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明細書 :鉄道車両用多目的収容装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4628976号 (P4628976)
公開番号 特開2007-230281 (P2007-230281A)
登録日 平成22年11月19日(2010.11.19)
発行日 平成23年2月9日(2011.2.9)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
発明の名称または考案の名称 鉄道車両用多目的収容装置
国際特許分類 B61D  37/00        (2006.01)
B61D  33/00        (2006.01)
FI B61D 37/00 Z
B61D 33/00 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2006-051788 (P2006-051788)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
審査請求日 平成20年4月3日(2008.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000003377
【氏名又は名称】東急車輛製造株式会社
発明者または考案者 【氏名】鈴木 浩明
【氏名】白戸 宏明
【氏名】藤浪 浩平
【氏名】斎藤 綾乃
【氏名】村越 暁子
【氏名】松岡 茂樹
【氏名】平井 俊江
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】北村 亮
参考文献・文献 特開2000-043718(JP,A)
実開昭48-093906(JP,U)
特開2005-247146(JP,A)
特開平08-131295(JP,A)
調査した分野 B61D 37/00
B61D 33/00
B61D 1/00- 1/08
B61D 13/00-13/02
B62D 31/02
B63B 29/00-29/04
B64D 11/06
A47C 9/00,11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)鉄道車両の片隅に配置される多目的スペースと、
(b)該多目的スペースに配置される上段の水平方向の支持パイプと、
(c)該上段の水平方向の支持パイプの途中から分岐した下段の水平方向の支持パイプとを備え、
(d)前記下段の水平方向の支持パイプが存在しないスペースに折り畳み椅子を配置することを特徴とする鉄道車両用多目的収容装置。
【請求項2】
請求項1記載の鉄道車両用多目的収容装置において、前記下段の水平方向の支持パイプにクッションを装備することを特徴とする鉄道車両用多目的収容装置。
【請求項3】
請求項1記載の鉄道車両用多目的収容装置において、前記上段の水平方向の支持パイプおよび前記下段の水平方向の支持パイプそれぞれにクッションを装備し、前記下段の水平方向の支持パイプに設けたクッションを垂線に対して傾斜した位置に配置することを特徴とする鉄道車両用多目的収容装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用多目的収容装置に係り、特に、鉄道車両用ベビーカー収容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、鉄道車両の客室には構造上やむを得ない場合を除いて、1列車に少なくとも1か所以上車いすスペースを設けるようになっている。
その場合、図12に示すように、車いすスペース103は、車いす使用者の移動が容易で、乗降の際の移動距離が短くてすむように、乗降口101から近い位置に設置するようにしている。また、車いすスペース103であることを表示する車いすシンボルマーク104と非常通報装置105を配置するようにしている。なお、102は乗客用座席である(下記非特許文献1参照)。

【非特許文献1】「障害者・高齢者等のための公共交通機関の車両等に関するモデルデザイン」,財団法人 運輸政策研究機構,平成13年3月,pp.22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、昨今では、バリアフリー化の対象が、障害者・高齢者だけでなく、ベビーカー利用者、子供連れ、大きな荷物を持った人など多様な移動制約者となってきている。駅のエレベータ設置率向上に伴い、ベビーカーでの鉄道利用が増加している。これまでに主なバリア(障壁)であった、駅の階段やホームと車両の段差などが解消されると、ベビーカーに対する車内設備のバリアが新たに問題となることが予想される。そして、少子化とともに、託児施設を設けた職場環境などの整備が進みつつある現在にあっては、通勤時など日常的にベビーカーが乗車する機会の増加が予想されるため、鉄道におけるベビーカーの取扱いは重要な問題となってきている。
【0004】
しかしながら、ベビーカーとともに乗車する利用客が増加しているにもかかわらず、そのベビーカーの収容装置については、十分な対策がとられていないのが現状である。
本発明は、上記状況に鑑みて、鉄道車両の片隅に、安全で快適な多目的スペースを供する鉄道車両用多目的収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕鉄道車両用多目的収容装置において、鉄道車両の片隅に配置される多目的スペースと、この多目的スペースに配置される上段の水平方向の支持パイプと、この上段の水平方向の支持パイプの途中から分岐した下段の水平方向の支持パイプとを備え、前記下段の水平方向の支持パイプが存在しないスペースに折り畳み椅子を配置することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載の鉄道車両用多目的収容装置において、前記下段の水平方向の支持パイプにクッションを装備することを特徴とする。
