TOP > 国内特許検索 > 省力化軌道およびその施工方法 > 明細書

明細書 :省力化軌道およびその施工方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3987045号 (P3987045)
公開番号 特開2005-232846 (P2005-232846A)
登録日 平成19年7月20日(2007.7.20)
発行日 平成19年10月3日(2007.10.3)
公開日 平成17年9月2日(2005.9.2)
発明の名称または考案の名称 省力化軌道およびその施工方法
国際特許分類 E01B   1/00        (2006.01)
FI E01B 1/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 6
出願番号 特願2004-044415 (P2004-044415)
出願日 平成16年2月20日(2004.2.20)
審査請求日 平成18年3月3日(2006.3.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】村本 勝己
個別代理人の代理人 【識別番号】100097113、【弁理士】、【氏名又は名称】堀 城之
審査官 【審査官】田畑 覚士
参考文献・文献 特開平09-025605(JP,A)
特開2002-265943(JP,A)
特開昭51-023904(JP,A)
特開昭59-008802(JP,A)
調査した分野 E01B 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
路盤上に形成されたてん充層によってまくらぎを支持する省力化軌道において、
高塑性材料からなる路盤表面保護層が前記路盤の表面に敷設されて一体化し
前記路盤表面保護層は、吸水膨潤性を備えていることを特徴とする省力化軌道。
【請求項2】
前記路盤表面保護層は、コンシステンシー特性が10以下であることを特徴とする請求項1記載の省力化軌道。
【請求項3】
前記路盤表面保護層は、コンシステンシー特性が5以下であることを特徴とする請求項1に記載の省力化軌道。
【請求項4】
路盤上に形成されたてん充層によってまくらぎを支持する省力化軌道の施工方法であって、
高塑性材料からなる路盤表面保護層を前記路盤の表面に敷設して一体化させ、
前記路盤表面保護層上に前記てん充層を形成することを特徴とする、省力化軌道の施工方法
【請求項5】
前記路盤表面保護層は、吸水膨潤性を備えていることを特徴とする、請求項4記載の省力化軌道の施工方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特に粘性土からなる路盤上に形成されたてん充層によってまくらぎを支持する省力化軌道およびその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の省力化軌道を示す断面図である。
【0003】
この種の省力化軌道1においては、図4に示すように、列車荷重によって発生する路盤2の表面の水圧変動は多くとも1m未満であって、その圧力自体で土を破壊するほど大きなものではない。しかし、てん充層5と路盤2との動的変位に位相差があったり、もともと隙間があったりするような箇所では、路盤2の泥土(以下、路盤土という。)の拘束圧が不足し、強度が極めて低くなるため、その程度の水圧変動であっても水みちがあれば流出してしまう。そして、路盤2の表面において、路盤土が流動化して流出した跡に空洞4が発生し、それが徐々に成長することにより、路盤変状が発生する。
【0004】
従来、その対策としては、地下水を下げることにより、列車荷重による水圧変動を低減すること(以下、第1の路盤変状対策という。)や、路盤2の表面にゴムシート(図示せず)を施工して路盤変状の発生を阻止すること(以下、第2の路盤変状対策という。)が考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第1の路盤変状対策では、省力化軌道1の全線にわたって排水溝を設けるのは不可能であり、粘土層など水はけが悪い所では定量的に効果を保証することができないという欠点を伴う。
【0006】
また、第2の路盤変状対策では、ゴムシートが破損し、その破損箇所から噴泥する恐れがある。この場合、ゴムシートは路盤2と一体化しておらず、路盤2の表面の軟弱化を抑えることができないため、路盤2の表面に空洞4が発生して成長することとなる。その結果、路盤変状の発生を未然に防止することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、路盤の表面からの噴泥を確実に防ぎ、路盤の表面における空洞の発生・成長を阻止することにより、路盤変状の発生を未然に防止することが可能な省力化軌道およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、請求項1に係る発明は、路盤上に形成されたてん充層によってまくらぎを支持する省力化軌道において、高塑性材料からなる路盤表面保護層が前記路盤の表面に敷設されて一体化し、前記路盤表面保護層は、吸水膨潤性を備えていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記路盤表面保護層は、コンシステンシー特性が10以下であることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、前記路盤表面保護層は、コンシステンシー特性が5以下であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、路盤上に形成されたてん充層によってまくらぎを支持する省力化軌道の施工方法であって、高塑性材料からなる路盤表面保護層を前記路盤の表面に敷設して一体化させ、前記路盤表面保護層上に前記てん充層を形成することを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、前記路盤表面保護層は、吸水膨潤性を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、路盤の表面からの噴泥を確実に防ぎ、路盤の表面における空洞の発生・成長を阻止することが可能となる。