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明細書 :導電構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4342341号 (P4342341)
公開番号 特開2005-235714 (P2005-235714A)
登録日 平成21年7月17日(2009.7.17)
発行日 平成21年10月14日(2009.10.14)
公開日 平成17年9月2日(2005.9.2)
発明の名称または考案の名称 導電構造
国際特許分類 H01R   4/48        (2006.01)
FI H01R 4/48 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 13
出願番号 特願2004-046987 (P2004-046987)
出願日 平成16年2月23日(2004.2.23)
審査請求日 平成18年4月11日(2006.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】591150258
【氏名又は名称】株式会社ユタカ製作所
発明者または考案者 【氏名】長田 実
【氏名】渡邉 朝紀
【氏名】安吉 志朗
個別代理人の代理人 【識別番号】100120226、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 知浩
審査官 【審査官】井上 茂夫
参考文献・文献 特開平10-078046(JP,A)
実開平02-029161(JP,U)
特開2002-302034(JP,A)
調査した分野 H01R 4/48
特許請求の範囲 【請求項1】
導電性の回転軸と、前記回転軸の軸回りに前記回転軸と共に回転する導電性の回転体と、前記回転体に設けられ前記回転軸が挿入された状態で前記回転体と共に回転する導電性の筒状部と、前記回転軸と前記筒状部との間に設けられ前記回転軸又は前記回転体の回転力を前記回転体又は前記回転軸に伝達する導電性の駆動力伝達部材と前記駆動力伝達部材と前記回転軸又は前記筒状部との間に設けられ前記駆動力伝達部材と前記回転軸又は前記筒状部にそれぞれ接触するコイルばねと、を有することを特徴とする導電構造。
【請求項2】
導電性の回転軸と、前記回転軸の軸回りに前記回転軸と共に回転する導電性の回転体と、前記回転体に設けられ前記回転軸が挿入された状態で前記回転体と共に回転する導電性の筒状部と、前記回転軸と前記筒状部との間に設けられ前記回転軸又は前記回転体の回転力を前記回転体又は前記回転軸に伝達する導電性の駆動力伝達部材と、前記回転軸と前記筒状部との間に設けられ前記回転軸及び前記筒状部にそれぞれ接触するコイルばねと、を有することを特徴とする導電構造。
【請求項3】
前記回転軸と前記筒状部との間には、前記駆動力伝達部材が設けられている第1領域と前記コイルばねが設けられている第2領域とを区分けする区分け部材を有することを特徴とする請求項2に記載の導電構造。
【請求項4】
前記筒状部は、前記回転体に一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電構造。
【請求項5】
前記回転軸及び前記筒状部には、前記駆動力伝達部材を位置決めする溝部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の導電構造。
【請求項6】
前記コイルばねは、前記駆動力伝達部材の外表面に前記駆動力伝達部材の軸方向に対して略直交する方向に沿って巻き付けられていることを特徴とする請求項1、4、5のいずれか1項に記載の導電構造。
【請求項7】
前記駆動力伝達部材の外表面に凹部が形成されており、前記凹部に前記コイルばねが設けられていることを特徴とする請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の導電構造。
【請求項8】
前記凹部は、前記駆動力伝達部材の軸方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項7に記載の導電構造。
【請求項9】
前記凹部は、前記駆動力伝達部材の軸方向に対して傾斜して形成されていることを特徴とする請求項に記載の導電構造。
【請求項10】
前記回転体は、電車の車輪であることを特徴とする請求項乃至9のいずれか1項に記載の導電構造。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の部材と他方の部材とを安定的に通電可能な状態にする導電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から回転軸と外部とを通電可能な状態にするために、いわゆるスリップリングとブラシ(以下、適宜「ブラシ方式」という。)が用いられている。このブラシ方式では、ブラシを取付けるためのブラシホルダーなどの付属品が必要となり、付属品などを設けるスペースが必要となる問題があった。また、振動・衝撃によってブラシが浮き上がることにより通電が不安定な状態となる問題があった。さらに、スリップリングとブラシを用いると、重量が重くなり、また、コスト高となる問題があった。