〕上記〔1〕記載の鉄道車両用多目的収容装置において、前記上段の水平方向の支持パイプおよび前記下段の水平方向の支持パイプそれぞれにクッションを装備し、前記下段の水平方向の支持パイプに設けたクッションを垂線に対して傾斜した位置に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鉄道車両の片隅に、安全で快適な多目的スペースを確保できる鉄道車両用多目的収容装置を提供することができる。特に、ベビーカースペースを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の鉄道車両用多目的収容装置は、鉄道車両の片隅に配置される多目的スペースと、この多目的スペースに配置される上段の水平方向の支持パイプと、この上段の水平方向の支持パイプの途中から分岐した下段の水平方向の支持パイプとを備え、前記下段の水平方向の支持パイプが存在しないスペースに折り畳み椅子を配置する。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ここでは、鉄道車両用多目的収容装置の例として主にベビーカースペースについて説明する。
図1は本発明の参考例を示す鉄道車両用ベビーカーの収容装置の模式図である。
この図において、1は鉄道車両、2はその鉄道車両の片隅に配置されるベビーカースペース、3は窓、4は上段の水平方向の支持パイプ(手すり)、5は上段の水平方向の支持パイプ4よりは車内側に配置される下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)、6はベビーラック(ベビーキープやベビーチェアと言ってもよい)、7は下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)5に装着されるクッション、8はベビーカーである。
【0010】
このように構成された鉄道車両用ベビーカーの収容装置では、ベビーカースペース2の隅に設置されるベビーラック6に、ベビーカー8から下ろしたベビー9を収容することができる。また、保護者10はベビーカー8の近くでクッション7に腰を掛け、上段の水平方向の支持パイプ4を背もたれとして乗車することができる。当然、ベビー9も安全に固定して保護することができる。
【0011】
図2は本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の基本構造を示す図面代用の写真である。
この図に示すように、鉄道車両の片隅の車体の側壁2A及び端壁2Bの下部から突出して上方に伸び、その上端が側壁2A及び端壁2B側に接近するように配置された垂直方向の支持パイプ4Aが設けられ、その垂直方向の支持パイプ4Aに両端が支持される上段の水平方向の支持パイプ(手すり)4と下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)5とを配置する。ここでも下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)5は上段の水平方向の支持パイプ(手すり)4よりは車内側に配置される。ここでは、上段の水平方向の支持パイプ(手すり)4と下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)5とは窓3に臨むように配置されている。
【0012】
図3は本発明の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第1の変形例を示す模式図であり、図3(a)は全体模式図、図3(b)はその利用態様を示す図である。
この図において、11は上段の水平方向の支持パイプ4に設けられるクッション、12は下段の水平方向の支持パイプ5に設けられるクッション、13はベビーカースペースの端壁に配置される固定椅子である。
【0013】
ここでは、下段の水平方向の支持パイプ5は上段の水平方向の支持パイプ4よりは車内側に配置されるので、垂線に対して傾斜したクッション12を配置することができる。
また、この変形例においては、上段の水平方向の支持パイプ4と下段の水平方向の支持パイプ5とにそれぞれクッション11,12を設けて、図3(b)に示すように、種々の態様となるように配置する。
【0014】
すなわち、(1)ではそれぞれクッション11,12は上方を向いて畳まれている。この状態では広い空間のベビーカースペースを提供できる。(2)では上段の水平方向の支持パイプ4のクッション11は畳まれているが、下段の水平方向の支持パイプ5のクッション12は倒されていすを提供することができる。つまり、クッション12をいす(腰掛け)にし、上段の水平方向の支持パイプ4のクッション11は背もたれとなる。(3)では、下段の水平方向の支持パイプ5のクッション12は倒されていすを提供するが、上段の水平方向の支持パイプ4のクッション11は下方に倒して腰もたれとなる。
【0015】
このように、この参考例によれば、種々の態様のベビーカースペースを提供することができる。
図4は本発明の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第2の変形例を示す模式図である。
この変形例においては、下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)5にはクッション7を装着するようにして、ここにベビーの保護者が腰掛けることができるようにする。また、ベビーカースペース2の隅にはベビーラック6を配置する。
【0016】
図5は本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第3の変形例を示す模式図である。
この変形例においては、ベビーカースペース2には複数の折り畳み式の椅子21,22を配置して、開いた椅子21にはベビーカーのベビーの保護者が座り、畳まれた椅子22の空間にベビーカーを収容できるようにする。なお、縦の小さな仕切り板は、多目的スペースを他から区切られた空間にする役割を果たしている。
【0017】
図6は本発明の実施例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第の変形例を示す模式図である。
この変形例においては、上段の水平方向の支持パイプ(手すり)4の途中から下段の水平方向の支持パイプ(腰掛け)31を分岐させて配置するようにする。つまり、途中から上段の水平方向の支持パイプ4だけの1段になる構成である。このようにすると、上段の水平方向の支持パイプ(手すり)4のみが配置され、下段の水平方向の支持パイプ31が配置されない空間は自由な空間として利用することができる。なお、上段の水平方向の支持パイプにも適宜、クッションを設けるようにしてもよい。
【0018】
図7は本発明の実施例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第の変形例を示す模式図である。