したがって、路盤変状の発生を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
省力化軌道1は、図1に示すように、粘性土からなる路盤2を有しており、路盤2の表面には、吸水膨潤性を備えた高塑性材料(例えば、工業用ベントナイトなどの高塑性粘性土)からなる路盤表面保護層3が敷設されて路盤2と一体化している。路盤表面保護層3の上側には、てん充層5が形成されており、てん充層5の上側には複数本のまくらぎ6が、図1紙面と直角な方向に沿って所定の間隔で配設されている。これらまくらぎ6の上側には2本一対のレール7が、図1紙面と直角な方向に延伸する形で載置されている。さらに、路盤表面保護層3の上側には多数個のバラスト9が、てん充層5およびまくらぎ6の周囲に敷設されている。
【0012】
このように、省力化軌道1においては、高塑性材料からなる路盤表面保護層3が路盤2の表面に密着して一体化しているので、路盤土が流動化して流出するのを防ぐことができる。また、この路盤表面保護層3は、てん充層5の動的変形と路盤土の動的変形との位相差を吸収するため、路盤2の表面に一時的にでも空洞が発生する事態を防止することができる。さらに、この路盤表面保護層3は吸水膨潤性を備えているので、万一、路盤土が流出して路盤2の表面に空洞が発生したとしても、路盤表面保護層3が吸水膨潤して空洞に充填されるので、空洞の成長を阻止することができる。これらの結果、路盤変状の発生を未然に防止することが可能となり、てん充層5の異常沈下などの不具合が生じる危険を回避することができる。
【0013】
上述した効果を確認するため、路盤表面保護層3のコンシステンシー(固さや流動性)を表す指数として、塑性指数Ipと液性限界WLにより、コンシステンシー特性IcをIc=0.73WL-Ipと定義した。例えば、これを日本統一土質分類に当てはめると、Ic≦14.6が粘土、Ic≧14.6がシルトとなる。そして、このコンシステンシー特性Icを-7~13の範囲内で変えたとき、列車荷重による路盤土の流出量がどのように変化するかを実験で求めた。
【0014】
その結果、図2に示すように、路盤土の流出量は路盤表面保護層3のコンシステンシー特性Icに対して非常に敏感であることが判明した。すなわち、路盤表面保護層3のコンシステンシー特性Icが13である場合、路盤土の流出量は100g強であった。これに対し、路盤表面保護層3のコンシステンシー特性Icが12になると、路盤土の流出量が約20gに、路盤表面保護層3のコンシステンシー特性Icが10になると、路盤土の流出量が約5gにと急激に低下した。また、路盤表面保護層3のコンシステンシー特性Icが5以下では、路盤土の流出量がゼロになる結果が得られた。したがって、高塑性材料からなる路盤表面保護層3により、路盤土の流出量が大幅に削減され、特に路盤表面保護層3のコンシステンシー特性Icが5以下の場合、列車荷重レベルでは路盤2に変状を生じないことが明らかとなった。
【0015】
また、とりわけ雨水が集中して恒常的に地下水位が高くなっている箇所(例えば、切土や素地など)においては、図3に示すように、路盤表面保護層3の上側(路盤表面保護層3とてん充層5との間)に水圧分散層8を敷設すれば、レール7上の列車走行に伴う列車荷重によって発生する水圧が前後に分散されるので、路盤変状低減効果を一層向上させることができる。
【0016】
なお、上述の実施形態では、路盤表面保護層3の材料として、経済的に有利な工業用ベントナイトなどの高塑性粘性土を例示したが、所定のコンシステンシー特性Ic(例えば、5以下)を有する高塑性材料である限り、他の材料(例えば、現地発生土など)を路盤表面保護層3の材料に採用することも可能である。
【0017】
また、路盤表面保護層3の形状は特に限定されず、例えば厚さ10mm(乾燥時5mm)程度のシート状のものを用いても構わない。この場合、路盤表面保護層3の施工むら等の問題が生じにくい点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る省力化軌道の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】路盤変状再現試験における路盤表面保護層のコンシステンシー特性と路盤土流出量との関係を示すグラフである。
【図3】本発明に係る省力化軌道の第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】従来の省力化軌道を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1……省力化軌道
2……路盤
3……路盤表面保護層
4……空洞
5……てん充層
6……まくらぎ
7……レール
8……水圧分散層
9……バラスト
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3