TOP > 国内特許検索 > 連節式鉄道車両および連節式鉄道車両における横圧低減方法 > 明細書

明細書 :連節式鉄道車両および連節式鉄道車両における横圧低減方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4832124号 (P4832124)
公開番号 特開2007-245745 (P2007-245745A)
登録日 平成23年9月30日(2011.9.30)
発行日 平成23年12月7日(2011.12.7)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
発明の名称または考案の名称 連節式鉄道車両および連節式鉄道車両における横圧低減方法
国際特許分類 B61F   5/44        (2006.01)
B61G   5/02        (2006.01)
FI B61F 5/44 B
B61G 5/02 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2006-067617 (P2006-067617)
出願日 平成18年3月13日(2006.3.13)
審査請求日 平成20年7月15日(2008.7.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】前橋 栄一
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邊 隆
審査官 【審査官】小岩 智明
参考文献・文献 特開2003-048539(JP,A)
特表2000-510414(JP,A)
特開平11-147467(JP,A)
特開平08-026110(JP,A)
特開平11-139310(JP,A)
特表平11-509808(JP,A)
特開2003-261024(JP,A)
特開2006-306156(JP,A)
調査した分野 B61F 5/24, 5/38- 5/44
B61G 5/02
特許請求の範囲 【請求項1】
前後の台車付き車両の間に台車無し車両を配置して各台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしをそれぞれ枢軸によって水平方向に旋回可能にリンク結合してなる連節式鉄道車両において、
前側の台車付き車両と台車無し車両との間であって、前記リンク結合個所の内側と外側とにそれぞれ設けられ、該台車無し車両に対して前側の台車付き車両を前記枢軸の周りに旋回させるアクチュエータと、前側の台車付き車両の曲線力行時における該前側の台車付き車両における車体と台車との間に台車が曲線の中心側へ向くことにより生じる台車ヨー角を検出する台車ヨー角センサと、該台車ヨー角センサによって検出された、前記台車が前記曲線の中心と反対側へ向くことにより生じる逆台車ヨー角にもとづいて前記内側のアクチュエータが伸長し、外側のアクチュエータが収縮する方向へ作動させ、前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を減少させる方向へ調節するコントローラとを備えていることを特徴とする連節式鉄道車両。
【請求項2】
前記前側の台車付き車両と台車無し車両との間には、それらの車体間のヨー角を検出する車体間ヨーセンサが設けられ、前記コントローラは、前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角が設定値以上になった時に、前記アクチュエータの作動を許容することを特徴とする請求項1に記載の連節式鉄道車両。
【請求項3】
前後の台車付き車両の間に台車無し車両を配置して各台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしをそれぞれ枢軸によって水平方向に旋回可能にリンク結合してなる連節式鉄道車両における横圧低減方法であって、