【0003】
なお、上記従来技術は公用の技術であり、本発明は公用の技術をもとに開発したものである。このため、出願人は、特許出願の時において本発明に関連する文献公知発明の存在を知らず、文献公知発明の名称その他の文献公知発明に関する情報の所在の記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、ブラシ方式と比較して低コストで製造することができ、通電状態を維持・安定させることができる導電構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項に記載の発明は、導電性の回転軸と、前記回転軸の軸回りに前記回転軸と共に回転する導電性の回転体と、前記回転体に設けられ前記回転軸が挿入された状態で前記回転体と共に回転する導電性の筒状部と、前記回転軸と前記筒状部との間に設けられ前記回転軸又は前記回転体の回転力を前記回転体又は前記回転軸に伝達する導電性の駆動力伝達部材と、前記駆動力伝達部材と前記回転軸又は前記筒状部との間に設けられ前記駆動力伝達部材と前記回転軸又は前記筒状部にそれぞれ接触するコイルばねと、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、回転軸、駆動力伝達部材、コイルばね、筒状部及び回転体が全て導電性であるため、回転軸から回転体までを電気的に接続された状態にすることができる。これにより、回転軸と回転体との通電状態を可能にすることができる。このように、回転軸と回転体とが一体に形成されておらず、両者を別々に製造し、その後両者を組み付けた場合でも、ケーブルなどの部材を用いることなく、回転軸から回転体までを通電状態にすることができる。
また、既存のコイルばねを用いることにより、従来のブラシ方式と比較して製造コスト及び重量を大幅に低減することができる。また、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが自在に弾性変形することで耐振動性及び耐衝撃性を向上させることができる。さらに、従来から用いられていたブラシとブラシホルダーが不要となるため、これらを設けるスペースも不要となり、小型化を実現することができる。
一方、回転軸が回転すると、回転軸の回転力が駆動力伝達部材を介して回転体に伝達される。これにより、回転体に回転駆動力が発生し回転する。また逆に、回転体の回転力は、駆動力伝達部材を介して回転軸に伝達される。
このように、コイルばねは駆動力伝達部材と回転軸又は筒状部とにそれぞれ接触しているため、駆動力伝達性能と通電性能とを両立させることができ、特に、駆動性及び導電性がそれぞれ必要な車両の輪軸などに幅広く用いることができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、導電性の回転軸と、前記回転軸の軸回りに前記回転軸と共に回転する導電性の回転体と、前記回転体に設けられ前記回転軸が挿入された状態で前記回転体と共に回転する導電性の筒状部と、前記回転軸と前記筒状部との間に設けられ前記回転軸又は前記回転体の回転力を前記回転体又は前記回転軸に伝達する導電性の駆動力伝達部材と、前記回転軸と前記筒状部との間に設けられ前記回転軸及び前記筒状部にそれぞれ接触するコイルばねと、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、回転軸、駆動力伝達部材、コイルばね、筒状部及び回転体が全て導電性であるため、回転軸から回転体までを電気的に接続された状態にすることができる。これにより、回転軸と回転体との通電状態を可能にすることができる。このように、回転軸と回転体とが一体に形成されておらず、両者を別々に製造し、その後両者を組み付けた場合でも、ケーブルなどの部材を用いることなく、回転軸から回転体までを通電状態にすることができる。
また、既存のコイルばねを用いていることにより、従来のブラシ方式と比較して製造コスト及び重量を大幅に低減することができる。また、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが自在に弾性変形することで耐振動性及び耐衝撃性を向上させることができる。さらに、従来から用いられていたブラシとブラシホルダーが不要となるため、これらを設けるスペースも不要となり、小型化を実現することができる。
