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明細書 :接触検出装置及び接触検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4810658号 (P4810658)
公開番号 特開2007-240455 (P2007-240455A)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
発行日 平成23年11月9日(2011.11.9)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 接触検出装置及び接触検出方法
国際特許分類 H03K  17/96        (2006.01)
G01B  11/14        (2006.01)
FI H03K 17/96 J
G01B 11/14 H
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2006-066507 (P2006-066507)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
審査請求日 平成21年3月4日(2009.3.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】石井 抱
【氏名】山本 健吉
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100114270、【弁理士】、【氏名又は名称】黒川 朋也
審査官 【審査官】柳下 勝幸
参考文献・文献 山本 健吉 Kenkichi YAMAMOTO,高速ビジョンを用いた実時間指先タッピングインタフェース Real-Time Finger Tapping Interface Using High-Speed Vision,電子情報通信学会論文誌 (J90-D) 第2号 THE IEICE TRANSACTIONS ON INFORMATION AND SYSTEMS (JAPANESE EDITION),日本,社団法人電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS,第J90-D巻
塚田 浩二 KOJI TSUKADA,インタラクション技術の革新と実用化 Interaction Technologies-Research and Practical Aspects,情報処理学会論文誌 第43巻 第12号 IPSJ Journal,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,第43巻
調査した分野 H03K 17/96
G01B 11/14
G01L 5/00
G06F 3/042
特許請求の範囲 【請求項1】
物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出装置であって、
前記物体及び前記接触対象物体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した画像内における前記物体及び前記接触対象物体の位置に基づき、前記物体から前記接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段が測定した前記第1時系列変化量中、所定のカットオフ周波数以上の周波数成分の時系列的な変化量を、第2時系列変化量として抽出するハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタが抽出した前記第2時系列変化量が所定のしきい値以上となった場合に、前記物体と前記接触対象物体との接触を検出する接触検出手段と
を備えることを特徴とする接触検出装置。
【請求項2】
前記ハイパスフィルタが抽出した前記第2時系列変化量に比例する値を、前記物体と前記接触対象物体とが接触する時の衝突力を表す値として測定する衝突力測定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の接触検出装置。
【請求項3】
前記撮影手段の撮影対象となる前記物体に、当該物体の位置を表すための任意の標識が設けられ、
前記撮影手段は前記標識を撮影し、
前記距離測定手段は、前記撮影手段が撮影した前記標識の撮影画像内における位置に基づき、前記標識から前記接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接触検出装置。
【請求項4】
前記ハイパスフィルタにおける前記所定のカットオフ周波数は、40ヘルツであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の接触検出装置。
【請求項5】
前記接触検出手段における前記所定のしきい値は、0.5mmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の接触検出装置。