この変形例においては、図6に示した、上段の水平方向の支持パイプ(手すり)4のみが配置され、下段の水平方向の支持パイプ31が配置されない自由な空間の壁側に、折り畳み自在な椅子41を配置可能にした。このように構成したので、ベビーカー8が2台ある場合には椅子41は畳んだ状態にして使用する。
【0019】
図8は本発明の実施例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第の変形例を示す模式図である。
この変形例においては、ベビーカー8が一台の場合は、折り畳み自在な椅子41を倒してベビーの保護者がその椅子41に座り、ベビーカー8を安全に保護することができる。
図9は本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第1の利用例を示す模式図である。
【0020】
この図に示すように、図2に示すような基本形態の場合、上段の水平方向のパイプ4には傘51の柄をかけ、傘51の本体は下段の水平方向のパイプ5の窓側に位置するように配置することができる。このように構成すると、傘51は下段の水平方向のパイプ5によってガードされるので、乗客に触れることはなくなり、乗客の衣服を濡らすような恐れがない。
【0021】
図10は本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第2の利用例を示す模式図である。
この図に示すように、上段の水平方向のパイプ4と下段の水平方向のパイプ5とを用いて、ベビーカー61を開いた状態で固定することもできるし、ベビーカー62を畳んだ状態で固定することもできる。
【0022】
以下、本発明の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の利用態様について模式図を参照しながら整理する。
図11は本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の利用態様を示す模式図である。
図11(a)に示すように、ベビーカー8を開いたまま、つまり、ベビー9をベビーカー8に乗せたままであり、保護者10は一方の手でベビーカー8を支え、もう一方の手で上段の水平方向の支持パイプ4に掴まるようにすることができる。
【0023】
また、図11(b)のように、ベビーカー8を開いたまま、つまり、ベビー9をベビーカー8に乗せたままで、保護者10は下段の水平方向の支持パイプ5に腰を掛け、上段の水平方向の支持パイプ4は背もたれとし、一方の手でベビーカー8を支えることができる。
次に、図11(c)のように、ベビーカー8は窓3の方向を向き、保護者10はしゃがんで子供と視線を合わせ、下段の水平方向の支持パイプ5に掴まるようにすることができる。
【0024】
次に、図11(d)のように、ベビー9を抱いた保護者10はベビー9の体重を上段の水平方向の支持パイプ4に預けた状態にできる。
次に、図11(e)のように、畳んだベビーカー62を上段の水平方向の支持パイプ4と下段の水平方向の支持パイプ5に固定することができる。
また、図11(f)のように、立っている乗客71は上段の水平方向の支持パイプ4に掴まることができる。
【0025】
さらに、図11(g)のように、立っている乗客71はカバン72を上段の水平方向の支持パイプ4と下段の水平方向の支持パイプ5の間に預けることができる。
図11(h)のように、既に図9に示したが、傘51を上段の水平方向の支持パイプ4に掛けることができる。
このように、ベビーカースペースでの種々の利用形態をとることができる。
【0026】
なお、2本の手すりは、一般乗客にとっても身体を支えたり、仮に腰を掛けたりすることができ、便利である。
また、上記ベビーカースペースを車いすのスペースとして利用することも可能である。
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の鉄道車両用多目的収容装置は、特に、ベビーカーを伴った利用客の利便性を図るものとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の参考例を示す鉄道車両用ベビーカーの収容装置の模式図である。
【図2】本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の基本構造を示す図面代用の写真である。
【図3】本発明の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第1の変形例を示す模式図である。
【図4】本発明の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第2の変形例を示す模式図である。
【図5】本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第3の変形例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第の変形例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第の変形例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第の変形例を示す模式図である。
【図9】本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第1の利用例を示す模式図である。
【図10】本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の第2の利用例を示す模式図である。
【図11】本発明の参考例の鉄道車両用ベビーカーの収容装置の利用態様を示す模式図である。
【図12】従来の鉄道車両の車いすスペースを示す模式図である。
【符号の説明】
【0029】
1 鉄道車両
2 ベビーカースペース
2A 側壁
2B 端壁
3 窓
4 上段の水平方向の支持パイプ
4A 垂直方向の支持パイプ
5,31 上段の水平方向の支持パイプよりは車内側に配置される下段の水平方向の支持パイプ
6 ベビーラック
7 下段の水平方向の支持パイプに装着されるクッション
ベビーカー
9 ベビー
10 保護者
11,12 クッション
13 固定いす
21,22,41 折り畳み式の椅子
51 傘
61 ベビーカー(開いた状態)
62 ベビーカー(畳んだ状態)
71 立っている乗客
72 カバン
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図2】
11