一方、回転軸が回転すると、回転軸の回転力が駆動力伝達部材を介して回転体に伝達される。これにより、回転体に回転駆動力が発生し回転する。また逆に、回転体の回転力は、駆動力伝達部材を介して回転軸に伝達される。このように、駆動力伝達部材及びコイルばねは回転軸及び筒状部にそれぞれ接触しているため、駆動力伝達性能と通電性能とを両立させることができ、特に、駆動性及び導電性がそれぞれ必要な車両の輪軸などに幅広く用いることができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の導電構造において、前記回転軸と前記筒状部との間には、前記駆動力伝達部材が設けられている第1領域と前記コイルばねが設けられている第2領域とを区分けする区分け部材を有することを特徴とする。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、駆動力伝達部材及びコイルばねは回転軸及び筒状部にそれぞれ接触しているため、駆動力伝達時では駆動力伝達部材及びコイルばねに所定の圧力が作用する。ここで、回転軸と筒状部との間には駆動力伝達部材が設けられている第1領域とコイルばねが設けられている第2領域とを区分けする区分け部材が設けられているため、コイルばねの第1領域への移動又は駆動力伝達部材の第2領域への移動を防止することができる。特に、コイルばねや駆動力伝達部材が劣化や磨耗などにより破損した場合には、それぞれの破片が他の領域に混入してしまうことを防止できる。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項乃至のいずれか1項に記載の導電構造において、前記筒状部は前記回転体に一体形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項に記載の発明によれば、筒状部が回転体に一体形成されているため、筒状部と回転体との間の通電性能を向上させることができる。また、部品点数が少なくなるため、導電構造の組立工数や製造コストを低減することができる。
【0023】
請求項に記載の発明は、請求項乃至のいずれか1項に記載の導電構造において、前記回転軸及び前記筒状部には、前記駆動力伝達部材を位置決めする溝部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、駆動力伝達部材が溝部に設けられると溝部によって駆動力伝達部材が位置決めされる。この結果、駆動力伝達部材による力の伝達が確実になる。
また、駆動力伝達部材にコイルばねを設けている場合には、駆動力伝達部材を位置決めすることにより、コイルばねも位置決めすることができる。この結果、駆動力伝達部材を複数設けた場合に、駆動力伝達部材が筒状部又は回転軸の一部の部位に偏ることがなく、また、コイルばねも筒状部又は回転軸の一部の部位に偏ることがないため、回転軸と回転体との通電状態の安定性を維持できる。
【0025】
請求項に記載の発明は、請求項1、4、5のいずれか1項に記載の導電構造において、前記コイルばねは、前記駆動力伝達部材の外表面に前記駆動力伝達部材の軸方向に対して略直交する方向に沿って巻き付けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項に記載の発明によれば、コイルばねが駆動力伝達部材の外表面に駆動力伝達部材の軸方向に対して略直交する方向に沿って巻き付けられて構成されているため、コイルばねが駆動力伝達部材の外表面に亘って接触する構成となる。このため、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが駆動力伝達部材に対して離間してしまうことがなく、回転軸と回転体との通電状態を維持することができる。
【0027】
請求項に記載の発明は、請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の導電構造において、前記駆動力伝達部材の外表面に凹部が形成されており、前記凹部に前記コイルばねが設けられていることを特徴とする。
【0028】
請求項に記載の発明によれば、コイルばねが駆動力伝達部材の外表面に形成された凹部に設けられているため、コイルばねの駆動力伝達部材に対する位置ずれを防止できる。これにより、コイルばねの接触位置を安定させることができ、振動や衝撃が生じた場合でも、回転軸と回転体との通電状態の安定性を維持できる。
また、コイルばねが回転軸又は筒状部から圧力を受けた場合には、コイルばねが弾性変形して凹部の内部に隠れるため、コイルばね自体が圧力により破損することを防止できる。さらに、コイルばねが弾性変形した状態で駆動力伝達部材や回転軸又は筒状部と接触することにより、両者の接触圧力を高めることができ、回転軸と回転体との通電状態の安定性をさらに向上させることができる。
【0029】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の導電構造において、前記凹部は、前記駆動力伝達部材の軸方向に沿って形成されていることを特徴とする。
【0030】
請求項に記載の発明によれば、凹部が駆動力伝達部材の軸方向に沿って形成されているため、より多くの凹部を形成することができる。これにより、より多くのコイルばねを設けることができ、コイルばねの接触箇所が多くなるため、回転軸と回転体との通電性能の安定性をさらに向上させることができる。