【請求項6】
物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出方法であって、
撮影手段が、前記物体及び前記接触対象物体を撮影する撮影ステップと、
距離測定手段が、前記撮影ステップにて撮影された画像内における前記物体及び前記接触対象物体の位置に基づき、前記物体から前記接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定する距離測定ステップと、
ハイパスフィルタが、前記距離測定手段が測定した前記第1時系列変化量中、所定のカットオフ周波数以上の周波数成分の時系列的な変化量を、第2時系列変化量として抽出するハイパスフィルタリングステップと、
接触検出手段が、前記ハイパスフィルタリングステップにて抽出された前記第2時系列変化量が所定のしきい値以上となった場合に、前記物体と前記接触対象物体との接触を検出する接触検出ステップと
を備えることを特徴とする接触検出方法。
【請求項7】
衝突力測定手段が、前記ハイパスフィルタリングステップにて抽出された前記第2時系列変化量に比例する値を、前記物体と前記接触対象物体とが接触する時の衝突力を表す値として測定する衝突力測定ステップを更に備えることを特徴とする請求項6に記載の接触検出方法。
【請求項8】
前記撮影ステップにおける撮影対象となる前記物体に、当該物体の位置を表すための任意の標識が設けられ、
前記撮影ステップにおける前記撮影手段は前記標識を撮影し、
前記距離測定ステップにおける前記距離測定手段は、前記撮影ステップにて撮影された前記標識の撮影画像内における位置に基づき、前記標識から前記接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の接触検出方法。
【請求項9】
前記ハイパスフィルタリングステップにおける前記所定のカットオフ周波数は、40ヘルツであることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の接触検出方法。
【請求項10】
前記接触検出ステップにおける前記所定のしきい値は、0.5mmであることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の接触検出方法。



発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出装置及び接触検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報機器におけるヒューマンインタフェースの多様化が進んでおり、人間の体の様々な部分がインタフェースとして使われている。特に人間の意図に応じて高自由度かつ高速に動作可能な指をインタフェースとする研究が活発に行われている。例えば非特許文献1には、加速度を検出するセンサを指先に装着した装置が記載されている。非特許文献1に示すように、センサを指先に直接に装着すると、指先に対する所望の情報が計測しやすくなるといった長所がある。

【非特許文献1】塚田浩二,安村通晃、Ubi-Finger、モバイル指向ジェスチャ入力デバイスの研究、情報処理学会論文集、Vol43、No.12、pp.3675~3684、2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、センサを検出対象となる物体に直接に装着するような手法においては、例えば規模が巨大化されたセンサが検出対象となる物体の動作に支障を与えてしまうといった問題点がある。更に、検出対象となる物体が例えば人間の体の一部である場合には、そもそもセンサを体に装着すること自体に、人間は違和感を感じるといった問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、検出対象となる物体にセンサを装着しなくても、検出対象となる物体に対する所望の情報を検出することが可能な手法を提供する。具体的に、本発明は、物体が接触対象物体に接触することを検出するセンサを当該物体に装着しなくても、物体と接触対象物体との接触可否を検出することが可能な接触検出装置及び接触検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、物体と接触対象物体とが接触する瞬間に、上記物体から接触対象物体までの距離に対する時系列的な変化量において、高周波数成分が一時的に発生することを見出した。更に、発生した高周波数成分の大きさは、物体と接触対象物体とが接触する瞬間の衝突力に比例することを見出した。本発明は、これらのような新たな知見に基づいて為されたものである。
【0006】