前側の台車付き車両の曲線力行時に、該前側の台車付き車両における車体と台車との間に前記台車が曲線の中心と反対側へ向くことにより生じる逆台車ヨー角を検出し、前側の台車付き車両と台車無し車両の間であって、前記リンク結合個所の内側と外側とにそれぞれ設けたアクチュエータを作動させることにより、前記台車が前記曲線の中心と反対側へ向くことにより生じる逆台車ヨー角にもとづいて前記内側のアクチュエータが伸長し、外側のアクチュエータが収縮する方向へ作動させることにより、前記逆台車ヨー角が減少するように前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を調節することを特徴とする連節式鉄道車両における横圧低減方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、前後の台車付き車両の間に台車無し車両を配置して台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしを水平方向に旋回可能にリンク結合してなる低床形路面電車等の連節式鉄道車両および連節式鉄道車両における横圧低減方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の連節式鉄道車両として、前後両端に運転室部を有する台車付き車両の中間に客室部を有する台車無し車両を配置して、前後の台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしを、各車両の上下端部の一方または両方に設けた連結手段によって枢軸を中心にして水平方向に旋回可能に連結してなる低床形路面電車が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。

【特許文献1】特開2001-301614号公報
【特許文献2】特開2002-264809号公報
【特許文献3】特開2003-48539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記連節式鉄道車両においては、車両がレール曲線部の急曲線区間を力行通過するときに、台車付き車両による台車無し車両から後方の車両の牽引に伴って車両の前後方向に生じる牽引反力が、台車付き車両をレール曲線部の曲線方向と逆の方向に転向させる力を作用させ、この力が台車付き車両における台車の先頭軸がレール曲線部における外軌レール側へのアタック角を大きくして台車の転向性を阻害するために、レールと車輪間に接触横圧が発生し、レールや車輪の摩耗が著しくなって、それらの保守、点検に手間が掛かると共に、車両のレール曲線部における通過性能が損なわれる問題がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、車両のレール曲線部の力行通過時におけるレールと車輪間に生じる接触横圧を軽減し、レールや車輪の摩耗を抑制して、それらの保守、点検が容易にできると共に、車両のレール曲線部における通過性能を向上させることができる連節式鉄道車両および連節式鉄道車両における横圧低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る連結式鉄道車両は、前後の台車付き車両の間に台車無し車両を配置して各台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしをそれぞれ枢軸によって水平方向に旋回可能にリンク結合してなる連節式鉄道車両において、前側の台車付き車両と台車無し車両との間であって、前記リンク結合個所の内側と外側とにそれぞれ設けられ、該台車無し車両に対して前側の台車付き車両を前記枢軸の周りに旋回させるアクチュエータと、前側の台車付き車両の曲線力行時における該前側の台車付き車両における車体と台車との間に台車が曲線の中心側へ向くことにより生じる台車ヨー角を検出する台車ヨー角センサと、該台車ヨー角センサによって検出された、前記台車が前記曲線の中心と反対側へ向くことにより生じる逆台車ヨー角にもとづいて前記内側のアクチュエータが伸長し、外側のアクチュエータが収縮する方向へ作動させ、前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を減少させる方向へ調節するコントローラとを備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る連節式鉄道車両においては、前側の台車付き車両がレール曲線部を力行通過する時に、牽引反力によって前側の台車付き車両における車体と台車との間に生じる逆台車ヨー角が台車ヨー角センサによって検出される。この検出された逆ヨー角にもとづいてコントローラがアクチュエータを作動させて、前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を減少させる方向に調節する。これにより、前側の台車付き車両に対する台車の逆ヨー角を減じられて、前側の台車付き車両がレール曲線の方向へ転向されるので、前側の台車付き車両の先頭軸輪の横圧が軽減されると共にアタック角が減少される。