【0031】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の導電構造において、前記凹部は、前記駆動力伝達部材の軸方向に対して傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0032】
請求項に記載の発明によれば、凹部が駆動力伝達部材の軸方向に対して傾斜して形成されているため、駆動力伝達部材の軸方向に沿って延びている場合と比較して、凹部の長さを長くすることができる。これにより、凹部に設けるコイルばねの長さも長くすることができ、コイルばねの回転軸及び回転体に対する接触抵抗をさらに小さくすることができる。この結果、回転軸と回転体との通電状態の安定性をさらに向上させることができる。また、凹部が駆動力伝達部材の軸方向に対して傾斜して形成されているため、特定の場所で導電性が低下してしまうことを防止できる。
【0033】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の導電構造において、前記回転体は、電車の車輪であることを特徴とする。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、回転体を車輪と車軸とが一体構造でない電車の車輪に用いた場合でも、上述のように車軸と車輪との通電状態の安定性を向上することができるため、レールを介して鉄道車両の在線検知を極めて正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0040】
請求項に記載の発明は、回転軸、駆動力伝達部材、コイルばね、筒状部及び回転体が全て導電性であるため、回転軸から回転体までを電気的に接続された状態にすることができる。これにより、回転軸と回転体との通電状態を可能にすることができる。このように、回転軸と回転体とが一体に形成されておらず、両者を別々に製造し、その後両者を組み付けた場合でも、ケーブルなどの部材を用いることなく、回転軸から回転体までを通電状態にすることができる。
また、既存のコイルばねを用いていることにより、従来のブラシ方式と比較して製造コスト及び重量を大幅に低減することができる。また、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが自在に弾性変形することで耐振動性及び耐衝撃性を向上させることができる。また、従来から用いられていたブラシとブラシホルダーが不要となるため、これらを設けるスペースも不要となり、小型化を実現することができる。
さらに、コイルばねは駆動力伝達部材と回転軸又は筒状部とにそれぞれ接触しているため、駆動力伝達性能と通電性能とを両立させることができ、特に、駆動性及び導電性がそれぞれ必要な車両の輪軸などに幅広く用いることができる。
【0041】
請求項に記載の発明は、回転軸、駆動力伝達部材、コイルばね、筒状部及び回転体が全て導電性であるため、回転軸から回転体までを電気的に接続された状態にすることができる。これにより、回転軸と回転体との通電状態を可能にすることができる。このように、回転軸と回転体とが一体に形成されておらず、両者を別々に製造し、その後両者を組み付けた場合でも、ケーブルなどの部材を用いることなく、回転軸から回転体までを通電状態にすることができる。
また、既存のコイルばねを用いていることにより、従来のブラシ方式と比較して製造コスト及び重量を大幅に低減することができる。また、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが自在に弾性変形することで耐振動性及び耐衝撃性を向上させることができる。また、従来から用いられていたブラシとブラシホルダーが不要となるため、これらを設けるスペースも不要となり、小型化を実現することができる。
さらに、駆動力伝達部材及びコイルばねは回転軸及び筒状部にそれぞれ接触しているため、駆動力伝達性能と通電性能とを両立させることができ、特に、駆動性及び導電性がそれぞれ必要な車両の輪軸などに幅広く用いることができる。
【0042】
請求項に記載の発明は、駆動力伝達部材及びコイルばねが回転軸及び筒状部にそれぞれ接触しているため、駆動力伝達時では駆動力伝達部材及びコイルばねに所定の圧力が作用する。ここで、回転軸と筒状部との間には駆動力伝達部材が設けられている第1領域とコイルばねが設けられている第2領域とを区分けする区分け部材が設けられているため、コイルばねの第1領域への移動又は駆動力伝達部材の第2領域への移動を防止することができる。特に、コイルばねや駆動力伝達部材が劣化や磨耗などにより破損した場合には、それぞれの破片が他の領域に混入してしまうことを防止できる。
【0043】
請求項に記載の発明は、筒状部が回転体に一体形成されているため、筒状部と回転体との間の通電性能を向上させることができる。また、部品点数が少なくなるため、導電構造の組立工数や製造コストを低減することができる。