すなわち、本発明に係る接触検出装置は、物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出装置であって、物体及び接触対象物体を撮影する撮影手段と、撮影手段が撮影した画像内における物体及び接触対象物体の位置に基づき、物体から接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定する距離測定手段と、距離測定手段が測定した第1時系列変化量中、所定のカットオフ周波数以上の周波数成分の時系列的な変化量を、第2時系列変化量として抽出するハイパスフィルタと、ハイパスフィルタが抽出した第2時系列変化量が所定のしきい値以上となった場合に、物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る接触検出方法は、物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出方法であって、撮影手段が、物体及び接触対象物体を撮影する撮影ステップと、距離測定手段が、撮影ステップにて撮影された画像内における物体及び接触対象物体の位置に基づき、物体から接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定する距離測定ステップと、ハイパスフィルタが、距離測定手段が測定した第1時系列変化量中、所定のカットオフ周波数以上の周波数成分の時系列的な変化量を、第2時系列変化量として抽出するハイパスフィルタリングステップと、接触検出手段が、ハイパスフィルタリングステップにて抽出された第2時系列変化量が所定のしきい値以上となった場合に、物体と接触対象物体との接触を検出する接触検出ステップとを備えることを特徴としている。
【0008】
このような本発明の接触検出装置及び接触検出方法によれば、距離測定手段が、物体から接触対象物体までの距離の第1時系列変化量を測定する。次に、ハイパスフィルタが所定のカットオフ周波数未満の低周波数成分を第1時系列変化量から除去し、第1時系列変化量における高周波数成分の集合である第2時系列変化量を抽出する。ここで、本発明者等が見出したこと、つまり、物体と接触対象物体とが接触する瞬間に、上記物体から接触対象物体までの距離に対する時系列的な変化量において高周波数成分が一時的に発生するということに着眼する。すなわち、高周波数成分のみの第2時系列変化量が所定のしきい値以上となった場合に、接触検出手段は、当該物体と接触対象物体との間に接触があったことを検出することができる。
【0009】
このように、本発明の接触検出装置及び接触検出方法においては、物体と接触対象物体との間の接触を検出することを目的に、例えば接触検出センサを当該物体に装着することはしない。このため、本発明によれば、物体と接触対象物体との接触を検出可能にすると共に、例えば物体に装着された接触検出センサが当該物体の動作に支障を与えることを防止することができる。
【0010】
また、接触検出装置は、ハイパスフィルタが抽出した第2時系列変化量に比例する値を、物体と接触対象物体とが接触する時の衝突力を表す値として測定する衝突力測定手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
また、接触検出方法は、衝突力測定手段が、ハイパスフィルタリングステップにて抽出された第2時系列変化量に比例する値を、物体と接触対象物体とが接触する時の衝突力を表す値として測定する衝突力測定ステップを更に備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、本発明者等が見出したこと、つまり、物体から接触対象物体までの距離に対する時系列的な変化量において、発生した高周波数成分の大きさは、物体と接触対象物体とが接触する瞬間の衝突力に比例することに着眼する。すなわち、衝突力測定手段は、第2時系列変化量に比例する所定の値を、物体と接触対象物体とが接触した時に発生した衝突力として検出することができる。
【0013】
また、接触検出装置においては、撮影手段の撮影対象となる物体に、当該物体の位置を表すための任意の標識が設けられ、撮影手段は標識を撮影し、距離測定手段は、撮影手段が撮影した標識の撮影画像内における位置に基づき、標識から接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定することを特徴とする。
【0014】
また、接触検出方法においては、撮影ステップにおける撮影対象となる物体に、当該物体の位置を表すための任意の標識が設けられ、撮影ステップにおける撮影手段は標識を撮影し、距離測定ステップにおける距離測定手段は、撮影ステップにて撮影された標識の撮影画像内における位置に基づき、標識から接触対象物体までの距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定することを特徴とする。
【0015】
この場合に、標識は物体の位置を表すものとして、物体に比べて小さくて軽いものを用いることができる。このため、例えば撮影画像から物体の位置を認識する代わりに標識の位置を認識することによって、画像認識にて要求される計算量を減らすと共に、物体の位置を撮影画像から直接に認識する場合と同等な結果を得ることができる。