【0007】
前記連節式鉄道車両において、前記前側の台車付き車両と台車無し車両との間に、それらの車体間のヨー角を検出する車体間ヨーセンサが設けられ、前記コントローラが、前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角が設定値以上になった時に、前記アクチュエータの作動を許容する構成とすると、レール直線部における前側の台車付き車両の蛇行動に伴って生じる車体間ヨー角や台車ヨー角の変化によって前記アクチュエータが無用に作動するのを防止して、レール曲線部においてのみ前側の台車付き車両におけるアクチュエータによる逆ヨー角の調節作用を確実に行わせることができる。
【0008】
また、本発明に係る連節式鉄道車両における横圧低減方法は、前後の台車付き車両の間に台車無し車両を配置して各台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしをそれぞれ枢軸によって水平旋回可能にリンク結合してなる連節式鉄道車両における横圧低減方法であって、前側の台車付き車両の曲線力行時に、該前側の台車付き車両における車体と台車との間に生じた逆台車ヨー角を検出し、前側の台車付き車両と台車無し車両の間に設けたアクチュエータを作動させることにより、前記逆台車ヨー角が減少するように前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を調節することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る連接式鉄道車両における横圧低減方法においては、前後の台車付き車両の間に台車無し車両を配置して各台車付き車両と台車無し車両の相互の端部どうしをそれぞれ枢軸によって水平方向に旋回可能にリンク結合してなる連節式鉄道車両における横圧低減方法であって、前側の台車付き車両の曲線力行時に、該前側の台車付き車両における車体と台車との間に前記台車が曲線の中心と反対側へ向くことにより生じる逆台車ヨー角を検出し、前側の台車付き車両と台車無し車両の間であって、前記リンク結合個所の内側と外側とにそれぞれ設けたアクチュエータを作動させることにより、前記台車が前記曲線の中心と反対側へ向くことにより生じる逆台車ヨー角にもとづいて前記内側のアクチュエータが伸長し、外側のアクチュエータが収縮する方向へ作動させることにより、前記逆台車ヨー角が減少するように前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レール曲線部の力行通過時に、アクチュエータを作動させて、前記台車無し車両に対する前側の台車付き車両の車体間ヨー角を減少させる方向に調節することにより、前側の台車付き車両に対する台車の逆ヨー角を減じて、前側の台車付き車両をレール曲線の方向へ転向させることができるので、前側の台車付き車両の先頭輪軸の横圧を軽減させることができると共にアタック角を減少させることができる。
これによって、レール曲線部における外軌レールと車輪との接触による摩耗を減少させることができ、レールや車輪の保守、点検が容易にできると共に、車両のレール曲線部における通過性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の一実施の形態に係る連節式鉄道車両について添付図面を参照して説明する。
図1~図3は本発明の一実施の形態に係る連節式鉄道車両1を示す。この連節式鉄道車両1は、2台車3車体の車両編成を有する低床路面電車であって、前側に駆動モータを有する2軸ボギー台車2を設けた台車付き車両(駆動車両)3を配置し、後側に駆動モータを有しない2軸ボギー台車2を設けた台車付き車両(従動車両)5を配置すると共に、前記駆動車両3と従動車両5の間に台車無し車両(被牽引車両)6を配置して構成されている。
【0012】
前記駆動車両3の車体3aの後端における上下端部には、図4に示すように、該駆動車両3の幅方向(左右方向、図4で上下方向)の中央において後方(図4で右方)に突き出して一対のリンク7a,7bが固定され、また、前記被牽引車両6の車体6aの前端における上下端部には、該被牽引車両6の幅方向の中央において前方(図4で左方)に突き出して一対のリンク8a,8bが固定されており、前記駆動車両3の各リンク7a,7bと被牽引車両6の各リンク8a,8bとが、それぞれ上下方向(各車両3,6の高さ方向)の同一軸線上に中心を有する枢軸9a,9bによって連結されている。これにより、前記駆動車両3と被牽引車両6の端部どうしが前記リンク7a,7b、8a,8bを介して枢軸9a,9bによって相互に左右方向(水平方向)に旋回可能にリンク結合されている。 また、これと同様に、前記被牽引車両6と前記従動車両5の端部どうしが前記リンク7a,7b、8a,8bを介して枢軸9a,9bによって相互に左右方向(水平方向)に旋回可能にリンク結合されている。