【0044】
請求項に記載の発明は、駆動力伝達部材が溝部に設けられると溝部によって駆動力伝達部材が位置決めされる。この結果、駆動力伝達部材による力の伝達が確実になる。
また、駆動力伝達部材にコイルばねを設けている場合には、駆動力伝達部材を位置決めすることにより、コイルばねも位置決めすることができる。この結果、駆動力伝達部材を複数設けた場合に、駆動力伝達部材が筒状部又は回転軸の一部の部位に偏ることがなく、また、コイルばねも筒状部又は回転軸の一部の部位に偏ることがないため、回転軸と回転体との通電状態の安定性を維持できる。
【0045】
請求項に記載の発明は、コイルばねが駆動力伝達部材の外表面に駆動力伝達部材の軸方向に対して略直交する方向に沿って巻き付けられて構成されているため、コイルばねが駆動力伝達部材の外表面に亘って接触する構成となる。このため、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが駆動力伝達部材に対して離間してしまうことがなく、回転軸と回転体との通電状態を維持することができる。
【0046】
請求項に記載の発明は、コイルばねが駆動力伝達部材の外表面に形成された凹部に設けられているため、コイルばねの駆動力伝達部材に対する位置ずれを防止できる。これにより、コイルばねの接触位置を安定させることができ、振動や衝撃が生じた場合でも、回転軸と回転体との通電状態の安定性を維持できる。
また、コイルばねが回転軸又は筒状部から圧力を受けた場合には、コイルばねが弾性変形して凹部の内部に隠れるため、コイルばね自体が圧力により破損することを防止できる。さらに、コイルばねが弾性変形した状態で駆動力伝達部材や回転軸又は筒状部と接触することにより、両者の接触圧力を高めることができ、回転軸と回転体との通電状態の安定性をさらに向上させることができる。
【0047】
請求項に記載の発明は、凹部が駆動力伝達部材の軸方向に沿って形成されているため、より多くの凹部を形成することができる。これにより、より多くのコイルばねを設けることができ、コイルばねの接触箇所が多くなるため、回転軸と回転体との通電性能の安定性をさらに向上させることができる。
【0048】
請求項に記載の発明は、凹部が駆動力伝達部材の軸方向に対して傾斜して形成されているため、駆動力伝達部材の軸方向に沿って延びている場合と比較して、凹部の長さを長くすることができる。これにより、凹部に設けるコイルばねの長さも長くすることができ、コイルばねの回転軸及び回転体に対する接触抵抗をさらに小さくすることができる。この結果、回転軸と回転体との通電状態の安定性をさらに向上させることができる。また、凹部が駆動力伝達部材の軸方向に対して傾斜して形成されているため、特定の場所で導電性が低下してしまうことを防止できる。
【0049】
請求項10に記載の発明は、回転体を車輪と車軸とが一体構造でない電車の車輪に用いた場合でも、上述のように車軸と車輪との通電状態の安定性を向上することができるため、レールを介して鉄道車両の在線検知を極めて正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、本発明の第1実施形態に係る導電構造について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態においては、導電構造が電車の輪軸の駆動機構に用いられる形態を例にとり説明するが、これに限られることはなく、本発明の導電構造は、一方の部材と他方の部材との通電状態を維持することが必要な全てのものに適用することができる。
【0051】
本実施形態の導電構造は、電車の車輪を回転駆動するための駆動機構に用いられる。すなわち、図1乃至図3に示すように、モータ(図示省略)と機械的に接続されモータの駆動力により回転駆動する金属性の車軸(回転軸)16の端部には、車軸16の外周に亘って突部18Aと溝部18Bとが交互に形成されたインナースリーブ18が形成されている。なお、インナースリーブ18は、車軸16に直接形成されている場合に限られることはなく、例えば外周に亘って突部18Aと溝部18Bとが交互に形成された金属性のリング状部材(図示省略)を車軸の端部に圧入させて設けるようにしてもよい。
【0052】
また、図1に示すように、電車の金属性の車輪(回転体)20の外側面には、車軸16から回転駆動力が伝達される金属性のアウタースリーブ24(筒状部)が一体形成されている。このアウタースリーブ24の内周に亘って突部24Aと溝部24Bとが交互に形成されて構成されている。
また、アウタースリーブ24は、台車(図示省略)に組み付けられた軸箱(軸受け部材)22に支持されている。軸箱22の内部にはアウタースリーブ24の外周に位置するボールなど(図示省略)が配置されており、アウタースリーブ24はこのボールなどにより軸箱22に対して回転する。
【0053】