【0016】
また、接触検出装置において、ハイパスフィルタにおける所定のカットオフ周波数は、40ヘルツであることを特徴とする。また、接触検出方法において、ハイパスフィルタリングステップにおける所定のカットオフ周波数は、40ヘルツであることを特徴とする。
【0017】
このように、カットオフ周波数を40ヘルツに設定することで、特に、物体が人間の指またはロボットにおける人間の指に相当する部分である場合に、極めて制度良く接触を検出することができる。すなわち、人間の指あるいはロボットにおける人間の指に相当する部分と接触対象物体とが接触した場合に発生した高周波数成分が第2時系列変化量において明確に表れるので、接触検出手段は、人間の指あるいはロボットにおける相当部分と接触対象物体との接触可否を確実に検出することができる。
【0018】
また、接触検出装置において、接触検出手段における所定のしきい値は、0.5mmであることを特徴とする。また、接触検出方法において、接触検出ステップにおける所定のしきい値は、0.5mmであることを特徴とする。
【0019】
このように、しきい値を0.5mmに設定することで、特に、物体が人間の指またはロボットにおける人間の指に相当する部分である場合に、極めて制度良く接触を検出することができる。すなわち、接触検出手段は、人間の指あるいはロボットにおける相当部分と接触対象物体とが接触していないときに発生し得る微細な高周波数成分を無視することができ、人間の指あるいはロボットにおける相当部分と接触対象物体との接触可否を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、物体が接触対象物体に接触することを検出するセンサを当該物体に装着しなくても、物体と接触対象物体との接触可否を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の知見は、例示のみのために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0022】
[第1実施形態]
本発明に係る接触検出装置及び接触検出方法の第1実施形態として、タッピングカウンタ(Tapping Counter)1について説明する。タッピングカウンタ1は、指先20が板30の表面をタッピングした数を、接触検出センサなどを指先20に装着せずに、カウントするものである。まず、タッピングカウンタ1の構成について、図1~3を参照しながら説明する。図1~3は、接触の検出対象としての指先(物体)20、当該指先20の接触対象としての板(接触対象物体)30、及び、接触検出装置として撮影部(撮影手段)11と制御部12とを備えるタッピングカウンタ1の構成を説明するための図である。
【0023】
図1,2に示すように、第1実施形態における接触検出の対象となる指先20には、当該指先20の位置を表すためのマーカー(標識)21が設けられている。このマーカー21は、指に比べて小さくて軽くて更に画像認識における認識率の高いものとして、第1実施形態においては、例えば直径5mmで光沢のある軽いボールを用いる。そして、後述するように、タッピングカウンタ1は、撮影画像から指先20の位置を直接に画像認識する代わりに、マーカー21の位置を認識する。
【0024】
図1,3に示すように、第1実施形態における板30は、指先20が接触する対象となる物体であり、基本的には動かないものとして、肉厚2.9mmの鉄製の平面板である。このため、板30は撮影画像における背景となり、例えばタッピングカウンタ1が撮影フレームごとに板30までを認識する必要はない。すなわち、第1実施形態においては、撮影画像において予め決まった部分の座標を板30の位置情報をとして用いる。
【0025】
図1,3に示す撮影部11は、マーカー21及び板30を撮影した画像内における当該マーカー21の位置情報(位置座標)を実時間に抽出するものであり、第1実施形態においては、例えば空間解像度1280×1024ピクセルのCMOSイメージセンサを有する通常の高速ビジョンカメラである。この撮影部11は、抽出したマーカー21の位置情報を制御部12に出力する。
【0026】
図1に示す制御部12は、マーカー21及び板30の位置情報をもとに、指先20と板30との接触を検出するものである。第1実施形態において、制御部12は、物理的な構成要素としてCPU、メモリ、通信インタフェイス、ハードディスクといった格納部、モニターといった表示部等を備えたコンピュータシステムである。
【0027】