【0013】
前記上下のリンク7a,8a、7b,8bと上下の枢軸9a,9bによる前記駆動車両3と被牽引車両6および被牽引車両6と従動車両5との各上下のリンク結合部10a,10bには、図示しないが、従来周知のように、前記枢軸9a,9bを中心とする前記リンク7a,8aどうしとリンク7b,8bどうしの相対旋回動における振動を吸収する車体間ヨーダンパが設けられており、連節式鉄道車両1がレール直線部を走行する際に、駆動車両3、被牽引車両6、従動車両5がヨーイング振動によって蛇行するのを防止するようになっている。
また、前記駆動車両3と被牽引車両6との各リンク結合部10a,10bにおけるいずれか一方(図示の例では下部のリンク結合部10b)には、前記リンク7bとリンク8bの相対旋回量を検出して、前記駆動車両3と被牽引車両6との左右方向における相対角度(車体間ヨー角)αを検出するための車体間ヨー角センサ11が取り付けられている。
【0014】
また、前記駆動車両3の後端と被牽引車両6の前端との間には、それらの車両3,6の上端部側または下端部側(図示の例では上端部側)であって、各リンク結合部10a,10bの枢軸9a,9bの軸線位置から各車両3,6の幅方向の両外側へ等距離寄った位置に、一対のエアシリンダ装置(アクチュエータ)12A,12Bが設けられている。該エアシリンダ装置12A,12Bは、シリンダ12aが自在継ぎ手12bを介して前記駆動車両3の後端に上下左右方向に回動自在に取り付けられ、ロッド12cが自在継ぎ手を12dを介して前記被牽引車両6の前端に上下左右方向に回動自在に取り付けられている。
【0015】
前記2軸ボギー台車2は、従来周知のボルスタレス台車であって、図5に示すように、台車枠2aが空気ばね4を介して車体3a,5aを支持し、前記台車枠2aと車体3a,5aとの間には、一端部を取付金具13を介して台車枠2aに取り付けられ、他端部を車体3a,5aの下部に垂設したブラケット14に取り付けられた台車ヨーダンパ15が設けられている。該台車ヨーダンパ15は、駆動車両3と従動車両5の左右の両側の対称位置に設けられている。そして、前記駆動車両3の一対の台車ヨーダンパ15のうちの一方には、相対的に移動する一対の部材の一方に対する他方の移動量を検出することにより、車体3aに対する2軸ボギー台車(以下、単に「台車」という)2の台車ヨー角βを検出する台車ヨー角センサ16が設けられている。
【0016】
次に、前記エアシリンダ装置12A,12Bの制御系統について説明する。
図6に示すように、各エアシリンダ装置12A,12Bの各シリンダ12a,12aは、一方のエアシリンダ装置12Aのヘッド側空気室12eが他方のエアシリンダ装置12Bのロッド側空気室12fにエア配管17aで連絡され、他方のエアシリンダ装置12Bのヘッド側空気室12eが一方のエアシリンダ装置Aのロッド側空気室12fにエア配管17bで連絡されており、互いに伸縮方向が反対となっている。前記エア配管17a,17bは電磁切換弁18とエア供給配管17cを介してエアコンプレッサ19aと空気ボンベ19b等からなる圧縮エア供給源19に連絡されている。
また、前記エア配管17a,17bには、それらを連絡を遮断したりそれらを大気に開放させる電磁開閉弁20が設けられている。さらに、前記電磁切換弁18、コンプレッサ19a、電磁開閉弁20には、エアシリンダ装置12A、12Bの作動等をを制御するコントローラ21が接続されている。前記圧縮エア供給源19とコントローラ21等は前記駆動車両3の車体3aの下部に取り付けられている。
【0017】
前記コントローラ21は、車両の力行を判定する力行判定部21aと、車両のレール曲線部の走行を判定する曲線走行判定部21bと、前記車体間ヨー角センサ11、台車ヨーセンサ16からそれらによる検出値を入力する信号入力部21cと、前記被牽引車両6に対する駆動車両3の補助操舵を制御する操舵制御部21dと、前記電磁切換弁18、電磁開閉弁20の切換動作を行う出力部21eと、これらの動作を制御する主制御部21fとを備えている。そして、前記力行判定部21aは駆動車両3の走行速度や後部車両を牽引する牽引力等にもとづいて前記駆動車両3が力行しているか否かを判定するようになっている。