また、インナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bとの間であって車輪20側の第1領域には金属性の円柱状部材12(駆動力伝達部材)が配置されている。このため、車軸16が回転すると、車軸16の回転力はインナースリーブ18及び円柱状部材12を介してアウタースリーブ24に伝達され、車輪20がアウタースリーブ24と共に回転する。
また、インナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bとの間であって車輪20側と軸方向反対側の第2領域には金属性のコイルばね14が配置されている。このため、コイルばね14は、インナースリーブ18の溝部18B及びアウタースリーブ24の溝部24Bの多くの点でそれぞれ接触した状態となっている。このため、車軸16からインナースリーブ18及びアウタースリーブ24を介して車輪20まで電気的に接続された状態(導電性)になっている。
また、コイルばね14をインナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bとの間に配置させることにより、コイルばね14を位置決めすることができ、駆動力伝達時に所定の駆動力がコイルばね14に作用した場合でもコイルばね14がインナースリーブ18上を移動することがない。この結果、車軸16から車輪20における通電状態の安定性を向上することができる。
【0054】
また、インナースリーブ18がアウタースリーブ24に挿入された状態において車輪20側のインナースリーブ18の外周には、円柱状部材12の抜けを防止するための第1ワイヤー部材28と、インナースリーブ18の溝部18Bに塗布されたグリースの外部への飛散や外部からのゴミ・埃の侵入を阻止するための第1シール部材26がそれぞれ配置されている。
また、インナースリーブ18がアウタースリーブ24に挿入された状態において車輪20側と軸方向反対側のインナースリーブ18の外周には、円柱状部材12及びコイルばね14の移動を阻止する第2ワイヤー部材(区分け部材)27と、インナースリーブ18の溝部18Bに塗布されたグリースの外部への飛散や外部からのゴミ・埃の侵入を阻止するための第2シール部材25(区分け部材)がそれぞれ配置されている。第2シール部材25と第2ワイヤー部材27は第1領域と第2領域との境界近傍に配置されており、第2ワイヤー部材27を設けることにより円柱状部材12が第2領域に移動することを防止し、あるいはコイルばね14が第1領域に移動することを防止している。さらに、第2ワイヤー部材27を設けることにより円柱状部材12又はコイルばね14が磨耗や劣化などにより破損した場合に生じる円柱状部材12又はコイルばね14のそれぞれの破片が他の領域に混入してしまうことを防止している。特に、円柱状部材12又はコイルばね14のそれぞれの破片が微粒の場合には、第2シール部材25によって各破片の他の領域への混入を防止することもできる。
さらに、インナースリーブ18がアウタースリーブ24に挿入された状態において第2シール部材25側と軸方向反対側のインナースリーブ18の外周には、コイルばね14の抜けを防止するための第3ワイヤー部材23と、インナースリーブ18の溝部18Bに塗布されたグリースの外部への飛散や外部からのゴミ・埃の侵入を阻止するための第3シール部材21がそれぞれ配置されている。
【0055】
なお、コイルばね14は、1つの溝部18B、24Bに単数個設けられていてもよく、また複数個設けられていてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、第1領域と第2領域とを車軸16の軸方向に区分けした形態を示したが、これに限られるものではなく、例えばインナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bとの間に円柱状部材12とコイルばね14とを交互に配置させてもよい。
【0057】
次に、本実施形態の導電構造の作用について説明する。
【0058】
車軸16及び車輪20がそれぞれ導電性であり、コイルばね14は金属性なので、車軸16と車輪20とが電気的に接続された通電状態となる。ここで、コイルばね14をインナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bとの間に配置させることにより、コイルばね14はインナースリーブ18の溝部18B及びアウタースリーブ24の溝部24Bに多くの点で接触する。このように、コイルばね14がインナースリーブ18及びアウタースリーブ24の多くの点で接触することによりコイルばね14のインナースリーブ18及びアウタースリーブ24に対する接触抵抗が小さくなる。また、コイルばね14のワイプ作用(コイルばね14の復元力によって接触圧力を維持する効果)によって、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばね14の伸縮により接触圧力を略一定にすることができ、コイルばね14がインナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bに対して離間してしまうことがない。この結果、車軸16と車輪20との通電状態を維持・安定させることができ、レールを介しての鉄道車両の在線検知を極めて正確に行うことができる。また、車軸16と車輪20との通電状態を維持・安定させることにより、電食を防止できる。