指先20と板30と撮影部11との位置関係について、図3を参照しながら詳しく説明する。図3に示すように、第1実施形態においては、撮影部11からみて前方約400mm前後の平面上で、指先20が動ごくことを想定する。撮影部11は、板30の表面から80mm上方かつ板30に対して光軸を水平に保つように配置される。撮影部11の視野は、指先20位置付近において288mm×230mmと設定し、1画素あたり0.225mmの空間解像度として設定される。指先20の位置は、上述したように、撮影部11が指先20に装着したマーカー21を追跡し、従来の画像認識技術を用いて計算することができる。第1実施形態において、撮影部11は、例えば64×64ピクセルのウィンドウを用いて指先20のマーカー21を追跡し、その重心位置を計算することにより指先20の位置を求める。指先20位置の計測レートは対象とする指の本数により変動させることが好適であり、例えば1本の場合は900[fps]とし、2本、3本、4本の場合はそれぞれ470[fps]、390[fps]、280[fps]とすることが望ましい。なお、第1実施形態においては、説明を簡略にするために、対象とする指の本数を1本とし、指先20位置の計測レートを900[fps]とする。なお、板30の位置は、上述したように、撮影画像において予め決まった所定部分の座標とする。
【0028】
図1に戻り、タッピングカウンタ1の制御部12は、距離測定部(距離測定手段)13、ハイパスフィルタ14及び接触検出部(接触検出手段)15を備える。以下、制御部12を構成する各構成要素について、図4~9を更に参照しながら詳細に説明する。
【0029】
距離測定部13は、板30の位置情報、及び撮影部11から入力されたマーカー21の位置情報をもとに、指先20から板30までの距離を求め、前記距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定するものである。図4~7は、距離測定部13が測定した距離の第1時系列変化量を示す図である。図4~7においては、板30の上面の高さを0mm(基準となる高さ)とするマーカー21の高さを、上記距離として表す。
【0030】
図4は、指先20と板30との間で接触すること無く指先20がタッピング動作を繰り返している場合に、1秒間における第1時系列変化量を示す。また、図5は、図4を時間軸に拡大した図であり、指先20と板30との接触が無い場合の0.2秒間における第1時系列変化量を示す。図4,5で分かるように、指先20と板30との接触が無い場合に、第1時系列変化量は高周波数成分を含むことなく、滑らかな曲線として表れる。
【0031】
図6は、指先20が板30に接触しながらタッピング動作を繰り返している場合に、1秒間における第1時系列変化量を示す。また、図7は、図6を時間軸に拡大した図であり、指先20と板30との接触がある場合の0.2秒間における第1時系列変化量を示す。図6,7で分かるように、指先20と板30との接触があった場合には、指の厚さの相当する高さ10mm付近で一時的な歪みが発生する。これにより、指先20が板30に接触する瞬間に、第1時系列変化量には高周波数成分が発生することがわかる。距離測定部13は、上記図4~7に示すような第1時系列変化量をハイパスフィルタ14に出力する。
【0032】
ハイパスフィルタ14は、距離測定部13から入力された第1時系列変化量の中から所定のカットオフ周波数未満の低周波数成分を除去し、上記カットオフ周波数以上の周波数成分の時系列的な変化量を第2時系列変化量として抽出するものである。すなわち、ハイパスフィルタ14により抽出された第2時系列変化量は、第1時系列変化量から抽出したカットオフ周波数以上の高周波数成分の集合である。第1実施形態において、上記カットオフ周波数は40ヘルツである。
【0033】
図8は、図4,5に示す第1時系列変化量に対してハイパスフィルタ14がフィルタリングを行った結果、つまり指先20と板30との接触が無い場合の第2時系列変化量を示す図である。図4,5に示す第1時系列変化量に高周波数成分が発生していなかったため、図8に示す第2時系列変化量にも高周波成分が殆ど表れていない。
【0034】
図9は、図6,7に示す第1時系列変化量に対してハイパスフィルタ14がフィルタリングを行った結果、つまり指先20と板30との接触があった場合の第2時系列変化量を示す図である。図6,7に示す第1時系列変化量に高周波数成分(歪み)が発生した時刻に合わせて、図8に示す第2時系列変化量にも高周波成分が大きく発生している。ハイパスフィルタ14は、上記図8,9に示すような第2時系列変化量を接触検出部15に出力する。
【0035】
接触検出部15は、ハイパスフィルタ14から入力された第2時系列変化量と所定のしきい値とを比較することで、指先20と板30との接触を検出するものである。具体的に、接触検出部15は、第2時系列変化量が所定のしきい値以上の場合に、指先20と板30との接触があったことを検出し、第2時系列変化量が所定のしきい値未満の場合に、指先20と板30との接触がないことを検出する。第1実施形態において、上記所定のしきい値は0.5mmであり、図8,9においては、点線で表示されている。
【0036】
図8において、第2時系列変化量がしきい値0.5mm以上となる場合は無いため、接触検出部15は指先20と板30との接触を検出しない。一方、図9においては、第2時系列変化量が1秒の間に7回しきい値を超えており、接触検出部15は指先20と板30との接触が7回発生したことを検出する。