【0018】
また、前記曲線走行判定部21bは、前記車体間ヨー角センサ11から前記信号入力部21cを経て入力された被牽引車両6に対する駆動車両3の一定方向の車体ヨー角αを、予め設定された車体間ヨー角設定値と比較し、該車体間ヨー角設定値より大きな車体間ヨー角αが所定時間以上継続された場合に、前記駆動車両3がレール曲線部Rを走行していると判定し、前記車体間ヨー角αが前記一定方向から逆方向に転じて前記車体間ヨー角設定値以下の状態が所定時間以上継続されたことが認められると、駆動車両3がレール曲線部Rを通過したことを判定するようになっている。
これは、通常、連節式鉄道車両1がレール直線部を走行する時には、車体3aと台車2との間にねじれを伴う蛇行動が発生するが、台車ヨー角と車体間ヨー角は小さな値となるため、これらの小さなヨー角の範囲内では不感帯として、レール曲線部R以外では、前記操舵制御部21dが前記電磁切換弁18を介して前記エアシリンダ装置12A,12Bが無用に動作するのを停止させるためである。
【0019】
また、前記操舵制御部21dは、前記力行判定部21aと曲線走行判定部21bからの各信号を入力して、前記駆動車両3が力行しかつレール曲線部Rを走行している場合に、前記台車ヨー角センサ16から信号入力部21cを経て入力された前記車体3aに対する台車2のヨー角(台車ヨー角)βの方向とその大きさを判定し、予め設定された台車ヨー角設定値より大きな台車ヨー角βが所定時間以上継続された場合に、出力部21eを介して前記電磁切換弁18のソレノイドa,bの励磁、消磁を行わせるようになっている。
なお、前記車体間ヨー角αと前記台車ヨー角βは、それぞれ、レール曲線部Rの曲線半径の中心側へ向く場合(曲線内向き)をプラス(+)側の車体間ヨー角、台車ヨー角(単に、車体間ヨー角、台車ヨー角)と称し、その反対側へ向く場合(曲線外向き)をマイナス(-)側の車体間ヨー角、台車ヨー角(逆車体間ヨー角、逆台車ヨー角)と称する。なお、車体間ヨー角αで曲線内向きとは、駆動車両3の先頭部が曲線半径の中心側へ向くことを意味し、この場合には、駆動車両3は、前記枢軸9a,9bを境にして、レール曲線部Rの中心と反対の側において被牽引車両6との間隔が広がる方向となる。
【0020】
次に、前記構成の連節式鉄道車両1のレール曲線部の走行時におけるエアシリンダ装置12A,12Bによる補助操舵制御について説明する。
前記連節式鉄道車両1がレール直線部における走行時には、駆動車両3の車体3aと台車2との間にねじれを伴う蛇行動が発生することもあるが、それらに起因する台車ヨー角βと車体間ヨー角αは小さな値となるため、前記の通り、それらの値の範囲内では、前記コントローラ21は前記操舵制御部21dが不感帯として判断して、前記出力部21eを介して前記電磁切換弁18の各ソレノイドa,bを消磁させ、電磁開閉弁20を消磁させるので、該電磁切換弁18が中間位置となると共に電磁開閉弁20によって両エア配管17a,17bが大気に開放される。これにより、前記各エアシリンダ装置12A,12Bは、それらのヘッド側空気室12e,12eとロッド側空気室12f,12fのエアが大気に排気されて作動せず、ロッド12c,12cの伸縮が自由状態となっている。
【0021】
前記連節式鉄道車両1が、図7に示すように、レール直線部からレール曲線部Rに進入して走行すると、駆動車両3の台車2が、レール曲線部Rによってその曲線半径の中心方向に旋回し、車体3aに対してプラス側の台車ヨー角βとなると共に、前記車体3aが被牽引車両6の車体6aに対して大きな車体間ヨー角αが発生する。前記駆動車両3が惰性走行においては、そのような状態でレール曲線部Rを通過する場合もある。
しかし、駆動車両3の台車2が車体3aを介して前記被牽引車両6、従動車両5を牽引して力行している場合には、前記リンク結合部10a,10bにおいて牽引力が発生しており、その反作用によって駆動車両3の車体3aの後部側がレール曲線部Rの曲線中心方向に向く旋回力を受け、これによって前記台車2が車体3aに対して、図7に破線で示すように、マイナス側の台車ヨー角(逆台車ヨー角)βとなる。
【0022】
