間に車輪支持装置16を装着したりすることもできる。また、この実施形態では、車両Vを加振して試験するときに車輪支持装置16を使用する場合を例に挙げて説明したが、車両Vと軌道Rとの間を電気的に絶縁して試験する場合などについてもこの発明を適用することができる。
【0039】
(2) この実施形態では、加振装置11によって軸箱4を加振する場合を例に挙げて説明したが、加振装置11によって車輪3a,3b、車軸3c又は台車枠5などを加振して台車2を加振する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、車両Vの上下振動特性及び/又は車両Vの乗り心地を解析装置13によって評価する場合を例に挙げて説明したが、これら以外の車両Vの状態を評価する場合についてもこの発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の使用状態を概略的に示す正面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の使用状態を概略的に示す側面図である。
【図3】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の使用状態を概略的に示す平面図である。
【図4】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の正面図である。
【図5】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の平面図である。
【図6】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の側面図である。
【図7】この発明の実施形態に係る車輪支持装置の底面図である。
【図8】図5のVIII-VIII線で切断した状態を示す断面図である。
【図9】図5のIX-IX線で切断した状態を示す断面図である。
【図10】図5のX-X線で切断した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 車体
2 台車
3 輪軸
3a,3b 車輪
3c 車軸
3d 踏面
4 軸箱
5 台車枠
10 車両加振システム
16 車輪支持装置
17,18 弾性支持部
19,20 移動規制部
19a,20a 車輪搭載部材
19b,19c,20b,20c 前後移動規制部材
19d,20d 固定部材
19e,19f,20e,20f 左右移動規制部材
19g,20g 固定部材
19h,19i,20h,20i ガイド部材
19j,20j 固定部材
19k,19m,20k,20m 間隔調整部材
19n,20n 搭載面
19p,19q,20p,20q 位置決め部
21,22 連結部
21a,21b,22a,22b 固定軸
21c,21d,22c,22d 固定部材
21e,22e 連結軸
21f,21g,22f,22g 締結部材
21h,22h 雄ねじ部
21i,21j,22i,22j 雌ねじ部
V 車両
R 軌道
1,R2 レール
3 レール頭部
4 頭頂面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9