【0037】
続いて、第1実施形態のタッピングカウンタ1の動作(接触検出方法)について、図10~12を参照しながら説明する。図10は、タッピングカウンタ1の動作を示すフローチャートである。図11は、指先20が2秒間で9回のタッピング動作を行った場合に、タッピングカウンタ1が行った動作の結果を説明するための図である。図12は、指先20が2秒間で2回のタッピング動作と4回のフェイント動作(指先20と板30とが接触しない空振り動作)とを行った場合に、タッピングカウンタ1が行った動作の結果を説明するための図である。
【0038】
まず、撮影部11が、マーカー21及び板30を撮影した画像内における当該マーカー21の位置情報を実時間に抽出する。撮影部11は、抽出したマーカー21の位置情報を距離測定部13に出力する(撮影ステップ、図10のステップS1)。
【0039】
次に、距離測定部13は、板30の位置情報、及び撮影部11から入力されたマーカー21の位置情報をもとに、指先20から板30までの距離を求め、前記距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定する。図11の(a)及び図12の(a)は、距離測定部13が測定した第1時系列変化量を示す。距離測定部13は、測定した第1時系列変化量をハイパスフィルタ14に出力する(距離測定ステップ、図10のステップS2)。
【0040】
次に、ハイパスフィルタ14は、距離測定部13から入力された第1時系列変化量の中からカットオフ周波数40ヘルツ未満の低周波数成分を除去し、上記カットオフ周波数40ヘルツ以上の周波数成分の時系列的な変化量を第2時系列変化量として抽出する。図11の(b)及び図12の(b)は、ハイパスフィルタ14が抽出した第2時系列変化量を示す。ハイパスフィルタ14は、抽出した第2時系列変化量を接触検出部15に出力する(フィルタリングステップ、図10のステップS3)。
【0041】
次に、接触検出部15は、ハイパスフィルタ14から入力された第2時系列変化量としきい値0.5mmとを比較することで、指先20と板30との接触を検出する。具体的に、接触検出部15は、第2時系列変化量がしきい値0.5mm以上の場合に、指先20と板30との接触があったことを検出し、第2時系列変化量がしきい値0.5mm未満の場合に、指先20と板30との接触がないことを検出する(接触検出ステップ、図10のステップS4)。
【0042】
図11の(c)は、指先20が2秒間で9回のタッピング動作を行った場合に、図11の(b)に示す第2時系列変化量をもとに、接触検出部15がカウントした回数を示す。接触検出部15は、第2時系列変化量がしきい値0.5mmを超えた瞬間に接触をカウントし、2秒間で9回のカウントを行っている。この結果は、指先20が実際に板30に接触した回数と一致し、タッピングカウンタ1は指先20と板30との接触を正確にカウントしたといえる。
【0043】
一方、図12の(c)は、指先20が2秒間で2回のタッピング動作と4回のフェイント動作とを行った場合に、図12の(b)に示す第2時系列変化量をもとに、接触検出部15がカウントした回数を示す。接触検出部15は、第2時系列変化量がしきい値0.5mmを超えた瞬間に接触をカウントし、2秒間で2回のカウントを接触の瞬間に合わせて行っている。この結果は、指先20が実際に板30に接触した回数及び時刻と一致し、タッピングカウンタ1は指先20のフェイント動作が入っている場合にも、指先20と板30との接触を正確にカウントしたといえる。
【0044】
続いて、第1実施形態の作用及び効果について説明する。第1実施形態のタッピングカウンタ1によれば、指先20と板30との間の接触を検出することを目的に例えば接触検出センサを当該指先20に装着しなくても、図11及び図12に示すように、指先20と板30との間の接触を正確に検出することができる。このため、例えば、指先20に装着された接触検出センサが当該指先20の動作に支障を与えることを防止することができる。更に、例えば指に装着された接触検出センサが指の動きを邪魔させ、人間に違和感を感じさせることを防止することができる。
【0045】
また、第1実施形態におけるマーカー21は、指先20の位置を表すものとして、指先20に比べて小さくて軽いものを用いる。このため、例えば撮影画像から指先20の位置を認識する代わりに標識の位置を認識することによって、画像認識にて要求される計算量を減らしながらも、指先20の位置を撮影画像から直接に認識する場合と同等な結果を得ることができる。
【0046】
また、第1実施形態のタッピングカウンタ1においては、カットオフ周波数を40ヘルツに設定することで、指先20と板30とが接触した場合に発生した高周波数成分が、第2時系列変化量において明確に表れる。このため、接触検出部15は、指先20と板30との接触可否を確実に検出することができる。
【0047】