そこで、この逆台車ヨー角βが前記台車ヨー角センサ16によって検出されて前記コントローラ21の操舵制御部21dに入力されると、該操舵制御部21dは予め設定された台車ヨー角設定値と入力された逆台車ヨー角βとを比較して、該逆台車ヨー角βが台車ヨー角設定値より大きいときには、前記力行判定部21aと前記曲線走行判定部21bからの入力信号により駆動車両3がレール曲線部Rを力行していることを確認した後、前記出力部21eに出力して前記電磁開閉弁20のソレノイドaを消磁させると共に電磁切換弁18のソレノイドaを励磁させ、ソレノイドbを消磁させる。これにより、エア配管17a,17bの連通が遮断されて大気への開放が止められると共に、エアシリンダ装置12Aのヘッド側空気室12eとエアシリンダ装置12Bロッド側空気室12fにエア供給源19から圧縮エアが供給されて、一方のシリンダ装置12Aが伸長し、他方のエアシリンダ装置12Bが収縮して、前記駆動車両3の車体3aが、被牽引車両6の車体6aに対して車体間ヨー角αがマイナス側へ補助的に操舵されて図7で鎖線で示すように転向され、プラス側の車両間ヨー角αが車体間ヨー角α1へ減少される。
【0023】
そのため、前記車体3aに対する台車2の逆台車ヨー角βが減じられ、該逆台車ヨー角βがゼロになったときには、これを前記操舵制御部21dが判断して、前記出力部21e介して前記電磁切換弁18のソレノイドaを消磁させるので、該電磁切換弁18が中間位置に変わり、各エアシリンダ装置12A,12Bはシリンダ12a,12aに対するエアの給排が停止されて、前記被牽引車両6に対する駆動車両3の補助操舵が停止され、その状態が維持される。
これにより、駆動車両3は、被牽引車両6に対してエアシリンダ装置12A,12Bによる補助操舵を行わない図8(b)に示す場合に比べて、車体3aから台車2に対してレール曲線部Rの曲線外向きに作用する逆台車ヨー角方向の転向力が減じられ、車体3aと台車2とが、図8(a)に示すように略同方向を向くこととなって、駆動車両3の台車2における先頭車輪2bのレール曲線部Rの外軌レールR1に対するアタック角θが減少して、外軌レールR1と車輪2bとの接触横圧が小さくなる。したがって、駆動車両3が被牽引車両6と従動車両5の後部車両を牽引しながらレール曲線部を円滑に力行通過することができると共に、レール曲線部Rにおけるレールの摩耗を減少させることができる。
【0024】
前記レール曲線部Rの出口においては、前記駆動車両3がレール直線部によってレール曲線方向に対して外向きの操向を受け、車体間ヨー角αがマイナス側(逆ヨー角)となるので、前記曲線走行判定部21bが前記車体間ヨーセンサ11の検出値にもとづいて駆動車両3が直線レール部に入ったことを判断し、速やかに前記電磁切換弁18の両ソレノイドa,bが消磁されると共に、電磁開閉弁20が消磁される。これにより、各エアシリンダ装置12A,12Bのシリンダ12a,12bからエアが排気され、該シリンダ12a,12bは伸縮が自由な状態となって、前記被牽引車体6に対する駆動車両3の補助操舵が停止される。
【0025】
なお、レール曲線部Rの出口では、駆動車両3の車体3aに対する台車2の台車ヨー角βもマイナス側となるので、台車ヨー角センサ16の検出値によって駆動車両3の方向がレール曲線部Rを出たことを判定して、前記補助操舵を停止させることもでき、また、前記各エアシリンダ装置12A,12Bは、車体間ヨー角αの減少によって各シリンダ12a,12aの空気室12e,12fの一方が圧縮を受けるので、圧縮を受けた一方の空気室12e,12fの圧力上昇を検知して、前記補助操舵を停止させることもできる。
前記エアシリンダ装置12A,12Bによる補助操舵は、万が一の誤動作の場合にも脱線等の最悪の事態を回避できるフェールセーフ機構であって、制御付き自然振り子等と同様な機能を奏するものである。
【0026】
また、先頭で後部車両を牽引する駆動車両3においては、牽引反作用による動的な挙動が色々発生し、その中でも後方が引き下げられて前方が上がる「軸重移動」等が介在することが多い。このように、駆動車両3の台車2における先頭輪軸の軸重ないし輪重が「軽く」なった状態では、レール曲線部Rの急曲線通過時に輪重に対して大きめな横圧が作用し、脱線係数(横圧Q/輪重P)が増加して駆動車両3が脱線しやすい不利な状況となるが、前記エアシリンダ装置12A,12Bによる補助操舵によれば、前記横圧を減少させることができることから、そのような不利な状況を効果的に解消させることができる。また、上り勾配のレール曲線部R等においては牽引力の反作用も大きいため、上り勾配の線形で急曲線の連続するようなレール曲線部Rにおいて前記補助操舵を行う効果は極めて大きい。
【0027】