【0059】
また、通電状態を実現するために既存のコイルばね14を用いていることにより、従来のブラシ方式と比較して製造コスト及び重量を大幅に低減することができる。また、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばねが自在に弾性変形することで耐振動性及び耐衝撃性を向上させることができる。さらに、従来から用いられていたブラシとブラシホルダーが不要となるため、これらを設けるスペースも不要となり、導電構造の小型化を実現することができる。
【0060】
一方、モータが駆動すると車軸16が回転する。車軸16が回転すると、その回転駆動力が円柱状部材12を介して伝達し、アウタースリーブ24が回転する。アウタースリーブ24が回転すると、車輪20が回転する。このように、車軸16をモータ等により回転駆動させることにより、車輪20を回転させることができる。
また逆に、車輪20の回転力は、アウタースリーブ24、円柱状部材12及び軸インナースリーブ18を介して車軸16に伝達される。
ここで、駆動力伝達時には、コイルばね14に車軸16又は車輪20から所定の圧力が作用する。コイルばね14に圧力が作用し続けると、コイルばね14が劣化しあるいは磨耗する。このとき、コイルばね14の破片は、第2シール部材25及び第2ワイヤー部材27により遮断されるため第1領域に混入することがない。この結果、コイルばね14が破損などした場合にも駆動力伝達性能に悪影響を与えることがない。また、メンテナンス時において、円柱状部材12を取り出すことなく、コイルばね14のみを新しいものに取り換えることができ、メンテナンス性を向上できる。
【0061】
なお、本実施形態の導電構造では、車輪20にアウタースリーブ24が一体形成された形態について説明したが、これに限られることはなく、例えば、車輪20に別部材であるアウタースリーブを取付け、固定させてもよい。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態に係る導電構造について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る導電構造と重複する構成及び作用効果の説明は適宜省略する。
【0063】
図4に示すように、本実施形態の導電構造は金属性の円柱状部材52の外周面には2つの凹部56がそれぞれ形成されており、この各凹部56にはコイルばね54がそれぞれ巻き付けられており、コイルばね54の長手方向両端部で接続されている。このように、コイルばね54は、円柱状部材52の外周面に円柱状部材52の軸方向(図4(A)中矢印B方向)に対して略直交する方向に沿って巻き付けられている。
なお、凹部56及びコイルばね54の個数は、単数個でもよく、3個以上の複数個としてもよい。
【0064】
本実施形態の導電構造によれば、コイルばね54が円柱状部材52の外周面に亘って接触しているため、コイルばね54のインナースリーブ18の溝部18B及びアウタースリーブ24の溝部24Bに対する接触抵抗が小さくなる。この結果、振動や衝撃が生じた場合でも、車軸16と車輪20との通電状態を維持することができる。
また、コイルばね54が凹部56に設けられているため、コイルばね54の円柱状部材52に対する位置ずれを防止できる。これにより、振動や衝撃が生じた場合でも、コイルばね54が円柱状部材52から分離してしまうことがないため、車軸16と車輪20との通電状態を維持することができ、通電状態の安定性を向上させることができる。
さらに、円柱状部材52はインナースリーブ18の溝部18Bとアウタースリーブ24の溝部24Bとの間に配置されており、円柱状部材52が溝部18B、24Bにより位置決めされるため、円柱状部材52のインナースリーブ18又はアウタースリーブ24に対する位置ずれを防止できる。この結果、円柱状部材52の凹部56に設けられているコイルばね54のインナースリーブ18又はアウタースリーブ24に対する位置ずれも防止することができ、車軸16と車輪20との通電状態の安定性を向上させることができる。
一方、モータが駆動すると車軸16が回転する。車軸16が回転すると、その回転駆動力が円柱状部材52を介して伝達し、軸箱22が回転する。軸箱22が回転すると車輪20が回転する。このように、車軸16をモータ等により回転駆動させることにより、車輪20を回転させることができる。
また逆に、車輪20の回転力は、軸箱22を介して車軸16に伝達される。