また、第1実施形態のタッピングカウンタ1においては、しきい値を0.5mmに設定することで、指先20と板30とが接触していないときに発生し得る微細な高周波数成分を無視することができる。このため、接触検出部15は、指先20と板30との接触可否を確実に検出することができる。
【0048】
以上、本発明の好適な第1実施形態について説明したが、本発明が上記第1実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0049】
例えば、上記第1実施形態においては、人間の指を接触検出の対象となる物体としたが、これに限定されることなく、ロボットにおける人間の指に相当する部分を、接触検出の対象となる物体としてもよい。この場合においても、ロボットにおける人間の指に相当する部分と板30との間の接触を検出することを目的に、例えば接触検出センサを当該部分に装着することはない。このため、例えば当該部分に装着された接触検出センサが当該部分の動作に支障を与えることを防止することができる。
【0050】
更に、上記第1実施形態においては、基本的には動かない板30を、指先20の接触対象となる物体としているが、任意の動くものを、指先20の接触対象となる物体としても良い。この場合には、撮影部11は、指先20の接触対象となる物体の撮影画像内における位置情報を実時間に抽出して距離測定部13に出力する。そして、距離測定部13は、撮影部11から入力された接触対象物体及びマーカー21の位置情報をもとに、指先20から接触対象物体までの距離を求める。
【0051】
[第2実施形態]
本発明に係る接触検出装置及び接触検出方法の第2実施形態として、衝突力測定装置2について説明する。衝突力測定装置2は、第1実施形態におけるタッピングカウンタ1を構成する要素を全て含み、各構成要素は同等な位置関係(図3を参照)に配置され、更に衝突力測定部(衝突力測定手段)16を備える。この衝突力測定装置2は、指先20と板30との接触可否のみならず、指先20と板30とが接触した瞬間の衝突力をも測定する装置である。まず、衝突力測定装置2の構成について、図13~15を参照しながら説明する。
【0052】
図13は、衝突力測定装置2の構成概略図である。図13に示すように、衝突力測定装置2は、撮影部11及び制御部12を備え、制御部12は距離測定部13、ハイパスフィルタ14、接触検出部15及び衝突力測定部16を含む。ハイパスフィルタ14は、抽出した第2時系列変化量を衝突力測定部16に出力する。衝突力測定部16は、ハイパスフィルタ14から入力された第2時系列変化量のピーク値に比例する値を、指先20と板30とが接触する時の衝突力を表す値として測定するものである。
【0053】
衝突力測定部16が測定した衝突力は、例えば、衝突力測定装置2を含むバーチャル楽器等に用いられる。この場合、バーチャル楽器等は、衝突力測定部16が測定した衝突力をもとに、バーチャル楽器が発生する音源の音量または発音時間などを適宜に決めることができる。更に、バーチャル楽器等は、接触検出部15が検出した接触時間をもとに、音源を発生するべき時間を適宜に決めることができる。
【0054】
第2実施形態の衝突力測定装置2の動作について、図14,15を参照しながら説明する。図14は、衝突力測定装置2の動作を示すフローチャートである。図15は、指先20が2秒間で2回のタッピング動作と4回のフェイント動作(指先20と板30とが接触しない空振り動作)とを行った場合に、衝突力測定装置2が行った動作の結果を説明するための図である。
【0055】
まず、撮影部11が、マーカー21及び板30を撮影した画像内における当該マーカー21の位置情報を実時間に抽出する。撮影部11は、抽出したマーカー21の位置情報を距離測定部13に出力する(撮影ステップ、図14のステップS1)。
【0056】
次に、距離測定部13は、板30の位置情報、及び撮影部11から入力されたマーカー21の位置情報をもとに、指先20から板30までの距離を求め、前記距離の時系列的な変化量である第1時系列変化量を測定する。図15の(a)は、距離測定部13が測定した第1時系列変化量を示す。距離測定部13は、測定した第1時系列変化量をハイパスフィルタ14に出力する(距離測定ステップ、図14のステップS2)。
【0057】
次に、ハイパスフィルタ14は、距離測定部13から入力された第1時系列変化量の中からカットオフ周波数40ヘルツ未満の低周波数成分を除去し、上記カットオフ周波数40ヘルツ以上の周波数成分の時系列的な変化量を第2時系列変化量として抽出する。図15の(b)は、ハイパスフィルタ14が抽出した第2時系列変化量を示す。ハイパスフィルタ14は、抽出した第2時系列変化量を接触検出部15及び衝突力測定部16に出力する(フィルタリングステップ、図14のステップS3)。
【0058】
次に、接触検出部15は、ハイパスフィルタ14から入力された第2時系列変化量としきい値0.5mmとを比較することで、指先20と板30との接触を検出する。具体的に、接触検出部15は、第2時系列変化量がしきい値0.5mm以上の場合に、指先20と板30との接触があったことを検出し、第2時系列変化量がしきい値0.5mm未満の場合に、指先20と板30との接触がないことを検出する(接触検出ステップ、図14のステップS4)。