なお、前記実施の形態に係る連節式鉄道車両1においては、前記駆動車両3の被牽引車両6に対する補助操舵を行う前記エアシリンダ装置12A,12Bを駆動車両3の車体3aの後端と被牽引車両6の車体6aの前端との間に設けたが、これに限らず、例えば図9に示すように、前記駆動車両3の車体3aに固定した下部リンク7bと被牽引車両6の車体6aに固定したリンク8bに、それらの左右(図9で上下)にそれぞれ支持部材7c,7c、8c,8cを固定して設け、前記枢軸9を挟んで、その左右の等距離離れた位置において、前記支持部材7c,7cと支持部材8c,8cとの間に、ダイヤフラム型等の空気アクチュエータ(アクチュエータ)22,22を車体3a,6aの前後方向(図9で左右方向)に配置して、該空気アクチュエータ22,22の両端部を前記支持部材7c,7cと支持部材8c,8cに固着し、空気アクチュエータ22,22に対して前記圧縮エア供給源19から圧縮エアを供給して該空気アクチュエータ22,22を伸縮させることにより、被牽引車両6に対する駆動車両3の補助操舵を行うようにしてもよい。
【0028】
また、前記実施の形態に係る連節式鉄道車両1においては、前記駆動車両3の被牽引車両6に対する補助操舵を行うアクチュエータとしては、大きな力を要しないので前記エアシリンダ装置12A,12B、空気アクチュエータ22を採用したが、これらに代えて油圧シリンダ、その他のアクチュエータを採用してもよい。
通常、駆動車両3の車体3aと被牽引車両6の車体6aとの間に車体間ダンパ(図示せず)が設けられるので、前記車体間ヨー角センサ11は、リンク7b,8bに直接に取り付けずに前記車体間ヨーダンパの相対的に運動する部材間に設けてもよく、前記エアシリンダ装置12A,12Bのシリンダとロッドとの間に設けてもよい。
【0029】
また、前記実施の形態に係る連節式鉄道車両1においては、前側の台車付き車両3の台車2に駆動モータを備えて、これにより被牽引車両6と駆動モータを備えていない後側の台車付き車両5を牽引して一方向に力行する例を示したが、これに限らず、被牽引車両6の後端と後側の台車付き車両5の前端との間にも前記エアシリンダ装置12A,12B、空気アクチュエータ22等(前側アクチュエータ)と同様な後側のアクチュエータを設けると共に、前記後側の台車付き車両5の台車2に駆動モータを備えて、該後側の台車付き車両5と前記前側の台車付き車両3の一方を駆動車両とし他方を従動車両として、駆動車両となる側の前側アクチュエータまたは後側アクチュエータを機能させて、両方向に連節式鉄道車両を力行させるようにしてもよい。
さらに、連節式鉄道車両として、2台車3車体の車両編成を有する低床路面電車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、3台車5車体の車両編成やそれ以上の数の台車、車体を有する車両編成の路面電車、路面電車以外の軌道走行車両にも適用することができる。また、一体輪軸ボギー台車も独立回転車輪ボギー台車であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連節式鉄道車両の側面図である。
【図2】図1のイ矢視図である。
【図3】図1のロ-ロ矢視図である。
【図4】図1のハ-ハ矢視拡大図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る連節式鉄道車両の台車の側面図である。
【図6】同じくアクチュエータの作動制御系統図である。
【図7】同じく補助操舵の説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る連節式鉄道車両と従来の連節式鉄道車両のレール曲線部における力行通過状態を示す説明図である。
【図9】車体の連結部の他の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 連節式鉄道車両
2 台車
3 前側の台車付き車両(駆動車両)
3a,5a,6a 車体
5 後側の台車付き車両(従動車両)
6 台車無し車両(被牽引車両)
7a,7b,8a,8b リンク
9a,9b 枢軸
10a,10b リンク結合部
11 車体間ヨー角センサ
12A,12B エアシリンダ装置(アクチュエータ)
15 台車ヨーダンパ
16 台車ヨー角センサ
18 電磁切換弁
19 エア供給源
20 電磁開閉弁
21 コントローラ
22 空気アクチュエータ(アクチュエータ)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8