ここで、駆動力伝達時には、コイルばね54にインナースリーブ18又はアウタースリーブ24から所定の圧力が作用し、コイルばね54自体が弾性変形する。コイルばね54が弾性変形するとコイルばね54が凹部56の内部に隠れた状態となる。これにより、圧力が作用することによりコイルばね54が破損してしまうことを防止でき、同時にコイルばね54のインナースリーブ18又はアウタースリーブ24に対する接触圧力を高めることができ、車軸16と車輪20との通電状態の安定性を向上させることができる。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態に係る導電構造について、図面を参照して説明する。なお、第2実施形態に係る導電構造と重複する構成及び作用効果の説明は適宜省略する。
【0066】
図5に示すように、本実施形態の導電構造を構成する円柱状部材72の外周面には、円柱状部材72の軸方向(図5中矢印C方向)に沿って延びる複数の凹部76がそれぞれ形成されており、各凹部76にはコイルばね74がそれぞれ設けられている。
なお、凹部76及びコイルばね74の個数は、単数個でもよく、また複数個としてもよい。
【0067】
本実施形態の導電構造によれば、凹部76が円柱状部材72の軸方向に沿って形成されているため、円柱状部材72により多くの凹部76を形成することができる。これにより、より多くのコイルばね74を設けることができ、コイルばね74の接触箇所が多くなるため、車軸16と車輪20との通電性能をさらに向上させることができる。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態に係る導電構造について、図面を参照して説明する。なお、第2実施形態に係る導電構造と重複する構成及び作用効果の説明は適宜省略する。
【0069】
図6に示すように、本実施形態の導電構造を構成する円柱状部材92の外周面には、円柱状部材92の軸方向(図6中矢印D方向)に対して傾斜して延びる複数の凹部96がそれぞれ形成されており、各凹部96にはコイルばね94がそれぞれ設けられている。
なお、凹部96及びコイルばね94の個数は、単数個でもよく、また複数個としてもよい。
【0070】
本実施形態の導電構造によれば、凹部96が円柱状部材92の軸方向に対して傾斜して延びているため、円柱状部材92の軸方向に沿って延びている場合と比較して、凹部96の長さを長くすることができる。これにより、凹部96に設けるコイルばね94の長さも長くすることができ、コイルばね94のインナースリーブ18の溝部18B及びアウタースリーブ24の溝部24Bに対する接触抵抗をさらに小さくすることができる。これにより、車軸16と車輪20との通電状態の安定性をさらに向上させることができる。また、凹部96が円柱状部材92の軸方向に対して傾斜して形成されているため、特定の場所で導電性が低下してしまうことを防止できる。
【0071】
次に、本実施形態の導電構造の変形例について説明する。
【0072】
上記実施形態の導電構造では、車軸(回転軸)16と車輪20(回転体)とを組み付け、車軸16の回転と共に車輪20が回転する構成を一例にとり説明したが、これに限られることはなく、車軸(回転軸)16と車輪20(回転体)とを一体形成し車軸の両端部を軸受け部材で回転可能に支持する構成(例えば、一般車両の軸箱内など)に適用してもよい。このとき、車軸と軸受け部材との間にコイルばねを設けることにより軸受け部材も電気的に接続された状態となる。さらに、回転軸を固定して固定軸とし、回転体を固定軸に対して回転させる構成(例えば、風車など)に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態に係る導電構造の分解図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る導電構造を構成するコイルばねの側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る導電構造の部分拡大図である。
【図4】(A)は本発明の第2実施形態に係る導電構造を構成するコイルばね及び駆動力伝達部材の正面図であり、(B)はその側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る導電構造を構成するコイルばね及び駆動力伝達部材の斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る導電構造を構成するコイルばね及び駆動力伝達部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
12、52、72、92 円柱状部材(駆動力伝達部材)
14、54、74、94 コイルばね
16 車軸(回転軸)
20 車輪(回転体)
24 アウタースリーブ(筒状部)
25 第2シール部材(区分け部材)
27 第2ワイヤー部材(区分け部材)
56、76、96 凹部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5