【0059】
図15の(c)は、指先20が2秒間で2回のタッピング動作と4回のフェイント動作とを行った場合に、図15の(b)に示す第2時系列変化量をもとに、接触検出部15がカウントした回数を示す。接触検出部15は、第2時系列変化量がしきい値0.5mmを超えた瞬間に接触をカウントし、2秒間で2回のカウントを接触の瞬間に合わせて行っている。この結果は、指先20が実際に板30に接触した回数及び時間と一致し、衝突力測定装置2は指先20と板30との接触を正確にカウントしたといえる。
【0060】
次に、衝突力測定部16は、ハイパスフィルタ14から入力された第2時系列変化量のピーク値に比例する値を、指先20と板30とが接触する時の衝突力を表す値として測定する(衝突力測定ステップ、図14のステップS5)。
【0061】
図15の(d)は、指先20が2秒間で2回のタッピング動作と4回のフェイント動作とを行った場合に、図15の(b)に示す第2時系列変化量をもとに、衝突力測定部16が測定した衝突力を示す。15の(b)を参照すると、時刻約3.3秒で発生した高周波数成分のピークの値が約4mmであり、時刻約4.7秒で発生した高周波数成分のピークの値が約3mmである。そして、図15の(d)には、時刻約3.3秒で測定された衝突力が8Nであり、時刻約4.7秒で測定された衝突力が6Nである。この結果から、衝突力測定部16が、発生した高周波数成分のピークの値に比例して衝突力を測定することがわかる。
【0062】
続いて、第2実施形態の作用及び効果について説明する。第2実施形態の衝突力測定装置2によれば、指先20と板30間の接触時の衝突力を測定することを目的に、例えば衝突力測定センサを当該指先20に装着しなくても、図15に示すように、指先20と板30間の接触時の衝突力を検出することができる。このため、例えば、指先20に装着された衝突力測定センサが当該指先20の動作に支障を与えることを防止することができる。更に、例えば指に装着された衝突力測定センサが指の動きを邪魔させ、人間に違和感を感じさせることを防止することができる。
【0063】
以上、本発明の好適な第2実施形態について説明したが、本発明は上記第2実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0064】
例えば、上記第2実施形態においては、人間の指を接触時の衝突力測定の対象となる物体としたが、これに限定されることなく、ロボットにおける人間の指に相当する部分を、接触時の衝突力測定の対象となる物体としてもよい。この場合においても、ロボットにおける人間の指に相当する部分と板30間の接触時の衝突力を測定することを目的に、例えば衝突力測定センサを当該部分に装着することはない。このため、例えば当該部分に装着された衝突力測定センサが当該部分の動作に支障を与えることを防止することができる。
【0065】
更に、上記第2実施形態における衝突力測定装置2は、バーチャル楽器に限定されることなく、例えばパソコンのマウスにも適宜に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係るタッピングカウンタ1の構成概要図である。
【図2】指先20に設けられたマーカー21を説明するための図である。
【図3】指先20と板30と撮影部11との位置関係を説明するための図である。
【図4】指先20と板30間の距離の第1時系列変化量を示す図である。
【図5】図4を時間軸に拡大した図である。
【図6】指先20と板30間の距離の第1時系列変化量を示す図である。
【図7】図6を時間軸に拡大した図である。
【図8】指先20と板30間の距離の第2時系列変化量を示す図である。
【図9】指先20と板30間の距離の第2時系列変化量を示す図である。
【図10】タッピングカウンタ1の動作を示すフローチャートである。
【図11】タッピングカウンタ1が行った動作の結果を示す図である。
【図12】タッピングカウンタ1が行った動作の結果を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る衝突力測定装置2の構成概要図である。
【図14】衝突力測定装置2の動作を示すフローチャートである。
【図15】衝突力測定装置2が行った動作の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…タッピングカウンタ、2…衝突力測定装置、20…指先、21…マーカー、30…板、11…撮影部、12…制御部、13…距離測定部、14…ハイパスフィルタ、15…接触検出部、16…衝突力測定部。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
13
【図15】
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